【解決手段】パウチ容器10は、表面シート11、裏面シート12、及び底ガゼットシート13を備える。パウチ容器10は、表面シート11及び裏面シート12の内面に接合された上向きガゼットシート25を備え、上向きガゼットシート25には、粉粒体100を掬う計量スプーン101の全容量よりも少量の粉粒体100を計量できる差し込み片32が設けられる。
前記内装シートには、前記差し込み片に形成される第1の摺り切り部に加えて、前記計量具の全容量を摺り切り計量できる第2の摺り切り部が設けられる、請求項1に記載のパウチ容器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について、以下詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0015】
本明細書において、取り出し口が形成される部分を容器の「上部」とする。また、壁面シート及び内装シートが積層される方向を容器の「表裏方向」とし、上下方向及び表裏方向に直交する方向を容器の「横方向」とする。以下では、単に、上下方向、表裏方向、横方向という場合がある。
【0016】
実施形態では、パウチ容器に充填される内容物である「粉体乃至粒体」を、粉末洗剤を主に意図する粉粒体100として説明する。但し、「粉体乃至粒体」は、計量スプーンで掬って摺り切ることができるものであれば、特に限定されず、粉ミルクやプロテイン粉末、調味料、小麦粉など、又は粒径がより大きなコーヒー豆や茶葉なども含まれる。
【0017】
実施形態では、計量具として計量スプーン101を例示するが、計量具はこれに限定されるものではない。計量スプーン101は、略まっすぐに延びた柄103の一端に粉粒体100が充填される皿部102が設けられた形態を有する。計量スプーン101は、パウチ容器内に収容可能な寸法を有する。皿部102は、有底四角筒状であり、柄103の長手方向に直交する方向に対向する側壁内面同士の間隔を内寸幅W1、側壁外面同士の間隔を外寸幅W2とする(
図6参照)。外寸幅W2−内寸幅W1が、皿部102の側壁の厚みに相当する。
【0018】
実施形態では、表面シート11、裏面シート12、及び底ガゼットシート13を備えたスタンディングパウチを例示するが、サイドガゼットシートを備えたサイドガゼットパウチや、1枚のシートで各壁面部が形成された所謂ワンシームパウチ、底ガゼットシート及びサイドガゼットシートの両方を備えたパウチなど、他のパウチ形態に本発明の構成を適用してもよい。
【0019】
<第1実施形態>
図1〜9を参照しながら、第1実施形態であるパウチ容器10について詳説する。
【0020】
図1,2は、パウチ容器10の正面図である。
図3は、
図2のAA線断面図である。
図1〜3に示すように、パウチ容器10は、表面シート11と、裏面シート12と、底ガゼットシート13とを備えるスタンディングパウチである。表面シート11及び裏面シート12(以下、これらを総称して「表裏面シート」という場合がある)は、容器の壁面部のうち、表面部及び裏面部をそれぞれ構成する壁面シートである。底ガゼットシート13は、表面部と裏面部との間に折り込まれて挿入され、底ガゼット部を構成する壁面シートである。底ガゼットシート13は、上方に向かって山折りされており、粉粒体100の充填により展開する。粉粒体100は、各壁面シートに囲まれた容器内部空間である充填部14に充填される。
【0021】
パウチ容器10は、表面部及び裏面部の少なくとも一方の内面に接合された内装シートとして、上向きガゼットシート25を備える。上向きガゼットシート25は、底ガゼットシート13と同様に、上方に向かって山折りされたガゼットシートである。詳しくは後述するように、上向きガゼットシート25は表面シート11及び裏面シート12の内面に展開可能に接合され、当該ガゼットシートにより摺り切り部34,35が設けられる。また、上向きガゼットシート25は、開口部31において計量スプーン101を保持する。開口部31に挿入された計量スプーン101の柄103は、上向きガゼットシート25が折り畳まれた状態において、後述する表側半部25a及び裏側半部25bによって挟持される。
【0022】
なお、摺り切り部34は、後述の差し込み片32に形成される第1の摺り切り部である。差し込み片32は、計量スプーン101の皿部102に差し込まれ、計量スプーン101の全容量よりも少量の粉粒体100の計量を可能とする。即ち、差し込み片32を用いた計量は、皿部102内における粉粒体100の摺り切り計量といえる。以下では、差し込み片32を用いた計量についても摺り切り計量の用語を使用する場合がある。摺り切り部35は、計量スプーン101の全容量の粉粒体100の摺り切り計量を可能とする第2の摺り切り部である。
【0023】
パウチ容器10では、表裏面シートの間に底ガゼットシート13が挿入され、この状態で各シートの端縁同士を接合するシール部が形成されている。本実施形態では、当該シール部として、上縁シール部15、下縁シール部16、及びサイドシール部17を有する。表裏面シートは、正面視略矩形状を呈する。底ガゼットシート13も正面視略矩形状を呈し、例えば表裏面シートの下端から1/3〜1/5程度の範囲に設けられる。
【0024】
上縁シール部15(
図2参照)は、粉体100の充填後に形成されるシール部であって、表裏面シートの上縁同士を接合して形成される。本実施形態では、上縁シール部15の近傍に封止部材18及びノッチ19が設けられている。封止部材18は、上向きガゼットシート25よりも上方に設けられ、ノッチ19は、封止部材18よりも上方に設けられる。
【0025】
下縁シール部16は、底ガゼットシート13の端縁に形成されるシール部であって、底ガゼットシート13と表裏面シートとを接合する。下縁シール部16は、粉体100を充填したときに表裏面シートが互いに離間して底ガゼットシート13が展開するように形成される。また、底ガゼットシート13には、横方向両端に切り欠き20を形成することが好適である。これにより、表面シート11と裏面シート12とが直接接合され、安定した自立性が得られる。
【0026】
サイドシール部17は、容器横方向両端縁において、表面シート11と裏面シート12とを接合して形成される。サイドシール部17の一部は、封止部材18を構成するシート材及び上向きガゼットシート25の長手方向両端部を表裏面シートの間に挟んだ状態で形成される。
【0027】
封止部材18は、例えば、凸条部付きの第1のシート材と、凸条部に嵌合する凹条部付きの第2のシート材とを対向配置して構成される。例えば第1のシート材が表面シート11の内面に接合され、第2のシート材が裏面シート12の内面に接合される。封止部材18は、パウチ容器10の横方向全長に亘って設けられることが好適である。
【0028】
ノッチ19は、表裏面シートを切断してパウチ容器10を開封するときに切断起点となる切り込みであって、左右両側のサイドシール部17にそれぞれ設けることができる。ノッチ19から表裏面シートを横方向に沿って切断すると、上縁シール部15が除去されて容器外部と充填部14とを連通させる開口部である取り出し口21(
図4参照)が形成される。取り出し口21は、容器上部の表面シート11と裏面シート12との間に形成され、開封後は封止部材18により開閉される。
図1,2では、表裏面シートが切断されて取り出し口21が形成される部分である取り出し口形成予定部21zを二点鎖線で示している。
【0029】
パウチ容器10を構成する各シートは、通常、樹脂フィルムから構成される。各シートを構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。上記各シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、各シートにはヒートシール性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適である。高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
【0030】
シートの両面にヒートシール性を付与する場合は、後述のシーラント層を形成する単層フィルムを用いてもよいし、複層シートの場合は、同種又は異種のシーラント層を二層有するか(このとき、シーラント層の一層を形式的にベースフィルム層として用いることになる)、或いはベースフィルム層の両面にシーラント層を有するシートを用いてもよい。本実施形態では、上向きガゼットシート25として、両面ヒートシール性の積層シートを用いる。具体的には、異種のシーラント層を二層積層した積層シートを用いる。
【0031】
以下、ベースフィルム層、シーラント層、ガスバリア層の構成材料を例示する。これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0032】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0033】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0034】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0035】
各シートには、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0036】
以下、
図4〜6をさらに参照し、上向きガゼットシート25の構成について詳説する。
図4,6は、取り出し口21を開口した状態を示す図である(
図4では、封止部材18を省略し、一部のシール部にハッチングを付する)。
図5は、上向きガゼットシート25の展開形態を説明するための図である。なお、
図6を用いて、計量スプーン101の皿部102の寸法と、差し込み片32の寸法との関係を説明する。
【0037】
上向きガゼットシート25は、上方に向かって山折りされ、横方向に沿った折り目線30がシートの上端に形成されたガゼットシートである。上向きガゼットシート25は、充填部14の大容量化等の観点から、封止部材18に接触しない範囲で、封止部材18に近接して設けられることが好ましい。本実施形態では、パウチ容器10の横方向全長に亘って、上向きガゼットシート25が設けられている。上向きガゼットシート25は、粉粒体100の取り出しを可能とする開口部31を有し、表裏面シートの内面に展開可能に接合されている。
【0038】
上向きガゼットシート25は、上方に向かって山折りされた2つのガゼット部26,27と、各ガゼット部をつなぐ帯状の連結部28とを有することが好適である。ガゼット部26,27は、取り出し口21が閉じられているときには折り畳まれており、取り出し口21を開口したときに展開して擦り切り機能を発現する。即ち、ガゼット部26,27が展開したときに、計量スプーン101で掬った粉粒体100の摺り切り計量を可能とする摺り切り部34,35が形成される。互いに連結されていないガゼット部26,27を別々に設けることもできるが、好ましくは上向きガゼットシート25の長尺体25zを用いて各ガゼット部を設ける(後述の
図7参照)。
【0039】
上向きガゼットシート25は、表側半部25aの下端部が表面シート11にヒートシールされ、裏側半部25bの下端部が裏面シート12にヒートシールされている。これにより、帯状の接合部29が2本形成される。ここで、表側半部25aとは、折り目線30よりも表面シート11側に位置する部分を意味し、裏側半部25bとは、折り目線30よりも裏面シート12側に位置する部分を意味する。表側半部25aと裏側半部25bとの上下方向長さは略等しいことが好適である。即ち、折り目線30は、ガゼット部26,27の幅方向中央(折り目線30に直交する方向をガゼットの幅方向とする)に形成されることが好適である。
【0040】
ガゼット部26,27は、開口部31を挟んで対向配置されている。ガゼット部26には、計量スプーン101の全容量(以下、「計量スプーン1杯分」という場合がある)よりも少量の粉粒体100を計量できる差し込み片32が設けられている。そして、差し込み片32の先端部が摺り切り部34となる。ガゼット部27には、計量スプーン101の全容量を摺り切り計量できる摺り切り部35が形成される。摺り切り部34,35は、いずれも開口部31の開口縁部に形成される。以下、各ガゼット部において、開口部31の開口縁部に位置する端部を第1端部とする。
【0041】
ガゼット部26,27の開口部31と反対側に位置する端部(以下、「第2端部」とする)は、各サイドシール部17により表裏面シートにそれぞれ接合されていることが好適である。これにより、摺り切り操作時におけるガゼット部26,27の撓みを抑制することができる。
【0042】
図4,5に示すように、ガゼット部26,27は、取り出し口21を大きく開くと、第1端部側において最大で表側半部25aと裏側半部25bとが略平行になるまで展開する。大きく展開したガゼット部26,27は、その上面が略三角形状を呈するように展開する。ガゼット部26,27が展開すると、第1端部に計量スプーン101の皿部102を押し当てることができるようになり、ガゼット部26,27の第1端部がそれぞれ摺り切り部34,35となる。
【0043】
差し込み片32は、開口部31の開口縁部に位置するガゼット部26の第1端部に形成される。差し込み片32は、計量スプーン101の皿部102に差し込まれ、上記のように計量スプーン1杯分よりも少量の粉粒体100の摺り切り計量を可能とする。本実施形態では、ガゼット部26の第1端部のうち、折り目線30が形成されるガゼット部26の幅方向中央を含む所定幅の領域が、当該領域の幅方向両側に位置する部分よりも開口部31側に張り出している。この開口部31側に張り出した凸状部が差し込み片32である。
【0044】
差し込み片32の先端部は、ガゼット部26の第1端部の一部を構成し、当該先端部が摺り切り部34となる。一方、ガゼット部27の第1端部には、差し込み片32のような凸状部が形成されず、第1端部の全体が摺り切り部35となる。摺り切り部34,35は、いずれも折り目線30に直交して略直線状に延びることが好適である。
【0045】
差し込み片32は、ガゼット部26の第1端部に所定間隔をあけて形成された2つの切り欠き33により設けられることが好適である。当該所定間隔は、後述する差し込み片32の幅W
32に相当する。各切り欠き33は、ガゼット部26の第1端部から、例えば折り目線30に略沿って略U字状に形成される。各切り欠き33に挟まれた部分が差し込み片32となり、各切り欠き33は計量スプーン101の皿部102(側壁)が嵌る凹部となる。
【0046】
各切り欠き33は、折り目線30からの距離が略同一となる位置に形成され、ガゼット部26が折り畳まれた状態で表裏方向に重なり合うことが好適である。即ち、差し込み片32は、折り目線30(ガゼット部26の幅方向中央)に対して左右対称に形成されることが好適である。
【0047】
図6に示すように、ガゼット部26が展開すると、差し込み片32は最大で幅方向長さW
32(以下、単に幅W
32とする)まで広がる。差し込み片32は、皿部102に差し込み可能とするため、幅W
32を皿部102の内寸幅W1よりも短くする。好ましくは、皿部102に対する差し込みに支障がない範囲で幅W
32を内寸幅W1に近い寸法とする。また、切り欠き33の幅方向長さW
33(以下、単に幅W
33とする)は、皿部102の側壁の厚みよりも長くすることが好ましい。切り欠き33の幅W
33を皿部102の厚みよりも大きくすることで、皿部102に対して差し込み片32をスムーズに差し込むことができる。
【0048】
差し込み片32の延出長さL
32は、皿部102に差し込まれる摺り切り部34の深さを決定する。差し込み片32の延出長さL
32が長いほど、その先端部である摺り切り部34は皿部102の奥まで差し込まれ、皿部102に充填された粉粒体100のかきだし量が多くなる。即ち、延出長さL
32が長いほど、より少量の粉粒体100を摺り切り計量できる。
【0049】
以下、
図7を参照しながら、パウチ容器10の製造方法の一例について説明する。
【0050】
図7は、パウチ容器10の製造工程のうち、各シートの長尺体を積層し、各シール部を形成する工程を示す。本製造工程では、表面シート11、裏面シート12、底ガゼットシート13、封止部材18を構成するシート(例えば、凸条部付きの第1のシート及び凹条部付きの第2のシート)、及び上向きガゼットシート25の長尺体(以下、「長尺体11z,12z,13z,18z,25z」とする)をそれぞれ準備して互いに積層する。長尺体18zは、第1のシートの凸条部と第2のシートの凹条部とが嵌合した状態で積層される。長尺体25zには、両面ヒートシール性の積層シートを用いる。
【0051】
各長尺体の積層工程では、互いに重ね合わされた長尺体11z,12zの間に長尺体13z,18z,25zをそれぞれ挿入する。このとき、長尺体11z,12zは各々のシーラント層同士が向かい合うように積層され、長尺体13zはシーラント層が長尺体11z,12zと向かい合うように、容器上部となる方向に向かって山折りされている。長尺体13zには、切り欠き20となる孔20zを形成しておくことが好適である。長尺体25zには、ダイカットロール等により連結部28を残して開口部31が形成されている。また、長尺体25zのガゼット部26に対応する部分には、2つの切り欠き33が形成されている。長尺体25zは、長尺体13zと同様に、容器上部となる方向に向かって山折りされている。
【0052】
積層工程を経た上記各長尺体には、ヒートシール工程で各シール部が形成される。ヒートシール工程では、例えば上端縁を残して各長尺体の端縁をヒートシールすることにより各シール部を形成する。続いて、ダイカットロール等を用いて、例えば切断予定線αで上記各長尺体をカットし、個々の容器サイズに分割する。なお、上記ヒートシール及び当該カットは同時に行なわれてもよい。こうして、パウチ容器10が得られる。
【0053】
以下、
図8,9を参照しながら、パウチ容器10の作用効果について詳説する。
図8,9は、計量スプーン101で掬った粉粒体100を、摺り切り部34を用いて擦り切る様子を示す図である。
【0054】
パウチ容器10の充填部14から粉粒体100を取り出すときには、ノッチ19を用いて取り出し口21を形成した後、封止部材18を開いて取り出し口21を開口する。そして、取り出し口21を大きく開口することで、容器上部において、表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、上向きガゼットシート25のガゼット部26,27が展開する。例えば、第1端部側において最大で表側半部25aと裏側半部25bとが略平行となり、上面が略三角形状を呈するように各ガゼット部が展開する。
【0055】
図8,9に示すように、ガゼット部26,27が展開すると、各第1端部に粉粒体100を掬った計量スプーン101の皿部102を押し当てることができる。例えば、第1端部に皿部102を押し当てながら計量スプーン101を上方に引くことにより余分な粉粒体100を摺り切ることができる。即ち、展開したガゼット部26,27の各第1端部がそれぞれ摺り切り部34,35となる。ガゼット部27の摺り切り部35を用いた場合は、計量スプーン1杯あたりの粉粒体100の量を略一定にでき、計量スプーン1杯単位(全容量単位)の摺り切り計量が可能である。
【0056】
パウチ容器10では、ガゼット部26の摺り切り部34を用いることにより、計量スプーン1杯分よりも少量の摺り切り計量が可能である。ガゼット部26には計量スプーン101の皿部102に差し込み可能な差し込み片32が設けられており、差し込み片32の先端部(第1端部)が摺り切り部34となる。
【0057】
具体的には、まずガゼット部26の展開により皿部102の内寸法W1と同程度の幅W
32まで広がった差し込み片32を、皿部102の柄103の近傍に差し込む。換言すると、差し込み片32の両側に形成された切り欠き33に皿部102の側壁を嵌め込む。そして、差し込み片32が皿部102に差し込まれ、差し込み片32の先端部である摺り切り部34が皿部102の所定深さまで入り込んだ状態で、計量スプーン101を上方に引くことにより余分な粉粒体100を摺り切ることができる。これにより、計量スプーン1/2杯、1/3杯など、皿部102の容量よりも少量の粉粒体100の摺り切り計量が可能となる。摺り切り部34による粉粒体100の摺り切り量は、差し込み片32の延出長さL
32を変更することにより調整することができる。
【0058】
なお、上向きガゼットシート25(ガゼット部26)は、容器内部側から上方へ粉粒体100を摺り切りながら計量スプーン101を引き出す際にかかる力に耐える構造となっており、差し込み片32が歪み難い。従い、比較的正確に所望量の粉粒体100を計量することが可能となる。
【0059】
図10,11に、パウチ容器10の変形例であるパウチ容器10xを示す。
図10は、パウチ容器10xの正面図である。
図11は、パウチ容器10xの取り出し口21を開口した状態を示す図である。
【0060】
図10,11に示すパウチ容器10xには、ガゼット部26,27上に存在する粉粒体100を充填部14に戻すための回収部36が設けられている。回収部36は、上向きガゼットシート25の下端部の一部に接合部を形成しないことにより設けることができる。パウチ容器10xでは、ガゼット部26,27の一部のみに接合部29xが形成されている。その他の部分では表裏面シートと上向きガゼットシート25が接合されておらず、表裏面シートと上向きガゼットシート25の間に粉粒体100を充填部14に落とすことが可能な隙間である回収部36が設けられる。
【0061】
図12〜14に、パウチ容器10の他の変形例であるパウチ容器10yを示す。
図12はパウチ容器10yの正面図、
図13は
図12のBB線断面図である。
図14は、パウチ容器10yの取り出し口21を開口した状態を示す図である。
【0062】
図12,13に示すように、上向きガゼットシート25yは、未開封状態において、充填部14上の全域を覆って設けられている。即ち、未開封状態における上向きガゼットシート25yには、開口部31y(
図14参照)が形成されていない。上向きガゼットシート25yは、取り出し口21の開口に伴って、開口部31yが形成されることを特徴とするものであり、開口部31yを形成するための開口補助部を有する。取り出し口21を開口した際に当該開口補助部の機能により開口部31yが形成され、開口縁部に差し込み片32yが形成される。
【0063】
パウチ容器10yでは、上記開口補助部として、折り目線30に沿って当該線上に形成されたミシン目線22と、ミシン目線22に対して略垂直に形成された2本のミシン目線23とを有する。ミシン目線22は、開口部31yを形成するための切断補助線である。2本のミシン目線23は、開口部31yを拡大させると共に、摺り切り部34y,35yをそれぞれ形成するための切断補助線であって、ミシン目線22の両端につながっている。切断補助線としては、ミシン目線の代わりに又はミシン目線と共に、ハーフカット線を用いてもよい。
【0064】
図12に示す例では、ミシン目線23の1つに、各ミシン目線によって区切られた蓋部37の外側(ガゼット部となる部分側)に向かって突出した正面視略U字状の湾曲部24が形成されている。湾曲部24によって、後述する切り欠き33yが形成される。
【0065】
上向きガゼットシート25yには、蓋部37を表裏面シートに固定するためのシール部29yを有することが好適である。シール部29yは、上向きガゼットシート25の表側半部25ay及び裏側半部25byと表裏面シートの内面とを接合する。なお、シール部29yの形成パターンは、
図12等に例示するものに限定されない。
【0066】
図14に示すように、パウチ容器10yの取り出し口21を開口すると、各ミシン目線で上向きガゼットシート25yが切断されて開口部31yが形成される。即ち、取り出し口21の開口時に上向きガゼットシート25yに作用する力を利用して、蓋部37とその他の部分とを区切る各ミシン目線で上向きガゼットシート25yが切断され、開口部31yの形成が可能となる。
【0067】
パウチ容器10yには、開口部31yを挟んで対向配置された2つのガゼット部26y,27yが形成される。展開されたガゼット部26yには、開口部31yの開口縁部(第1端部)に2つの切り欠き33yが形成され、当該切り欠きにより差し込み片32yが設けられる。切り欠き33yは、上向きガゼットシート25yが湾曲部24を有するミシン目線23に沿って切断されることで形成される。また、蓋部37には、湾曲部24によって切り欠き33yに対応する突起38が形成される。
【0068】
<第2実施形態>
図15,16を参照しながら、第2実施形態であるパウチ容器40について説明する。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付して重複する説明を省略する(第3〜第5実施形態についても同様)。
図15は、パウチ容器40の正面図である。
図16は、計量スプーン101で掬った粉粒体100を、摺り切り部48Aを用いて擦り切る様子を示す図である。
【0069】
図15に示すように、パウチ容器40は、摺り切り部48A,48Bを形成する内装シートとして、下向きガゼットシート41を備える。下向きガゼットシート41は、下方に向かって山折りされ、横方向に沿った折り目線42がシートの下端に形成されたガゼットシートである。下向きガゼットシート41は、上向きガゼットシート25と同様に、2つのガゼット部43A,43Bと、各ガゼット部をつなぐ帯状の連結部43Cとを有する。ガゼット部43Aには、2つの切り欠き47が形成されており、当該切り欠きにより差し込み片46が設けられている。
【0070】
下向きガゼットシート41は、表側半部の下端部が表面シート11にヒートシールされ、裏側半部の下端部が裏面シート12にヒートシールされている。これにより、帯状の接合部44が2本形成される。下向きガゼットシート41は、シート上に存在する粉粒体100を充填部14に戻すための回収部45A,45Bを有することが好適である。回収部45A,45Bは、各ガゼット部43A,43Bのサイドシール部17と接する部分に形成することが好適である。例えば、各第2端部の上下方向中間部から折り目線42に亘って各ガゼット部を正面視直線状にカットすることで回収部45A,45Bが形成される。
【0071】
図16に示すように、取り出し口21を開口することによりガゼット部43A,43Bが展開して、第1実施形態の場合と同様に、各ガゼット部の第1端部がそれぞれ摺り切り部48A,48Bとなる。ガゼット部43Aに設けられた差し込み片46(摺り切り部48A)を用いることにより、計量スプーン1杯分よりも少量の摺り切り計量が可能となる。
【0072】
なお、パウチ容器40では、展開したガゼット部43Aが、第1端部側に向かって上方に傾斜している。このため、ガゼット部43Aに設けられた差し込み片46は、第1端部側に向かって下方に傾斜するガゼット部26に設けられた差し込み片32を用いる場合よりも、皿部102に対する差し込みが浅くなり易い。即ち、パウチ容器40において、パウチ容器10と同じ摺り切り量を得るためには、差し込み片の延出長さを、差し込み片32<差し込み片46とすることが好ましい。
【0073】
<第3実施形態>
図17,18を参照しながら、第3実施形態であるパウチ容器50について説明する。
図17は、パウチ容器50の正面図である。
図18は、パウチ容器50の平面図であって、取り出し口21を開口した状態を示す図である。
【0074】
図17,18に示すように、パウチ容器50は、複数の摺り切り部34,55を有する点で、第1実施形態と共通する。一方、パウチ容器50は、上向きガゼットシート51のガゼット部52に差し込み片53が設けられている点で、第1実施形態と異なる。差し込み片53は、ガゼット部26に設けられた差し込み片32よりも延出長さが短くなっている。即ち、パウチ容器50には、複数の差し込み片32,53が設けられ、各差し込み片は、その延出長さが互いに異なっている。ゆえに、各差し込み片32,53は、計量スプーン101の皿部102に差し込み可能な深さが互いに異なる。
【0075】
差し込み片53は、差し込み片32を形成する切り欠き33よりも長さが短い切り欠き54によって設けられる。切り欠き54同士の間隔は、切り欠き33同士の間隔と略同一であり、また切り欠き54の幅は、切り欠き33の幅と略同一である。即ち、差し込み片53の幅は、差し込み片32の幅と略同一であり、各切り欠きはパウチ容器50の横方向に並んで形成されている。
【0076】
パウチ容器50によれば、2種類の差し込み片32,53(摺り切り部34,55)を用いることにより、計量スプーン1杯分よりも少量において、例えば計量スプーン2/3杯、1/3杯のように2パターンの摺り切り計量が可能となる。
【0077】
<第4実施形態>
図19,20を参照しながら、第4実施形態であるパウチ容器60について説明する。
図19は、パウチ容器60の正面図である。
図20は、パウチ容器60の平面図であって、取り出し口21を開口した状態を示す図である。
【0078】
図19,20に示すように、パウチ容器60は、複数の摺り切り部を有する点で、第1及び第3実施形態と共通する。一方、パウチ容器60は、上向きガゼットシート61に複数(2つ)の開口部62,63が形成されており、各開口縁部に合計4つの摺り切り部74,75,76,77が設けられている点で、第1及び第3実施形態と異なる。上向きガゼットシート61は、サイドシール部17によって表裏面シートに接合される2つのガゼット部64,65に加えて、3つ目のガゼット部66を有する。各ガゼット部は、連結部67によりつながっている。
【0079】
パウチ容器60には、複数の差し込み片68,69,70が設けられ、各差し込み片は、計量スプーン101の皿部102に差し込み可能な深さが互いに異なっている。ガゼット部64は、差し込み片を有さず、開口部62の開口縁部に位置する第1端部の全体が摺り切り部74となる。ガゼット部65は、1つの差し込み片70(摺り切り部77)を有する。ガゼット部66は、2つの開口部62,63に挟まれており、横方向両側に差し込み片68,69(摺り切り部75,76)を有する。
【0080】
差し込み片の延出長さは、差し込み片68<差し込み片69<差し込み片70の順に長くなっており、パウチ容器60の横方向一方側から他方側に向かって摺り切り量が増加している。即ち、差し込み片68,69,70をそれぞれ形成する切り欠き71,72,73の長さは、切り欠き71<切り欠き72<切り欠き73の順に長くなっている。
【0081】
パウチ容器60によれば、摺り切り部74を用いることにより、計量スプーン1杯単位の摺り切り計量が可能である。さらに、3種類の差し込み片68,69,70(摺り切り部75,76,77)を用いることにより、計量スプーン1杯分よりも少量において、例えば計量スプーン2/3杯、1/2杯、1/3杯のように3パターンの摺り切り計量が可能となる。
【0082】
<第5実施形態>
図21,22を参照しながら、第5実施形態であるパウチ容器80について説明する。
図21は、パウチ容器80の正面図である。
図22は、パウチ容器80の平面図であって、取り出し口21を開口した状態を示す図である。
【0083】
図21に示すように、パウチ容器80は、摺り切り部89を形成する内装シート81を備える。内装シート81は、裏面シート12の内面に接合されており、取り出し口21を開口したときに内側に張り出す張り出し部82を有する。張り出し部82の一部(後述の当接部86)は、摺り切り計量を行う際に、計量スプーン101の皿部102が押し当てられる部分である。即ち、張り出し部82は、取り出し口21が閉じた状態では折り畳まれており、取り出し口21の開口により張り出して摺り切り機能を発現する。内装シート81は、例えば裏面シート12の横方向中央部に張り出し部82を有し、横方向両側に接合部85を有する。
【0084】
張り出し部82は、2つの谷折り線83と、各谷折り線83の間に形成された2つの山折り線84とで形成され、正面視左右対称の形状を有する。谷折り線83と山折り線84との間に位置する部分である2つの接続部87は、接合部85と略直交するように上方に延びている。各接続部87の間に位置する部分である当接部86は、接合部85と略平行に形成されている。取り出し口21が閉じられた状態において、当接部86の下端部は上端部よりも長く、当接部86は正面視台形形状を呈する。
【0085】
当接部86には、計量スプーン101の皿部102に差し込まれ、計量スプーン1杯分よりも少量の粉粒体100の摺り切り計量を可能とする差し込み片88が設けられている。
図21に示す例では、当接部86の下端部の一部が下方に突出して差し込み片88が形成されている。差し込み片88は、例えば正面視略矩形形状の突起であり、差し込み片88の先端部が摺り切り部89となる。
【0086】
図22に示すように、取り出し口21を開口すると、裏面シート12が大きく湾曲し、各折り目線で折り畳まれていた当接部86には、横方向長さの縮小による変形力が上方に向かって作用する。そして、その変形力は当接部86の下端部よりも長い上端部側でより大きく作用する。このため、当接部86は、差し込み片88が設けられた下端部が上方に持ち上がった状態で内側に張り出す。内側に張り出した差し込み片88(摺り切り部89)を用いることにより、計量スプーン1杯分よりも少量の摺り切り計量が可能となる。