(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-190723(P2015-190723A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F23L 15/00 20060101AFI20151006BHJP
H01M 8/04 20060101ALN20151006BHJP
H01M 8/10 20060101ALN20151006BHJP
F28D 7/10 20060101ALN20151006BHJP
【FI】
F23L15/00 A
F23L15/00 Z
H01M8/04 N
H01M8/10
F28D7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-69761(P2014-69761)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100123641
【弁理士】
【氏名又は名称】茜ヶ久保 公二
(72)【発明者】
【氏名】小原 司
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健太郎
【テーマコード(参考)】
3K023
3L103
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
3K023QA18
3K023QB01
3K023QB14
3K023QC01
3L103BB05
3L103BB19
3L103CC22
3L103CC27
3L103DD10
3L103DD38
5H026AA06
5H127AA06
5H127BA05
5H127BA37
5H127BB02
5H127BB23
5H127BB27
5H127CC03
5H127EE15
(57)【要約】
【課題】容易に作製可能な構成としながらも、内部でガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】蛇行流路45を形成する複数の仕切板は、背面ケース材21Bに対して固定される一方で正面ケース材21Fに対して固定されない仕切板42、44と、正面ケース材21Fに対して固定される一方で背面ケース材21Bに対して固定されない仕切板43とが、蛇行流路入口45aから蛇行流路出口45bにかけて互いに間隔を空けて交互に配置されてなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇行するようにガスを流して熱交換を行う熱交換器であって、
互いに間隔を空けて配置される正面ケース材及び背面ケース材と、
前記正面ケース材及び前記背面ケース材の一端部同士を連結する第1側面ケース材と
前記正面ケース材及び前記背面ケース材の前記一端部と対向する他端部同士を連結する第2側面ケース材と、
前記正面ケース材、前記背面ケース材、前記第1側面ケース材及び前記第2側面ケース材で囲まれる空間に配置される複数の仕切板であって、前記空間を流れるガスを前記第1側面ケース材と前記第2側面ケース材との間で往復するように蛇行させる蛇行流路を形成する前記複数の仕切板と、を備え、
前記複数の仕切板は、前記背面ケース材に対して固定される一方で前記正面ケース材に対して固定されない第1仕切板と、前記正面ケース材に対して固定される一方で前記背面ケース材に対して固定されない第2仕切板とが、前記蛇行流路の入口側から出口側にかけて互いに間隔を空けて交互に配置されてなることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記複数の仕切板は、前記正面ケース材に当接して固定される固定部と、前記固定部から前記背面ケース材側に向けて突出する仕切部と、をそれぞれ有し、
前記固定部の少なくとも一部が、前記仕切部よりも前記蛇行流路の入口側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の仕切板は、側面視で略L字状に屈曲した板状部材であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行するようにガスを流して熱交換を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
運転時に高温となる装置の周囲にガスを流して熱交換を行わせ、当該装置を冷却したり、当該ガスを加熱したりする熱交換器が広く普及している。
【0003】
下記特許文献1には、燃料電池セルの発電反応に使用されなかった残余の燃料ガス(都市ガス)を燃焼させ、発生した燃焼ガスにより発電用空気(酸化剤ガス)を加熱する燃料電池装置が記載されている。詳細には、燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼ガスは、熱交換器の内部に設けられた複数の配管内を流れる一方、当該配管の周囲を発電用空気が流れることで、燃焼ガスと発電用空気との熱交換が行われ、発電用空気が加熱される。加熱され、高温となった発電用空気を燃料電池セルに供給することで、燃料電池セルが発電用空気によって冷却されることがない。これにより、燃料電池セルの発電効率を向上させることが可能となる。
【0004】
上記燃料電池装置の熱交換器では、発電用空気が流れる発電用空気流路には、配管が延びる方向に対して直角方向に延びる複数の仕切板(ガイド板)が設けられている。この仕切板は、配管の長手方向に沿って、ほぼ等間隔に、千鳥状に配置されているため、発電用空気が流れる流路は蛇行流路となっている。これにより、発電用空気は、燃焼ガスが流れる配管と複数回交差して流れるため、燃焼ガスと十分に熱交換を行って加熱され、高温になった状態で燃料電池セルに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−14921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の燃料電池装置の熱交換器では、その作製に要する手間やコスト等に関する課題があった。つまり、当該熱交換器では、ケース(筐体)の内部を複数の仕切板で区画することで、蛇行流路である発電用空気流路を形成しているが、これらの仕切板を、ケースの内部に固定する作業は大きな手間を要するものであり、コストの増加に繋がるものであった。
【0007】
特に、燃料電池装置の熱交換器のように、高温の燃焼ガスを内部に流す熱交換器においては、仕切板の固定手段も耐熱性に優れたものであることが必要となる。そのため、ケースに対する仕切板の固定を、接着剤等を用いた接着により行うことは困難であり、溶接により行うことが一般的となっている。閉空間である熱交換器のケースの内部において、仕切板をケースに溶接する作業は大きな手間となる。また、溶接個所を間引くことでこの手間の軽減を図ろうとすると、溶接が行われなかった箇所から燃焼ガスが漏れ、燃焼ガスを所望通りに蛇行させることができなくなり、熱交換器の性能低下を招くという課題があった。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に作製可能な構成としながらも、内部でガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能な熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る熱交換器は、蛇行するようにガスを流して熱交換を行う熱交換器であって、互いに間隔を空けて配置される正面ケース材及び背面ケース材と、前記正面ケース材及び前記背面ケース材の一端部同士を連結する第1側面ケース材と前記正面ケース材及び前記背面ケース材の前記一端部と対向する他端部同士を連結する第2側面ケース材と、前記正面ケース材、前記背面ケース材、前記第1側面ケース材及び前記第2側面ケース材で囲まれる空間に配置される複数の仕切板であって、前記空間を流れるガスを前記第1側面ケース材と前記第2側面ケース材との間で往復するように蛇行させる蛇行流路を形成する前記複数の仕切板と、を備え、前記複数の仕切板は、前記背面ケース材に対して固定される一方で前記正面ケース材に対して固定されない第1仕切板と、前記正面ケース材に対して固定される一方で前記背面ケース材に対して固定されない第2仕切板とが、前記蛇行流路の入口側から出口側にかけて互いに間隔を空けて交互に配置されてなることを特徴としている。
【0010】
複数の仕切板を、背面ケース材に対して固定される一方で正面ケース材に対して固定されない第1仕切板と、正面ケース材に対して固定される一方で背面ケース材に対して固定されない第2仕切板とからなるものとすることで、第1仕切板及び第2仕切板を正面ケース材及び背面ケース材の双方に固定した場合に比べて、固定の手間を軽減して蛇行流路を形成することができる。
【0011】
しかしながら、このような構成を採用すると、第1仕切板と正面ケース材との間、及び、第2仕切板と背面ケース材との間のように、固定されない要素の間に隙間が生じるおそれがある。このため、本来は第1側面ケース材と第2側面ケース材との間で往復するように蛇行させて流さなければならないガスが、当該隙間を通過してしまい、蛇行できなくなるおそれがある。
【0012】
そこで、本発明に係る熱交換器では、さらに、複数の仕切板は、第1仕切板と第2仕切板とが、蛇行流路の入口側から出口側にかけて交互に配置されてなるものとしている。これにより、第1仕切板と正面ケース材との間にできる隙間を通過し、さらに正面ケース材に沿って流れるガスは、当該第1仕切板と間隔を空けて隣り合うとともに正面ケース材に対して固定される第2仕切板により、その流れが妨げられる。同様に、第2仕切板と背面ケース材との間にできる隙間を通過し、さらに背面ケース材に沿って流れるガスは、当該第2仕切板と間隔を空けて隣り合うとともに背面ケース材に対して固定される第1仕切板により、その流れが妨げられる。これにより、その上流側で、当該隙間を通過しようとするガスの流れそのものも妨げられることとなる。
【0013】
すなわち、本発明に係る熱交換器によれば、複数の仕切板を、第1仕切板と第2仕切板とが、蛇行流路の入口側から出口側にかけて交互に配置されてなるものとすることで、その固定の手間を軽減して容易に作製可能な構成としながらも、上記隙間におけるガスの通過を抑制し、内部でガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能となる。
【0014】
また本発明に係る熱交換器では、前記複数の仕切板は、前記正面ケース材に当接して固定される固定部と、前記固定部から前記背面ケース材側に向けて突出する仕切部と、をそれぞれ有し、前記固定部の少なくとも一部が、前記仕切部よりも前記蛇行流路の入口側に配置されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、上記隙間を通過し、正面ケース材又は背面ケース材に沿って流れるガスは、まず仕切板の固定部に当たってその流れを妨げられ、その後、仕切板によって仕切部によって妨げられる。したがって、仕切板を正面ケース材又は背面ケース材に対し固定するための固定部を有効に利用して、上記隙間におけるガスの通過を抑制し、内部でガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能となる。
【0016】
また本発明に係る熱交換器では、前記複数の仕切板は、側面視で略L字状に屈曲された板状部材であることも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、複数の仕切板を、側面視で略L字状に屈曲した板状部材とすることで、板状部材の屈曲部から一方に延びる部分を固定部とし、屈曲部から他方に延びる部分を仕切部とすることが可能となり、仕切板を作製容易なものとして作製コストの低減を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容易に作製可能な構成としながらも、内部でガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能な熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を搭載した燃料電池装置を表す正面図である。
【
図3】
図2の仕切板近傍の空気の流れを表す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る熱交換器を搭載した燃料電池装置の概略を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器20を搭載した燃料電池装置100を表す正面図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
【0022】
図1及び
図2に表すように、燃料電池装置100は、燃料電池ユニット10と、熱交換器20と、を有している。
図1及び
図2では、燃料電池ユニット10の仮想的な外形線を示している。
【0023】
燃料電池ユニット10は、固体高分子形の燃料電池セル(図示せず)を内包するユニットである。当該燃料電池セルでは、外部から供給される燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて電気化学的な発電反応を生じさせ、電力を発生させる。ここでは、燃料ガスとして、水蒸気改質により水素リッチとなった都市ガスを使用しているほか、酸化剤ガスとして、空気を使用している。燃料電池セルにおける発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスは、燃料電池ユニット10に内包される燃焼器(図示せず)において燃焼される。燃料電池セルにおいて発生した電力は、要求に応じて適宜外部に取り出される。なお、燃料電池セルの形式は固体高分子形に限らず、固体酸化物形等の他の種類のものも採用することができる。
【0024】
熱交換器20は、燃料電池ユニット10の運転により生じた熱を利用して空気を加熱する顕熱交換器であり、燃料電池ユニット10の下方に設けられる第1熱交換部30と、燃料電池ユニット10の背面側且つ第1熱交換部30の上方に設けられる第2熱交換部40と、からなる。熱交換器20は、その筐体となるケース21を有しており、ケース21は、正面ケース材21Fと、背面ケース材21Bと、左側面ケース材21Lと、右側面ケース材21Rと、を有している。
【0025】
正面ケース材21Fは、
図2に表すように、鉛直方向に延びる基部21Faと、基部21Faの下端から前方に延びる棚部21Fbと、棚部21Fbの前方側端部から下方に延び、正面ケース材21Fの膨出した部分を形成する膨出部21Fcと、を有している。正面ケース材21Fは、鉛直方向に延びる平板状の背面ケース材21Bと前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0026】
図1に表すように、平板状の左側面ケース材21Lは、正面ケース材21F及び背面ケース材21Bの左側端部同士を連結している。また、平板状の右側面ケース材21Rは、正面ケース材21F及び背面ケース材21Bの右側端部同士を連結している。
【0027】
このように、正面ケース材21F、背面ケース材21B、左側面ケース材21L及び右側面ケース材21Rが配置され、これらで囲まれることにより、第1熱交換部30に相当する部分に第1空気流路31が形成され、第2熱交換部40に相当する部分に第2空気流路41が形成される。
【0028】
第1空気流路31の内部には、両端が閉塞された円筒状のパイプ32が配置されている。換言すれば、正面ケース材21Fの膨出部21Fcと背面ケース材21Bとの間に形成される空間にパイプ32が配置され、そのパイプ32の外部が第1空気流路31となる。左側面ケース21Lには、この第1空気流路31に連通する空気供給管33が接続されている。
【0029】
パイプ32は、その内部に連通する燃焼ガス導入管321及び燃焼ガス排出管322が連結されている。燃料電池ユニット10の燃焼器において発生した燃焼ガスが、この燃焼ガス導入管321を介してパイプ32に導入され、パイプ32内を流れた後、燃焼ガス排出管322を介して外部に排出される。燃焼ガス導入管321及び燃焼ガス排出管322は、膨出部21Fcを貫通して正面ケース材21Fの前面に臨出している。
【0030】
以上のように構成された第1熱交換部30では、空気供給管33を介して第1空気流路31に供給される発電用の空気と、パイプ32内を流れる高温の燃焼ガスとの熱交換が行われる。第1空気流路31の空気は、パイプ32を介して燃焼ガスから熱を奪うことにより加熱され、その温度が上昇する。
【0031】
第2熱交換部40の第2空気流路41は、第1熱交換部30の第1空気流路31の上端に連通して上方に延びるように形成されており、その内部には、仕切板42、43、44が配置されている。
図2に表すように、仕切板42、43、44は、それぞれ側面視で略L字状に屈曲した板状部材であり、鉛直方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0032】
仕切板42、44(第1仕切板)は、背面ケース材21B及び右側面ケース材21Rに対して溶接により固定されているが、正面ケース材21F及び左側面ケース材21Lに対しては溶接されていない。また、仕切板43(第2仕切板)は、正面ケース材21F及び左側面ケース材21Lに対して溶接により固定されているが、背面ケース材21B及び右側面ケース材21Rに対しては溶接されていない。したがって、熱交換器20の作製時に、予め仕切板42、44を溶接した正面ケース材21Fと、予め仕切板43を溶接した背面ケース材21Bとを、仕切板43が仕切板42と仕切板44との間に挿入されるように配置することで、正面ケース材21F及び背面ケース材21Bの間の第2空気流路41が区画され、蛇行流路45が形成される。
【0033】
第1熱交換部30の第1空気流路31内から排出され、下端41aから第2空気流路41内に流入した空気は、蛇行流路入口45aから蛇行流路45に流入する。蛇行流路45に流入した空気は、左側面ケース材21Lと右側面ケース材21Rとの間で往復するように蛇行しながら、上方に向けて流れる。蛇行流路45を流れる間、空気は燃料電池のセルの発電反応により高温となっている燃料電池ユニット10から、正面ケース材21Fを介して熱を奪い、その温度がさらに上昇する。そして、蛇行流路45の終端であって、背面ケース材21Bの右上部に設けられた開口である蛇行流路出口45bから外部に排出される。
【0034】
蛇行流路出口45bから排出された高温の空気は、燃料電池ユニット10の燃料電池セルに供給され、その発電反応に使用される。これにより、燃料電池セルは空気によって冷却されることがなく、燃料電池セルの発電効率を向上させることが可能となる。
【0035】
次に、
図3を参照して、蛇行流路45における空気の流れについて詳述する。
図3は、
図2の仕切板42、43近傍の空気の流れを表す拡大図である。
【0036】
図3に表すように、仕切板42は側面視で略L字状に屈曲した板状部材であり、屈曲部421から下方に延びる固定部422が、背面ケース材21Bに対して溶接により固定されている。一方、屈曲部421から正面ケース材21Fに向けて略水平方向に仕切部423が延びているが、この仕切部423の端部423aは、正面ケース材21Fと溶接されていない。
【0037】
仕切板43も、仕切板42同様に、側面視で略L字状に屈曲した板状部材であり、屈曲部431から下方に延びる固定部432が正面ケース材21Fに対して溶接されている。屈曲部431から背面ケース材21Bに向けて略水平方向に仕切部433が延びているが、この仕切部433は、背面ケース材21Bとは溶接されていない。
【0038】
仕切板42の仕切部423と、正面ケース材21Fとが溶接されないことで、仕切部423の端部423aと正面ケース材21Fとの間に、隙間CL1が生じるおそれがある。このため、本来は仕切板42に沿って左側面ケース材21L側に流れ、さらに右側面ケース材21Rとの間で往復するように蛇行させて流さなければならない燃焼ガスが、矢印CG1で表すように隙間CL1を通過してしまう。
【0039】
しかしながら、隙間CL1を通過し、さらに正面ケース材21Fに沿って流れる燃焼ガスは、その上方に設けられた仕切板43により、その流れが妨げられる。これにより、その上流側で、隙間CL1を通過しようとする燃焼ガスの流れそのものも妨げられることとなる。
【0040】
さらに、仕切板43は、固定部432が仕切部433よりも蛇行流路45の蛇行流路入口45a側に配置されているため、燃焼ガスは、まず、矢印CG2で表すように固定部432に当たってその流れを妨げられ、その後、矢印CG3で表すように仕切部433によってその流れを妨げられる。このように、仕切板43では、仕切板43を正面ケース材21Fに対し固定するための固定部432を有効に利用して、隙間CLにおけるガスの通過を抑制して内部で燃焼ガスを蛇行させ、熱交換を行うことが可能となる。固定部432は、板状部材である仕切板43の板厚を用いて燃焼ガスの流れを妨げるため、当該板厚は、隙間CL1の想定される大きさを考慮して設定することが好ましい。
【0041】
また、仕切板43の仕切部433と、背面ケース材21Bとが溶接されないことで、仕切部433の端部433aと背面ケース材21Bとの間に隙間CL2が生じ、矢印CG4で表すように燃焼ガスが通過してしまうおそれがある。しかしながら、この燃焼ガスの流れについても、隙間CL1を通過する燃焼ガスの流れと同様に、その上方に設けられた仕切板44(
図3では図示せず)によって妨げられる。これにより、その上流側で、隙間CL2を通過しようとする燃焼ガスの流れそのものも妨げられることとなる。
【0042】
すなわち、背面ケース材21Bに対して固定される一方で正面ケース材21Fに対して固定されない仕切板42、44と、正面ケース材21Fに対して固定される一方で背面ケース材21Bに対して固定されない仕切板43とを、蛇行流路入口45a側から蛇行流路出口45b側にかけて交互に配置することで、固定の手間を軽減して容易に作製可能な構成としながらも、隙間CL1、CL2における燃焼ガスの通過を抑制し、内部で燃焼ガスを確実に蛇行させて熱交換を行うことが可能となる。
【0043】
また、仕切板42、43、44は、それぞれの固定部の少なくとも一部が、仕切部よりも蛇行流路入口45a側に配置されていれば、側面視で例えば略T字状等、種々の形状を採用し得るが、ここでは、いずれも側面視で略L字状に屈曲された板状部材としている。これにより、板状部材の屈曲部から一方に延びる部分を固定部とし、他方に延びる部分を仕切部とすることが可能となり、仕切板を制作容易なものとして作製コストの低減を図ることが可能となる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
例えば、上述した熱交換器20は、燃料電池装置100に搭載され、燃焼ガスや燃料電池ユニット10との熱交換を行うものとしているが、これに限らず、他の機器に搭載することも可能である。
また、熱交換器20では、仕切板42、43、44を、側面視で略直角に屈曲させた板状部材としているが、これに限らず、ガスを蛇行させるように流すことが可能であれば、直角以外の角度で屈曲させたものを使用することも可能である。
すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0045】
10 :燃料電池ユニット
20 :熱交換器
21 :ケース
21F:正面ケース材
21B:背面ケース材
21L:左側面ケース材(第1側面ケース材)
21R:右側面ケース材(第2側面ケース材)
42、44 :仕切板(第1仕切板)
421:(仕切板42の)屈曲部
422:(仕切板42の)固定部
423:(仕切板42の)仕切部
43 :仕切板(第2仕切板)
45 :蛇行流路
45a:蛇行流路入口
45b:蛇行流路出口
100:燃料電池装置
CL1、CL2:隙間