【解決手段】動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応じた補正データを演算回路に供給し、演算回路が制御回路から与えられた補正データに基づいて基準データを補正することにより電圧設定データを生成し、電圧設定データにしたがって電源回路で生成した第1電源電圧を第1内部回路に出力する。基準データは半導体装置の個体差に応じて電源電圧を目標値とするための調整値を有する。
請求項2において、前記基準データは前記半導体装置の個体差を考慮して取得されたリセット後の前記第1内部回路のスタンバイ状態において必要なスタンバイ電圧を示すデータであり、
前記補正データは、前記第1内部回路において前記スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎に、その動作を保証するために積み上げられる差分電圧、を示すデータである、半導体装置。
請求項3において、前記第2内部回路は前記半導体装置の外部とインタフェースされてインタフェース動作を行う回路であり、前記第1内部回路は前記インタフェース動作を行う回路に接続して内部動作を行う回路である、半導体装置。
請求項3において、前記動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応じて予め取得された複数の前記差分電圧を示すデータ、及び前記基準データを保持する不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリから複数の前記差分電圧を示すデータ及び前記基準データが初期的にロードされるバッファメモリ、を有し、
前記制御回路は前記バッファメモリに初期的にロードされた複数の前記差分電圧を示すデータを用いて動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応ずる補正データを前記演算回路に供給する、半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される実施の形態について概要を説明する。実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0019】
〔1〕<動作コマンドと動作コマンドに応答する内部状態に応じた電源電圧のダイナミック制御>
半導体装置(1,1A)は、第1電源電圧(VDD)に基づいて動作される第1内部回路(300,300A)と、第2電源電圧(113)に基づいて動作される第2内部回路(100,101,105,106,107,203,204,205))と、電圧設定データ(140)にしたがって前記第1電源電圧を出力する電源回路(109)と、前記電圧設定データを基準データ(141)と補正データ(142)に基づいて演算する演算回路(110)と、前記演算回路に与える補正データを制御する制御回路(102,102A)と、を有する。前記制御回路は、自らの制御に応ずる前記第1内部回路の内部状態に応じた補正データを前記演算回路に供給する。前記演算回路は前記制御回路から与えられた補正データに基づいて前記基準データを補正することにより電圧設定データを生成する。基準データは半導体装置の個体差に応じて電源電圧を目標値とするための調整値を有する。
【0020】
これによれば、個体差に応じて電源電圧を目標値とするための調整値を基準に内部動作に応じて無駄無く且つ適切に第1内部回路の電源電圧を制御することができる。調整値に対して最大消費電力を考慮して電源電圧を一律に上げた固定電圧とする場合に比べて低消費電力を実現することができる。動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応じて第1電源電圧のレベルが制御されるからアクセラレータを動作させるような場合には大きな電流消費によるIRドロップを補い、スタンバイ状態のような低消費電力状態では電源電圧が抑えられてリーク電流などによる無駄な電力消費が削減される。調整値を演算回路で補正するという、電源電圧のトリミングのための回路をベースとして容易に実現することが可能である。
【0021】
〔2〕<加算回路>
項1において、前記演算回路は前記基準データの前記補正データを加算する加算回路(110)である。
【0022】
これによれば演算回路を簡単に実現することができる。
【0023】
〔3〕<基準データ>
項2において、前記基準データは前記半導体装置の個体差を考慮して取得されたリセット後の前記第1内部回路のスタンバイ状態において必要なスタンバイ電圧を示すデータである。前記補正データは、前記第1内部回路において前記スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎に、その動作を保証するために積み上げられる差分電圧、を示すデータである。
【0024】
これによれば、スタンバイ電圧を示す調整値を基準に、スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎の差分データを加算して動作保証され且つ低電力化に向けられた第1電源電圧を生成することができる。
【0025】
〔4〕<外部インタフェース動作する回路と内部動作する回路>
項3において、前記第2内部回路は前記半導体装置の外部とインタフェースされてインタフェース動作を行う回路であり、前記第1内部回路は前記インタフェース動作を行う回路に接続して内部動作を行う回路である。
【0026】
これによれば、動作コマンド及びそれに応答する内部状態に応じて電力消費の状態が細かく分かれることが予定されている内部動作を行う回路に対して、上記電源電圧の制御を行うことが、動作保証された低消費電力を実現する上で効果的である。
【0027】
〔5〕<表示ドライバ>
項4において、前記第1内部回路及び第2内部回路は表示ドライバ(10)を構成する。前記アクティブ状態毎の前記差分電圧は、前記スタンバイ状態を脱したアクティブベース状態に対応するアクティブベース電圧、前記アクティブベース状態を基準とする複数の表示制御状態に対応される複数の表示動作電圧、及び前記スタンバイ状態を基準とする複数の入力制御状態に対応する入力動作電圧である。
【0028】
これによれば、専ら細長いチップ形状の制約を受けて電源配線の強化が困難な表示ドライバにおけるIRドロップに対処することができる。
【0029】
〔6〕<表示ドライバとタッチパネルコントローラ>
項4において、前記第1内部回路及び第2内部回路は表示ドライバ(10)と共にタッチパネルコントローラ(20)を構成する。前記アクティブ状態毎の前記差分電圧は、表示ドライバがスタンバイ状態を脱したアクティブベース状態に対応するアクティブベース電圧、前記アクティブベース状態を基準とする表示ドライバの複数の表示制御状態に対応される複数の表示動作電圧、スタンバイ状態を基準とする表示ドライバによる複数の入力制御状態に対応する表示ドライバ用入力動作電圧、スタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによるプログラム処理状態に対応するプログラム処理電圧、スタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによるタッチ検出制御状態に対応するタッチ検出動作電圧、及びスタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによる複数の入力制御状態に対応するタッチパネルコントローラ用入力動作電圧である。
【0030】
これによれば、専ら細長いチップ形状の制約を受けて電源配線の強化が困難な表示ドライバ及びタッチパネルコントローラを搭載した半導体装置におけるIRドロップに対処することができる。
【0031】
〔7〕<不揮発性記憶装置>
項3において、前記動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応じて予め取得された複数の前記差分電圧を示すデータ、及び前記基準データを保持する不揮発性メモリ(112)と、前記不揮発性メモリから複数の前記差分電圧を示すデータ及び前記基準データが初期的にロードされるバッファメモリ(111,121)、を有する。前記制御回路は前記バッファメモリに初期的にロードされた複数の前記差分電圧を示すデータを用いて動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応ずる補正データを前記演算回路に供給する。
【0032】
これによれば、必要な基準データ及び複数の前記差分電圧を示すデータをデバイステストなどで取得して不揮発性メモリに格納しておけば、初期的にバッファメモリにロードされた基準データ、そして複数の前記差分電圧を示すデータから得られる補正データを必要に応じて即座に演算回路に内部転送して利用することができるようになる。
【0033】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0034】
<表示ドライバ及びタッチパネルコントローラを搭載した半導体装置>
図1には表示ドライバ及びタッチパネルコントローラを搭載した半導体装置が例示される。
図1に例示される半導体装置は、特に制限されないが、CMOS集積回路製造技術によって単結晶シリコンなどの1個の半導体基板に形成されている。
【0035】
図1に例示される半導体装置1は、表示ドライバ10とタッチパネルコントローラ20を有し、表示ドライバ10はホストプロセッサ4などから供給される画像データを表示パネル2に表示制御する。表示パネル2にはタッチパネル3が組み込まれ、或いはその表示面にタッチパネル3は重ねられている。タッチパネルコントローラ20は、表示パネル2の非表示期間にタッチパネル3のタッチ面に対するタッチ検出制御を行う。
【0036】
特に制限されないが、タッチパネルコントローラ20、及び表示ドライバ10は夫々個別化された半導体装置として実現してもよい。
【0037】
タッチパネル3は、特に制限されないが、複数の駆動電極と複数の検出電極が誘電体を介して交差配置され、交差位置で対応する駆動電極と検出電極に接続された検出容量が配置される。
【0038】
タッチパネルコントローラ20は駆動した駆動電極と検出電極との間の検出容量などの容量成分を介して検出電極に現れる信号を周期的に積分したりして、前記容量成分に応ずる検出データを生成する回路である。このタッチパネルコントローラ20は、特に制限されないが、駆動電極を駆動するTxドライバ204、検出電極に現れる信号を周期的に積分したりして検出する検出部を構成するRxレシーバ205、Rxレシーバ205で検出された検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換回路(ADC)203、AD変換回路203で変換されたデジタルデータを一時的に格納するスキャンバッファメモリ202、タッチ制御部201及びサブプロセッサ200を有する。タッチ制御部201はタッチパネルコントローラ20の全体的な制御を司る。サブプロセッサ200はスキャンバッファメモリ202に蓄積された1検出フレーム分の検出データに基づいて、指が接近したタッチ位置の演算などを行う、アクセラレータとして位置付けられる。特に制限されないが、サブプロセッサ200を省略する場合にはその機能をホストプロセッサ4で実現すればよい。
【0039】
ホストプロセッサ4は半導体装置1を利用したシステムの全体的な制御を司る。例えばホストプロセッサ4が表示データを生成すると、表示ドライバ10がその表示データを受け取って、表示タイミングに同期しながら表示データに応ずる表示信号を表示パネル2に供給する。また、ホストプロセッサ4は、サブプロセッサ200が演算した位置座標を受け取り、そのときの表示内容と位置座標との関係から、タッチパネル3からの入力操作を解析して、その入力に応答する制御などを行う。
【0040】
表示パネル2は、特に制限されないが、ガラス基板上に表示規模に応じて透明電極及び液晶による画素が形成され、表示ライン単位で画素の選択端子には駆動電極が複数本形成され、画素の信号端子には駆動電極と交差する方向に信号電極が複数本形成されている。
【0041】
表示ドライバ10はホストプロセッサ4から画像データを入力し、表示タイミングに同期しながら、複数本の走査電極によって画素を表示ライン単位で順次走査駆動し、走査駆動された表示ラインの画素には表示データに応ずる階調信号を複数本の信号電極に並列的に供給する制御を行う。
【0042】
表示ドライバ10は、特に制限されないが、ホストプロセッサ4に接続されるホストインタフェース(HIF)として表示インタフェース100及びシステムインタフェース101を有する。表示インタフェース100及びシステムインタフェース101は制御部102に接続される。表示データに基づく階調表示駆動系には、フレームバッファメモリ103、画像処理演算アクセラレータ113、データラッチ104、階調電圧選択回路105、及びソースドライバ106が設けられる。一方、表示走査駆動系にはゲート制御ドライバ107が設けられる。電源系として、インタフェース・液晶駆動用電源回路108、ロジック用電源回路109、演算回路としての加算回路110、レジスタ111及び不揮発性メモリ112が設けられる。特に制限されないはが、インタフェース・液晶駆動用電源回路108及びロジック用電源回路109はタッチパネルコントローラの動作電源回路を兼用する。
【0043】
システムインタフェース回路101にはホストプロセッサ4からコマンド及び制御データが供給され、表示インタフェース回路100にはホストプロセッサ4から画像データが供給される。供給されたコマンドは制御部102に入力され、入力されたコマンドに基づいて表示ドライバ10の内部が制御される。制御に用いる各種タイミング信号はコマンドや制御データに基づいてステートコントローラ120が生成する。特に制限されないが、システムインタフェース101にタッチ検出コマンドが供給されると、制御部102は当該タッチ検出コマンドをタッチ制御部201に与える。サブプロセッサ200が演算したタッチ座標のデータは制御部102及びシステムインタフェース101を介してホストプロセッサ4に与えられる。
【0044】
入力された画像データはフレームバッファメモリ103に格納される。フレームバッファメモリ103に格納された画像データは水平表示タイミングに同期して表示ライン単位でフレームバッファメモリ103からその後段の画像処理演算アクセラレータ113に供給される。画像処理演算アクセラレータ113は、画像表示コマンドに応じて、入力画像データに対して画像処理を行うことができる。画像処理演算アクセラレータ113を用いた画像処理は、例えば、フィルタ処理などである。
【0045】
画像処理演算アクセラレータ113によって画像処理された画像データは順次データラッチ回路104に内部転送され、階調電圧選択回路105に与えられる。階調電圧選択回路105はインタフェース・液晶駆動用電源回路108で生成された階調電圧を表示ライン単位で画像データに基づいて選択する。ソースドライバ106は階調電圧選択回路105で選択された階調電圧を持つソース駆動信号を表示パネル2に出力する。ゲート制御ドライバ107はゲート駆動信号を表示パネル2に出力する。
【0046】
インタフェース・液晶駆動用電源回路108は外部アナログ電圧VSP,VSNを受けて階調電圧及びゲート駆動信号電圧を生成する。例えば電圧VSPは+5V、電圧VSNは−5Vである。また、インタフェース・液晶駆動用電源回路108は外部インタフェース用電源電圧DPHYVCCを受けて表示インタフェース100及びシステムインタフェース101に必要な動作電源電圧を生成する。その他に、インタフェース・液晶駆動用電源回路108はTxドライバ204及びRxレシーバ205などの動作電源電圧を生成する。インタフェース・液晶駆動用電源回路108が出力する上記動作電源電圧は電源電圧113で総称され、これは第2電源電圧の一例とされる。
【0047】
インタフェース・液晶駆動用電源回路108が出力する電源電圧113は第2電源電圧の一例であり、第2電源電圧に基づいて動作される第2回路の一例は、システムインタフェース101、表示インタフェース100、階調電圧選択回路105、ソースドライバ106、ゲート制御ドライバ107、Txドライバ204、Rxレシーバ205及び不揮発性メモリ112とされる。
【0048】
ロジック用電源回路109はロジック用の外部電源電圧IOVCCを受けてロジック用電源電圧VDDを生成する。ロジック用電源電圧VDDは第1電源電圧の一例であり、第1電源電圧に基づいて動作される第1回路の一例は、破線で囲まれた回路ブロック(第1内部回路)300である。
【0049】
ロジック用電源回路109は、特に制限されないが、抵抗分圧回路130を有し、電圧設定データ140の値で指定された分圧電圧をロジック用電源電圧VDDとして出力する。電圧設定データ140は基準データ141に補正データ142を加算する加算回路110で生成される。
【0050】
基準データ141は半導体装置1の個体差を考慮して取得されたリセット後の第1内部回路300のスタンバイ状態において必要なスタンバイ電圧を示すデータ(トリミング値)である。即ち、スタンバイ状態において第1内部回路300が保有する各種記憶ノードの状態を安定に保持すことを保証する電圧を示すデータである。換言すれば、動作電力が最も小さい状態(スリープ・イン状態)の電圧を基準とするデータである。
【0051】
補正データは、第1内部回路において前記スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎に、その動作を保証するために積み上げられる差分電圧、を示すデータ(補正値)である。表示ドライバ10とタッチパネルコントローラ20を有する本実施の形態では、前記アクティブ状態毎の差分電圧は、例えば、表示ドライバがスタンバイ状態を脱したアクティブベース状態に対応するアクティブベース電圧、前記アクティブベース状態を基準とする表示ドライバの複数の表示制御状態に対応される複数の表示動作電圧、スタンバイ状態を基準とする表示ドライバによる複数の入力制御状態に対応する表示ドライバ用入力動作電圧、スタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによるプログラム処理状態に対応するプログラム処理電圧、スタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによるタッチ検出制御状態に対応するタッチ検出動作電圧、及びスタンバイ状態を基準とするタッチパネルコントローラによる複数の入力制御状態に対応するタッチパネルコントローラ用入力動作電圧である。
【0052】
基準電圧と補正電圧の具体例を説明するに当たり、一例として、標準電圧が1.3V、最大電圧が1.35Vのプロセスを想定する。その場合、補正後の電圧が1.35V以上になる場合は1.35Vとする。このとき、入力コマンドに基づく制御部102の制御による内部状態を、表示系の動作状態である(1)スリープステート、(2)ディスプレイステート及び(3)表示インタフェースステートと、タッチ検出系の動作状態である(4)タッチ座標演算ステート、(5)タッチ検出ステート及び(6)タッチインタフェースステートに大別する。ここで、内部状態とは、制御部102自らの制御に応ずる前記第1内部回路300の内部状態を意味する。
図2には制御部102による内部状態の各ステートによる夫々の状態と対応する補正データによる加算電圧との関係が例示される。加算電圧とは、スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎に、その動作を保証するために積み上げられる差分電圧を意味する。
【0053】
(1)スリープステートはスリープインSIとスリープアウトSOの状態を持つ。スリープインSIの状態はスタンバイ状態に応ずる電源電圧を用いる状態であり、個体差を考慮したトリミング値のような基準データ141で特定されるスタンバイ電圧である。例えば1.2Vとする。
【0054】
スリープアウトSOの状態はスリープインSIの状態から抜け出してロジック動作可能なアクティブベース状態であり、この状態での動作電圧は基準データによるスタンバイ電圧に、補正データによるアクティブベース電圧を加えた電圧とする。例えばアクティブベース電圧は0.03Vとされる。
【0055】
(2)ディスプレイステートは、夫々アクティブベース状態(スリープアウト状態)を基準とする、ディスプレイオフDOFF、8色表示のディスプレイオンDEON、画像処理アクセラレータ非動作(画像IPオフ)でのディスプレイオンDIPOFF、及び画像処理アクセラレータ動作(画像IPオン)でのディスプレイオンDIPONの状態を持つ。例えば、ディスプレイオフDOFFにおける補正データの値はアクティブベース電圧基準で0Vを指示し、8色表示のディリプレイオンDEONにおける補正データの値はアクティブベース電圧基準で0.01Vを指示し、画像処理アクセラレータ非動作(画像IPオフ)でのディスプレイオンDIPOFFにおける補正データの値はアクティブベース電圧基準で0.02Vを指示し、制御部102による画像処理アクセラレータ動作(画像IPオン)でのディスプレイオンDIPONにおける補正データの値はアクティブベース電圧基準で0.12Vを指示する。
【0056】
(3)表示インタフェースステートは、夫々スタンバイ状態(スリープイン状態)を基準とする、表示インタフェースオフDIFOFF、表示コマンド転送DCMTR、及びフレームバッファメモリ103に対する画像データのアクセス(フレームバッファアクセス)FBACの状態を持つ。例えば、表示インタフェースオフIFOFFにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0Vを指示し、表示コマンド転送CMTRにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.01Vを指示し、フレームバッファアクセスFBACにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.05Vを指示する。
【0057】
(4)タッチ座標演算ステートは演算オフOPOFFと演算オン(オペレーション)OPONの状態を持つ。演算オフOPOFFの状態はスタンバイ状態に応ずる電源電圧を用いる状態であり、その補正データの値は0Vを指示する。演算オンOPONにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.10Vを指示する。
【0058】
(5)タッチ検出ステートは、夫々スタンバイ状態(スリープイン状態)を基準とする、タッチ検出オフTSOFF及びタッチスキャンTSONの状態を持つ。タッチ検出オフTOFFの状態はスタンバイ状態に応ずる電源電圧を用いる状態であり、その補正データの値はスタンバイ電圧基準で0Vを指示する。タッチスキャンTSONにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.05Vを指示する。
【0059】
(6)タッチインタフェースステートは、夫々スタンバイ状態(スリープイン状態)を基準とする、タッチインタフェースオフTIFOFF、タッチコマンド転送TCMTR、スキャンバッファメモリ103に対する検出データ書き込み(スキャンバッファライト)SBWRT、スキャンバッファメモリ103に対する検出データの読出し(スキャンバッファリード)SBRD、の状態を持つ。例えば、タッチインタフェースオフTIFOFFにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0Vを指示し、タッチコマンド転送TCMTRにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.02Vを指示し、スキャンバッファライトSBWRTにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.05Vを指示し、スキャンバッファリードSBRDRAMにおける補正データの値はスタンバイ電圧基準で0.05Vを指示する。
【0060】
上記各ステートの状態が重なるときは各状態で規定される補正データによる電圧(差分電圧)を累積することになる。
【0061】
図1に例示されるように、不揮発性メモリ112には基準データ141及び上記各状態に対応される複数の補正データ142が、例えばデバイステストの段階でテスタ又はEPROMライタなどを利用して格納される。基準データ141は半導体装置1の個体差に応じて電源電圧VDDを目標値(ここではスタンバイ状態のための1.2V)とするための調整値を有する。補正データ142は、内部状態の各ステートによる夫々の状態での加算電圧に対応する補正値を有する。基準データ141はパワーオンリセット処理で不揮発性メモリ112から揮発性のレジスタ111に初期ロードされる。複数の補正データ142はパワーオンリセット処理で不揮発性メモリ112から制御部102の内部にロードされて補正値テーブル(LUT)121を構成する。補正値テーブル121は、上記内部状態をインデックスとして対応する補正データを選択可能に構成される。補正データ142の選択はコマンド等で指定される内部動作状態に応じてステートコントローラ120が出力する選択信号122で行われる。選択された補正データ142が複数個ある場合には夫々が加算回路110で基準データに加算される。
【0062】
図3には
図1の半導体装置1による表示期間での表示ドライバ10の動作モードに応じて変化される電源電圧VDDの遷移がタイミングチャートで示される。
図3においてRESETは半導体装置1のリセット信号である。HIF(DSI)は表示動作に関するホストインタフェースを意味する。
【0063】
半導体装置1のパワーオンリセット(時刻t1)により内部状態はスリープイン(SI)、ディスプレイオフ(DOFF)及び表示インタフェースオフ(DIFOFF)、演算オフ(OPOFF)、タッチ検出オフ(TSOFF)及びタッチインタフェースオフ(TIFOFF)の状態になり、電圧設定データ140は1.2Vを指示する値にされ、電源電圧VDDがスタンバイ電圧(1.2V)にされる。
【0064】
時刻t2に、フレームバッファメモリ103への画像データの書き込みコマンドが入力されると、内部状態がフレームバッファアクセス(FBAC)の状態にされ、電圧設定データ140は1.2V+0.05V=1.25Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.25Vにされる。
【0065】
時刻t3でフレームバッファアクセス(FBAC)の状態が終了されると、再びスタンバイ状態になり、電圧設定データ140は1.2Vを指示する値にされ、電源電圧VDDがスタンバイ電圧(1.2V)にされる。
【0066】
時刻t4にホストプロセッサ4から表示コマンドが入力されると、表示コマンド転送(DCMTR)の状態にされ、電圧設定データ140は1.2V+0.01V=1.21Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.21Vにされる。
【0067】
時刻t5に表示コマンド転送処理が終了しスリープ解除が指示されると、スリープアウト(SO)の状態にされ、電圧設定データ140は1.2V+0.03V=1.23Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.23Vにされる。
【0068】
時刻t6にスリープアウトの状態で画像IPを用いた表示動作が指示されると、が堂IPオンでのディスプレイオン(DIPON)の状態にされ、電圧設定データ140は1.2V+0.03V+0.12V=1.35Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.35Vにされる。
【0069】
図4には
図1の半導体装置1による非表示期間でのタッチ検出動作期間におけるタッチパネルコントローラ20の動作モードに応じて変化される電源電圧VDDの遷移がタイミングチャートで示される。HIF(DSI)は表示動作に関するホストインタフェースを意味し、HIF(Touch)はタッチ検出動作に関するホストインタフェースを意味する。
【0070】
図4において、半導体装置1のパワーオンリセット(時刻t1)により内部状態はスリープイン(SI)、ディスプレイオフ(DOFF)及び表示インタフェースオフ(DIFOFF)、演算オフ(OPOFF)、タッチ検出オフ(TSOFF)及びタッチインタフェースオフ(TIFOFF)の状態になり、電圧設定データ140は1.2Vを指示する値にされ、電源電圧VDDがスタンバイ電圧(1.2V)にされる。
【0071】
時刻t2に、内部状態がタッチスキャン(TSON)の状態にされ、電圧設定データ140は1.2V+0.05V=1.25Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.25Vにされる。
【0072】
時刻t3でタッチスキャン(TSON)の状態が終了されると、次にタッチ座標の演算オン(OPON)及びスキャンバッファリード(SBRD)の状態になり、電圧設定データ140は1.2V+0.1V+0.05V=1.35Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.35Vにされる。
【0073】
時刻t4にタッチ座標の演算オン(OPON)の状態が維持されたままスキャンバッファリード(SBRD)の状態が終了されると、電圧設定データ140は1.2V+0.1V=1.3Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.3Vにされる。
【0074】
時刻t5にタッチ座標の演算オン(OPON)の状態が終了されると、再びスタンバイ状態になり、電圧設定データ140は1.2Vを指示する値にされ、電源電圧VDDがスタンバイ電圧(1.2V)にされる。
【0075】
時刻t6からt9は時刻t2からt5と同様に状態が繰返される。
【0076】
尚、
図4においては説明を簡単にするためにタッチコマンド転送(TCMTR)の状態の図示を省略した。例えば時刻t2の直前にその状態を追加すればよく、そのとき、電圧設定データ140は1.2V+0.02V=1.22Vを指示する値にされ、電源電圧VDDが1.22Vにされる。
【0077】
以上説明した半導体装置1によれば以下の作用効果を奏する。
【0078】
(1)個体差に応じて電源電圧VDDを目標値とするための調整値を基準に内部動作に応じて無駄無く且つ適切に第1内部回路300の電源電圧を制御することができる。調整値に対して最大消費電力を考慮して電源電圧VDDを一律に上げた固定電圧とする場合に比べて低消費電力を実現することができる。例えば
図3や
図4において電源電圧VDDを1.35Vのような固定電圧にする場合に比べて格段に電力消費を抑えることができる。動作コマンドと前記動作コマンドに応答する内部状態に応じて電源電圧VDDのレベルが制御されるからアクセラレータを動作させるような場合には大きな電流消費によるIRドロップを補い、スタンバイ状態のような低消費電力状態では電源電圧が抑えられてリーク電流などによる無駄な電力消費が削減される。調整値である基準データ141を加算回路で補正するという、電源電圧のトリミングのための回路をベースとして容易に実現することが可能である。
【0079】
(2)スタンバイ電圧を示す調整値を基準に、スタンバイ状態を脱したアクティブ状態毎の差分データを加算して、動作保証され且つ低電力化に向けられた電源電圧VDDを容易に生成することができる。
【0080】
(3)専ら細長いチップ形状の制約を受けて電源配線の強化が困難な表示ドライバ及びタッチパネルコントローラを搭載した半導体装置1におけるIRドロップに良好に対処することができる。
【0081】
(4)必要な基準データ141及び複数の前記差分電圧を示すデータをデバイステストなどで取得して不揮発性メモリ112に格納しておくから、初期的にバッファメモリ121,111にロードされた基準データ、そして複数の前記差分電圧を示すデータから得られる補正データ142を必要に応じて即座に加算回路110に内部転送して利用することができるようになる。
【0082】
(5)表示期間中の表示動作の場合(
図3)はもとより、非表示期間中のタッチ検出動作期間における間欠的なタッチ検出動作(
図4)の場合も、低電力化を図ることができる。
【0083】
<表示ドライバを搭載しタッチパネルコントローラを非搭載とした半導体装置>
図5には表示ドライバを搭載しタッチパネルコントローラを非搭載とした半導体装置が例示される。同図に示される半導体装置1Aは
図1の半導体装置1に比べてタッチパネルコントローラ20が搭載されていない点が相違され、その他は同様に構成され、同一機能を有する回路要素にはそれと同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。ここで、第1内部回路は300Aとされ、第2内部回路は表示インタフェース100、システムインタフェース101、階調電圧選択回路105、ソースドライバ106、及びゲート制御ドライバ107とされる。入力コマンドに基づく制御部102Aの制御による内部状態は、表示系の動作状態である(1)スリープステート、(2)ディスプレイステート及び(3)表示インタフェースステートに大別される。ステートコントローラ120Aはその内部状態に応じて選択信号122で補正データ142を加算回路110に与えればよい。表示動作における電源電圧VDDの遷移は
図3のタイミングチャートと同じであり、その詳細な説明は省略する。
【0084】
半導体装置1Aにおいても
図1の半導体装置1と同様に表示ドライバ10の点について、アクセラレータを動作させるような場合には大きな電流消費によるIRドロップを補い、スタンバイ状態のような低消費電力状態では電源電圧が抑えられてリーク電流などによる無駄な電力電消費が削減される。調整値である基準データ141を加算回路110で補正するという、電源電圧のトリミングのための回路をベースとして容易に実現することが可能である。専ら細長いチップ形状の制約を受けて電源配線の強化が困難な表示ドライバ10を搭載した半導体装置1AにおけるIRドロップに良好に対処することができる。
【0085】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0086】
例えば、基準データはスタンバイ電圧に対応するデータに限定されず、補正データはスタンバイ電圧に積み上げられる差分電圧に限定されない。それにしたがって演算回路も加算回路に限定されない。基準データが上限の動作保証電圧に応ずるデータ、補正データが上限の動作保証電圧から差し引かれる差分電圧であってもよく、その場合の演算回路は減算回路であればよい。
【0087】
また、補正データは上述の動作状態毎に固有の差分電圧のデータ、即ち、スリープステート、ディスプレイステート、及び表示インタフェースステートの夫々における動作状態に応ずる細分化されたデータに限定されず、スリープアウト状態での画像処理アクセラレータを用いた表示動作などのような動作モード毎に集計された電圧のデータであってもよい。
【0088】
図4に例示されるように非表示期間にタッチ検出を行うことに限定されず、タッチスキャンは表示中に行ってもよい。表示期間中にタッチ検出を行うような場合にも当然本発明を適用することができる。その場合には、表示中のタッチスキャンにおいて、表示の状態とタッチ検出の状態を合わせて、最適な電圧を選択して、低電力化を図ればよい。
【0089】
また、ロジック用電源回路109で代表される電源回路は抵抗分圧回路を用いる構成に限定されず、オペアンプによる負帰還回路を用いた回路構成など、適宜変更可能である。
【0090】
本発明に係る半導体装置は表示ドライバ及びタッチパネルコントローラの双方を含むもの、或いは何れか一方だけを含むものに限定されず、内部回路の種別には限定されず、電圧発生回路を供えた適宜の半導体装置に広く適用することができる。