特開2015-190722(P2015-190722A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フタバ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015190722-熱交換器 図000003
  • 特開2015190722-熱交換器 図000004
  • 特開2015190722-熱交換器 図000005
  • 特開2015190722-熱交換器 図000006
  • 特開2015190722-熱交換器 図000007
  • 特開2015190722-熱交換器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-190722(P2015-190722A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20151006BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20151006BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20151006BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   F28F3/08 301Z
   F28D9/02
   F28F3/00 311
   F28F17/00 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-69744(P2014-69744)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100123641
【弁理士】
【氏名又は名称】茜ヶ久保 公二
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA22
3L103BB04
3L103CC27
3L103DD13
3L103DD57
(57)【要約】
【課題】ガスの冷却に伴って発生する凝縮水を、ガス流路から確実に排出することが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】排ガス流路26は、その延伸方向を水平面に対して傾斜させ、且つ、排ガス流路入口27から排ガス流路出口28にわたって傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状となるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスと冷媒との熱交換を行う熱交換器であって、
鉛直方向の一方を入口とし、他方を出口として、ガスを流すガス流路と、
前記ガス流路の外部に冷媒を流す冷媒流路と、を備え、
前記ガス流路は、その延伸方向を水平面に対して傾斜させ、且つ、前記入口から前記出口にわたって傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状となるように構成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ガス流路は、連結された複数のプレートの内部に形成され、
前記複数のプレートは、前記ガス流路の底面から内方に向けて突出する複数の突起を有していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数のプレートは、内部の前記ガス流路に連通する上部連通口及び下部連通口をそれぞれ有し、一の前記プレートの前記下部連通口が、一の前記プレートの下方に設けられた他の前記プレートの前記上部連通口と連結するように構成され、
他の前記プレートのガス流路の底面のうち、一の前記プレートの前記下部連通口を鉛直方向下方に投影した部位は、前記突起が形成されない平面とされていることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数のプレートは、前記上部連通口及び前記下部連通口の周縁部に、鉛直方向に突出した筒部をそれぞれ有し、一の前記プレートの前記筒部と、一の前記プレートの下方に設けられた他の前記プレートの前記筒部とが接続されることで、前記上部連通口と前記下部連通口とが連結するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスと冷媒との熱交換を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼装置等において発生する高温のガスと冷媒との熱交換を行う熱交換器が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、複数の平板状のエレメントを積層させて構成される熱交換器が記載されている。各エレメントの内部には、高温のガスを流すガス流路と、そのガス流路と隣り合うようにして冷却水を流す冷却水流路とが設けられ、ガスと冷却水との熱交換が行われる。ガスは冷却水に熱を奪われることで冷却され、エレメントに流入した際よりもその温度が低下して外部に排出される。各エレメントの中間には反転板が介装されており、その反転板によって区画されることで、ガスを蛇行させて流す流路が形成されている。
【0004】
このような熱交換器では、ガスに含まれる水分が冷却によって結露し、ガス流路に凝縮水が発生するという課題がある。発生した凝縮水は、熱交換器の性能低下を招くだけでなく、エレメント等の腐食の原因となるおそれがある。
【0005】
そこで、下記特許文献1に記載の熱交換器では、反転板が傾斜して配置されるとともに、反転板にドレン孔が設けられている。これにより、ガスの冷却に伴ってガス流路に発生した凝縮水は、反転板の傾斜に沿って下方に向かって流れ、さらにドレン孔を通過して落下し、外部へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−355994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の熱交換器では、反転板に設けたドレン孔は、そこにガスを通過させることは好ましくないため、そのサイズをあまり大きくすることができない。このため、熱交換器の使用に伴って、ガスや凝縮水に含まれる異物によりドレン孔が閉塞され、凝縮水を排出できなくなるおそれがあった。また、ドレン孔を通過しようとしている凝縮水が、反転板の下方から上昇してくる排ガスの流れによって押し上げられ、やはり凝縮水を排出できなくなるおそれがあった。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスの冷却に伴って発生する凝縮水を、ガス流路から確実に排出することが可能な熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る熱交換器は、ガスと冷媒との熱交換を行う熱交換器であって、鉛直方向の一方を入口とし、他方を出口として、ガスを流すガス流路と、前記ガス流路の外部に冷媒を流す冷媒流路と、を備え、前記ガス流路は、その延伸方向を水平面に対して傾斜させ、且つ、前記入口から前記出口にわたって傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状となるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
以上のように構成された熱交換器では、冷却水との熱交換によってガスが冷却され、ガス流路に凝縮水が発生した場合は、凝縮水はガス流路の傾斜に沿って下方に向かって流れる。ガス流路は、その入口から出口にわたって傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状とされているため、凝縮水は、当該ジグザグ状のガス流路に沿って流れ、下方の入口または出口から排出される。
【0011】
すなわち、本発明に係る熱交換器によれば、ガス流路の壁面等に、凝縮水を排出させるためだけに孔を設けることなく、ガスを流すためのガス流路を用いて凝縮水を外部に排出することができる。したがって、ガスや凝縮水に含まれる異物が原因となって凝縮水が排出されなくなるという事態を抑制することが可能となる。
【0012】
また本発明に係る熱交換器では、前記ガス流路は、連結された複数のプレートの内部に形成され、前記複数のプレートは、前記ガス流路の底面から内方に向けて突出する複数の突起を有していることも好ましい。
【0013】
ガス流路の底面上で凝縮水が拡散し、薄膜状になると、凝縮水はガス流路の底面との間に生じる摩擦の影響を比較的大きく受けるため、当該底面上をスムーズに流れることが困難となる。これに対し、上記の好ましい態様では、ガス流路の底面上の凝縮水は、突出する複数の突起を迂回して流れようとすることで、隣り合う突起の間に集められて大きな流束となる。このため、凝縮水が受ける摩擦の影響を比較的小さくし、底面上をスムーズに流してガス流路から確実に排出することが可能となる。
【0014】
また本発明に係る熱交換器では、前記複数のプレートは、内部の前記ガス流路に連通する上部連通口及び下部連通口をそれぞれ有し、一の前記プレートの前記下部連通口が、一の前記プレートの下方に設けられた他の前記プレートの前記上部連通口と連結するように構成され、他の前記プレートのガス流路の底面のうち、一の前記プレートの前記下部連通口を鉛直方向下方に投影した部位は、前記突起が形成されない平面とされていることも好ましい。
【0015】
一のプレートの下部連通口が、一のプレートの下方に設けられた他のプレートの上部連通口と連結するように構成された熱交換器では、一のプレートの下部連通口から流出した凝縮水は、他のプレートの上部連通口を介して、他のプレートの内部のガス流路の底面上に落下する。仮に、他のプレートの内部のガス流路の底面のうち、凝縮水が落下する部位に突起が形成されていると、落下した凝縮水が当該突起と衝突し、広範囲に拡散するおそれがある。凝縮水は拡散することで薄膜状となり、ガス流路の底面との間に生じる摩擦の影響を比較的大きく受けるため、当該底面上をスムーズに流れることが困難となる。
【0016】
これに対し、上記の好ましい態様では、他のプレートの内部のガス流路の底面のうち、一のプレートの下部連通口を鉛直方向下方に投影した部位は、突起が形成されない平面とすることで、他のプレートの内部のガス流路の底面上に落下した凝縮水の拡散を抑制し、摩擦の影響を比較的小さくして、底面上をスムーズに流すことが可能となる。これにより、凝縮水をガス流路から確実に排出することが可能となる。
【0017】
また本発明に係る熱交換器では、前記複数のプレートは、前記上部連通口及び前記下部連通口の周縁部に、鉛直方向に突出した筒部をそれぞれ有し、一の前記プレートの前記筒部と、一の前記プレートの下方に設けられた他の前記プレートの前記筒部とが接続されることで、前記上部連通口と前記下部連通口とが連結するように構成されていることも好ましい。
【0018】
この好ましい態様では、一のプレート及び他のプレートのそれぞれの筒部を鉛直方向に接続することで両プレートの連結を行うことができるため、複数のプレートを鉛直方向に配列して接続し、それらの内部に傾斜したガス流路を形成することが容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガスの冷却に伴って発生する凝縮水を、ガス流路から確実に排出することが可能な熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を表す模式図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】プレート上板の平面図である。
図4図3のB−B断面図である。
図5】プレート下板の平面図である。
図6図5のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る熱交換器の概要を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器100を表す模式図である。図2は、図1のA−A断面図である。
【0023】
熱交換器100は、燃料を燃焼させる燃焼装置(図示せず)から供給される高温の排ガスと、別途供給される冷媒との熱交換を行う熱交換器であり、図1に表すように、ケーシング10と、プレートユニット20と、を備えている。
【0024】
ケーシング10は、熱交換器100の筐体をなす金属製部材であり、少なくとも上ケーシング材11と、下ケーシング材12と、を有している。上ケーシング材11及び下ケーシング材12は、鉛直方向に互いに間隔を空けて配置されおり、両者の間は冷却水を流す冷却水流路13とされている。
【0025】
プレートユニット20は、冷却水で満たされた冷却水流路13内に配置されており、プレート21〜25を有している。プレート21〜25はいずれも同一構成であり、鉛直方向に一列に並べられている。プレートユニット20のうち、上端に配置されるプレート21は上ケーシング材11に対し連結され、下端に配置されるプレート25は下ケーシング材12に対し連結されている。また、鉛直方向に隣り合うプレート同士がそれぞれ連結されている。
【0026】
プレート21〜25の構成を、プレート21を例にとって説明する。図2に表すように、プレート21は、プレート上板30と、プレート下板40と、を有している。プレート上板30は、薄肉の金属製板材である基板31に種々の加工を施すことよって形成される部材であり、その端部31a、31bは、下方に向けて略垂直に折り曲げ加工されている。同様に、プレート下板40も、薄肉の金属製板材である基板41に種々の加工を施すことよって形成される部材であり、その端部41a、41bは、上方に向けて略垂直に折り曲げ加工されている。
【0027】
プレート上板30の端部31aと端部31bとの間にプレート下板40を嵌入するとともに、端部31aと端部41aとを溶接固定し、端部31bと端部41bとを溶接固定することで、プレート21が形成される。これによりプレート上板30及びプレート下板40は、排ガスを流すための排ガス流路26を両者の間に形成して一体となる。なお、プレート21の形成は、プレート上板30とプレート下板40との溶接固定のみならず、接着や、押し出しによるプレート上板30とプレート下板40の一体成形など、種々の方法を採用し得る。
【0028】
プレート21〜25は、連結することでそれぞれの内部の排ガス流路26が連通し、プレート21が上ケーシング材11に対し連結される排ガス流路入口27から、プレート25が下ケーシング材12に対し連結される排ガス流路出口28まで排ガスを流す一連の流路を形成している。図1に表すように、プレート21〜25は、それぞれの内部の排ガス流路26を、その延伸方向が水平面に対して傾斜角θで傾斜するように配置されている。
【0029】
このうちプレート23からプレート24にかけての排ガス流路26についてみると、まず、プレート22とプレート23とが連結された連結部223から、プレート23とプレート24とが連結された連結部234まで、プレート23の内部の排ガス流路26が延伸する方向は、図1において水平面から反時計回りの方向に傾斜角θで傾斜している。一方、連結部234から、プレート24とプレート25とが連結された連結部245まで、プレート24の内部の排ガス流路26が延伸する方向は、図1において水平面から時計回りの方向に傾斜角θで傾斜している。このように、鉛直方向に隣り合うプレートで傾斜方向が反転する傾向は、他のプレート21、22、25ついても同様である。このように、排ガス流路26は、排ガス流路入口27から排ガス流路出口28にわたって、傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状となるように構成されている。
【0030】
上方の排ガス流路入口27から排ガス流路26に流入した高温の排ガスは、排ガス流路26の傾斜に沿って、水平方向に往復するように下方へと流れ、下方の排ガス流路出口28から流出する。排ガスが排ガス流路入口27から排ガス流路出口28まで流れる間に、当該排ガスと、プレート21〜25の外部を流れる冷却水との熱交換が行われる。これにより、排ガスは冷却水によって熱を奪われて冷却され、排ガス流路入口27から流入した際よりもその温度が低下して外部に排出される。
【0031】
排ガスが冷却されることにより、排ガスに含まれる水分が結露すると、排ガス流路26に凝縮水が発生する。発生した凝縮水が、プレート上板30やプレート下板40に付着して留まると、その凝縮水によって排ガスと冷却水との熱交換が妨げられ、熱交換器の性能低下を招くおそれがある。また、凝縮水に酸性物質が含まれている場合などには、金属製板材であるプレート上板30やプレート下板40の腐食の原因となるおそれがある。
【0032】
これに対し、熱交換器100では、発生した凝縮水を排ガス流路26から排出することにより、この問題を解決している。排ガス流路26で発生した凝縮水は、排ガス流路26の傾斜に沿って下方に向かって流れる。排ガス流路26は、排ガス流路入口27から排ガス流路出口28にわたって傾斜方向を反転させることで水平方向に往復するジグザグ状とされているため、凝縮水は、当該ジグザグ状の排ガス流路26に沿って流れ、下方の排ガス流路出口28から排出される。
【0033】
すなわち、熱交換器100によれば、排ガス流路26の壁面等に、凝縮水を通過させるためだけに孔を設けることなく、排ガスを流すための排ガス流路26を用いて凝縮水を外部に排出することができる。したがって、排ガスや凝縮水に含まれる異物が原因となって凝縮水が排出されなくなるという事態を抑制することが可能となる。
【0034】
さらに、熱交換器100には、排ガス流路26から凝縮水を確実に排出するための種々の工夫が施されている。以下、この工夫について、さらに図3乃至図6を参照して説明する。図3は、プレート上板30の平面図である。図4は、図3のB−B断面図である。図5は、プレート下板40の平面図である。図6は、図5のC−C断面図である。
【0035】
図3及び図4に表すように、プレート上板30は、その基板31から下方に向けて突出する突起32が複数形成されている。プレス加工によって形成された複数の突起32は、プレート上板30の長手方向に3列に整列するように配置されている。両端の列には3つの突起32が並んでおり、中央の列には、両端の列の突起32とオフセットした位置に4つの突起32が並んでいる。
【0036】
また、プレート上板30は、その端部に上部連通口33が開口している。その上部連通口33の周縁部には、筒部34が形成されている。筒部34は、バーリング加工によって突出形成されたものであり、その突出方向は、プレートユニット20(図1参照)に組み込んだ場合に、鉛直方向上方となるように設定されている。
【0037】
図5及び図6に表すように、プレート下板40は、その基板41から上方に向けて突出する突起42が複数形成されている。プレス加工によって形成された複数の突起42は、プレート下板40の長手方向に3列に整列するように配置されている。両端の列には3つの突起42が並んでおり、中央の列には、両端の列の突起42とオフセットした位置に4つの突起42が並んでいる。
【0038】
また、プレート下板40は、その端部に下部連通口43が開口している。その下部連通口43の周縁部には、筒部44が形成されている。筒部44は、バーリング加工によって突出形成されたものであり、その突出方向は、プレートユニット20(図1参照)に組み込んだ場合に、鉛直方向下方となるように設定されている。
【0039】
以上のように形成されたプレート上板30とプレート下板40とを、図2を参照して説明したように、両者の間に排ガス流路26を形成するように溶接固定して一体とすると、プレート上板30の突起32は、排ガス流路26の天面から内方に向けて突出し、プレート下板40の突起42は、排ガス流路26の底面から内方に向けて突出するように配置される。突起32及び突起42は、プレート上板30及びプレート下板40を一体とした際にそれぞれの頂部が当接し、プレート上板30及びプレート下板40の位置決めにも寄与している。また、突起32及び突起42は、排ガス流路26の内方に向けて突出することで、排ガス流路26を流れる排ガスとの接触面積を高め、熱交換器100の性能向上にも寄与している。
【0040】
プレート上板30とプレート下板40とを溶接固定することで構成されるプレート21〜25は、筒部34と筒部44とを接続することにより連結される。以下、プレート23とプレート24との連結部234(図1参照)を例にとって説明すると、プレート23の下部連通口43の周縁部に形成された筒部44を、その下方に配置されたプレート24の上部連通口33の周縁部に形成された筒部34内に嵌入することにより、両プレートが連結される。連結により両プレートの内部の排ガス流路26は連通し、両プレートにわたって一連の流路が形成される。
【0041】
プレート23の内部の排ガス流路26を、その傾斜に沿って下方に向かって流れる排ガスは、プレート23の端部において、下部連通口43から下方に排出される。この排ガスは、次に、プレート24の上部連通口33を介して、プレート24の内部の排ガス流路26に流入する。
【0042】
一方、プレート23の内部の排ガス流路26で発生した凝縮水は、当該排ガス流路26の底面を構成するプレート下板40の上面を流れる。仮に、このとき凝縮水がプレート下板40の上面で拡散し、薄膜状になっていると、凝縮水はプレート下板40の上面との間に生じる摩擦の影響を比較的大きく受けるため、プレート下板40の上面をスムーズに流れることが困難となる。
【0043】
しかし、プレート下板40に複数の突起42を設けることにより、プレート下板40の上面を流れる凝縮水は、図2にWFで表すように、突出する複数の突起42を迂回して流れようとすることで、隣り合う突起42、42の間に形成される流路42aや、突起42と端部41a、41bの形成される流路42bに集められ、大きな流束となる。このため、凝縮水WFは、摩擦の影響を比較的小さくし、プレート下板40の上面を流して排ガス流路26から確実に排出することが可能となる。
【0044】
プレート下板40の傾斜に沿ってプレート23の端部まで流れた凝縮水は、図6に矢印WD1で表すように、下部連通口43から落下し、プレート23の内部の排ガス流路26から排出される。この凝縮水は、次に、図4に矢印WD2で表すように、プレート24の上部連通口33を介してプレート24内の排ガス流路26に落下し、さらに、図6に矢印WD3で表すように、プレート24のプレート下板40の上面に落下する。
【0045】
仮に、プレート24のプレート下板40の上面のうち、凝縮水が落下する部位に突起が形成されていると、凝縮水は当該突起と衝突して広範囲に拡散するおそれがある。凝縮水は拡散することで薄膜状となり、プレート下板40の上面との間に生じる摩擦の影響を比較的大きく受けるため、プレート下板40の上面をスムーズに流すことが困難となる。
【0046】
これに対し、熱交換器100では、プレート24のプレート下板40の上面のうち、プレート23の下部連通口43を鉛直方向下方に投影した部位は、突起が形成されない平面部41cとしている。したがって、プレート24のプレート下板40の上面(平面部41c)に落下した凝縮水の拡散を抑制し、摩擦の影響を比較的小さくして、プレート24のプレート下板40の上面をスムーズに流すことが可能となる。これにより、凝縮水を排ガス流路26から確実に排出することが可能となる。
【0047】
以上のように、熱交換器100では、プレート21〜25の内部の排ガス流路26に凝縮水が発生した場合にも、当該凝縮水を排ガス流路26でスムーズに流し、確実に排出することが可能となる。
【0048】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0049】
13 :冷却水流路(冷媒流路)
21〜25:プレート
26 :排ガス流路(ガス流路)
27 :排ガス流路入口(入口)
28 :排ガス流路出口(出口)
33 :上部連通口
34 :筒部
41c:平面部
42 :突起
43 :下部連通口
44 :筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6