【解決手段】本体部21と、本体部21の先端部21aに配設された第1のクランプ部31および第2のクランプ部32と、クランプ部31,32の各先端部31a,32aを開閉させる開閉機構61とを備え、第1のクランプ部31は、本体部21の先端部21aの側面23a側に固定され、第2のクランプ部32は、支持軸27を回動中心として回動可能に先端部21aの側面23b側に配設され、開閉機構61は、各先端部31a,32a同士が開く向きに第2のクランプ部32を付勢するバネ73と、本体部21の長さ方向に沿ってスライド可能に側面23b側に配置されて、先端部21a側にスライドさせられたときに第2のクランプ部32の外周面42aに当接して各先端部31a,32a同士が閉じる向きに第2のクランプ部32を回動させる第1スライド部71とを備えている。
互いに対向する一対の主面および互いに対向する一対の側面を有する本体部と、各々の先端部同士が開閉可能に構成されて当該各先端部同士が閉じた状態においてクランプ対象を取り囲む環状体を形成すると共に当該環状体の開口面が前記各主面に平行となるように前記本体部の一端部に配設された第1のクランプ部および第2のクランプ部と、当該各クランプ部の前記各先端部を開閉させる開閉機構とを備えて前記クランプ対象についての検出量を検出可能に構成されたクランプセンサであって、
前記第1のクランプ部は、前記本体部の前記一端部における前記各側面のうちのいずれか一方の側面側に固定され、
前記第2のクランプ部は、前記各主面に交差するように設けられた支持軸によって基端部が軸支されて当該支持軸を回動中心として回動可能に前記本体部の前記一端部における前記各側面のうちの他方の側面側に配設され、
前記開閉機構は、前記各クランプ部の前記各先端部同士が開く向きに前記第2のクランプ部を付勢する付勢部材と、
前記本体部の他端部および前記一端部を結ぶ当該本体部の長さ方向に沿ってスライド可能に前記他方の側面側に配置されて、前記本体部の前記一端部に向けてスライドさせられたときに、前記第2のクランプ部における外周面の被当接部に当接して前記各クランプ部の各先端部同士が閉じる向きに当該第2のクランプ部を回動させるスライド部とを備えて構成されているクランプセンサ。
前記第2のクランプ部の前記被当接部には、前記各クランプ部の各先端部同士が閉じた状態において前記本体部の前記長さ方向に対して平行となる平面部が設けられている請求項1記載のクランプセンサ。
請求項1から3のいずれかに記載のクランプセンサと、当該クランプセンサによって検出された前記検出量に基づいて前記クランプ対象についての測定量を測定する測定部とを備えている測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の受信器には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この受信器では、クランプセンサ(2つのセンサ構成体)で配線をクランプする際には、各センサ構成体をケースから突出させて各センサ構成体の先端部同士を開き、先端部間の隙間に配線を通して、各センサ構成体の内側に配線を導入し、次いで、操作ツマミをスライド操作して、各センサ構成体を収容部に収容させながら各先端同士を閉じる必要がある。つまり、この受信器では、各センサ構成体の先端を閉じる際に各センサ構成体の位置が変化する(各センサ構成体が配線に対して相対的に移動する)。このため、この受信器には、配線をクランプする際に、各センサ構成体の各先端部同士の隙間から配線がセンサ構成体の外側に出ないように、操作ツマミのスライド操作に合わせて、受信器全体を移動させる動作を行う必要があり、操作性が悪いという課題が存在する。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、クランプ対象をクランプする操作の操作性を向上し得るクランプセンサおよび測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のクランプセンサは、互いに対向する一対の主面および互いに対向する一対の側面を有する本体部と、各々の先端部同士が開閉可能に構成されて当該各先端部同士が閉じた状態においてクランプ対象を取り囲む環状体を形成すると共に当該環状体の開口面が前記各主面に平行となるように前記本体部の一端部に配設された第1のクランプ部および第2のクランプ部と、当該各クランプ部の前記各先端部を開閉させる開閉機構とを備えて前記クランプ対象についての検出量を検出可能に構成されたクランプセンサであって、前記第1のクランプ部は、前記本体部の前記一端部における前記各側面のうちのいずれか一方の側面側に固定され、前記第2のクランプ部は、前記各主面に交差するように設けられた支持軸によって基端部が軸支されて当該支持軸を回動中心として回動可能に前記本体部の前記一端部における前記各側面のうちの他方の側面側に配設され、前記開閉機構は、前記各クランプ部の前記各先端部同士が開く向きに前記第2のクランプ部を付勢する付勢部材と、前記本体部の他端部および前記一端部を結ぶ当該本体部の長さ方向に沿ってスライド可能に前記他方の側面側に配置されて、前記本体部の前記一端部に向けてスライドさせられたときに、前記第2のクランプ部における外周面の被当接部に当接して前記各クランプ部の各先端部同士が閉じる向きに当該第2のクランプ部を回動させるスライド部とを備えて構成されている。
【0007】
また、請求項2記載のクランプセンサは、請求項1記載のクランプセンサにおいて、前記第2のクランプ部の前記被当接部には、前記各クランプ部の各先端部同士が閉じた状態において前記本体部の前記長さ方向に対して平行となる平面部が設けられている。
【0008】
また、請求項3記載のクランプセンサは、請求項1または2記載のクランプセンサにおいて、前記支持軸は、前記環状体の中心よりも前記他方の側面側に設けられている。
【0009】
また、請求項4記載の測定装置は、請求項1から3のいずれかに記載のクランプセンサと、当該クランプセンサによって検出された前記検出量に基づいて前記クランプ対象についての測定量を測定する測定部とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のクランプセンサ、および請求項4記載の測定装置では、第1のクランプ部が本体部の一端部における一方の側面側に固定されると共に、第2のクランプ部が回動可能に本体部の一端部における他方の側面側に配設され、本体部の一端部に向けてスライド部をスライドさせたときに、スライド部が第2のクランプ部における外周面の被当接部に当接して各クランプ部の各先端部同士が閉じる向きに第2のクランプ部を回動させる。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、本体部に対して各クランプ部を移動させない状態で各クランプ部の各先端部同士を閉じさせる操作クローズ操作を行うことができるため、クローズ操作に伴って本体部に対して各クランプ部が移動する従来の構成とは異なり、クローズ操作を行う際に、クランプ対象が各クランプ部から外れないようにクランプ対象に対するクランプセンサの位置を調整するような動作を行う必要がない結果、操作性を十分に向上させることができる。また、このクランプセンサおよび測定装置によれば、スライド部をスライドさせる力を第2のクランプ部における外周面の被当接部に作用させて第2のクランプ部を回動させ、これによって各クランプ部をクローズ状態(各クランプ部の各先端部同士が閉じた状態)とさせることができる。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、バネの付勢力だけで各クランプ部の各先端部同士を閉じさせる構成とは異なり、バネの付勢力の不足によって各先端部同士が完全には閉じずに、被検出量を正確に検出することが困難となる事態を確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項2記載のクランプセンサ、および請求項4記載の測定装置では、クローズ状態において本体部の長さ方向(スライド部のスライド方向)と平行となる平面部が第2のクランプ部の被当接部に設けられている。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、例えば、各クランプ部の各先端部同士が開く向きに第2のクランプ部を付勢するバネを設けた場合において、スライド部を本体部の一端部側にスライドさせて各クランプ部をクローズ状態としたときに、バネの付勢力によって第2のクランプ部の平面部からスライド部に加わる押圧力を、スライド部のスライド方向に対して直交する向きに作用させることができる。つまり、このクランプセンサおよび測定装置では、クローズ状態において、第2のクランプ部からスライド部に加わるの押圧力がスライド部のスライド方向に作用しないようにする(または、スライド方向への押圧力を低減させる)ことができる。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、スライドが仮に規制される仮ロック状態のスライド部から指先を離しても、スライド部が本体部の他端部側にスライドして仮ロック状態が解除される事態を確実に防止することができる。
【0012】
また、請求項3記載のクランプセンサ、および請求項4記載の測定装置によれば、第1のクランプ部および第2のクランプ部によって形成される環状体の中心よりも他方の側面側に支持軸を設けたことにより、環状体の中心よりも一方の側面側に支持軸を設ける構成と比較して、第2のクランプ部の外周面に対してスライド部から加えられる力の作用点と第2のクランプ部の回動中心(支持軸の位置)との間の距離を短くすることができる。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、スライド部の少ないスライド量で第2のクランプ部を大きく回動させることができる結果、各クランプ部の各先端部同士を閉じさせる操作(クローズ操作)の操作性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、測定装置の一例としての電流測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す電流測定装置1は、例えば、クランプ対象としての電線200(
図3参照)に流れる電流(測定量の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、電流測定装置1は、
図1に示すように、装置本体2およびクランプセンサ3を備えて構成されている。
【0016】
装置本体2は、
図1に示すように、測定部11、操作部12、表示部13および制御部14を備えて構成されている。
【0017】
測定部11は、制御部14の制御に従い、クランプセンサ3によって検出された磁気(検出量の一例)に基づいて電線200に流れる電流を測定する測定処理を実行する。
【0018】
操作部12は、各種のスイッチを備えて構成され、各スイッチが操作されたときに操作信号を出力する。表示部13は、制御部14の制御に従って電流の測定値等を表示する。制御部14は、操作部12から出力される操作信号に従って装置本体2を構成する各部を制御する。
【0019】
クランプセンサ3は、クランプ対象としての電線200をクランプした状態(取り囲んだ状態:
図3参照)において検出量の一例としての磁気を検出するクランプセンサであって、
図2〜4に示すように、本体部21、第1のクランプ部31、第2のクランプ部32および開閉機構61を備えて構成されている。
【0020】
本体部21は、
図2〜
図4に示すように、互いに対向する一対の主面22a,22b(以下、区別しないときには「主面22」ともいう)および互いに対向する一対の側面23a,23b(以下、区別しないときには「側面23」ともいう)を有して、先端部21a(一端部に相当する)が開口し、基端部21b(他端部に相当する)が閉塞する箱形に形成されている。
【0021】
また、本体部21の側面23bには、
図2,4に示すように、後述する開閉機構61の第1スライド部71および第2スライド部72を露出させる切り欠き24が形成されている。また、主面22a,22bにおける側面23bの近傍には、
図4に示すように、第1スライド部71および第2スライド部72をスライド可能に支持するためのガイド溝25が形成されている。また、本体部21の側面23aには、滑り止めとして機能する複数の筋状の凸部26が形成されている。また、本体部21には、
図5に示すように、第2のクランプ部32を支持する支持軸27が、主面22a,22bに対して交差(一例として直交)するようにして設けられている。この場合、支持軸27は、同図に示すように、クランプ部31,32によって形成される環状体Rの中心Cよりも側面23b側(第1スライド部71の配設側であって、各側面23のうちの他方の側面23側に相当する)に設けられている。より具体的には、支持軸27は、同図に示すように、中心Cを通って側面23bに平行な直線A上の位置よりも側面23b側に設けられている。
【0022】
第1のクランプ部31は、
図5に示すように、第1ケース41および第1センサ51を備えて構成されている。第1ケース41は、本体部21とは別体に形成されている。また、第1ケース41は、
図5,6に示すように、正面視が半円形をなすように形成されて、内部に第1センサ51を収容可能な収容空間を有している。第1センサ51は、両図に示すように、正面視が半円形に形成されて、第1ケース41の収容空間に収容されている。また、第1のクランプ部31は、移動不可状態で本体部21の先端部21aにおける側面23a(各側面23のうちのいずれか一方の側面23)側に固定されている。この場合、第1のクランプ部31の第1ケース41と本体部21とを別体とする構成、および第1ケース41と本体部21とを一体とする構成のいずれも採用することができる。
【0023】
第2のクランプ部32は、
図5に示すように、第2ケース42および第2センサ52を備えて構成されている。第2ケース42は、
図5,6に示すように、正面視が半円形をなして、内部に第2センサ52を収容可能な収容空間が形成されている。第2センサ52は、両図に示すように、正面視が半円形に形成されて、第2ケース42の収容空間に収容されている。この第2センサ52は、第1のクランプ部31の第1センサ51と共に検出量としての磁気を検出する。
【0024】
また、第2のクランプ部32は、
図5に示すように、本体部21に設けられている支持軸27によって基端部32bが軸支されており、支持軸27を回動中心として回動可能に本体部21の先端部21aにおける側面23b(各側面23のうちの他方の側面23)側に配設されている。
【0025】
また、
図5に示すように、第2のクランプ部32の基端部32b側における第2ケース42の外周面42aには、平面部42bが設けられている。この場合、平面部42bは、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じた状態(以下、この状態を「クローズ状態」ともいう)において、開閉機構61における第1スライド部71の先端部71a(同図参照)が当接する被当接部に形成されている。また、平面部42bは、同図に示すように、クローズ状態において、本体部21の基端部21bおよび先端部21aを結ぶ本体部21の長さ方向(第1スライド部71のスライド方向:
図3〜
図5に示す矢印Xの方向)に対して平行となるように形成されている。
【0026】
このクランプセンサ3では、クランプ部31,32がこのように構成されることにより、第1のクランプ部31および第2のクランプ部32の各々の先端部31a,32a同士が開閉可能となっている。また、このクランプセンサ3では、クローズ状態のクランプ部31,32によって、クランプ対象の電線200を取り囲む環状体R(
図5参照)が形成される。この場合、このクランプセンサ3では、クランプ部31,32によって形成される環状体Rの開口面O(同図参照)が本体部21の主面22a,22bに対して平行となるようにクランプ部31,32が本体部21に配設されている。
【0027】
開閉機構61は、クランプ部31,32の各先端部31a,32aを開閉させるための機構であって、
図2〜
図5に示すように、第1スライド部71、第2スライド部72およびバネ73(
図5参照)を備えて構成されている。
【0028】
第1スライド部71は、本体部21における側面23b(他方の側面)側にスライド可能に配置されている。具体的には、第1スライド部71は、主面22a,22bにおける側面23bの近傍に形成されているガイド溝25(
図4参照)に側部が嵌め込まれることにより、本体部21の基端部21bおよび先端部21aを結ぶ本体部21の長さ方向(
図3〜
図5に示す矢印Xの方向)に沿ってスライドすることが可能となっている。この第1スライド部71は、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士を開閉させる際に用いられる。具体的には、本体部21の先端部21a側に向けて(
図7に示す矢印X1の向きに)第1スライド部71をスライドさせることで、第1スライド部71の先端部71aが第2のクランプ部32における第2ケース42の外周面42aに当接してクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じる向き(同図に示す矢印R2の向き)に第2のクランプ部32が回動し、これによって各先端部31a,32a同士が閉じた状態(クローズ状態)となる。また、本体部21の基端部21bに向けて(同図に示す矢印X2の向きに)第1スライド部71をスライドさせることで、第2ケース42の外周面42aに対する先端部71aの当接が解除され、バネ73の付勢力によってクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が開く向き(
図6に示す矢印R1の向き)に第2のクランプ部32が回動し、これによって各先端部31a,32a同士が開いた状態(同図参照:以下、この状態を「オープン状態」ともいう)となる。
【0029】
第2スライド部72は、第1スライド部71に嵌め込み可能に構成されて、本体部21の長さ方向(第1スライド部71のスライド方向)に沿って第1スライド部71に対して相対的にスライドすることが可能となっている。この第2スライド部72は、本体部21に対する第1スライド部71のスライドを規制する機能を有している。具体的には、第2スライド部72は、本体部21の先端部21a側に位置している状態(
図6,7に示す状態)では、第1スライド部71のスライドを許容し、本体部21の基端部21b側に位置している状態(
図5に示す状態)では、先端部71aのスライドを規制する。
【0030】
バネ73は、付勢部材の一例であって、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が開く向きに第2のクランプ部32を付勢する。この場合、バネ73は、一例として、ねじりコイルバネ(トーションバネ)で構成され、
図5に示すように、コイル部73aが支持軸27によって支持されると共に、一方の腕部73bが本体部21に係合し、他方の腕部73cが第2のクランプ部32の基端部32bに係合している。
【0031】
次に、電流測定装置1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0032】
まず、装置本体2の操作部12を操作して電源を投入し、次いで、クランプセンサ3のクランプ部31,32でクランプ対象の電線200をクランプする。具体的には、オープン状態のクランプセンサ3(
図6参照)の本体部21を掴んで、クランプ部31,32を電線200に近づける。
【0033】
この場合、オープン状態のクランプセンサ3では、
図6に示すように、開閉機構61の第1スライド部71および第2スライド部72がいずれも本体部21の基端部21b側に位置し、開閉機構61におけるバネ73の付勢力によってクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が開いたオープン状態(同図に示す矢印R1の向きに第2のクランプ部32が回動した状態)となっている。
【0034】
続いて、クランプ部31,32における各先端部31a,32a間の隙間に電線200を通過させ、
図6に示すように、対向するクランプ部31,32によって挟まれた空間に電線200が位置するようにクランプセンサ3を移動させる。
【0035】
次いで、
図7に示すように、第1スライド部71および第2スライド部72を本体部21の長さ方向に沿って本体部21の先端部21a側に向けて(同図に示す矢印X1の向きに)スライドさせる。この際に、第1スライド部71の先端部71aが第2のクランプ部32における第2ケース42の外周面42aに当接して、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じる向き(同図に示す矢印R2の向き)に第2のクランプ部32が回動する。
【0036】
ここで、このクランプセンサ3では、第1のクランプ部31が本体部21の先端部21aに固定されると共に、第2のクランプ部32が回動可能に本体部21の先端部21aに配設され、本体部21の先端部21aに向けて第1スライド部71をスライドさせたときに、第1スライド部71の先端部71aが第2のクランプ部32の外周面42aに当接してクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じる向きに第2のクランプ部32を回動させる。このため、このクランプセンサ3では、本体部21に対してクランプ部31,32を移動(本体部21の長さ方向に沿って移動)させない状態でクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士を閉じさせる操作(以下、この操作を「クローズ操作」ともいう)を行うことが可能となっている。したがって、このクランプセンサ3では、クローズ操作に伴って本体部21に対してクランプ部が移動する構成とは異なり、クローズ操作を行う際に、電線200がクランプ部31,32から外れないように電線200に対するクランプセンサ3の位置を調整する(クランプセンサ3を移動させる)ような動作を行う必要がないため、その分操作性を向上させることが可能となっている。
【0037】
また、このクランプセンサ3では、クランプ部31,32によって形成される環状体Rの中心Cよりも側面23b側に支持軸27を設けたことにより、環状体Rの中心Cよりも側面23a側に支持軸27を設ける構成と比較して、第2のクランプ部32の外周面42aに対して第1スライド部71から加えられる力の作用点と第2のクランプ部32の回動中心(支持軸27の位置)との間の距離を短くすることができる。このため、このクランプセンサ3では、第1スライド部71の少ないスライド量で第2のクランプ部32を大きく回動させることが可能となっている。
【0038】
続いて、
図7に示すように、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じる(互いに当接する)まで第1スライド部71をスライドさせる。この場合、このクランプセンサ3では、第1スライド部71をスライドさせる力を第2のクランプ部32の外周面42aに作用させて第2のクランプ部32を回動させ、これによってクランプ部31,32をクローズ状態とさせている。このため、このクランプセンサ3では、各先端部31a,32a同士が閉じる向きにバネの付勢力を作用させて、バネの付勢力だけで各先端部31a,32a同士を閉じさせる構成とは異なり、バネの付勢力の不足によって各先端部31a,32a同士の閉じ方が不完全となる事態が回避されて、各先端部31a,32a同士を確実に閉じさせることが可能となっている。
【0039】
次いで、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じたときには、第1スライド部71における図外の係合部が本体部21の側面23bに形成されている図外の被係合部に係合して、本体部21の基端部21b側に向かう向き(
図7に示す矢印X2の向き)の第1スライド部71のスライドが規制される(仮に規制される)仮ロック状態となる。
【0040】
この場合、このクランプセンサ3では、クローズ状態において、本体部21の長さ方向(第1スライド部71のスライド方向)に対して平行な平面部42bと先端部71aとが当接している(
図5参照)。このため、このクランプセンサ3では、クローズ状態において、バネ73の付勢力によって第2のクランプ部32の平面部42bから第1スライド部71の先端部71aに作用する押圧力が、第1スライド部71のスライド方向に対して直交する向き(または、ほぼ直交する向き)に作用している。つまり、第1スライド部71のスライド方向(
図7に示す矢印X2への向き)への第2のクランプ部32からの押圧力をなくす(または、低減させる)ことが可能となっている。したがって、このクランプセンサ3では、仮ロック状態の第1スライド部71から指先を離しても、第1スライド部71が本体部21の基端部21b側にスライドして仮ロック状態が解除される事態を確実に防止することが可能となっている。
【0041】
続いて、第1スライド部71の仮ロック状態を維持しつつ、基端部21b側に向けて(
図7に示す矢印X2の向きに)第2スライド部72を移動させる。これにより、第1スライド部71が、仮ロック状態から矢印X2の向きへのスライドが確実に規制される本ロック状態に移行する。
【0042】
以上により、電線200のクランプが完了する。次いで、クランプセンサ3のクランプ部31,32(第1センサ51および第2センサ52)が、電線200に流れる電流によって生じる磁気を検出して検出信号を出力する。
【0043】
続いて、操作部12を操作して測定開始を指示する。この際に、制御部14が測定部11を制御して、測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部11は、クランプセンサ3から出力された検出信号(クランプセンサ3によって検出された検出量としての磁気)に基づいて電線200に流れる電流(クランプ対象についての測定量)を測定する。次いで、制御部14が、表示部13を制御して、測定部11によって測定された電流の値を表示させる。以上により、電線200を流れる電流の測定が完了する。
【0044】
一方、測定が完了して、電線200のクランプを解除する際には、第2スライド部72を本体部21の先端部21a側(第1スライド部71の先端部71a側)にスライドさせることによって第1スライド部71のスライド不可状態(ロック状態)を解除する。続いて、第1スライド部71を第2スライド部72と共に本体部21の基端部21b側にスライドさせる。この際に、第2ケース42の外周面42aに当接していた第1スライド部71の先端部71aが外周面42aから離反する。この際に、バネ73の付勢力により、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が離反する向き(
図6に示す矢印R1の向き)に第2のクランプ部32が回動し、これにより、同図に示すように、クランプ部31,32がオープン状態となる。次いで、クランプ部31,32の各先端部31a,32aの間の隙間から電線200を逃がすようにして電線200からクランプセンサ3(クランプ部31,32)を離反させる。以上により、電線200に流れる電流の測定が完了する。
【0045】
このように、このクランプセンサ3および電流測定装置1では、第1のクランプ部31が本体部21の先端部21aに固定されると共に、第2のクランプ部32が回動可能に本体部21の先端部21aに配設され、本体部21の先端部21aに向けて第1スライド部71をスライドさせたときに、第1スライド部71の先端部71aが第2のクランプ部32の外周面42aに当接してクランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が閉じる向きに第2のクランプ部32を回動させる。このため、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、本体部21に対してクランプ部31,32を移動させない状態でクローズ操作を行うことができるため、クローズ操作に伴って本体部21に対してクランプ部31,32が移動する従来の構成とは異なり、クローズ操作を行う際に、電線200がクランプ部31,32から外れないように電線200に対するクランプセンサ3の位置を調整するような動作を行う必要がない結果、操作性を十分に向上させることができる。また、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、第1スライド部71をスライドさせる力を第2のクランプ部32の外周面42aに作用させて第2のクランプ部32を回動させ、これによってクランプ部31,32をクローズ状態とさせることができる。このため、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、バネの付勢力だけで各先端部31a,32a同士を閉じさせる構成とは異なり、バネの付勢力の不足によって各先端部31a,32a同士が完全には閉じずに、被検出量を正確に検出することが困難となる事態を確実に防止することができる。
【0046】
また、このクランプセンサ3および電流測定装置1では、クローズ状態において本体部21の長さ方向(第1スライド部71のスライド方向)と平行となる平面部42bが第2のクランプ部32における外周面42aの被当接部に設けられている。このため、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、第1スライド部71を本体部21の先端部21a側にスライドさせてクランプ部31,32をクローズ状態としたときに、バネ73の付勢力によって第2のクランプ部32の平面部42bから第1スライド部71の先端部71aに加わる押圧力を、第1スライド部71のスライド方向に対して直交する向きに作用させることができる。つまり、このクランプセンサ3および電流測定装置1では、クローズ状態において、第2のクランプ部32から第1スライド部71に加わる押圧力が第1スライド部71のスライド方向に作用しないようにする(または、スライド方向への押圧力を低減させる)ことができる。このため、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、仮ロック状態の第1スライド部71から指先を離しても、第1スライド部71が本体部21の基端部21b側にスライドして仮ロック状態が解除される事態を確実に防止することができる。
【0047】
また、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、クランプ部31,32によって形成される環状体Rの中心Cよりも側面23b側に支持軸27を設けたことにより、中心Cよりも側面23a側に支持軸27を設ける構成と比較して、第2のクランプ部32の外周面42aに対して第1スライド部71から加えられる力の作用点と第2のクランプ部32の回動中心(支持軸27の位置)との間の距離を短くすることができる。このため、このクランプセンサ3および電流測定装置1によれば、第1スライド部71の少ないスライド量で第2のクランプ部32を大きく回動させることができる結果、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士を閉じさせる操作(クローズ操作)の操作性をさらに向上させることができる。
【0048】
なお、クランプセンサおよび測定装置の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、検出量としての磁気を検出するクランプセンサ3を例に挙げて説明したが、検出量は磁気に限定されない。一例として、水道管やガス管などをクランプ対象として、水道管に流れる水の流量や温度、およびガス管に流れるガスの流量や温度を測定量として検出するクランプセンサに適用することができる。
【0049】
また、クランプセンサ3によって検出された検出量(上記の例では、磁気)に基づいて測定量の一例としての電流を測定する電流測定装置1を例に挙げて説明したが、磁気や上記した磁気以外の各種の検出量に基づいて電流以外の各種の測定量を測定する測定装置に適用することができる。
【0050】
また、第1スライド部71と、第1スライド部71のスライドを規制する第2スライド部72とを備えた例について上記したが、第2スライド部72を備えていない構成を採用することもできる。
【0051】
また、クローズ状態において本体部21の長さ方向に対して平行となる平面部42bを第2のクランプ部32における外周面42aの被当接部に形成した例について上記したが、このような平面部42bを外周面42aに形成しない構成を採用することもできる。
【0052】
また、本体部21の各側面23a,23b間における中間位置よりも側面23a側に支持軸27を設けた例について上記したが、中間位置に支持軸27を設ける構成や、中間位置よりも側面23b側に支持軸27を設ける構成を採用することもできる。
【0053】
また、ねじりコイルバネで構成されたバネ73を付勢部材として用いる構成例について上記したが、コイルスプリングを付勢部材として用いて、クランプ部31,32の各先端部31a,32a同士が開く向きに第2のクランプ部32を付勢する構成を採用することもできる。