特開2015-189263(P2015-189263A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189263(P2015-189263A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/10 20060101AFI20151006BHJP
   A47C 1/024 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   B60N2/10
   A47C1/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-66094(P2014-66094)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】菅原 隆
【テーマコード(参考)】
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B087BA07
3B087BA12
3B087BA13
3B099BA07
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でありながら着座者が自然体を維持したままの状態で座が後傾してリクライニングすることのできる椅子を提供する。
【解決手段】一端が座10の第1箇所J1に回動自在に支持され、他端がベース部40の第2箇所J2に回動自在に支持された第1リンク50と、一端が座10の第1箇所J1より後端側の第3箇所J3に回動自在に支持され、他端がベース部40の第2箇所J2より前端側の第4箇所J4に回動自在に支持された第2リンク60によって座10を支持する。背もたれ20は第3箇所J3を回転中心として座10に支持される。また、背もたれの下端の第6箇所J6に一端が回動自在に支持され、他端がベース部40の第5箇所J5に回動自在に支持されたロック機構付きのダンパー70を設けて、第6箇所J6を後方へ付勢する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座と、
ベース部と、
一端が前記座の第1箇所に回動自在に支持され、他端がベース部の第2箇所に回動自在に支持された第1リンクと、
一端が前記座の前記第1箇所より後端側の第3箇所に回動自在に支持され、他端が前記ベース部の前記第2箇所より前端側の第4箇所に回動自在に支持された第2リンクと、
を有する
ことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記座と一体に回転中心が支持されて傾倒可能であって、下端が前記座より下方に延出された背もたれと、
前記背もたれの下端部に一端が回動自在に支持され、他端が前記ベース部に回動自在に支持された、全長が変化可能であって任意の長さに全長を固定可能なシートロックと、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記シートロックは、伸張方向に付勢されたロック機構付きダンパーである
ことを特徴とする請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記背もたれの前記回転中心は、前記第3箇所に前記第2リンクと同軸に軸支される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の椅子。
【請求項5】
前記第1箇所は前記座の後端側に設けられ、
前記第2箇所は、前記座が前後に傾斜していない状態において前記第1箇所の下方より前記座の前端側となるように設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座の傾斜を変更可能な椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
リクライニング機構付き椅子では、背もたれの後傾に伴って、座が後傾、あるいは後方に移動しつつ後傾することで、座り心地を向上させたものがある。
【0003】
座を傾斜させる機構として、たとえば、下記特許文献1には、座の前端側を上下させるための前リンク機構と、座の後端側を上下させるための後リンク機構とを独立に動作可能に設けた椅子が開示されている。
【0004】
また下記特許文献2に開示の椅子は、一端が座の前端側に他端がその下方の基部にそれぞれ回動自在に接続された第1リンクと、一端が座の後端側に他端がその下方の基部にそれぞれ回動自在に接続された第2リンクとを備え、これらのリンク(座と基部を含めて4節リンクが構成される)で座を後傾可能に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−38832号公報
【特許文献2】特許第3643015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の椅子は構造が複雑で、部品点数が多いので、製品価格が高騰し、またメンテナンスも煩雑になる。
【0007】
特許文献2に開示の椅子では、第1リンクと第2リンクがほぼ平行に配設されているので、座の傾斜角度を少し変位させる間に、座が前後に大きく移動する。たとえば、列車に配列される座席では、前後の座席の間隔が規制されるので、座を後傾させる際に、座が大きく後ろに移動すると支障がある。また、後方への移動量が大きいと、背もたれの傾斜を変える度に、座り直さなければ姿勢が安定しないので、使い勝手が良くない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、簡単な構造でありながら着座者が自然体を維持したままの状態で座が後傾してリクライニングすることのできる椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]座と、
ベース部と、
一端が前記座の第1箇所に回動自在に支持され、他端がベース部の第2箇所に回動自在に支持された第1リンクと、
一端が前記座の前記第1箇所より後端側の第3箇所に回動自在に支持され、他端が前記ベース部の前記第2箇所より前端側の第4箇所に回動自在に支持された第2リンクと、
を有する
ことを特徴とする椅子。
【0011】
上記発明では、座は、クロスした第1リンクと第2リンクを介してベース部に支持される。クロスした2本のリンクで座を支持することで、簡単な構造でありながら、座を、前後方向への移動量を抑えつつ大きく傾斜させることができる。
【0012】
[2]前記座と一体に回転中心が支持されて傾倒可能であって、下端が前記座より下方に延出された背もたれと、
前記背もたれの下端部に一端が回動自在に支持され、他端が前記ベース部に回動自在に支持された、全長が変化可能であって任意の長さに全長を固定可能なシートロックと、
を有する
ことを特徴とする[1]に記載の椅子。
【0013】
上記発明では、座の傾斜と背もたれの傾斜が連動し、かつ、シートロックの全長を固定することで、座および背もたれの位置が保持される。
【0014】
[3]前記シートロックは、伸張方向に付勢されたロック機構付きダンパーである
ことを特徴とする[2]に記載の椅子。
【0015】
上記発明では、ロック機構付きダンパーにより、背もたれは、起こす方向に付勢される。
【0016】
[4]前記背もたれの前記回転中心は、前記第3箇所に前記第2リンクと同軸に軸支される
ことを特徴とする[2]または[3]に記載の椅子。
【0017】
上記発明では、第2リンクの上端と別の場所に背もたれの回転中心を設ける場合に比べて、構造が簡略になる。
【0018】
[5]前記第1箇所は前記座の後端側に設けられ、
前記第2箇所は、前記座が前後に傾斜していない状態において前記第1箇所の下方より前記座の前端側となるように設けられる
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の椅子。
【0019】
上記発明では、着座者の体重を座の前端側に加えることで、座を容易にアップライト姿勢に戻すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る椅子によれば、簡単な構造でありながら、着座者が自然体を維持したままの状態でリクライニングすることができて、良好な座り心地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る椅子を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る椅子の概略構造を示す正面図である。および平面を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る椅子の概略構造を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る椅子のアップライト姿勢とリクライニング姿勢を示す側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る椅子の主要な構造部分を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る椅子5を示す斜視図、図2は椅子5の概略構造を示す正面図、図3は椅子5の概略構造を示す平面図、図4はアップライト姿勢およびリクライニング姿勢における椅子5の概略構造を示す側面図、図5は椅子5の主要な構造部分を拡大して示す側面図である。
【0024】
椅子5は、鉄道車両などに設置されるものであり、図1図2に示すように同じ椅子5を2台ずつ並置したものを一組として設置され、2台の椅子5の中央を中心にして全体が回動するようになっている。なお、1台ずつ単独で設置されてもよい。
【0025】
椅子5は、背もたれ20を起立させたアップライト姿勢(図4(a)参照)から背もたれ20を傾倒させたリクライニング姿勢(図4(b)参照)へ変位する際に、背もたれの変位に連動して、座10が後方へ移動しながら後傾するように構成されている。椅子5では、背もたれ20の各傾斜角度における座10の位置は着座者が自由に変更することはできず、背もたれ20の各傾斜角度における座10の位置は一義的に規定される。
【0026】
椅子5は、着座者の尻が乗せられる座10と、座10と一体に回転中心が支持されて傾倒可能な背もたれ20と、座10と一体に設けられた左右一対の肘掛30と、ベース部40と、ベース部40に対して座10を変位可能に支持する第1リンク50および第2リンク60と、シートロック70を備えている。
【0027】
座10は、座フレーム11をクッション材、被覆材等で覆って構成される。座フレーム11は、座10の前端側と後端側にそれぞれ座10の幅方向に長い中空円柱状の支持パイプとこれら前後の支持パイプを左右の端部で連結する連結部材とからなる矩形の枠である。座フレーム11の矩形の枠の中には前後方向に複数本のバネが掛け渡されている(図3参照)。
【0028】
背もたれ20は、角に丸みを持った縦長の長方形の枠とその間を繋ぐ横桟等からなる背フレーム21を、クッション材、被覆材等で覆って構成される。背もたれ20の背フレーム21は、その回転中心が座フレーム11の左右の後端の第3箇所J3に回動自在に軸支されている。背フレーム21は、第3箇所J3よりさらに下方へ延長されている。
【0029】
肘掛30は、背もたれ20の左右両側から前方へ延出するように、基部が背フレーム21に固定されている。
【0030】
ベース部40は、床3に固定された取り付け板45と、該取り付け板45の中央から立設された回転軸46に支持されて床面と平行に回動可能な角柱部材41を有する。取り付け板45は、並置された2台の椅子5の幅の略同等の長さを有し、幅は座10の前後の長さの略4分の1ほどの略長方形を成した剛板であり、複数本のネジで床3に固定される。
【0031】
角柱部材41は、取り付け板45と同様の幅と長さを備えた断面矩形で中空の剛性を有する部材であり、その中央が回転軸46に軸支されて床と平行な面内で回動可能にされている。ベース部40は、角柱部材41の回動を取り付け板45と平行な位置でロックする図示省略のロック機構を備えており、椅子5の正面方向を180度転換できるようになっている。ベース部40は、座10の前後方向の略中央に位置するように設置される。
【0032】
角柱部材41の上面には、該角柱部材41の長手方向に沿って延設された互いに平行な前パイプ42と後パイプ43が支持金具44で固定されている。なお、前パイプ42、後パイプ43は、並置された2台の各椅子5に対して個別に設けられている。
【0033】
第1リンク50および第2リンク60は座フレーム11の左右にそれぞれ設けられる。図5に示すように、第1リンク50は、一端が座フレーム11の後端側の第1箇所J1に、座10の幅方向を軸方向にして、回動自在に支持され、他端はベース部40の第2箇所J2に、座10の幅方向を軸方向にして、回動自在に支持されている。第2リンク60は、一端が座フレーム11の第1箇所J1より後端側の第3箇所J3に、座10の幅方向を軸方向にして、回動自在に支持され、他端はベース部40の第2箇所J2より前端側の第4箇所J4に、座10の幅方向を軸方向にして、回動自在に支持されている。第2リンク60は第1リンク50より長い。
【0034】
上記のようにして、第1リンク50と第2リンク60は、互いがクロスするように取り付けられている。
【0035】
より詳細には、第2リンク60の上端は、背フレーム21の回転中心と共に、座フレーム11後端の第3箇所J3に回動自在に軸支される。第3箇所J3は、座フレーム11の後ろ側の支持パイプの端部に位置する。すなわち、第2リンク60の上端と背フレーム21の回転中心は、座フレーム11の後ろ側の支持パイプの端部に同軸にして軸支されている。第2リンク60の下端はベース部40の前パイプ42の端部(第4箇所J4)に軸支されている。
【0036】
第1リンク50の上端が座フレーム11に軸支された位置である第1箇所J1は、後パイプ43と前パイプ42の間隔よりやや短い距離だけ第3箇所J3より前方に位置している。第1リンク50の下端は、ベース部40の後パイプ43の端部(第2箇所J2)に軸支されている。
【0037】
シートロック70は、全長が変化可能であって任意の長さに全長を固定する機能を有し、伸張方向に付勢されたロック機能付きのダンパーである。
【0038】
シートロック70は、シリンダ71と、該シリンダ71内で移動するピストンと、このピストンから延設され、シリンダ71から進出した状態とシリンダ71に収納された状態とに進退するピストンロッド72を備えて構成される。ピストンロッド72はシリンダ71から進出する方向に付勢されている。シートロック70は、任意の進出位置でピストンロッド72をロックする機能を備えている。シートロック70には、ロック機構付きのガススプリングなどが使用される。
【0039】
シートロック70の一端(この例ではピストンロッド72の先端)は、ベース部40の第5箇所J5に、座10の幅方向を軸方向にして回動自在に軸支され、他端(この例では、シリンダ71の終端(ピストンロッド72の出入口と反対側の端部))は背フレーム21の下端の第6箇所J6に、座10の幅方向を軸方向にして回動自在に軸支されている。
【0040】
シートロック70は、長手方向を椅子5の前後方向にして、座10の下方であって座10の幅方向の中心の位置に取り付けられている。ベース部40の角柱部材41の上面には三角形のシートロック取り付け板47が立設されており、このシートロック取り付け板47の上部の第5箇所J5に、ピストンロッド72の先端が軸支されている。第5箇所J5は前パイプ42よりやや上方の位置になっている。
【0041】
なお、肘掛30にはシートロック70を、全長が固定されたロック状態にするかロックを解除するかを操作するための図示省略の操作ボタンが設けてある。
【0042】
次に、上記構成の椅子5の動きを説明する。
【0043】
シートロック70のロックが解除されると、座10や背もたれ20は図4(a)に示すアップライト姿勢と同図(b)に示すリクライニング姿勢の間で変位可能となる。
【0044】
アップライト姿勢からリクライニング姿勢に変位させる場合、着座者は体重を座10の後端側および背フレーム21にかける。このとき、座フレーム11の後端の第3箇所J3は、第2リンク60によって移動の軌跡が規制され、ベース部40の第4箇所J4を回転中心とし第2リンク60を半径とする円周上を移動する。一方、第3箇所J3よりやや前方の座10の第1箇所J1は、第1リンク50によって移動の軌跡が規制され、ベース部40の第2箇所J2を回転中心とし第1リンク50を半径とする円周上を移動する。
【0045】
その結果、図4に示すように、座10は全体的にやや後ろに移動すると共に、座10の後端の第3箇所J3は少し下降し、第3箇所J3より前側の第1箇所J1箇所は第3箇所J3よりもやや少なく下降する。第3箇所J3と第1箇所J1の下降量の違いにより、座10の前端側が持ち上げられ、座10が後傾する。
【0046】
また、アップライト姿勢からリクライニング姿勢に変位させる際に着座者が背もたれ20にもたれかかるので、背もたれ20が後傾する。すなわち、着座者が背もたれ20にもたれかかると、第3箇所J3を回転中心として背もたれ20が後傾し、背フレーム21の下端が前方へ移動してシートロック70が縮められる。
【0047】
リクライニング姿勢からアップライト姿勢に戻すときには、着座者は座10の前端側に体重をかける。このとき、座フレーム11が、座10の前端を力点、第2箇所J2を支点、第3箇所J3を作用点とする「てこ」のように作用し、容易に座10をアップライト姿勢に戻すことができる。
【0048】
また、着座者が座10の前端側に体重を掛けて、背もたれ20にもたれなくなると、背もたれ20は下端がシートロック70に付勢されて起立した姿勢に戻ろうとする。また、シートロック70が背フレーム21の下端を後方へ押すと、その力は、背フレーム21を通じて、第3箇所J3を上方へ、すなわち、アップライト姿勢の位置に戻すように作用する。したがって、リクライニング姿勢からアップライト姿勢に戻す動作がシートロック70の力によって補助される。そのため、着座者は容易に座10や背もたれ20をリクライニング姿勢からアップライト姿勢に戻すことができる。
【0049】
シートロック70をロック状態にしてシートロック70の全長を固定すると、座10および背もたれ20の位置が固定される。すなわち、第3箇所J3から第6箇所J6までの背フレーム21、シートロック70、第2リンク60、第4箇所J4から第5箇所J5までのシートロック取り付け板47によって4節リンクが形成されており、シートロック70をロックすると、この4節リンクのすべてのリンクの長さが固定され、かつ、第4箇所J4と第5箇所J5が固定端なので、該4節リンクは一定の形状を保持して変化しなくなる。その結果、第3箇所J3、第6箇所J6の位置が固定され、結果的に座10や背もたれ20の位置が固定される。
【0050】
このように本実施の形態に係る椅子5は、クロスした第1リンク50と第2リンク60で座フレーム11の後端部を支持するので、アップライト姿勢からリクライニング姿勢に変えるときに、座10の後方への移動量を少なく抑えながら、座10を大きく後傾させることができる。
【0051】
また、座10を変位可能に支持するための部材が第1リンク50と第2リンク60のみで済むので、構造が簡略化される。また、背もたれ20の下端部とベース部40との間に掛け渡されたシートロック70の全長をロックするだけで座10および背もたれ20の位置を固定できるので、固定のための機構も簡素にすることができる。簡素な構造により、メンテナンスも容易になる。また、重量も軽減される。
【0052】
さらに、シートロック70が背もたれ20を起立する方向に付勢するので、着座者に負担をかけることなく、背もたれ20をリクライニング姿勢からアップライト姿勢に戻すことができる。また、シートロック70の力を、座10をアップライト姿勢に戻すためにも利用するので、リクライニング姿勢からアップライト姿勢に戻すために必要な着座者の力を少なく抑えることができ、良好な操作性が提供される。
【0053】
また、第1リンク50と第2リンク60で座10を支持するので、足元スペースを広く確保することができる。すなわち、座10の前後方向の略中央の下方のベース部40から上斜め後方にクロスして延びる第1リンク50と第2リンク60によって座10を支持するので、座10の前後方向の略中央の下方にのみベース部40を設ければ良く、ベース部40が小型化されて足元スペースを広く確保することができる。
【0054】
また、背もたれ20の傾斜と座10の傾斜が連動するので、どの姿勢においても良好な座り心地が提供される。また、背もたれ20と共に肘掛30の角度が変わるので、リクライニングさせたときに、肘掛30が着座者から遠くになって使い難くなるといったことがない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0056】
実施の形態では、ベース部40から上斜め後方に延びた第1リンク50および第2リンク60によって座10の後端を支持したが、第1リンク50と第2リンク60をベース部40から上斜め前方へ延設し、座10の前端部を第1リンク50および第2リンク60で支持する構成でもよい。この構成においても、着座者が座10の後端側に体重をかけると容易にリクライニングする。しかし、着座者が座10の前端部に体重を掛けても、前述した「てこ」の作用が働かないため、アップライト姿勢に戻すことは難しくなる。そのため、リクライニング姿勢からアップライト姿勢への復帰を補助するための動力機構を設けることが望ましい。
【0057】
さらには、第1リンク50、第2リンク60で座10を支持する箇所は、座10の中央付近であってもよい。また、ベース部40を座10の前後方向の中央下方に設けたが、これに限定されず、ベース部40を中央より前側に設けても、後ろ側に設けてもかまわない。
【0058】
実施の形態では、シートロック70に伸長方向に付勢する機能とロック機能の双方を持たせたが、付勢力を与えるガススプリング等と、ロック機構とを別途に設けてもよい。
【0059】
また、実施の形態では、座10に対する背もたれ20の角度が変化するようにしたが、座10に対する背もたれ20の角度を一定に保持する構成でもよい。すなわち、座10に対して一定の角度となるように背もたれ20を座10と一体に構成し、この座10を第1リンク50と第2リンク60で変位可能に支持するような構成の椅子についても本発明は適用される。
【0060】
実施の形態では、第2リンク60の上端と背もたれ20の回動中心を第3箇所J3において同軸に軸支した。これにより構造は簡略化される。しかし、第3箇所J3と別の箇所に背もたれ20の回転中心を設けてもかまわない。
【0061】
実施の形態で示したベース部40等の構造は一例であり、これに限定されるものではない。また、ベース部40に回転台としての機能は無くてもよい。また、椅子5を一脚ずつ個別に設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
3…床
5…椅子
10…座
11…座フレーム
20…背もたれ
21…背フレーム
30…肘掛
40…ベース部
41…角柱部材
42…前パイプ
43…後パイプ
44…支持金具
45…取り付け板
46…回転軸
47…シートロック取り付け板
50…第1リンク
60…第2リンク
70…シートロック
71…シリンダ
72…ピストンロッド
J1…第1箇所
J2…第2箇所
J3…第3箇所
J4…第4箇所
J5…第5箇所
J6…第6箇所
図1
図2
図3
図4
図5