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特開2015-192022モジュール用電源供給ユニット、ケース及びモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-192022(P2015-192022A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】モジュール用電源供給ユニット、ケース及びモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/78 20130101AFI20151006BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20151006BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20151006BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20151006BHJP
   H01G 9/28 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   H01G11/78
   H01M2/02 A
   H01M2/30 B
   H01M2/10 A
   H01G9/00 531
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-68155(P2014-68155)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 克英
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078HA05
5E078HA14
5H011AA17
5H040AA34
5H040AT02
5H040CC01
5H040DD08
5H040DD21
5H040NN03
5H043AA07
5H043CA04
5H043DA09
5H043LA21D
(57)【要約】
【課題】液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子と回路素子とが搭載されたモジュール、当該モジュールに用いられるモジュール用電源供給ユニット及び当該モジュール用電源供給ユニットに用いられるケースを提供すること。
【解決手段】本発明に係るモジュール用電源供給ユニットは、ケース本体と、蓄電素子と、負極配線とを具備する。ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、第1のキャビティ及び第2のキャビティの開口が位置する開口面と、開口面と反対側の底面とを有する。蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され第1のキャビティに配置されている。負極配線は、負極と第2のキャビティとを電気的に接続する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料からなり、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、前記開口面と反対側の底面とを有するケース本体と、
正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、前記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され、前記第1のキャビティに配置された蓄電素子と、
前記負極と前記第2のキャビティとを電気的に接続する負極配線と
を具備するモジュール用電源供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール用電源供給ユニットであって、さらに、
導電性材料からなり、前記第1のキャビティを閉塞するリッドを具備し、
前記負極配線は、前記リッドを介して前記負極と前記第2のキャビティとを電気的に接続する
モジュール用電源供給ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュール用電源供給ユニットであって、
前記リッドは、前記開口面に導電性部材を介して接合され、
前記負極配線は、前記開口面と前記第2のキャビティの間に形成されている
モジュール用電源供給ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のモジュール用電源供給ユニットであって、さらに、
前記正極と前記底面とを電気的に接続する正極配線
を具備するモジュール用電源供給ユニット。
【請求項5】
絶縁性材料からなり、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、前記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、前記開口面と反対側の底面とを有するケース本体と、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとを電気的に接続する負極配線と
を具備するケース。
【請求項6】
請求項5に記載のケースであって、
前記負極配線は、前記開口面と前記第2のキャビティの間に形成されている
ケース。
【請求項7】
請求項6に記載のケースであって、さらに
前記第1のキャビティと前記底面とを電気的に接続する正極配線
を具備するケース。
【請求項8】
絶縁性材料からなり、第1のキャビティと第2のキャビティとを備え、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、前記開口面と反対側の底面とを有するケース本体と、
正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、前記第1のキャビティに配置された蓄電素子と、
前記第2のキャビティに配置された回路素子と、
前記負極と前記回路素子とを電気的に接続する負極配線と
を具備するモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載のモジュールであって、さらに、
導電性材料からなり、前記第1のキャビティを閉塞するリッドを具備し、
前記負極配線は、前記リッドを介して前記負極と前記回路素子とを電気的に接続する
モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のモジュールであって、さらに、
前記リッドは、前記開口面に導電性部材を介して接合され、
前記負極配線は、前記開口面と前記第2のキャビティの間に形成されている
モジュール。
【請求項11】
請求項8に記載のモジュールであって、さらに、
前記正極と前記底面とを電気的に接続する正極配線
を具備するモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び回路素子を搭載するモジュール、当該モジュールに用いられるモジュール用電源供給ユニット、及び当該モジュール用電源供給ユニットに用いられるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムクロック(RTC)IC等の回路素子と、この電子デバイスに電源を供給するための蓄電素子が、同一のパッケージに搭載されたモジュールが知られている。RTCICは、情報処理装置等の電子機器に時計機能を提供するために用いられる電子デバイスであり、駆動には、電源のほか、発振子や、その他の回路素子を要する。
【0003】
例えば特許文献1には、RTCIC、水晶振動子及びバックアップコンデンサが搭載されたリアルタイムクロック内蔵電子デバイスが記載されている。この電子デバイスは、セラミックケースを2室に区画し、一方にはRTCIC及びバックアップコンデンサ等が配置され、他方には水晶振動子が配置されている。
【0004】
また特許文献2には、RTCICと全固体二次電池とがモジュール内で接続されたリアルタイムクロックモジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−256574号公報
【特許文献2】特開2011−257139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のモジュールは、いずれも、電源として固体の蓄電素子を使用しており、電源として液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を用いた場合は想定されていない。すなわち、特許文献1の構成の場合には、蓄電素子とIC等が同一の区画内に存在するため、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子に対して適用すると、イオン伝導体が漏出した際にIC等へ悪影響を及ぼすこととなる。また特許文献2に記載の構成であっても、RTCICと接続されるビア等を介して液漏れの可能性がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子と回路素子とが搭載されたモジュール、当該モジュールに用いられるモジュール用電源供給ユニット及び当該モジュール用電源供給ユニットに用いられるケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るモジュール用電源供給ユニットは、ケース本体と、蓄電素子と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され上記第1のキャビティに配置されている。
上記負極配線は、上記負極と上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るケースは、ケース本体と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、上記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記負極配線は、上記第1のキャビティと上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るモジュールは、ケース本体と、蓄電素子と、回路素子と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記第1のキャビティに配置されている。
上記回路素子は、上記記第2のキャビティに配置されている。
上記負極配線は、上記負極と上記回路素子とを電気的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るモジュールの斜視図である。
図2】同モジュールの平面図である。
図3】同モジュールの断面図である。
図4】同モジュールのケースの平面図及び断面図である。
図5】同モジュールにおける正極配線及び負極配線の模式図である。
図6】同モジュールの蓄電素子の模式図である。
図7】本発明の実施形態に係るモジュール用電源供給ユニットの断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るケースの断面図である。
図9】本発明の変形例に係るモジュールの断面図である。
図10】本発明の別の変形例に係るモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るモジュール用電源供給ユニットは、ケース本体と、蓄電素子と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され、上記第1のキャビティに配置されている。
上記負極配線は、上記負極と上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0013】
この構成によれば、蓄電素子と第2のキャビティを接続する負極配線が設けられているため、第2のキャビティに回路素子を配置した場合において、蓄電素子の負極と回路素子を接続する配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の負極と回路素子を接続する構成に比較してモジュール用電源供給ユニットに設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0014】
上記モジュール用電源供給ユニットは、さらに、導電性材料からなり、上記第1のキャビティを閉塞するリッドを具備し、上記負極配線は、上記リッドを介して上記負極と上記第2のキャビティとを電気的に接続してもよい。
【0015】
この構成によれば、負極配線は、第1のキャビティを閉塞するリッドに接続されればよく、イオン伝導体が収容される第1のキャビティに直接に接続される必要がない。このため、負極配線に対してイオン伝導体が接触せず、負極配線をイオン伝導体の接触による電解腐食から保護することが可能である。
【0016】
上記リッドは、上記開口面に導電性部材を介して接合され、上記負極配線は、上記開口面と上記第2のキャビティの間に形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、負極配線は、開口面に接合された導電性部材を介してリッドと電気的に接続される。負極配線は、イオン伝導体が収容される第1のキャビティに直接に接続される必要がなく、負極配線をイオン伝導体の接触による電解腐食から保護することが可能である。
【0018】
上記モジュール用電源供給ユニットは、さらに、上記正極と上記ケース底面とを電気的に接続する正極配線を具備してもよい。
【0019】
この構成によれば、蓄電素子の正極に接続された正極配線は、実装基板を介して第2のキャビティに配置される回路素子に接続されるものとすることができる。正極配線は第1のキャビティと第2のキャビティの間で直接に接続されないため、イオン伝導体が正極配線を伝って第2のキャビティに浸入することが防止されている。これにより、回路素子がイオン伝導体により損傷することを防止することが可能である。
【0020】
本発明の一実施形態に係るケースは、ケース本体と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、上記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記負極配線は、上記第1のキャビティと上記第2のキャビティとを電気的に接続する。
【0021】
この構成によれば、第1のキャビティと第2のキャビティを接続する負極配線が設けられているため、第1のキャビティに蓄電素子を配置し、第2のキャビティに回路素子を配置した場合において、蓄電素子の負極と回路素子を接続する配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の負極と回路素子を接続する構成に比較してケースに設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0022】
上記負極配線は、上記開口面と上記第2のキャビティの間に形成されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、第1のキャビティに蓄電素子が配置され、開口面に導電性部材を介してリッドが接合されると、負極配線はリッドを介して蓄電素子の負極に接続される。このため、負極配線は、イオン伝導体が収容される第1のキャビティに直接に接続される必要がなく、負極配線をイオン伝導体の接触による電解腐食から保護することが可能である。
【0024】
上記ケースは、さらに上記第1のキャビティと上記底面とを電気的に接続する正極配線を具備していてもよい。
【0025】
この構成によれば、正極配線は第1のキャビティと第2のキャビティの間で直接に接続されないため、イオン伝導体が正極配線を伝って第2のキャビティに浸入することが防止されている。これにより、第2のキャビティに配置される回路素子がイオン伝導体により損傷することを防止することが可能である。
【0026】
本発明の一実施形態に係るモジュールは、ケース本体と、蓄電素子と、回路素子と、負極配線とを具備する。
上記ケース本体は、絶縁性材料からなり、第1のキャビティと第2のキャビティとを備え、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティの開口が位置する開口面と、上記開口面と反対側の底面とを有する。
上記蓄電素子は、正極及び負極を有し、液体又はゲル状のイオン伝導体を含み、上記第1のキャビティに配置されている。
上記回路素子は、上記記第2のキャビティに配置されている。
上記負極配線は、上記負極と上記回路素子とを電気的に接続する。
【0027】
この構成によれば、蓄電素子と回路素子を接続する負極配線が設けられているため、蓄電素子の負極と回路素子を接続する配線がモジュール内で完結する。このため、実装基板を介して蓄電素子の負極と回路素子を接続する構成に比較してモジュール用に設けられる端子の数を削減することが可能である。
【0028】
上記モジュールは、さらに、導電性材料からなり、上記第1のキャビティを閉塞するリッドを具備し、上記負極配線は、上記リッドを介して上記負極と上記回路素子とを電気的に接続してもよい。
【0029】
この構成によれば、負極配線は、第1のキャビティを閉塞するリッドに接続されればよく、イオン伝導体が収容される第1のキャビティに直接に接続される必要がない。このため、負極配線に対してイオン伝導体が接触せず、負極配線をイオン伝導体の接触による電解腐食から保護することが可能である。
【0030】
上記リッドは、上記開口面に導電性部材を介して接合され、上記負極配線は、上記開口面と上記第2のキャビティの間に形成されてもよい。
【0031】
この構成によれば、負極配線は、導電性部材を介してリッドと電気的に接続される。負極配線は、イオン伝導体が収容される第1のキャビティに直接に接続される必要がなく、負極配線をイオン伝導体の接触による電解腐食から保護することが可能である。
【0032】
上記モジュールは、さらに、上記正極と上記底面とを電気的に接続する正極配線を具備してもよい。
【0033】
この構成によれば、蓄電素子の正極に接続された正極配線は、実装基板を介して回路素子に接続されるものとすることができる。正極配線は第1のキャビティと第2のキャビティの間で直接に接続されないため、イオン伝導体が正極配線を伝って第2のキャビティに浸入することが防止されている。これにより、回路素子がイオン伝導体により損傷することを防止することが可能である
【0034】
本発明の実施形態に係るモジュールについて説明する。
【0035】
[モジュールの構成]
図1は、本実施形態に係るモジュール100の斜視図であり、図2はモジュール100の平面図である。図3はモジュール100のS11−S11線(図1)に沿う断面図である。図1乃至図3に示すように、モジュール100は、ケース本体11、蓄電素子121、回路素子122、金属層13、シール部材14、リッド15、正極配線16、負極配線17及び正極保護層18を備える。なお、各図において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向を示し、Z軸方向はモジュールの厚み方向(上下方向)を示す。
【0036】
図2及び図3に示すように、モジュール100では、ケース本体11に形成された第1のキャビティ111に蓄電素子121が配置され、第2のキャビティ112に回路素子122が配置されている。第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112はリッド15(第1のリッド151及び第2のリッド152)によって封止されている。
【0037】
本実施形態に係るモジュール100では、蓄電素子121が、正極配線16及び負極配線17を介して回路素子122に電源を供給することが可能である。例えば回路素子122はリアルタイムクロック(RTC)ICであり、蓄電素子121が当該RTCICのバックアップ電源として機能するものとすることができる。モジュール100の大きさや形状は特に限定されず、例えば直方体形状であるものとすることができる。
【0038】
(ケース本体)
図4は、ケース本体11、正極配線16及び負極配線17の構成を示す図であり、Aは平面図、Bは断面図である。ケース本体11は、第1のキャビティ111、第2のキャビティ112、底部113、外壁114、隔壁115を備え、底部113、外壁114及び隔壁115によって第1のキャビティ111、第2のキャビティ112が区画された構成を有する。
【0039】
本実施形態において、底部113は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の底部を構成し、外壁114は、底部113の外縁に沿う枠状に構成される。隔壁115は、外壁114の対向する2面にそれぞれ接続される。なお、以下では、ケース本体11において、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の開口が形成された面をケース開口面11a、その反対側の底面をケース底面11bとする。
【0040】
ケース本体11は、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)やLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックからなるものとすることができる。ケース本体11は、例えば図4に示すような直方体形状に限定されず、円柱形状等、他の形状とすることも可能である。
【0041】
第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112は、ケース本体11のケース開口面11aに形成された凹部として構成され、底部113、外壁114及び隔壁115によって区画される。第1のキャビティ111は、金属層13とシール部材14とともに蓄電素子121が配置される液室を形成する(図3参照)。以下、第1のキャビティ111の底面を第1のキャビティ底面111aとする。
【0042】
また、第2のキャビティ112は、金属層13と隔壁115とともに回路素子122が配置される空間を形成する(図3参照)。以下、第2のキャビティ112の底面を第2のキャビティ底面112aとする。外壁114は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を囲み、隔壁115は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を隔てる。
【0043】
(配線)
図5は正極配線16及び負極配線17を示す模式図である。正極配線16は導電性材料からなり、図5に示すように、第1の正極配線部分16aと第2の正極配線部分16bから構成されている。第1の正極配線部分16aは、第1のキャビティ底面111aとケース底面11bの間に形成され、第2の正極配線部分16bは、第2のキャビティ底面112aとケース底面11bの間に形成されている。
【0044】
第1の正極配線部分16aの第1のキャビティ底面111a側の端部は、図3に示すように、正極保護層18を介して蓄電素子121の正極(後述)に接続されている。第2の正極配線部分16bの第2のキャビティ底面112a側の端部は、回路素子122の正極に接続されている。
【0045】
第1の正極配線部分16aと第2の正極配線部分16bはモジュール100内においては直接接続されておらず、それぞれケース底面11bにおいて端子(図示略)に接続されている。第1の正極配線部分16aと第2の正極配線部分16bは、モジュール100が実装基板に実装されると、その実装基板を介して電気的に接続される。
【0046】
負極配線17は、導電性材料からなり、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。負極配線17は、隔壁115及び底部113内に形成されてもよく、外壁114及び底部113内に形成されてもよい。負極配線17のケース開口面11a側の端部は、図3に示すように、金属層13、シール部材14及びリッドを介して蓄電素子121の負極(後述)に電気的に接続される。負極配線17の第2のキャビティ底面112a側の端部は、回路素子122の負極に接続されている。
【0047】
(蓄電素子)
蓄電素子121は、イオン伝導体と共に第1のキャビティ111に配置される。図6は、蓄電素子121を示す拡大図である。同図に示すように、蓄電素子121は、正極電極シート121a、負極電極シート121b及びセパレートシート121cからなるものとすることができる。
【0048】
正極電極シート121a及び負極電極シート121bは、活物質をシート状に形成したものである。活物質は例えば活性炭やPAS(Polyacenic Semiconductor:ポリアセン系有機半導体)である。正極電極シート121a及び負極電極シート121bは、上記活物質、導電助剤(例えばケッチェンブラック)及びバインダ(例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene))の混合物を圧延してシート状に形成し、それを裁断したものとすることができる。
【0049】
セパレートシート121aは、電極同士を電気的に絶縁するシートである。セパレートシート121cは、ガラス繊維、セルロール繊維、プラスチック繊維等からなる多孔質シートであるものとすることができる。
【0050】
蓄電素子121の種類は特に限定されず、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の充放電が可能であり、かつイオン伝導体を利用する蓄電素子であればよい。イオン伝導体は液体又はゲル状とすることができ、その組成は特に限定されない。イオン導電体は、液体であった場合、電解液として構成され得る。
【0051】
(正極保護層)
正極保護層18は、第1のキャビティ底面111a上に配設され、第1のキャビティ底面111aにおいて第1の正極配線部分16aを被覆する。正極保護層18は、正極電極シート121aを第1のキャビティ底面111aに接着すると共に、正極電極シート121aと第1の正極配線部分16aとを電気的に接続するものとすることができる。また、正極保護層18は、第1の正極配線部分16aを被覆することにより、イオン伝導体が正極配線16に到達することを防止する。
【0052】
正極保護層18は、導電性接着剤からなり、例えば導電性粒子を含有する合成樹脂であるものとすることができる。導電性粒子は、化学的安定性が高いものが好適であり、例えばグラファイト粒子を利用することができる。合成樹脂は、イオン伝導体に対する膨潤性が小さく、耐熱性が高く、化学的安定性が高いものが好適であり、例えばフェノール樹脂を利用することができる。
【0053】
なお、正極保護層18は、正極配線16の保護と電気的接続を担うものあればよく、必ずしも正極電極シート121aを第1第1のキャビティ底面111aに接着するものでなくてもよい。この場合、正極保護層18は、金属等の導電性を有し、接着性を有しない材料からなるものとすることができる。例えば、正極保護層18はアルミ蒸着膜であってもよい。
【0054】
(回路素子)
回路素子122は、図3に示すように、第2のキャビティ112に配置される。回路素子122は、正極配線16及び負極配線17を介して蓄電素子121に電気的に接続される。これにより、回路素子122は蓄電素子121から電源を供給されるものとすることができる。回路素子122は、本実施形態において、RTCIC等の集積回路や発振子を含む。これらの構成や配置は特に限定されない。また、回路素子122は、集積回路及び発振子のうちのいずれか一方であってもよいし、他の素子であってもよい。
【0055】
第2のキャビティの回路素子122が占める領域以外は、空気等の気体が封入されていてもよく、あるいは、樹脂等が埋設されていてもよい。また、回路素子122は、蓄電素子121と接続される以外にも、ケース本体11に設けられた端子(図示略)を介して、実装基板と接続されるものとすることができる。
【0056】
(金属層)
金属層13は、図3に示すようにケース本体11のケース開口面11a上において、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に配設される。金属層13をケース本体11上に設けることにより、セラミックからなるケース本体11の上に、シール部材14やリッド15等の金属からなる部材を接合することが容易になる。
【0057】
金属層13は、図3に示すように第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に一体に形成されてもよい。また、金属層13は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112のそれぞれの周囲に別々に配設されてもよい。
【0058】
金属層13は、ロウ材(金−銅合金等)等の金属材料からなるメタライズ層であるものとすることができる。これにより、シール部材14をケース本体11にロウ付け(接着)することが可能となる。
【0059】
また、金属層13は、メタライズ層に限定されず、シール部材14やリッド15を接合することが可能な金属材料からなる他の金属層であってもよい。このような他の金属層の一例としては、Niメッキや、Auメッキ等を含むメッキ層が挙げられる。あるいは、金属層13は、複数の金属層を有していてもよく、例えばメタライズ層とメッキ層とを有していてもよい。この場合に、メタライズ層上にメッキ層が配設されてもよく、あるいはメッキ層上にメタライズ層が配設されてもよい。また、ケース本体11の材質等に応じて、適宜金属層13を省略することも可能である。
【0060】
(シール部材)
シール部材14は、図3に示すように、金属層13上に接合され、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に配設される。シール部材14は、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)等の導電性材料からなるシールリングとすることができる。このようなシール部材14を用いることで、リッド15とケース本体11との気密性を高めることができる。なお、シール部材14には、NiメッキやAuメッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0061】
シール部材14は、図3に示すように、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の周囲に一体に接合されていてもよい。また、シール部材14は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112のそれぞれの周囲に別々に配設されてもよい。
【0062】
(リッド)
リッド15は、図1乃至図3に示すように、第1のキャビティ111を封止する第1のリッド151と、第2のキャビティ112を封止する第2のリッド152とを有する。リッド15は、例えば、各種金属等の導電性材料からなるものとすることができ、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)からなるものとすることができる。これにより、リッド15を蓄電素子121の導電経路として機能させることが可能となる。
【0063】
リッド15は、金属層13及びシール部材14を介してケース本体11に溶接される。リッド15の具体的な接合方法は特に限定されず、蓄電素子121や回路素子122の特性、または所望の気密性等に応じて適宜選択することができる。例えば、レーザ溶接法により、リッド15及びシール部材14を溶融させることで溶接することも可能であるし、抵抗溶接法を採用することもできる。あるいは、リフロー方式によるハンダ付け等によってリッド15とシール部材14とを接合してもよい。また、第1のリッド151及び第2のリッド152の接合は、同一の接合方法を採用してもよいし、異なる接合方法を採用してもよい。リッド15が溶接された場合は、金属層13、シール部材14及びリッド15が一体化してケース本体11に接合された構成となり得る。
【0064】
リッド15の形状は平坦な形状に限定されず、溶接方法や、配置される蓄電素子、回路素子の構成等に応じて適宜採用することができる。例えば、周縁部に対して中央部が突出した形状とすることにより、厚みの大きい蓄電素子121や回路素子122をモジュール100に搭載することが可能となる。
【0065】
[モジュールの作用効果]
本実施形態に係るモジュール100は、蓄電素子121と回路素子122とが、それぞれ別個の第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112に配置される。これにより、蓄電素子121の液体又はゲル状のイオン伝導体が回路素子122側へ漏れることを防止することができる。したがって、これらの蓄電素子121及び回路素子122を同一モジュールに搭載することが可能となり、RTCIC等の電子デバイスの駆動モジュールとして好適に用いることが可能となる。
【0066】
一方で、正極配線16及び負極配線17は、第1のキャビティ111に収容されたイオン伝導体との接触による電解腐食から保護する必要がある。電解腐食が発生すると、電気的接続の切断や抵抗の増大が発生するためである。また、イオン伝導体が配線を伝って回路素子122に到達すると、回路素子122が損傷するおそれがある。
【0067】
ここで、上述のように、蓄電素子121の正極は正極配線16(第1の正極配線部分16a及び第2の正極配線部分16b)によって回路素子122と接続され、蓄電素子121の負極は負極配線17によって回路素子122と接続されている。負極配線17は、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aの間に形成されており、第1のキャビティ111内のイオン伝導体とは直接接触しない。このため、負極配線17はイオン伝導体による電解腐食から保護されている。
【0068】
また、正極配線16は、第1の正極配線部分16a及び第2の正極配線部分16bから構成され、第1の正極配線部分16aは正極保護層18によって被覆されているため、イオン伝導体による電解腐食から保護されている。さらに、第2の正極配線部分16bは、第1の正極配線部分16aとは直接接続されていないため、仮にイオン伝導体が第1の正極配線部分16aを伝って浸入しても、第2の正極配線部分16bには到達せず、回路素子122はイオン伝導体による損傷から保護されている。
【0069】
さらに、蓄電素子121と回路素子122は、モジュール100内において負極配線17によって接続されるため、負極配線は実装基板を介して接続される必要がなく、モジュール100及び実装基板に配置する端子数を削減することが可能である。
【0070】
[モジュール用電源供給ユニットの構成]
図7は、本実施形態に係るモジュール用電源供給ユニット10を示す断面図である。同図に示すようにモジュール用電源供給ユニット10は、ケース本体11、蓄電素子121、金属層131、シール部材141、リッド150、正極配線16、負極配線17、正極保護層18を備える。なお、モジュール用電源供給ユニット10の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0071】
ケース本体11は、上述のように、蓄電素子121が配置された第1のキャビティ111と、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。蓄電素子121は、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む。ケース本体11には、正極配線16及び負極配線17が配設され、蓄電素子121と第2のキャビティ112とを接続する。第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、正極配線16及び負極配線17を介して蓄電素子121と回路素子が接続される。
【0072】
金属層131は、ケース本体11のケース開口面11a上において、第1のキャビティ111の周囲に配設される。金属層131はロウ材(金−銅合金等)等の金属材料からなるメタライズ層であるものとすることができる。これにより、シール部材141をケース本体11にロウ付け(接着)することが可能となる。また、金属層131は、メタライズ層に限定されず、シール部材14やリッド15を接合することが可能な金属材料からなる他の金属層であってもよい。このような他の金属層の一例としては、Niメッキや、Auメッキ等を含むメッキ層が挙げられる。あるいは、金属層131は、複数の金属層を有していてもよく、例えばメタライズ層とメッキ層とを有していてもよい。この場合に、メタライズ層上にメッキ層が配設されてもよく、あるいはメッキ層上にメタライズ層が配設されてもよい。また、ケース本体11の材質等に応じて、適宜金属層131を省略することも可能である。
【0073】
シール部材141は、金属層131上に接合され、第1のキャビティ111の周囲に配設される。金属材料からなる。シール部材141は、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)等の導電性材料からなるシールリングとすることができる。このようなシール部材141を用いることで、リッド15とケース本体11との気密性を高めることができる。なお、シール部材14には、NiメッキやAuメッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0074】
リッド150は、第1のキャビティ111を封止する。リッド150には負極接着層19によって回路素子122の負極が接着されている。リッド150は例えば、各種金属等の導電性材料からなるものとすることができ、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)からなるものとすることができる。これにより、リッド150を蓄電素子121の導電経路として機能させることが可能となる。
【0075】
リッド150は、金属層131及びシール部材141を介してケース本体11に溶接される。リッド150の具体的な接合方法は特に限定されず、蓄電素子121や回路素子の特性、または所望の気密性等に応じて適宜選択することができる。リッド150が溶接された場合は、金属層131、シール部材141及びリッド150が一体化してケース本体11に接合された構成となり得る。
【0076】
正極配線16は、第1の正極配線部分16aと第2の正極配線部分16bから構成されている。第1の正極配線部分16aは、第1のキャビティ底面111aとケース底面11bの間に形成され、正極保護層18を介して蓄電素子121の正極に電気的に接続されている。第2の正極配線部分16bは、第2キャビティ底面112aとケース底面11bの間に形成されており、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の正極と接続される。正極配線16の第1のキャビティ底面111a側の端部は、正極保護層18によって被覆され、イオン伝導体による電解腐食から保護されている。
【0077】
負極配線17は、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。負極配線17は、金属層13、シール部材14及びリッド15を介して蓄電素子121の負極に電気的に接続されており、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の負極に電気的に接続される。
【0078】
なお、金属層131及びシール部材141は、第1のキャビティ111の周囲に形成されるとしたが、第2のキャビティ112の周囲にも形成されていてもよい。
【0079】
[モジュール用電源供給ユニットの作用効果]
上記構成を有するモジュール用電源供給ユニット10は、第2のキャビティ112に回路素子を配置し、リッドで封止することにより、モジュール100として機能させることが可能となる。即ち、モジュール用電源供給ユニット10を利用することにより、正極配線16及び負極配線17の電解腐食を防止することが可能なモジュール100を提供することができる。
【0080】
[ケースの構成]
図8はケース110の構成を示す断面図である。同図に示すようにケース110は、ケース本体11、正極配線16及び負極配線17を備える。ケース本体11は、液体又はゲル状のイオン伝導体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティ111と、蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。なお、ケース110の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0081】
正極配線16は、第1の正極配線部分16aと第2の正極配線部分16bから構成されている。第1の正極配線部分16aは、第1のキャビティ底面111aとケース底面11bの間に形成されている。第1の正極配線部分16aは、第1のキャビティ111に蓄電素子が配置されると、正極保護層18を介して蓄電素子121の正極に電気的に接続される。第2の正極配線部分16bは、第2キャビティ底面112aとケース底面11bの間に形成されており、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の正極と接続される。正極配線16の第1のキャビティ底面111a側の端部は、正極保護層18によって被覆され、イオン伝導体による電解腐食から保護されている。
【0082】
負極配線17は、ケース開口面11aと第2のキャビティ底面112aとを接続する。負極配線17は、第1のキャビティ111に蓄電素子が配置されると、蓄電素子の負極に電気的に接続され、第2のキャビティ112に回路素子が配置されると、回路素子の負極に電気的に接続される。
【0083】
[ケースの作用効果]
ケース110は、第1のキャビティ111に蓄電素子を、第2のキャビティ112に回路素子を、それぞれ配置し、かつ第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112をリッドで封止することにより、モジュール100として機能させることが可能となる。即ち、モジュール用電源供給ユニット10を利用することにより、正極配線16及び負極配線17の電解腐食を防止することが可能なモジュール100を提供することができる。
【0084】
[変形例]
図9は、本発明の変形例に係るモジュール200の構成を示す模式図である。なお、モジュール200の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。同図に示すように、負極配線217は、ケース開口面11aとケース底面11bとを接続する第1の負極配線部分217aと、第2のキャビティ底面112aとケース底面11bとを接続する第2の負極配線部分217bからから構成されていてもよい。第1の負極配線部分217aと第2の負極配線部分217bは直接に接続されないが、モジュール200が実装される実装基板に設けられた端子と接続され、実装基板を介して接続されるものとすることができる。
【0085】
この構成においても、正極配線16及び負極配線217は、上記モジュール100と同様にイオン伝導体による電解腐食から保護されている。また、正極配線16及び負極配線217がそれぞれケース100内で接続されていないため、イオン伝導体が配線を伝って回路素子122に到達することが防止され、即ち回路素子122のイオン伝導体による損傷を防止することが可能である。なお、この変形例は、モジュール用電源供給ユニット及びケースについて適用することも可能である。
【0086】
図10は、本発明の別の変形例に係るモジュール300の構成を示す模式図である。なお、モジュール300の構成のうち、上記モジュール100と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。同図に示すように、モジュール300は、部分的にケース底面11b上に配設された負極配線317を有していてもよい。この構成においても、正極配線16及び負極配線317は、上記モジュール100と同様にイオン伝導体による電解腐食から保護されている。なお、この変形例は、モジュール用電源供給ユニット及びケースについて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…モジュール用電源供給ユニット
11…ケース本体
13、131…金属層
14、141…シール部材
15、150…リッド
16…正極配線
17、217、317…負極配線
18…正極保護層
100、200、300…モジュール
110…ケース
111…第1のキャビティ
112…第2のキャビティ
121…蓄電素子
122…回路素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10