【解決手段】基板の上方の層間絶縁膜61上に形成した電極パッド81とヒューズ82を覆い、電極パッド81上方における膜厚が層間絶縁膜61上方における膜厚より薄くなるように第1の絶縁膜85を形成した後、第1の絶縁膜85の上方にレジスト膜88を形成し、レジスト膜88をマスクにして電極パッド81を露出させる第1の開口部90Aと、ヒューズ82上方の第1の絶縁膜85の少なくとも一部を除去した第2の開口部90Bを同時に形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ヒューズ上の開口部を小さくするとヒューズのサイズや形状の設計自由度が小さくなる。そこで、ヒューズを覆う絶縁膜を除去してヒューズを露出させる工程の開発が望まれていた。ここで、ヒューズを露出させる場合のプロセスの一例について以下に説明する。
【0006】
例えば、
図3Aに示すように、絶縁膜201上に電極パッド202とヒューズ203をパターニングした後、電極パッド202及びヒューズ203を覆うように絶縁膜204とパッシベーション膜205を順番に積層する。その後、
図3Bに示すように、レジスト膜206をマスクにしてパッシベーション膜205と絶縁膜204をパターニングし、電極パッド202及びヒューズ203を露出させる。このとき、電極パッド202を露出させるエッチングプロセスは、電極パッド202を覆う絶縁膜204をオーバーエッチングする条件で実行される。このために、ヒューズ203の周囲の絶縁膜201がオーバーエッチングされ、ヒューズ203の周囲の絶縁膜201に溝207が形成される。続いて、
図3Cに示すように、絶縁膜208及びパッシベーション膜209を積層してヒューズ203を保護する。このとき、電極パッド202が絶縁膜208及びパッシベーション膜209で覆われるので、ヒューズ203を覆うレジストパターン210を形成し、エッチングによって電極パッド202上の絶縁膜208及びパッシベーション膜209を除去し、電極パッド202を露出させる開口部211を形成する。このようなプロセスを採用することで、ヒューズの開口部を小さくする必要がなくなり、ヒューズの設計自由度が向上する。
【0007】
しかしながら、ヒューズ203を覆うレジストパターン210で電極パッド202に開口部211を形成した後、レジストパターン210を剥離するときに、
図3Eに示すように、ヒューズ203の周囲の絶縁膜201の溝207に入り込んだレジスト材料210Aが一部残ることがあった。溝207内にレジスト材料210Aが残っていると、レーザでヒューズ203をトリミングしたときに、レジスト材料210Aがレーザによって飛散し、半導体装置の表面を汚染し易くなる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヒューズの側部の絶縁膜のオーバーエッチングをなくし、レジスト膜の残留を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一観点によれば、基板の上方に形成した多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に電極パッド及びヒューズを形成し、前記層間絶縁膜及び前記電極パッド並びに前記ヒューズの上方に、前記ヒューズの側部の前記層間絶縁膜上方における膜厚が前記電極パッド上方における膜厚より厚い絶縁膜を形成し、前記絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と、前記ヒューズ上方の前記絶縁膜の少なくとも一部を除去した第2の開口部とを同時に形成する開口工程を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
また、実施形態の別の観点によれば、基板と、前記基板の上方に形成された多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に配置された電極パッド及びヒューズと、前記層間絶縁膜の上方に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に形成され、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と、前記絶縁膜に形成され、底部の高さが前記ヒューズの底面より高い第2の開口部と、を含むことを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
電極パッドを露出する第1の開口部を形成するときに第2の開口部が深くなり過ぎてヒューズの側部に深い溝が形成されることが防止される。レジスト膜の残留による半導体装置の表面汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【
図1D】
図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【
図1E】
図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【
図1F】
図1Fは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その6)である。
【
図1G】
図1Gは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その7)である。
【
図1H】
図1Hは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その8)である。
【
図1I】
図1Iは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その9)である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【
図2C】
図2Cは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【
図2D】
図2Dは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【
図2E】
図2Eは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【
図3A】
図3Aは、従来例に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その1)である。
【
図3B】
図3Bは、従来例に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その2)である。
【
図3C】
図3Cは、従来例に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その3)である。
【
図3D】
図3Dは、本従来例に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その4)である。
【
図3E】
図3Eは、従来例に係る半導体装置の製造工程の一例を示す断面図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の目的及び利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素及び組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、典型例及び説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、
図1Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
図1Aに示すように、シリコンなどのウェハ(半導体基板)1に、素子分離領域2を複数形成する。素子分離領域2には、例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)を使用する。STIは、基板1の素子分離領域に溝を形成し、その中にシリコン酸化等の絶縁膜を埋め込むことにより形成される。なお、素子分離領域2は、STIに限られず、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法で形成した絶縁膜を使用しても良い。
【0014】
次いで、基板1の表面に不純物をイオン注入し、ウェル11,12を形成する。例えば、素子領域にドーパント不純物としてn型不純物、例えばリンを導入すると、nウェル11が形成される。また、p型不純物、例えばボロンを導入すると、pウェル12が形成される。
【0015】
この後、基板1上のトランジスタ活性領域の表面を熱酸化させてゲート絶縁膜13を形成する。ゲート絶縁膜13は、熱酸化によるシリコン酸化膜であり、その厚さは例えば1〜10nmである。また、ゲート絶縁膜13は、誘電率の高い材料で形成しても良い。
【0016】
この後、基板1の全面に、非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成する。シリコン膜の膜厚は、例えば約100nmとする。シリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極14が形成される。ここで、ゲート電極14は、金属材料から形成しても良い。
【0017】
続いて、ゲート電極14をマスクにしたイオン注入により、ゲート電極14の両側にp型不純物、例えばボロンを導入して、エクステンションソース/ドレイン領域の浅い領域を構成するソース/ドレインエクステンション15を形成する。この後に、ゲート電極14を含む基板1の上側全面に絶縁膜を形成する。絶縁膜としては、例えばCVD法により形成された酸化シリコン膜が用いられる。そして、絶縁膜をエッチバックしてゲート電極14の両側部分のみを残し、絶縁性サイドウォール17を形成する。
【0018】
続いて、絶縁性サイドウォール17とゲート電極14をマスクにしてゲート電極14の両側に、不純物を再びイオン注入する。これにより、各ゲート電極14の側方の基板1にエクステンションソース/ドレイン領域の深い領域を構成するソース/ドレイン拡散層18が形成される。
【0019】
さらに、ゲート電極14を含む基板1の上側全面に、金属膜をスパッタ法により形成する。金属膜は、例えば、コバルト膜やニッケル膜の高融点金属が好ましいが、比較的に融点が低い金属であっても良い。この後、金属膜を加熱してシリコンと反応させる。これにより、ゲート電極14の上面と、ソース/ドレイン拡散層18上のそれぞれに、コバルトシリサイド層やニッケルシリサイド層といった金属シリサイド層19Aが形成される。この熱処理によって、各ソソース/ドレイン拡散層18が活性化されて低抵抗化する。また、ゲート電極14の上部に、金属シリサイド層19Bが形成される。
【0020】
その後に、素子分離領域2上などで未反応となっている金属膜をウエットエッチングによって除去する。ここまでの工程で、基板1の活性領域ごとに、ゲート絶縁膜13,ゲート電極14、ソース/ドレイン拡散層18等によって構成されるトランジスタT1(半導体素子)が形成される。
【0021】
次に、トランジスタT1を含む基板1の全面にシリコン窒化膜21を例えば80nmの厚さに形成する。シリコン窒化膜21は、それぞれがプラズマCVD法によって形成する。続いて、シリコン窒化膜21の上に、第1層間絶縁膜22として、例えば、シリコン酸化(SiO
2)膜をTEOS(tetra ethoxy silane)ガスを用いたプラズマCVD法によって1300nmの厚さに形成する。第1層間絶縁膜22の表面は、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を用いて研磨し、基板1の表面から第1層間絶縁膜22の表面までの膜厚を所定値、例えば約950nmに調整する。
【0022】
さらに、第1層間絶縁膜22の上にレジスト膜23を塗布した後、レジスト膜23にフォトリソグラフィ技術によって開口部23Aを形成する。開口部23Aは、トランジスタT1のソース/ドレイン拡散層18の上方に複数形成される。
【0023】
続いて、
図1Bに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
レジスト膜23をマスクにしたドライエッチングにより、第1層間絶縁膜22、シリコン窒化膜21を順番に加工する。エッチング深さは、ソース/ドレイン拡散層18の高融点金属シリサイド層19に到達するまでとする。これにより、ソース/ドレイン拡散層18の上にコンタクトホール25が形成される。この後、レジスト膜23をアッシング等により除去する。
【0024】
続いて、コンタクトホール25内に、ソース/ドレイン領域17に電気的に接続される導電性プラグ26を形成する。具体的には、最初に、コンタクトホール25の内面に、密着層27をスパッタ法によって形成する。密着層は、30nmのチタン膜と、20nmの窒化チタン膜とを積層して形成する。さらに、密着膜27の上に、タングステン膜28をCVD法により成長させる。タングステン膜28は、各ホール25に埋め込まれると共に、第1層間絶縁膜22の上方に、例えば300nmの厚さに成長させる。この後、第1層間絶縁膜22上に成長した余分なタングステン膜28及び密着膜27をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法による研磨で除去する。この結果、コンタクトホール25に導電性プラグ26が埋め込まれる。
【0025】
次に、
図1Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
最初に、第1層間絶縁膜22上に、シリコン酸化膜等の第2層間絶縁膜31を形成する。続いて、第2層間絶縁膜31を不図示のレジスト膜をマスクにしてドライエッチングして配線溝32を形成する。さらに、配線溝32を含む第2層間絶縁膜31の全面にTaN膜33を例えばスパッタ法にて約8nmの厚さに形成する。さらに、TaN膜33上に、導電材としてCu膜34をメッキ法によって形成する。Cu膜34の厚さは、例えば800nmとする。表面のCu膜34と、TaN膜33をCMP法による研磨で順番に除去する。この研磨によって、1層目の配線35が形成される。配線35は、導電性プラグ26と電気的に接続される。以降は、同様の工程で必要な総数だけ配線構造を形成する。また、多層の配線構造内には、必要に応じて他の素子も形成される。
【0026】
次に、
図1Dに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。なお、
図1Dは、4層の配線構造を有する半導体装置の最上層の配線等を形成する工程を例にして説明するが、配線の総数はこれに限定されない。
第3層間絶縁膜の全面に、第4層間絶縁膜61として、例えばシリコン酸化膜をプラズマTEOSCVD法により800nm〜1μmの膜厚に形成する。この後、例えばCMP法により、第4層間絶縁膜61の表面を平坦化する。次に、フォトリソグラフィ技術を用い、第4層間絶縁膜61をエッチングする。これにより、下層の配線に達するコンタクトホール62が形成される。さらに、コンタクトホール62に導電性プラグ63を形成する。導電性プラグ63の形成方法は、導電性プラグ26の形成方法と同様である。
【0027】
続いて、第4層間絶縁膜61及び導電性プラグ63の上に、例えばTi膜71と、TiN膜72と、AlCu合金膜73と、TiN膜74とを例えばスパッタリング法により順番に積層する。これらの膜71〜74の合計の膜厚は、例えば、1.14μmとする。この後、これらの膜71〜74の上に、不図示のレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクにして膜71〜74をパターニングし、電極パッド81及びヒューズ82を形成する。
【0028】
次に、
図1Eに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
図1Eは、
図1Dの電極パッド81及びヒューズ82並びにその近傍の領域を拡大して示す断面図である。
第4層間絶縁膜61、電極パッド81及びヒューズ82の全面を覆うように第1の絶縁膜85を形成する。第1の絶縁膜85としては、酸化膜、例えば、SiO
2膜をプラズマCVD法等により形成する。第1の絶縁膜85は、電極パッド81及びヒューズ82の膜厚より厚く、例えば、1.5μm形成する。第1の絶縁膜85は、電極パッド81及びヒューズ82の上にも形成されるので、電極パッド81及びヒューズ82が存在する領域の第1の絶縁膜85の高さが他の領域に比べて高くなっている。そこで、
図1Fに示すように、第1の絶縁膜85を例えばプラズマを使用してエッチバックするか、CMP法によって研磨して表面を平坦化する。これによって、第1の絶縁膜85は、電極パッド81及びヒューズ82の膜厚より少し厚い膜厚で、かつ表面が平坦になる。
【0029】
次に、
図1Gに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
第1の絶縁膜85上には、第2の絶縁膜86として、例えば、酸化膜であるSiO
2膜をプラズマCVD法等によって600nm形成する。さらに、第2の絶縁膜86上に、パッシベーション膜として窒化膜87を例えばプラズマCVD法によって300nmの厚さに形成する。さらに、窒化膜87の全面にレジスト膜88を形成する。レジスト膜88は、平坦な窒化膜87上にレジストを塗布することにより形成されるので、従来に比べて膜高さは低くなる。即ち、電極パッド81上に配置された膜85〜87の厚さは、他の領域、例えばヒューズ82の周囲の第4層間絶縁膜61上の膜85〜87の厚さより薄くなる。さらに、
図3Bに示す従来例のように、電極パッド202とヒューズ203の間に深い溝207がないことから、レジストが溜まる領域は形成されない。
【0030】
続いて、レジスト膜88をパターニングして、開口部89A,89Bを形成する。開口部89Aは、電極パッド81の上方に形成される。開口部89Bは、ヒューズ82の上方に形成される。
【0031】
次に、
図1Hに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
パターニングしたレジスト膜88をマスクにして窒化膜87と、第2の絶縁膜86と、第1の絶縁膜85を順番にエッチングして第1の開口部90Aと、第2の開口部90Bを同時に形成する。第1の開口部90Aは、レジスト膜88の開口部89Aの下方に形成され、電極パッド81を露出させる。第2の開口部90Bは、レジスト膜88の開口部89Bの下方に形成され、ヒューズ82を露出させる。ここでのエッチングは、電極パッド81を完全に露出させるために、絶縁膜85,86をオーバーエッチングするような条件で実施される。このために、ヒューズ82の周囲は、第1の絶縁膜85がヒューズ82の上面より深くエッチングされ、溝92が形成される。しかしながら、第1の絶縁膜85の溝92の深さは、第1の絶縁膜85の膜厚より浅い。即ち、第2の開口部90Bの底部を形成するヒューズ82の側方の第1の絶縁膜85の上面85Aの高さは、ヒューズ82の底面82Aより高い位置になっている。
【0032】
この後、窒化膜87上に残留するレジスト膜88をアッシング等によって剥離させる。従来のように電極パッド81とヒューズ82の間に深い溝がないことから、ヒューズ82の周囲にレジスト膜88が残留することはない。これによって、
図1Iに示すように、最上層に電極パッド81とヒューズ82を有し、他の領域が酸化膜と窒化膜で覆われた半導体装置100が形成される。ここで、電極パッド81は、第1の開口部90Aを通して外部に露出している。ヒューズ82は、第2の開口部90Bを通して外部に露出している。
【0033】
以上、説明したように、この半導体装置100の製造方法では、最上層に形成した電極パッド81とヒューズ82の開口部90A,90Bを同時に形成するプロセスにおいて、絶縁膜86,86の表面を平坦化することにより、ヒューズ82の側部の層間絶縁膜61上方における絶縁膜の膜厚が電極パッド81上方における絶縁膜の膜厚より厚くした。即ち、電極パッド81上の絶縁膜85,86及び窒化膜87の膜厚が、回路が形成されていない領域の絶縁膜85,86及び窒化膜87の膜厚より薄くなるので、電極パッド81上でエッチングにより除去すべき絶縁膜85,86及び窒化膜87の深さが他の領域に比べて浅くなる。この結果、電極パッド81を完全に露出させるように絶縁膜85,86及び窒化膜87をエッチングしても、ヒューズ82の周囲の絶縁膜85,86が掘られ過ぎないようになる。より具体的には、この製造方法によれば、第1の絶縁膜85の上面85Aが、ヒューズ82の底面82A以上の高さになる半導体装置100が製造される。このために、第2の開口部90Bの底部である第1の絶縁膜85の上面85Aにレジスト膜が残留し難くなる。また、この半導体装置100の製造方法では、
図3Dに例示するように、ヒューズ203の側方に溝207が形成された後にレジスト膜210が塗布されることがなくなる。このことも、ヒューズ82の周囲にレジスト膜の残留することを防止することに貢献する。これらのことから、レジスト膜の残留による半導体装置100の表面汚染を防止できる。
【0034】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
最初に、
図2Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。なお、電極パッド81及びヒューズ82を形成するまでの工程は、
図1Aから
図1Dを参照して説明する第1の実施の形態と同様である。まず、電極パッド81及びヒューズ82の全面を覆うように第1の絶縁膜101を形成する。第1の絶縁膜101は、酸化膜、プラズマCVD法等を使用してSiO
2膜を例えば700μmの厚さに形成する。第1の絶縁膜101上には、第1のパッシベーション膜として第1の窒化膜102を例えばプラズマCVD法を使用して500nmの厚さに形成する。続いて、第1の窒化膜102の全面にレジスト膜103を形成し、レジスト膜103をパターニングする。これによって、電極パッド81の上方のみに開口部103Aを有するレジストパターンが形成される。
【0035】
続いて、
図2Bに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
パターニングしたレジスト膜103をマスクにして第1の窒化膜102と、第1の絶縁膜101を順番にエッチングし、電極パッド81上に開口部105を形成する。開口部105は、電極パッド81を露出させる。
【0036】
次に、
図2Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
開口部105を有する第1の窒化膜102の上に、第2の絶縁膜106として、酸化膜、例えば、SiO
2膜を形成する。第2の絶縁膜106は、プラズマCVD法などによって、例えば、600nmの厚さに形成する。第2の絶縁膜106は、開口部105から露出している電極パッド81上にも形成される。続いて、第2の絶縁膜106の上に、第2のパッシベーション膜として第2の窒化膜107をプラズマCVD法等に使用して形成する。第2の窒化膜107は、例えば、第1の窒化膜102の膜厚より薄く、例えば、300nmの厚さに形成する。このとき、電極パッド81上に配置された膜106,107の厚さは、他の領域、例えばヒューズ82の周囲の第1の絶縁膜101又は第4層間絶縁膜61の上方に配置された膜102,106,107の厚さより薄くなる。
【0037】
さらに、
図2Dに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
第2の窒化膜107の全面にレジスト膜110を形成し、レジスト膜110をパターニングする。これによって、電極パッド81及びヒューズ82の上方のそれぞれに開口部110A,110Bを有するレジストパターンが形成される。そして、パターニングしたレジスト膜110をマスクにして第2の窒化膜107と、第2の絶縁膜106を順番にエッチングして第1の開口部111Aと第2の開口部111Bを同時に形成する。エッチングは、第2の窒化膜107と第2の絶縁膜106とでステップを分けて、下地との選択比を保ちながら行う。このとき、第1の窒化膜102がエッチングのストッパとして働くことで、面内の膜厚の均一性を確保することができる。また、第1の窒化膜102がエッチングのストッパとして働くことで、下層の第1の絶縁膜101がエッチングされることはない。従って、第2の開口部111B内の第1の絶縁膜101の上面101Aは、ヒューズ82の底面82Aより上方に配置される。同様に、第2の開口部111Bの底部に相当する第1の窒化膜102の上面102Aは、ヒューズ82の底面82Aより上方に配置される。
【0038】
これによって、
図2Eに示すように、最上層に電極パッド81とヒューズ82を有し、他の領域が絶縁膜101,106と窒化膜102,107の積層構造で覆われた半導体装置120が形成される。ここで、電極パッド81は、開口部111Aを通して外部に露出している。ヒューズ82は、第1の絶縁膜101及び第1の窒化膜102に覆われた状態で開口部111Bを通して外部に露出している。ヒューズ82の周囲はオーバーエッチングされていないので、従来のように、ヒューズの側部に深い溝が形成されることはない。また、絶縁膜101,106と窒化膜102,107を積層させることにより、半導体装置10の下方の回路構造の防水性及び防湿性が向上する。
【0039】
以上、説明したように、この半導体装置120の製造方法では、最上層に形成した電極パッド81とヒューズ82の開口部90A,90Bを同時に形成するプロセスにおいて、電極パッド81上の第1の絶縁膜101及び第1の窒化膜102を除去するようにした。これによって、ヒューズ82の側部の層間絶縁膜61上方における絶縁膜の膜厚が電極パッド81上方における絶縁膜の膜厚より厚くなり、電極パッド81上でエッチングにより除去すべき第2の絶縁膜106及び第2の窒化膜107の深さが他の領域に比べて少なくなる。この結果、電極パッド81を完全に露出させるように第2の絶縁膜106及び第2の窒化膜107をエッチングしても、ヒューズ82の周囲の第1の絶縁膜101及び第1の窒化膜102が掘られ過ぎないようになる。このことは、エッチングされる第2の窒化膜107の膜厚より第1の窒化膜102を厚く形成し、第1の窒化膜102がストッパとして機能するようにしたことにより、より顕著になる。この結果、第1の絶縁膜101の上面101A及び第1の窒化膜102の上面102Aがヒューズ82の底面82A以上の高さになる半導体装置120が製造される。このために、第2の開口部111Bの底部(上面101A又は上面102A)にレジスト膜が残留し難くなる。また、この半導体装置120の製造方法では、
図3Dに例示するように、ヒューズ203の側方に溝207が形成された後にレジスト膜210が塗布されることがなくなる。このことも、ヒューズ82の周囲にレジスト膜の残留することを防止することに貢献する。これらのことから、レジスト膜の残留による半導体装置120の表面汚染を防止できる。
【0040】
ここで挙げた全ての例及び条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明及び概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例及び条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換及び変形を施すことができる。
【0041】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 基板の上方に形成した多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に電極パッド及びヒューズを形成し、前記層間絶縁膜及び前記電極パッド並びに前記ヒューズの上方に、前記ヒューズの側部の前記層間絶縁膜上方における膜厚が前記電極パッド上方における膜厚より厚い絶縁膜を形成し、前記絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と、前記ヒューズ上方の前記絶縁膜の少なくとも一部を除去した第2の開口部とを同時に形成する開口工程を含む半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記開口工程は、前記第2の開口部において前記層間絶縁膜が露出させないことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記絶縁膜を形成する工程は、前記ヒューズの側部の前記層間絶縁膜上方における膜厚が前記電極パッドの膜厚より厚い前記絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の表面をエッチング又は研磨により平坦化する工程と、を含み、前記開口工程は、第2の開口部に前記ヒューズを露出させることを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記絶縁膜は、第1の絶縁膜、第1のパッシベーション膜、第2の絶縁膜、及び第2のパッシベーション膜を含み、前記絶縁膜を形成する工程は、前記層間絶縁膜及び前記電極パッド並びに前記ヒューズを覆う前記第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に前記第1のパッシベーション膜を形成する工程と、前記第1のパッシベーション膜及び前記第1の絶縁膜をエッチングし、前記電極パッドを露出させる工程と、露出させた前記電極パッド及び前記第1のパッシベーション膜を覆うように前記第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜上に前記第2のパッシベーション膜を形成する工程と、を含み、前記開口工程は、前記第2のパッシベーション膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させる前記第1の開口部と、前記ヒューズ上方の前記第1のパッシベーション膜を露出させる前記第2の開口部とを同時に形成することを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記第2のパッシベーション膜は、前記第1のパッシベーション膜より膜厚を薄く形成することを特徴とする付記4に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 基板の上方に形成した多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に電極パッド及びヒューズを形成し、前記層間絶縁膜及び前記電極パッド並びに前記ヒューズを覆う絶縁膜を前記電極パッド及び前記ヒューズの膜厚より厚く形成し、前記絶縁膜の表面をエッチング又は研磨により平坦化し、平坦化した前記絶縁膜の上方にパッシベーション膜を形成し、前記パッシベーション膜及び前記絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と前記ヒューズを露出させる第2の開口部を同時に形成することを含む半導体装置の製造方法。
(付記7) 基板の上方に形成した多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に電極パッド及びヒューズを形成し、前記層間絶縁膜及び前記電極パッド並びに前記ヒューズを覆う第1の絶縁膜を形成し、前記第1の絶縁膜上に第1のパッシベーション膜を形成し、前記第1のパッシベーション膜及び前記第1の絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させ、露出させた前記電極パッド及び前記第1のパッシベーション膜を覆うように第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に第2のパッシベーション膜を形成し、前記第2のパッシベーション膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と、前記ヒューズ上方の前記第1のパッシベーション膜を露出させる第2の開口部を同時に形成することを含む半導体装置の製造方法。
(付記8) 基板と、前記基板の上方に形成された多層の配線構造における最上層の層間絶縁膜上に配置された電極パッド及びヒューズと、前記層間絶縁膜の上方に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に形成され、前記電極パッドを露出させる第1の開口部と、前記絶縁膜に形成され、底部の高さが前記ヒューズの底面より高い第2の開口部と、を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記9) 前記絶縁膜は、前記層間絶縁膜上に配置された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された第1のパッシベーション膜と、前記第1のパッシベーション膜上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された第2のパッシベーション膜と、を含み、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、前記第2の絶縁膜及び前記第2のパッシベーション膜を除去することにより形成されていることを特徴とする付記8に記載の半導体装置。