【解決手段】台材1と、台材1を覆うフィルム2と、台材1とフィルム2との間に介在する被包装物3と、を備え、台材1とフィルム2との間が脱気された、スキンパック包装体A1であって、台材1は、最も被包装物3側に位置する前方片101および被包装物3から最も離間した側に位置する後方片102を有するとともに、前方片101および後方片102の一部ずつによって構成され、且つ被包装物3を支持する主板部11、被包装物3とは反対側において主板部11に対して上端が固定され、且つ後方片102の一部によって構成された背板部12、および互いに離間した主板部11の下端と背板部12の下端とを連結し、且つ前方片101および後方片102の一部ずつによって構成された底板部13、を具備する。
前記主板部は、前記下端寄りにおいて前記前方片と前記フィルムとが接合された第一領域と、上端寄りにおいて前記後方片と前記フィルムとが接合された第二領域とを有しており、
前記背板部の前記上端は、平面視においてそのすべてが前記第一領域に内包されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のスキンパック包装体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1〜
図5は、本発明の第一実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A1は、台材1、フィルム2および被包装物3を備えている。
図1は、スキンパック包装体A1を示す斜視図である。
図2は、スキンパック包装体A1を示す正面図である。
図3は、スキンパック包装体A1を示す背面図である。
図4は、スキンパック包装体A1を示す底面図である。
図5は、
図2のV−V線に沿うyz平面における断面図である。
【0017】
なお、本発明における「前方」および「後方」や「上端」および「下端」の語は、発明の理解のための便宜であり、特定の方向に限定されるものではなく、構成要素の相対的な位置や向きを表現するものである。なお、以降の説明において参照する図においては、起立した姿勢で陳列された場合に、「前方」および「後方」にあたる方向をy方向としており、「上端」および「下端」にあたる方向をz方向としている。
【0018】
本実施形態においては、被包装物3は、比較的細長く、断面円形状であり、たとえば化粧品である。なお、化粧品は、本発明でいう被包装物の一例であり、台材1とフィルム2とによってスキンパック包装体を適切に形成可能なものであれば、被包装物の種類は特に限定されない。
【0019】
本発明でいう台材としては、被包装物3を適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.5mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、50g/m
2〜600g/m
2であり、好ましくは270g/m
2〜500g/m
2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
【0020】
台材1は、前方片101および後方片102を有している。
図2〜
図4においては、理解の便宜上、後方片102に薄墨色を付している。前方片101は、y方向において被包装物3側に位置している。後方片102は、y方向において被包装物3から離間した側に位置している。なお、台材1は、前方片101および後方片102に加えて、他の片を有する構成であってもよい。この場合、前方片101は、y方向において最も被包装物3側に位置し、後方片102は、最も被包装物3から離間した側に位置するとともに、前記他の片が前方片101と後方片102との間に位置する。
【0021】
台材1とフィルム2とを接合するために、たとえば前方片101および後方片102それぞれの片面に接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、この接着剤層が、フィルム2の裏面に設けられていてもよい。フィルム2の裏面に接着剤層が設けられている場合、台材1側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、5μm〜200μm、好ましくは40μm〜150μmである。
【0022】
接着剤層を形成する接着剤としては、感熱性接着剤、感熱性粘着剤、溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性接着剤または感熱性粘着剤を用いることが好ましい。
【0023】
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
【0024】
感熱性接着剤または感熱性粘着剤の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0025】
ディレードタック型の感熱性接着剤または感熱性粘着剤は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤である。ディレードタック型の感熱性接着剤としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたエマルジョン型のものなどが例示される。
【0026】
エマルジョン型または溶剤型の感熱性接着剤または感熱性粘着剤は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤または粘着剤であり、塗工後乾燥して使用するものである。
【0027】
ホットメルト型の感熱性接着剤または感熱性粘着剤は、加熱溶融し、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって塗工可能な接着剤または粘着剤である。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0028】
使用される感熱性接着剤または感熱性粘着剤は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0029】
台材1は、主板部11、背板部12および底板部13を有している。主板部11は、被包装物3を支持する部分であり、前方片101および後方片102の一部ずつによって構成されている。本実施形態においては、主板部11は、z方向に対して傾いた姿勢で起立している。なお、上述した前方片101および後方片102の定義は、もっぱらそれぞれのうち主板部11を構成する部分が被包装物3に対する位置に基づいている。また、前方片101および後方片102は、主板部11を構成する部分のうちy方向前方を向く面(
図2において図示されている面)、およびこれに繋がる面に、上述した接着剤層が設けられている。
【0030】
主板部11は、第一領域111および第二領域112を有している。第一領域111は、前方片101とフィルム2とが接合された領域であり、主板部11の下端寄りに配置されている。第二領域112は、後方片102とフィルム2とが接合された領域であり、主板部11の上端寄りに配置されている。第一領域111は、延出部111aを有している。延出部111aは、第一領域111の一部がz方向において上側(第二領域112側)に突出した部分であり、その幅が主板部11全体の幅よりも狭い。第一領域111のうち延出部111aの下方に繋がる部分は、主板部11の幅方向両端および下端に到達している。第二領域112は、z方向上側およびx方向両側の三方において第一領域111の延出部111aを囲む形状とされており、天部112aおよび2つの側部112bを有する。天部112aは、延出部111aに対してz方向上方に位置しており、主板部11全体の上端に到達している。2つの側部112bは、延出部111aをx方向両側から挟んでおり、主板部11全体のx方向両端に到達している。本実施形態においては、被包装物3のすべてが第一領域111に囲まれている。また、被包装物3の一部がz方向において延出部111aと重なる位置に配置されている。
【0031】
境界113は、第一領域111と第二領域112との境界である。境界113は、主板部11のx方向両端に到達しており、迂回部113aおよび2つの両端部113bを有している。迂回部113aは、延出部111aの端縁に相当し、z方向上方に迂回した形状とされている。2つの両端部113bは、主板部11のx方向両端にそれぞれ繋がる部分であり、本実施形態においては、x方向に沿う比較的短い部分である。
【0032】
主板部11は、2つの脚部118を有している。2つの脚部118は、主板部11下端において、互いにx方向に離間した部分であり、スキンパック包装体A1が図示された姿勢で起立した際に、スキンパック包装体A1を安定して支えるためのものである。
【0033】
また、主板部11には、位置ずれ防止片15、開封予定線16および2つの位置決め片17が形成されている。位置ずれ防止片15は、被包装物3の下端に沿うように起立しており、スキンパック包装体A1を製造する際に被包装物3が位置ずれすることを防止するためのものである。位置ずれ防止片15は、たとえば前方片101に切れ目を設けることによって形成されている。このため、前方片101には、位置ずれ防止片15の形成痕である孔が形成される。この孔は、後述するように、スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出す際に、前方片101を破る起点として用いることができる。開封予定線16は、被包装物3に略沿うようにz方向に延びており、たとえば前方片101に設けられたミシン目によって形成されている。開封予定線16は、前記孔を起点として被包装物3に沿った形状に前方片101を破ることを誘導するためのものである。2つの位置決め片17は、被包装物3のx方向側方部分に沿って斜めに起立しており、被包装物3をx方向側方から挟む格好となっている。位置決め片17は、たとえば、前方片101に切れ目を設けることによって形成されている。
【0034】
背板部12は、y方向における被包装物3とは反対側において主板部11に対してその上端が固定された部分である。また、背板部12の下端は、主板部11の下端に対してy方向において離間している。これにより、背板部12は、z方向に対して主板部11とは反対側に傾いた姿勢で起立している。背板部12は、後方片102のみからなる。背板部12は、折り曲げ線121、係合部125、2つの切り込み部127および2つの脚部128を有している。
【0035】
折り曲げ線121は、背板部12の上端に相当し、背板部12が主板部11に繋がっている部位である。折り曲げ線121は、たとえば後方片102に設けられたミシン目によって構成されている。
図3に示すように、折り曲げ線121は、平面視(y方向視)において、そのすべてが第一領域111に内包されている。さらに、折り曲げ線121は、z方向において境界113よりも下方に位置している。本実施形態においては、2つの切り込み部127が、折り曲げ線121の両端に接して設けられている。切り込み部127は、背板部12のx方向端から内方に向けて切断された部分である。2つの切り込み部127が設けられていることにより、折り曲げ線121の長さは、背板部12全体のx方向長さ(幅)よりも小である。
【0036】
係合部125は、後述する底板部13の一部と係合する部分である。本実施形態においては、係合部125は、背板部12の下端付近に設けられた凹状の切り欠きによって構成されている。なお、本発明でいう係合部としては、後述する係合機能を果たすものであればよく、切り欠きの他にたとえば切れ目によって構成されていてもよい。
【0037】
2つの脚部128は、背板部12下端において、互いにx方向に離間した部分であり、スキンパック包装体A1が図示された姿勢で起立した際に、スキンパック包装体A1を安定して支えるためのものである。
【0038】
底板部13は、主板部11の下端と背板部12の下端とを連結しており、前方片101および後方片102の一部ずつによって構成されている。本実施形態においては、底板部13は、y方向中央のx方向寸法(幅)が相対的に大である形状とされている。また、
図5に示すように、底板部13を構成する前方片101の部分は、折り曲げられておらず、直状である。一方、底板部13を構成する後方片102の部分は、y方向後方に折り返されている。
【0039】
図4に示すように底板部13は、第一領域131および第二領域132を有している。第一領域131は、前方片101とフィルム2とが接合された部分である。第二領域132は、後方片102とフィルム2とが接合された部分である。また第一領域131は、全幅部131aと狭幅部131bとを有している。全幅部131aは、底板部13のy方向前方部分に位置しており、その幅が底板部13全体の幅と一致している。狭幅部131bは、底板部13のy方向後方部分に位置しており、その幅が底板部13全体の幅よりも小とされている。第一領域131に狭幅部131bが設けられていることにより、狭幅部131bのx方向両側から露出した後方片102とフィルム2とが接合された領域が第二領域132となっている。
【0040】
また、
図4に示すように、底板部13は、2つの係合凸部133を有している。係合凸部133は、第一領域131の狭幅部131bおよび第二領域132に繋がる部分に設けられており、本実施形態においては、x方向に突出する形状である。係合凸部133は、背板部12の係合部125に係合することにより、上述した折り返された姿勢で背板部12に対して底板部13を固定するためのものである。
【0041】
フィルム2は、台材1および被包装物3を覆っている。フィルム2と台材1との間が脱気されていることにより、フィルム2は、台材1および被包装物3と、略密着している。
【0042】
フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。なお、
図1においては、透明なフィルム2が台材1および被包装物3を覆っている状態を示しており、台材1および被包装物3がフィルム2を透して視認可能となっている。
【0043】
フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0044】
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0045】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0046】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0047】
本発明においては、フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、スキンパックフィルムの特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂でフィルム2の強度を向上することができる。
【0048】
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン/脂肪族ポリアミド共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンから構成される二種三層のフィルムを使用した。
【0049】
次に、スキンパック包装体A1の製造方法の一例について以下に説明する。なお、以下の説明においては、複数のスキンパック包装体A1を一括して製造する方法を例として挙げるがこれは一例である。
【0050】
まず、
図6に示す前方片材料101Aおよび
図7に示す後方片材料102Aを用意する。前方片材料101Aは、複数の前方片101を形成するための材料であり、後方片材料102Aは、複数の後方片102を形成するための材料である。前方片材料101Aおよび後方片材料102Aは、上述した厚紙からなる。また、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aそれぞれの、図示された片面には、上述した接着剤層が設けられている。また、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aのうち第一領域111および第二領域112となる領域には、メーカ名や商品名などを印刷しておいてもよい。また、前方片材料101Aの裏面のうちスキンパック包装体A1において背板部12と重なる領域には、たとえば商品としての被包装物3の使用などに関する注意事項を印刷しておくことが好ましい。
【0051】
図6において、実線で示された線は、前方片材料101Aに対してたとえば金型を用いてなされる切断加工によって切断された線である。この切断加工により、同図においてはハッチングが施された領域が切り取られる。この切り取りにより、たとえば延出部111aとなるべき部分や狭幅部131bとなるべき部分が形成される。また、所定の切断線によって、位置ずれ防止片15、開封予定線16および位置決め片17が形成される。
【0052】
図7において、実線で示された線は、後方片材料102Aに対してたとえば金型を用いてなされる切断加工によって切断された線である。この切断加工により、同図においてはハッチングが施された領域が切り取られる。この切り取りにより切り込み部127が形成される。また、所定の切断線によって、折り曲げ線121や折り曲げ線134が形成される。折り曲げ線134は、底板部13において後方片102が折り返される部位となる。
【0053】
次いで、
図8に示すように、前方片材料101Aと後方片材料102Aとを重ねあわせる。なお、本図においては、理解の便宜上、後方片材料102Aに薄墨色を付している。また、位置ずれ防止片15および位置決め片17を起立させておく。そして、複数の被包装物3を図示された所定箇所に載置する。この際、位置ずれ防止片15および位置決め片17によって、被包装物3の位置決めがなされ、意図しない位置ずれが防止される。
【0054】
次いで、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aと複数の被包装物3とをフィルム2によって覆う。フィルム2は、複数のスキンパック包装体A1を形成可能なサイズである。なお、フィルム2は、あらかじめ図示しない加熱装置などによって、この後の脱気工程を適切に行うことが可能な程度の温度に加熱されていることが好ましい。より詳しくは、フィルム2の温度は、脱気工程によって被包装物3の形状に速やかに沿うように軟化して、所謂ドローダウンする程度に設定される。また、被包装物3が、高温に曝されることが好ましくないものである場合、フィルム2の温度は、被包装物3の耐熱特性を考慮した温度とされる。
【0055】
また、フィルム2によって前方片材料101Aおよび後方片材料102Aと複数の被包装物3を覆う工程、さらには複数の被包装物3を載置する工程に先立ち、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aを図示しない脱気テーブルに載置しておくことが好ましい。この脱気テーブルは、後述する脱気工程に用いられるものであり、たとえば上面に開口する複数の脱気孔が形成された金属板によって構成されている。これらの脱気孔は、吸引源に接続されている。なお、前記脱気テーブルとしては、載置面の空気を吸引できる構成であれば特に限定されず、たとえば、金属などからなるブロックや板などに孔を設けたものや、セラミック等の多孔質材であるもの、あるいはそれらを組み合わせたものなどが挙げられる。
【0056】
次いで、前記吸引源に吸引力を発揮させ、前記脱気テーブルの複数の脱気孔から吸引を行う。前方片材料101Aおよび後方片材料102Aには、上述した切断加工により貫通部分が形成されている。これらの貫通部分が、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aとフィルム2との間の空気を前記脱気テーブルの複数の脱気孔へと導く経路となる。また、本実施形態において前方片材料101Aおよび後方片材料102Aを構成する厚紙は、それ自体が多数のごく微細な孔を有するものである。したがって、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aの略全面を通して、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aとフィルム2との間の空気が、前記脱気テーブルの複数の脱気孔へと脱気される。これにより、フィルム2が前方片材料101Aおよび後方片材料102Aと複数の被包装物3に密着し、
図8に示す状態となる。
【0057】
本実施形態においては、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aそれぞれの片面に感熱式の接着剤があらかじめ塗布加工されている。この感熱式の接着剤は、フィルム2が持つ熱が伝えられることにより、適度な接着力を発現する。このため、前方片材料101Aのうち複数の被包装物3から露出する部分にフィルム2が接着される。これにより、上述した第一領域111が形成される。また、後方片材料102Aのうち複数の前方片材料101Aから露出する部分にフィルム2が接着される。これにより、上述した第二領域112が形成される。なお、上述した感熱式の接着剤による接着を強固とすることや、フィルム2を迅速に常温硬化させることを目的として、前記脱気テーブルによる脱気を完了した直後に、フィルム2にエアを吹きつけてもよい。これにより、フィルム2をより迅速に冷却することができる。
【0058】
脱気工程を終えた後は、
図8において実線で示された切断線CLに沿って、前方片材料101Aおよび後方片材料102Aとフィルム2とを切断する。これにより、
図9および
図10に示す複数のスキンパック包装体A1を形成しうる中間品が得られる。この中間品からスキンパック包装体A1を形成するには、まず、折り曲げ線121において後方片102を谷折りとなるように折り曲げることにより、背板部12を前方片101から離間させる。また、折り曲げ線130aにおいて前方片101を山折りとなるように折り曲げ、折り曲げ線130bにおいて後方片102を山折りとなるように折り曲げる。折り曲げ線130aおよび130bは、
図8を参照して説明した切断によって一括して形成される。これにより、
図11に示すように、主板部11および背板部12の下端どうしが離間する。なお、この折り曲げ線130bは、スキンパック包装体A1を開封するための切断予定線136を兼ねている。切断予定線136は、底板部13を幅方向に横断している。切断予定線136は、短い切断線やミシン目によって構成される。次いで、折り曲げ線134において後方片102を谷折りとなるように折り曲げる。そして、
図9および
図10に示す2つの係合凸部133を
図11に示すように背板部12の係合部125に係合させる。これにより、
図1〜
図5に示すスキンパック包装体A1が得られる。
【0059】
スキンパック包装体A1を開封して被包装物3を取り出すには、たとえば
図10および
図11に示された切断予定線136において後方片102を切断する。これにより、背板部12と底板部13とが分断される。背板部12の下端を把持して背板部12を持ち上げると、互いに向かい合っていた主板部11(前方片101)の裏面と背板部12(後方片102)の片面とが視認可能となる。これらの領域のいずれかあるいは双方には、上述した通り被包装物3についての注意事項などが印刷されていることが好ましい。これにより、購入者は、被包装物3を取り出すに先立って、理解すべき注意事項などを認識することができる。次いで、
図5において被包装物3の下端付近を図中左方から右方へと押し出す。これにより、前方片101に設けられた位置ずれ防止片15の形成痕としての孔から前方片101の切断が開始され、
図2に示す開封予定線16に沿って前方片101の切断が進行する。この結果、被包装物3を取り出すことができる。
【0060】
次に、スキンパック包装体A1の作用について説明する。
【0061】
本実施形態によれば、
図1および
図5に示すように、主板部11、背板部12および底板部13によってより立体的な構造が具現化される。これにより、たとえば背板部12が鉛直方向下方位置するように、スキンパック包装体A1を起立させることが可能である。したがって、より多様な陳列形態を実現することができる。また、前方片101および後方片102からなる底板部13は、相対的に強度を向上させやすい。これは、スキンパック包装体A1を起立した姿勢で安定して陳列するのに適している。あるいは、前方片101および後方片102を相対的に薄い材料によって構成できるという利点がある。また、前方片101および後方片102からなる底板部13においては、前方片101および後方片102の境界や、これらとフィルム2との境界などを、スキンパック包装体A1を開封する際の開封起点として利用することができる。特に、主板部11、背板部12および底板部13によって囲まれた空間に指などを挿入できるため、開封作業を容易化することができる。
【0062】
底板部13には、第一領域131および第二領域132が設けられており、フィルム2が前方片101と後方片102とに跨って接合されている。これにより、フィルム2を介して前方片101と後方片102とを接合することが可能であり、前方片101と後方片102とを接合する専用の接着剤などを塗布するなどの手間が不要である。また、本実施形態においては、前方片101および後方片102それぞれの片面全体に上述した接着剤層が設けられている。これにより、第一領域131および第二領域132において、フィルム2と前方片101および後方片102とをより強固に接着することができる。特に本実施形態においては、
図4に示すように、全幅部131aおよび狭幅部131bを有する構成とされている。狭幅部131bを設けることにより、第二領域132を適切に確保するとともに、底板部13のy方向全長における強度を向上させることができる。
【0063】
底板部13の係合凸部133を背板部12の係合部125に係合させることにより、主板部11、背板部12および底板部13による立体的な構造をより確実かつ安定して維持することができる。また、底板部13は、背板部12側に現れており、スキンパック包装体A1を正面から観察した場合、係合凸部133はほとんど視認されない。これは、スキンパック包装体A1をより美しく整った外観で陳列可能であるという利点がある。
【0064】
主板部11の脚部118および背板部12の脚部128は、前方片101および後方片102の端部であり、折り曲げられた箇所ではない。このため、脚部118および脚部128の端縁の形状は、切断によって正確な直線状に設定することが可能である。したがって、スキンパック包装体A1をより安定して起立させておくことができる。また、底板部13は、脚部118および脚部128を設けることに対応してy方向両端の幅は、主板部11および背板部12の幅よりも必然的に狭いものとなる。しかし、底板部13のy方向中央部分を相対的に広幅とすることにより、底板部13の強度を向上させることができる。
【0065】
底板部13には、切断予定線136が設けられている。切断予定線136は、その周囲部分よりも切断が容易とされている。また、主板部11、背板部12および底板部13によって囲まれた空間に指を入れることにより、この切断予定線136に沿った切断を行い易い。このような構成により、スキンパック包装体A1の購入者がスムーズな開封を開始できるように誘導することができる。
【0066】
主板部11には、第一領域111と第二領域112とが設けられている。第一領域111と第二領域112との境界113は、一般的にフィルム2が剥離する起点となりやすい。たとえば、スキンパック包装体A1の製造工程で、折り曲げ線121において後方片102を折り曲げ、背板部12を形成する際には、折り曲げ線121付近に外力が作用しやすい。このような外力の作用が懸念される折り曲げ線121を境界113に対して主板部11の下端寄りに設けることにより、折り曲げ線121に作用した外力が境界113へと伝わることを回避することが可能である。したがって、スキンパック包装体A1の製造工程、さらには搬送中や陳列中において、フィルム2が境界113から意図せず剥離してしまうことを防止することができる。また、境界113が、迂回部113aを有する形状であることにより、仮に境界113に外力が伝わったとしても、境界113に位置するフィルム2には、外力が一方向に揃って作用せず、迂回部113aの形状に応じて複数の方向に向けて不揃いな状態で作用することとなる。これにより、境界113においてフィルム2の剥離が一気に開始してしまうことを防止することができる。また、主板部11の後方片102は、天部112aと2つの側部112bとにおいてフィルム2と接合されている。すなわち、第二領域112が被包装物3の三方を囲む形態となっている。これにより、フィルム2と後方片102とをより確実に接合することが可能であり、フィルム2の剥離防止効果を向上することができる。
【0067】
台材1が前方片101および後方片102によって構成されていることにより、たとえば互いに向かい合う主板部11(前方片101)の裏面と背板部12(後方片102)の片面とを、注意事項などを印刷する領域として活用することができる。これにより、スキンパック包装体A1自体のサイズを大きくすることなく、印刷領域を拡大することができる。また、開封予定線16が背板部12によって隠されているため、底板部13を開封しない限りは、商品としての被包装物3を容易には取り出すことができない。これにより、スキンパック包装体A1は、意図しない開封を防止する機能(改竄防止機能)を発揮する。
【0068】
図12〜
図23は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0069】
図12および
図13は、スキンパック包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、主に主板部11および背板部12の構成が上述したスキンパック包装体A1の例と異なっている。一方、底板部13の構成は、
図4に示された構成と同様である。
【0070】
本変形例においては、
図13に示すように、背板部12の幅が主板部11の幅よりも狭い。また、折り曲げ線121の長さが、境界113の迂回部113aのx方向寸法よりも小である。折り曲げ線121は、x方向において2つの両端部113bの間に位置している。すなわち、折り曲げ線121は、x方向において2つの両端部113bとは重なっていない。
【0071】
主板部11には、2つの切り込み部117が形成されている。各切り込み部117は、主板部11のx方向端縁から内方に延びる切れ目である。切り込み部117は、主板部11を構成する前方片101に設けられた切れ目であり、後方片102には、この切れ目は設けられていない。切り込み部117は、両端部113bに対してz方向下方に配置されている。また、本例においては、z方向において両端部113bと切り込み部117との間に折り曲げ線121が位置している。
【0072】
本変形例によっても、より多様な陳列形態を実現することができる。また、
図13に示すように、折り曲げ線121は、x方向において迂回部113aに内包されており、2つの両端部113bとは重なっていない。第二領域112におけるフィルム2と後方片102との接合強度を高める観点からは、2つの両端部113bをより下端寄りに配置し、2つの側部112bをより長くすることが好ましい。しかし、折り曲げ線121から側部112bに外力が伝わると、フィルム2の剥離が懸念される。本変形例においては、x方向において折り曲げ線121と両端部113bとが重ならないため、折り曲げ線121から両端部113bには外力が伝わりにくい。したがって、両端部113bをより下端寄りに配置することが可能であり、フィルム2と後方片102との接合強度を高め、フィルム2の剥離防止を図ることができる。
【0073】
図14および
図15は、本発明の第二実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A2は、底板部13を固定する態様がスキンパック包装体A1と異なっている。スキンパック包装体A2の正面図および背面図は、
図2および
図3に示されたスキンパック包装体A1の正面図および背面図と同様である。
図14は、
図2のIV−IV線に沿うzx平面における断面図に相当する。
図15は、スキンパック包装体A2の底面図である。なお、スキンパック包装体A2の正面図および背面図を、
図12および
図13に示す構成としてもよい。
【0074】
本実施形態においては、主板部11に係合部115が設けられている。係合部115は、主板部11と底板部13とが繋がる部分に設けられている。
図16は、
図9と同様に、スキンパック包装体A2を製造するための中間品を示す要部正面図である。同図に示すように、本実施形態においては、前方片101のうち底板部13を構成する部分は、底板部13を構成すべき部分の図中下端に到達しておらず、中央付近までの大きさとされている。また、前方片101のうち底板部13を構成する部分の図中下端は、x方向に平行とされている。後方片102のうち底板部13を構成する部分は、前方片101から図中下方に延出しており、この領域が第二領域132とされている。底板部13には、スキンパック包装体A1と同様の係合凸部133が形成されている。
【0075】
スキンパック包装体A2を製造する際には、
図16において折り曲げ線130aおよび図外の折り曲げ線130bにおいて前方片101および後方片102を折り曲げる。次いで、第一領域131と第二領域132との境界において、フィルム2を折り曲げるようにして、係合凸部133を前方へと移動させる。そして、係合凸部133を係合部115に係合させることにより、
図14および
図15に示すスキンパック包装体A2が得られる。
【0076】
本実施形態によっても、より多様な陳列形態を実現することができる。また、本実施形態から理解されるように、主板部11、背板部12および底板部13による立体的な構造をより確実かつ安定して維持するための手段として係合凸部133を用いる場合、この係合凸部133を係合させる箇所は適宜設定することができる。また、底板部13における折り曲げは、第一領域131と第二領域132との境界に位置するフィルム2が折り曲げられているに過ぎない。このため、スキンパック包装体A1を形成するための組み立てを容易に行うことができる。
【0077】
図17〜
図20は、本発明の第三実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。
図17は、スキンパック包装体A3の正面図であり、
図18は、スキンパック包装体A3の背面図であり、
図19は、スキンパック包装体A3の底面図である。
図20は、
図17のXX−XX線に沿う要部断面図である。また、
図21は、スキンパック包装体A3を製造するための中間品を示す要部正面図である。本実施形態のスキンパック包装体A3は、底板部13を固定する態様がスキンパック包装体A1およびスキンパック包装体A2と異なっている。本実施形態においては、主板部11に係合部115が形成され、且つ底板部13に係合部135が形成されており、これらの係合部115および係合部135に係合凸部133が係合している。
【0078】
図19、
図20および
図21に示すように、前方片101のうち底板部13を構成する部分に係合部135が形成されている。係合部135は、x方向に平行な切れ目である。係合凸部133は、後方片102のうち底板部13を構成する部分に設けられた舌片状の部分であり、
図21において図中下方に突出している。また、第一領域131と第二領域132との境界は、x方向に平行とされている。係合部115は、前方片101に位置ずれ防止片15を形成したことによる形成痕である。そして、本実施形態においては、係合凸部133が係合部115に単に係合するのみならず、
図20に示すように、係合凸部133が位置ずれ防止片15と被包装物3との間に差し込まれた構成である。
図21に示す状態から、折り曲げ線130aおよび図外の折り曲げ線130bにおいて前方片101および後方片102を折り曲げる。また、折り曲げ線134において前方片101および後方片102を谷折りとなるように折り曲げる。次いで、第一領域131と第二領域132との境界においてフィルム2を折り曲げる。そして、係合凸部133を係合部135に挿入し、さらにこの係合凸部133を係合部115に係合させる。この際、係合凸部133を位置ずれ防止片15と被包装物3との隙間に差し込む。なお、係合凸部133の挿入をスムーズに行うために、本実施形態においては、係合部135に繋がる複数の短い切れ目が形成されている。
【0079】
また、本実施形態においては、底板部13の幅はほぼ一定であり、主板部11の幅とほぼ一致している。2つの脚部118および2つの脚部128は、主板部11および背板部12のx方向両端ではなく、若干x方向内方に設けられている。
図19に示すように、背板部12のうち底板部13を構成する部分には、切断予定線136が設けられている。本実施形態においては、切断予定線136の中央部分が、y方向における前方側に突出している。この突出部分は、切断予定線136を切断する際のきっかけとして用いることができる。
【0080】
本実施形態によっても、より多様な陳列形態を実現することができる。主板部11、背板部12および底板部13による立体的な構造をより確実かつ安定して維持するための手段として係合凸部133を底板部13自体に形成された係合部135に挿入し、さらに係合部115を通して位置ずれ防止片15と被包装物3との間に差し込むことにより、係合凸部133は、スキンパック包装体A1の外観にほとんど現れない。また、位置ずれ防止片15と被包装物3との間に差し込まれた係合凸部133は、フィルム2の収縮力によって位置ずれ防止片15と被包装物3とに比較的強く挟まれる格好となる。これにより、底板部13を安定して固定することが可能である。したがって、スキンパック包装体A3の外観をより美麗なものとすることができる。
【0081】
本実施形態においては、脚部118および脚部128は、x方向において若干内方に位置している。これにより、底板部13の幅を、主板部11および背板部12とほとんど同じ幅に設定することができる。これにより、底板部13の強度向上が可能であり、主板部11、背板部12および底板部13による立体的な構造をより確実かつ安定して維持するのに適している。
【0082】
図22は、本発明の第四実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。
図22は、
図2のIV−IVに沿うzx平面における断面図に相当する。本実施形態のスキンパック包装体A4は、底板部13の構成が、上述した実施形態と異なっている。スキンパック包装体A4の正面図および背面図は、
図2および
図3あるいは
図12および
図13に示された構成をはじめ、様々な構成としうる。
図23は、スキンパック包装体A4を製造するための中間品を示す正面図である。
【0083】
本実施形態においては、底板部13は、主板部11および背板部12さらに底板部13自体のいずれとも係合する部位を有していない。底板部13は、全体としてy方向中央がz方向上方に突出する折り曲げ形状とされている。そして、底板部13には、脚部138が形成されている。脚部138は、底板部13のy方向中央からz方向下方へと延びており、その下端がx方向に平行とされている。
図23に示すように、脚部138は、底板部13を構成する後方片102の図中下端に設けられている。
図23に示す中間品からスキンパック包装体A4を製造する際には、前方片101および後方片102を折り曲げ線130aおよび折り曲げ線130bにおいて前方片101および後方片102を折り曲げる。また、折り曲げ線134において後方片102を折り曲げ、また第一領域131と第二領域132との境界においてフィルム2を折り曲げる。これにより、
図22に示すように、z方向上方に突出する折り曲げ形状の底板部13が形成され、脚部138が起立した姿勢でz方向下方へと延びる構成が得られる。なお、
図23に示すように、本実施形態においては、折り曲げ線130aはz方向上方に若干膨出した湾曲形状とされている。この点は、後方片102に設けられた図外の折り曲げ線130bも同様である。
【0084】
本実施形態によっても、より多様な陳列形態を実現することができる。また、本実施形態から理解されるように、底板部13に係合凸部133を設けない構成によっても、主板部11、背板部12および底板部13による立体的な構造を維持することができる。また、折り曲げ線130aおよび折り曲げ線130bが湾曲形状とされていることにより、折り曲げ線130aおよび折り曲げ線130bを一旦折り曲げると、この折り曲げられた状態を維持する力が生じる。これにより、係合凸部133を有しない構成でありながら、底板部13を
図22に示す形状に適切に維持することができる。
【0085】
本発明に係るスキンパック包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスキンパック包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。