【解決手段】ドライバICが、チャージポンプ回路が集積化された外部チャージポンプICから電源電圧を受け取る電源パッドと、該電源電圧を用いて表示パネルを駆動する駆動回路と、制御クロック信号を生成するクロック生成回路部と、制御クロック信号を外部チャージポンプICに出力するクロック出力パッドと、該電源電圧の電圧レベルに応答して、制御クロック信号の周波数を調節する制御回路部とを具備する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の一実施形態における液晶表示装置10の構成の例を示すブロック図である。液晶表示装置10は、液晶表示パネル11とドライバIC12と外部チャージポンプIC13とを備えている。ドライバIC12は、COG(Chip on Glass)のような表面実装技術を用いて液晶表示パネル11に搭載されている。
【0019】
液晶表示パネル11は、一対のGIP(gate in panel)回路14L、14Rと、表示領域15とを備えている。GIP回路14Lは、表示領域15の左側に位置しており、GIP回路14Rは、表示領域15の右側に位置している。表示領域15には、複数のゲート線16(走査線、アドレス線とも呼ばれる)と、複数のソース線17(信号線、データ線とも呼ばれる)が配置されると共に、副画素18が行列に配置されている。各副画素18は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかを表示するように構成されており、液晶表示パネル11の各画素は、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を表示する3つの副画素18で構成される。GIP回路14Lは、奇数番目のゲート線16を駆動し、GIP回路14Rは、偶数番目のゲート線16を駆動する。
【0020】
ドライバIC12は、液晶表示パネル11を駆動するための動作を行う。詳細には、ドライバIC12は、下記のように動作する。第1に、ドライバIC12は、アプリケーションプロセッサ20から受け取った画像データ及び制御データに応答して、ソース線17を駆動する。画像データとは、液晶表示パネル11の表示領域15に表示される画像に対応するデータであり、より具体的には、各副画素18の階調を指定するデータである。ドライバIC12は、更に、アプリケーションプロセッサ20から受け取った制御データに応答して、GIP回路14Lを制御するゲート制御信号S
GIPLと、GIP回路14Rを制御するゲート制御信号S
GIPRを生成する。加えて、ドライバIC12は、外部チャージポンプIC13に制御クロック信号CLK
CTRLを供給する。
【0021】
外部チャージポンプIC13は、ドライバIC12から受け取った制御クロック信号CLK
CTRLを用いて昇圧動作を行い、電源電圧を生成する。
図2の構成では、外部チャージポンプIC13が、ドライバIC12に、液晶駆動用電源電圧、より具体的には、正電源電圧VSP及び負電源電圧VSNを供給する。
【0022】
図3は、本実施形態におけるドライバIC12の構成の一例を示すブロック図である。
図3は、主として、制御クロック信号CLK
CTRLの生成に関連する回路部分を図示しているが、実際には、ドライバIC12は、他の様々な回路(例えば、インターフェース回路、タイミングジェネレータ、パネルインターフェース回路等)が集積化されることに留意されたい。
【0023】
本実施形態のドライバIC12は、外部チャージポンプIC13に供給される制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧の電圧レベルに応じて制御可能に構成されている。以下、ドライバIC12の構成について詳細に説明する。
【0024】
ドライバIC12は、液晶駆動用電源電圧を外部チャージポンプIC13から受け取る電源パッド12a、12bと、制御クロック信号CLK
CTRLを外部チャージポンプIC13に出力するためのクロック出力パッド12cとを有している。
図3の構成では、正電源電圧VSPが外部チャージポンプIC13から電源パッド12aに供給され、負電源電圧VSNが外部チャージポンプIC13から電源パッド12bに供給される。
【0025】
ドライバIC12は、更に、ソース駆動回路21と、発振器22と、分周回路23と、抵抗素子24と、可変抵抗素子25と、コンパレータ26と、判定回路27と、分周比設定レジスタ28とを備えている。
【0026】
ソース駆動回路21は、液晶表示パネル11のソース線17を駆動する。本実施形態では、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給された正電源電圧VSP及び負電源電圧VSNが、それぞれ、電源線31、32を介してソース駆動回路21に供給され、ソース駆動回路21は、正電源電圧VSP及び負電源電圧VSNを用いてソース線17を駆動する。
【0027】
発振器22、分周回路23は、制御クロック信号CLK
CTRLを生成するクロック生成回路部を構成している。詳細には、発振器22は、内部クロック信号CLK
INTを生成する。分周回路23は、内部クロック信号CLK
INTを分周して制御クロック信号CLK
CTRLを生成する。分周回路23によって行われる分周の分周比、即ち、分周回路23によって生成される制御クロック信号CLK
CTRLの周波数は、分周比設定レジスタ28に保持されるレジスタ値D
DIV_SETに応じて調節される。生成された制御クロック信号CLK
CTRLは、クロック出力パッド12cを介して外部チャージポンプIC13に供給される。
【0028】
抵抗素子24と、可変抵抗素子25と、コンパレータ26と、判定回路27と、分周比設定レジスタ28とは、外部チャージポンプIC13から供給される液晶駆動用電源電圧の電圧レベル、より具体的には、正電源電圧VSPの電圧レベルに応じて制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を制御する制御回路部を構成している。
【0029】
詳細には、抵抗素子24と可変抵抗素子25とは、正電源電圧VSPが供給される電源線31と接地電位V
SSを有する接地端子33の間に直列に接続されている。抵抗素子24と可変抵抗素子25は、正電源電圧VSPに対して電圧分割するために用いられる。
【0030】
コンパレータ26は、接続ノード34の電圧(即ち、正電源電圧VSPを抵抗素子24と可変抵抗素子25とで電圧分割して得られる電圧)と、基準電圧V
REFとを比較する。コンパレータ26の非反転入力は抵抗素子24と可変抵抗素子25との接続ノード34に接続され、コンパレータ26の反転入力には基準電圧V
REFが供給される。
【0031】
ここで、正電源電圧VSPを電圧分割して得られる電圧は、正電源電圧VSPに比例する電圧であるから、コンパレータ26から出力される出力信号は、正電源電圧VSPが所定電圧より高いか否かに応答して決定されることになる。即ち、抵抗素子24と可変抵抗素子25とコンパレータ26とは、全体としては、正電源電圧VSPが所定電圧より高いか否かに応答して出力信号を出力する比較部として機能することになる。
【0032】
判定回路27は、コンパレータ26の出力信号をモニタして、分周比設定レジスタ28に保持されるレジスタ値D
DIV_SETを操作する(即ち、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節する)。詳細には、判定回路27は、レジスタ値Aを保持するレジスタ27aとレジスタ値Bを保持する27bを備えている。ここで、レジスタ値Aは、検出された正電源電圧VSPの電圧レベルを一時的に記憶するために用いられ、レジスタ値Bは、コンパレータ26が反応する電圧を設定する、即ち、可変抵抗素子25の抵抗値を設定するために用いられる。レジスタ値Bによって正電源電圧VSPに対して行われる電圧分割の分割比が調節され、これにより、コンパレータ26が反応する電圧(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転する電圧)が調節される。判定回路27は、コンパレータ26が反応したときに、レジスタ値A、Bを比較し、その比較結果に応じてレジスタ値A、Bの操作、及び、分周比設定レジスタ28に保持されるレジスタ値D
DIV_SETの操作を行う。
【0033】
分周比設定レジスタ28は、分周回路23によって行われる分周の分周比を指定するレジスタ値D
DIV_SETを保持する。上述のように、レジスタ値D
DIV_SETは、判定回路27によって操作される。
【0034】
続いて、本実施形態におけるドライバIC12の動作を説明する。本実施形態では、外部チャージポンプIC13に供給される制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される液晶駆動用電源電圧、より具体的には、正電源電圧VSPの電圧レベルに応じて制御される。ここで、本実施形態では、ドライバIC12の電源オンに応答して開始されるパワーオンシーケンスにおいて、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節される。
【0035】
図4は、本実施形態における制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調節の手順を示すフローチャートである。
図4の手順では、外部チャージポンプIC13によって生成される正電源電圧VSPの電圧レベルが、最高値又は最高値に近接した値になるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節される。正電源電圧VSPの電圧レベルが、最高値又は最高値に近接した値になっていることは、一般には、外部チャージポンプIC13が適切に動作していることを意味している。正電源電圧VSPの電圧レベルが最高値又は最高値に近接した値になるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節することにより、外部チャージポンプIC13の特性の差を吸収しながら、適正な周波数を有する制御クロック信号CLK
CTRLを外部チャージポンプIC13に供給することができる。
【0036】
より具体的には、本実施形態では、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が十分に低く設定された後、徐々に増大される。このとき、クロック信号CLK
CTRLの周波数の増加に伴い、外部チャージポンプIC13によって生成される正電源電圧VSPの電圧レベルも徐々に増大する。ただし、
図1から理解されるように、正電源電圧VSPの電圧レベルは、ある周波数において減少し始めることが予期される。正電源電圧VSPの電圧レベルの減少が検出されると制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の増加が停止され、制御クロック信号CLK
CTRLは、この時点で最終的に設定されている周波数に固定される。このような手順によれば、外部チャージポンプIC13によって生成される正電源電圧VSPの電圧レベルが、最大値又は最大値に近接した値になるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節されることになる。以下、本実施形態における制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調節の手順を詳細に説明する。
【0037】
ドライバIC12の電源オンに応答してパワーオンシーケンスが開始されると、分周比設定レジスタ28のレジスタ値D
DIV_SETが初期値に設定され、該初期値に対応する周波数を有する制御クロック信号CLK
CTRLが生成される(ステップS01)。ステップS01では、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、設定可能な周波数のうちで最も低い周波数に設定される。外部チャージポンプIC13は、制御クロック信号CLK
CTRLを用いて昇圧動作を行って液晶駆動用電源電圧、より具体的には、正電源電圧VSP、負電源電圧VSNを生成し、生成した正電源電圧VSP、負電源電圧VSNをドライバIC12に供給する。
【0038】
更に、レジスタ27a、27bに保持されるレジスタ値A、Bが初期化される(ステップS02)。即ち、レジスタ値A、Bが、設定可能な値のうちの最小値に設定される。可変抵抗素子25の抵抗値は、レジスタ値Bに応じて設定される。これにより、可変抵抗素子25の抵抗値は、設定可能な抵抗値のうちで最も低い抵抗値に設定される。
【0039】
続いて、レジスタ値Bの値が1だけ増加される(ステップS03)。これにより、可変抵抗素子25の抵抗値も1段階増加し、接続ノード34の電圧も上昇する。
【0040】
コンパレータ26は、基準電圧V
REFと接続ノード34の電圧とを比較する(ステップS04)。コンパレータ26が反応しない(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転しない)場合には、レジスタ値Bの増加(ステップS03)とコンパレータ26による比較(ステップS04)が再度に行われる。レジスタ値Bの増加(ステップS03)とコンパレータ26による比較(ステップS04)は、コンパレータ26が反応するまで繰り返して行われる。
【0041】
コンパレータ26が反応すると(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転すると)、レジスタ値A、Bが比較される(ステップS05)。ここで、コンパレータ26が反応するとは、接続ノード34の電圧、即ち、正電源電圧VSPを抵抗素子24と可変抵抗素子25とで電圧分割して得られる電圧が、基準電圧V
REFを超えたことを意味している。よって、この時点でのレジスタ値Bは、正電源電圧VSPの電圧レベルに対応する値になっている。言い換えれば、ステップS03〜S05の動作は、正電源電圧VSPと比較される所定電圧を変化させながら、正電源電圧VSPと該所定電圧を比較する動作を行うことで、正電源電圧VSPの電圧レベルを検出する動作に相当している。
【0042】
ステップS05が初めて実行される場合には、必ず、レジスタ値Bがレジスタ値Aよりも大きくなるので、ステップS06が行われる。ステップS06では、レジスタ値Aが、レジスタ値Bと同一値に設定される。これにより、レジスタ値Aが、ステップS03〜S05によって検出された正電源電圧VSPの電圧レベルに対応する値に設定される。更に、レジスタ値Bが初期化される(即ち、設定可能な値のうちの最小値に設定される)。加えて、分周比設定レジスタ28のレジスタ値D
DIV_SETを操作することにより、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、1段階上昇され、手順は、ステップS03に戻る。
【0043】
その後、ステップS03〜S06の手順が繰り返して行われる。ステップS03〜S06の手順は、ステップS05において、レジスタ値Bの値がレジスタ値Aよりも小さいと判断されるまで継続して行われる。
【0044】
ステップS03〜S06が繰り返して行われる過程において、当初は、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が1段階上昇されると正電源電圧VSPの電圧レベルも増大するので、ステップS05の比較の時点においてレジスタ値Bがレジスタ値Aよりも大きくなる。しかしながら、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が正電源電圧VSPの電圧レベルが最高値となる周波数を超えると、ステップS05の比較の時点においてレジスタ値Bがレジスタ値Aよりも小さくなる。即ち、ステップS05においてレジスタ値Bがレジスタ値Aよりも小さいと判断された時点では、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数は、外部チャージポンプIC13によって生成される正電源電圧VSPの電圧レベルが最大値又は最大値に近接した値になるように調節されていることになる。ステップS05においてレジスタ値Bがレジスタ値Aよりも小さいと判断されると、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調節が終了し、以後、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が固定される。
【0045】
以上に説明されているように、本実施形態では、ドライバIC12が、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧の電圧レベルに応答して外部チャージポンプIC13に供給する制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節するように構成されている。このようなドライバIC12の構成を利用して、本実施形態では、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧(具体的には、正電源電圧VSP)の電圧レベルが最高値又は最高値に近接した値になるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節される。このような動作によれば、外部チャージポンプIC13の特性の相違を吸収し、外部チャージポンプIC13の特性に応じた最適な周波数を有する制御クロック信号CLK
CTRLを供給することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、液晶駆動用電源電圧(より具体的には、正電源電圧VSP)の電圧レベルに応答して制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節されるが、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される他の電源電圧に応答して制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節してもよい。この場合、抵抗素子24と可変抵抗素子25は、当該電源電圧が供給される電源パッドに接続された電源線と接地端子33の間に接続される。
【0047】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態におけるドライバIC12の構成を示すブロック図である。本実施形態においても、ドライバIC12は、電源がオンされたときに実行されるパワーオンシーケンスにおいて、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧の電圧レベルに応答して外部チャージポンプIC13に供給する制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節する。
【0048】
加えて、本実施形態では、パワーオンシーケンスが終了した後(即ち、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調節が完了して制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が固定された後)、ドライバIC12が、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧の過剰な上昇を検知するように動作する。外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧が過剰に高くなった場合、ドライバIC12は、外部チャージポンプIC13による電源電圧の生成を停止するように動作する。外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧が過剰に高くなることは、ドライバIC12の動作の信頼性を確保するために好ましくない。本実施形態では、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧が過剰に高くなったときに外部チャージポンプIC13による電源電圧の生成が停止され、これにより、ドライバIC12が保護される。以下、実施形態におけるドライバIC12の構成と動作について詳細に説明する。
【0049】
以下では、外部チャージポンプIC13から供給される正電源電圧VSPの電圧レベルに応答して外部チャージポンプIC13に供給する制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節され、その後、正電源電圧VSPが過剰に高くなった場合には、外部チャージポンプIC13による正電源電圧VSPの生成を停止するような動作が行われる場合のドライバIC12の構成及び動作を説明する。
【0050】
本実施形態では、判定回路27にタイミング制御信号S
TMGが供給されると共に、判定回路27が、アラーム信号S
ALMを生成するように構成されている。アラーム信号S
ALMとは、外部チャージポンプIC13から供給される正電源電圧VSPが過剰に高くなったときにアサートされる信号である。アラーム信号S
ALMがアサートされると、分周回路23は、外部チャージポンプIC13への制御クロック信号CLK
CTRLの供給を停止する。
【0051】
本実施形態では、ドライバIC12は、下記のように動作する。パワーオンシーケンスにおけるドライバIC12の動作は、第1の実施形態と同様である。パワーオンシーケンスが完了すると、判定回路27は、タイミング制御信号S
TMGからパワーオンシーケンスが完了したことを判断する。タイミング制御信号S
TMGとしては、例えば、垂直同期信号V
SYNCが用いられてもよい。この場合、垂直同期信号V
SYNCから、垂直同期信号V
SYNCの生成が開始されてから所定数のフレーム期間が経過したことを検知すると、判定回路27は、パワーオンシーケンスが完了したと判断する。その代わりに、タイミング制御信号S
TMGとして、パワーオンシーケンスが完了したことを判定回路27に通知する信号を用いてもよい。
【0052】
パワーオンシーケンスが完了したと判断すると、判定回路27は、レジスタ27bに設定されているレジスタ値Bを、正電源電圧VSPの許容最大値に対応する値に設定する。抵抗素子24の抵抗値をR1、可変抵抗素子25の抵抗値をR2、正電源電圧VSPの許容最大値をVSP
MAXとしたとき、正電源電圧VSPが許容最大値VSP
MAXである場合に基準電圧V
REFと接続ノード34の電圧とが一致する可変抵抗素子25の抵抗値R2は、下記式(1)で与えられる:
【数1】
レジスタ27bに設定されているレジスタ値Bは、可変抵抗素子25の抵抗値R2が式(1)で与えられる値になるように設定される。ここで、式(1)は、基準電圧V
REFと接続ノード34の電圧とが一致するという条件、即ち、下記式(2):
【数2】
から得られていることに留意されたい。
【0053】
このような動作は、抵抗素子24、可変抵抗素子25及びコンパレータ26とで構成される比較部を、正電源電圧VSPが許容最大値VSP
MAXより高いか否かに応答して出力信号を生成する状態に設定することに相当する。
【0054】
判定回路27は、コンパレータ26の出力信号から接続ノード34の電圧が基準電圧V
REFを超えたと判断したとき、即ち、正電源電圧VSPが許容最大値VSP
MAXを超えたと判断したとき、アラーム信号S
ALMをアサートする。アラーム信号S
ALMがアサートされると、分周回路23は、外部チャージポンプIC13への制御クロック信号CLK
CTRLの供給を停止する。これにより、外部チャージポンプIC13による正電源電圧VSPの生成が停止され、ドライバIC12が保護される。
【0055】
ここで、本実施形態では、コンパレータ26がパワーオンシーケンスにおける制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調整と、パワーオンシーケンスの完了後における正電源電圧VSPの過剰な上昇の検出とに兼用されていることに留意されたい。本実施形態のドライバIC12の動作と構成によれば、単一のコンパレータ26により、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調整と電源電圧の過剰な上昇の検知を行うことができる。これは、ドライバIC12のハードウェアの低減に有用である。
【0057】
第3の実施形態では、通常動作時において、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧を、外部チャージポンプIC13の負荷電流に依存せずに所定の一定電圧に保たれるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が制御される。
【0058】
図6は、外部チャージポンプIC13の出力電圧(即ち、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧)と制御クロック信号CLK
CTRLの周波数との関係が、負荷電流に応じて変化することを示すグラフである。外部チャージポンプIC13の負荷電流がゼロの場合(
図6の“無負荷時”)には、外部チャージポンプIC13の負荷電流が許容最大値の場合(
図6の“重負荷時”)と比較して、外部チャージポンプIC13から出力される電源電圧が高くなる。ここで、
図6において、V1は、外部チャージポンプIC13の負荷電流が許容最大値である場合に外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧を示しており、V2は、外部チャージポンプIC13の負荷電流がゼロの場合に外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧を示している。また、f
1は、外部チャージポンプIC13の負荷電流がゼロの場合に、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧がV
1となるような周波数であり、f
2は、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧が最高値になる周波数である。外部チャージポンプIC13の出力電圧が
図6に示されているような挙動を示す場合、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が一定であっても、外部チャージポンプIC13の出力電圧は、電圧V1と電圧V2の間で変動することになる。
【0059】
以下に述べられる本実施形態では、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される電源電圧、より具体的には、正電源電圧VSPが所定の一定電圧に保たれるように制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が制御される。なお、第3の実施形態におけるドライバIC12の回路構成は、第1の実施形態と同一である。
【0060】
図7は、第3の実施形態における制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の調節の手順を示すフローチャートである。
【0061】
ドライバIC12の電源がオンされ、パワーオンシーケンスが開始されると、分周比設定レジスタ28のレジスタ値D
DIV_SETが初期値に設定され、該初期値に対応する周波数を有する制御クロック信号CLK
CTRLが生成される(ステップS11)。ステップS11では、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、設定可能な周波数のうちで最も低い周波数に設定される。外部チャージポンプIC13は、制御クロック信号CLK
CTRLを用いて昇圧動作を行って液晶駆動用電源電圧、より具体的には、正電源電圧VSP、負電源電圧VSNを生成し、生成した正電源電圧VSP、負電源電圧VSNをドライバIC12に供給する。
【0062】
更に、レジスタ27a、27bに保持されるレジスタ値A、Bが、目標電圧、即ち、正電源電圧VSPの目標値に対応する値に設定される(ステップS12)。可変抵抗素子25の抵抗値は、レジスタ値Bに応じて設定される。例えば、正電源電圧VSPの目標値がVSP
*である場合、レジスタ値Bは、可変抵抗素子25の抵抗値が下記式(3)で得られる抵抗値R2
*になるように設定される。
【数3】
【0063】
続いて、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が1段階だけ増加される(ステップS13)。このとき、コンパレータ26は、基準電圧V
REFと接続ノード34の電圧とを比較する(ステップS14)。コンパレータ26が反応しない(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転しない)場合には、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の増加(ステップS13)とコンパレータ26による比較(ステップS14)が再度に行われる。制御クロック信号CLK
CTRLの周波数の増加(ステップS13)とコンパレータ26による比較(ステップS14)は、コンパレータ26が反応するまで繰り返して行われる。
【0064】
このような動作が行われる場合、コンパレータ26が反応した時点(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転した時点)では、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、正電源電圧VSPが目標値VSP
*になるように調節されている。
【0065】
その後、パワーオンシーケンスが完了して通常動作が開始されると(ステップS15)、ステップS16〜S21の動作が適宜の周期で繰り返して行われる。
【0066】
具体的には、通常動作が開始されると、レジスタ27bに保持されるレジスタ値Bが初期化される(ステップS16)。即ち、レジスタ値Bが、設定可能な値のうちの最小値に設定される。可変抵抗素子25の抵抗値は、レジスタ値Bに応じて設定される。これにより、可変抵抗素子25の抵抗値は、設定可能な抵抗値のうちで最も低い抵抗値に設定される。
【0067】
続いて、レジスタ値Bの値が1だけ増加される(ステップS17)。これにより、可変抵抗素子25の抵抗値も1段階増加し、接続ノード34の電圧も上昇する。
【0068】
コンパレータ26は、基準電圧V
REFと接続ノード34の電圧とを比較する(ステップS18)。コンパレータ26が反応しない(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転しない)場合には、レジスタ値Bの増加(ステップS17)とコンパレータ26による比較(ステップS18)が再度に行われる。レジスタ値Bの増加(ステップS17)とコンパレータ26による比較(ステップS18)は、コンパレータ26が反応するまで繰り返して行われる。
【0069】
コンパレータ26が反応すると(即ち、コンパレータ26の出力信号が反転すると)、レジスタ値A、Bが比較される(ステップS19)。ここで、コンパレータ26が反応するとは、接続ノード34の電圧、即ち、正電源電圧VSPを抵抗素子24と可変抵抗素子25とで電圧分割して得られる電圧が、基準電圧V
REFを超えたことを意味している。よって、この時点でのレジスタ値Bは、現時点の正電源電圧VSPの電圧レベルに対応する値になっている。一方、レジスタ値Aは、上述のように、ステップS12において正電源電圧VSPの目標値VSP
*に対応する値に設定されている。
【0070】
レジスタ値Aがレジスタ値Bよりも大きい場合(即ち、現時点の正電源電圧VSPの電圧レベルが目標値VSP
*よりも低い場合)、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が1段階上昇され(ステップS20)、手順が、ステップS16に戻る。一方、レジスタ値Aがレジスタ値Bよりも小さい場合(即ち、現時点の正電源電圧VSPの電圧レベルが目標値VSP
*よりも高い場合)、制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が1段階低下され(ステップS21)、手順が、ステップS16に戻る。
【0071】
ステップS16〜S21の動作が適宜の周期で繰り返して実行され、これにより、正電源電圧VSPが目標値VSP
*になるように制御される。
【0072】
以上に説明されているように、本実施形態においては、外部チャージポンプIC13に供給する制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が、外部チャージポンプIC13から供給される電源電圧が所定の目標値になるように調節される。このような動作によれば、外部チャージポンプIC13の特性の相違を吸収し、外部チャージポンプIC13の特性や状態に応じた最適な周波数を有する制御クロック信号CLK
CTRLを供給することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、液晶駆動用電源電圧(より具体的には、正電源電圧VSP)の電圧レベルに応答して制御クロック信号CLK
CTRLの周波数が調節されるが、外部チャージポンプIC13からドライバIC12に供給される他の電源電圧に応答して制御クロック信号CLK
CTRLの周波数を調節してもよい。この場合、抵抗素子24と可変抵抗素子25は、当該電源電圧が供給される電源パッドに接続された電源線と接地端子33の間に接続される。
【0074】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定して解釈してはならない。本発明が、様々な変更と共に実施され得ることは当業者には容易に理解されよう。特に、上述では、液晶表示パネルを駆動するドライバICを備えた液晶表示装置の実施形態が記述されているが、本発明が、他の表示パネル(例えば、プラズマディスプレイパネル)を駆動する表示パネルドライバIC、及び、該表示パネルドライバICを備えた表示装置に適用可能であることは、当業者には自明的であろう。