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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-190370(P2015-190370A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】エンジンの排気処理装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20151006BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20151006BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20151006BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20151006BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20151006BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20151006BHJP
   B01D 46/42 20060101ALN20151006BHJP
【FI】
   F01N3/20 LZAB
   F01N3/02 331F
   F01N3/02 331R
   F01N3/36 B
   B01D53/36 B
   B01J23/46 311M
   B01J23/89 M
   B01D46/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67585(P2014-67585)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】新井 克明
(72)【発明者】
【氏名】大西 崇之
(72)【発明者】
【氏名】竹本 能和
(72)【発明者】
【氏名】秋朝 智也
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D048
4D058
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB06
3G091AB13
3G091AB15
3G091AB16
3G091BA02
3G091BA13
3G091BA14
3G091CA02
3G091CA18
3G091CB05
3G091EA17
3G091EA18
3G091HA15
3G091HA36
3G091HA37
3G190AA12
3G190BA11
3G190CA01
3G190CB18
3G190CB23
3G190DA03
3G190DA24
3G190DB02
3G190DB12
3G190DB73
3G190DB74
3G190EA10
3G190EA13
3G190EA23
4D048AA06
4D048AA13
4D048AA14
4D048AA18
4D048AB01
4D048AB03
4D048BA03X
4D048BA25X
4D048BA33X
4D048BA36X
4D048BA41X
4D048BB08
4D048BD01
4D048CA01
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4D048CC38
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4D048CD05
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4D058MA44
4D058MA51
4D058SA08
4G169AA03
4G169BA01B
4G169BA17
4G169BC58B
4G169BC66B
4G169BC71B
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA13
4G169CA14
4G169CA15
4G169CA18
4G169CD05
4G169DA06
4G169EA03Y
4G169EA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃焼触媒の暖機を確実に行うことができるエンジンの排気処理装置を提供する。
【解決手段】燃焼触媒の暖機終了条件が成立した場合には、燃焼触媒燃焼用ガスが生成され(S10)、燃焼触媒の暖機終了条件の成立が、第1条件(S7)と第2条件(S8)のいずれかが成立した場合とされ、第1条件は、燃焼触媒の入口温度T0が燃焼触媒の活性化必要温度t0以上で、かつ、燃焼触媒2の出口温度T1が燃焼触媒の入口温度T0を超える燃焼触媒の活性化確認温度t1以上となっている場合とされ、第2条件は、エンジン回転数が低いほど高く設定された燃焼触媒の暖機確認温度t1´を燃焼触媒の出口温度T1が所定時間継続して超えている場合とされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性ガス生成器(1)と燃焼触媒(2)と排気処理部(3)と制御装置(4)を備え、
制御装置(4)の制御により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)され、この燃焼触媒燃焼用ガス(5)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)で触媒燃焼され、この触媒燃焼で昇温された排気(7)が排気処理部(3)に供給されるように構成された、エンジンの排気処理装置において、
燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)される前に制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒暖気用ガス(8)が生成(S6)され、この燃焼触媒暖機用ガス(8)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)上流の着火装置(9)で着火され、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)が暖機されるように構成され、
燃焼触媒(2)の暖機終了条件が成立した場合には、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)されるように構成され、
燃焼触媒(2)の暖機終了条件の成立が、第1条件と第2条件のいずれかが成立した満たした場合とされ、第1条件は、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)が燃焼触媒(2)の活性化必要温度(t0)以上で、かつ、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が燃焼触媒(2)の入口温度(T0)を超える燃焼触媒(2)の活性化確認温度(t1)以上となっている場合とされ、第2条件は、エンジン回転数が低いほど高く設定された燃焼触媒(2)の暖機確認温度(t1´)を燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が所定時間継続して超えている場合とされている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンの排気処理装置において、
燃焼触媒暖気用ガス(8)が生成(S6)される場合は、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)される場合よりも可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されることにより、燃焼触媒暖気用ガス(8)の着火性が燃焼触媒燃焼用ガス(5)よりも高められるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたエンジンの排気処理装置において、
可燃性ガス生成器(1)がヒータ(11)を備え、ガス生成触媒(10)で燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成(S6)される前に、制御装置(4)によりヒータ(11)の発熱でガス生成触媒(10)が暖機されるように構成され、
ヒータ(11)への通電が開始(S2)されてから所定時間経過後に、ヒータ(11)への通電が終了(S4)されるのに対し、その終了(S4)前に、制御装置(4)により着火装置(9)への通電が開始(S3)されることにより、燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成(S6)される前に、着火装置(9)が予熱されるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンの排気処理装置において、
燃焼触媒(2)のPM堆積量推定装置(12)を備え、
燃焼触媒(2)のPM堆積量推定値に基づく所定の燃焼触媒再生要求条件が満たされた場合には、制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒再生用ガス(13)が生成(S13)され、この燃焼触媒再生用ガス(13)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、着火装置(9)で着火され、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)に堆積したPMが焼却除去されて、燃焼触媒(2)が再生されるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたエンジンの排気処理装置において、
着火装置(9)の着火状態検出装置(14)を備え、
燃焼触媒再生用ガス(13)が着火されていないことが着火状態検出装置(14)で検出された場合には、制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で再着火用ガス(15)が生成(S17)され、再着火用ガス(15)が生成される場合は、燃焼触媒再生用ガス(13)が生成(S13)される場合よりも、可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されることにより、再着火用ガス(15)の着火性が燃焼触媒再生用ガス(13)よりも高められるように構成されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気処理装置に関し、詳しくは、燃焼触媒の暖機を確実に行うことができるエンジンの排気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの排気処理装置として、可燃性ガス生成器と燃焼触媒と排気処理部と制御装置を備え、制御装置の制御により可燃性ガス生成器で燃焼触媒燃焼用ガスが生成され、この燃焼触媒燃焼用ガスがエンジン排気経路を通過する排気に混入されて、燃焼触媒で触媒燃焼され、この触媒燃焼で昇温された排気が排気処理部に供給されるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の排気処理装置によれば、排気温度が低い場合でも、可燃性ガスの触媒燃焼で排気を昇温させ、排気処理部での排気処理を促進できる利点がある。
【0004】
しかし、この種の排気処理装置では、燃焼触媒の暖気が不十分である場合には、燃焼触媒が活性化せず、触媒燃焼が起こらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−188972号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 排気処理部での排気処理の促進が不十分になることがある。
この種の排気処理装置では、燃焼触媒の暖機が不十分である場合には、燃焼触媒が活性化せず、触媒燃焼が起こらず、排気処理部での排気処理の促進が不十分になることがある。
【0007】
本発明の課題は、燃焼触媒の暖機を確実に行うことができるエンジンの排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、可燃性ガス生成器(1)と燃焼触媒(2)と排気処理部(3)と制御装置(4)を備え、
図1図2に例示するように、制御装置(4)の制御により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)され、この燃焼触媒燃焼用ガス(5)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)で触媒燃焼され、この触媒燃焼で昇温された排気(7)が排気処理部(3)に供給されるように構成された、エンジンの排気処理装置において、
図1図2に例示するように、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)される前に制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒暖気用ガス(8)が生成(S6)され、この燃焼触媒暖機用ガス(8)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)上流の着火装置(9)で着火され、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)が暖機されるように構成され、
図1図2に例示するように、燃焼触媒(2)の暖機終了条件が成立した場合には、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)されるように構成され、
燃焼触媒(2)の暖機終了条件の成立が、第1条件と第2条件のいずれかが成立した場合とされ、第1条件は、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)が燃焼触媒(2)の活性化必要温度(t0)以上で、かつ、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が燃焼触媒(2)の入口温度(T0)を超える燃焼触媒(2)の活性化確認温度(t1)以上となっている場合とされ、第2条件は、エンジン回転数が低いほど高く設定された燃焼触媒(2)の暖機確認温度(t1´)を燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が所定時間継続して超えている場合とされている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼触媒の暖機を確実に行うことができる。
図1図2に例示するように、燃焼触媒(2)の暖機終了条件の成立が、第1条件と第2条件のいずれかが成立した場合とされ、第1条件は、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)が燃焼触媒(2)の活性化必要温度(t0)以上で、かつ、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が燃焼触媒(2)の入口温度(T0)を超える燃焼触媒(2)の活性化確認温度(t1)以上となっている場合とされ、第2条件は、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)がエンジン回転数に応じて設定された燃焼触媒(2)の暖機確認温度(t1´)を所定時間継続して超えている場合とされているので、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)と出口温度(T1)により、燃焼触媒(2)の活性化を直接に確認できる第1条件と、エンジン回転数に応じた燃焼触媒(2)の出口温度(T1)により、燃焼触媒(2)の活性化温度の確保が保障される第2条件により、燃焼触媒(2)の活性化が図られ、暖機燃焼触媒(2)の暖機を確実に行うことができる。
【0010】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼触媒の暖機を確実に行うことができる。
燃焼触媒暖気用ガス(8)の着火性が燃焼触媒燃焼用ガス(5)よりも高められるように構成されているので、燃焼触媒暖気用ガス(8)の着火の失敗が抑制され、燃焼触媒(2)の暖機を確実に行うことができる。
【0011】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼触媒の暖機を確実に行うことができる。
図1図2に例示するように、燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成(S6)される前に、着火装置(9)が予熱されるように構成されているので、燃焼触媒暖気用ガス(8)の着火の失敗が抑制され、燃焼触媒(2)の暖機を確実に行うことができる。
【0012】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼触媒にPMが堆積しても、燃焼触媒の機能を回復させることができる。
図1図2に例示するように、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)に堆積したPMが焼却除去されて、燃焼触媒(2)が再生されるように構成されているので、燃焼触媒(2)にPMが堆積しても、燃焼触媒(2)の機能を回復させることができる。
【0013】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼触媒の機能の回復を確実に行うことができる。
図1図2に例示するように、再着火用ガス(15)の着火性が燃焼触媒再生用ガス(13)よりも高められるように構成されているので、再着火用ガス(15)の着火の失敗が抑制され、燃焼触媒(2)の再生処理により燃焼触媒(2)の機能の回復を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの排気処理装置の模式図である。
図2図1の排気処理装置による処理のフローチャートである。
図3図1の排気処理装置によるDPF再生と燃焼触媒再生のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3は本発明の実施形態に係るエンジンの排気処理装置を説明する図であり、この実施形態では、ディーゼルエンジンの排気処理装置について説明する。
【0016】
この排気処理装置の概要は、次の通りである。
図1に示すように、排気処理装置は、可燃性ガス生成器(1)と燃焼触媒(2)と排気処理部(3)と制御装置(4)を備えている。
図1図2に示すように、排気処理装置は、制御装置(4)の制御により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)され、この燃焼触媒燃焼用ガス(5)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)で触媒燃焼され、この触媒燃焼で昇温された排気(7)が排気処理部(3)に供給されるように構成されている。
【0017】
図1に示すように、可燃性ガス生成器(1)は、ガス生成触媒(10)の触媒反応により空燃混合気(16)から燃焼触媒燃焼用ガス(5)等の可燃性ガスを生成するものである。
可燃性ガス生成器(1)内にはガス生成触媒(10)が収容され、その上部には空燃混合室(25)が設けられている。ガス生成触媒(10)の上部中央部には下向きに凹設された混合気入口(21)が設けられている。空燃混合室(25)には、液体燃料(17)と空気(18)とが供給され、これらが混合され、空燃混合気(16)となり、混合気入口(21)からガス生成触媒(10)に供給される。混合気入口(21)には、ガス生成開始用触媒(22)が収容され、これにヒータ(11)が差し込まれている。ガス生成触媒(10)にはその温度センサ(26)が差し込まれている。
ガス生成触媒(10)は、鉄クロム線を織ったもので、鉄クロム線にはロジウム触媒成分が担持されている。ガス生成開始用触媒(22)は、アルミナ繊維のマットで、表面にロジウム触媒成分が担持されている。ガス生成開始用触媒(22)は、可燃性ガス生成触媒(10)に比べ、液体燃料(17)の保持性が高い。
液体燃料(17)には軽油が用いられている。
【0018】
燃焼触媒(2)は、DOCである。DOCはディーゼル酸化触媒の略称である。
排気処理部(3)は、DPFである。DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称であり、排気(7)中のPMを捕捉する。
排気処理部(3)には、DPFの他、排気浄化触媒(SCR触媒やNOx吸蔵触媒等)を用いることもできる。SCR触媒は選択還元触媒の略称、NOxは窒素酸化物の略称である。
制御装置(4)は、エンジンECUであり、マイコンである。ECUは、電子制御ユニットの略称である。
【0019】
排気処理装置の特徴は、次の通りである。
図1図2に示すように、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)される前に制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒暖気用ガス(8)が生成(S6)され、この燃焼触媒暖機用ガス(8)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、燃焼触媒(2)上流の着火装置(9)で着火され、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)が暖機されるように構成されている。
燃焼触媒(2)の暖機終了条件が成立した場合には、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)されるように構成されている。
着火装置(9)は、グロープラグである。
燃焼触媒燃焼用ガス(5)の他、後述する燃焼触媒暖気用ガス(8)、燃焼触媒再生用ガス(13)、再着火用ガス(15)には、着火装置(9)の上流側で、二次空気(27)が混入される。
【0020】
燃焼触媒(2)の暖機終了条件が成立する場合は、次の通りである。
図1図2に示すように、燃焼触媒(2)暖機終了条件の成立が、第1条件と第2条件のいずれかが成立した場合とされ、第1条件は、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)が燃焼触媒(2)の活性化必要温度(t0)以上で、かつ、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が燃焼触媒(2)の入口温度(T0)を超える燃焼触媒(2)の活性化確認温度(t1)以上となっている場合とされ、第2条件は、エンジン回転数が低いほど高く設定された燃焼触媒(2)の暖機確認温度(t1´)を燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が所定時間継続して超えている場合とされている。
【0021】
図1に示すように、燃焼触媒(2)の入口温度(T0)は、燃焼触媒(2)の入口の排気温度センサ(19)により検出される。燃焼触媒(2)の入口温度(T1)は、燃焼触媒(2)の出口の排気温度センサ(20)により検出される。活性化必要温度(t0)は燃焼触媒(2)が活性化して燃焼触媒燃焼用ガス(5)を触媒燃焼させることができる下限温度である。活性化確認温度(t1)は、燃焼触媒(2)が活性化した場合の出口の下限温度で、燃焼触媒(2)の入口温度(T1)に活性化上昇温度(α)を加算した温度である。活性化上昇温度(α)は、燃焼触媒(2)の活性化時に、燃焼触媒暖機用ガス(8)の触媒燃焼で見込まれる排気の上昇温度である。
暖機確認温度(t1´)は、触媒燃焼(2)の入口温度(T1)に拘わらず、燃焼触媒(2)が活性化した場合の燃焼触媒(2)出口の下限温度で、エンジン回転数が低いほど高くなるように設定されている。エンジン回転数が低くなると、単位時間当たりの燃料噴射量が減少し、排気(7)の温度が低くなり、燃焼触媒(2)に蓄積された熱が奪われるため、暖機確認温度(t1´)を高く設定し、熱の収奪があっても、燃焼触媒(2)の温度を活性化温度に維持できるよう保障するためである。エンジン回転数に応じた暖機確認温度(t1´)は、実験により求められ、マップ化されている。暖機確認温度(t1´)は、活性化必要温度(t0)よりも高い温度に設定されている。
【0022】
図1図2に示すように、燃焼触媒暖気用ガス(8)が生成(S6)される場合は、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成(S10)される場合よりも可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されることにより、燃焼触媒暖気用ガス(8)の着火性が燃焼触媒燃焼用ガス(5)よりも高められるように構成されている。
可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されると、可燃性ガスが熱分解により低分子化し、着火性が高まる。
ガス生成触媒(10)の反応温度を高くするには、空燃混合気(16)の混合比を空気リッチにすればよい。
【0023】
図1図2に示すように、可燃性ガス生成器(1)がヒータ(11)を備え、ガス生成触媒(10)で燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成(S6)される前に、制御装置(4)によりヒータ(11)の発熱でガス生成触媒(10)が暖機されるように構成されている。
図2に示すように、ヒータ(11)への通電が開始(S2)されてから所定時間経過後に、ヒータ(11)への通電が終了(S4)されるのに対し、その終了(S4)前に、制御装置(4)により着火装置(9)への通電が開始(S3)されることにより、燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成(S6)される前に、着火装置(9)が予熱されるように構成されている。
【0024】
図1に示すように、燃焼触媒(2)のPM堆積量推定装置(12)を備えている。
図1図2に示すように、燃焼触媒(2)のPM堆積量推定値に基づく所定の燃焼触媒再生要求条件が満たされた場合には、制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で燃焼触媒再生用ガス(13)が生成(S13)され、この燃焼触媒再生用ガス(13)がエンジン排気経路(6)を通過する排気(7)に混入されて、着火装置(9)で着火され、火炎燃焼で昇温された排気(7)で燃焼触媒(2)に堆積したPMが焼却除去されて、燃焼触媒(2)が再生されるように構成されている。
【0025】
図1に示すように、着火装置(9)の着火状態検出装置(14)を備えている。
図1図2に示すように、燃焼触媒再生用ガス(13)が着火されていないことが着火状態検出装置(14)で検出された場合には、制御装置(4)により可燃性ガス生成器(1)で再着火用ガス(15)が生成(S17)され、燃焼触媒再着火用ガス(15)が生成される場合は、燃焼触媒再生用ガス(13)が生成(S13)される場合よりも、可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されることにより、再着火用ガス(15)の着火性が燃焼触媒再生用ガス(13)よりも高められるように構成されている。
可燃性ガス生成器(1)のガス生成触媒(10)の目標反応温度が高く設定されると、可燃性ガスが熱分解により低分子化し、着火性が高まる。
ガス生成触媒(10)の反応温度を高くするには、空燃混合気(16)の混合比を空気リッチにすればよい。
【0026】
この排気処理装置の処理の流れは、次の通りである。
ステップ(S1)では、再生要求条件が成立したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S2)に移行する。判定が否定された場合には、ステップ(S1)の判定を繰り返す。
再生要求条件の成立は、図3に示すように、PM堆積総量推定値が再生必要値に至った場合とされている。この再生要求条件の成立時には、再生要求の対象がDPFか燃焼触媒(2)かは判別されず、この判別は、後のステップ(S9)で行われる。
PM堆積総量推定値は、燃焼触媒(2)の上流側の排気圧に基づいてPM堆積量推定装置(12)が推定する。排気圧は、排気圧センサ(23)で検出する。PM堆積量推定装置(12)は、制御装置(4)の演算処理部である。
ステップ(S2)では、ガス生成触媒(10)のヒータ(11)への通電が開始され、ステップ(S3)に移行する。
ステップ(S3)では、着火装置(9)の通電が開始され、ステップ(S4)に移行する。
ステップ(S4)では、ステップ(S2)での通電の開始から所定時間の経過したことに基づいて、ガス生成触媒(10)のヒータ(11)への通電が終了され、ステップ(S5)に移行する。
ステップ(S5)では、ガス生成触媒温度(T3)がガス生成必要温度(t3)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合には、暖気終了として、ステップ(S6)に移行する。判定が否定された場合には、ステップ(S2)に戻る。
なお、ステップ(S3)で着火装置(9)の通電が開始された後、燃焼触媒暖機用ガス(8)の着火が着火状態検出装置(14)で検出された場合には、着火装置(9)の通電は終了してもよく、着火装置(9)の発熱がなくなっても、燃焼触媒暖機用ガス(8)の火炎燃焼は継続し、後述するステップ(S10)で生成される着火性の低い燃焼触媒燃焼用ガス(5)に接触すると、燃焼火炎は吹き消される。
【0027】
ステップ(S6)では、燃焼触媒暖機用ガス(8)が生成され、ステップ(S7)に移行する。
ステップ(S7)では、燃焼触媒(2)の暖機終了条件の第1条件、すなわち燃焼触媒(2)の入口温度(T0)が活性化必要温度(t0)以上で、かつ、燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が活性化確認温度(t1)以上となっている否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S9)に移行する。
ステップ(S7)での判定が否定された場合には、ステップ(S8)に移行し、燃焼触媒(2)の暖機終了条件の第2条件、すなわち燃焼触媒(2)の出口温度(T1)が暖機確認温度(t1´)を所定時間継続して超えたているか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S9)に移行する。判定が否定された場合には、ステップ(S6)に戻る。
【0028】
ステップ(S9)では、燃焼触媒(2)の再生要求条件が成立したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S10)に移行し、排気処理装置(3)であるDPFの再生が開始される。判定が否定された場合には、ステップ(S13)に移行し、燃焼触媒(2)の再生が開始される。
図3に示すように、燃焼触媒(2)の再生要求条件は、前回の再生終了から今回の再生要求条件の成立までのインターバル(24)が所定時間未満である場合に成立する。
DPFに堆積するPMは、1回のDPF再生処理や1回の燃焼触媒再生処理でほぼ全量が除去されるが、燃焼触媒(2)に堆積したPMは複数回のDPF再生処理でも除去されず、次第に累積されるため、前記インターバル(24)が所定時間未満になる場合には、燃焼触媒(2)の再生に必要な所定量のPMが堆積していると推定することができるためである。
ステップ(S10)では、燃焼触媒燃焼用ガス(5)が生成され、ステップ(S11)に移行する。ステップ(S11)では、DPF再生終了条件が成立したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S12)に移行する。
DPF再生終了条件は、DPF入口温度(燃焼触媒出口温度)が所定温度以上で所定時間経過した場合に成立する。
ステップ(S12)では、DPFの再生が終了し、処理が終了する。
DPFの再生の終了は、燃焼触媒燃焼用ガス(5)の生成を停止することにより行われる。
【0029】
ステップ(S13)では、燃焼触媒再生用ガス(13)が生成され、ステップ(S14)に移行する。
ステップ(S14)では、燃焼触媒再生用ガス(13)が着火状態か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S15)に移行する。ステップ(S14)での判定が否定された場合には、ステップ(S16)に移行する。
ステップ(S16)では、着火装置(9)の通電が再開され、ステップ(S17)に移行する。
ステップ(S17)では、再着火用ガス(15)が生成され、ステップ(S14)に戻る。
ステップ(S16)では、燃焼触媒(2)の再生終了条件が成立したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S18)に移行する。
燃焼触媒(2)の再生終了条件は、燃焼触媒(2)の入口温度が所定温度以上で所定時間経過した場合に成立する。
ステップ(S18)では、燃焼触媒(2)の再生が終了され、処理が終了する。
燃焼触媒(2)の再生終了は、燃焼触媒再生用ガス(13)の生成を停止することにより行われる。
なお、ステップ(S16)で着火装置(9)の通電が再開された後、再着火用ガス(15)の着火が着火状態検出装置(14)で検出された場合には、着火装置(9)の通電は終了してもよく、着火装置(9)の発熱がなくなっても、再着火用ガス(15)の燃焼火炎は燃焼触媒再生用ガス(13)に引き継がれて火炎燃焼は継続する。
【符号の説明】
【0030】
(1) 可燃性ガス生成器
(2) 燃焼触媒
(3) 排気処理部
(4) 制御装置
(5) 燃焼触媒燃焼用ガス
(6) エンジン排気経路
(7) 排気
(8) 燃焼触媒暖気用ガス
(9) 着火装置
(10) ガス生成触媒
(11) ヒータ
(12) PM堆積量推定装置
(13) 燃焼触媒再生用ガス
(14) 着火状態検出装置
(15) 再着火用ガス
(S2) ヒータへの通電が開始
(S3) 着火装置への通電が開始
(S4) ヒータへの通電が終了
(S6) 燃焼触媒暖気用ガスが生成
(S10) 燃焼触媒燃焼用ガスが生成
(S13) 燃焼触媒再生用ガスが生成
(S18) 燃焼触媒再着火用ガスが生成
図1
図2
図3