特開2015-191711(P2015-191711A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-191711(P2015-191711A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】X線イメージ管
(51)【国際特許分類】
   H01J 31/50 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   H01J31/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-66249(P2014-66249)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今井 庸晶
【テーマコード(参考)】
5C037
【Fターム(参考)】
5C037GG01
5C037GG03
5C037GG05
5C037GH08
5C037GH20
(57)【要約】
【課題】絶縁部材の絶縁性能の低下を抑制できるX線イメージ管を提供する。
【解決手段】X線イメージ管は、入力部および出力部を有する真空外囲器を備える。入力部から入射するX線を電子に変換する入力面を設ける。真空外囲器内に複数の電極19を配置する。電子を可視光像に変換して出力部から出力する出力面を設ける。一対の支持部材22,23およびこれら一対の支持部材22,23を絶縁状態で連結する絶縁部材24を有し、電極19を真空外囲器内に絶縁状態で支持する支持手段21を設ける。絶縁部材24の周囲を全周に亘って覆う被覆体26を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部および出力部を有する真空外囲器と、
前記入力部から入射するX線を電子に変換する入力面と、
前記真空外囲器内に配置される複数の電極と、
前記電子を可視光像に変換して前記出力部から出力する出力面と、
一対の支持部材およびこれら一対の支持部材を絶縁状態で連結する絶縁部材を有し、前記電極を前記真空外囲器内に絶縁状態で支持する支持手段と、
前記絶縁部材の周囲を全周に亘って覆う被覆体と
を具備することを特徴とするX線イメージ管。
【請求項2】
前記被覆体は、前記絶縁部材との間に隙間を形成している
ことを特徴とする請求項1記載のX線イメージ管。
【請求項3】
前記被覆体は、前記絶縁部材の全周に亘って巻き付けられ、前記一対の支持部材のうちの一方に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載のX線イメージ管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線像を可視光像に変換するX線イメージ管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線イメージ管では、真空外囲器内に入射したX線を入射面(光電面)で電子に変換し、真空外囲器内に配置された電子レンズを構成する複数の集束電極で電子を加速、集束し、真空外囲器の出力面で電子を可視光像に結像している。
【0003】
真空外囲器内に複数の集束電極を互いに絶縁状態で支持するために支持手段が用いられている。支持手段は、一対の支持部材およびこれら一対の支持部材を絶縁状態で連結する絶縁部材を備え、一方の支持部材が1つの集束電極に取り付けられ、他方の支持部材が他の集束電極に取り付けられ、一方の集束電極に対して他方の集束電極を支持している。
【0004】
また、X線イメージ管の製造工程において、発生した飛散物が絶縁部材の表面に付着し、絶縁部材の絶縁性能が低下する場合がある。これは、X線イメージ管として最適な電子レンズを形成できないことを意味し、X線イメージ管に求められる解像度や、歪、画質といった性能がばらつく要因となる。さらに、X線イメージ管の輸送や保管、使用中においても、入力面の形成に用いられていてその入力面や集束電極等に付着していた光電面形成材の一部が飛散物として絶縁部材の表面に付着し、絶縁部材の絶縁性能が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平2−9496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、絶縁部材の絶縁性能の低下を抑制できるX線イメージ管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のX線イメージ管は、入力部および出力部を有する真空外囲器と、前記入力部から入射するX線を電子に変換する入力面と、前記真空外囲器内に配置される複数の電極と、前記電子を可視光像に変換して前記出力部から出力する出力面と、一対の支持部材およびこれら一対の支持部材を絶縁状態で連結する絶縁部材を有し、前記電極を前記真空外囲器内に絶縁状態で支持する支持手段と、前記絶縁部材の周囲を全周に亘って覆う被覆体とを具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示すX線イメージ管の集束電極および支持手段の断面図である。
図2】同上X線イメージ管の支持手段を示し、(a)〜(d)に被覆体およびこの被覆体を絶縁部材に巻き付ける手順を示す斜視図である。
図3】同上X線イメージ管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図3に示すように、X線イメージ管10は、金属やガラス、セラミックスを用いた真空外囲器11を有している。真空外囲器11には、X線の入力窓である入力部12、およびこの入力部12に対して反対側に出力窓である出力部13が形成されている。
【0011】
真空外囲器11内には、入力部12の内側に入力部12から入射するX線を電子に変換する入力面(光電面)14が設けられ、出力部13の内側に入力面14からの電子を可視光像に変換して出力部13に出力する出力面15が設けられている。さらに、真空外囲器11内には、入力面14を含む陰極16、入力面14から出力面15に向かって進行する電子の進路に沿って電子を加速、集束する電子レンズを構成する複数の集束電極17および陽極18を含む、複数の電極19が設置されている。これら電極19は真空外囲器11に対して絶縁されるとともに電極19同士も絶縁された状態で真空外囲器11内に設置されている。
【0012】
入力面14は、入力基板、この入力基板の入力部12と対向する面とは反対側の面に形成されてX線を蛍光に変換する入力蛍光面、およびこの入力蛍光面に積層されて蛍光を電子に変換する光電変換面を有している。また、出力面15には、電子を可視光に変換する出力蛍光面が形成されている。また、複数の集束電極17および陽極18は環状に形成されている。
【0013】
図1に示すように、支持手段21により、電極19を真空外囲器11内に絶縁状態で支持している。図1には、隣り合う集束電極17を支持手段21で連結して支持する例を示す。
【0014】
支持手段21は、一対の支持部材22,23、およびこれら一対の支持部材22,23を絶縁状態で連結する絶縁部材24を有している。支持部材22,23は、金属製の板、箔、ワイヤおよび棒等によって形成されている。絶縁部材24は、セラミックスやガラス等の絶縁材料によって形成されている。そして、支持部材21は、互いに連結する2つの集束電極17の間に配置され、一方の支持部材22が一方の集束電極17に取り付けられ、他方の支持部材23が他方の集束電極17に取り付けられている。支持部材22,23は、集束電極17に対して溶接、ねじ止め、嵌め込み、およびかしめ等により取り付けられている。
【0015】
また、支持手段21には、絶縁部材24の周囲を全周に亘って覆う被覆体26が取り付けられている。図1および図2(a)に示すように、被覆体26は、金属製の1枚の板で構成されている。被覆体26は、一対の傾斜辺部27および底辺部28を有する略三角形状の第1の覆い部29、およびこの第1の覆い部29の一方の傾斜辺部27から突出する第2の覆い部30を有している。第2の覆い部30の先端部31は、第1の覆い部29の他方の傾斜辺部27と平行に斜めに形成されている。
【0016】
そして、被覆体26を支持手段21に取り付けるには、図2(b)に示すように、第1の覆い部29の頂部を一方の支持部材22側に配置し、第1の覆い部29で絶縁部材24を覆う。第1の覆い部29の頂部は、一方の支持部材22に、溶接、ねじ止め、嵌め込み、およびかしめ等により固定する。
【0017】
図2(c)に示すように、第2の覆い部30を第1の覆い部29の一方の傾斜辺部27から折り曲げて絶縁部材24の周囲に巻き付ける。
【0018】
図2(d)に示すように、第2の覆い部30の先端部31を、第1の覆い部30の他方の傾斜辺部27に沿って配置し、その他方の傾斜辺部27に、溶接、ねじ止め、嵌め込み、およびかしめ等により固定する。
【0019】
このようにして、被覆体26は、絶縁部材24の全周に亘って巻き付けられ、絶縁部材24の周囲を全周に亘って覆う。
【0020】
図1に示すように、被覆体26は、一方の支持部材22に取り付けられるために電気的に接続されているが、他方の支持部材23とは離反されていて絶縁されている。
【0021】
被覆体26は、一方の支持部材22に取り付ける側に対して反対側が絶縁部材24の表面から離反され、そこに隙間32が形成されている。
【0022】
そして、X線イメージ管10の製造工程において、発生した飛散物が絶縁部材24に付着するのを被覆体26により抑制する。このとき、被覆体26は、絶縁部材24の全周に亘って巻き付けられているため、飛散物が絶縁部材24に付着するのを確実に抑制することができる。
【0023】
飛散物は真空外囲器11内のいろいろな方向から絶縁部材24へ向けて飛散してくるが、被覆体26と絶縁部材24との間の隙間32の奥までは到達することがなく、その隙間32内において絶縁部材24の表面に飛散物が付着するのを確実に防止できる。
【0024】
したがって、絶縁部材24の絶縁性能の低下を防止でき、市場において安定した性能を有するX線イメージ管10を提供することができる。
【0025】
また、被覆体26は、支持手段21に組み込む際に、絶縁部材24の全周に亘って巻き付ける構造を採ることにより、もともとの部品形状を簡素化させ、部品製造時の工程数や工数の増加を抑制し、製造コストを抑え、安価な部品を作りだすことで、市場において安定した性能を有するX線イメージ管10を安価に提供することができる。
【0026】
また、被覆体26は、その大きさを定率で拡大や縮小させることで、様々な大きさの支持手段21に組み込むことが可能となり、設計面においても簡易な構造と高い汎用性を有することで、市場において安定した性能を有するX線イメージ管10を安価に提供することができる。
【0027】
なお、被覆体26は、中心に孔を有する笠状に形成し、その孔に一方の支持部材22を通して絶縁部材24の周囲を全周に亘って覆うように構成してもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
10 X線イメージ管
11 真空外囲器
12 入力部
13 出力部
14 入力面
15 出力面
19 電極
21 支持手段
22,23 支持部材
24 絶縁部材
26 被覆体
32 隙間
図1
図2
図3