【解決手段】レバー式コネクタ1は、ハウジング10に取り付けられ、弾性により変位するカバー側係止部43(44)を背面41aに有するワイヤカバー40と、ワイヤカバー40に回転可能に軸支されるレバー50と、を備える。レバー50のロック部60は、レバー50の連結部52からワイヤカバー40の背面41aに向けて形成される弾性アーム62と、カバー側係止部43(44)と互いに係止されることでレバー50の動作をロックするレバー側係止部64と、押し込み操作がなされることでロックを解除し、弾性アーム62に設けられる操作部63a,63bと、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第1実施形態]
レバー式コネクタ1は、
図1〜
図3に示すように、第1ハウジング20と第2ハウジング30とからなるハウジング10と、ハウジング10の背面側に取り付けられたワイヤカバー40と、ワイヤカバー40に正転及び逆転が可能に軸支されたレバー50とを備えている。
なお、レバー式コネクタ1において、
図1に示す長さ方向Xにおいて、
図1の右側にある部分を前と、また、左側にある部分を後と定義し、
図1に示すZ方向において、ワイヤカバー40が装着される側を電線引き出し側と、また、電線引き出し側と対向する側を嵌合側と定義する。さらに、レバー50について、仮係止位置(
図1(b))から嵌合係止位置(
図1(a))に向けて回転することを正転、その逆に、嵌合係止位置(
図1(a))から仮係止位置(
図1(b))に向けて回転することを逆転と定義する。
【0016】
[第1ハウジング20]
第1ハウジング20は、
図2及び
図3に示すように、大部分が第2ハウジング30に収容、保持されており、図示しない複数のメス型コンタクトを収容するとともに保持するキャビティを備えている。
第1ハウジング20は、樹脂からなり、例えば射出成形により一体的に成形される。後述する第2ハウジング30、ワイヤカバー40およびレバー50も同様である。
【0017】
[第2ハウジング30]
第2ハウジング30は、幅方向Yの両側(
図2の左右両側)にスライダ収容溝32,32が形成されている。そして、各々のスライダ収容溝32,32の内部には、スライダ33が仮係止位置と嵌合係止位置との間を、長さ方向Xに移動することができるように収容されている。
スライダ33は、
図3に示すように、平板状に形成され、長さ方向Xに沿って延びている。スライダ33には、相手コネクタに設けられたカムピンの引き込み及び押し出しを行なう2つのカム溝33a,33aが概ね長さ方向Xに沿って設けられている。
また、スライダ33には、レバー50のピニオン55と噛み合うラック34が引き出し側に向けて形成されている。
【0018】
[ワイヤカバー40]
ワイヤカバー40は、第1ハウジング20に保持される複数のメス型コンタクトに接続されている複数本の電線(図示しない)を覆うカバー本体41を具備する。これらの電線は束ねられた状態でカバー本体41の前方に設けられる引き出し口42から外部に引き出される。
ワイヤカバー40は、引き出し側において第2ハウジング30に取り付けられる。
カバー本体41には、
図3には片側のみ示されているが、幅方向Yの両側に、レバー50の支点孔53を介してレバー50を回転可能に支持する支点軸47が形成されている。
また、カバー本体41は、その背面41aに、レバー50が嵌合係止位置から仮係止位置に向けて回転するのを阻止する第1係止部(カバー側第1係止部)43と、レバー50が仮係止位置から嵌合係止位置に向けて回転するのを阻止する第2係止部(カバー側第2係止部)44が設けられている。第2係止部44は、第1係止部43に対し、レバー50の回転方向に間隔を空けて配置される。
第1係止部43は、固定端が後側に設けられる梁状の形態を有しており、
図1(b)に示すように、前方に位置する先端に係止突起45を備えている。一方、第2係止部44は、固定端が前方に設けられる梁状の形態を有しており、
図1(a)に示すように、後方に位置する先端に係止突起46を備えている。第1係止部43および第2係止部44は、ともに弾性により変位する。
第1係止部43と第2係止部44は、後述するレバー50の係止部64とロック機構を形成し、レバー50の回転を規制する。
係止突起45と係止突起46は、
図4(b)及び
図5(b)に示すように、向きは異なるものの、類似する寸法及び形状を有している。
また、カバー本体41は、前端に、平板状のストッパ48が前方に向けて突出するように設けられている。ストッパ48は、レバー50が嵌合係止位置を越えてさらに押し込まれないように、レバー50を支持する。
さらにカバー本体41の背面41aには、複数の保護板49が、第1係止部43および第2係止部44をそれぞれ間に挟むように立設されている。保護板49は、電線が係止突起46に引っかかって係止突起45,46が破損するのを防止する。
【0019】
[レバー50]
レバー50は、
図1、
図4及び
図5に示すように、幅方向Yに並ぶ一対の側板51,51と、その先端において一対の側板51,51を繋ぐ連結部52と、備えており、ほぼU字状の形態をなしている。
各々の側板51,51には、ワイヤカバー40の支点軸47が挿入されることでレバー50を支持する支点孔53が形成されている。支点孔53は側板51の厚さ方向を貫通して形成されている。
また、各々側板51,51の支点孔53の周囲には、スライダ33に設けられたラック34と噛み合うピニオン55が形成されている。
レバー50およびスライダ33は倍力機構として作用するもので、レバー50を正転・逆転すると、
図3(a),(b)に示すように、スライダ33が長さ方向Xに往復移動する。これにより、レバー式コネクタ1が相手側コネクタと嵌合し又は嵌合を解除することができる。
【0020】
連結部52は、内側面52aに、ロックアーム(ロック部)60と、ロックアーム60を挟む両側に一対の保護板69a,69b(
図2(b)参照)とが設けられている。
ロックアーム60は、レバー50をワイヤカバー40に係止する機能と、この係止を解除する機能の二つの機能を兼ね備える。ロックアーム60は、連結部52に片持ち梁状に設けられ、連結部52からワイヤカバー40の背面41aに向けて形成される弾性アーム62と、弾性アーム62の先端に設けられる機能ヘッド61と、を備えている。機能ヘッド61は、操作部63a,63bと、係止部(レバー側係止部)64と、を備えている。
【0021】
レバー50のロックを解除する際、操作部63a,63bは作業者によって押し込まれ、操作される。操作部63aと操作部63bは、弾性アーム62を中心にして互いに対称の位置に設けられ、レバー50の回転方向に沿って設けられている。
そして、レバー式コネクタ1が相手側コネクタと相互に嵌合され、レバー50が嵌合係止位置に置かれていると、
図4に示すように、操作部63bは、機能ヘッド61によって隠れてしまう。しかし、操作部63aは周囲が開放されているので、作業者は操作部63aを図中の下向きに押し込む操作を行うことができる。一方、レバー式コネクタ1が相手側コネクタとの嵌合が解除され、レバー50が仮係止位置に置かれていると、
図5に示すように、操作部63aは、機能ヘッド61によって隠れてしまう。しかし、操作部63bは周囲が開放されているので、作業者は操作部63bを後方(図中の左向き)に押し込む操作を行うことができる。
【0022】
弾性アーム62は、レバー50が嵌合係止位置及び仮係止位置において、不必要にロックが解除されず、かつ、作業者がロックを解除する際に操作部63a,63bを無理なく押し込めることを考慮して、その弾性力が設定される。
【0023】
係止部64は、レバー50とワイヤカバー40の係止を担い、
図4及び
図5に示すように、嵌合係止に係る係止溝(レバー側第1係止部)65aと仮係止に係る係止溝(レバー側第2係止部)65bを備えている。
係止溝65aと係止溝65bは、鏡面対称の形状をなしており、仕切り壁67を挟む対称の位置であって、レバー50の回転方向に並んで形成されている。仕切り壁67は、係止溝65a,65bの一部を担っている。仕切り壁67は、レバー50が正転又は逆転する際、ワイヤカバー40の背面41aに沿って、回転軌跡Tを移動する(
図4(a)、
図5(a))。
【0024】
また、係止溝65aは、
図4(b)に示すように、形状が係止突起45の先端の形状に類似し、係止溝65bは、
図5(b)に示すように、その形状が係止突起46の先端の形状に類似する。
【0025】
嵌合係止位置では、
図4に示すように、係止突起45の先端が係止溝65aに嵌ることで、レバー50はワイヤカバー40に係止される。また、仮係止位置では、
図5に示すように、係止突起46の先端が係止溝65bに挿入されることで、レバー50はワイヤカバー40に係止される。こうして、レバー50は、仮係止位置又は嵌合係止位置において、回転が規制される。
【0026】
保護板(69a,69b)は、電線が操作部63a,63bに引っかかって操作部63a,63bが誤作動又は破損するのを防止する。
【0027】
[作用・効果]
本実施形態に係るレバー式コネクタ1の作用及び効果について説明する。
相手コネクタと嵌合されているレバー式コネクタ1は、レバー50が嵌合係止位置(
図1(a))から仮係止位置(
図1(b))まで回転されることで、相手コネクタとの嵌合が解除される。
図4に示される嵌合係止位置において、レバー50のロックを解除するために、指先で操作部63aを下向きに押し込むと、係止突起45は後ろ向きに変位する。仕切り壁67の先端が係止突起45に干渉しないところまで操作部63aを押し込むと、係止突起45はレバー50の回転軌跡Tから外れる。そうすると、仕切り壁67は係止突起45を乗り越え、レバー50のロックが解除される。そして、レバー50は、保護板69が保護板49の内側を沿うように仮係止位置まで回転され、係止溝65bに係止突起46が嵌ることで係止され、レバー50は仮係止される。
【0028】
以上の嵌合係止位置におけるロック解除の操作において、操作部63aの押し込みを開始してからロックが解除されるまでの間、操作部63aに係止突起45は接しており、操作部63aと係止突起45の間にはスペースは生じない。また、操作部63aと係止突起45の境界は、操作部63aを押し込む向きから見ると、操作部63aが覆いかぶさることで、操作部63aの陰に隠れている。
したがって、レバー式コネクタ1は、ロック解除操作の際に、操作部63aを操作する指先が、操作部63aと係止突起45の間に入り込み、挟まれるおそれを回避できる。
【0029】
一方、レバー50は、仮係止位置では、係止突起46が係止溝65bに嵌り、係止突起46により仕切り壁67の回転が規制されることでロックされている。
図5に示される仮係止位置において、レバー50のロックを解除するために、指先で操作部63bを後ろ向きに押し込むと、係止突起46は下向きに変位する。仕切り壁67の先端が係止突起46に干渉しないところまで操作部63bを押し込み、レバー50を正転させると、仕切り壁67は係止突起46を乗り越え、レバー50のロックが解除される。
【0030】
仮係止位置におけるロック解除の操作において、操作部63bの押し込みを開始してからロックが解除されるまでの間、操作部63bと係止突起46の間にはスペースは生じず、その境界は、操作部63bを押し込む向きから見ると、操作部63bの陰に隠れる。
したがって、レバー式コネクタ1は、仮係止位置においても、嵌合係止位置のロック解除操作と同様に、操作部63bと係止突起46の間に指先が挟まれるおそれを回避できる。
【0031】
ロックアーム60(弾性アーム62)は、連結部52に片持ち梁状に設けられているため、連結部52と接続している箇所を固定端として、弾性アーム62を撓ませた場合、弾性アーム62の先端の変位量が最も大きい。さらに、弾性アーム62の先端は固定端から距離が最も離れているため、この先端を押し込めば、同じ変位量を撓ませるのに必要な操作力は最も小さくて済む。そのため、操作部63a,63bを、弾性アーム62の先端に設けることで、効率よくレバー50のロックを解除できる。
【0032】
レバー式コネクタ1におけるレバー50の仮係止位置と嵌合係止位置を入れ替えて、レバー50の操作方向を反転させた場合、仮係止位置と嵌合係止位置でレバーをロックした際の操作感が異なると、作業者は違和感を受ける。
本実施形態に係るレバー式コネクタ1は、係止突起45の先端の形状と第1係止溝65の形状、および係止突起46の先端の形状と第2係止溝66の形状は、それぞれ類似するため、レバー50をロックした際に受ける操作感を、仮係止位置および嵌合係止位置で同じにすることができる。嵌合係止位置と仮係止位置でのロック操作の操作感が同じにすることで、レバー50の嵌合係止位置および仮係止位置を反転したとしても、作業者は違和感を受けずにロック操作をすることができる。
なお、レバー50の操作方向を反転させる場合、スライダはカム溝の傾斜方向を反転させたものに取り換えられる。
【0033】
[第2実施形態]
第1実施形態で述べたロックアーム(ロック部)60は、レバー50をワイヤカバー40に係止する機能と、この係止を解除する機能の二つの機能を兼ね備えていた。
本実施形態におけるレバー式コネクタ3のレバー70のロック部700は、係止する機能と係止を解除する機能が各々独立して有する点で第1実施形態と相違する。
以下、本実施形態を
図6〜
図9を参照して、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様な構成は同じ符号を付し、説明を省略する。
レバー式コネクタ3のレバー70は、
図6及び
図7に示すように、連結部52にロック部700を備えている。ロック部700は、操作アーム70a,70bと、係止部74a,74bを備えている。
操作アーム70aは連結部52に片持ち梁状に設けられ、弾性アーム72aと、弾性アーム72aの先端に設けられている操作部73aと、を備える。なお、操作アーム70bも同様な構成をとる。
弾性アーム72aは連結部52の上面に、弾性アーム72bは連結部52の下面にそれぞれ連結されている。また、弾性アーム72bは、弾性アーム72aに対し回転方向に間隔を空けて設けられている。
操作部73aは弾性アーム72aの先端の上面に、操作部73bは弾性アーム72bの先端の下面にそれぞれ形成されている。
操作アーム70aは、
図8に示すように、嵌合係止位置において、弾性アーム72aの先端が第1係止突起45の傾斜部45bと接するように形成されている。一方、操作アーム70bは、
図9に示すように、仮係止位置において、弾性アーム72bの先端が係止突起46の傾斜部46bと接するように形成されている。
【0034】
保護板69a,69bの内側面には、係止部74a,74bが設けられている。保護板69a,69bは、幅方向Yにおいて、操作アーム70a,70bと所定の間隔をあけて設けられている。そのため、係止部74a,74bは、操作部73a,73bに対して、レバー50の回転軸方向にオフセットした位置に設けられている。
係止部74aは、支持壁75aと支持壁75aの先端に形成される突起76aを備えている。突起76aは、ワイヤカバー40に向って突出するように形成されている。なお、係止部74bは、係止部74aと同様な構成をとり、支持壁75bと、ワイヤカバー40に向って突出する突起76bを備えている。
レバー50は、嵌合係止位置において、突起76a,76bの上面77a,77b(レバー側第1係止部)が係止突起45に係止されることで、ロックされる。一方、レバー50は、仮係止位置において、突起76a,76bの下面78a,78b(レバー側第2係止部)が係止突起46に係止されることで、ロックされる。
また、係止突起45がロックされる部分の形状と係止突起46がロックされる部分の形状は、類似する。
なお、支持壁75a,76bの肉厚は弾性アーム72と比較して、厚く設定されている。
【0035】
以上より、レバー式コネクタ3は、嵌合係止位置では、第1係止突起45は弾性アーム72aに設けられた操作部73aと、操作部73aとオフセットした位置に設けられた突起76a,76bにより挟まれ、仮係止位置では、第2係止突起46は弾性アーム72bに設けられた操作部73bと突起76a,76bにより挟まれる構成をとる。
【0036】
[作用・効果]
係止する機能と係止を解除する機能が各々独立して有するロック部700を、レバー70に設けることにより第2実施形態は、以下の作用、効果を奏する。
レバー式コネクタ3は、レバー70が嵌合係止位置(
図6(a))から仮係止位置(
図6(b))まで回転されることで、相手コネクタとの嵌合が解除される。
図8に示される嵌合係止位置において、レバー70のロックを解除するために、指先で操作部73aを押し込むと、係止突起45は後ろ側(図面左側)に変位する。そうすると、突起76a,76bは係止突起45を乗り越え、レバー70のロックは解除される。この際、操作アーム70aが変位しても、操作アーム70aは係止部74a,74bと直接的に干渉しない。
また、操作部73aと係止突起45は、ロックが解除されるまで接し、操作部73a係止突起45の間にスペースは生じない。また、操作部73aと係止突起45の境界は、操作部73aを押し込む向きから見ると、操作部73aの陰に隠れている。
一方、仮係止位置でロックを解除する場合、
図9に示すように、指先で操作部73bを押し込むと、係止突起45は下向きに変位する。そうすると、突起76a,76bは係止突起46を乗り越え、レバー70のロックが解除される。この場合も、操作アーム70bは係止部74と直接に干渉せず、操作部73aと係止突起45との間にはスペースを生じない。
以上より、第1実施形態と同様に、ロック解除の操作において、指先が操作部73aと係止突起45の間に挟まれるおそれを回避できる。
【0037】
また、本実施形態では、突起76a,76bを備える係止部74a,74bは、操作部73a,73bと独立して設けられている。そのため、突起76a,76bに連なる支持壁75a,75bは、第1実施形態で係止部64を支持していた弾性アーム62よりも、高さ方向Zに厚く形成させることができる。そのため、嵌合係止位置および仮係止位置のロック状態において、レバー70がワイヤカバー40を保持する力を大きくできる。
【0038】
さらに、本実施形態では、係止突起45がロックされる部分の形状と係止突起46がロックされる部分の形状は類似するため、レバー70をロックした際に受ける操作感を、仮係止位置および嵌合係止位置でほぼ同じにすることができる。
【0039】
[第3実施形態]
本実施形態では、操作部83a,83bの前後に空間を設けるために、本実施形態の弾性アーム82a,82bは、第2実施形態のレバー70の弾性アーム72a,72bを延長させ、かつ断面がUの字状となるように折り曲げたものに相当するように形成されている。
以下、本実施形態を
図10〜13を参照して、第2実施形態との相違点を中心に述べる。
本実施形態のレバー式コネクタ5のレバー80は、
図10及び
図11に示すように、ロック部800を備える。ロック部800は、操作アーム80a,80bと、係止部84a,84bを備えている。
操作アーム80aは、弾性アーム82aと、弾性アーム82aの先端に設けられている操作部83aと、を備える。なお、操作アーム80bも同様な構成をとる。
弾性アーム82a,82bは、
図12に示すように、連結部52からワイヤカバー40に向って延び、かつ連結部52側に反転させ、操作部83a,83bがワイヤカバー40と連結部52のほぼ中間に位置するように形成されている。そのため、操作部83a,83bの前後は開放されている。また、弾性アーム82a,82bの高さ方向Zにおける間隔は、第2実施形態における弾性アーム72a,72bと比べて、狭くなるよう形成されている。
なお、弾性アーム82a,82bは、折り曲げることで湾曲部(折り返し部)87a,87bが形成されている。湾曲部87bは、長さ方向Xにおいて、湾曲部87aよりも連結部52側に後退して形成されている。
操作部83a,83bをワイヤカバー40と連結部52のほぼ中間に設けることで、保護板69a,69bと弾性アーム82a,82bとの間に隙間が生じる。その隙間には、支持壁85a,85bが形成され、第2実施形態の支持壁75a,75bと比べると、支持壁85a,85bは高さ方向Zにおいて、肉厚が厚く形成されている。
【0040】
嵌合係止位置において、レバー80は、突起86a,86bが係止突起45に係止されることで、ロックされ、湾曲部87aの一部が係止突起45と接している。一方、仮係止位置では、突起86a,86bが係止突起46に係止されることで、レバー80はロックされ、湾曲部87bの一部が係止突起46と接している。
また、係止突起45がロックされる部分の形状と係止突起46がロックされる部分の形状は類似する。
【0041】
[作用・効果]
以上のように前後を開放される位置に操作部83a,83bを配置することで、第2実施形態で得られる効果に加え、第3実施形態は以下の効果を奏する。
レバー式コネクタ5は、レバー80が嵌合係止位置(
図10(a))から仮係止位置(
図10(b))まで回転されることで、相手コネクタとの嵌合が解除される。
図12に示されるレバー式コネクタ5は、嵌合係止位置において、指先で操作部83aを下向きに押し込むと、それに追従して湾曲部87aが下向きに変位し、係止突起45は後ろ方向に変位する。そうすると、ロックは解除され、レバー80は回転できる。
一方、仮係止位置において、操作部83bを後ろ向きに押し込むと、係止突起46は湾曲部87bにより、下向きに変位し、ロックが解除される。
第2実施形態では、操作部73は弾性アーム72の先端に形成され、ワイヤカバー40と近接した位置に設けられているため、ロックを解除する際、ワイヤカバー40の背面41aが障害となって、指先の先端でしか操作部73a,73bを押し込まなくてはいけない。
本実施形態では、操作部83a,83bの前後に空間があるため、ロックを解除する際、ワイヤカバー40は障害とならず、指先の腹で操作部83a,83bを押し込むことができる。そのため、操作部83a,83bの前後に空間を設けることで、第2実施形態と比べ、ロック解除の操作性を向上できる。
【0042】
また、ロック解除の操作において湾曲部87a,87bは、係止突起45,46と接しているため、弾性アーム82と係止突起45,46の間にスペースが生じない。さらに、指先で押し込むための操作部83a,83bは、湾曲部87a,87bと係止突起45,46の境界から離れた位置に設けられている。
そのため、第1実施形態および第2実施形態と同様に、ロックを解除する操作において、操作部83a,83bを操作する指先が、湾曲部87a,87bと係止突起45の間に入り込むおそれを回避できる。
【0043】
さらに、本実施形態では、係止突起45がロックされる部分の形状と係止突起46がロックされる部分の形状が類似するため、レバー80をロックした際に受ける操作感を、仮係止位置および嵌合係止位置でほぼ同じにすることができる。
【0044】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、本実施形態では、係止突起45,46を2つ設けたレバー式コネクタ1について述べたが、本発明は、係止突起45,46が片方だけ設けられているレバー式コネクタにも適用できる。
また、第1実施形態の機能ヘッド61は、嵌合係止に対応する係止溝65aと仮係止に対応する係止溝65bというように2つの係止溝が形成されているが、係止溝65aと係止溝65bを共通にして1つの係止溝で嵌合係止と仮係止の両方に対応することもできる。このように係止溝を形成した場合であっても、ロック解除操作の際に、操作部を操作する指先が、操作部と係止突起の間に挟まれるのを回避するという効果を享受できる。
さらに、第2実施形態では操作アーム70a,70bを挟む両側に係止部74a,74bを設けたが、片側だけに設けることもできる。ただし、両側に係止部74a,74bを設けた方が、レバー70は安定性が高い状態でワイヤカバー40を保持できる。なお、第3実施形態についても同様である。