【解決手段】搬送車システム1は、進入防護柵31の外側に、対となる進入扉33A、33Bに対応して監視ボックス22A,22Bが設けられおり、監視ボックス22A,22Bにはキーの装着・非装着に応じた信号を出力する同数のキー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8が対をなすように設けられている。進入扉33A,33Bを開閉するための開閉鍵39Aと組み合わされた監視キー25が、キー装着部24A1〜24B8のうち予め設定された一対のキー装着部のいずれか一方に装着される。キー管理回路40は、対をなすキー装着部24A1〜24B8を電気的に接続し、対をなすキー装着部のいずれか一方に対応する監視キー25が装着されているか否かを検出する。進入者把握装置13は、監視キー25が装着されていない場合に搬送車3の動作を制限する。
前記キー管理回路は、前記対をなすキー装着部が電気的に並列接続され、並列接続された各キー装着部対がさらに電気的に直列接続されている、請求項1に記載の自動運転機器システム。
前記監視キーには、それぞれ固有番号が付されており、前記キー装着部は、対応する監視キーの固有番号が付されている、請求項1又は2に記載の自動運転機器システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)全体構成
図1は、本発明に係る自動運転機器システムの一実施形態としての搬送車システムの一部を示すレイアウト図である。
搬送車システム1は、走行路2上に搬送車3を走行させるためのシステムである。走行路2の側方に位置して、物品の積み込み・積み出しを行うための複数のステーション8A〜8Cが設けられている。搬送車3は、制御部(図示せず)の搬送指令に従って、走行路2上を走行し、ステーション8A〜8Cのうちの搬送元となるステーションにおいて物品を積み込み、搬送先となるステーションまで走行して物品を積み出す。
搬送車3は、走行路2に形成される軌道上を走行する有軌道台車とすることができ、または、無軌道で走行する無人搬送車とすることもできる。
【0015】
走行路2の両側には、走行路2内に無断で人が進入できないようにするための進入防護柵31が設けられている。進入防護柵31の内側は、自動運転機器としての走行路2及び搬送車3の周囲を囲む遠隔エリア32となっている。進入防護柵31は、人が簡単に乗り越えられない程度の高さを有している。
【0016】
進入防護柵31の内部には、走行路2を横断する横断通路35A、35B、35Cが形成されている。この横断通路35A〜35Cは、搬送車3の走行を停止した後で、作業者による走行路2の横断を可能にするものである。図示した例では、3箇所に横断通路35A〜35Cが設けられているが、その数や形状は図示した例に限定されるものではない。
【0017】
横断通路35Aの走行路2に交差する方向両端に位置して、進入防護柵31に一対の進入扉33A、33Bが設けられている。
一対の進入扉33A、33Bは、それぞれ進入防護柵31に設けられた進入口34A、34Bに揺動可能に取り付けられており、修理や保守点検を行う際、又は走行路2を横断する際に、作業者が進入扉33A又は33Bを開けて、進入口34A又は34Bから進入防護柵31の内部に進入することが可能となっている。
【0018】
横断通路35B、35Cの走行路2に交差する方向両端にも、同様に、それぞれ一対の進入扉33C、33D及び33E、33Fが設けられている。
また、図示したように、進入防護柵31の内部に、修理、保守点検を行うためのメンテナンスエリア36が形成されているような場合には、メンテナンスエリア36に隣接して横断通路35Aを設けることにより、進入扉33A、33Bを開けて、メンテナンスエリア36に進入することが可能となる。
【0019】
進入扉33A〜33Fは、それぞれ後述する開閉鍵を用いて施錠及び解錠することが可能となっており、搬送車システム1は、進入扉33A〜33Fが施錠された状態で、起動することが可能となっている。
【0020】
進入防護柵31の外部には、進入扉33A〜33Fの近傍に位置して、操作ボックス21A〜21Fと、監視ボックス22A〜22Fとが設けられている。
【0021】
(2)搬送車システムの制御部及び基本動作
図2は、搬送車システムの制御系を示すブロック図である。
制御系10は、メインコントロールボックス11、搬送車3、給電スイッチボックス14、操作ボックス21A〜21F、監視ボックス22A〜22Fが通信可能に接続されることで構成されている。
【0022】
メインコントロールボックス11は、主として、メイン制御装置12を有している。メイン制御装置12は、給電スイッチボックス14に対して搬送車3への給電指令や給電遮断指令を行い、また、搬送車3に対して、搬送指令や搬送停止指令を行うための装置である。進入者把握装置13については、後に詳細に説明する。
【0023】
給電スイッチボックス14は、メインコントロールボックス11からの給電指令や給電遮断指令にしたがって搬送車3への給電や給電遮断を行うための電源回路を有する。また、給電スイッチボックス14は、メンテナンスのために、自動運転停止中に、手動操作で搬送車3への給電を行うことができる。
【0024】
(3)操作ボックス
図3は、操作ボックスの要部を示す説明図である。
操作ボックス21A〜21Fは、進入防護柵31の外側であり、それぞれ進入扉33A〜33Fの近傍に自立設置されている。操作ボックス21A〜21Fは、同一の構成であり、代表的に操作ボックス21Aを図示して説明する。
【0025】
操作ボックス21Aは、非常停止ボタン23A1、起動ボタン23A2、自動停止ボタン23A3、運転準備ボタン23A4を備えている。非常停止ボタン23A1、起動ボタン23A2、自動停止ボタン23A3、運転準備ボタン23A4は、それぞれ搬送車システム1の運転状態を表示するための表示ランプが一体的に設けられている。
【0026】
運転準備ボタン23A4は、メイン制御装置12に給電指令を行わせるためのボタンである。作業者により運転準備ボタン23A4が押圧操作されると、メイン制御装置12から給電スイッチボックス14に給電指令が送信され、搬送車3への給電が開始される。
搬送車3への給電が開始されると、運転準備ボタン23A4の表示ランプが点灯して、起動ボタン23A2が点滅する。
【0027】
起動ボタン23A2は、搬送車3への給電が行われていることを前提として、メイン制御装置12に搬送指令を行わせるためのボタンである。起動ボタン23A2が押圧操作されると、メイン制御装置12から搬送車3に搬送指令が送信され、搬送車3の自動運転が開始される。搬送車3の自動運転が開始されると、起動ボタン23A2の表示ランプが点滅状態から点灯状態に遷移する。
【0028】
ここで、自動運転とは、メイン制御装置12からの搬送指令にしたがって、物品の積み込みや積み出しを行うステーション8A〜8C間における搬送車3の一連の走行動作を自動的に繰り返す運転である。一連の走行動作は、搬送元のステーションにおいて物品を搬送車3に積み込み、搬送先のステーションまで搬送車3を走行させることを含む。
【0029】
自動停止ボタン23A3は、メイン制御装置12に搬送停止指令を行わせるためのボタンである。自動停止ボタン23A3が押圧操作されると、メイン制御装置12から搬送車3に搬送停止指令がなされて搬送車3が自動運転の基準位置まで移動して停止する。この自動運転の停止処理が行われている間は、自動停止ボタン23A3の表示ランプが点灯し、自動運転の停止処理が完了した後は、起動ボタン23A2の表示ランプが点灯状態から点滅状態に遷移する。
非常停止ボタン23A1は、不測の事態が発生した際に、搬送車システム1を緊急停止させるためのボタンである。
【0030】
このような搬送車システム1では、給電を開始する際には、作業者が運転準備ボタン23A4を押圧操作することで、搬送車3への給電が開始される。給電が行われている状態で、作業者が起動ボタン23A2を押圧操作することにより、自動運転が開始される。また、自動運転が行われている状態から自動運転を停止する際には、作業者が自動停止ボタン23A3を押圧操作することにより、自動運転が停止される。
【0031】
(4)横断時の安全を確保する機能
このような搬送車システム1が設置された工場や物流システム等において、搬送車システム1の走行路2が設備空間を分断してしまう場合がある。このような場合に、走行路2を迂回して遠回りをする設備運用や走行路2を横断するための歩行帯や階段等の付帯設備の設置を行うことなく、走行路2によって分断された設備間を往来したいという要望がある。
【0032】
進入扉33A〜33Fを開けて進入防護柵31内に進入して、走行路2を横断する行為は、非常に危険な行為である。例えば、作業者が自動停止ボタン23A3を押圧操作して、自動運転を停止させた状態にして、進入防護柵31内に進入したとする。この場合、他の作業者が、進入防護柵31内に進入した人がいることを認識しないまま、起動ボタン23A2を押圧操作することで、自動運転を開始するおそれがある。このため、上記の要望を実現するためには、進入防護柵31内の走行路2の横断時において、進入防護柵31内への進入者の安全が確保される必要がある。
【0033】
(4−1)安全を確保するための構成
この搬送車システム1は、安全を確保するための機能として、進入防護柵31内への進入者の有無を判定する機能を含んでいる。安全を確保するための機能は、さらに、進入防護柵31内に進入者がいると判定された場合に、搬送車3の動作を制限して、進入防護柵31内の進入者の安全を確保しつつ、進入扉33A〜33Fを通じて進入防護柵31内の横断を可能する機能を含んでいる。
【0034】
(4−2)監視ボックス
搬送車システム1には、進入防護柵31の外部であって、進入扉33A〜33Fに対応して、監視ボックス22A〜22Fが設けられている。
監視ボックス22A〜22Fは、横断通路35A〜35Cの両端に位置するものが一対となって電気的に接続されたキー管理回路を構成しており、それぞれメインコントロールボックス11と通信可能に接続されている。
【0035】
図4は、監視ボックスの要部を示す説明図である。
監視ボックス22A〜22Fは、進入防護柵31の外側であり、それぞれ進入扉33A〜33Fの近傍に自立設置されており、進入防護柵31内に入った進入者の手が届かない位置に配置されている。監視ボックス22A〜22Fは、同一の構成であり、代表的に監視ボックス22A、22Bの一対を図示して説明する。
【0036】
監視ボックス22Aには、複数のキー装着部24A1〜24A8が設けられている。各キー装着部24A1〜24A8には、それぞれ監視キー25が装着可能なキーホールが設けられている。キーホールは、監視キー25を挿入して反時計回りに回すことでキーホールから監視キー25を抜くことができないように構成されている。また、キーホールは、挿入されている監視キー25を時計回りに回すことで、監視キー25をキーホールから抜くことができるように構成されている。
【0037】
監視ボックス22Bは、監視ボックス22Aと同一の構成であり、監視キー25を装着可能な複数のキー装着部24B1〜24B8が設けられている。
監視ボックス22Aのキー装着部24A1〜24A8及び監視ボックス22Bのキー装着部24B1〜24B8には、それぞれ1〜8の番号が付されており、同一番号のキー装着部同士が一対となって電気的に並列接続されている。
【0038】
搬送車システム1が起動している時には、監視ボックス22A、22Bの一対のキー装着部のうち、いずれか一方に監視キー25が装着されるように構成される。
例えば、監視ボックス22Aのキー装着部24A1と、監視ボックス22Bのキー装着部24B1とが一対であり、キー装着部24A1、24B1のいずれか一方に監視キー25が装着される。このことから、対となるキー装着部に対応して、キー装着部と同一の番号を付した監視キー25を準備することができる。
【0039】
例えば、
図4に示すように、1番が付されたキー装着部対24A1、24B1には、1番が付された監視キー25A1が対応付けられている。同様にして、2番〜8番が付されたキー装着部には、それぞれ2番〜8番が付された監視キー25A2〜25A8を対応付けることができる。
図示した例では、監視キー25A2〜25A4が、監視ボックス22Aのキー装着部24A2〜24A4に装着されており、監視キー25A5〜25A8が、監視ボックス22Bのキー装着部24B5〜24B8に装着されている。また、監視キー25A1は、作業者により監視ボックス22Aのキー装着部24A1から抜かれた状態を示している。
【0040】
(4−3)キー管理回路
図5は、キー管理回路の一部を示す回路図である。
図5では、監視ボックス22A,22Bの監視ボックス対により構成される第1キー管理回路40Aを示しており、第1キー管理回路40Aは、キー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8が電気的に接続されている。
キー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8は、それぞれ、監視キー25が装着された状態でオン状態となるa接点スイッチ26を備えている。
監視ボックス22Aのキー装着部24A1と、監視ボックス22Bのキー装着部24B1とは、「1」の番号が付されて対を構成しており、電気的に並列接続されたキー装着部対241を構成する。
【0041】
同様にして、キー装着部24A2とキー装着部24B2〜キー装着部24A8とキー装着部24B8が、それぞれ2〜8の番号が付されて対を構成しており、キー装着部対242〜248を構成している。
キー装着部対241〜248は、電気的に直列接続されており、さらに、リレーコイル27Aが接続されている。
キー装着部対241〜248は、対を構成するキー装着部のうちのいずれか一方に監視キー25が装着されているとオン状態となり、キー装着部のいずれにも監視キー25が装着されていない場合にはオフ状態となる。
キー装着部対241〜248が直列接続されることにより、全てのキー装着部対241〜248がオン状態となっている場合(対になっているキー装着部の少なくとも一方に監視キー25が装着されている場合)にのみ、リレーコイル27Aがオン状態となる。
【0042】
図6は、キー管理回路の一部を示す回路図である。
前述の横断通路35Aに対応する監視ボックス対と同様にして、他の横断通路35B、35Cに対応して設けられる監視ボックス対についても、それぞれキー装着部が並列接続されたキー装着部対が直列接続され、さらにリレーコイル27B、27Cが直列接続された第2キー管理回路40B、第3キー管理回路40Cが構成されている。
第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cのリレーコイル27A〜27Cは、直列接続されており、さらに、リレー28が接続されている。
【0043】
このようにしたキー管理回路40は、シーケンス制御を行うPLC(Programmable Logic Controller)29と接続されることができる。
PLC29は、監視ボックス22A〜22Fと接続され、各キー装着部24A1〜24F8のそれぞれから監視キー25が装着されているか否かの信号を受信するように構成される。PLC29は、監視ボックス22A〜22Fの各キー装着部24A1〜24F8から受信した信号に基づいて、各キー装着部24A〜24F8に装着されている監視キー25の総数が、予め設定された監視キーの総数と一致するか否かを判定する。
この実施形態では、3つの横断通路35A〜35Cに対応する監視キー25の総数が24であり、PLC29は、監視ボックス22A〜22Fの各キー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25の総数が24であるか否かに基づいて、監視キー25の総数が合致したか否かを示す信号を出力する。PLC29は、監視キー25の総数が合致している場合に所定の信号を出力し、監視キー25の総数が合致していない場合に所定の信号以外の信号を出力するように構成できる。例えば、PLC29の出力信号をオン又はオフの2値信号とする場合、監視キー25の総数が合致する場合にオン信号を出力し、監視キー25の総数が合致していない場合にオフ信号を出力するように構成できる。また、これとは逆に、PLC29は、監視キー25の総数が合致する場合にオフ信号を出力し、監視キー25の総数が合致していない場合にオン信号を出力するように構成することもできる。
なお、本実施形態では、監視キー25が装着されていないキー装着部対が存在するか否かに基づいて、進入防護柵31内に進入者が存在する可能性の有無を検出している。この場合、全てのキー装着部対にそれぞれ対応する監視キー25が装着されていれば、装着されている監視キー25の総数は予め設定された監視キー25の総数と一致する。したがって、PLC29による監視キーの総数のチェックについては省略することも可能である。
【0044】
リレー28は、PLC29及び第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cの出力信号に基づいて、搬送車システム1の起動が可能であるか否かを示す信号を出力する。例えば、PLC29が監視キー25の総数が合致している旨の信号を送信している状態で、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cが全てオン状態である場合に、リレー28はオン状態となるように構成できる。
この場合、PLC29が、監視キー25の総数が合致している旨の信号を送信している状態であっても、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cのいずれか1つでもオフ状態である場合には、リレー28はオフ状態となる。
この場合、リレー28の出力信号がオン信号であれば、搬送車システム1の起動が可能であるとみなすことができ、リレー28の出力信号がオフ信号であれば、搬送車システム1の起動が不可であるとみなすことができる。
リレー28は、PLC29が監視キー25の総数が合致している旨の信号を送信している状態で、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cが全てオン状態である場合にオフ状態になるように構成することもできる。この場合、PLC29が、監視キー25の総数が合致している旨の信号を送信している状態であっても、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cのいずれか1つでもオフ状態である場合に、リレー28がオン状態となる。
この場合、進入者把握装置13(
図2)は、リレー28の出力信号がオフ信号であれば、搬送車システム1の起動が可能であるとみなすことができ、リレー28の出力信号がオン信号であれば、搬送車システム1の起動が不可であるとみなすことができる。
このことにより、本実施形態では、PLC29により、監視キー25の総数が予め設定された監視キーの総数に達しているか否かを検出するだけではなく、監視キー25が装着されているキー装着部24A1〜24F8の位置を監視している。したがって、PLC29のシーケンスのバグや断線などのエラーがあっても、進入者把握装置13(
図2)は、キー管理回路40の出力信号に基づいて、搬送車システム1の起動が可能であるか否かを判断することができ、搬送車システム1の動作を制限して安全性を維持できる。
【0045】
(4−4)監視キーと開閉鍵
図7は、監視キーと開閉鍵とを示す斜視図であり、
図8は進入扉の構成を示す説明図である。
図8では、進入扉33A〜33Fを代表して、進入扉33Aを示すものであるが、他の進入扉33B〜33Fもほぼ同様の構成することができる。
進入扉33Aは、進入防護柵31の外側及び内側から施錠及び解錠を行うための施錠機構38Aと、進入扉33Aの開閉状態を(ここでは、施錠されているか否か)を電気的に検出するための扉スイッチ37Aとが設けられている。なお、進入扉33B〜33Fについても、施錠機構38A及び扉スイッチ37Aと同様の施錠機構及び扉スイッチが設けられている。
【0046】
図7に示すように、施錠機構38Aの施錠及び解錠を行うための開閉鍵39Aは、監視キー25とキーリング51によって連結されている。なお開閉鍵39Aと監視キー25との連結は、ワイヤーや紐などにより連結することも可能である。
ここで、一対の進入扉33A、33Bに設けられる施錠機構38Aは、同一の開閉鍵39Aに適合するキーホールを有している。また、開閉鍵39Aは、監視キー25と同数用意されており、キーリング51により監視キー25と連結されている。なお、施錠機構38Aとしては、進入扉33Aのデッドボルト等からなるロック機構や南京錠等種々の形式のものが使用可能である。
【0047】
扉スイッチ37Aは、進入扉33A又は施錠機構38Aに一体化しており、施錠機構38Aの開閉状態に関する検知信号をメインコントロールボックス11に送信するようになっている。扉スイッチ37Aは、例えば、近接スイッチや光電センサなどで構成され、進入扉33Aが進入口34Aを閉じている状態であるか否かを検出する検出信号をメインコントロールボックス11に送信する。
【0048】
進入扉33B〜33Fについても、同様にして、それぞれ施錠機構38B〜38F、扉スイッチ37B〜37Fが設けられており、扉スイッチ37B〜37Fの検出信号がメインコントロールボックス11に送信されるように構成されている。
【0049】
メインコントロールボックス11の進入者把握装置13は、各扉スイッチ37A〜37Fからの検出信号に基づいて、進入扉33A〜33Fのうちで開状態であるものがあるか否かを判断する。進入者把握装置13は、進入扉33A〜33Fのうち開状態のものが存在すると判断した場合には、メイン制御装置12に対して、搬送車3への給電を遮断する給電遮断指令を行う。
また、進入者把握装置13は、PLC29を含むキー管理回路40の検出信号に基づいて、進入防護柵31内に進入者が存在する可能性があるか否かを判断する。進入者把握装置13は、キー管理回路40の出力信号が、搬送車システム1の起動が可能である旨の信号である場合には、進入防護柵31内に進入者が存在しないと判断して、メイン制御装置12に対して、搬送車3への給電を許可する信号を送信する。また、進入者把握装置13は、キー管理回路40の出力信号が、搬送車システム1の起動が不可である旨の信号である場合には、進入防護柵31内に進入者が存在する可能性があると判断して、メイン制御装置12に対して、搬送車3への給電を遮断する給電遮断指令を行う。
【0050】
メイン制御装置12は、進入者把握装置13からの給電遮断指令を受信すると、自動運転実行の有無にかかわらず、起動ボタン23A2〜23F2や運転準備ボタン23A4〜23F4が押圧操作されても、その指令を受け付けずに、搬送車3への給電を行わないように構成されている。
【0051】
(4−5)進入防護柵の通り抜け手順
このような進入防護柵31内の通り抜け時における安全を確保する機能を備えた搬送車システム1では、以下の手順に従って、進入防護柵31内における進入者の安全を確保しつつ、進入者による進入防護柵31内の通り抜けを行うことができる。
図9〜
図15は、進入者が進入防護柵内を通り抜ける手順を示す説明図である。
なお、
図9〜
図14では、進入者52が、横断通路35Aを進入扉33Aから進入扉33Bに向けて通り抜ける場合を例示しており、対になっている監視ボックス22A、22Bに、それぞれキー装着部対を構成するキー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8を備え、合計8個の監視キー25A1〜25A8が装着されている。
【0052】
図9に示すように、進入防護柵31内の通り抜けをしようとする進入者52は、搬送車3の自動運転を停止させるために、操作ボックス21Aの自動停止ボタン23A3を押圧操作する。メイン制御装置12は、搬送車3を自動運転の基準位置まで移動させ、自動運転ボタン23A3の表示ランプを点灯させる。搬送車3が自動運転の基準位置において停止した後は、メイン制御装置12は、自動停止ボタン23A3の表示ランプを消灯させ、起動ボタン23A2の表示ランプを点灯状態から点滅状態に遷移させる。このとき、各表示ランプの表示状態は、操作ボックス21A〜21Fの全てにおいて、同期した表示とすることができる。
【0053】
図10に示すように、進入者52は、進入扉33Aを開けるために、監視ボックス22Aのキー装着部24A1〜24A8に装着されている監視キー25のうちのいずれか1つを時計回りに回転して、監視ボックス22Aから抜く。
図10では、キー装着部24A1に装着されていた監視キー25A1を抜いた場合を示している。
このとき、
図6に示すキー管理回路40のうち、第1キー管理回路40Aの出力信号がオフ状態となる。したがって、PLC29、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cと直列に接続されているリレー28がオフ状態となる。
【0054】
この状態で、進入者把握装置13は、キー管理回路40の出力信号に基づいて、進入防護柵31内に進入者52が存在する可能性があると判断することができる。メイン制御装置12は、搬送車3の動作を制限するための運転制限指令を行う。これにより、各操作ボックス21A〜21Fの起動ボタン23A2〜23F2が押圧操作されても、自動運転は開始されない。したがって、進入防護柵31内における進入者52の安全が確保され、進入扉33Aからの進入者52の通り抜けが可能となる。
なお、操作ボックス21Aの自動停止ボタン23A3を押圧操作することなく、監視キー25A1をキー装着部24A1から抜いた場合であっても、進入者把握装置13は、キー管理回路40からの検出信号に基づいて、進入防護柵31内に進入者52が存在する可能性があると判断して、その旨の信号をメイン制御装置12に送信する。
なお、この場合、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25の総数は、予め記憶されている監視キー25の総数と異なることから、PLC29は、監視キー25の総数が合致していない旨の信号を送信している。
したがって、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25に異常があれば、PLC29による総数の監視と、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cによる装着位置の監視とによる二重チェックが行われ、より安全性を高めることが可能となる。
【0055】
進入者52は、開閉鍵39Aにより進入扉33Aの施錠機構38Aを解錠し、進入扉33Aを開けて進入防護柵31内に進入することができる。このとき、扉スイッチ37Aが進入扉33Aの開状態を検出することにより、進入者把握装置13は、進入防護柵31内に進入者52が存在する可能性があると判断して、その旨の信号をメイン制御装置12に送信する。これにより、各操作ボックス21A〜21Fの起動ボタン23A2〜23F2や運転準備ボタン23A4〜23F4が押圧操作されても、搬送車3への給電が行われない。なお、起動ボタン23A2〜23F2、自動停止ボタン23A3〜23F3、運転準備ボタン23A4〜23F4は、消灯状態となる。
【0056】
図11に示すように、進入者52は、進入防護柵31内に進入し、開閉鍵39Aを用いて施錠機構38Aを施錠して進入扉33Aを閉める。開閉鍵39Aと監視キー25A1とは連結されていることから、進入者52は、開閉鍵39Aとともに監視キー25A1を携帯した状態で、進入防護柵31内に進入することとなる。
なお、進入者52が進入防護柵31の内側から進入扉33Aに施錠することで、扉スイッチ37Aは閉状態を示す信号を送信することとなるが、進入者52が所持する監視キー25が、対応するキー装着部対のいずれにも装着されていないので、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cのうち、該当するキー管理回路がオフになっている。このことから、キー管理回路40の出力信号に基づいて、進入者把握装置13は、搬送車システム1の起動が不可であると判断することができる。したがって、メイン制御装置12は、搬送車3への給電を行わない状態となっている。
【0057】
図12に示すように、進入者52は、横断通路35Aの通り抜け先である進入扉33Bを開けるために、施錠機構38B(図示せず)を解錠して、進入扉33Bを開ける。この後、進入者52は、進入扉33Bから進入防護柵31の外に出て、進入扉33Bの施錠を行い、さらに、監視キー25A1を監視ボックス22Bのキー装着部24B1に装着する。
この時、進入者52は、進入防護柵31内に進入する前に、監視キー25A1が装着されていたキー装着部24A1と対になっている、監視ボックス22Bのキー装着部24B1に監視キー25A1を装着する。
【0058】
進入者52が、キー装着部24A1から監視キー25A1を抜いた時点で、第1キー管理回路40Aのキー装着部対241がオフ状態となっているが、監視キー25A1をキー装着部24B1に装着することにより、キー装着部対241がオン状態に遷移する。このことにより、第1キー管理回路40Aがオン状態となる。
また、第2キー管理回路40B及び第3キー管理回路40Cに対応する監視キー25が移動しておらず、第2キー管理回路40B、第3キー管理回路40Cはオン状態を維持している。
さらに、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25の総数が、予め記憶されている監視キー25の総数と一致した状態となり、PLC29は、監視キー25の総数が合致した旨の信号を出力している。
このことにより、PLC29、第1キー管理回路40A〜第3キー管理回路40Cが直列接続されるキー管理回路40のリレー28がオン信号を出力している。
したがって、進入者把握装置13は、キー管理回路40の出力信号に基づいて、進入防護柵31内に進入者52が存在しないと判断して、その旨の信号をメイン制御装置12に送信する。この状態では、運転準備ボタン23A4〜23F4及び起動ボタン23A2〜23F2の押圧操作による搬送車3への給電指令及び搬送指令を受け付けることが可能となる。
【0059】
監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8は、進入防護柵31の外側からのみ監視キー25の装着が可能となっており、進入防護柵31の内部から監視キー25を装着することができないようになっている。したがって、進入者52が進入防護柵31の内部に存在している状態であれば、開閉鍵39Aと対になっている監視キー25がキー装着部24A1〜24F8の対応するキー装着部に装着されていない状態となる。監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に、監視キー25が装着されていないキー装着部対がなければ、進入防護柵31内に進入者52が存在しない状態であることを検出できる。
【0060】
図13に示すように、進入者52は、通り抜けた先の操作ボックス21Bの運転準備ボタン23B4を押圧操作することにより、搬送車3への給電を開始させ、続いて、起動ボタン23B2を押圧操作することにより、自動運転を開始させることができる。ただし、進入扉33A〜33Fの施錠が行われていない場合に、進入扉33A〜33Fが開いてしまうという危険性を考慮して、進入者把握装置13は、扉スイッチ37A〜37Fから送信される検出信号が開状態であるものが含まれる場合に、搬送車3への給電を遮断する給電遮断指令を行うようにすることが好ましい。
【0061】
図14に示すように、進入者52が進入防護柵31内に進入している状態で、他の作業者53が操作ボックス21Bの運転準備ボタン23B4又は起動ボタン23B2を押圧操作したとする。この場合、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8の各キー装着部対のうち、監視キー25が装着されていない対が存在し(図示した例では、キー装着部24A1、24B1)、キー管理回路40のリレー28はオフ状態となっている。進入者把握装置13は、キー管理回路40の出力信号に基づいて、進入防護柵31内に進入者52が存在する可能性があると判断し、メイン制御装置12は、搬送車3への給電や自動運転の指示を受け付けない状態となっている。
このような場合には、メインコントロールボックス11又は操作ボックス21A〜21Fからブザー音などを報知することにより、作業者53に進入防護柵31内に進入者52が存在する旨の報知を行うことができ、また、進入者52に対しては、搬送車システム1の起動ができない理由として、進入防護柵31の外部に退出することを促す報知を行うことができる。
【0062】
図15は、進入者52が、監視ボックス22Aのキー装着部24A1から監視キー25A1を抜いて、進入防護柵31内を通り抜けた後に、監視ボックス22Bのキー装着部24B2に装着した場合を示している。
この場合、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25の総数は、予め記憶されている監視キー25の総数と一致している。このため、PLC29は、監視キー25の総数が合致する旨の信号を出力している。
しかしながら、PLC29のシーケンス制御にバグが生じた場合や、リレー回路に断線などのエラーがある場合に、進入防護柵31内に進入者52が存在することを正確に把握できないおそれがある。
【0063】
本実施形態では、監視ボックス22Aのキー装着部24A1〜24A8と、監視ボックス22Bのキー装着部24B1〜24B8とをそれぞれキー装着部対241〜248として並列に接続し、各キー装着部対241〜248を直列接続している。
図16は、キー管理回路の一部を示す回路図である。
図15に示すような状態では、キー装着部対241のキー装着部24A1、24B1には、監視キー25が装着されておらず、キー装着部242のキー装着部24A2、24B2の両方に監視キー25が装着されている。
この場合、キー装着部対242はオン状態であるが、キー装着部対241はオフ状態となる。したがって、第1キー管理回路40Aがオフ状態となり、キー管理回路40のリレー28はオフ状態となっている。このキー管理回路40の出力信号に基づいて、進入者把握装置13は、搬送車システム1の起動が不可であると判断することができる。
【0064】
本実施形態では、監視キー25A1〜25A8が、それぞれ対応するキー装着部対241〜248のキー装着部に装着される必要がある。監視ボックス22C、22Dのキー装着部対、監視ボックス22E、22Fのキー装着部対についても同様の構成である。
本実施形態によれば、監視キー25が所定のキー装着部に戻されたか否かを判定することにより、進入防護柵31内に進入者52が存在するか否かを判断しており、進入防護柵31内を通り抜ける際の安全性を高めることができる。
また、PLC29により、監視ボックス22A〜22Fのキー装着部24A1〜24F8に装着されている監視キー25の総数が、予め記憶されている監視キー25の総数と一致するか否かを監視することで、さらに、安全性を高めることが可能である。
なお、監視キー25A1〜25A8が、それぞれ対応するキー装着部対241〜248のキー装着部に装着された場合には、監視キー25の総数が、予め記憶されている監視キー25の総数と一致することになるため、PLC29による総数の監視は省略することも可能である。
また、対となるキー装着部と、対応する監視キー25に、固有番号を付与することにより、進入者52が、監視キー25を装着するキー装着部を容易に認識することができる。
【0065】
(4−6)キー管理回路の変形例
図17は、キー管理回路の変形例の回路図である。
図17では、監視ボックス22A,22Bの監視ボックス対により構成されるキー管理回路60を示しており、キー管理回路60は、キー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8が電気的に接続されている。
キー装着部24A1〜24A8、24B1〜24B8は、それぞれ、監視キー25が装着されていない状態でオン状態となるb接点スイッチ61を備えている。
監視ボックス22Aのキー装着部24A1と、監視ボックス22Bのキー装着部24B1とは、「1」の番号が付されて対を構成しており、電気的に直列接続されたキー装着部対611を構成する。
【0066】
同様にして、キー装着部24A2とキー装着部24B2〜キー装着部24A8とキー装着部24B8が、それぞれ2〜8の番号が付されて対を構成しており、キー装着部対612〜618を構成している。
キー装着部対611〜618は、電気的に並列接続されており、さらに、リレーコイル62が接続されている。
キー装着部対611〜618は、対を構成するキー装着部の双方に監視キー25が装着されていない場合にオン状態となり、キー装着部のいずれか一方に監視キー25が装着されている場合にはオフ状態となる。
キー装着部対611〜618が並列接続されることにより、キー装着部対611〜618のいずれか1つがオン状態となっている場合(対になっているキー装着部の双方に監視キー25が装着されていない場合)に、リレーコイル62がオン状態となる。
このようにしたキー管理回路60では、キー装着部対611〜618のいずれか1つでも監視キー25が装着されていないものがあれば、リレーコイル62がオン状態となる。このキー管理回路60の出力信号に基づいて、進入者把握装置13が、搬送車システム1の起動が不可であると判断することができる。
【0067】
監視ボックス22C,22Dの監視ボックス対及び監視ボックス22E、22Fの監視ボックス対についても、同様の構成であり、各キー管理回路60が並列接続されている。
このことにから、キー装着部24A1〜24F8により構成されるキー装着部対のうち、1つでも監視キー25が装着されていないものが存在する場合、リレーコイル62がオン状態となり、進入者把握装置13が搬送車システム1の起動が不可であると判断することができる。
前述の実施形態と同様に、PLC29により監視キー25の総数が一致するか否かの検出と組み合わせることにより、進入防護柵31内に進入者が存在する可能性を検出することができ、より安全性を確保することが可能となる。
【0068】
(5)実施形態の特徴
自動運転機器システム(例えば、搬送車システム1)は、自動運転機器(例えば、走行路2及び搬送車3)の周囲を進入防護柵(例えば、進入防護柵31)で囲い、進入防護柵の一部に一対の進入扉(例えば、進入扉33A及び33B、33C及び33D、33E及び33F)を設けた自動運転機器システムであり、一対のキー装着ユニット(例えば、監視ボックス22A及び22B、22C及び22D、22E及び22F)と、監視キー(例えば、監視キー25、25A1〜25A8)と、キー管理回路(例えば、キー管理回路40)と、進入者把握装置(例えば、進入者把握装置13)とを備える。一対のキー装着ユニットは、進入防護柵の外側に、各進入扉に対応するように一対の進入扉のそれぞれに設けられ、キーの装着・非装着に応じた信号を出力する同数のキー装着部(例えば、キー装着部24A1〜24F8)がそれぞれ対をなすように設けられている。監視キーは、進入扉を開閉するための開閉鍵(例えば、開閉鍵39A)と組み合わされ、キー装着部のうち予め設定された一対のキー装着部のいずれか一方に装着される。キー管理回路は、対をなすキー装着部を電気的に接続し、対をなすキー装着部のいずれか一方に対応する監視キーが装着されているか否かを検出する。進入者把握装置は、監視キーが装着されていない場合に自動運転機器の動作を制限する。
【0069】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。