【解決手段】モジュール用電源供給ユニットは、ケース本体11と、蓄電素子121と、正極配線16とを具備する。ケース本体11は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティ111と、回路素子122を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。蓄電素子121は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、回路素子122と電気的に接続されることが可能に構成され、第1のキャビティ111に配置されている。正極配線16は、上記正極と第2のキャビティ112とを電気的に接続する。
絶縁性材料からなり、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、前記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有するケース本体と、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとを電気的に接続する正極配線と
を具備するケース。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るモジュール用電源供給ユニットは、ケース本体と、蓄電素子と、正極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され上記第1のキャビティに配置されている。
上記正極配線は、上記正極と上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0013】
この構成によれば、蓄電素子と第2のキャビティを接続する正極配線が設けられているため、第2のキャビティに回路素子を配置した場合において、蓄電素子の正極と回路素子を接続する配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の正極と回路素子を接続する構成に比較してモジュール用電源供給ユニットに設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0014】
上記モジュール用電源供給ユニットは、さらに、導電性材料からなり、上記第1のキャビティ内において上記正極配線を被覆し、上記正極配線と上記正極とを電気的に接続する保護層を具備してもよい。
【0015】
蓄電素子に含まれるイオン伝導体が正極配線に到達すると、正極配線が電解腐食され、電気的接続の遮断や抵抗の増大が発生するおそれがある。上記構成によれば、正極配線が保護層によって被覆されるため、イオン伝導体が正極配線に到達することが防止され、即ち電解腐食の発生を防止することが可能である。
【0016】
上記モジュール用電源供給ユニットは、さらに、上記負極と上記第2のキャビティとを電気的に接続する負極配線を具備してもよい。
【0017】
この構成によれば、正極配線に加え負極配線もモジュール内で完結するため、さらなる端子数の削減が可能である。
【0018】
上記正極配線は、上記第1のキャビティの底面である第1のキャビティ底面と、上記第2のキャビティの底面である第2のキャビティ底面の間に形成され、
上記第1のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域は、上記第2のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0019】
この構成によれば、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能である。これにより、正極配線に沿ってイオン伝導体が浸入した場合であっても、イオン伝導体の第2のキャビティへの到達を抑制することが可能となる。
【0020】
上記第1のキャビティ底面及び上記第2のキャビティ底面は平坦であり、上記第1のキャビティ底面は上記第2のキャビティ底面よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0021】
この構成によれば、第1のキャビティ底面及び第2のキャビティ底面が平坦である場合において、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0022】
上記第1のキャビティ底面には凹部が設けられており、上記正極配線は、上記凹部に接続されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、凹部によって、正極配線と第1のキャビティ底面の接続箇所をケース底面側に位置させることが可能であり、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0024】
本実施形態に係るケースは、ケース本体と、正極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、上記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有する。
上記正極配線は、上記第1のキャビティと上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0025】
この構成によれば、第1のキャビティと第2のキャビティを接続する正極配線が設けられているため、第1のキャビティに蓄電素子を配置し、第2のキャビティに回路素子を配置した場合において、両者の配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の正極と回路素子を接続する場合に比較してケースに設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0026】
上記ケースは、さらに、上記第1のキャビティと上記第2のキャビティとを電気的に接続する負極配線を具備してもよい。
【0027】
この構成によれば、正極配線に加え負極配線もモジュール内で完結するため、さらなる端子数の削減が可能である。
【0028】
上記正極配線は、上記第1のキャビティの底面である第1のキャビティ底面と、上記第2のキャビティの底面である第2のキャビティ底面の間に形成され、上記第1のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域は、上記第2のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0029】
この構成によれば、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能である。これにより、正極配線に沿ってイオン伝導体が浸入した場合であっても、イオン伝導体の第2のキャビティへの到達を抑制することが可能となる。
【0030】
上記第1のキャビティ底面及び上記第2のキャビティ底面は平坦であり、上記第1のキャビティ底面は上記第2のキャビティ底面よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0031】
この構成によれば、第1のキャビティ底面及び第2のキャビティ底面が平坦である場合において、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0032】
上記第1のキャビティ底面には凹部が設けられており、上記正極配線は、上記凹部に接続されていてもよい。
【0033】
この構成によれば、凹部によって、正極配線と第1のキャビティ底面の接続箇所をケース底面側に位置させることが可能であり、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0034】
本実施形態に係るモジュールは、ケース本体と、蓄電素子と、回路素子と、正極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと第2のキャビティとを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記第1のキャビティに配置されている。
上記回路素子は、上記記第2のキャビティに配置されている。
上記正極配線は、上記正極と上記回路素子とを電気的に接続する。
【0035】
この構成によれば、蓄電素子の正極と回路素子を接続する正極配線が設けられているため、この配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の正極と回路素子を接続する場合に比較してケースに設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0036】
上記モジュールは、さらに、導電性材料からなり、上記第1のキャビティ内において上記正極配線を被覆し、上記正極配線と上記正極とを電気的に接続する保護層を具備してもよい。
【0037】
蓄電素子に含まれるイオン伝導体が正極配線に到達すると、正極配線が電解腐食され、電気的接続の遮断や抵抗の増大が発生するおそれがある。上記構成によれば、正極配線が保護層によって被覆されるため、イオン伝導体が正極配線に到達することが防止され、即ち電解腐食の発生を防止することが可能である。
【0038】
上記モジュールは、さらに、上記負極と上記回路素子とを電気的に接続する負極配線を具備してもよい。
【0039】
この構成によれば、正極配線に加え負極配線もモジュール内で完結するため、さらなる端子数の削減が可能である。
【0040】
上記正極配線は、上記第1のキャビティの底面である第1のキャビティ底面と、上記第2のキャビティの底面である第2のキャビティ底面の間に形成され、上記第1のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域は、上記第2のキャビティ底面のうち上記正極配線が接続されている領域よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0041】
この構成によれば、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能である。これにより、正極配線に沿ってイオン伝導体が浸入した場合であっても、イオン伝導体の第2のキャビティへの到達を抑制することが可能となる。
【0042】
上記第1のキャビティ底面及び上記第2のキャビティ底面は平坦であり、上記第1のキャビティ底面は上記第2のキャビティ底面よりも上記ケースの底面側に位置してもよい。
【0043】
この構成によれば、第1のキャビティ底面及び第2のキャビティ底面が平坦である場合において、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0044】
上記第1のキャビティ底面には凹部が設けられており、上記正極配線は、上記凹部に接続されていてもよい。
【0045】
この構成によれば、凹部によって、正極配線と第1のキャビティ底面の接続箇所をケース底面側に位置させることが可能であり、第2のキャビティ底面の直下でのケース本体の厚み方向における正極配線の長さを確保することが可能となる。
【0046】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るモジュールについて説明する。
【0047】
[モジュールの構成]
図1は、本実施形態に係るモジュール100の斜視図であり、
図2はモジュール100の平面図である。
図3はモジュール100のS11−S11線(
図1)に沿う断面図である。
図1乃至
図3に示すように、モジュール100は、ケース本体11、蓄電素子121、回路素子122、金属層13、シール部材14、リッド15、正極配線16、負極配線17及び正極保護層18を備える。なお、各図において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向を示し、Z軸方向はモジュールの厚み方向(上下方向)を示す。
【0048】
図2及び
図3に示すように、モジュール100では、ケース本体11に形成された第1のキャビティ111に蓄電素子121が配置され、第2のキャビティ112に回路素子122が配置されている。第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112はリッド15(第1のリッド151及び第2のリッド152)によって封止されている。第1のキャビティ111と第2のキャビティ112の間には正極配線16及び負極配線17が配設されている。正極配線16は正極保護層18によって蓄電素子121の正極と接続され、負極配線17は金属層13、シール部材14及びリッド151を介して蓄電素子121の負極と接続されている。
【0049】
本実施形態に係るモジュール100では、蓄電素子121が、正極配線16及び負極配線17を介して回路素子122に電源を供給することが可能である。例えば回路素子122はリアルタイムクロック(RTC)ICであり、蓄電素子121が当該RTCICのバックアップ電源として機能するものとすることができる。モジュール100の大きさや形状は特に限定されず、例えば直方体形状であるものとすることができる。
【0050】
(ケース本体)
図4は、ケース本体11、正極配線16及び負極配線17の構成を示す図であり、Aは平面図、Bは断面図である。ケース本体11は、第1のキャビティ111、第2のキャビティ112、底部113、外壁114、隔壁115を備え、底部113、外壁114及び隔壁115によって第1のキャビティ111、第2のキャビティ112が区画された構成を有する。本実施形態において、底部113は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の底部を構成し、外壁114は、底部113の外縁に沿う枠状に構成される。隔壁115は、外壁114の対向する2面にそれぞれ接続される。なお、以下では、ケース本体11において、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の開口が形成された面をケース開口面11a、その反対側の底面をケース底面11bとする。
【0051】
ケース本体11は、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)やLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックからなるものとすることができる。ケース本体11は、例えば
図4に示すような直方体形状に限定されず、円柱形状等、他の形状とすることも可能である。
【0052】
第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112は、ケース本体11のケース開口面11aに形成された凹部として構成され、底部113、外壁114及び隔壁115によって区画される。第1のキャビティ111は、金属層13とシール部材14とともに蓄電素子121が配置される液室を形成する(
図3参照)。以下、第1のキャビティ111の底面を第1のキャビティ底面111aとする。
【0053】
また、第2のキャビティ112は、金属層13と隔壁115とともに回路素子122が配置される空間を形成する(
図3参照)。以下、第2のキャビティ112の底面を第2のキャビティ底面112aとする。外壁114は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を囲み、隔壁115は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を隔てる。
【0054】
図5は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の一部を拡大した図である。なお、同図においては、正極配線16及び負極配線17は図示を省略する。同図に示すように、第1のキャビティ底面111aは第2のキャビティ底面112aに比較してケース底面11b側、即ちケース開口面11aからみて深い位置に位置する。同図において、第1のキャビティ底面111aと第2のキャビティ底面112aの位置の差を差分Dとして示す。
【0055】
(配線)
図6は正極配線16及び負極配線17を示す模式図である。正極配線16は、導電性材料からなり、底部113内において、第1のキャビティ底面111aと第2のキャビティ底面112aの間に形成されている。正極配線16は、正極保護層18を介して蓄電素子121の正極(後述)に電気的に接続され、かつ、回路素子122の正極に電気的に接続される。正極配線16の第1のキャビティ底面111a側の端部は、
図3に示すように正極保護層18によって被覆されている。
【0056】
また、上記のように第1のキャビティ底面111aは第2のキャビティ底面112aに比較してケース底面11b側に位置する。このため、
図6に示すように、正極配線16の第1のキャビティ底面111aに接続する端部は、第2のキャビティ底面112aに接続する端部よりケース底面11b側に位置する。これにより、第2のキャビティ底面112aの直下でのケース本体11の厚み方向(Z方向)における正極配線16の長さ(
図6中、長さL)を確保することが可能である。
【0057】
負極配線17は、導電性材料からなり、隔壁115内及び底部113内において、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aの間に形成されている。負極配線17は、金属層13、シール部材14、及びリッド15を介して蓄電素子121の負極(後述)に電気的に接続され、かつ、回路素子122の負極に電気的に接続される。なお、負極配線17は後述するように、必ずしもケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを直接に接続するものでなくてもよい。
【0058】
正極配線16と負極配線17は、
図3に示すように、ケース本体11の厚み方向(Z方向)に離間して形成されていてもよいが、厚み方向に垂直な方向(Y方向)に離間して形成されていてもよい。ケース本体11は例えばセラミック材料を積層して形成することが可能であるが、セラミック材料の同一階層に離間した配線パターンを印刷することにより、厚み方向に垂直な方向(Y方向)に離間した正極配線16と負極配線17を作成することが可能である。正極配線16と負極配線17が厚み方向(Z方向)に離間する場合に比べ、セラミック材料の積層数を低減することが可能であり、ケース本体11の低背化が可能である。
【0059】
(蓄電素子)
蓄電素子121は、イオン伝導体と共に第1のキャビティ111に配置される。
図7は、蓄電素子121を示す拡大図である。同図に示すように、蓄電素子121は、正極電極シート121a、負極電極シート121b及びセパレートシート121cからなるものとすることができる。
【0060】
正極電極シート121a及び負極電極シート121bは、活物質をシート状に形成したものである。活物質は例えば活性炭やPAS(Polyacenic Semiconductor:ポリアセン系有機半導体)である。正極電極シート121a及び負極電極シート121bは、上記活物質、導電助剤(例えばケッチェンブラック)及びバインダ(例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene))の混合物を圧延してシート状に形成し、それを裁断したものとすることができる。
【0061】
セパレートシート121aは、電極同士を電気的に絶縁するシートである。セパレートシート121cは、ガラス繊維、セルロール繊維、プラスチック繊維等からなる多孔質シートであるものとすることができる。
【0062】
正極電極シート121aは、正極保護層18を介して正極配線と電気的に接続される。負極電極シート121bは、リッド151と直接接触することによってリッド15に電気的に接続されてもよく、導電性接着材やロウ付け等によってリッド151に電気的に接続されてもよい。
【0063】
蓄電素子121の種類は特に限定されず、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の充放電が可能であり、かつイオン伝導体を利用する蓄電素子であればよい。イオン伝導体は液体又はゲル状とすることができ、その組成は特に限定されない。イオン導電体は、液体であった場合、電解液として構成され得る。
【0064】
(正極保護層)
正極保護層18は、第1のキャビティ底面111a上に配設され、第1のキャビティ底面111aにおいて正極配線16を被覆する。正極保護層18は、正極電極シート121aを第1第1のキャビティ底面111aに接着すると共に、正極電極シート121aと正極配線16とを電気的に接続するものとすることができる。また、正極保護層18は、正極配線16を被覆することにより、イオン伝導体が正極配線16に到達することを防止し、イオン伝導体による正極配線16の電解腐食を防止する。
【0065】
正極保護層18は、導電性接着剤からなり、例えば導電性粒子を含有する合成樹脂であるものとすることができる。導電性粒子は、化学的安定性が高いものが好適であり、例えばグラファイト粒子を利用することができる。合成樹脂は、イオン伝導体に対する膨潤性が小さく、耐熱性が高く、化学的安定性が高いものが好適であり、例えばフェノール樹脂を利用することができる。
【0066】
なお、正極保護層18は、正極配線16の保護と電気的接続を担うものあればよく、必ずしも正極電極シート121aを第1第1のキャビティ底面111aに接着するものでなくてもよい。この場合、正極保護層18は、金属等の導電性を有し、接着性を有しない材料からなるものとすることができる。例えば、正極保護層18はアルミ蒸着膜であってもよい。
【0067】
(回路素子)
回路素子122は、
図3に示すように、第2のキャビティ112に配置される。回路素子122は、正極配線16及び負極配線17を介して蓄電素子121に電気的に接続される。これにより、回路素子122は蓄電素子121から電源を供給されるものとすることができる。回路素子122は、本実施形態において、RTCIC等の集積回路や発振子を含む。これらの構成や配置は特に限定されない。また、回路素子122は、集積回路及び発振子のうちのいずれか一方であってもよいし、他の素子であってもよい。
【0068】
第2のキャビティの回路素子122が占める領域以外は、空気等の気体が封入されていてもよく、あるいは、樹脂等が埋設されていてもよい。また、回路素子122は、蓄電素子121と接続される以外にも、ケース本体11に設けられた端子(図示略)を介して、実装基板と接続されるものとすることができる。
【0069】
(金属層)
金属層13は、
図3に示すようにケース本体11のケース開口面11a上において、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に配設される。金属層13をケース本体11上に設けることにより、セラミックからなるケース本体11の上に、シール部材14やリッド15等の金属からなる部材を接合することが容易になる。
【0070】
金属層13は、
図3に示すように第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に一体に形成されてもよい。また、金属層13は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112のそれぞれの周囲に別々に配設されてもよい。
【0071】
金属層13は、ロウ材(金−銅合金等)等の金属材料からなるメタライズ層であるものとすることができる。これにより、シール部材14をケース本体11にロウ付け(接着)することが可能となる。
【0072】
また、金属層13は、メタライズ層に限定されず、シール部材14やリッド15を接合することが可能な金属材料からなる他の金属層であってもよい。このような他の金属層の一例としては、Niメッキや、Auメッキ等を含むメッキ層が挙げられる。あるいは、金属層13は、複数の金属層を有していてもよく、例えばメタライズ層とメッキ層とを有していてもよい。この場合に、メタライズ層上にメッキ層が配設されてもよく、あるいはメッキ層上にメタライズ層が配設されてもよい。また、ケース本体11の材質等に応じて、適宜金属層13を省略することも可能である。
【0073】
(シール部材)
シール部材14は、
図3に示すように、金属層13上に接合され、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に配設される。シール部材14は、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)等の導電性材料からなるシールリングとすることができる。このようなシール部材14を用いることで、リッド15とケース本体11との気密性を高めることができる。なお、シール部材14には、NiメッキやAuメッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0074】
シール部材14は、
図3に示すように、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に一体に接合されていてもよい。また、シール部材14は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112のそれぞれの周囲に別々に配設されてもよい。
【0075】
(リッド)
リッド15は、
図1乃至
図3に示すように、第1のキャビティ111を封止する第1のリッド151と、第2のキャビティ112を封止する第2のリッド152とを有する。リッド15は、例えば、各種金属等の導電性材料からなるものとすることができ、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)からなるものとすることができる。これにより、リッド15を蓄電素子121の導電経路として機能させることが可能となる。
【0076】
リッド15は、金属層13及びシール部材14を介してケース本体11に溶接される。リッド15の具体的な接合方法は特に限定されず、蓄電素子121や回路素子122の特性、または所望の気密性等に応じて適宜選択することができる。例えば、レーザ溶接法により、リッド15及びシール部材14を溶融させることで溶接することも可能であるし、抵抗溶接法を採用することもできる。あるいは、リフロー方式によるハンダ付け等によってリッド15とシール部材14とを接合してもよい。また、第1のリッド151及び第2のリッド152の接合は、同一の接合方法を採用してもよいし、異なる接合方法を採用してもよい。リッド15が溶接された場合は、金属層13、シール部材14及びリッド15が一体化してケース本体11に接合された構成となり得る。
【0077】
リッドの形状は平坦な形状に限定されず、溶接方法や、配置される蓄電素子、回路素子の構成等に応じて適宜採用することができる。例えば、周縁部に対して中央部が突出した形状とすることにより、厚みの大きい蓄電素子121や回路素子122をモジュール100に搭載することが可能となる。
【0078】
[モジュールの作用効果]
本実施形態に係るモジュール100は、蓄電素子121と回路素子122とが、それぞれ別個の第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112に配置される。これにより、蓄電素子121の液体又はゲル状のイオン伝導体が回路素子122側へ漏れることを防止することができる。したがって、これらの蓄電素子121及び回路素子122を同一モジュールに搭載することが可能となり、RTCIC等の電子デバイスの駆動モジュールとして好適に用いることが可能となる。
【0079】
また、蓄電素子121と回路素子122は、正極配線16及び負極配線17によってモジュール100内において接続されるため、実装基板を介して接続される必要がなく、モジュール100及び実装基板に配置する端子数を削減することが可能となる。
【0080】
さらに、正極配線16は正極保護層18によって被覆されており、正極配線16へのイオン伝導体の接触が防止されている。このため、正極配線16の電解腐食が発生せず、モジュール100は高い信頼性を有する。また、第2のキャビティ底面112aの直下でのケース本体11の厚み方向(Z方向)における正極配線16の長さが確保されているため(
図6参照)、仮に正極配線16に沿ってイオン伝導体が浸入したとしても、回路素子122へのイオン伝導体の到達を抑制することが可能である。
【0081】
上記のように、正極配線16と負極配線17はケース本体11の厚み方向に垂直な方向(Y方向)に離間して形成されていてもよいが、これにより、第2のキャビティ底面112aの直下でのケース本体11の厚み方向(Z方向)における正極配線16の長さを確保することも可能である。この場合も、仮に正極配線16に沿ってイオン伝導体が浸入したとしても、回路素子122へのイオン伝導体の到達を抑制することが可能である。
【0082】
[モジュール用電源供給ユニットの構成]
図8は、本実施形態に係るモジュール用電源供給ユニット10を示す断面図である。同図に示すようにモジュール用電源供給ユニット10は、ケース本体11、蓄電素子121、金属層131、シール部材141、リッド150、正極配線16、負極配線17及び正極保護層18を備える。なお、モジュール用電源供給ユニット10の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
ケース本体11は、上述のように、蓄電素子121が配置された第1のキャビティ111と、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。蓄電素子121は、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む。ケース本体11には、正極配線16及び負極配線17が配設され、蓄電素子121と第2のキャビティ112とを接続する。第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、正極配線16及び負極配線17を介して蓄電素子121と回路素子が接続される。
【0084】
金属層131は、ケース本体11のケース開口面11a上において、第1のキャビティ111の周囲に配設される。金属層131はロウ材(金−銅合金等)等の金属材料からなるメタライズ層であるものとすることができる。これにより、シール部材141をケース本体11にロウ付け(接着)することが可能となる。また、金属層131は、メタライズ層に限定されず、シール部材14やリッド15を接合することが可能な金属材料からなる他の金属層であってもよい。このような他の金属層の一例としては、Niメッキや、Auメッキ等を含むメッキ層が挙げられる。あるいは、金属層131は、複数の金属層を有していてもよく、例えばメタライズ層とメッキ層とを有していてもよい。この場合に、メタライズ層上にメッキ層が配設されてもよく、あるいはメッキ層上にメタライズ層が配設されてもよい。また、ケース本体11の材質等に応じて、適宜金属層131を省略することも可能である。
【0085】
シール部材141は、金属層131上に接合され、第1のキャビティ111の周囲に配設される。金属材料からなる。シール部材141は、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)等の導電性材料からなるシールリングとすることができる。このようなシール部材141を用いることで、リッド15とケース本体11との気密性を高めることができる。なお、シール部材14には、NiメッキやAuメッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0086】
リッド150は、第1のキャビティ111を封止する。リッド150は例えば、各種金属等の導電性材料からなるものとすることができ、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)からなるものとすることができる。これにより、リッド150を蓄電素子121の導電経路として機能させることが可能となる。
【0087】
リッド150は、金属層131及びシール部材141を介してケース本体11に溶接される。リッド150の具体的な接合方法は特に限定されず、蓄電素子121や回路素子の特性、または所望の気密性等に応じて適宜選択することができる。リッド150が溶接された場合は、金属層131、シール部材141及びリッド150が一体化してケース本体11に接合された構成となり得る。
【0088】
正極配線16は、第1のキャビティ底面111aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。正極配線16は、正極保護層18を介して蓄電素子121の正極に電気的に接続されており、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の正極と接続される。正極配線16の第1のキャビティ底面111a側の端部は、正極保護層18によって被覆され、イオン伝導体による電解腐食から保護されている。
【0089】
負極配線17は、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。負極配線17は、金属層13、シール部材14及びリッド15を介して蓄電素子121の負極に電気的に接続されており、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の負極に電気的に接続される。
【0090】
なお、金属層131及びシール部材141は、第1のキャビティ111の周囲に形成されるとしたが、第2のキャビティ112の周囲にも形成されていてもよい。
【0091】
[モジュール用電源供給ユニットの作用効果]
上記構成を有するモジュール用電源供給ユニット10は、第2のキャビティ112に回路素子を配置し、リッドで封止することにより、モジュール100として機能させることが可能となる。即ち、モジュール用電源供給ユニット10を利用することにより、端子数の削減や正極配線16の電解腐食の防止効果を得ることが可能なモジュール100を提供することができる。
【0092】
[ケースの構成]
図9はケース110の構成を示す断面図である。同図に示すようにケース110は、ケース本体11、正極配線16及び負極配線17を備える。ケース本体11は、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティ111と、蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。なお、ケース110の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
正極配線16は、第1のキャビティ底面111aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。正極配線16は、第1のキャビティ111に蓄電素子が配置されると、蓄電素子の正極と接続され、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の正極と接続される。正極配線16の第1のキャビティ底面111a側の端部は、正極接着層によって被覆されることにより、イオン伝導体による電解腐食から保護される。
【0094】
負極配線17は、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。負極配線17は、第1のキャビティ111に蓄電素子が配置されると、蓄電素子の負極に電気的に接続され、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の負極に電気的に接続される。
【0095】
[ケースの作用効果]
ケース110は、第1のキャビティ111に蓄電素子を、第2のキャビティ112に回路素子を、それぞれ配置し、かつ第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112をリッドで封止することにより、モジュール100として機能させることが可能となる。即ち、ケース110を利用することにより、端子数の削減や正極配線16の電解腐食の防止効果を得ることが可能なモジュール100を提供することができる。
【0096】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係るモジュールについて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態に係るモジュール100と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0097】
図10は、本実施形態に係るモジュール200の断面図である。同図に示すように、モジュール200においては、第1のキャビティ底面111aに凹部11cが形成されている。
図11は、凹部11cを示す拡大図である。なお、
図11においては、正極配線16及び負極配線17は図示を省略する。
図11に示すように、凹部11cは、蓄電素子121の底面より小さく、同底面の一部領域とのみ対向する。
図11に示すように、凹部11cによって、第1のキャビティ底面111a(ここでは、凹部11cの底面)と第2のキャビティ底面112aの差分Dが形成されている。
【0098】
正極配線16は、
図10に示すように、凹部11cの底面に接続される。正極配線16が凹部11cの底面に接続されることによって、第2のキャビティ底面112aの直下でのケース本体11の厚み方向(Z方向)における正極配線16の長さL(
図6参照)を確保することが可能である。
【0099】
正極保護層18は凹部11cの内部及びその周囲に配設されている。これにより、正極保護層18が蓄電素子121によって押圧された場合であっても正極保護層18が凹部11c内に貯留され、正極配線16の確実な保護が可能である。
【0100】
本実施形態に係るモジュール200は以上のような構成を有する。なお、モジュール用電源供給ユニット及びケースの構成については、凹部11cが設けられている点の他は第1の実施形態と同様である。
【0101】
本実施形態に係るモジュール200においても、正極配線16のための端子をモジュール100及び実装基板に配置する必要がなく、端子数の削減が可能であると共に、正極配線16の電解腐食からの保護が可能である。
【0102】
[変形例]
図12は、本発明の変形例に係るモジュール300の構成を示す模式図である。なお、モジュール300の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。同図に示すように負極配線は、ケース開口面11aとケース底面11bとを接続する第1の負極配線部分317aと、第2のキャビティ底面112aとケース底面11bとを接続する第2の負極配線部分317bからなるものであってもよい。なお、第1の負極配線部分317aは隔壁115内に設けられてもよい。第1の負極配線部分317aと第2の負極配線部分317bは直接に接続されないが、モジュール100が実装される実装基板に設けられた端子と接続され、実装基板を介して接続されるものとすることができる。
【0103】
この構成においては、第1の負極配線部分317a及び第2の負極配線部分317bが接続される端子をケース底面11bに設ける必要があるものの、正極配線16のための端子はケース底面11bに配設する必要がなく、端子数の削減が可能である。なお、この変形例はモジュール用電源供給ユニット及びケースについて適用することが可能であり、第2の実施形態に適用することも可能である。
【0104】
図13は、本発明の別の変形例に係るモジュール400の構成を示す模式図である。なお、モジュール400の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。同図に示すようにモジュール400は、部分的にケース底面11b上に配設された正極配線416を有していてもよい。
【0105】
この構成によれば、第1のキャビティ111から正極配線416に電解液が侵入した場合、正極配線416がケース内部から外部に一旦出ることにより、第2のキャビティ112にイオン伝導体が侵入せず、回路素子112をイオン伝導体から保護することが可能である。なお、この変形例はモジュール用電源供給ユニット及びケースについて適用することが可能であり、第2の実施形態に適用することも可能である。
【0106】
図14は、本発明のさらに別の変形例に係るモジュール500の構成を示す模式図である。なお、モジュール500の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。同図に示すようにモジュール500は、独立した複数の正極配線516を有していてもよい。各正極配線516は互いに離間し、それぞれが蓄電素子121の正極と回路素子122の正極に接続されている。正極配線516の数は2本以上であってもよい。なお、各正極配線516は厚み方向に垂直な方向(Y方向)に離間して形成されていてもよく、各正極配線516と負極配線17も厚み方向に垂直な方向(Y方向)に離間して形成されていてもよい。
【0107】
この構成によれば、複数の正極配線516の一つがイオン伝導体による電解腐食によって断線しても、他の正極配線516によって蓄電素子121と回路素子122の正極間の接続が維持され、蓄電素子121から回路素子122への電流供給を確保することが可能である。なお、この変形例はモジュール用電源供給ユニット及びケースについて適用することが可能であり、第2の実施形態に適用することも可能である。