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特開2015-190816センサユニット、トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-190816(P2015-190816A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】センサユニット、トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20151006BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
   B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-67235(P2014-67235)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大門 巨一
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB15
3D333CC30
3D333CD06
3D333CD16
3D333CD23
3D333CD24
3D333CD25
3D333CD31
3D333CD37
3D333CD40
3D333CD45
3D333CE15
3D333CE21
(57)【要約】
【課題】センサハウジングが熱を受けてもコレクタに熱の影響が及ぶのを防止乃至抑制することができるセンサユニットを提供する。
【解決手段】磁束を導く第1ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより第1ステータで導かれた磁束を集磁する第1コレクタ41と、第2ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより第2ステータで導かれた磁束を集磁する第2コレクタ42と、第1コレクタ41及び第2コレクタ42の外方を覆う周壁46q(壁)が形成され、第1コレクタ41及び第2コレクタ42を保持するセンサハウジング46とを備え、第1コレクタ41の第1ステータに対向する面41Aとは反対の面41B及び第2コレクタ42の第2ステータに対向する面42Aとは反対の面42Bと、センサハウジング46の周壁46qとの間に、隙間Kを形成した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束を導くステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで導かれた前記磁束を集磁するコレクタと、前記コレクタの外方を覆う壁が形成され、前記コレクタを保持するセンサハウジングとを備え、
前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成したセンサユニット。
【請求項2】
前記隙間は、前記コレクタの長手方向の両端部を除いた範囲に形成されている請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記壁のうち前記コレクタの前記両端部に接する部分を除いた部分が凹状に形成されて、前記隙間が形成されている請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記コレクタの前記両端部を除いた部分が前記壁から離れる方向に屈曲して形成されて、前記隙間が形成されている請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項5】
相対的に回転する、同軸に配置された2つの軸のうち一方の軸に固定された磁石と、
前記2つの軸のうち他方の軸に固定され、前記一方の軸と前記他方の軸との間のねじれ角度に応じた磁束を導くステータと、
前記ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで導かれた前記磁束を集磁するコレクタ及び前記コレクタの外方を覆う壁が形成され前記コレクタを保持するセンサハウジングとを有するセンサユニットとを備え、
前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成したトルク検出装置。
【請求項6】
相対的に回転する、同軸に配置された2つの軸のうち一方の軸に固定された磁石と、前記2つの軸のうち他方の軸に固定され、前記一方の軸と前記他方の軸との間のねじれ角度に応じた磁束を検出するステータと、前記ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで検出された前記磁束を集磁するコレクタ及び前記コレクタの外方を覆う壁が形成され前記コレクタを保持するセンサハウジングを有するセンサユニットとを含み、トルクを検出するトルク検出装置と、
前記一方の軸又は前記他方の軸の回転をアシストする電動モータと、
前記トルク検出装置により検出された結果に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成した電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット、トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の電動パワーステアリング装置の軸に発生する操舵トルクを検出するために、トルク検出装置が用いられている。トルク検出装置は、トーションバーで連結された入力軸と出力軸とのうち一方の軸に固定された永久磁石と、他方の軸に固定され、一方の軸と他方の軸との間のねじれ角度に応じた磁束を導くステータと、ステータで導かれた磁束を電気信号に変換して出力するセンサユニットとを備えている。
永久磁石及びステータユニットは軸側ハウジングで覆われている。
センサユニットは、ステータに対向して、ステータで導かれた磁束を集磁するコレクタと、コレクタで集磁された磁束を電気信号に変換して出力する磁気センサと、これらコレクタ及び磁気センサの外方を覆う周壁を有してコレクタ及び磁気センサを内部に保持し、軸側ハウジングに固定されるセンサハウジングとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
コレクタは、センサハウジングが軸側ハウジングに固定されたときコレクタとステータとの間に適正な隙間が形成されるように、センサハウジングに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−195333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサユニットを含むトルク検出装置は、車両のステアリング機構に装着されるため、車両のエンジンルームに配置される。エンジンルームは、主にエンジンの発熱により高温となり易く、センサユニットもこの熱に晒されている。
センサユニットのセンサハウジングは樹脂で形成されているため、熱の影響を受けることがある。そして、センサハウジングの周壁が熱の影響により変形してその外壁がコレクタをステータの方向に押すと、コレクタとステータとの間の隙間が小さくなり、コレクタがステータから集磁した磁束が、適正な隙間で集磁した磁束と異なるものとなり、検出精度に影響を及ぼすおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、センサハウジングが熱を受けてもコレクタに熱の影響が及ぶのを防止乃至抑制することができるセンサユニット、トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、磁束を導くステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで導かれた前記磁束を集磁するコレクタと、前記コレクタの外方を覆う壁が形成され、前記コレクタを保持するセンサハウジングとを備え、前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成したセンサユニットである。
この発明のセンサユニットは、前記隙間は、前記コレクタの長手方向の両端部を除いた範囲に形成されていてもよい。
この発明のセンサユニットは、前記壁のうち前記コレクタの前記両端部に接する部分を除いた部分が凹状に形成されて、前記隙間が形成されていてもよい。
この発明のセンサユニットは、前記コレクタの前記両端部を除いた部分が前記壁から離れる方向に屈曲して形成されて、前記隙間が形成されていてもよい。
また、本発明は、相対的に回転する、同軸に配置された2つの軸のうち一方の軸に固定された磁石と、前記2つの軸のうち他方の軸に固定され、前記一方の軸と前記他方の軸との間のねじれ角度に応じた磁束を導くステータと、前記ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで導かれた前記磁束を集磁するコレクタ及び前記コレクタの外方を覆う壁が形成され前記コレクタを保持するセンサハウジングとを有するセンサユニットとを備え、前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成したトルク検出装置である。
また、本発明は、相対的に回転する、同軸に配置された2つの軸のうち一方の軸に固定された磁石と、前記2つの軸のうち他方の軸に固定され、前記一方の軸と前記他方の軸との間のねじれ角度に応じた磁束を検出するステータと、前記ステータとの間に空隙を介して対向して配置されることにより、前記ステータで検出された前記磁束を集磁するコレクタ及び前記コレクタの外方を覆う壁が形成され前記コレクタを保持するセンサハウジングを有するセンサユニットとを含み、トルクを検出するトルク検出装置と、前記一方の軸又は前記他方の軸の回転をアシストする電動モータと、前記トルク検出装置により検出された結果に基づいて前記電動モータの駆動を制御する制御装置と、を備え、前記コレクタの、前記ステータに対向する面とは反対の面と、前記センサハウジングの前記壁との間に、隙間を形成した電動パワーステアリング装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るセンサユニットによれば、センサハウジングが熱を受けてもコレクタに熱の影響が及ぶのを防止乃至抑制することができる。
本発明に係るトルク検出装置によれば、センサハウジングが熱を受けてもコレクタに熱の影響が及ぶのを防止乃至抑制することができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、センサハウジングが熱を受けてもコレクタに熱の影響が及ぶのを防止乃至抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るトルクセンサ(トルク検出装置の一例)の構成を示す分解斜視図である。
図3】トルクセンサの配置を示す断面図である。
図4】センサユニットの正面図である。
図5図4におけるV−V線に沿った断面を示す断面図である。
図6図4におけるVI−VI線に沿った断面を一部に示す部分断面図である。
図7】第2コレクタを示す斜視図である。
図8】他の実施の形態のセンサユニットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置、トルク検出装置及びセンサユニットの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
<電動パワーステアリング装置100の概略説明>
図1は、本発明の一実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては自動車に適用した構成を例示している。
【0010】
ステアリング装置100は、ドライバが操作するステアリングホイール101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。ステアリングシャフト102と上部連結シャフト103とが自在継手103aを介して連結されており、上部連結シャフト103と下部連結シャフト108(一方の軸)とが自在継手103bを介して連結されている。
【0011】
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左右の前輪150のそれぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106(他方の軸)の下端部に形成されている。
【0012】
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギアボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギアボックス107にてトーションバー112を介して下部連結シャフト108と同軸に連結されていて、トーションバー112のねじれに応じて、ピニオンシャフト106と下部連結シャフト108とは相対的に回転する。トーションバー112のねじれは、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTに対応する。
ステアリングギアボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対的な回転角度に基づいて、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTを検出する、本発明に係るトルク検出装置の一実施の形態としてのトルクセンサ109が設けられている。
【0013】
また、ステアリング装置100は、ステアリングギアボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。さらに、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109の出力値(トルクセンサ109により検出された結果)が入力される。
【0014】
以上のように構成されたステアリング装置100は、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTをトルクセンサ109が検出し、その検出された操舵トルクTに基づいて制御装置10が電動モータ110の駆動を制御し、電動モータ110の発生トルクがピニオンシャフト106に伝達される。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加える運転者の操舵力をアシストする。
【0015】
<トルクセンサ109の構成>
図2は、トルクセンサ109の構成を示す分解斜視図、図3は、トルクセンサ109の配置を示す断面図である。トルクセンサ109は、図2に示すように、入力軸である下部連結シャフト108に固定されるマグネットカラー21及び永久磁石22(磁石の一例)と、出力軸であるピニオンシャフト106に固定される第1ステータ31(ステータの一例)、第2ステータ32(ステータの一例)、ステータホルダ33(ステータ保持部材の一例)及びヨーク35と、第1ステータ31及び第2ステータ32で導かれた磁束を集磁して、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との間の相対回転角度に応じた電気信号を出力するセンサユニット40とを備えている。
なお、ピニオンシャフト106に固定される第1ステータ31、第2ステータ32、ステータホルダ33及びヨーク35が一体的に構成されたものを、以下、ステータユニット34という。
【0016】
(入力軸側の構成:永久磁石22他)
永久磁石22は、N極とS極とが周方向に交互に並んでリング状に形成され、周方向に着磁されている。本実施の形態における永久磁石22は、8個ずつのN極、S極が等角度間隔で配置されている。
マグネットカラー21は、鉄材によって円筒状に形成されていて、外周面21aに永久磁石22が嵌め合わされ、例えば接着によって永久磁石22はマグネットカラー21に固定される。また、図2に示すように、マグネットカラー21の内周面21bに下部連結シャフト108が挿入されて、圧入、溶接、カシメ等により、マグネットカラー21は下部連結シャフト108に固定される。これにより、永久磁石22は、下部連結シャフト108と一体に軸回りに回転可能となる。
【0017】
(出力軸側の構成:ステータユニット34)
第1ステータ31及び第2ステータ32は、例えばパーマロイ等の軟磁性材料で形成されている。第1ステータ31は、図2に示すように、円環状に形成された円環部31bを有している。また、第1ステータ31は、円環部31bの内周縁から下部連結シャフト108の軸方向に突出して延び、周方向に並んで形成された8個のステータ爪31aを有している。これら8個のステータ爪31aは、周方向に等角度間隔(45[度]間隔)で形成されている。
また、第1ステータ31は、円環部31bの外周縁から下部連結シャフト108の軸方向に突出して延びた3個の突片31cを有している。これら3個の突片31cは周方向に等角度間隔(120[度]間隔)で形成されている。各突片31cは、工具等によって半径方向内方に押されて塑性変形し、ステータホルダ33の位置決め部33jにカシメられ、第1ステータ31はステータホルダ33に結合される。
【0018】
第2ステータ32は、第1ステータ31を図示の上下を逆にして配置したものと同じであり、円環部32b、ステータ爪32a及び突片32cは、それぞれ第1ステータ31の円環部31b、ステータ爪31a及び突片31cに対応する。
第2ステータ32も第1ステータ31と同様に、ステータホルダ33の位置決め部33jに位置決めされてカシメられ、第2ステータ32はステータホルダ33に結合される。
ステータホルダ33に位置決めして固定された第1ステータ31のステータ爪31aと第2ステータ32のステータ爪32aとは、周方向において等角度間隔に交互に並ぶ。
【0019】
ヨーク35は、例えば鉄材によって短円筒状に形成されていて、インサート成形により、概略円筒状の樹脂のステータホルダ33と一体的に形成されている。
ステータホルダ33は、非磁性材料によって概略円筒状に形成されている。ステータホルダ33は、第1ステータ31及び第2ステータ32が結合されることにより、ヨーク35を含めてステータユニット34を構成している。
図3に示すように、ヨーク35の内周面35bに、ピニオンシャフト106が挿入されて、圧入、溶接、カシメ等により、ステータユニット34はピニオンシャフト106に固定される。
【0020】
ここで、トーションバー112に操舵トルクTが作用していない(下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との間で相対的な回転が生じていない)状態で、ピニオンシャフト106に固定されたステータユニット34の各ステータ爪31a,32aの周方向の中心線が、下部連結シャフト108に固定された永久磁石22の、N極とS極との境界線に一致するように、ステータユニット34はピニオンシャフト106に固定される。
なお、入力軸側のマグネットカラー21及び永久磁石22と、出力軸側のステータユニット34とは、図3に示すように、ハウジング170によって覆われている。
【0021】
(センサユニット40の構成)
図4はセンサユニット40の正面図、図5図4におけるV−V線に沿った断面を示す断面図、図6図4におけるVI−VI線に沿った断面を一部に示す部分断面図である。
センサユニット40は、第1コレクタ41及び第2コレクタ42と、磁気センサ43と、基板44と、センサハウジング46及び端子45(図5参照)とを備える。
【0022】
<センサハウジング46>
センサハウジング46は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂材又はポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂材で形成されている。センサハウジング46は、図2,3に示すように、基部46pと、基部46pから立ち上がった長円筒状の周壁46q(壁の一例)と、基部46pを挟んで周壁46qと反対側に形成された接続部46rとを有している。
第1コレクタ41、第2コレクタ42、基板44及び端子45は、図5に示すように、センサハウジング46の基部46pと周壁46qとにより囲まれた内部に収容され、センサハウジング46に保持されている。つまり、周壁46qは第1コレクタ41及び第2コレクタ42の外方を覆う壁となっている。
センサユニット40は、図3に示すように、周壁46qがハウジング170の孔170aに案内されて図示矢印方向に挿入され、基部46pが、図示を省略した締結部材によりハウジング170に固定される。
【0023】
センサハウジング46には、後述する第1コレクタ41の第1突出部41b,41c(図7参照)が圧入されることで第1突出部41b,41cを支持する第1支持部46b,46c(図6参照)及び第2突出部41d,41e(図7参照)が圧入されることで第2突出部41d,41eを支持する第2支持部46d,46e(図4参照)が形成されている。
また、センサハウジング46には、第2コレクタ42の第1突出部42b,42c(図7参照)が圧入されて第1突出部42b,42cを支持する第1支持部46b,46c(図6参照)及び第2突出部42d,42e(図7参照)が圧入されて第2突出部42d,42eを支持する第2支持部46d,46e(図4参照)が形成されている。
ここで、第1支持部46b,46cは、周壁46qと、周壁46qの内側の空間に形成された支持部材46sとの間の隙間によって形成されている。
また、周壁46qのうち、第1支持部46b,46cの間の範囲は、周壁46qの内周面が凹状に形成されている。
【0024】
<第1コレクタ41、第2コレクタ42>
図7は、第2コレクタ42を示す斜視図である。第2コレクタ42は、図7に示すように、平板の円弧状に形成された円弧部42aと、円弧部42aの外周縁からそれぞれ外方に延びて形成された第1突出部42b,42c、第2突出部42d,42e及び第3突出部42f,42gとを有する形状である。
【0025】
円弧部42aは、第2ステータ32の円環部32b(図2参照)の一部である円弧に対応する形状である。円弧部42aは、センサハウジング46がハウジング170に固定された状態で、第2ステータ32の円環部32bとの間に空隙を介して対向して配置され、第2ステータ32で導かれた磁束を集磁する。
【0026】
第1突出部42b,42cは、第2コレクタ42の長手方向の両端部に、円弧部42aと同一面上に延びて形成されている。第1突出部42b,42cは、センサハウジング46の第1支持部46b,46cに圧入されて支持される。
【0027】
第2突出部42d,42eは、第1突出部42b,42cよりも周方向の内側の位置に形成されている。第2突出部42d,42eは、円弧部42aの、第2ステータ32の円環部31bに対向する面42A(以下、対向面42Aという。)から、図示上方に段差を有するように屈曲して形成されている。第2突出部42d,42eは、突出した先端側の部分でセンサハウジング46の第2支持部46d,46eに圧入されて支持される。
【0028】
第3突出部42f,42gは、第2突出部42d,42eよりもさらに周方向の内側の位置に形成されている。第3突出部42f,42gも、円弧部42aの対向面42Aから、図示上方に、第2突出部42d,42eよりも大きな段差を有するように屈曲して形成されている。第3突出部42f,42gは、その段差によって磁気センサ43に接し、円弧部42aで集磁された磁束を磁気センサ43に導く。
【0029】
第1コレクタ41は、図2に示すように、第2コレクタ42と配置の姿勢が上下反対になるだけの違いであり、第2コレクタ42と同じ構成である。したがって、図7の括弧書きで示すように、第1コレクタ41における円弧部41a、第1突出部41b,41c、第2突出部41d,41e、第3突出部41f,41g、対向面41Aはそれぞれ、第2コレクタ42における円弧部42a、第1突出部42b,42c、第2突出部42d,42e、第3突出部42f,42g、対向面42Aに対応する。
そして、円弧部41aは、センサハウジング46がハウジング170に固定された状態で、第1ステータ31の円環部31b(図2参照)との間に空隙を介して対向して配置され、第1ステータ31で導かれた磁束を集磁する。
【0030】
第1コレクタ41は、第1突出部41b,41c及び第2突出部41d,41eがセンサハウジング46の第1支持部46b,46c及び第2支持部46d,46eにそれぞれ圧入されることで、センサハウジング46に保持される。
第1コレクタ41は、センサハウジング46に保持された状態で、図4に示すように、第1コレクタ41の対向面41Aとは反対の面41B(以下、反対面41Bという。)と周壁46qとの間に、第1コレクタ41の長手方向の両端部である第1突出部41b,41cを除いて、隙間Kが形成されている。
なお、第1コレクタ41における長手方向は、第1コレクタ41に対向する第1ステータ31の周方向と言い換えることができる。
【0031】
同様に第2コレクタ42がセンサハウジング46に保持された状態で、図4に示すように、第2コレクタ42の対向面42Aとは反対の面42B(以下、反対面42Bという。)と周壁46qとの間に、第2コレクタ42の長手方向の両端部である第1突出部42b,42cを除いて、隙間Kが形成されている。第2コレクタ42における長手方向も、第2コレクタ42に対向する第2ステータ32の周方向と言い換えることができる。
【0032】
<磁気センサ43>
磁気センサ43は、第1コレクタ41で導かれた磁束と第2コレクタ42で導かれた磁束とに基づいて第1コレクタ41と第2コレクタ42との間の磁束密度に対応した電気信号に変換する。
基板44は処理回路を備えていて、磁気センサ43から出力された電気信号に対して処理回路で処理を施す。
端子45は基板44から基部46pを貫通して接続部46r(図5参照)まで延び、基板44の処理回路で処理が施された電気信号を接続部46rの側まで導く。
接続部46rには図示しない電線のコネクタが接続され、基板44の処理回路で処理が施された電気信号は、端子45から電線を通じて制御装置10(図1参照)に入力される。
【0033】
<トルクセンサ109の作用>
以上のように構成されたトルクセンサ109によると、トーションバー112に操舵トルクTが加わってトーションバー112にねじれが生じ、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106とが相対的に回転すると、各ステータ爪31a,32aの周方向の中心線が、永久磁石22のN極又はS極の側にずれる。このずれた角度に応じて、第1ステータ31及び第2ステータ32に導かれる磁束の量が変化する。
第1ステータ31の円環部31bに導かれた磁束は、円環部31bに対向する第1コレクタ41の円弧部41aにより集磁され、第3突出部41f,41gから、それぞれ磁気センサ43に導かれる。
同様に、第2ステータ32の円環部32bに導かれた磁束は、円環部32bに対向する第2コレクタ42の円弧部42aにより集磁され、第3突出部42f,42gから、それぞれ磁気センサ43に導かれる。
各磁気センサ43は、第1コレクタ41の第3突出部41f,41g及び第2コレクタ42の第3突出部42f,42gからそれぞれ導かれた磁束の量に応じた電気信号、すなわち下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との間の相対的な回転角度に対応した電気信号に変換する。
基板44は、処理回路によって、この電気信号を操舵トルクTに対応する電気信号に変換処理し、端子45から電線を通じて制御装置10に出力する。
【0034】
<実施形態の効果>
本実施の形態のセンサユニット40は、電動パワーステアリング装置100の一部として、例えば車両のエンジンルームなどに配置される。この場合、センサユニット40は、エンジン等からの熱を受け易い。そして、センサユニット40のうち樹脂材で形成されたセンサハウジング46は熱の影響を受けると、図4の矢印で示すように、周壁46qが内側に向けて変形するおそれがある。
【0035】
本実施の形態の電動パワーステアリング装置100、トルクセンサ109及びセンサユニット40によると、第1コレクタ41の反対面41Bと周壁46qとの間及び第2コレクタ42の反対面42Bと周壁46qとの間には、それぞれ隙間Kが形成されている。
このため、仮に、周壁46qが内側に向けて変形したとしても、内側に変形した周壁46qは、隙間K内に留まり、第1コレクタ41の円弧部41a及び第2コレクタ42の円弧部42aを内側に押圧することがない。
したがって、周壁46qが熱により変形した場合であっても、第1コレクタ41の円弧部41aと第1ステータ31の円環部31bとの間の距離及び第2コレクタ42の円弧部42aと第2ステータ32の円環部32bとの間の距離が変動することがない。
【0036】
つまり、本実施の形態とは異なり、第1コレクタ41の反対面41Bと周壁46qとの間及び第2コレクタ42の反対面42Bと周壁46qとの間に隙間Kが形成されていない場合は、内側に変形した周壁46qが、第1コレクタ41の円弧部41a及び第2コレクタ42の円弧部42aを内側に押圧する。この場合、第1コレクタ41の円弧部41aと第1ステータ31の円環部31bとの間の距離及び第2コレクタ42の円弧部42aと第2ステータ32の円環部32bとの間の距離が、周壁46qで押されない場合よりも短くなる。その結果、第1コレクタ41及び第2コレクタ42が集磁する磁束の量が、周壁46qで押されない場合に集磁される磁束の量より大きくなり、磁気センサ43での検出結果に誤差が生じる。
しかし、本実施の形態のセンサユニット40、トルクセンサ109及び電動パワーステアリング装置100によれば、センサハウジング46が熱を受けても、第1コレクタ41及び第2コレクタ42が集磁する磁束の量の変動を招くことがなく、熱による影響が及ぶのを防止乃至抑制することができる。
【0037】
なお、仮に、センサハウジング46が熱により変形するときであっても、センサハウジング46の幅方向(第1コレクタ41及び第2コレクタ42の幅方向に対応)の端部に近くなるほど、変形の量は小さくなる。これは、幅方向の端部では、周壁46qが円弧状に曲って形成されているため、幅方向の端部以外の部分(例えば幅方向の中央部分)に比べて剛性が強くなるためである。
したがって、隙間Kは、周壁46qの変形量が少ない第1コレクタ41及び第2コレクタ42の長手方向の両端部を除いた範囲に形成されていればよい。これにより、第1コレクタ41及び第2コレクタ42の長手方向の両端部に対応する第1突出部41b,41c及び第1突出部42b,42cを、周壁46qの先端側でそれぞれ第1支持部46b,46cにより支持することができ、第1コレクタ41の円弧部41aと第1ステータ31の円環部31bとの間の距離及び第2コレクタ42の円弧部42aと第2ステータ32の円環部32bとの間の距離を精度よく維持することができる。
【0038】
本実施の形態は、センサハウジング46が第1コレクタ41及び第2コレクタ42の外方の全周を覆う周壁46qを有するものであるが、本発明におけるセンサハウジングの壁は、周方向に繋がった周壁に限定されるものではない。
すなわち、センサハウジングは、少なくとも第1コレクタ41における第1ステータ31に対向する面41A(対向面41A)とは反対側の面41B(反対面41B)の側を外方から覆う部分を有する壁及び少なくとも第2コレクタ42における第2ステータ32に対向する面42A(対向面42A)とは反対側の面42B(反対面42B)の側を、それぞれ外方から覆う部分を有する壁であればよい。
【0039】
<変形例>
上述した実施の形態におけるセンサユニット40は、センサハウジング46の周壁46qのうち、第1コレクタ41及び第2コレクタ42の各両端部に接する部分を除いた部分が凹状に形成されていることで、第1コレクタ41及び第2コレクタ42と周壁46qとの間に隙間Kが形成されているが、本発明は、この形態に限定されるものではない。
すなわち、例えば図8に示すように、第1コレクタ41及び第2コレクタ42の各両端部を除いた部分が周壁46qから離れる方向に屈曲して形成された構成により、第1コレクタ41及び第2コレクタ42の各反対面41B,42Bと周壁46qとの間に隙間Kが形成されていてもよい。
このように構成された形態のセンサユニット40によっても、上記実施の形態のセンサユニット40と同じ効果を発揮することができる。
【0040】
上述した各実施の形態では、センサユニット40が2つの磁気センサ43を備えたものであるが、本発明に係るセンサユニット、トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置はこの形態に限定されるものではなく、備える磁気センサは1つであってもよい。
上述した各実施の形態の電動パワーステアリング装置100は、いわゆるピニオンアシスト式のものであるが、本発明の電動パワーステアリング装置は、この方式に限定されるものではなく、いわゆるコラムアシスト式やラックアシスト式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
31…第1ステータ(ステータ)、32…第2ステータ(ステータ)、40…センサユニット、41…第1コレクタ(コレクタ)、42…第2コレクタ(コレクタ)、46…センサハウジング、100…電動パワーステアリング装置、109…トルクセンサ(トルク検出装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8