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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189473(P2015-189473A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/16 20060101AFI20151006BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20151006BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   B65D85/16
   B65D33/00 Z
   B65D33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-66432(P2014-66432)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】間篠 智恵子
【テーマコード(参考)】
3E064
3E068
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA30
3E064BA37
3E064BA55
3E064EA30
3E064FA01
3E064HA06
3E064HA10
3E064HB02
3E064HB05
3E064HB10
3E064HH02
3E064HU10
3E068AA22
3E068AB02
3E068AB03
3E068AB08
3E068AC07
3E068BB05
3E068CC22
3E068CE02
3E068CE03
3E068DD09
3E068DE11
3E068DE14
3E068EE25
3E068EE26
(57)【要約】
【課題】 収納された衛生用品の微妙な色の違いを窓部によって損なうことがなく消費者に認識させることができる包装体を提供する。
【解決手段】 色を呈する衛生用品11と、前記衛生用品11を収納し、少なくとも一部にピンク色を呈する包装袋12と、を備え、前記包装袋12は、その少なくとも一面に形成された透明材15の窓部13を備え、前記透明材15を通した前記衛生用品11の色と前記衛生用品11の前記透明材15を通さない前記衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっている。前記衛生用品11が複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色を呈する衛生用品と、
前記衛生用品を収納し、少なくとも一部にピンク色を呈する包装袋と、
を備え、
前記包装袋は、その少なくとも一面に形成された透明材の窓部を備え、
前記透明材を通した前記衛生用品の色と前記透明材を通さない前記衛生用品の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記ピンク色が、L表示系において、45≦L≦80、10≦a≦70、−10≦b≦5の範囲にある色であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記ピンク色が、パントーン(登録商標)色見本帳SOLID CHIPS/coatedにおいて、148C〜151C、1485C〜Orange 021C、1555C〜1585C、162C〜165C、1625C〜1655C、169C〜172C、244C〜257C、2562C〜2592C、2563C〜2593C、7422C〜7427C、705C〜711C、493C〜496C、176C〜243C、514C〜517Cの値の範囲にある色であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記透明材を通した前記衛生用品の色と前記包装袋の前記ピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
前記衛生用品がその内側面の色を含めて複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記透明材が75μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
前記窓部が前記包装袋の複数の面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の包装体。
【請求項8】
前記窓部が前記衛生用品の残量を確認できる形状をなすことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の包装体。
【請求項9】
前記窓部が物の形状をなすことを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の包装体。
【請求項10】
前記物の形状が前記衛生用品の形状であることを特徴とする請求項9に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装体に関し、特に、衛生用品を収納する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装体としては、例えば、下記特許文献1に示すように、複数の生理用品等を収納し、側面に該生理用品の一部を目視できる窓を有する窓付き柔軟性パッケージバッグが知られている。また、下記特許文献2には、例えば長方体をなす紙袋の側面に透明部材が張られた孔部を設けたものの記載がある。
【0003】
しかし、特許文献1、2は、いずれも、中に何がはいっているのかを確認するための窓あるいは切欠きを設けたものにすぎないものとなっており、特許文献2において、切欠きに張られた透明部材は、中身が出ないようにするとともに、切欠きを設けたことによる強度の低下を防ぐようにしたものである。
【0004】
このため、該透明部材によっては、収納された衛生用品の微妙な色そのものや色の差異を認識できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−513306号公報
【特許文献2】特開平07−187200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納された衛生用品の微妙な色そのものや色の差異を窓部によって損なうことがなく消費者に認識させることができる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の包装体は、色を呈する衛生用品と、前記衛生用品を収納し、少なくとも一部にピンク色を呈する包装袋と、を備え、前記包装袋は、その少なくとも一面に形成された透明材の窓部を備え、前記透明材を通した前記衛生用品の色と前記透明材を通さない前記衛生用品の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることを特徴とする。
(2)本発明の包装体は、(1)の構成において、前記ピンク色が、L表示系において、45≦L≦80、10≦a≦70、−10≦b≦5の範囲にある色であることを特徴とする。
(3)本発明の包装体は、(1)の構成において、前記ピンク色が、パントーン(登録商標)色見本帳SOLID CHIPS/coatedにおいて、148C〜151C、1485C〜Orange 021C、1555C〜1585C、162C〜165C、1625C〜1655C、169C〜172C、244C〜257C、2562C〜2592C、2563C〜2593C、7422C〜7427C、705C〜711C、493C〜496C、176C〜243C、514C〜517Cの値の範囲にある色であることを特徴とする。
(4)本発明の包装体は、(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記透明材を通した前記衛生用品の色と前記包装袋の前記ピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっていることを特徴とする。
(5)本発明の包装体は、(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記衛生用品がその内側面の色を含めて複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有することを特徴とする。
(6)本発明の包装体は、(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記透明材が75μm以下の厚さを有することを特徴とする。
(7)本発明の包装体は、(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記窓部が前記包装袋の複数の面に形成されていることを特徴とする。
(8)本発明の包装体は、(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記窓部が、その外枠において、前記衛生用品の残量を確認できる形状をなすことを特徴とする。
(9)本発明の包装体は、(1)ないし(8)のいずれかの構成において、前記窓部が物の形状をなすことを特徴とする。
(10)本発明の包装体は、(9)の構成において、前記物の形状が前記衛生用品の形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した包装体によれば、それに収納された衛生用品の微妙な色そのものや色の差異を窓部によって損なうことがなく消費者に認識させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の包装体の実施形態1を示す斜視図、(b)は、(a)のb−b線における断面図である。
図2図1(a)に示した包装体の一部を破断した斜視図である。
図3】本発明の包装体の実施形態2を示す斜視図である。
図4】本発明の包装体の実施形態3を示す斜視図である。
図5】本発明の包装体の実施形態4を示す斜視図である。
図6】本発明の包装体の実施形態5を示す斜視図である。
図7】本発明の包装体の実施形態5の他の例を示す斜視図である。
図8】衛生用品の各部位(イないしホ)を示す図で、(a)は広げた状態を、(b)は折り畳んだ状態を、(c)は(b)の状態を側面側から観た図である。
図9】本発明に適用される衛生用品の比較対象となる白色を基調とした従来のおむつを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0011】
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の包装体の実施形態1を示す斜視図である。図1(a)において、本発明の包装体10は、色を呈する衛生用品11(図2参照)と、衛生用品11を収納し一部に窓部13Aを有する包装袋12と、を備えて構成されている。
【0012】
図1(a)に示す包装袋12は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(Polypropylene)、PS(Polystyrene)等の柔らかな樹脂材によって形成され、例えば、角に丸みを有する長方体をなしている。包装袋12には、その一部を破断した図2に示すように、複数の衛生用品11が例えば横方向に並列されて収納されている。衛生用品11は、例えば、使い捨て吸収パンツ、おむつ、ライナー、おりものケアシート、生理用品、失禁用品等からなり、折り畳まれて包装袋12に収納されるようになっている。これら衛生用品11は、色、例えば、ピンク色を主とする色がその明るさ等を異ならしめて複数呈され、視覚的に興味を起こさせるような作りになっている。衛生用品11の外側あるいは内側に施される色は、いわゆるグラデーションと称されるように濃淡等が変化する着色であってもよい。また、包装袋12は窓部13A以外の部分の表面において、ピンク色を主とする色が施されている。この場合に施される色の割合としては、包装袋12の全表面積に対して50%以上、好ましくは80%以上となっている。なお、包装袋12の表面に施されるピンク色もグラデーションと称されるように濃淡が変化する着色であってもよい。さらに、包装袋12の表面には、装飾または模様、商品名、内容物の説明等の印刷が施されている(図示せず)。
【0013】
この場合、各ピンク色は、L表示系において、45≦L≦80、10≦a≦70、−10≦b≦5の範囲にある色となっている。ここで、L表示系とは、色を見たときに、同じ色違いに見える色同士の距離(心理的な距離感)を均等にしてある色立体(色空間)をいい、互いに直交するL軸、a軸、b軸を有する。L軸は明るさを、a軸は緑〜赤を、b軸は青〜黄を示すようになっている。
【0014】
表1は、包装袋12の窓部13A以外の表面に施された色であって、色合いが濃いピンク色からくすんだピンク色までのL表示系におけるLの値の範囲、aの値の範囲、bの値の範囲を示したものであり、これらの値から、該ピンク色は、45≦L≦85、10≦a≦70、−10≦b≦5の範囲にある色とすることが好ましく、50≦L≦75、30≦a≦70、−10≦b≦5の範囲にある色とすることがより好ましい。この範囲とすることにより、包装袋12の表面に施された色は、ぼやけたりせず適度なコントラストとなり、消費者は瞬時に商品を選択する場合において、包装体10の識別ができる色合いとなる。
【0015】
【表1】
【0016】
表2は、包装袋12の下に衛生用品11を配置し、窓部13A以外の位置で測定した色であって、色合いが濃いピンク色から薄いピンク色までのL表示系におけるLの値の範囲、aの値の範囲、bの値の範囲を示したものであり、これらの値から、該ピンク色は、50≦L≦75、30≦a≦70、−5≦b≦10の範囲にある色とすることが好ましい。
【0017】
【表2】
【0018】
このように、包装袋12の表面に施された色及び包装袋12の下に衛生用品11を配置し、窓部13A以外の位置で測定した色を上述の範囲に設定することにより、衛生用品11の材質の柔らかさ、色合いの優しさ及び風合い等の品質の良さを消費者に認識させるばかりか、包装袋12の色とのコントランスで瞬時に衛生用品11の上述した特質を把握できることとなり、包装袋12の外観と衛生用品11との統一感が取れる、という効果を奏する。
【0019】
ここで、ピンク色は、必ずしもL表示系の上述した範囲で設定する必要はなく、例えば、パントーン(登録商標)色見本帳(SOLID CHIPS/coated:商品名)において、148C〜151C、1485C〜Orange 021C、1555C〜1585C、162C〜165C、1625C〜1655C、169C〜172C、244C〜257C、2562C〜2592C、2563C〜2593C、7422C〜7427C、705C〜711C、493C〜496C、176C〜243C、514C〜517Cの値の範囲で設定するようにしてもよい。ここで、パントーン(登録商標)色見本帳(SOLID CHIPS/coated)において、例えば、148C〜151Cとは、148C、149C、150C、151Cと該色見本帳に収録されている順番で指定されるものである。具体的な例としては、176C、177C、178C、1765C、1775C、1785C、1767C、1777C、1787C、182C、183C、184C、185C、189C、190C、191C、192C、1895C、1905C、1915C、1925C、196C、197C、198C、203C、204C、205C、210C、211C、212C、213C、214C、217C、218C、219C、223C、224C、225C、226C、227C、228C、230C、231C、232C、233C、234C、235C、236C、237C、238C、239C、240C、241C、252C、2365C〜2425C、493C〜496C、243C〜249C、514C〜517C、705C〜708C、7422Cの値のピンク色を設定することが好ましい。
【0020】
図1(a)に戻り、包装袋12の一面である側面には、上述したように、中身を確認できるような窓部13Aが形成されている。窓部13Aは、衛生用品11を確認するためにあり、例えば、図1(a)のb−b線における断面図である図1(b)に示すように、着色された透明材(着色部を符号13Xで示す)からなる包装袋12の一部に該透明材を露出させることによって形成されるようになっている。ここで、窓部13Aの厚さは、包装袋12の厚さに相当し、75μm以下となっている。窓部13Aをこのような厚さにしたのは、より現物の商品を明確に表現するため、また、消費者にアピールするため、その透明度を充分に確保するためである。また、窓部13Aの構成は、これに限定されることはなく、例えば、包装袋12の表面の一部に孔部を形成し、包装袋12の裏面に該孔部を被うようにして透明フィルム(透明材)を貼付するようにして形成するようにしてもよい。この場合の透明フィルムは、例えば樹脂からなり、その厚さは75μm以下とする。
【0021】
なお、包装袋12は、窓部13Aが形成された面と異なる例えば上面において、衛生用品11を収納するための収納口14を有し、該収納口14は、衛生用品11の収納後において封止させた状態となっている。
【0022】
そして、このように構成される包装体10において、窓部(透明フィルム)13Aの例えば材料等の選定によって、該窓部13Aを通した衛生用品11の色と該窓部13Aを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっている。このようにした場合、少なくとも一部にピンク色を呈し、その少なくとも一面に形成された透明材の窓部を備えた包装袋12に収納された衛生用品11の微妙な色の違いを窓部13Aによって損なうことなく消費者に認識させることができるようになる。
【0023】
表4は、衛生用品11として、図8(a)に示すように使い捨ておむつ11Aの場合を例にとり、該使い捨ておむつ11Aの広げた状態の各部位(イないしホ)において、窓部13Aを通さない各部位のL表示系によるL、a、b(表中(A)で示す)、窓部13Aを通した各部位のL表示系によるL、a、b(表中(B)で示す)、これら各部位におけるL、a、bの差ΔL、Δa、Δb(表中(A)−(B)で示す)及び色差ΔEを示した表である。図8(b)は、上述したおむつ11Aを包装袋12に収納する際の折り畳んだ状態を示す図であり、図8(c)は、折り畳んだ状態の使い捨ておむつ11Aを側面側から観た図である。包装袋12に収納された使い捨ておむつ11Aは窓部13Aを通して図8(c)の状態で中身の内容物を目視でき、この場合において該使い捨ておむつ11Aの各部位(イないしホ)が目視されるようになっている。ここで、使い捨ておむつ11Aにおいて、部位イは不織布と糸ゴムとからなり、部位イは胴部であり不織布からなり、部位ハは異なる不織布の重なり部であり、部位ニは外側と内側で異なる不織布とその間に挟まれた吸収体からなり、部位ホはその内側を指す。なお、図9は、比較例として、各部位において紙(吸収体)からなる白色の使い捨ておむつ11Bを示している。図中、各部位をイ’、ロ’、ハ’、ニ’、ホ’で示し、これら部位は、図8(a)の使い捨ておむつ11Aの各部位にイ、ロ、ハ、ニ、ホに対応している。表3では、該使い捨ておむつ11Bにおいても上述と同様な実験結果を示している。
【0024】
【表3】
【0025】
ここで、色差ΔEは、次式(1)で表わされる。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)]1/2……(1)
【0026】
この表3に示すように、各部位(イないしホ)において表中の色差ΔEが得られることにより、収納された衛生用品11の微妙な色の違いを窓部13Aによって損なうことなく消費者に認識させることが確認される。
【0027】
これにより、表3から明らかなように、色差ΔEが最も大きくなるのは部位(ロ)であり、その値は2.72である。このため、窓部13Aを通した衛生用品11の色と該窓部13Aを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差ΔEが5.0以下とすることによって、収納された衛生用品11の微妙な色の違いを窓部13によって損なうことなく消費者に認識させることができるようになる。
【0028】
また、表4は、衛生用品11のオムツ11Aの各部(イないしホ)のうち選択された2つの部位の色差ΔEを示した表である。
【0029】
【表4】
【0030】
表4に示すように、その内側面の色を含めた複数の色を呈する衛生用品11は、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有し、このような衛生用品11に対し、窓部A13によって微妙な色の違いを損なうことがなく消費者に認識させることができるようになる。また、同様の趣旨から、窓部13Aを通した衛生用品11の色と包装袋12のピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっている。
【0031】
本発明の包装体10における衛生用品11の視認容易性について、パネラー7名による官能評価を行った。実施例としては、上述のL表示系による色を測定した使い捨ておむつ11Aを包装した包装体10を用いた。比較例としては、実施例の窓部13Aにポリエチレンフィルムを6枚重ね、透明材を通した使い捨ておむつ11Aの色と透明材を通さない使い捨ておむつ11Aの色とのL表示系による色差が5.0を超えた包装体10を用いた。実施例と比較例のどちらが衛生用品11の視認容易性に優れているか、パネラー7名による官能評価試験で評価した。得られた結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
表5から明らかなように、透明材を通した衛生用品の色と透明材を通さない衛生用品の色とのL表示系による色差が5.0以下である実施例の包装体が、使い捨ておむつ11Aを取出した際に、微妙な色の違いを損なうことがなく、認識させることができていた。
【0034】
(実施形態2)
実施形態1では、窓部13Aは包装袋の一面(例えば正面)に形成するようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、例えば図3に示すように、他の面にも形成するようにしてもよい。
【0035】
図3は、包装袋12の上面に窓部13Bを、さらに側面に窓部13Cを形成するようにしたものである。このようにした場合、各窓部13B、13Cを通して認識される衛生用品11は、様々な方向から様々なパーツを認識し易くできるとともに、それに施される各色および模様等も衛生用品11の収納状態で認識し易くなる。この場合、図3に示すように、包装袋12の正面に、衛生用品の外観図15を人間が被着した状態で表わし、この部分も窓部とすることによって、衛生用品11の装着イメージを直感的に理解できる効果を奏する。
【0036】
この場合において、各窓部13A、13B、13Cのいずれかあるいは全てに、その外枠を物(例えば、花、乗り物等)の形状をなすようにしてもよい。さらに、各窓部13A、13B、13Cのいずれかあるいは全てに、その外枠において、収納される衛生用品(例えばおむつ等)の形状をなすようにしてもよい。
【0037】
そして、この実施形態2においても、窓部13B、13Cを通した衛生用品11の色と窓部13B、13Cを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることはもちろんである。また、衛生用品11が複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有するようになっている。また、同様の趣旨から、窓部13F、13Sを通した衛生用品の色と包装袋12のピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっている。
【0038】
(実施形態3)
上述した実施形態では、包装袋12の一面に形成される窓部13A〜13Cは収納された衛生用品11の一部分しか目視できないようになっているが、これに限定されることはなく、例えば図4に示すように、衛生用品11のほぼ全部を目視できるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0039】
すなわち、図4に示すように、窓部13を、包装袋12の一面に縦方向に延在する窓部13Dと横方向に延在する窓部13Eを連結させるようにして形成してもよい。このようにした場合、窓部13Dによって衛生用品11の側面のほぼ全部を目視でき、窓部13Eによって複数に並設された衛生用品11の残量を確認することができるようになる。
【0040】
そして、この実施形態3においても、窓部13D、13Eを通した衛生用品11の色と窓部13D、13Eを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることはもちろんである。また、衛生用品11が複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有するようになっている。また、同様の趣旨から、窓部13D、13Eを通した衛生用品の色と包装袋12のピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっている。
【0041】
(実施形態4)
上述した実施形態では、横方向に並設された複数の衛生用品11を収納する包装袋12について説明したものであるが、これに限定されることはなく、図5に示すように、衛生用品11を縦方向に並設させて収納できる包装袋12であってもよいことはいうまでもない。この場合、包装袋12に形成する窓部13として、包装袋12の一面の下段に窓部13Fを形成し、他面の上段に窓部13Gを形成するようにしてもよい。
【0042】
このようにした場合、包装袋12の強度を低減させることなく、収納された衛生用品11の残量を確認することができるようになる。
【0043】
そして、この実施形態4においても、窓部13F、13Gを通した衛生用品11の色と窓部13F、13Gを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることはもちろんである。また、衛生用品11が複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有するようになっている。また、同様の趣旨から、窓部13F、13Gを通した衛生用品の色と包装袋12のピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっている。
【0044】
(実施形態5)
また、図6(a)、(b)において、図6(a)は包装袋12を正面から観た図で、図6(b)は同じ包装袋を裏面から観た図を示している。包装袋12の正面には、窓部13Hとともに、収納された衛生用品の外観図16が前向きの人間が被着した状態で表わされている。また、包装袋12の裏面には、窓部13Iとともに、収納された衛生用品の外観図17が後向きの人間が被着した状態で表わされている。
【0045】
このようにした場合、収納されている衛生用品を窓部13H、13Iを通して前後から目視でき、外観図16、17によって衛生用品の被着した状態を前後から観察することができるようになる。このため、各窓部を通して認識される衛生用品11は、様々な方向から様々なパーツを認識し易くできるとともに、それに施される各色および模様等も衛生用品11の収納状態で認識し易くなる。この場合、包装袋12の正面に、衛生用品の外観図16を前向きの人間が被着した状態で表わし、包装袋12の裏面に、衛生用品の外観図17を後向きの同じ人間が被着した状態で表わし、これらの部分を窓部とすることによって、衛生用品11の装着イメージを直感的に理解できる効果を奏する。
【0046】
さらに、同様の趣旨から、図7(a)、(b)に示すように、衛生用品11を縦方向に並設させて収納できる包装袋12であってもよいことはいうまでもない。図7(a)は包装袋12を正面から観た図で、図7(b)は同じ包装袋を裏面から観た図を示している。図7(a)、(b)においても、包装袋12の窓部13H、13I及び外観図16、17は、図6(a)、(b)に示したと同様に形成されている。また、窓部13H、13Iは、略円形状となっている。
【0047】
そして、この実施形態5においても、窓部13H、13Iを通した衛生用品11の色と窓部13H、13Iを通さない衛生用品11の色とのL表示系による色差が5.0以下となっていることはもちろんである。また、衛生用品11が複数の色を呈し、各色のL表示系による色差が5.0以上のものを有するようになっている。また、窓部13H、13Iを通した衛生用品の色と包装袋12のピンク色とのL表示系による色差が5.0以上となっている。
【0048】
(実施形態6)
上述した包装体は、樹脂材によって形成され、その一部に透光性の窓部を有するようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、例えば、紙箱あるいは紙袋からなる包装体の一部を切り欠いた部分を含めてフィルムで被うことによって窓部を形成したもの、紙箱あるいは紙袋の一部にフィルムを蒸着して窓部を形成したもの、紙箱あるいは紙袋の一部を切り欠いた部分の裏側からフィルムを被うことによって窓部を形成したもの等であっても同様に適用できることはもちろんである。また、包装体としての紙箱あるいは紙袋は、コートボール紙を用いるようにしてもよい。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
10 包装体
11 衛生用品
11A、11B 使い捨ておむつ
12 包装袋
13、13A〜13I 窓部
14 収納口
15 衛生用品の外観図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9