【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1−7
表1に示す配合の材料をロールにて混練してゴム組成物とし、これを170℃に予熱された所定の形状の金型に充填し、22分間プレス成型を行った後、熱風循環式ギアオーブン中で170℃1時間2次架橋を行って試験片を得た。
【0024】
表1中の各成分は、以下の通りである。尚、ENBは、エチリデンノルボルネンの略である。
[EPDM]
EPDM1:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)80、エチレン含有量55%、第3成分ENB5.5重量%)
EPDM2:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)25、エチレン含有量53%、第3成分ENB6重量%)
EPDM3:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)42、エチレン含有量51%、第3成分ENB4.5重量%)
EPDM4:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)48、エチレン含有量54%、第3成分ENB9重量%)
[カーボンブラック]
サーマックスN990:MTカーボンブラック(平均1次粒子径280nm、Cancarb社製)
[過酸化物]
パーヘキサ25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂(株))
[老化防止剤]
ノクラックCD:4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学(株))
【0025】
比較例1
ゴム組成物として、非油展EPDM(70重量部)と油展量40重量部の油展EPDM(100重量部)、1次粒子径が23nmであるカーボンブラック(ISAF級カーボンブラック:ショウブラックN220、キャボットジャパン株式会社製)(90重量部)、過酸化物2.8重量部、共架橋剤2.5重量部、老化防止剤1重量部を含む組成物を用いた他は、実施例1−7と同様にしてゴムシートを製造した。
【0026】
比較例2
ゴム組成物として、シリコーンゴム(100重量部)、着色剤1重量部、過酸化物0.8重量部を含む組成物を用いた他は、実施例1−7と同様にしてゴムシートを製造した。
【0027】
比較例3
ゴム組成物として、フッ素ゴム(100重量部)、MTカーボン20重量部、共架橋剤(トリアリルイソシアヌレート)4重量部、過酸化物(パーヘキサ25B)1.5重量部を含む組成物を用いた他は、実施例1−7と同様にしてゴムシートを製造した。
【0028】
評価例1
実施例1−7と比較例1−3で得られたゴムシートについて、以下の耐熱試験及び耐アミン性試験を実施した。結果を表1に示す。
[耐熱性試験]
耐熱性試験は、JIS K6262に準拠し、圧縮永久ひずみ特性によって評価した。
試験片は大形試験片(φ29mm、厚さ12.5mm)を3個用い、圧縮率を25%に設定して行った。まず、試験片を標準温度23℃に置き、4時間恒温した後、厚さを測定した。次に試験片を圧縮板(平滑なステンレス鋼板)に置き、圧縮率が25%となるように規定したスペーサを試験片の外側に設置した。その後、圧縮板がスペーサに密着するまで油圧式ハンドプレスで圧縮し、ボルト締めで圧縮状態を維持した。
この試験ジグを任意の試験温度の熱風循環式ギアオーブン内に任意の試験時間保持した。試験時間が経過した後、試験ジグを取り出し、直ちに圧縮状態から開放し、厚さ1cmの木板上に試験片を置き、標準温度23℃で30分放置した後に試験片中央部の厚さを測定した。得られた試験前後の試験片厚さ及びスペーサ厚さから下記式に代入して圧縮永久ひずみを算出した。
CS=(t
0−t
2)/(t
0−t
1)×100
(式中、CSは、圧縮永久ひずみ(%)を表す。
t
0は、試験片の元の厚さ(mm)を表す。
t
1は、スペーサの厚さ(mm)を表す。
t
2は、圧縮装置から取外し、30分後の試験片の厚さ(mm)を表す。)
【0029】
[耐アミン性試験]
長さ30mm、幅30mm、厚さ2mmに切断した試験片を用意し、空気中重量及び、水中重量を天秤で測定した。
これら試験片を100ccのPFA製蓋付き容器にモノエタノールアミン溶液を70cc入れた浸漬容器に入れて蓋をし、100℃の熱風循環式オーブンで168時間保持した。試験時間が経過した後、浸漬容器を取り出し、室温まで放冷した。容器から試験片を取り出し、表面のモノエタノールアミン溶液をウエスで拭き取った後に空中重量及び水中重量を測定した。得られた試験前後それぞれの空中重量及び水中重量から試験片体積を算出し、試験前後体積変化率を算出し、体積変化率を耐アミン性として評価した。
【0030】
【表1】
【0031】
評価例2
実施例1と比較例1〜3で得られたゴムシートについて、以下の耐蒸気試験及び耐放射線試験を実施した。結果を表2に示す。
[耐蒸気性試験]
耐蒸気性試験は、オートクレーブを用いて実施し、圧縮永久ひずみ特性によって評価した。試験片は大形試験片(φ29mm、厚さ12.5mm)を3個用い、圧縮率を25%に設定して行った。
まず、試験片を標準温度23℃に置き、4時間恒温した後、厚さを測定した。次に試験片を圧縮板(平滑なステンレス鋼板)に置き、圧縮率が25%となるように規定したスペーサを試験片の外側に設置した。その後、圧縮板がスペーサに密着するまで油圧式ハンドプレスで圧縮し、ボルト締めで圧縮状態を維持した。この試験ジグを任意の試験温度のオートクレーブ内に任意の試験時間保持した。試験時間が経過した後、オートクレーブを23℃まで冷却し、試験ジグを取り出した。23℃で試験ジグを圧縮状態から開放し、厚さ1cmの木板上に試験片を置き、標準温度23℃で30分放置した後に試験片中央部の厚さを測定した。得られた試験前後の試験片厚さ及びスペーサ厚さから耐熱性試験で用いた圧縮永久ひずみ計算式に代入して圧縮永久ひずみを算出した。
【0032】
[耐放射線試験]
耐放射線試験は、試験片に放射線を照射したものを用いて大気雰囲気下と蒸気雰囲気下での圧縮永久ひずみ特性によって評価した。試験片は大形試験片(φ29mm、厚さ12.5mm)を3個用い、圧縮率を25%に設定して行った。まず、試験片をアルミ箔で個別に包み、アルミケース(高さ15mm、幅300mm、長さ300mm)に梱包した。このケースに線源にCo60を使用したγ線を線量率10kGy/hrで総照射線量が800kGyとなるまで照射した。アルミケースから試験片を取り出し、得られた試験片を標準温度23℃に置き、4時間恒温した後、厚さを測定した。
次にこの試験片を用いて耐熱性試験、耐蒸気性試験と同様の操作で圧縮永久ひずみを測定した。
【0033】
【表2】
【0034】
実験例1−5
表3に示す配合の材料をロールにて混練してゴム組成物とし、これを170℃に予熱された所定の形状の金型に充填し、22分間プレス成型を行った後、熱風循環式ギアオーブン中で170℃1時間2次架橋を行って試験片を得た。
得られたゴムシートについて、評価例1と同様の耐熱性評価を行った。結果を表3に示す。
【0035】
表3中の各成分は、以下の通りである。
[EPDM]
EPDM1:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)80、エチレン含有量55%、第3成分ENB5.5重量%)
EPDM2:非油展EPDM(ムーニー粘度ML1+4(125℃)25、エチレン含有量53%、第3成分ENB6重量%)
[カーボンブラック]
FEF級カーボンブラック(平均1次粒子径43nm)
[架橋剤(過酸化物)]
パーヘキサ25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂(株))
[カップリング剤]
ブレンアクトKR−TTS:チタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ(株))
[共架橋剤]
NKエステル4G:ポリエチレングリコール #200 ジメタクリレート(新中村化学工業(株))
【0036】
【表3】
【0037】
表3からカップリング剤又は共架橋剤を含むと耐熱性が低下することが分かる。