【解決手段】データライブラリ装置とサーバとを備えるデータアーカイブシステムであって、データライブラリ装置は、表裏両面に記録面を持つ複数の記録媒体と、記録媒体が格納される記録媒体格納部と、記録媒体の表面にデータを記録/再生する表面用記録再生部と、記録媒体の裏面にデータを記録/再生する裏面用記録再生部と、記録媒体格納部と記録再生部との間で前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送部とを備え、サーバは、データライブラリ装置の記録媒体の表面と裏面に記録するデータの割当てを行うデータ構成部と、データライブラリ装置を制御する制御部と、を備え、サーバのデータ構成部は、データライブラリ装置の異なる記録媒体の表面と裏面に交互に記録データの割り当てを行う。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1はデータライブラリシステム(データアーカイブシステム)の構成を示すブロック図である。本実施例は、サーバの命令に従って、データライブラリ装置が、複数あるデータ記録再生部であるドライブを用いて、記録媒体に記録/再生動作を行うデータライブラリシステムの例で、特に、データライブラリ装置の記録媒体格納部やデータ記録再生部から記録媒体を記録媒体搬送部で移動してデータの記録/再生処理を行う場合の実施例である。
【0011】
データライブラリ装置とは、サーバやディスクアレイ装置などに記録されるデータの保護を目的としたデータバックアップ、あるいはそのデータの長期保存、安全保管を目的としたアーカイブに利用するものである。
【0012】
図1の各部を説明する。サーバ201は、接続するデータライブラリ装置101に対してのデータの記録再生を中心としたサービスを提供するとともに、ハードディスク202に対するデータの記録と再生、ネットワーク203を介したデータの送受信や管理を行う。また、データを蓄えるハードディスク202は、1台あるいは複数で構成してもよい。また、ハードディスクを複数備えるディスクアレイ装置の形態であってもよい。
【0013】
サーバ201の制御部204は、例えばCPUなどで構成され、データ記録時には、ネットワーク203から通信部205を介して受信したデータをハードディスク202に記録する制御を行う。あるいは、データライブラリ接続部206を介して制御部204で、データライブラリ装置101を制御し、データブライブラリ装置101が内蔵する記録媒体104に記録する制御を行う。
【0014】
データ再生時には、ハードディスク202からデータを読み出し、読み出したデータを、通信部205を介してネットワーク203に送信する制御を行う。あるいは、データライブラリ接続部206を介してデータライブラリ装置101を制御し、データライブラリ装置101が内蔵する記録媒体104からデータを再生し、再生したデータを受け取り、受け取ったデータを、通信部205を介してネットワーク203に送信する制御を行う。または、データライブラリ装置101から受け取った各種の情報を適宜加工して記録、管理し、また、その情報を再生し、再生した情報に基づいて制御方針を決定するとともに、実際の制御を行う。
【0015】
サーバ201のサーバ制御部204の中のデータ構成部207は、データライブラリ装置101の記録媒体格納部103にある複数の記録媒体104のうち、どの記録媒体にどのようにデータを記録するかを決定する処理を行う。複数の両面ディスクのどのディスクのどの面に何のデータを記録するかを管理/制御する。
【0016】
サーバ201のサーバ制御部204の中の記録再生部割当て部208は、データライブラリ装置101の複数のデータ記録再生部110〜117のうち、どの記録再生部を使用して記録再生を行うようにするかを決定する処理を行う。
【0017】
サーバ201のサーバ制御部204は、前記データ構成部207で決定した記録媒体104を、記録媒体格納部103から取り出し、記録媒体搬送部105の搬送機106に入れ、これを移動させて、前記記録再生部割当て部208で決定した記録再生部110〜117に装填して記録再生を行う処理をする。また、逆に、記録再生を終了した記録再生部110〜117に装填された記録媒体104を、記録媒体搬送部105の搬送機106に受け取り、記録媒体104を移動させて記録媒体格納部103に格納したりする命令制御を行う。
【0018】
サーバ201の記憶部209は、サーバ201の制御部204を制御するためのプログラム、各種の情報が記録されている。
【0019】
データライブラリ接続部206は、HBA(Host Bus Adapter)などのコネクタで、データライブラリ装置101の各デバイスと接続して、制御部204からの命令を、データライブラリ装置101の記録媒体搬送部105やデータ記録再生部110〜117へ送信する処理を行う。
【0020】
以上が、データライブラリシステムのサーバ201の構成例である。
【0021】
データライブラリ装置101は、記録時には、ネットワーク203から受け取ったデータやハードディスク202に蓄積したデータを、サーバ201を介して入力し、そのデータを記録媒体104に記録する処理を行う。再生時には、記録媒体104からデータを再生し、サーバ201を介してネットワーク203に送ったりハードディスク202に蓄積したりする。
【0022】
記録媒体104は、例えばDVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)に代表されるような光ディスクである。また、記録媒体104は、表面と裏面の両面を記録再生することが可能である。また、記録媒体104は、光磁気ディスクやホログラム等の記録媒体であってもよい。
【0023】
記録媒体104は、記録媒体格納部103の内部に複数枚格納されている。
図1では記録媒体格納部103は左右の2つしか図示していないが、1つでも良いし、データライブラリ装置101内に3つ以上内蔵してもよい。もちろん、記録媒体格納部103の内部を未記録の記録媒体格納領域と記録済の記録媒体格納領域とに区切っても構わない。
【0024】
記録媒体104は、データ記録時、記録媒体搬送部105によって記録媒体格納部103から取り出され、記録再生部110乃至117に装填され、データ記録が終了すると、記録媒体搬送部105によって記録媒体格納部103へと戻される。一方、データ再生時、記録媒体104は記録媒体搬送部105によって記録媒体格納部103から取り出され、記録再生部110乃至117に装填され、データを再生し、データ再生が終了すると、記録媒体搬送部105によって記録媒体格納部103へと戻される。
図1の白抜きの矢印は、記録媒体104の移動経路を示す。
【0025】
記録媒体格納部103には、記録媒体104の位置を特定するため位置情報があり、記録媒体搬送部105はライブラリ制御部102から指示された位置情報を元に記録媒体104を特定する。
【0026】
記録再生部110乃至117は、データライブラリ装置の制御部102によって制御されて、記録媒体104にデータを記録または記録媒体104からデータの再生を行う。記録媒体104が光ディスクの場合、記録再生部110乃至117は光ディスクドライブであり、光ディスクへの記録や光ディスクからのデータ再生が可能である。また、実施例では、記録再生部110乃至117のうち、110乃至113は表面用の記録再生部で、114乃至117は裏面用の記録再生部となっている。これは、1つの記録再生部で両面ディスクの表裏の各面での記録再生を行う場合、データライブラリ装置101はディスクを反転させる機構を保持しなくてはならないが、実施例のように、表面用の記録再生部と裏面用の記録再生部の両方を持つことで、表裏の各面での記録再生を実現している。このようにすることで、ディスクを反転させる機構を削除し、ディスク移動を平行移動する単純な機構とするのみにすることができ、データライブラリ装置101の小型化やコスト削減に貢献する構造となっている。
【0027】
図1では記録再生部110乃至117は、8つしか図示しないがそれ以上でも以下でも良く、アーカイブライブラリ101内に表裏用の2つ以上内蔵することになる。
【0028】
記録媒体搬送部105は、データライブラリ装置101のライブラリ制御部102に制御されて、記録媒体104を記録媒体格納部103から取り出し、運搬し、記録再生部110乃至117に装填する。あるいは、記録媒体104を記録再生部110乃至117から受け取り、運搬し、記録媒体格納部103へと格納する。その際、ライブラリ装置の制御部102の指示により、表面の記録または再生を行うのであれば、表面を記録または再生できるように記録再生部(表面用)110乃至113に記録媒体104を装填し、裏面の記録または再生を行うのであれば、裏面を記録または再生できるように記録再生部(裏面用)に記録媒体104を装填する。
【0029】
図2はデータライブラリ装置の記録再生部(表面用/裏面用)と両面ディスクの使用方法の一例を説明する図である。例えば、
図2のように、表面のData1を記録再生したい場合は、記録再生部(表面用)110に記録媒体を装填し、裏面のData2を記録再生したい場合は、記録再生部(裏面用)114に記録媒体を装填して、データの記録再生を実現する。
【0030】
データライブラリ101の制御部102は、サーバ201からの要求により、記録媒体搬送部105を制御して、記録媒体格納部103に格納された複数枚の記録媒体104の中から所望の記録媒体104を選択し、記録再生部110乃至117に送る。また、記録媒体搬送部105を制御して記録再生部110乃至117から記録媒体104を受け取り、記録媒体格納部103内の所定の位置に記録媒体を格納する。
【0031】
以上が、アーカイブシステムのデータライブラリ装置の構成例である。
【0032】
上記のような、実施例構成で示されるアーカイブシステムにおいて、両面読み書き可能な記録媒体を複数用いたシステムでの、データの記録、データの再生、の処理に関して、効率的な記録再生部の割当て制御処理及び処理が効率的になるデータ構成について、フローチャート等を示して以下詳しく述べる。
【0033】
図2は前述のように、データライブラリ装置の記録再生部(表面用/裏面用)と両面ディスクの使用方法の一例を説明する図である。
図2の様に、実施例の両面ディスクを用いたアーカイブシステムは、表面用の記録再生部、裏面用の記録再生部が決まっていて、ディスクの入れ替えや記録再生部の割当て等がスムーズに行かない場合は、記録再生の処理効率が落ちるという問題がある。
【0034】
例えば、記録時のデータ構成で、同一ディスクの、表面→裏面の順で記録する場合は、表面記録終了まで待って裏面用の記録再生部にディスクを入れ替えて記録するため、効率が悪い。この問題は別のディスクに記録することで同時に記録することができ、この方法で解決するが、例えば表面用の記録再生部ばかりを使用してしまうと、表面用の記録再生部と裏面用の記録再生部の使用バランスが悪くなり、他のユーザーの記録再生処理の効率を悪くする可能性がある。例えば、表面用の記録再生部を全て記録用に使用してしまった場合、他のユーザーで表面に記録された他のディスクを再生しようとした時に再生用の記録再生部(表面用)が無いため、再生できなくなる。つまり、使用する表面用/裏面用の記録再生部はバランスよく使用して、他のユーザーが表面用/裏面用のどちらの記録再生部を使用しても良いように、記録再生部を空けておくことが必要になる。
【0035】
図3は、両面ディスクへのデータ記録の構成方法の一例を示す図である。そこで、この
図3のように、表面(Data(1))→他のディスクの裏面(Data(2))→他のディスクの表面(Data(3))→・・・のように他のディスクの表面と裏面に交互にバランス良く記録するようにする。このように両面ディスクへのデータ構成を行うことで、使用する表面用の記録再生装置と裏面用の記憶再生装置の使用状況をバランスよく行うことで、使用可能な記録再生装置を表用/裏用バランスよく開けておくことができ、次の再生処理などに記録再生装置を割り当てられなくなる可能性を低減し、記録/再生の効率を向上することができる。
【0036】
また、データは記録した時期が近いほど、データの関連性が強くなる。関連性が強いデータは再生時に同時にアクセスする可能性が増えるため、同一の両面ディスクの表面への記録の時期と裏面への記録の時期はなるべく離れていたほうが関連性が薄れ、同時にアクセスする可能性を低減することができる。
【0037】
図4は同時にアクセスする可能性を低減した、両面ディスクへのデータ記録の構成方法の一例を示す図である。この
図4のように、n枚ある両面ディスクへのデータ構成を調整することで、同一の両面ディスクの表面データと裏面データの関連性を少しでも弱くすることができ、表面と裏面のデータを同時にアクセスする可能性を低減することができる。
【0038】
図4で説明すると、まず
図4(a)のように、n枚の両面ディスクを記録媒体ID(1〜n/2-1)と記録媒体ID(n/2〜n)の2つのグループに分け、最初、記録媒体ID(1〜n/2-1)は表面にデータを記録し、記録媒体ID(n/2〜n)はIDの逆から裏面にデータを記録するようにする。記録するデータData(1)、Data(2)、Data(3)・・・を、表面(記録媒体ID(1))、他のディスクの裏面(記録媒体ID(n))、他のディスクの表面(記録媒体ID(2))、他のディスクの裏面(記録媒体ID(n-1))、・・・というように記録する。
【0039】
n枚全ての片面が記録し終わると、今度は
図4(b)のように、記録媒体ID(1〜n/2-1)は裏面にデータを記録し、記録媒体ID(n/2〜n)はIDの逆から表面にデータを記録するようにする。記録するデータData(n+1)、Data(n+2)、Data(n+3)・・・を、裏面(記録媒体ID(1))、他のディスクの表面(記録媒体ID(n))、他のディスクの裏面(記録媒体ID(2))、他のディスクの表面(記録媒体ID(n-1))、・・・というように記録する。
【0040】
以上のような両面ディスクのデータ構成とすることで、全てのディスクの表面と裏面を交互に使用し、それぞれのディスクの表面と裏面のデータの関連性を弱め、表面と裏面のデータを同時にアクセスする可能性を低減することができ、記録/再生の効率を向上することができる。
【0041】
このように特許文献1のような表面のデータを書き込み中に裏面のデータを読み出す状況が起きる可能性を低減することができる。
【0042】
そのほか、記録再生部の使用状況に応じて、記録再生を行う記録再生部を決定することで、記録再生の効率を向上することができる。
【0043】
まず、データの記録再生の処理の手順について述べる。
【0044】
図5はデータの記録再生の処理フロー図である。データの記録または再生が開始されると、サーバ201のサーバ制御部204は、記録再生部の使用状況を取得する(ステップS501(以下、(S501)と示す。))。使用状況の情報は、データライブラリ装置101に問い合わせて取得しても良いし、記録再生部への命令はサーバ制御部204で行うのであらかじめ把握していても良いし、記憶部209に保持していても良い。使用状況は、記録再生部全てで、どの記録再生部が空いていて使用可能か、や、どの記録再生部が記録中でどの記録再生部が再生中か、や、どの記録再生部が関連するデータの記録や再生を行っているか、などの記録再生部の使用状況を示すものである。その後、使用する記録再生部を決める処理を記録再生部割当部208で行う(S502)。記録再生部の空きを判断して(S503)、準備がNGであれば、空いている記録再生部が無いと判断して、記録再生部の空きを待ち(S504)、記録再生部の準備がOKになってから処理を行うようにする。準備がOKであれば(S503)、使用する記録媒体をデータ構成部207において選択・決定し(S505)、サーバ制御部204は、決定した記録媒体を決定した記録再生部に搬送するようにデータライブラリ装置101に命令して、記録再生の準備を行う(S506)。そして、記録再生をライブラリ装置101の記録再生部で実行する(S507)。
【0045】
前記の表面と裏面を交互に使用する方法に、この記録再生部の使用状況に応じて使用する記録再生部を決定する方法を組み合わせれば、バランスの良い記録再生部の使用を実現し、記録/再生の効率を向上することができる。
【0046】
図6は、
図5のフローチャートの「使用する記録再生部の判断/決定」の処理(S502)の詳細な手順例である。説明すると、まず、データライブラリ装置101の記録再生部に空きの記録再生部があるか判断する(S601)。空きの記録再生部が無い場合は、記録再生部の準備がNGとして(S602)、終了する。空きの記録再生部が有る場合は、前述のように使用する記録再生部の表と裏を交互に選択する(S603)。
【0047】
表の場合は、表用の記録再生部に空きがあるかを判断し(S604)、有る場合は、空いている表用の記録再生部を選択して(S605)、終了する。表の場合で、表用の記録再生部が無い場合は(S604)、裏用の記録再生部が空いているので、裏用の記録再生部を選択して(S607)、終了する。
【0048】
裏の場合は、裏用の記録再生部に空きがあるかを判断し(S606)、有る場合は、空いている裏用の記録再生部を選択して(S607)、終了する。裏の場合で、裏用の記録再生部が無い場合は(S606)、表用の記録再生部が空いているので、表用の記録再生部を選択して(S605)、終了する。
【0049】
以上のように、バランスの良い記録再生部の使用を制御することができ、記録/再生の効率を向上するようにすることができる。なるべく表面用記録再生部と裏面用記録再生部の空きが同数となるように制御できれば、次に使用する記録再生部の割当てがスムーズに行うことができ、記録再生の効率を向上することができる。
【0050】
表面のデータを書き込み中に裏面のデータを読み出す状況に十分に対応するために、データを2重化してデータ構成を工夫することで記録再生の効率をあげて対応可能となる方法がある。この方法について、以下説明する。
【0051】
データを2重化する場合、2重化したデータとしてソースデータとレプリカデータを作成する。
【0052】
図7は、2重化したソースデータとレプリカデータを両面ディスクへ記録する場合の構成方法の一例を示す図である。
【0053】
記録時に両面ディスクの、例えば
図7のように、表面にソースデータ、他のディスクの裏面にレプリカデータを作成するように制御を行う。このように、表面用の記録再生部で再生するディスクと裏面用の記録再生部で再生するディスクを準備することで、記録再生の効率向上が可能になる。その制御方法を、以下
図8乃至
図16で説明する。
【0054】
図8は、上記のようにデータの構成を行った場合に、記憶部に記憶する、記録データと記録媒体の管理テーブルの一例を示す図である。この例では、Data(1)のソースデータとレプリカデータを、それぞれ、disk(1)の表面と、disk(n)の裏面に記録したことを示す。このテーブルを参照することで、どのデータがどこに記録されているかを判断することができる。これを用いて制御をおこなう。
【0055】
例えば、再生時の手順を
図5で説明したが、この処理の一部を
図9で説明する。
【0056】
図9は、
図5のフローチャートの、「使用する記録再生部の判断/決定」の処理(S502)の詳細な手順を示したフローチャートの例である。説明すると、まず、データライブラリ装置101の記録再生部の表面用の記録再生部のグループと裏面用の記録再生部のグループで、どちらのグループが、空きの記録再生部が多く余っているかを判断する(S901)。表面用の記録再生部が多く余っている場合は、表面用の記録再生部を選択する(S902)。裏面用の記録再生部が多く余っている場合は、裏面用の記録再生部を選択する(S903)。表面用と裏面用のどちらも同じ数だけ余っている場合は、どちらかの記録再生部を選択する(S904)。表面用と裏面用のどちらも空きが無く、余っていない場合は、記録再生部の準備がNGと判断して(S905)、終了する。このように制御することで、記録再生部が1つでも空いている限り、どんな使用状況でも対応することができる。例えば、表面用の記録再生部が全て使用中でも、裏面用のミラーデータを使うことで再生可能となる。
【0057】
図10は、データライブラリ装置101の記録再生部の使用状況の一例を説明する図である。例えば、
図10(a)に示すように、記録再生部(表面用)の4つのうち110と111の記録再生部が使用中で2つが空いている。一方、記録再生部(裏面用)は、4つのうち114と115と116の記録再生部が使用中で1つが空いている。このとき、例えば
図10の下の両面ディスクに示すData(1)の再生を行う場合は、
図9のフローチャートに従い、多く空いている表面用の記録再生部より空いている112の記録再生部を選択し、この記録再生部に
図10の下の両面ディスクのソースデータのほうのディスクを入れてデータの再生を行うようにする。このように制御することで、記録再生部は表面用の記録再生部113と裏面用の記録再生部117の両方の面の記録再生部を空きの状態にさせておくことができ、次のデータ再生の場合、表面のデータでも裏面のデータでも再生の対応が可能であるし、次のデータ記録の場合にも、ソースデータとレプリカデータをそれぞれ表面、裏面に記録する方法にも対応ができる。
【0058】
上記のように制御することで、バランス良く記録再生部を使用して、事前にバランスよく記録再生部を空けておくことができる。
【0059】
また、使用状況によって、途中で切り替えても良い。
図10(b)で前述とは違う状況で考えると、例えば
図10(b)の両面ディスクに示すData(1)の再生を記録再生部117で既に行っているとする。前述では、事前にバランス良く記録再生部を割当てていたが、他のデータの再生が早く終わったり、長びいたり、などした場合にこのような記録再生部の使用状況がアンバランスになる可能性がある。このときの次に他の再生命令があって、ディスクの裏面に記録されているデータを再生しなければならなくなったときに、裏面用の記録再生部はすでに全て使用しているので、再生できない。このとき、記録再生部117で再生しているData(1)はレプリカデータなので、ソースデータの方のディスクと切り替えることができる。そこでData(1)のソースデータのディスクを記録再生部112に入れてそちらにData(1)の再生を切り替え、裏面用の記録再生部117を空けて、新しく命令があったディスクの裏面に記録されているデータを再生する。このようにして、いろいろな状況に応じて柔軟に記録再生部の割当てをバランスよく行い、対応することができる。
【0060】
前述の対応は、記録時にも適用可能である。
【0061】
図11(a)(b)は記録開始時に他の再生データを切り替えることで記録を開始できるようにする処理の一例を示した図である。記録時は、記録再生部を2つ同時に使用して行うが、こちらも同様の処理が可能である。
図11(a)に示すように、記録再生部110、111と114、115はデータの記録中で、記録再生部112と113も再生中である状況であるとする。このとき、新たにデータを記録しようとすると、記録用の記録再生部は、表面用と裏面用の記録再生部が1つずつ必要になるが、
図11(a)の状況では裏面用の記録再生部が2つ空いているだけなので、記録が開始できない。そこで
図11(a)の点線矢印のように、記録再生部112で再生しているデータを、記録再生部117で再生するように切り替えるようにする。表面用の記録再生部112で再生しているディスクのデータは、同じデータが他のディスクの裏面に記録されているはずなので代わりにそのディスクを記録再生部117で再生するようにし、記録再生部112で再生していたディスクを取り出して記録再生部112を空ける。すると、
図10(b)のような状況になる。
図10(b)で空いている記録再生部112と116を、新たに記録しようとしていたデータの処理に割当てることで、記録を実行できるようになる。
【0062】
図5、
図6で示した事前にバランスよく記録再生部を使用する手順以外に、
図11の説明のように、記録再生中にも記録再生部の処理割当てを見直すことで効率よく記録再生を行うことが可能である。この手順を
図12のフローチャートに示す。
【0063】
図12は、
図5のフローチャートの、「使用する記録再生部の判断/決定」の処理(S502)の詳細な手順を示したフローチャートの例である。説明すると、まず、記録再生時に、データライブラリ装置101の記録再生部の割当てがそのまま割当て可能か判断する(S1201)。そのまま割当て可能であれば、記録再生部の準備をして、OKとして終了する(S1202)。そのままでは記録再生部の割当てがうまく行かない場合は、前述のように再生するディスクを変えて所望の記録再生部を空けるなど、使用中の記録再生部の変更で対応可能か判断する(S1203)。対応が不可能であれば、記録再生部の準備NGとして終了する(S1204)。対応が可能であれば、前述の
図11などで示した様に、使用中の記録再生部の再割当てを実行し(S1205)、記録再生部の準備をして、OKとして終了する(S1206)。
【0064】
以上のように、表用と裏用の記録再生部を、記録再生部のいろいろな使用状況に応じて柔軟に記録再生部の割当てをバランスよく使用するように制御して、効率の良い記録再生を行うことができる。
【0065】
そのほか、ソースデータとレプリカデータの2枚のディスクを使用して再生の効率と確実性を上げる方法がある。
図13と
図14で説明する。
【0066】
図13は、データの再生を失敗した場合の対応を示した図である。
【0067】
図14は、データの再生を失敗した場合の対応の手順を示したフローチャート図である。
【0068】
まず、
図13のData(1)のソースデータのディスクを記録再生部110で再生しようとして失敗し、代わりにData(1)のレプリカデータのディスクを記録再生部115で再生する手順を
図14(a)に示す。Data(1)のソースデータのディスクを記録再生部に搬送し(S1401)、再生しようとする。このとき、再生がうまく行かず、失敗するとする(S1402)。ここから、再生失敗後の対応をスタートすると(S1404)、Data(1)のレプリカデータのディスクを記録再生部に搬送し(S1405)、レプリカのデータのディスクを再生することで、確実性を上げた再生を行うことができる。
【0069】
そのほか、
図14(b)の様に、Data(1)のソースデータのディスクを記録再生部に搬送して(S1401)、再生時に失敗(S1403)後の対応(S1404)で、再生失敗したディスクを他の記録再生部(例えば
図13の記録再生部111)に移動して(S1406)、再度データを再生する(S1408)ことも考えられる。もちろん、
図14の(a)と(b)の対応スタート(S1404)後の手順を両方同時に行っても良い。以上の様に対応処理を制御することで、さらに確実性を上げた再生を行うことができる。
【0070】
また、
図14の(c)のように、あらかじめ2つのディスクを記録再生部に用意することで、確実性と再生効率を上げた処理が可能となる。手順を説明すると、Data(1)のソースデータのディスクを記録再生部に搬送し(S1401)、再生処理を開始する。直後にData(1)のレプリカデータのディスクも記録再生部に搬送しておく(S1402)。Data(1)のソースデータの再生が失敗しても(S1403)、その後の対応で(S1404)、既に記録再生部に搬送してあるレプリカのディスクを代わりに再生することで(S1407)、すばやい再生が可能となる。以上のようにして、再生の不良時に素早い対応を行うことができる。
【0071】
また、両面ディスクに記録するデータのソースデータとレプリカデータの配置を工夫することで、記録/再生の効率を良くすることができる。
【0072】
図15(a)(b)は、両面ディスクに記録するデータのソースデータとレプリカデータの配置の一例を説明する図である。前述までは、ソースデータとレプリカデータをそれぞれ別のディスクの表面と裏面に記録して配置していたが、この配置方法にも、効率の良い記録/再生を行えるように工夫する方法がある。
図15(a)の様に、ソースデータのデータとレプリカデータのデータを別ディスクの表面と裏面に配置し、さらに、ディスクそれぞれで表面と裏面とのデータの組み合わせを違う組み合わせとするようにする。
図15(b)のように(1)のディスクの表と裏のデータの配置を単純にひっくり返した別ディスク(2)を作成する方法と比べて、記録/再生の処理を向上させる効果を生む可能性がある。
【0073】
例えば、
図15(a)の場合と
図15(b)のそれぞれの場合で、(1)のディスクがダメになり、このディスクのデータをほかの新しいディスクに復活させるリカバリ処理を行うとする。この時、
図15(b)の場合は、(1)のディスクを復活させるリカバリ処理を行う時、(3)のディスクを使用するが、(3)のディスクの例えばAのデータを読んでいる時は、他のユーザーはすぐにCのデータにアクセスすることができず、再生処理などの効率が悪くなる場合がある。ところが、
図15(a)の場合は、(1)のディスクを復活させようとする時、(3)のディスクを使用してAのデータを読んでいる時でも、他のユーザーは(2)及び(4)のディスクを使用して、データB、C、Dにアクセスすることができ、データAもすでに記録再生部内にある状態なので、すぐにアクセスすることができる。以上のように、ソースデータのデータとレプリカデータのデータを別ディスクの表面と裏面に配置し、さらに、ディスクそれぞれで表面と裏面とのデータの組み合わせを違う組み合わせとするようにすることで、記録/再生の効率を向上することができる。
【0074】
図16は、ディスクのデータのリカバリ処理の手順の一例を示したフローチャート図である。
【0075】
このディスクのリカバリ処理を説明すると、まず、表面と裏面のデータの入ったディスクを記録再生部にそれぞれ搬送して入れる(S1601)。例えば
図15(a)の×印のデータをリカバリしようとすると、左下のディスクを裏面用の記録再生部(データA読出し用)、右下のディスクを表面用の記録再生部(データC読出し用)に入れる。そして、表面と裏面用のそれぞれのデータを読み出し(S1602)、HDDまたは記憶部にそれぞれのデータを保存する(S1603)。交換用の新しいディスクを用意し、表面用の記録再生部で表面に先ほど保存したデータから表面のデータを記録する(S1604)。今度は、裏面用の記録再生部で裏面に先ほど保存したデータから裏面のデータを記録する(S1605)。以上がリカバリ処理の手順であるが、手順ステップS1603のように、データをHDDまたは記憶部に一時保存する処理とすることで、処理の効率を上げている。例えば、表面のデータを読み出して表面に記録し、裏面のデータを読み出して裏面に記録するよりも、表面と裏面のそれぞれのデータをそれぞれ別記録再生部で並行して読み出し、HDDまたは記憶部に保存することで、読み出しの処理を効率化することができる。
【0076】
以上のように、ソースデータのデータとレプリカデータのデータを別ディスクの表面と裏面に配置したり、ディスクそれぞれで表面と裏面とのデータの組み合わせを違う組み合わせとしたりして、データの配置を工夫し、記録再生部の使用状況や記録再生状態に応じて使用ディスクや記録再生部の選択など動作を制御することで、記録再生の効率を向上することができる。
【0077】
そのほか、RAIDの場合においても、データ構成の工夫と、適切な記録再生部の割当てを行うことで、記録再生の効率を向上することができる。
【0078】
図17は、データをRAID形式で記録した場合のデータ作成の一例を示した図である。
【0079】
図18は、データをRAID形式で記録する場合の、ディスクへの記録方法と記録再生部の割当てを示した図である。この、
図17と
図18で説明する。
【0080】
例えば、
図17は、記録再生部を4つ使用し、Parityのデータを1つ含むRAID5となるデータの構成である。同様に、記録再生部を4つ使用し、RAID0(Parityデータなし)やRAID6(Parityデータを2つ含む)も可能である。図の例では4つだが、記録再生部の数を割り切れる偶数の数でRAIDデータを構成するようにする。例えば、記録再生部が12あった場合は、2、4、6、12などが、RAIDで使用する記録再生部の数の候補である。
図17の例では、RAID構成した4つのデータ(Data(1)〜Data(4))をそれぞれ記録再生部に割当てる。
図18に示すとおり、今までの様に、表面と裏面に交互にデータを記録すると、Data(1)は表面用の記録再生部110、Data(2)は裏面用の記録再生部114、Data(3)は表面用の記録再生部111、Data(4)は裏面用の記録再生部115、を使用してデータの記録を行う。以上のようにすることで、
図18の記録再生部112、113,116,117を表用裏用バランスよく空けておくことができ、この4つの記録再生部でもう1つのRAID記録や再生が可能となる。例えば、表面用のみの4つでRAIDを構成した場合、表面用のRAIDデータの再生をしている場合に、他の表面用のRAIDデータは再生できない。表用と裏用の記録再生部をバランス良く使用し、次に使用する記録再生部をバランスよく空けておくことで、全体的な記録/再生の効率を向上することができる。
【0081】
以上の様に制御することで、本発明は記録/再生の効率を向上することができる。また、本実施例では、説明の便宜上、表面用、裏面用と記したが、表と裏が逆であっても良いし、同様に、ソースデータとレプリカデータも特に区別は無く、これも逆であっても良い。
【0082】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0083】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。