【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転台の近傍に時刻表を設置することは列車の運行に必須の義務規定となっており、乗務員は常に担当予定の路線の時刻表を携行している。しかし、事故などの影響で予定外の路線の列車を担当しなければならない場合や、臨時の時刻表が必要となる場合もあり、そのような場合に、乗務員が担当する路線の時刻表を持ち合わせていなければ、管理部門から停車中の駅へFAX送信などの方法で時刻表を提供してもらう必要があり、手間がかかり、列車の発車が大幅に遅れるおそれがある。
【0005】
そこで、各路線の時刻表を電子データにして保存し、必要な時刻表のデータを呼び出してモニタに表示するようにすれば、どの路線の乗務にも速やかに対応でき、課題の解決が可能である。特に、タブレット端末を使用すれば、データの保存や表示をそれ一台で行うことができ、取り扱いも簡単である。また、仮に、必要なデータが保存されていなくても、通信によりデータを取得することができるという利点もある。
【0006】
列車を運行しながらタブレット端末に表示された時刻表を確認できるようにするには、紙の時刻表と同じように、タブレット端末を立てた姿勢で支持する必要がある。また、列車の走行による振動の影響などでタブレット端末が倒れないように工夫する必要もある。しかし、タブレット端末をしっかり固定してしまうと、タブレット端末の取り外しが困難となる。タブレット端末を時刻表を表示する以外の目的に使用する可能性や、充電などの目的で外部機器に接続する必要性を考慮すると、タブレット端末は容易に取り外しができる状態で支持されるのが望ましい。
【0007】
上記した課題に鑑み、この発明の発明者は、今般、タブレット端末を立てた姿勢で安定して支持できるとともに、タブレット端末の取り付けや取り外しを容易に行えるタブレット端末支持装置を開発するに至った。このタブレット端末支持装置は、
図10および
図11に示すように、板状のタブレット端末3を支持するためのホルダー9と、ホルダー9を立てた姿勢で固定する固定台2とから成るものである。このホルダー9によってタブレット端末3を立てた姿勢で固定台2に安定して支持できるようになり、また、ホルダー9を固定台2より取り外すことで、タブレット端末3を容易に取り外すことができるようになった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図12はホルダー9が固定台2に組み付けられるときの組立状態を、また、
図13はホルダー9を固定台2より取り外して開いたときの状態を、それぞれ示している。このホルダー9は、タブレット端末3を表示面(ディスプレイ)30が覆われずに前面側に拘束した状態で支持する表板部90と、タブレット端末3の表示面30に対応する大きさの背板部91とを有している。表板部90の上端部と背板部91の上端部との間は可撓性を有する第1の接続片92によって一体に連結されている。表板部90の下端部と背板部91の下端部との間は可撓性を有する第2の接続片93を介して分離可能に連結されている。
【0009】
前記固定台2は、ホルダー9を前面で支持するための背壁部23を有し、背壁部23の両側には側壁部21,22が、下部には底板24が、それぞれ設けられたものである。各側壁部21,22は、ホルダー9の背板部91の幅より大きい間隔を隔てて対向している。各側壁部21,22にはホルダー9の背板部91の両側部を支持する支持部材28,28が内向きに突設されており、各支持部材28,28と背壁部23との間には背板部91の両側部が入り込む溝20が形成されている。一方の側壁部22を開閉して起伏動作させると、支持部材28が背板部91の側部と係脱するようになっている。
【0010】
上記の構成のタブレット端末支持装置では、固定台2の一方の側壁部22を開き、ホルダー9の背板部91を支え面23a上に位置決めした後、側壁部22を閉じることによって、ホルダー9の背板部91の両側部が左右の溝20に入り込んで各支持部材28と係合した状態になり、ホルダー9およびホルダー9に支持されるタブレット端末3は立てた姿勢で固定される。
【0011】
固定台2の側壁部22を開いて背板部91の両側部と各支持部材28との係合を解除すれば、ホルダー9をタブレット端末3を支持した状態のまま取り出すことができる。第2の接続片93による表板部90の下端部と背板部91の下端部との連結を解除し、背板部91を前面側へ折り返せば、タブレット端末3の表示面30を背板部91により覆うことができる。その後、背板部91の下端部と表板部90の下端部とを第2の接続片93によって連結して、背板部91がずれないようにすると、タブレット端末3をホルダー9に支持された状態のまま持ち運ぶことができる。
【0012】
ところで、タブレット端末3には種々のサイズがある。上記したホルダー9は表示面のサイズで10.1インチのタブレット端末(以下、「大きいサイズのタブレット端末」という。)に適合するように開発したものであり、表示面のサイズで7インチのタブレット端末)(以下、「小さいサイズのタブレット端末」という。)については、上記のホルダー9に適合せず、そのホルダー9によっては
図2の固定台2にタブレット端末3を立てた姿勢で支持することができない。
【0013】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、小さいサイズのタブレット端末についても、タブレット端末を立てた状態で安定して支持するとともに、タブレット端末の取り付けや取り外しを容易に行うことができるタブレット端末支持装置を提供することを目的とする。
【0014】
この発明によるタブレット端末支持装置は、板状のタブレット端末を支持するためのホルダーと、ホルダーを立てた姿勢で固定する固定台とから成るもので、前記ホルダーは、タブレット端末を表示面を覆わない状態で支持する支持部を前面に有する表板部と、前記表板部の背面上へ折り返されて重ねられる背板部とを有している。前記表板部には、前記支持部の一側方へ張り出す部分(以下、「第1の張出し部」という。)と前記支持部の他側方へ張り出して背板部との間に介在する部分(以下、「第2の張出し部」という。)とが設けられている。第2の張出し部には、背板部を表板部の背面上と表板部の前面上とに折り返すことを可能とする折り返し部が形成されている。前記固定台は、前記第1、第2の各張出し部を両側より支持する支持部材を有し、支持部材の少なくとも一方は開閉して張出し部と係脱するように形成されている。
【0015】
上記の構成のタブレット端末支持装置では、固定台の少なくとも一方の支持部材を開いた状態でホルダーを固定台に位置決めした後、支持部材を閉じることによって、ホルダーの表板部の両側の第1、第2の各張出し部が左右の支持部材と係合するので、ホルダーおよびホルダーに支持されるタブレット端末を立てた姿勢で固定できる。
【0016】
固定台の少なくとも一方の支持部材を開き、第1、第2の張出し部と各支持部材との係合を解除すれば、ホルダーをタブレット端末を支持した状態のまま取り出すことができる。折り返し部で背板部を表板部の背面上から表板部の前面上に折り返せば、タブレット端末の表示面を背板部により覆うことができ、タブレット端末をホルダーに支持された状態のまま持ち運ぶことができる。
【0017】
この発明の好ましい実施態様においては、前記表板部の支持部は、タブレット端末の表示面の外周に沿って一周する矩形状の枠体部と、枠体部の3辺と表板部の前面との間をタブレット端末の厚みに応じた間隔をあけて連結する襠部材とで構成され、枠体部の残りの1辺には、表板部と枠体部との間のタブレット端末の収容空間に対してタブレット端末を出し入れするための蓋付きの出し入れ口が形成されている。
【0018】
この実施態様によると、タブレット端末はその背面が表板部の前面に支持され、表示面の外周に沿って枠体部および襠部材により支持されるとともに、出し入れ口が蓋により塞がれるので、タブレット端末がホルダーから脱落することがない。また、出し入れ口より収容空間に対してタブレット端末を容易に出し入れできるので、充電器などの機器と接続するためにタブレット端末を取り出す必要が生じた場合にも、容易に対応することができる。
【0019】
この発明の好ましい実施態様においては、前記折り返し部は、第2の張出し部の表板部と連なる部分に設けられ第2の張出し部を前面側へ折り曲げることを可能とする第1の折れ線と、第2の張出し部の背板部と連なる部分に設けられ背板部を表板部の背面上と表板部の前面上とに折り返すことを可能とする第2の折れ線とで構成されている。
【0020】
この実施態様においては、背板部は第2の折れ線で折り返されて表板部の背面上へ重ねられており、その折り返し状態から、第1の折れ線で第2の張出し部を前面側へ折り曲げるとともに、第2の折れ線で背板部を前面側へ折り曲げて表板部の前面上に折り返すことにより、タブレット端末の表示面を背板部により覆うことができ、タブレット端末をホルダーに支持された状態のまま持ち運ぶことができる。
【0021】
なお、前記折り返し部は、第2の張出し部の幅中央部に前後へ折り曲げることが可能な1個の折れ線をもって構成することもできる。この実施態様の場合は、背板部は前記の折れ線で折り返されて表板部の背面上に重ねられており、その折り曲げ状態から、折れ線で背板部を前面側へ折り曲げて表板部の前面上に折り返すことにより、タブレット端末の表示面を背板部により覆うことができる。また、折り返し部は、背板部を前後に折り返すことが可能な構成あれば、必ずしも折れ線により構成される必要はなく、例えば、幅のある柔軟な帯状部分であってもよい。
【0022】
この発明の好ましい実施態様において、前記表板部と背板部とが対向する面に互いに着脱が可能な留め部材がそれぞれ取り付けられている。前記の留め部材として面ファスナーが好適であるが、これに限らず、ホックやスナップのようなものであってもよい。
【0023】
この実施態様によれば、表板部の背面上へ折り返されて重ねられた背板部と表板部との間が留め部材により留め固定されるので、折り返されて重ねられた形態が保持される。
【0024】
この発明の好ましい実施態様においては、前記固定台は、ホルダーを背後より支える支え面の両側に側壁部が対向して設けられ、各側壁部に前記支持部材が内向きに突設され、各支持部材と前記支え面との間にホルダーの第1、第2の各張出し部が入り込む溝が形成されている。
【0025】
この実施態様によると、ホルダーは左右の側壁部間に嵌まった状態で第1、第2の各張出し部が左右の溝に入り込んで各支持部材と係合する。
【0026】
上記の実施態様では、側壁部の少なくとも一方が開閉することにより支持部材がホルダーの張出し部と係脱するようになっているが、支持部材を開閉することにより支持部材と張出し部とを係脱するようにしてもよい。