【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、装着対象である被包装物の径が大きく変化している等、被包装物の周長が大きく変化しているにも関わらず、収縮前の熱収縮性フィルムに形成された一対の弱め線間の幅(離間距離)が一定であることが要因であることを見出した。
【0007】
図12に従来における収縮前の熱収縮性フィルム120を示している。
図12において上下方向が軸線方向である。筒状の熱収縮性フィルム120は扁平に折り畳まれた状態にあるので、
図12に示している面を正面とすると背面側も正面側と同一形状であり、弱め線122は背面側にも同様に形成されている。この一対の弱め線122は軸線方向に一直線状に形成されており、両弱め線122間の距離は一定である。従って、一対の弱め線122間の切離片123の幅もまた一定である。
図13に、この熱収縮性フィルム120をペットボトル(PETボトル)である容器101の容器本体に装着した状態を示している。容器本体の胴部143は太くて径一定であるが、その上側に位置している肩部142は、胴部143よりも小径であって上側に向けて徐々に縮径していく形状となっている。このような容器本体の胴部143と肩部142の略全体を覆うように熱収縮性フィルム120が装着されている。
【0008】
熱収縮性フィルム120の収縮量は、胴部143よりも肩部142において大きくなり、しかも、肩部142においては上側に向けて徐々に収縮量が大きくなる。そのため、収縮後の熱収縮性フィルム120における一対の弱め線122の幅は、胴部143において相対的に広く、肩部142において相対的に狭くなり、しかも、肩部142においては上側に向けて徐々に狭くなっていくのである。そして、一対の弱め線122間の切離片123を熱収縮性フィルム120の上端から下側に向けて他の部分から切離していくと、
図14のように、肩部142において、例えば一対の弱め線122から切離片123の内側に向けてそれぞれ亀裂150が入り、左右の亀裂150同士が徐々に接近して、最終的に切離片123が切離途中で破断するということがあった。切離片123が最終的に破断する位置は様々であるが、亀裂150が入りやすい箇所は、熱収縮性フィルム120の収縮量が大きくて一対の弱め線122間の幅が胴部143よりも狭くなっている肩部142であった。
【0009】
上記特許文献1においても、収縮前の状態における熱収縮性フィルムに一対の弱め線(本体剥離ミシン線4)が軸線方向に沿って形成されているが、その一対の弱め線間の幅は特許文献1の
図4のように収縮前の状態において一定とされている。一方、被包装物である容器本体の直径は一定ではなく、口部に近い肩部において小さくなっており、熱収縮性フィルムが容器に装着された状態では、特許文献1の
図1のように縦方向の一対の弱め線間の幅は胴部よりも肩部において狭くなっている。そのため、容器から熱収縮性フィルムを取り除くために縦方向の一対の弱め線間の切離片をその一対の弱め線に沿って上から下に向けて切離していくと、一対の弱め線間の幅が狭くなっている容器の肩部において切離片に亀裂が入りやすく、切離途中で切離片が破断する結果、切離片を最後まで切離できないという問題がある。
【0010】
本発明はこのような知見を得て完成されたものであって、本発明に係る包装体は、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有する被包装物に筒状の熱収縮性フィルムが装着された包装体であって、熱収縮性フィルムには周方向に離間した一対の弱め線が形成されていて該一対の弱め線間の切離片が他の部分から切離可能に構成され、第一部の周長をL1、第二部の周長をL2、第一部における一対の弱め線間の幅をW1、第二部における一対の弱め線間の幅をW2とし、L1/L2をRL、W1/W2をRWとしたとき、RL<RWの関係を有していることを特徴とする。
【0011】
尚、一対の弱め線が形成されることによって筒状の熱収縮性フィルムの全周は大小二つの領域に区画されることになり、弱め線間には、全周のうちの長い方と短い方の二つがあるが、本発明においては短い方を意味する。
【0012】
また、周長とは、被包装物の上下方向(軸線方向)の中心線まわりに周回する長さをいう。被包装物が多角形等である場合のようにその側周面が横方向に並んだ複数の面から構成される場合には、その側周面を一周、周回する長さであり、また、被包装物が円筒形の容器である場合には、その外周面の円周の長さである。
【0013】
更に、周長の短い第一部と周長の長い第二部については、例えば、熱収縮性フィルムが被覆する被包装物の範囲において、互いに周長が異なる三つの部分P1,P2,P3が存在していてそれらの周長をそれぞれPL1,PL2,PL3としたとき、PL1<PL2<PL3という関係を有している場合、基本的には周長が最も長い部分であるP3が第二部となり、それよりも周長の短いP1やP2が第一部となる。従って、P1とP3との間で上記RL<RWという関係を有していてもよいし、P2とP3との間でRL<RWの関係を有していてもよい。また、P2を第二部としP1を第一部として、P1とP2との間で上記RL<RWの関係を有していてもよい。
【0014】
具体例を挙げて説明する。
図1に示すような多角形の容器本体に熱収縮性フィルム20を装着する場合、容器本体において周長が最も長い腹部7を第二部とし、それよりも周長が短い拡大部6(肩部)を第一部として、腹部7と拡大部6との間で上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。特に、拡大部6において周長が最も短い上端における周長をL1とし、腹部7における周長をL2とすると共に、拡大部6の上端における一対の弱め線間の幅をW1とし、腹部7における一対の弱め線間の幅をW2として、上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。
【0015】
また、
図5のように容器1としてのペットボトルに、その容器本体の下端からキャップ44の天面の周縁部までを覆うように熱収縮性フィルム20を装着した場合においては、容器本体の肩部42を第一部とし、容器本体の胴部43を第二部として、上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。また、キャップ44を第一部としてもよい。
【0016】
図6のように熱収縮性フィルム20がキャップ44まで覆わずに肩部42の上部までの領域を覆う構成の場合も同様であって、容器本体の肩部42が第一部となり、胴部43が第二部となって、上記RL<RWという関係を有するように構成できる。特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。
【0017】
また更に、
図7のように肩部42が胴部43に対して略90度の角度で内側に折れ曲がった略水平な面である場合や、肩部42が僅かな上り勾配で胴部43の上端から口部41の下端まで達している場合であって、熱収縮性フィルム20の上部が肩部42に回り込むようにして肩部42の周縁部を覆う構成においては、略水平あるいは僅かな上り勾配の肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とし、胴部43を第二部としてもよい。
【0018】
また、
図8のようにキャップ51と容器本体の胴部50が略同一径であってキャップ51から容器本体の胴部50の全体を熱収縮性フィルム20で覆うと共にその熱収縮性フィルム20の上部がキャップ51の天面52に回り込んで天面52の周縁部を覆う構成においては、キャップ51や容器本体の胴部50を第二部とし、キャップ51の天面52の周縁部のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部としてもよい。
【0019】
更に、
図9のように容器本体の胴部が径略一定ではなく、瓢箪型の形状のように中央の括れ部45と、その上側に位置する上部太腹部46と、括れ部45の下側に位置する下部太腹部47とを有する場合には、括れ部45を第一部とし、上部太腹部46や下部太腹部47を第二部とすることができる。また、肩部42を第一部とし、上部太腹部46や下部太腹部47を第二部とすることもでき、特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。
【0020】
ところで、このような熱収縮性フィルムは、いわゆるシュリンクフィルムと称されるものであって、被包装物に装着された状態においては筒状となっている。従って、被包装物の周長方向は、筒状の熱収縮性フィルムの周方向である。また、熱収縮性フィルムは、被包装物への装着前の状態で既に筒状に形成されていることが一般的ではあるが、被包装物への装着前の状態においては未だ平坦な状態であって被包装物への装着時に被包装物に巻き付けられて筒状とされるものであってもよい。かかる熱収縮性フィルムには、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、軸線方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。尚、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(いわゆるTD方向)と軸線方向(いわゆるMD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味し、何れかの方向に全く収縮しない(いわゆる収縮率がゼロである)フィルムのみを意味するものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が20〜80%、軸線方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。例えば、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムである場合、周方向が主延伸方向である。
【0021】
一般的には、短手方向が周方向となるように短手方向をTD方向とする長尺状の熱収縮性フィルムの両側部同士を貼り合わせて長尺筒状とし、それを所定長さ毎に切断して筒状の熱収縮性フィルムを形成する。その筒状の熱収縮性フィルムを被包装物に被せて、シュリンクトンネル等で熱収縮性フィルムを熱収縮させて被包装物に密着させる。一方、フィルムの長手方向が巻き付けた時に周方向となるようにフィルムの長手方向をTD方向とする長尺状の熱収縮性フィルムを所定長さ毎に切断して、矩形の平坦な状態の枚葉型の熱収縮性フィルムを形成し、該平坦な熱収縮性フィルムをそのTD方向が周方向となるように被包装物に巻き付けて両端部同士を貼り合わせて筒状とし、その後に熱収縮させて被包装物に密着させる、いわゆる巻き付けタイプの熱収縮性フィルムとすることもできる。
【0022】
そして、熱収縮性フィルムの装着対象である被包装物は、周長一定のものではなく、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有するものである。そのような被包装物の形状に対応して熱収縮前の状態において一対の弱め線間の幅、切離片の幅が調整され、設定されている。具体的には、第一部に装着される部分と第二部に装着される部分とにおいて切離片の幅を同じ幅とするのではなく、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されている。仮に熱収縮前において切離片の幅を一定としたならば、熱収縮後においては、第一部の周長と第二部の周長の比に対応して、第一部における切離片の幅は第二部における切離片の幅よりも狭くなり、即ち、RL=RWとなる。そのため、切離片を切離していくと、第一部において弱め線から内側の切離片に向かって亀裂が生じやすくなり、切離途中で切離片が破断することになって最後まで切離片を切離することができなくなる。これに対して、本発明においてはRL<RWの関係を有しているので、切離途中において第一部で切離片に亀裂が生じにくくなり、切離片の破断が抑制されることになって最後まで切離片を他の部分から切離することができる。
【0023】
特に、被包装物が多面体形状の部分を有していて、該多面体形状の部分を少なくとも覆うように熱収縮性フィルムが被包装物に装着されている場合においては、一対の弱め線は、被包装物の多面体形状の部分における一つの面内あるいは熱収縮フィルムの軸線方向に並んだ複数の面内に位置していることが好ましい。多面体形状が切離片の箇所において熱収縮性フィルムの軸線方向に沿って一つの面のみを有する場合には、その一つの面内に一対の弱め線が位置することになり、また、多面体形状が切離片の箇所において熱収縮性フィルムの軸線方向に沿って複数の面を有する場合には、その軸線方向に並んだ複数の面内に一対の弱め線が位置することになる。何れにしても、一対の弱め線が被包装物の多面体形状の部分における一つの面内あるいは熱収縮フィルムの軸線方向に並んだ複数の面内に位置していることにより、弱め線から切離片の内側に向けて亀裂が生じにくく切離片が破断しにくくなり、その結果、多面体形状であっても最後まで切離片を確実に切離することができる。尚、一対の弱め線が面内に位置することには、その面の側縁上に弱め線が位置していることも含まれる。
【0024】
また、本発明に係る熱収縮性フィルムは、上記包装体に使用される熱収縮性フィルムであって、被包装物の周長方向に離間した一対の弱め線を備えて該一対の弱め線間の切離片が他の部分から切離可能に構成され、熱収縮前の状態において、第二部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、第一部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方が広いことを特徴とする。
【0025】
被包装物は、周長一定のものではなく、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有するものである。そのような被包装物の形状に対応して一対の弱め線間の幅、切離片の幅が調整され、設定されている。具体的には、第一部に装着される部分と第二部に装着される部分とにおいて切離片の幅を同じ幅とするのではなく、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されている。仮に熱収縮前において切離片の幅を一定としたならば、熱収縮後においては、第一部の周長と第二部の周長の比に対応して、第一部における切離片の幅は第二部における切離片の幅よりも狭くなる。そのため、切離片を切離していくと、第一部において弱め線から内側の切離片に向かって亀裂が生じやすくなり、切離途中で切離片が破断することになって最後まで切離片を切離することができなくなる。それに対して本発明においては、熱収縮前の状態において、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されているので、熱収縮前において切離片の幅を一定とした場合に比して、熱収縮後において第一部における切離片の幅は相対的に広くなる。即ち、被包装物に装着された状態においては、第一部における切離片の幅と第二部における切離片の幅との差が従来に比して小さくなる、あるいは、第一部における切離片の幅と第二部における切離片の幅が略同じになる、あるいはまた、第一部における切離片の幅の方が逆に第二部における切離片の幅よりも若干広くなる。従って、切離途中において第一部で切離片に亀裂が生じにくくなり、切離片の破断が抑制されることになって最後まで切離片を他の部分から切離することができる。
【0026】
特に、第一部に装着される部分は切離方向上流側に位置し、第二部に装着される部分は切離方向下流側に位置していることが好ましい。熱収縮後において切離片を一対の弱め線に沿って切離していく際、切離方向上流側における切離片の幅に対して切離方向下流側における切離片の幅が広くなっていると、切離片が切離途中で破断しやすい。これは、切離時に、弱め線から切離片の外側ではなく内側に向かって亀裂が入りやすいためである。従って、切離方向上流側の切離片の幅が可及的に広くなるように、第一部に装着される部分を切離方向上流側に位置させることが好ましい。総じて熱収縮性フィルムに形成された弱め線を切離する場合、第一部を越えて第二部にまで切離を至らせれば、熱収縮性フィルムの取り外しという目的は達せられることになるためである。
【0027】
更に、被包装物は容器本体と該容器本体の口部に着脱可能に取り付けられたキャップとを備えた容器であり、容器本体は口部とその下側の胴部とを備え、該胴部は、腹部と、口部と腹部との間に位置して腹部側に向けて徐々に周長が長くなっていく拡大部とを備え、熱収縮性フィルムは、少なくともキャップの下部から容器本体の腹部までの範囲を被覆可能であり、熱収縮前の状態において、腹部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、拡大部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方が広いことが好ましい。このようなキャップ付きの容器に熱収縮性フィルムが装着される場合、切離片を上から下に向かって切離していくことになるが、その際、特に拡大部において弱め線から内側の切離片に向けて亀裂が生じやすい。従って、熱収縮前の状態において、腹部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、拡大部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方を広くしておくことにより、拡大部における亀裂の発生を効果的に抑制することができる。