(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189817(P2015-189817A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】香味オイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/02 20060101AFI20151006BHJP
A23L 1/221 20060101ALI20151006BHJP
C11C 3/00 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
C11B9/02
A23L1/221 C
C11C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-66760(P2014-66760)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390033145
【氏名又は名称】焼津水産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】稲森 美奈子
【テーマコード(参考)】
4B047
4H059
【Fターム(参考)】
4B047LB01
4B047LB03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LG01
4B047LG09
4B047LG10
4B047LG37
4B047LP01
4B047LP02
4H059BC13
4H059BC23
4H059CA12
4H059CA13
4H059CA51
4H059DA09
4H059EA36
(57)【要約】
【課題】香味のよい香味オイルを、低コストかつ簡単に製造できる方法を提供する。
【解決手段】ハーブをアルコール水溶液で抽出して抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び/又は塩類とを混合する油脂混合工程と、前記混合液を油層と水層とに分離して、油層を回収する油層回収工程からなる、製造方法が好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーブをアルコール水溶液で抽出して抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び/又は塩類とを混合する油脂混合工程と、前記混合液を油層と水層とに分離して、油層を回収する油層回収工程とを含むことを特徴とする香味オイルの製造方法。
【請求項2】
前記油脂混合工程において、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び塩類とを混合する請求項1記載の香味オイルの製造方法。
【請求項3】
前記アルコール水溶液は、アルコール濃度が20〜60容量%である、請求項1又は2に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項4】
前記油脂混合工程において、前記抽出液と前記食用油脂との合計量100質量部に対して、前記有機酸を1〜20質量部添加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項5】
前記油脂混合工程において、前記抽出液と前記食用油脂との合計量100質量部に対して、前記塩類を1〜20質量部添加する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項6】
前記油脂混合工程において、前記抽出液に前記油脂を添加した後、10〜50℃の条件で、2〜20時間、撹拌混合し、次いで、前記有機酸及び/又は塩類を添加して、更に1〜20時間、撹拌混合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項7】
前記ハーブが、アニスヒソップ、アロエ、イタリアンパセリ、イヌハッカ、エゴマ、オリーブ、オレガノ、カモミール、キャットミント、キャラウェイ、ケッパー、コリアンダー、クレソン、サフラワー、サフラン、サンザシ、サンショウ、ジキタリス、シソ、ジャスミン、ステビア、セージ、セイヨウタンポポ、タイム、タラゴン、チコリ、ニラ、バジル、ハイビスカス、パセリ、ヒース、ヒソップ、ファンネル、ミント、ミツバ、マジョラム、マリーゴールド、ユーカリ、ラズベリー、ラベンダー、レモングラス、レモンバーム、ローレル、ローズマリー、ケッパー、ローズ、ローズヒップ又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項8】
前記アルコールが、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項9】
前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【請求項10】
前記塩類が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸塩もしくは上記請求項9記載の有機酸の塩又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の香味オイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーブ類の香味成分を有する香味オイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーブ等の植物は、様々な香気成分を含有しており、植物から抽出された香気成分は、アロマオイルや、香料、化粧品、食品添加物として、広く用いられている。植物から香気成分を取る方法は、植物の種類や抽出部位、用途によって異なり、様々な抽出方法が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水蒸気蒸留によって、香気成分を捕集する方法が開示されている。特許文献2には、植物を破砕および撹拌しながら減圧蒸留して、香気成分を抽出する方法が開示されている。特許文献3には、香気成分をアルコールで抽出した後、アルコールを加熱蒸発させて、香気成分を濃縮する方法が開示されている。特許文献4には、超臨界状態の二酸化炭素を抽出剤とする、香気成分の抽出法が開示されている。特許文献5には、ビールの香り付けに用いられるホップから、香気成分をアルコールで抽出した後、青臭さやヤニ臭の元になる天然由来の有機酸をエステル化して不快臭成分を低減する抽出方法が開示されている。特許文献6には、魚節類に含まれる香味成分を、塩分を含有するアルコール水溶液で抽出して、生臭みのない香味オイルを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−356696号公報
【特許文献2】特開2012−62374号公報
【特許文献3】特開2002−220341号公報
【特許文献4】特開平6−125707号公報
【特許文献5】特開2007−39609号公報
【特許文献6】特開2003−180247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の水蒸気蒸留法、特許文献2の減圧蒸留法、特許文献3の蒸発濃縮法、特許文献4の超臨界流体抽出法は、高価な装置を必要とし、加熱工程に要するランニングコストも高いことから、日常食品のように、消費者に低価格で多量に商品を提供する分野において、好適とは言えない。
【0006】
一方、アルコールを加えて香気成分を抽出する方法は、装置価格とランニングコストを低く抑えることができるが、香りが想定よりも薄くなってしまう場合、もしくは、好ましくない臭気成分まで抽出してしまう場合があり、これらの課題を改善する必要があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、香味のよい香味オイルを、低コスト、かつ簡単に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の香味オイルの製造方法は、ハーブをアルコール水溶液で抽出して抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び/又は塩類とを混合する油脂混合工程と、前記混合液を静置して油層と水層とを分離して、油層を回収する油層回収工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記油脂混合工程において、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び塩類とを混合することが好ましい。
【0010】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記油脂混合工程において、前記アルコール水溶液のアルコール濃度が20〜60容量%であることが好ましい。
【0011】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記油脂混合工程において、前記抽出液と前記食用油脂との合計量100質量部に対して、前記有機酸を1〜20質量部添加することが好ましい。
【0012】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記油脂混合工程において、前記抽出液と前記食用油脂との合計量100質量部に対して、前記塩類を1〜20質量部添加することが好ましい。
【0013】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記油脂混合工程において、前記抽出液に前記油脂を添加した後、10〜50℃の条件で、2〜20時間、撹拌混合し、次いで、前記有機酸及び/又は塩類を添加して、更に1〜20時間、撹拌混合することが好ましい。
【0014】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記ハーブは、アニスヒソップ、アロエ、イタリアンパセリ、イヌハッカ、エゴマ、オリーブ、オレガノ、カモミール、キャットミント、キャラウェイ、ケッパー、コリアンダー、クレソン、サフラワー、サフラン、サンザシ、サンショウ、ジキタリス、シソ、ジャスミン、ステビア、セージ、セイヨウタンポポ、タイム、タラゴン、チコリ、ニラ、バジル、ハイビスカス、パセリ、ヒース、ヒソップ、ファンネル、ミント、ミツバ、マジョラム、マリーゴールド、ユーカリ、ラズベリー、ラベンダー、レモングラス、レモンバーム、ローレル、ローズマリー、ケッパー、ローズ、ローズヒップ又はこれらの混合物から少なくとも1種以上を選ぶことができる。
【0015】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記アルコールが、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の香味オイルの製造方法においては、前記塩類が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸塩もしくは上記記載の有機酸の塩又はこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、香味のよい香味オイルを、低コスト、かつ簡単な方法で製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の香味オイルの製造方法は、ハーブをアルコール水溶液で抽出して抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液と食用油脂と有機酸及び/又は塩類とを混合する油脂混合工程と、前記混合液を油層と水層とに分離して、油層を回収する油層回収工程からなる。以下詳しく説明する。
【0020】
本発明で用いるハーブ類とは、香味成分を有する植物のことをいう。このようなハーブ類であれば、特に制限はなく、例えばアニスヒソップ、アロエ、イタリアンパセリ、イヌハッカ、エゴマ、オリーブ、オレガノ、カモミール、キャットミント、キャラウェイ、ケッパー、コリアンダー、クレソン、サフラワー、サフラン、サンザシ、サンショウ、ジキタリス、シソ、ジャスミン、ステビア、セージ、セイヨウタンポポ、タイム、タラゴン、チコリ、ニラ、バジル、ハイビスカス、パセリ、ヒース、ヒソップ、ファンネル、ミント、ミツバ、マジョラム、マリーゴールド、ユーカリ、ラズベリー、ラベンダー、レモングラス、レモンバーム、ローレル、ローズマリー、ケッパー、ローズ、ローズヒップ等から選ばれた1種以上を原料とすることができる。
【0021】
本発明において、上記ハーブは、生、原形乾燥又は粉末乾燥の状態で、利用できる。抽出効率から考えると、ハーブは乾燥状態のものが好ましい。ハーブの細断及び粉末化の方法は、特に制限されず、カッターミキサー、ミル、フードプロセッサー、乳鉢等を用いることができる。
本発明で用いるアルコール水溶液のアルコール濃度は20〜60容量%が好ましく、25〜35容量%がより好ましい。アルコール濃度が20%よりも低くなると抽出能力が下がり、アルコール濃度が60容量%よりも高くなるとアルコール臭が出てきてしまい好ましくない。アルコールとしては、食品製造に使用可能なものであれば特に制限はないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0022】
本発明で用いる食用油脂は、10〜50℃で液体状の食用油脂であれば特に制限はなく、例えば米サラダ油、大豆油、パーム油、コーン油、白絞油、ヤシ油、菜種油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油等を用いることができる。本発明では、油脂自体の匂いが少ないものが好ましく、中でも米サラダ油、大豆油が特に好ましい。
【0023】
本発明で用いる有機酸は、食品製造に使用可能なものであれば特に制限はないが、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸又はこれらの混合物から選ばれた1種以上を用いることができる。中でもクエン酸が特に好ましい。本発明において、有機酸の添加量はその種類により異なるが、アルコール水溶液と食用油脂の合計量100質量部に対して、1〜20質量部添加することが好ましく、5〜10質量部添加することがより好ましい。有機酸の添加量が1質量部よりも少なくなると、抽出液を静置分離する際に、油層と水層の分離が悪くなって白濁し、香味オイルの品質が下がる。有機酸の添加量を増やすと、油水分離が改善される。同時に、香味がアルコール水溶液から食用油脂に移動し易くなり、香味の良い香味オイルが得られる。ただし、有機酸の添加量が20質量部よりも多くなると、ハーブの好ましくない香りが出てきてしまい好ましくない。
【0024】
本発明で用いる塩類は、食品製造に使用可能なものであれば特に制限はないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸塩もしくは上記記載の有機酸の塩又はこれらの混合物から選ばれた1種以上を用いることができる。中でも、塩化ナトリウムが特に好ましい。本発明において、塩類の濃度は、アルコール水溶液と食用油脂の合計量100質量部に対して、1〜20質量部添加することが好ましく、5〜10質量部添加することがより好ましい。塩類の添加量が1質量部よりも少なくなると、香味がアルコール水溶液から食用油脂に移動し難くなり、香味オイルの香味が下がる。塩類の濃度を増やすと、香味オイルの香味は増すが、塩類の添加量が20質量部よりも多くなると、ハーブの好ましくない香りが出てきてしまい好ましくない。
【0025】
本発明において、ハーブのアルコール抽出液に食用油脂を加えて撹拌混合する際に、有機酸又は塩類を単体で添加してもよいが、有機酸及び塩類を共に添加してもよい。有機酸と塩類を共に添加すると、相乗効果によって、香味が濃厚となり、油水分離性も大きく改善される。有機酸と塩類を共に添加する場合は、アルコール水溶液と食用油脂の合計量100質量部に対して、有機酸の添加量は1〜20質量部が好ましく、塩類の添加量は1〜20質量部が好ましい。このうち、有機酸の添加量は5〜10質量部が好ましく、塩類の添加量は5〜10質量部が特に好ましい。有機酸と塩類を共に添加する場合、クエン酸と塩化ナトリウムの組み合わせが特に好ましい。
【0026】
本発明では、ハーブにアルコール水溶液を接触させる抽出工程において、タンク式の撹拌槽を使用することができる。このタンク式の撹拌槽は、食品工業において一般的に使用されるものでよく、特に限定はない。ハーブとアルコール水溶液を混合撹拌する温度は、10〜50℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。この温度条件下で1〜20時間、撹拌混合することが好ましい。
【0027】
本発明では、前記抽出液と食用油脂の混合工程においても、タンク式の撹拌槽を使用することができる。このタンク式の撹拌槽は、食品工業において一般的に使用されるものでよく、特に限定はない。前記食用油脂を混合撹拌する温度は、10〜50℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。この温度条件下で2時間〜20時間、撹拌混合することが好ましい。また、前記食用油脂に、有機酸及び/又は塩類を加えて、1時間〜20時間、混合撹拌することが好ましい。
【0028】
本発明における一つの実施形態では、上記抽出工程と、前記食用油脂混合工程は、同じ撹拌槽で、連続して行うことができる。また、本発明における別の実施形態では、ハーブとアルコール水溶液を混合撹拌して抽出液を得た後、濾過して抽出液を単離し、別の撹拌槽にて食用油脂と接触させることができる。
【0029】
また、本発明においては、前記アルコール水溶液と食用油脂を含む抽出液を、油層と水層とに分離する。油層と水層との分離は、静置して行うことができるが、遠心分離機を用いて分離してもよい。
【0030】
油層と水層とに分離した後、油層を回収することによって、本発明の香味オイルを製造することができる。
【0031】
本発明の製造方法によって得られた香味オイルは、ハーブのフレッシュな香りを有しており、例えば、ドレッシング、ソース、マーガリン、パン等の食品や調味料の香味付与などの風味増強として様々な用途に好適に用いることができる。また、食品の他、石鹸、クリーム、ローション等にも用いることが出来る。
【実施例】
【0032】
<実施例1>
下記工程によって香味オイルを製造した。
(工程1):撹拌槽に、ハーブ原形(ローレル・タイム・ローズマリー)9.0gと、容量濃度25%のエタノール水溶液120.0gを投入し、25〜30℃にて2時間、撹拌混合した。
(工程2):撹拌槽に、サラダ油(米サラダ油)360.0g(エタノール水溶液の3倍量)を投入し、25〜30℃にて2時間、撹拌混合した。
(工程3−1):エタノール水溶液とサラダ油の合計量100質量部に対して、クエン酸8質量部と、塩化ナトリウム5質量部を加え、15時間、撹拌混合した。
(工程4):撹拌槽の内容物を濾過して、抽出液を得た。
(工程5):上記抽出液を静置して油層と水層を分離し、油層を回収して香味オイルを得た。
【0033】
以下の実施例2〜5においては、実施例1における(工程3−1)を、各々(工程3−2)〜(工程3−5)に、変更した。その他の工程は、実施例1の方法にしたがった。
【0034】
<実施例2>
(工程3−2):エタノール水溶液とサラダ油の合計量100質量部に対して、塩化ナトリウム5質量部を加え、15時間、撹拌混合した。
【0035】
<実施例3>
(工程3−3):エタノール水溶液とサラダ油の合計量100質量部に対して、クエン酸8質量部を加え、15時間、撹拌混合した。
【0036】
<実施例4>
(工程3−4):エタノール水溶液とサラダ油の合計量100質量部に対して、クエン酸1質量部と、塩化ナトリウム1質量部を加え、15時間、撹拌混合した。
【0037】
<実施例5>
(工程3−5):エタノール水溶液とサラダ油の合計量100質量部に対して、クエン酸20質量部と、塩化ナトリウム20質量部を加え、15時間、撹拌混合した。
【0038】
<比較例1>
比較例1では、エタノール水溶液による抽出工程を省略した。すなわち、撹拌槽に、ハーブ原形(ローレル・タイム・ローズマリー)9.0gと、サラダ油(米サラダ油)360.0gを投入し、25〜30℃にて2時間、撹拌混合した後、サラダ油100質量部に対して、クエン酸8質量部と、塩化ナトリウム5質量部を加え、更に15時間、撹拌混合した。最後に、撹拌槽の内容物を濾過して、香味オイルを得た。
【0039】
<比較例2>
比較例2では、25容量%のエタノール水溶液120.0gに、エタノール水溶液100質量部に対して、クエン酸8質量部と、塩化ナトリウム5質量部を加えて、ハーブの抽出に使用した。すなわち、撹拌槽に、ハーブ原形(ローレル・タイム・ローズマリー)9.0gと、上記のクエン酸及び塩化ナトリウムを含有するエタノール水溶液にサラダ油(米サラダ油)360.0gを投入し、25〜30℃にて17時間、撹拌混合した後、撹拌槽の内容物を濾過して、抽出液を得た。最後に、上記抽出液を静置して油層と水層を分離し、油層を回収して香味オイルを得た。
【0040】
<比較例3>
比較例3では、クエン酸及び塩化ナトリウムは一切添加しなかった。すなわち、撹拌槽に、ハーブ原形(ローレル・タイム・ローズマリー)9.0gと、エタノール水溶液120.0gを投入し、25〜30℃にて2時間、撹拌混合した後、サラダ油(米サラダ油)360.0gを投入して更に17時間撹拌混合した。次に、撹拌槽の内容物を濾過して、抽出液を得た。最後に、上記抽出液を静置して油層と水層を分離し、油層を回収して香味オイルを得た。
【0041】
実施例1〜5、比較例1〜3で調製した香味オイルについて、下記に示す項目と評価基準にしたがって、評価した。
【0042】
[香り]
4名の検査員が香味オイルの香りを直接嗅いで判定した。
【0043】
◎:力価が強く、フレッシュな香りが非常に強い。
【0044】
○:力価が強く、フレッシュな香りがある。
【0045】
△:力価は強いが、フレッシュな香りが弱い。
【0046】
×:力価が弱く、フレッシュな香りがない。
【0047】
[分離性]
4名の検査員が香味オイルの濁りを目視して判定した。
【0048】
◎:油水分離が、非常に良好である。
【0049】
○:油水分離が良好である。
【0050】
△:油水分離がやや悪く、やや濁っている。
【0051】
×:油水分離が悪く、白濁している。
【0052】
結果をまとめて表1及び2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
上記表1に示されるように、抽出にエタノール水溶液を使用し、サラダ油投入後にクエン酸及び塩化ナトリウムを添加する、実施例1によれば、油水分離性が非常に良好で、力価が強く、フレッシュなハーブの香りを有する香味オイルが得られた。
【0056】
しかし、抽出にエタノール水溶液を使用せず、サラダ油投入後にクエン酸及び塩化ナトリウムを添加する、比較例1は、力価が弱く、フレッシュな香りが得られなかった。
【0057】
また、抽出にクエン酸と塩化ナトリウムを含有するエタノール水溶液を使用し、サラダ油投入後にクエン酸及び塩化ナトリウムを添加しなかった、比較例2は、油水分離性は良かったが、ハーブのフレッシュな香りは弱かった。
【0058】
また、抽出にエタノール水溶液を使用し、サラダ油投入後にクエン酸及び塩化ナトリウムを添加しなかった、比較例3は、油水分離性が悪く白濁しており、ハーブのフレッシュな香りは弱かった。
【0059】
上記表2は、実施例1〜5のクエン酸と、塩化ナトリウムの添加量を変えた評価結果を示す。
【0060】
塩化ナトリウムを単独で加えた実施例2は、フレッシュな香りが弱く、クエン酸を単独で加えた実施例3では、フレッシュな香りは得られるが、クエン酸及び塩化ナトリウムを両方加えた実施例1のよりも弱かった。また、塩化ナトリウムを単独で加えた実施例2は、油水分離があまり良くなく、やや濁っていた。
【0061】
クエン酸と塩化ナトリウムの添加量を共に1質量部とする、実施例4でも、フレッシュな香りは得られるが、油水分離があまり良くなく、やや濁っていた。
【0062】
クエン酸と塩化ナトリウムの添加量を共に20質量部とする、実施例5は、油水分離性が非常に良好で、実施例1と同等なハーブの香りを有する香味オイルが得られた。