【課題】並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、ホスト装置への新たな負担を強いることなく、表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除する。
【解決手段】並設した複数個の表示ドライバの前段の表示ドライバにおける終点の階調信号出力端子と次段の表示ドライバにおける始点の階調信号出力端子とを表示パネルの同じ階調信号電極の駆動に用いる場合に、双方の階調信号出力端子間で、相互に一方の階調信号出力端子による階調信号の出力タイミングと競合する、他方の階調信号出力端子によるダミーデータの出力を、当該階調信号出力端子の高インピーダンス制御によって抑止する。
請求項1において、前記表示ドライバは、階調信号出力端子に第1極性の階調信号を出力する複数の第1出力バッファ及び第2極性の階調信号を出力する複数の第2出力バッファを備えると共に、切替え可能に第1出力バッファ又は第2出力バッファの出力を対応する階調信号出力端子に接続する出力スイッチ回路を有する、電子機器。
請求項3において、前記表示パネルは前記サブ画素毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子を有し、前記アクティブ素子を構成する半導体にアモルファスシリコンが用いられ、
前記階調信号出力端子は前記階調信号電極に一対一対応される、電子機器。
請求項3において、前記表示パネルは前記サブ画素毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子を有し、前記アクティブ素子を構成する半導体に低温ポリシリコンが用いられ、
1本置きに同一極性で駆動されるR,G,Bの3本の階調信号電極毎に、入力スイッチ回路を介して1個の前記階調信号出力端子が割り当てられ、
表示ドライバは、駆動される走査信号電極の切替えに同期して前記入力スイッチ回路で階調信号出力端子に接続する階調信号電極を切替える、電子機器。
請求項2において、直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子に接続可能な第1出力バッファ及び第2出力バッファは、選択信号に従って階調信号のスルーレートが選択可能にされる、電子機器。
請求項8において、直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子に接続可能な第1出力バッファ及び第2出力バッファは、選択信号に従って階調信号のスルーレートが選択可能にされる、表示ドライバ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は所謂ドット反転駆動を行う複数の表示ドライバを並列して表示パネルを駆動する技術について検討した。本発明者が着目する所謂ドット反転駆動は、千鳥状にドット反転駆動を行う方式である。即ち、表示パネルの走査方向に沿った走査ライン上だけでなく、階調信号で駆動される信号ライン上でもドット反転を行う駆動方式である。単に走査ライン上だけでドット反転を行う場合に比べて、表示の均一化並びに低消費電力に資することができる。
【0005】
千鳥状のドット反転駆動を行う表示ドライバを並列する場合に、以下の問題点のあることが本発明者によって明らかにされた。
【0006】
問題点の理解を容易化するために、先ず、表示パネルを1個の表示ドライバで駆動する場合について説明する。この場合、表示パネルPNLには
図7に例示されるように、ソース線のような階調信号電極ST_(R1)〜ST_(B800)の延在方向にサブ画素が配置された複数の信号ラインSIG_(R1、r1)〜SIG_(b800、B800)が形成されていて、同一信号ラインのサブ画素は例えば順次1個おきに、隣り合う一方又は他方の階調信号電極に交互に接続されることになる。先頭の階調信号電極ST_(R1)は表示ドライバDRVの階調信号出力端子SLの出力によって駆動され、終点の階調信号電極ST_(B800)は表示ドライバDRVの階調信号出力端子S800の出力によって駆動される。先頭の階調信号電極STR1と終点の階調信号電極ST_(B800)は他の階調信号電極とは相違し、画素の接続が変則的になっていて、先頭の階調信号電極STR1には偶数走査ラインの画素が接続されず、終点の階調信号電極STB800には奇数走査ラインの画素が接続されていない。ここで、階調信号電極ST_(R1)〜ST_(B800)には出力スイッチ回路OSWを介して正極性の階調信号を出力する第1出力バッファBUF(+)と負極性の階調信号を出力する第2出力バッファBUF(−)が設けられ、例えば対応する階調信号出力端子に接続されるバッファBUF(+),BUF(−)の出力が表示フレーム毎に出力スイッチ回路OSWで切替えられる。階調信号出力端子S1〜S800の夫々は、1本置きに同一極性で駆動される3本の階調信号電極毎に、入力スイッチ回路ISWを介して接続される。入力スイッチ回路ISWは3本のスイッチ信号SRCSW(a)〜SRCSW(c)によって走査ライン毎に時分割でオン状態にされるスイッチを順次切替えていく。本願の図面において、同一極性で駆動されるレッド、グリーン、ブルーのサブ画素の一方のグループをRx,Gx,Bxで示し、他方のグループをrx,gx,bxで示してある。xは画素の番号である。
【0007】
図8には画素の接続が変則的になっている先頭の階調信号電極ST_(R1)と終点の階調信号電極ST_(B800)に関する階調信号出力端子SL,S800の出力データが例示される。先頭の階調信号出力端子SLの出力データは、奇数ライン(1line,3line,…)のスイッチ信号SRCSW(c)のハイパルスに同期してレッドデータを出力し、その他のタイミングではダミーデータ(Dummy)を出力する。終点の階調信号出力端子S800の出力データは、奇数ライン(1line,3line,…)のスイッチ信号SRCSW(a)のハイパルスに同期してグリーンデータ、スイッチ信号SRCSW(b)のハイパルスに同期してブルーデータ、スイッチ信号SRCSW(c)のハイパルスに同期してダミーデータを出力し、偶数ライン(2line,4line,…)のスイッチ信号SRCSW(a)のハイパルスに同期してレッドデータ、スイッチ信号SRCSW(b)のハイパルスに同期してグリーンデータ、スイッチ信号SRCSW(c)のハイパルスに同期してブルーデータを出力する。ダミーデータは例えば黒色データ(全ビットゼロ)や直前の色データなどの所定のデータである。
【0008】
千鳥状のドット反転駆動を行う上記表示ドライバDRVを前提に、当該表示ドライバDRVを並列して用いる場合の問題点について詳述する。
【0009】
図9に例示されるように、複数の表示ドライバDRV_1,DRV_2を並列して用いる場合には、並列された前段の表示ドライバDRV_1の終点の階調信号出力端子S800からの表示データと、並列された次段の表示ドライバDRV_2の始点の階調信号出力端子SLからの表示データとを用いて駆動すべき共通の階調信号電極が存在することになる。具体的には、階調信号電極ST_(B800、R801)は並列された前後の表示ドライバDRV_1,DRV_2の双方の表示データで駆動すべきものとされる。これをそのまま適用して、
図9のように、階調信号電極ST_(B800、R801)を、並列された前段の表示ドライバDRV_1の終点の階調信号出力端子S800と、並列された次段の表示ドライバDRV_2の始点の階調信号出力端子SLとの双方に接続すると、
図8で説明した表示データとダミーデータが衝突し、
図10に例示されるように、階調信号電極ST_(B800、R801)、ST_(G800、R800)、ST_(G799、B799)に接続するサブ画素の表示が著しく乱れるという問題を生ずることが明らかにされた。
図10においてS800−SLは階調信号出力端子S800と階調信号出力端子SLとの双方に接続する階調信号電極を意味する。
【0010】
この表示の乱れを解消する手法として本発明者は以下の手法について検討した。
【0011】
第1の手法は、
図11に例示されるように、階調信号電極ST_(B800、R801)を前段の表示ドライバDRV_1の終点の階調信号出力端子S800だけに接続し、並列された次段の表示ドライバDRV_2の始点の階調信号出力端子SLをフローティングとする。この場合にはサブ画素R801を駆動する画素データSPD_R801を走査ラインの順次駆動に同期して次段の表示ドライバDRV_2から前段の表示ドライバDRV_1に転送しなければならない。前段の表示ドライバDRV_1は転送を受けた画素データSPD_R801を階調信号電極ST_(B800、R801)の駆動に用いる。
【0012】
しかしながら、
図11の手法では表示ドライバ間で画素データSPD_R801を転送する転送経路TRLを設けなければならない。この転送経路TRLは表示ドライバDRV_1,DRV_2が実装されるガラス基板上に形成されたり、表示ドライバDRV_1,DRV_2をホスト装置HSTに接続するFPC上に形成されたりすることが必要になり、ノイズの影響を受け易くなり、また、外部転送により電力消費も増大し、高解像度表示への対応に劣る結果となる。
【0013】
第2の手法は、第1の手法における画素データSPD_R801の転送経路を表示ドライバDRV_1,DRV_2間とはせず、
図12に例示されるように、ホスト装置HSTから直接表示ドライバDRV_1に転送するものとする。ホスト装置HSTは1番から801番の各サブ画素データ(1〜800pixel+801pixel)を前段の表示ドライバDRV_1に与え、801番から1600番の各サブ画素データ(801〜1600pixel)を次段の表示ドライバDRV_2に与える。
【0014】
しかしながら、ホスト装置HSTは本来であれば、前段の表示ドライバDRV_1には前半の1番から800番の各サブ画素データを与え、次段の表示ドライバDRV_2には後半の801番から1600番の各サブ画素データを与えればよいところ、後半の801番の画素データを前半のデータの最後に付加して前段の表示ドライバDRV_1に与えるという特別な処理をホスト装置HSTに負担させることになり、ホスト装置HSTの画像処理プログラムの修正や新たな画像処理プログラムの開発を強いることになってしまう。
【0015】
本発明の目的は、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、ホスト装置への新たな負担を強いることなく、表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除することができる電子機器を提供することにある。
【0016】
上記並びにその他の課題と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0018】
すなわち、並設した複数個の表示ドライバの前段の表示ドライバにおける終点の階調信号出力端子と次段の表示ドライバにおける始点の階調信号出力端子とを表示パネルの同じ階調信号電極の駆動に用いる場合に、双方の階調信号出力端子間で、相互に一方の階調信号出力端子による階調信号の出力タイミングと競合する、他方の階調信号出力端子によるダミーデータの出力を、当該階調信号出力端子の高インピーダンス制御によって抑止する。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0020】
すなわち、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、ホスト装置への新たな負担を強いることなく、表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される実施の形態について概要を説明する。実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0023】
〔1〕<ダミーデータ出力に代える高インピーダンス制御>
電子機器は、表示パネルと、前記表示パネルを駆動するためにその縁辺に直列的に配置された複数個の表示ドライバを有する。前記表示パネルは、選択端子が走査信号電極に接続され且つ信号入力端子が階調信号電極に接続された複数のサブ画素を有し、走査信号電極の延在方向に前記サブ画素が配置された複数の走査ラインと、階調信号電極の延在方向に前記サブ画素が配置された複数の信号ラインが形成され、同一信号ラインのサブ画素は順次所定数毎に、隣り合う一方又は他方の階調信号電極に交互に接続される。前記表示ドライバは走査信号電極を所定の順に駆動しながら、複数の階調信号電極に階調信号を並列的に供給する。直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子は双方が駆動対象にする共通の階調信号電極に接続される。前記直列的に隣り合う表示ドライバは、前記共通の階調信号電極に向けた階調信号の出力制御として、相互に隣り合う一方の階調信号出力端子からの階調信号の出力タイミングと競合する、相互に隣り合う他方の階調信号出力端子からのダミーデータの出力を、当該階調信号出力端子に係る高インピーダンス制御によって抑止する。
【0024】
これによれば、表示パネルの同じ階調信号電極上で競合する虞のあるダミーデータの出力を、その出力の高インピーダンス制御によって抑止するから、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、
図12で説明したホスト装置への新たな負担を強いることなく、
図11で説明した表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除することができる。
【0025】
〔2〕<出力極性の異なるバッファの出力先を出力スイッチ回路で交互切替え>
項1において、前記表示ドライバは、階調信号出力端子に第1極性の階調信号を出力する複数の第1出力バッファ及び第2極性の階調信号を出力する複数の第2出力バッファを備えると共に、切替え可能に第1出力バッファ又は第2出力バッファの出力を対応する階調信号出力端子に接続する出力スイッチ回路を有する。
【0026】
これによれば、出力極性の異なるバッファの出力先を出力スイッチ回路で交互切替えるから、表示パネルを千鳥状にドット反転駆動する表示ドライバを容易に構成することができる。
【0027】
〔3〕<サブ画素単位で駆動極性を反転>
項2において、前記所定数は1である。前記表示ドライバは複数の前記第1出力バッファ及び第2出力バッファを用いて階調信号電極を1本置きに同一極性で駆動し、階調信号電極に対する駆動極性を表示フレーム単位で交互に切替える。
【0028】
これによれば、サブ画素単位で駆動極性を反転する構成を容易に実現することができる。
【0029】
〔4〕<アクティブ素子を構成する半導体にアモルファスシリコンを利用>
項3において、前記表示パネルは前記サブ画素毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子を有する。前記アクティブ素子を構成する半導体にアモルファスシリコンが用いられ、前記階調信号出力端子は前記階調信号電極に一対一対応される。
【0030】
これによれば、安価な表示パネルを用いるのに好適であるが、表示ドライバは、階調信号電極の数に応ずる数の階調信号出力端子を要する。
【0031】
〔5〕<アクティブ素子を構成する半導体に低温ポリシリコンを利用>
項3において、前記表示パネルは前記サブ画素毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子を有し、前記アクティブ素子を構成する半導体に低温ポリシリコンが用いられる。1本置きに同一極性で駆動されるR,G,Bの3本の階調信号電極毎に、入力スイッチ回路を介して1個の前記階調信号出力端子が割り当てられる。表示ドライバは、駆動される走査信号電極の切替えに同期して前記入力スイッチ回路で階調信号出力端子に接続する階調信号電極を切替える。
【0032】
これによれば、アクティブ素子を高速動作させることができる表示パネルを用いるのに好適であり、それ故に、サブ画素の入力経路に入力スイッチ回路が介在されても必要な動作速度が保証され、表示ドライバは、階調信号電極数の数分の一の数の階調信号出力端子をもてば良い。
【0033】
〔6〕<スルーレートの選択>
項2において、直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子に接続可能な第1出力バッファ及び第2出力バッファは、選択信号に従って階調信号のスルーレートが選択可能にされる。
【0034】
これによれば、前段と次段の階調信号出力端子が夫々で担う階調信号電極に共通接続されることによって第1及び第2出力バッファの駆動負荷が増大する場合に対処することができる。
【0035】
〔7〕<走査ライン毎に一連の階調データを分割して夫々の表示ドライバに供給>
項2において、前記複数個の表示ドライバは同一の回路構成を供える。前記複数個の表示ドライバに表示データを供給するホスト装置を更に有する。前記ホスト装置は、走査ライン毎に一連の階調データを分割して夫々の表示ドライバに供給する。
【0036】
これによれば、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、ホスト装置は夫々の表示ドライバへの階調データの供給という点において新たな負担が強いられない。
【0037】
〔8〕<ダミーデータ出力に代える高インピーダンス制御>
表示ドライバは、並列的に階調信号を出力する並列された複数個の階調信号出力端子と、前記階調信号出力端子に第1極性の階調信号を出力する複数の第1出力バッファと、前記階調信号出力端子に第2極性の階調信号を出力する複数の第2出力バッファと、前記複数の第1出力バッファ及び第2出力バッファの出力を対応する階調信号出力端子に切替え可能に接続する出力スイッチ回路と、前記出力スイッチ回路のスイッチ状態を所定のタイミングで交互に切替えながら、表示タイミングに同期して夫々の第1出力バッファ及び第2出力バッファから対応する階調信号出力端子への階調信号の出力を制御するタイミング制御回路と、を有する。並列された前記階調信号出力端子の内の両端に位置する前記階調信号出力端子に前記出力スイッチ回路を介して接続可能にされる前記第1出力バッファ及び第2出力バッファの出力は選択的に高インピーダンス状態に制御可能にされる。前記タイミング制御回路は、前記階調信号出力端子の内の両端に位置する前記階調信号出力端子に前記出力スイッチ回路を介して接続可能にされる前記第1出力バッファ又は第2出力バッファのダミーデータ出力タイミングに合わせてその出力を高インピーダンス状態に制御する。
【0038】
これによれば、表示パネルの同じ階調信号電極上で競合する虞のあるダミーデータの出力タイミングに合わせて、その出力を高インピーダンスに制御することによって当該ダミーデータの出力を抑止するから、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、上記表示ドライバは、
図12で説明したホスト装置への新たな負担を強いることなく、
図11で説明した表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する他の表示ドライバとの間のデータの不所望な競合を排除するために好適である。
【0039】
〔9〕<表示フレームの切替えに同期するサブ画の駆動極性の反転>
項8において、前記所定のタイミングは表示フレームの切替えに同期するタイミングである。
【0040】
これによれば、サブ画の駆動極性の反転を表示フレーム単位で容易に行うことができる。
【0041】
〔10〕<スルーレートの選択>
項8において、直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子に接続可能な第1出力バッファ及び第2出力バッファは、選択信号に従って階調信号のスルーレートが選択可能にされる。
【0042】
これによれば、前段と次段の階調信号出力端子が夫々で担う階調信号電極に共通接続されることによって第1及び第2出力バッファの駆動負荷が増大する場合に対処することができる。
【0043】
〔11〕<ダミーデータ出力を抑止する高インピーダンス制御>
表示ドライバは、並列的に階調信号を出力する並列された複数個の階調信号出力端子と、前記階調信号出力端子に第1極性の階調信号を出力する複数の第1出力バッファと、前記階調信号出力端子に第2極性の階調信号を出力する複数の第2出力バッファと、前記複数の第1出力バッファ及び第2出力バッファの出力を対応する階調信号出力端子に切替え可能に接続する出力スイッチ回路と、前記出力スイッチ回路のスイッチ状態を所定のタイミングで交互に切替えながら、表示タイミングに同期して夫々の第1出力バッファ及び第2出力バッファから対応する階調信号出力端子への階調信号の出力を制御するタイミング制御回路と、を有し、1個の半導体基板に形成される。並列された前記階調信号出力端子の内の両端に位置する前記階調信号出力端子に前記出力スイッチ回路を介して接続可能にされる前記第1出力バッファ及び第2出力バッファの出力は選択的に高インピーダンス状態に制御可能にされる。前記タイミング制御回路は、前記階調信号出力端子の内の両端に位置する前記階調信号出力端子に前記スイッチ回路を介して接続可能にされる前記第1出力バッファ及び第2出力バッファによるダミーデータの出力を当該第1出力バッファ及び第2出力バッファの高インピーダンス制御によって抑止する。
【0044】
これによれば、表示パネルの同じ階調信号電極上で競合する虞のあるダミーデータの出力を、その出力の高インピーダンス制御によって抑止するから、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、上記表示ドライバは、
図12で説明したホスト装置への新たな負担を強いることなく、
図11で説明した表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する他の表示ドライバとの間のデータの不所望な競合を排除するために好適である。
【0045】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0046】
図1には千鳥状にドット反転駆動される表示パネルとこれを駆動する複数の表示ドライバを用いた電子機器の一例が示される。同図に示される電子機器ELDEVは、特に制限されないが、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、或いはセルラーフォン等とされる。
【0047】
電子機器ELDEVは、表示パネル1と、表示パネル1を駆動するためにその縁辺に直列的に配置された2個の表示ドライバ2_1,2_2を有する。
【0048】
表示パネル1において、Rx,Gx,Bx,rx,gx,bx(xは画素番号)はレッド(R,r)、グリーン(G,g)、ブルー(B,b)のサブ画素を示す。同一極性で駆動されるレッド、グリーン、ブルーのサブ画素の一方のグループをRx,Gx,Bxで示し、他方のグループをrx,gx,bxで示してある。
【0049】
表示パネルB803にサブ画素SPXの詳細が例示される。サブ画素SPXは、アクティブ素子としての薄膜トランジスタのゲート電極である選択端子Pgが走査信号電極GTに接続され、薄膜トランジスタQtftのソースである信号入力端子Psが階調信号電極STに接続され、薄膜トランジスタQtftのドレイン電極に液晶表示素子LCDTと電荷蓄積容量Cが接続され、液晶表示素子LCDT及び電荷蓄積容量Cが共通電極に接続されて、構成される。SCNは走査信号電極GTの延在方向に前記サブ画素SPXが配置された走査ラインを意味し、
図1には代表的にSCN_1、SCN_2、SCN_3が例示される。SIGは階調信号電極STの延在方向にサブ画素が配置された信号ラインを意味し、
図1には代表的にST_(R1),ST_(g1、r1),ST_(G1,B1),…が例示される。
【0050】
複数のサブ画素SPXのマトリクス状配置は千鳥状のドット反転駆動を考慮して、同一信号ラインSIGのサブ画素SPXは順次1個毎に、隣り合う一方又は他方の階調信号電極STに交互に接続される。例えば、信号ラインSIG_(g1、G1)のサブ画素g1,G1,g1,…は順次1個毎に、隣り合う一方の階調信号電極ST_(g1、r1)又は他方の階調信号電極ST_(G1,B1)に交互に接続される。
【0051】
ここでは階調信号電極STは、3×800+3×800+1=4801本形成され、入力スイッチ回路10を介して、同一の構成を有する2個の表示ドライバ2_1,2_2に接続される。夫々の表示ドライバ2_1,2_2は階調信号出力端子SL,S1〜S800を有している。夫々の表示ドライバ2_1,2_2において階調信号出力端子S1〜S800の夫々は、1本置きに同一極性で駆動される3本の階調信号電極ST毎に、入力スイッチ回路10を介して接続される。入力スイッチ回路10は3本のスイッチ信号SRCSW(a)〜SRCSW(c)によって走査ライン毎に時分割でオン状態にされるスイッチを順次切替えていく。特に、前段の表示ドライバ2_1の階調信号出力端子SLは先頭の階調信号電極ST_(RF1)に単独で接続されるが、後段の表示ドライバ2_2の階調信号出力端子SLは前段の表示ドライバ2_1の終点の階調信号出力端子S800に接続される。
【0052】
前記表示ドライバ2_1は走査信号電極SCNを所定の順に駆動しながら、複数の階調信号電極STに階調信号を並列的に供給する。表示ドライバ2_1,2_2は、階調信号出力端子SL,S1〜S800に出力スイッチ回路26を介して正極性の階調信号を出力する第1出力バッファTRBUF(+),BUF(+)と負極性の階調信号を出力する第2出力バッファTRBUF(−),BUF(−)が設けられる。階調信号出力端子SLには第1出力バッファTRBUF(+)又は第2出力バッファTRBUF(−)の出力が表示フレーム毎に出力スイッチ回路26で交互に切替えて接続される。階調信号出力端子S799、S800には第1出力バッファTRBUF(+)又は第2出力バッファTRBUF(−)の出力が表示フレーム毎に出力スイッチ回路26で交互に切替えて接続される。その他の隣り合う階調信号出力端子Si、Si+1には第1出力バッファBUF(+)又は第2出力バッファBUF(−)の出力が表示フレーム毎に出力スイッチ回路26で交互に切替えて接続される。出力スイッチ回路26の制御は極性切替え信号POL_SELで行う。極性切替え信号POL_SELが第1レベルにされると、階調出力端子SLは出力バッファTRBUF(+)に、奇数番の階調出力端子S1,S3,…、S797は出力バッファBUF(−)に、偶数番の階調出力端子S2,S4,…,S798は出力バッファBUF(+)に、階調出力端子S799は出力バッファTRBUF(−)に、階調出力端子S800は出力バッファTRBUF(+)に接続される。極性切替え信号POL_SELが第2レベルにされると、接続状態は上記の逆にされる。
【0053】
第1出力バッファTRBUF(+)は高出力インピーダンス制御機能付きのアナログ出力回路20と当該アナログ出力回路20に供給する駆動データをラインラッチ回路35から入力する駆動データラッチ24を有する。第2出力バッファTRBUF(−)は高出力インピーダンス制御機能付きのアナログ出力回路21と当該アナログ出力回路21に供給する駆動データをラインラッチ回路35から入力する駆動データラッチ24を有する。第1出力バッファBUF(+)はアナログ出力回路22と当該アナログ出力回路22に供給する駆動データをラインラッチ回路35から入力する駆動データラッチ25を有する。第2出力バッファBUF(−)はアナログ出力回路23と当該アナログ出力回路23に供給する駆動データをラインラッチ回路35から入力する駆動データラッチ25を有する。
【0054】
アナログ出力回路20,21とアナログ出力回路22,23との相違点は高出力インピーダンス制御されるか否かである。アナログ出力回路20,21の高インピーダンス状態は制御信号HiZ_SELによって選択される。駆動データラッチ24,25のラッチデータは制御信号G_SEL,B_SEL,R_SELで選択される。G_SELはグリーンのサブ画素データのラッチを制御し、B_SELはブルーのサブ画素データのラッチを制御し、R_SELはレッドのサブ画素データのラッチを制御する。特に制限されないが、それら制御信号G_SEL,B_SEL,R_SELは夫々の駆動データラッチ24,25に個別に供給される。夫々の制御信号G_SEL,B_SEL,R_SEL、HiZ_SELはタイミング制御回路32が表示タイミングに同期して生成する。
【0055】
更に第1出力バッファTRBUF(+)、TRBUF(−)は制御データTHR_RATに従ってそのスルーレートが選択的に設定可能にされる。例えばアナログ出力回路20,21における出力段トランジスタのサイズを選択可能にしたり、アナログ出力回路20,21における駆動アンプのバイアス電流を選択可能にしたりすることでスルーレートを可変可能にすることができる。制御データTHR_RATはホスト装置4からインタフェース回路(I/F回路)30を介してレジスタ回路(REG)31に設定されたデータに応じて決定される。
【0056】
表示データはホスト装置4からインタフェース回路30を介してデータ転送制御回路33に供給される。供給された表示データは図示を省略するフレームバッファに一旦蓄積されてもよいし、データストリームとして順次直列的に供給される場合にはフレームバッファへの一時的格納は省略されていてもよい。データ転送制御回路33は供給された画像データを表示タイミングに間に合うようにデータ変換制御回路34に供給し、データ変換制御回路34は表示パネル1のサブピクセルSPXの配列に従ってスキャンライン単位でラインラッチ回路35に駆動データをラッチさせる。ラインラッチ回路35にラッチされた駆動データは、一つの走査ライン内におけるスイッチ信号SRCSW(a)〜SRCSW(c)よる時分割の入力選択に同期して、対応する色の駆動データが選択信号G_SEL,B_SEL,R_SELによって駆動データラッチ24,25にラッチされる。
【0057】
ここで、階調信号出力端子S1,S2に着目して表示動作について説明する。極性切替え信号POL_SELを第1レベルとすると、階調出力端子S1は出力バッファBUF(−)に、階調出力端子S2は出力バッファBUF(+)に接続される。第1走査ラインSCN_1の水平表示期間では、スイッチ信号SRCSW(a)による入力選択に同期して階調信号出力端子S1からサブ画素データg1が出力されると共に階調信号出力端子S2からサブ画素データG2が出力され、スイッチ信号SRCSW(b)による入力選択に同期して階調信号出力端子S1からサブ画素データb2が出力されると共に階調信号出力端子S2からサブ画素データB1が出力され、スイッチ信号SRCSW(c)による入力選択に同期して階調信号出力端子S1からサブ画素データr2が出力されると共に階調信号出力端子S2からサブ画素データR3が出力される。
【0058】
ここで、相互に同一の2個の表示ドライバ2_1,2_2を並列的に動作させて表示動作を行う場合に、並列された前段の表示ドライバ2_1の終点の階調信号出力端子S800からの表示データと、並列された次段の表示ドライバ2_2の始点の階調信号出力端子SLからの表示データとを用いて駆動すべき共通の階調信号電極ST_(G799,B799),ST_(G800,R800),ST_(B800,R801)が存在することになる。この構成において、前段の表示ドライバ2_1における階調信号出力端子S800の出力と、次段の表示ドライバ2_2の階調信号出力端子SLからの出力との衝突を回避するために、当該階調信号出力端子S800、SLの夫々が表示色の階調信号を出力しない期間に、当該階調信号出力端子S800、SLに接続している出力バッファ20,21の出力を高インピーダンスに制御する。
【0059】
図2には階調信号出力端子S800、SLに接続する出力バッファ20,21の出力に対する高インピーダンスの制御タイミングが例示される。Zigzag_SELは駆動する走査ラインSCNの切替え毎にトグルされる状態信号であり、タイミング制御回路32で生成される。走査ラインSCNの切替えは表示フレーム期間内における水平表示期間毎に行われる。
【0060】
タイミング制御回路32は予め決められた論理に従って、選択信号G_SEL,B_SEL,R_SEL,HiZ_SELを生成する。特に制限されないが、スイッチ信号SRCSW(a)のハイパルス期間に応じてグリーンデータを選択する選択信号G_SELがハイレベルにされ、スイッチ信号SRCSW(b)のハイパルス期間に応じてブルーデータを選択する選択信号B_SELがハイレベルにされ、スイッチ信号SRCSW(c)のハイパルスからスイッチ信号SRCSW(a)が次にハイパルス変化されるまでの期間に応じてレッドデータの出力を選択する選択信号R_SELがハイレベルにされる。階調信号出力端子S1〜S798に接続される出力バッファBUF(+),BUF(−)については上記選択信号G_SEL,B_SEL,R_SELの夫々のハイレベル波形に従って対応する色の駆動データを対応するデータラッチ25にラッチさせて階調信号を当該階調信号出力端子から出力させる。一方、共通接続が予定されている階調信号出力端子SL,S800に接続される出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)については、制御信号HiZ_SELによる高インピーダンス制御の対象にされる。
図2に例示されるように、階調信号出力端子S800に接続される出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)に対する制御信号HiZ_SELは、状態信号Zigzag_SELと選択信号R_SELの論理積信号とされ、当該信号HiZ_SELのハイレベルによって当該出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)の出力が高インピーダンスにされる。階調出力端子S800は階調信号電極ST_(B800,R801)に対してスイッチ信号SRCSW(c)のハイパルス期間にはレッドの階調信号を出力することを要しないからである。この期間には次段の階調信号出力端子SLがレッドの階調信号を出力することになる。したがって、当該次段の階調信号出力端子SLに接続する出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)は、階調信号出力端子S800に接続される出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)に対する制御信号HiZ_SELの反転信号が制御信号HiZ_SELとして供給される。
【0061】
出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)の出力に対する選択的な高インピーダンス制御を採用せずに、
図3に例示されるように、本来表示駆動すべきサブ画素のデータが無いときダミーデータ(Dummy)を出力すれば、前段の階調信号出力端子S800と後段の階調信号出力端子SLの相互に一方から出力されるダミーデータとサブ画素の階調信号とが衝突して表示が乱れてしまう。
【0062】
図2に示されるように、表示パネル1の同じ階調信号電極ST_(B800,R801)上で競合する虞のある期間に、前段の階調信号出力端子S800と次段の階調信号出力端子SLに夫々接続される出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)の出力を
図2の如く高インピーダンス制御するから、並設した複数個の表示ドライバを用いて表示パネルを千鳥状にドット反転駆動するとき、
図12で説明したホスト装置への新たな負担を強いることなく、
図11で説明した表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除することができる。
【0063】
前述のように、直列的に隣り合う前記表示ドライバ間で隣り合う階調信号出力端子S800、SLに接続可能な出力バッファTRBUF(+)、TRBUF(−)は、選択信号THR_RATに従って階調信号のスルーレートが選択可能になっている。これによれば、前段と次段の階調信号出力端子S800,SLが夫々で担う階調信号電極に共通接続されることによって第1及び第2出力バッファの駆動負荷が増大する場合に対処することが可能になる。
【0064】
図1に例示される表示パネル1は、サブ画素SPX毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子Qtftを有し、アクティブ素子Qtftを構成する半導体に低温ポリシリコンが用いられる。1本置きに同一極性で駆動されるR,G,Bの3本の階調信号電極毎に、入力スイッチ回路10を介して1個の前記階調信号出力端子が割り当てられ、3本の階調信号電極の内からスイッチ信号SRCSW(a)〜SRCSW(c)によって選択された1本の階調信号電極が当該共通の階調信号出力端子に接続される。これによれば、アクティブ素子を高速動作させることができる表示パネル1を用いるのに好適であり、それ故に、サブ画素の入力経路に入力スイッチ回路10が介在されても必要な動作速度が保証され、表示ドライバ2_1,2_2は、階調信号電極数の数分の一の数の階調信号出力端子をもてば良く、表示ドライバ2_1,2_2の高解像度表示への対応が容易になる。
【0065】
図4にはアクティブ素子を構成する半導体にアモルファスシリコンを利用した表示パネル1mを適用した電子機器ELDEVmが例示される。
図4に例示される電子機器ELDEVmは、
図1の電子機器ELDEVに比べて、表示パネル1mはサブ画素毎に薄膜トランジスタから成るアクティブ素子を利用するが、アクティブ素子を構成する半導体にアモルファスシリコンが用いられ、前記階調信号出力端子は前記階調信号電極に一対一対応される点が相違する。それに従って、階調信号出力端子の数が
図1の3倍になり、それに伴って、出力スイッチ回路26mの規模、出力バッファBUF(+),BUF(−)の数も
図1の大凡3倍にされる。表示ドライバ2_1_m、2_2mの初段の出力バッファと終段の出力バッファTRBUF(+)、TRBUF(−)は高出力インピーダンス制御可能な点とスルーレートの調整可能な点は
図1と同様である。その他の構成については
図1と同様であるので、それと同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
図4において階調信号電極ST_(r1,b800)が前段の階調信号出力端子S1と次段の階調信号出力端子SLに共通接続される。この場合、
図5に例示されるように、階調信号出力端子S1は偶数番の走査ラインSCN_2,…でブルーの階調信号を出力し、階調信号出力端子S1に接続する出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)はブルーの階調信号を出力する以外の期間に制御信号HiZ_SELによって出力が高インピーダンスに制御される。階調信号出力端子SLは奇数番の走査ラインSCN_1,SCN3,…でレッドの階調信号を出力し、階調信号出力端子SLに接続する出力バッファTRBUF(+),TRBUF(−)はレッドの階調信号を出力する以外の期間に制御信号HiZ_SELによって出力が高インピーダンスに制御される。夫々に制御信号HiZ_SELは予め定められた論理に従って前記信号Zigzag_SELの状態に応じて生成すればよい。
図6のように高インピーダンス制御を行わずに適当なダミーデータ(Dummy)をその期間に出力するとすれば、階調信号出力端子SLとS1の出力が競合して表示が乱れることになる。
【0067】
したがって、
図4の電子機器ELDEVによれば、
図1と同様に、並設した複数個の表示ドライバ2_1m、2_2mを用いて表示パネル1mを千鳥状にドット反転駆動するとき、
図12で説明したホスト装置への新たな負担を強いることなく、
図11で説明した表示ドライバ間でのサブピクセルデータの転送も必要とせずに、特定の階調信号電極に対する表示ドライバ間でのデータの不所望な競合を排除することができる。
【0068】
更に、一対の表示ドライバ2_1m、2_2m間で隣り合う階調信号出力端子S1、SLに接続可能な出力バッファTRBUF(+)、TRBUF(−)は、選択信号THR_RATに従って階調信号のスルーレートが選択可能になっているから、前段と次段の階調信号出力端子S1,SLが夫々で担う階調信号電極に共通接続されることによって出力バッファTRBUF(+)、TRBUF(−)の駆動負荷が増大する場合に対処することが可能になる。
【0069】
また、半導体にアモルファスシリコンを用いる点で、安価な表示パネルを採用しなければならない条件に好適である。但し、表示ドライバ2_1m2_2mは、階調信号電極の数に応ずる数の階調信号出力端子を要する点に注意を要する。
【0070】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0071】
例えば、表示パネルは液晶パネルに限定されず、プラズマパネル、又はEL(エレクトロルミネッセンス)パネルなどであってもよい。また、所謂ドット反転の規模は1画素置きであることに限定されず、2画素置きなどであってもよい。
【0072】
ダミーデータとは無効データを含む概念である。