【解決手段】カッター支持台24と、カッター支持台24に取付けられて鉄筋5を切断するディスク状のカッター23とを備えたカッターユニット25と、カッターユニット25を収納する収納体21と、第2の建造物の外壁方向に突出して収納体21を固定する押さえ手段22と、カッターユニット25を移動させてカッター23を収納体の下部側から出し入れさせるカッター出し入れ手段26と、カッターユニット25を昇降させるカッター上下手段27とを備えた鉄筋切断装置10により、第1の建造物の外壁から突出している鉄筋5を切断するようにした。
外壁から鉄筋が突出している第1の建造物の前記外壁と、前記第1の建造物と空間を隔てて建てられた第2の建造物の外壁との間に配置されて、前記鉄筋を切断する鉄筋切断装置であって、
カッター支持台と、前記カッター支持台に取付けられて前記鉄筋を切断するディスク状のカッターとを備えたカッターユニットと、
前記カッターユニットを収納する収納体と、
前記収納体に取付けられ、前記第2の建造物の外壁方向に突出して前記第2の建造物の外壁に当接する押さえ手段と、
前記カッターユニットを移動させて前記カッターを前記収納体の下部側から突出させたり収納体内部に収納させるカッター出し入れ手段と、
前記カッターユニットを昇降させて前記カッターを上下させるカッター上下手段とを備えることを特徴とする鉄筋切断装置。
前記カッター出し入れ手段は、前記カッターの下端が前記第1の建造物の外壁面側に近くなるように傾けた状態で前記カッターを突出させることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋切断装置。
前記第1の建造物の外壁側から見たときに、前記カッター出し入れ手段が、カッター上下手段に対して傾斜して取付け可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄筋切断装置。
外壁から鉄筋が突出している第1の建造物の前記外壁と、前記第1の建造物と空間を隔てて建てられた第2の建造物の外壁との間にディスク状のカッターを挿入して、前記鉄筋を切断する方法であって、
前記カッターが収納された収納体を吊下げて前記空間に挿入する工程と、
前記収納体に設けられた押さえ手段を前記第2の建造物の外壁に押し付けて、前記収納体を前記第1の建造物の外壁と前記第2の建造物の外壁との間に固定する工程と、
前記カッターを、前記第1の建造物の外壁面に対して傾けた状態で前記収納体の下部側から突出させて、前記鉄筋の根本の上方に位置させる工程と、
前記カッターを下降させて前記鉄筋を切断する工程とを有することを特徴とする鉄筋の切断方法。
外壁から鉄筋が突出している第1の建造物の前記外壁と、前記第1の建造物と空間を隔てて建てられた第2の建造物の外壁との間にディスク状のカッターを挿入して、前記鉄筋を切断する方法であって、
前記カッターが収納された収納体を吊下げて前記空間に挿入する工程と、
前記収納体に設けられた押さえ手段を前記第2の建造物の外壁に押し付けて、前記収納体を前記第1の建造物の外壁と前記第2の建造物の外壁との間に固定する工程と、
前記カッターを前記収納体の下部側から下降させて、前記鉄筋の根本の上方に位置させる工程と、
前記カッターを、前記第1の建造物の外壁面に対して傾けた状態で下降させて、前記鉄筋を切断する工程とを有することを特徴とする鉄筋の切断方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の鉄筋切断装置では、フライホイールプレートの下面に装着された切断ビットを回転させながら鉄筋を切断する構成であるため、建造物の外壁から突出している鉄筋を切断するには効率が悪いだけでなく、構造上、切断ビットを外壁の表面近く移動させることができないため、鉄筋を根元から切断することが困難である、といった問題点がある。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、狭い作業空間でも建造物の外壁から突出している鉄筋を根元から確実に切断することのできる方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外壁から鉄筋が突出している第1の建造物の前記外壁と、前記第1の建造物と空間を隔てて建てられた第2の建造物の外壁との間に配置されて、前記鉄筋を切断する鉄筋切断装置であって、カッター支持台と、前記カッター支持台に取付けられて前記鉄筋を切断するディスク状のカッターとを備えたカッターユニットと、前記カッターユニットを収納する収納体と、前記収納体に取付けられ、前記第2の建造物の外壁方向に突出して前記第2の建造物の外壁に当接する押さえ手段と、前記カッターユニットを移動させて前記カッターを前記収納体の下部側から突出させたり収納体内部に収納させるカッター出し入れ手段と、前記カッターユニットを昇降させて前記カッターを上下させるカッター上下手段とを備えることを特徴とする。
このように、カッターを収納体の下部側に突出させる構造とすれば、カッターを鉄筋の根元近傍に位置させてから鉄筋を切断できるので、建造物の外壁から突出している鉄筋を根元から確実に切断することができる。
また、収納体に押さえ手段を設けて、収納体を第1及び第2の建造物の間の空間に固定できるようにしたので、鉄筋の切断を安定して行うことができる。
【0008】
また、本発明は、前記カッター出し入れ手段が、前記カッターの下端が前記第1の建造物の外壁面側に近くなるように傾けた状態で、前記カッターを前記収納体から突出させることを特徴とする。
これにより、鉄筋の突出している側の壁面に凹凸があった場合でも、カッターを鉄筋の根元近傍に確実に位置させることができる。
また、本発明は、前記第1の建造物の外壁側から見たときに、前記カッター出し入れ手段が、カッター上下手段に対して傾斜して取付け可能であることを特徴とする。
これにより、カッターを収納体の幅方向端部側に位置させることができるので、コーナー近傍に位置している鉄筋も容易に切断することができる。
なお、収納体の幅方向とは、第2の建造物から第1の建造物に向かう方法を前後方向とした時の左右方向を指す。
【0009】
また、本発明は、外壁から鉄筋が突出している第1の建造物の前記外壁と、前記第1の建造物と空間を隔てて建てられた第2の建造物の外壁との間にディスク状のカッターを挿入して、前記鉄筋を切断する方法であって、前記カッターが収納された収納体を吊下げて前記空間に挿入する工程と、前記収納体に設けられた押さえ手段を前記第2の建造物の外壁に押し付けて、前記収納体を前記第1の建造物の外壁と前記第2の建造物の外壁との間に固定する工程と、前記カッターを、前記第1の建造物の外壁面に対して傾けた状態で前記収納体の下部側から突出させて、前記鉄筋の根本の上方に位置させる工程と、前記カッターを下降させて前記鉄筋を切断する工程とを有することを特徴とする。
これにより、鉄筋の切断を安定して行うことができるとともに、カッターを鉄筋の根元近傍に位置させてから、カッターを上下させて鉄筋を切断できるので、鉄筋を根元から確実に切断することができる。
また、前記カッターを前記収納体の下部側から下降させて、前記鉄筋の根本の上方に位置させてから、前記カッターを、前記第1の建造物の外壁面に対して傾けた状態で下降させて、前記鉄筋を切断するようにしても、カッターを第1の建造物の外壁面に近づけながら鉄筋を切断できるので、鉄筋を根元から確実に切断することができる。
【0010】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本実施の形態に係る鉄筋切断装置10の構成を示す図で、鉄筋切断装置10は、装置本体20と操作部30とを備える。
鉄筋切断装置10の装置本体20は、
図2(a),(b)に示すように、吊下昇降手段50により、第1の建造物1の外壁2と、第1の建造物1の外壁2と狭い間隔D(例えば、D=250mm〜300mm)を隔てて建てられた第2の建造物3の外壁4との間に吊下げられて、第1の建造物1の外壁2から第2の建造物3の外壁4方向に突出している鉄筋5を切断する。吊下昇降手段50としては、
図2(b)に示すように、装置本体20を2本のワイヤー51a,51bで吊下げる形態でもよいし、
図2(c)に示すように、装置本体20をワイヤー52で吊下げるとともに、第1の建造物1の屋上6にレール53を設けワイヤー52を移動させることで、装置本体20を第1の建造物1の外壁2にそって移動させる形態でも良い。なお、装置本体20を2本のワイヤー51a,51bで吊下げる場合には、2本のワイヤー51a,51bの長さを調整することで、装置本体20を第1の建造物1の外壁2にそって移動させるようにすればよい。
操作部30は、第1の建造物1の上部(ここでは、屋上6)に設置される。
装置本体20と操作部30とは、信号線41とエアホース42とを備えた配線40により接続されている。
以下、第1の建造物1の外壁2側を前方、第2の建造物3の外壁4側を後方という。
【0013】
装置本体20は、収納体21と、押さえ手段22と、カッター23とカッター支持台24とを備えたカッターユニット25と、カッター出し入れ手段26と、カッター上下手段27と、カメラ28と、カッター側ターミナル29とを備え、第1の建造物1の外壁2から突出している鉄筋5を切断する。
収納体21は、前側に配置される側板(前面パネル21a)と、後側に配置される側板(後面パネル21b)、前面パネル21aと後面パネル21bとを前後方向に連結する複数の連結棒21pと、前面パネル21aと後面パネル21bとの上側に設けられた天井板21cと、後面パネル21bのほぼ中央部の下端側から下方に突出するように設けられたカメラ支持板21dとを備えた、左右の面と下面とが開放された箱状の容器で、収納体21の厚さである前後方向の長さは、第1の建造物1の外壁2と第2の建造物3の外壁4との距離よりも短くなるように形成されている。
収納体21の内部には、押さえ手段22と、カッターユニット25と、カッター出し入れ手段26と、カッター上下手段27とが収納され、天井板21cの上部には、カッター側ターミナル29が設けられ、カメラ支持板21dにはカメラ28が取付けられる。
また、前面パネル21aの下端部には、カッター23の出し入れ時にカッター23が収納体21に接触するのを防ぐための半円状の切欠き部21kが設けられている。この半円状の切欠き部21kは必ずしも設ける必要はないが、半円状の切欠き部21kを設けることで、カッター23の初期位置を前方に位置させることができるので、カッター出し入れ手段26のストロークを短くすることができる。
【0014】
図3(a)に示すように、押さえ手段22は、エアシリンダ22aと、円盤状の押さえ部材22bとを備え、収納体21の後面パネル21bに取付けられる。エアシリンダ22aは、ピストンとシリンダチューブ(図示せず)とを備えたシリンダ本体22mと、一端がピストンに取付けられたロッド22nを備えており、シリンダ本体22mが収納体21の後面パネル21bに固定され、押さえ部材22bがロッド22nの他端に取付けられる。押さえ部材22bは、初期状態では、収納体21の後方である第2の建造物3の外壁4側に突出するように、ロッド22nに取付けられる。
押さえ手段22は、エアシリンダ22aのロッド22nを伸張させ、押さえ部材22bを第2の建造物3の外壁4に押し付けることで、収納体21を第1及び第2の建造物1,3の間の空間に固定する。このとき、押さえ部材22bの表面側を、クッション性の材料から構成するとともに、収納体21の前面パネル21aと後面パネル21bの周縁部に、クッション性を有する断面視台形状の脚部21qを設けるようにすれば、押さえ部材22bが第2の建造物3の外壁4を滑ることがないので、収納体21を第1及び第2の建造物1,3の間の空間に確実に固定することができる。
【0015】
カッター23は、鉄筋5を切断するもので、例えば、ディスクサンダーなどのディスク状のカッターが好適に用いられる。
図3(b)に示すように、カッター支持台24は、モータ24aと、モータ24aの回転軸に連結されるギアボックス24bと、ギアボックス24bの図示しない出力軸に連結されてカッター回転軸24cと、モータ24aを駆動するモータ駆動回路24dとを内蔵した箱状の部材で、カッター回転軸24cは、箱の下部側の前面から外部に突出してカッター23を装着することで、カッター23を支持する。カッター23は、ディスク面がカッター支持台24の前面に平行になるようにカッター回転軸24cに装着される。
カッター23は、カッター支持台24の下端側に取付けられて、カッター支持台24と一体に移動する。カッター23とカッター支持台24とによりカッターユニット25を構成する。
【0016】
カッター出し入れ手段26は、カッターユニット25を移動させて、カッター23の下端が第1の建造物1の外壁面2側に近くなるように傾けた状態でカッター23を突出させる。本例では、左右方向から見たときに、カッター23のディスク面と第1の建造物1の外壁2とのなす角度が所定の角度(例えば、10°)になるように、カッターユニット25を支持するとともに、鉄筋5を切断する際には、カッターユニット25を傾いた状態のまま斜め下方に移動させて、カッター23及びカッター支持台24の下部側を収納体21の下部側に突出させる。また、鉄筋5の切断の終了後には、カッターユニット25を傾いた状態のまま斜め上方に移動させて、カッター23を収納体21の内部に収納する。
カッター出し入れ手段26としては、例えば、
図3(b)に示すような、ガイドレール26aと、ガイド部材26bと、固定台26cと、エアシリンダ26dとを備えたスライド機構を用いることができる。
ガイドレール26aは、収納体21の前面パネル21aに対して所定角度だけ後面パネル21b側に傾いて上下方向に延長する部材で、カッター上下手段27に上下動可能に取付けられる。
ガイド部材26bは、カッター支持台24に取付けられてガイドレール26aに沿って斜め方向上下にスライドする。
固定台26cは、ガイドレール26aに取付けられてエアシリンダ26dを保持する。
エアシリンダ26dは、固定台26cに取付けられたシリンダ本体26mと、先端がガイド部材26bに連結されたロッド26nとを備え、ロッド26nの伸縮により、ガイド部材26bをガイドレール26aに沿ってスライドさせる。
なお、スライド機構に使用したエアシリンダ26dに代えて、モータにより駆動するリニアアクチュエータを用いてもよい。
また、スライド機構としては、ボールネジを用いたものや、ラックピニオン機構などの他のスライド機構を用いてもよい。
【0017】
このように、カッター23のディスク面が第1の建造物1の外壁2に対して傾いた状態で、収納体21からカッター23を出し入れできるカッター出し入れ手段26を設けたので、鉄筋5を切断する際には、鉄筋5の突出している第1の建造物1の外壁2に凹凸があった場合でも、カッター23を鉄筋5の根元近傍に確実に位置させることができる。すなわち、カッター23のディスク面を外壁2に平行(鉄筋5の延長方向に垂直)になるようにした場合には、カッター23のディスク面が外壁2の凹凸に当たらないようにしなければならないため、カッター23を鉄筋5の根元近傍に位置させることが困難である。これに対して、本例のように、カッター23を外壁2に対して傾けた状態で突出させるようにすれば、カッター23のディスク面は上面側にいくに従って外壁2から離れた状態でカッター23を外壁2に近づけることができる。つまり、カッター23のディスク面が外壁2の凹凸に当たらないようしてカッター23を外壁2に近づけることができるので、カッター23を鉄筋5の根元近傍に確実に位置させることができる。
したがって、鉄筋5の突出している側の壁面(第1の建造物1の外壁2)に凹凸があった場合でも、鉄筋5を根元から切断することができる。
また、収納体21の移動時、すなわち、収納体21が第1及び第2の建造物1,3の間に固定されていないときには、カッター23は収納体21の内部に収納されているので、カッター23が外壁2,4に衝突して破損することを防止することができる。
【0018】
図3(c)に示すように、カッター上下手段27も、カッター出し入れ手段26と同様に、ガイドレール27aと、ガイド部材27bと、固定台27cと、エアシリンダ27dとを備えたスライド機構から構成される。
ガイドレール27aは、上下方向に延長する部材で、収納体21の前面パネル21aの左右の端部側に固定される。
ガイド部材27bは、ロッド受け片27pと、連結片27qと、ガイド片27rとを備える。ロッド受け片27pがエアシリンダ27dのロッド27nの先端側に連結される。連結片27qは、ロッド受け片27pとガイド片27rとを連結する部材で、この連結片27qにカッター出し入れ手段26の固定台26cが取付けられる。
固定台27cは、収納体21の前面パネル21aの中央部に取付けられてエアシリンダ27dを保持する。
エアシリンダ27dは、固定台27cに取付けられたシリンダ本体27mと、先端がガイド部材27bのロッド受け片26pに連結されたロッド27nとを備え、ロッド27nの伸縮により、ガイド部材27bをガイドレール27aに沿ってスライドさせる。
ガイド部材27bのガイド片27rがガイドレール27aに沿ってスライドすることで、ガイド部材27bがガイドレール27aに対して上下方向に移動する。これにより、カッター出し入れ手段26を上下動させることができるので、カッター23を上下方向に移動させることができる。
【0019】
カメラ28は、収納体21の下部に設けられたカメラ支持板21dに、撮影方向が前方向になるように取付けられて、第1の建造物1の外壁2の映像を撮影する。カメラ28で撮影された映像信号は操作部30に送られる。
なお、
図1は、鉄筋5の切断時の図であるので、カッター23及びカッター支持台24が収納体21の下部側に突出しているが、カメラ28の作動時である鉄筋位置の探索時には、カッター23及びカッター支持台24は収納体21の内部に収納されているので、カメラ28の視野を遮ることはない。
鉄筋5の切断時には、切削粉が発生するので、カメラ28のレンズ面の前に防塵シャッターを置いたり、エアーを吹き付けるなどして、レンズ面が汚れるのを防ぐ処置をすることが好ましい。
カッター側ターミナル29は、収納体21の天井板21cの上側に配置されて、操作部30からの信号線やエアホースなどの配線40と、モータ駆動回路24dへの信号線、カメラ28からの信号線、及び、複数のエアシリンダ22a,26d,27dへの配管と連結する。
【0020】
操作部30は、操作部側ターミナル31と、表示部32と、固定操作部33と、出し入れ操作部34と、切断操作部35と、空気給排器36とを備える。空気給排器36としては、電磁弁を制御して圧縮空気を給排する周知の圧縮空気供給装置が挙げられる。
操作部側ターミナル31は、カッター側ターミナル29からの信号線41と、表示部32〜切断操作部35の出力端とを配線で連結するとともに、操作部30からのエアホース42と空気給排器36の配管とを連結する。
表示部32は、ディスプレイ32Dを備え、カメラ28で撮影された第1の建造物1の外壁2の映像を表示する。
固定操作部33は、押さえ手段22の操作を行うもので、スイッチ33SをON状態にすることで、空気給排器36を介してエアシリンダ22aに圧縮空気を供給してロッド22nを伸張させ、押さえ手段22を第2の建造物3の外壁4に当接させる。また、スイッチ33SをOFF状態にすることで、エアシリンダ22aから圧縮空気を排出してロッド22nを縮小させ、押さえ手段22を第2の建造物3の外壁4から離反させる。
【0021】
出し入れ操作部34は、カッター出し入れ手段26によるカッターユニット25の出し入れの操作を行うもので、スイッチ34SをON状態にすることで、空気給排器36を介してカッター出し入れ手段26のエアシリンダ26dに圧縮空気を供給してロッド26nを伸張させ、カッター23を収納体21の外側に突出させる。また、スイッチ34SをOFF状態にすることで、エアシリンダ26dから圧縮空気を排出してロッド26nを縮小させ、カッター23を収納体21内に収納する。
切断操作部35は、カッター支持手段24のモータ24aを駆動してカッター23を回転させるととともに、カッター上下手段27を操作してカッター23を上下させるもので、スイッチ35SをON状態にすることで、信号線41から駆動信号をモータ駆動回路24dに送ってモータ24aを回転させるとともに、空気給排器36を介してカッター上下手段27のエアシリンダ27dに圧縮空気を供給してロッド27nを伸張させ、カッター23を回転しながら下方に移動させて鉄筋5を切断する。また、スイッチ35SをOFF状態にすることで、エアシリンダ27dから圧縮空気を排出してロッド27nを縮小させ、カッター23の回転を停止させるとともに、カッター23を切断した鉄筋5の上部まで上昇させる。実際には、カッター23を上昇させた後、カッター23の回転を停止させることが好ましい。
【0022】
なお、本例では、エアホース42を、AIR INとAIR OUTのみとし、圧縮空気の給排対象については、各スイッチ33S〜35SのON・OFF状態を制御信号としてカッター側ターミナル29にて選択する。すなわち、制御信号は、操作部側ターミナル31から、制御信号線を介して、カッター側ターミナル29に送られ、カッター側ターミナル29にて、前記の制御信号に基づいて、圧縮空気を給排するエアシリンダ22a,26d,27dを選択して、押さえ手段22、カッター出し入れ手段26、及び、カッター上下手段27の何れかを動作させる。
また、本例では、カメラ28を常時撮影状態にしているが、操作部30に、カメラ28の撮影動作を操作するカメラ操作部を設けてもよい。
【0023】
次に、本発明の鉄筋切断装置10を用いて、第1の建造物1の外壁2から突出している鉄筋5を切断する方法について説明する。
まず、
図2(a),(b)に示すように、第1の建造物1の外壁2と第2の建造物3の外壁4との間の空間に、装置本体20を、2本のワイヤー51a,51bで吊下げて下降させて、第1の建造物1の外壁2から突出している鉄筋5の直上まで移動させる。
本例では、カメラ28で撮影した第1の建造物1の外壁2の映像から鉄筋5の位置を確認し、装置本体20の停止位置を決定する。具体的には、ワイヤー51a,51bの長さを調整して、装置本体20を上下、左右に移動させ、表示部32のディスプレイ32Dに表示された映像中の鉄筋5が画面のほぼ中央にきたときに装置本体20を停止させる。
なお、鉄筋5のおおよその位置は、作業員が屋上から目視にて確認できるので、装置本体20の停止位置の決定は難しくはない。
次に、操作部30のスイッチ33SをONして、押さえ手段22のエアシリンダ22aを駆動してロッド22nを伸張させ、押さえ手段22を第2の建造物3の外壁4に押し付けることで、収納体21を第1及び第2の建造物の外壁2,4間に固定することで、装置本体20を位置決めする(
図3(a)参照)。
【0024】
次に、操作部30のスイッチ34SをONして、カッター出し入れ手段26のエアシリンダ26dを駆動してロッド26nを伸張させ、カッターユニット25を斜め下方に移行させることにより、カッター23を収納体21の下部側から突出させる(
図3(b)参照)。
カッター23は、下側の方が上側よりも第1の建造物1の外壁2に近い状態で傾いたまま収納体21から突出するので、カッター23を鉄筋5の根元近傍に確実に位置させることができる。
そして、操作部30のスイッチ35SをONして、カッター23を回転させるとともに、カッター上下手段27のエアシリンダ27dを駆動してロッド27nを伸張させ、カッター出し入れ手段26を下方に移動させることにより、カッターユニット25を下降せて鉄筋5を切断する(
図3(c)参照)。
鉄筋5の切断が終了したら、カッターユニット25を上昇させた後、カッター23の回転を停止させ、カッターユニット25を収納体21内に収納する。
次に、押さえ手段22のロッド22nを縮小して収納体21を移動可能としてから、ワイヤー51a,51bを操作して、装置本体20を次の鉄筋5の位置に移動させて、次の鉄筋5の切断を行う。
【0025】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0026】
例えば、前記実施形態においては、カッター出し入れ手段26を稼働させてカッター23を第1の建造物1の外壁面2に対して傾けた状態で収納体21の下部側から突出させた後、カッター上下手段27にてカッター23を下降させて鉄筋5を切断したが、先にカッター上下手段27を稼働させてカッター23を鉄筋5の根本の上方に位置させてから、カッター出し入れ手段26により、カッター23を斜め下方に加工させて鉄筋5を切断するようにしても、鉄筋5を根元から確実に切断することができる。
また、前記実施形態では、カッター23を、カッター23のディスク面が第1の建造物1の外壁2に対して傾いた状態で収納体21から出入りさせるようにしたが、カッター23のディスク面が外壁2と平行であってもよい。この場合には、カッター23を収納体21の下部まで垂直に下ろし、次に、カッター23を水平方向に移動させて、第1の建造物1の外壁2側に近づけるようにすればよい。これにより、初めから、カッター23を収納体21の外側に配置した場合に比較して、カッター23を鉄筋5の根元近傍に配置することができる。
【0027】
また、前記実施形態では、装置本体20を第1の建造物1の外壁2に沿って直線状に移動させたが、
図4(a)に示すように、第1の建造物1の外壁2に第2の建造物3の外壁4との空間が、L字状に曲がっており、かつ、鉄筋5Lが角部に近い部分にある場合には、カッター23で鉄筋5Lを切削することは困難である。
そこで、このような場合には、
図4(b)に示すように、カッター出し入れ手段26を、カッター上下手段27に対して傾斜するように取付けるようにすれば、カッター23を収納体の幅方向端部側(左端、もしくは、右端)に位置させることができる。したがって、カッター23をコーナー近傍に位置している鉄筋5Lの上部に位置させることができるので、角部に近い位置にある鉄筋5Lであっても容易に切断することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 第1の建造物、2 第1の建造物の外壁、3 第1の建造物、
4 第2の建造物の外壁、5 鉄筋、
10 鉄筋切断装置、20 装置本体、21 収納体、21a 前面パネル、
21b 後面パネル、21c 天井板、21d カメラ支持板、
21k 半円状の切欠き部、21p 連結棒、21q 脚部、
22 押さえ手段、22a エアシリンダ、22b 押さえ部材、
23 カッター、24 カッター支持台、25 カッターユニット、24a モータ、
24b ギアボックス、24c カッター回転軸、24d モータ駆動回路、
26 カッター出し入れ手段、27 カッター上下手段、
26a,27a ガイドレール、26b,27b ガイド部材、
26c,27c 固定台、26d,27d エアシリダ、28 カメラ、
29 カッター側ターミナル、30 操作部、50 吊下昇降手段。