特開2015-190828(P2015-190828A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シスメックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015190828-検体分析装置 図000003
  • 特開2015190828-検体分析装置 図000004
  • 特開2015190828-検体分析装置 図000005
  • 特開2015190828-検体分析装置 図000006
  • 特開2015190828-検体分析装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-190828(P2015-190828A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】検体分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   G01N35/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67669(P2014-67669)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】福寿 利勝
(72)【発明者】
【氏名】今津 雅範
(72)【発明者】
【氏名】芝 正樹
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB09
2G058CB15
2G058CD11
2G058CD26
2G058CE08
2G058EA02
2G058EA04
2G058ED35
2G058GA02
2G058GE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検体分析装置を小型化する。
【解決手段】検体分析装置100は、複数のR2試薬容器およびR1・R3試薬容器を格納するための試薬庫4と、試薬庫4からR2試薬を吸引して第1分注位置P3にある反応容器に分注するための第1試薬分注部101aと、試薬庫4からR3試薬を吸引して第2分注位置P4にある反応容器に分注するための第2試薬分注部101bと、第1試薬分注部101aおよび第2試薬分注部101bを支持する支持部材102と、を備え、第1試薬分注部101aおよび第2試薬分注部101bは、各分注位置と試薬庫4との間を、互いに独立して移動可能に支持部材102に支持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬容器を格納するための試薬庫と、
前記試薬庫から第1種類の試薬を吸引して第1分注位置にある反応容器に分注するための第1試薬分注部と、
前記試薬庫から第2種類の試薬を吸引して第2分注位置にある前記反応容器に分注するための第2試薬分注部と、
前記第1および第2試薬分注部を支持する支持部材と、を備え、
前記第1および第2試薬分注部は、各分注位置と前記試薬庫との間を、互いに独立して移動可能に前記支持部材に支持されている、検体分析装置。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記第1分注位置と前記試薬庫との間における前記第1試薬分注部の移動をガイドする第1ガイド部材と、
前記第2分注位置と前記試薬庫との間における前記第2試薬分注部の移動をガイドする第2ガイド部材とを含む、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材は、前記支持部材の一方の側面に設けられ、
前記第2ガイド部材は、前記支持部材の他方の側面に設けられている、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記支持部材は、略鉛直方向に延びる板状部材により形成されている、請求項2または3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記第1試薬分注部は、水平の直線移動および上下移動のみで、前記試薬庫内の試薬容器へのアクセスと前記反応容器へのアクセスとを行うように構成され、
前記第2試薬分注部は、水平の直線移動および上下移動のみで、前記試薬庫内の試薬容器へのアクセスと前記反応容器へのアクセスとを行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記第1分注位置において前記反応容器を保持するための保持部を備え、前記保持部には、少なくとも一つの前記反応容器が挿入可能な内径を有する保持孔が形成されており、前記保持孔には、挿入された前記反応容器の中心位置を調整するための調整部材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記調整部材は、前記反応容器の中心位置が前記保持孔の中心に対して偏心するように前記反応容器を保持可能である、請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記試薬庫は、前記第1種類の試薬の試薬容器を保持するための環状に配置された複数の外側収容部と、前記外側収容部の内側に設けられ、前記第2種類の試薬の試薬容器を保持するための環状に配置された複数の内側収容部と、を備え、
前記外側収容部と前記内側収容部とは、同軸を中心に互いに独立して回転可能に構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、試薬ディスクから試薬を吸引して第1分注位置に配置された反応容器に分注するための第1試薬分注部と、試薬ディスクから試薬を吸引して第2分注位置に配置された反応容器に分注するための第2試薬分注部とを備えた検体分析装置が開示されている。この検体分析装置では、第1試薬分注部は第1支持部材により支持され、第2試薬分注部は第2支持部材により支持されている。第1支持部材と第2支持部材とは、間隔を隔てて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−209339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では第1支持部材と第2支持部材とが間隔を隔てて配置されているため検体分析装置が大型化していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一の局面による検体分析装置は、複数の試薬容器を格納するための試薬庫と、試薬庫から第1種類の試薬を吸引して第1分注位置にある反応容器に分注するための第1試薬分注部と、試薬庫から第2種類の試薬を吸引して第2分注位置にある反応容器に分注するための第2試薬分注部と、第1および第2試薬分注部を支持する支持部材と、を備え、第1および第2試薬分注部は、各分注位置と試薬庫との間を、互いに独立して移動可能に支持部材に支持されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検体分析装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による検体分析装置を示した模式図である。
図2】一実施形態による試薬庫を示した模式図である。
図3】一実施形態による第1試薬分注部および第2試薬分注部と支持部材とを示した斜視図である。
図4】他の実施形態による検体分析装置の第1支持部および第2支持部を示した図である。
図5】他の実施形態による調整部材を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態による検体分析装置100の構成について説明する。
【0009】
検体分析装置100は、被検者から採取された血清などの臨床検体を用いてHIVやB型肝炎ウイルスなどの感染症、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなどの項目を免疫学的に検査する免疫分析装置である。検体分析装置100は、測定対象である血清検体に含まれる抗原や抗体などを定量的にまたは定性的に測定する。検体に含まれる抗原を定量測定する場合には、検体分析装置100は、捕捉抗体が感作された磁性粒子と検体とを混合して、抗原と磁性粒子との複合体を試料中に形成させ、1次BF分離部12により試料中の未反応の成分を除去する。そして、検体分析装置100は、複合体を含む試料と標識抗体とを混合し、2次BF分離部14により試料中の未反応の標識抗体を除去する。そして、検体分析装置100は、試料に分散液および発光基質を添加し、標識抗体に結合した酵素と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。
【0010】
[検体分析装置100の構造]
検体分析装置100は、図1に示すように、検体搬送部1と、制御装置2と、測定機構部3とを備えている。
【0011】
制御装置2は、パーソナルコンピュータにより構成されている。具体的には、制御装置2は、図示しないCPU、表示部および記憶部などを含んでいる。制御装置2は、ユーザが入力した測定オーダに基づいて、測定機構部3に測定を行わせる。記憶部は、後述するR2試薬容器50およびR1・R3試薬容器60の各々の試薬情報および位置情報などを記憶している。また、記憶部は、検体搬送部1および測定機構部3の動作をCPUに制御させるためのプログラムを記憶している。以下で説明する検体搬送部1および測定機構部3の動作は、制御装置2のCPUが記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、CPUの制御下で実行される。
【0012】
検体搬送部1は、検体を収容した複数の試験管1aを後述する検体分注部5による検体吸引位置まで搬送する。
【0013】
測定機構部3は、主な構成として、容器供給部51と、ピペット供給機構52と、試薬庫4と、検体分注部5と、検体搬送レール6と、第1試薬分注アーム7と、第1反応部8と、第1支持部9と、分注機構部10と、第2反応部11と、1次BF分離部12と、第2支持部13と、2次BF分離部14と、R4試薬・R5試薬載置部15と、第4試薬分注部16と、第5試薬分注部17と、第3反応部18と、測光部19とを備えている。
【0014】
容器供給部51は、検体吐出位置53に反応容器30を供給する。検体分注部5は、図示しないノズルを含み、ピペット供給機構52から供給されたピペットチップをノズルの先端に装着する。検体分注部5は、装着したピペットチップを介して、検体搬送部1により検体吸引位置に搬送された試験管1a内の検体を吸引し、検体吐出位置53にある反応容器30内に検体を分注する。
【0015】
検体搬送レール6は、検体吐出位置53から第1反応部8に向かって略直線状に延びている。検体搬送レール6は、反応容器30を検体吐出位置53から第1反応部8に向けて搬送する。反応容器30を第1反応部8に搬送する途中のR1試薬分注位置61において、R1試薬分注アーム7により反応容器30内にR1試薬が分注される。R1試薬は緩衝液である。
【0016】
第1反応部8には、複数の反応容器30を設置する複数の保持部8aが設けられている。第1反応部8は、反応容器30を加温する機能を有している。検体搬送レール6によって終点まで搬送された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出されて、第1反応部8のいずれかの保持部8aに設置される。反応容器30は第1反応部8によって所定時間加温される。
【0017】
所定時間加温された反応容器30は、図示しないキャッチャにより第1反応部8から取り出され、第1支持部9に設置される。分注機構部10の第1試薬分注部101aは、第1支持部9に設置された反応容器30にR2試薬を分注する。R2試薬は捕捉抗体が感作された磁性粒子の懸濁液である。分注機構部10については後述する。
【0018】
第2反応部11には、複数の反応容器30を設置する複数の保持部11aが設けられている。第2反応部11は、反応容器30を加温する機能を有している。R2試薬が分注された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、第2反応部11のいずれかの保持部11aに設置される。反応容器30は第2反応部11によって所定時間加温される。
【0019】
第2反応部11によって所定時間加温された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、1次BF分離部12に設置される。1次BF分離部12は、磁石を用いて反応容器30に収容された試料中の磁性粒子を含む複合体と、未反応の成分とを分離し、未反応の成分を除去する。
【0020】
1次BF分離部12による処理が行われた反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、第2支持部13に設置される。分注機構部10の第2試薬分注部101bは、第2支持部13に設置された反応容器30にR3試薬を分注する。R3試薬は酵素によって標識された抗体(以下、標識抗体という)を含む液である。R3試薬が分注された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出されて第2反応部11に設置され、所定時間加温される。
【0021】
第2反応部11によって所定時間加温された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、2次BF分離部14に設置される。2次BF分離部14は、磁石を用いて反応容器30内の磁性粒子を含む複合体と、R3試薬に含まれる未反応の標識抗体とを分離し、未反応の標識抗体を除去する。
【0022】
2次BF分離部14による処理が行われた反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、第4試薬分注部16に設置される。第4試薬分注部16は、設置された反応容器30にR4試薬を分注する。R4試薬は分散液である。
【0023】
第4試薬分注部16によりR4試薬が分注された反応容器30は、図示しないキャッチャにより、第5試薬分注部17に設置される。第5試薬分注部17は、設置された反応容器30にR5試薬を分注する。R5試薬は標識抗体の酵素と反応して光を生ずる発光基質を含む液である。
【0024】
第3反応部18には、複数の反応容器30を設置する複数の保持部18aが設けられている。R5試薬が分注された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、第3反応部18のいずれかの保持部18aに設置される。反応容器30は、第3反応部18によって所定時間加温される。
【0025】
第3反応部18によって所定時間加温された反応容器30は、図示しないキャッチャにより取り出され、測光部19に送られる。測光部19は、反応容器30から生じる光を測光する。測光された反応容器30は廃棄され、測定が終了する。
【0026】
[試薬庫4]
図2を参照して試薬庫4の構造と分注機構部10との位置関係を説明する。試薬庫4は、略円筒状の形状を有する筐体41と、筐体41をZ1側から覆う蓋部42(図1参照)を含んでいる。試薬庫4は、平面視において、筐体41の中央部分を中心として環状に配置される複数の外側収容部43と複数の内側収容部44とを含んでいる。複数の外側収容部43は、試薬庫4の半径方向の内側収容部44の外側に配置されている。外側収容部43は、R2試薬容器50を格納する。R2試薬容器はR2試薬を収容している。複数の内側収容部44は、試薬庫4の半径方向の外側収容部43の内側に配置されている。内側収容部44は、R1・R3試薬容器60を格納する。R1試薬容器はR1試薬を収容している。R3試薬容器はR3試薬を収容している。R1・R3試薬容器60は、半径の外側方向のR1試薬収容部60aと、半径の内側方向のR3試薬収容部60bとに分割されている。外側収容部43と内側収容部44とは、試薬庫4の中心を軸として、互いに独立して回転可能に構成されている。
【0027】
試薬庫4は、外側収容部43を回転させることで、第1試薬分注部101aがR2試薬を吸引する位置P1の直下に、吸引対象のR2試薬容器50を配置するように構成されている。また、試薬庫4は、内側収容部44を回転させることで、第2試薬分注部101bがR3試薬を吸引する位置P2の直下に、吸引対象のR3試薬容器60のR3試薬収容部60bを配置するように構成されている。これらの動作は制御装置2による制御によって行われる。具体的には、制御装置2は、測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、複数のR2試薬容器50の中から測定項目に対応する一つのR2試薬容器50を吸引対象に特定する。さらに、制御装置2は、測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、複数のR3試薬容器60の中から測定項目に対応する一つのR3試薬容器60を吸引対象に特定する。制御装置2は、特定したR2試薬容器50およびR3試薬容器60を、それぞれ位置P1および位置P2に位置付けるように試薬庫4を制御する。蓋部42には、R2試薬が吸引される位置およびR3試薬が吸引される位置に図示しない開口部が形成されている。
【0028】
[分注機構部10]
図3を参照して分注機構部10の構造を説明する。分注機構部10は、主な構成として、支持部材102と、支持部材102に固定された第1ガイド部材103aおよび第2ガイド部材103bと、第1ガイド部材103aに水平移動可能に係合した第1試薬分注部101aと、第2ガイド部材103bに水平移動可能に係合した第2試薬分注部101bと、を含んでいる。
【0029】
図3に図示するとおり、第1試薬分注部101aおよび第2試薬分注部101bは、共通の支持部材102により支持されている。これにより、それぞれの試薬分注部を別々の支持部材によって支持していた従来の装置に比べて、検体分析装置100を小型化することが可能となっている。さらに、第1試薬分注部101aおよび第2試薬分注部101bは、それぞれ別々のガイド部材に係合しており、互いに独立して移動可能である。これにより、二つの試薬分注部は、互いに干渉することなく試薬の吸引と分注を行うことができる。
【0030】
支持部材102は、略鉛直方向に延びる板状の板金によって形成されている。支持部材102のX1方向側の側面には、Y軸に沿って水平かつ直線状に延びる第1ガイド部材103aが取り付けられている。第1試薬分注部101aは、第1ガイド部材103aにスライド可能に係合している。
【0031】
第1ガイド部材103aが取り付けられた側面の背面側、つまり支持部材102のX2方向側の側面には、Y軸に沿って水平かつ直線状に延びる第2ガイド部材103bが取り付けられている。第2試薬分注部101bは、第2ガイド部材103bにスライド可能に係合している。
【0032】
本実施形態では二つの試薬分注部を支持する支持部材102を共通化し、かつ、二つの試薬分注部の移動をガイドするガイド部材103a、103bを支持部材の両側面に設けることで、二つのガイド部材の間隔を小さくでき、装置のさらなる小型化が可能となっている。
【0033】
支持部材102には、一対のモータ104aおよび104bと、一対のベルト106aおよび106bと、複数のプーリ107aおよび107bが取り付けられている。
【0034】
モータ104aは、第1試薬分注部101aを水平移動させるための駆動力を生成するモータである。モータ104aによって回転されるシャフトは複数のプーリ107aのうちの一つに接続されている。複数のプーリ107aにはベルト106aが架けられている。ベルト106aには第1試薬分注部101aが固定されている。ベルト106aおよびプーリ107aを介してモータ104aの動力が伝達されると、第1試薬分注部101aは、第1ガイド部材103aに沿ってY1方向またはY2方向に直線移動する。
【0035】
モータ104bは、第2試薬分注部101bを水平移動させるためのモータである。モータ104b、ベルト106bおよびプーリ107bは、それぞれ、上記のモータ104a、ベルト106aおよびプーリ107aと同様に接続されている。ベルト106bおよびプーリ107bを介してモータ104bの動力が伝達されると、第2試薬分注部101bは、第2ガイド部材103bに沿ってY1方向またはY2方向に直線移動する。
【0036】
第1試薬分注部101aは、ピペット110aを備えている。第1試薬分注部101aは、このピペット110aを介して、位置P1においてR2試薬容器からR2試薬を吸引し、第1分注位置P3において反応容器30に分注する。
【0037】
図3では、第1試薬分注部101aの内部を透視して図示している。第1試薬分注部101aの内部にはベルト106cおよび一対のプーリ107cが設けられている。第1試薬分注部101aには、ピペット110aを垂直移動させる駆動力を生成するためのモータ105aが取り付けられている。モータ105aが駆動すると、一対のプーリ107cとベルト106cを介して、ピペット110aに動力が伝達される。これにより、ピペット110aはZ軸に沿って昇降する。
【0038】
第2試薬分注部101bは、ピペット110bを備えている。第2試薬分注部101bは、このピペット110bを介して、位置P2においてR3試薬容器からR3試薬を吸引し、第2分注位置P4において反応容器30に分注する。
【0039】
第2試薬分注部101bの内部には、第1試薬分注部101aと同様の垂直移動機構が設けられており、第2試薬分注部101bに取り付けられたモータ105bの駆動によってピペット110bがZ軸に沿って昇降する。
【0040】
以上の構成により、第1試薬分注部101aは、水平直線移動と垂直移動の2軸の移動のみで、試薬庫4のR2試薬容器に対するアクセスと、反応容器30に対するアクセスとを行うことができる。同様に、第2試薬分注部101bは、水平直線移動と垂直移動の2軸の移動のみで、試薬庫4のR3試薬容器に対するアクセスと、反応容器30に対するアクセスとを行うことができる。2軸の直線移動のみで試薬の吸引と分注が実行できるため、ピペットを回転させるためのモータが不要である。さらに、ピペットを回転させる場合に比べて装置内でのピペットの移動範囲を小さくでき、装置の小型化が可能である。
【0041】
[他の実施形態]
【0042】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
図4に示すように、第1支持部9および第2支持部13は、反応容器30の位置を調整するための調整部材を備えていてもよい。図5はその一例である。第1支持部9には、孔部91が設けられている。孔部91は、平面視において、略円形に形成されている。孔部91には、調整部材93が配置されている。調整部材93には、反応容器30が挿入可能な内径の保持孔92と切欠部94が設けられている。調整部材93は、孔部91の円形の内側面に沿って回転移動可能に構成されている。図5では、便宜的に、調整部材93にハッチングを施して図示している。同様の構造を有する調整部材133が第2支持部13にも設けられている。
【0044】
保持孔92に挿入された反応容器30の中心位置C1は、平面視において、孔部91の中心位置C2に対して偏心している。切欠部94に工具を挿入して調整部材93を回転させることで、反応容器30の中心位置C1を調整することができる。
【0045】
この構成によれば、第1試薬分注部101aによるピペット110aの反応容器30への挿入位置を、調整部材93を回転させることで調整することができる。上記実施形態のように、二つの試薬分注部を共通の支持部材102に支持させ、それぞれの試薬分注部が水平と垂直の2軸の移動のみで試薬容器と反応容器の両方にアクセスできるようにするには、高い組み立て精度が要求される。つまり、第1位置P1と第3位置P3とが直線上に位置し、かつ第2位置P2と第4位置P4とが直線上に位置するように支持部材102の向きを調整する必要がある。
【0046】
調整部材93を用いれば、支持部材102の向きを反応容器30の位置P3、P4に合せるのではなく、支持部材102の向きに合わせて反応容器30の中心位置を調整できるため、支持部材102の取り付け誤差を調整部材93によって吸収することできる。
【0047】
なお、ここでは位置P3および位置P4の両方に調整部材を設けた例を示しているが、調整部材は位置P3および位置P4のいずれか一方にのみ設けられてもよい。
【0048】
上記実施形態では、検体分析装置として血清を検査する免疫分析装置を例示したが、検体分析装置は、生化学分析装置、尿分析装置や遺伝子検査装置であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、支持部材が、2つの第1試薬分注部および第2試薬分注部を支持する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、支持部材が、第1試薬分注部および第2試薬分注部に加え、さらに別の試薬分注部を支持してもよい。
【符号の説明】
【0050】
30 反応容器
43 外側収容部
44 内側収容部
50 R2試薬容器
60 R1・R3試薬容器
91 孔部
92 保持孔
93 調整部材
100 検体分析装置
101a 第1試薬分注部
101b 第2試薬分注部
102 支持部材
103a 第1ガイド部材
103b 第2ガイド部材
P3 第1分注位置
P4 第2分注位置
図1
図2
図3
図4
図5