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特開2015-192054負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-192054(P2015-192054A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20151006BHJP
   H01F 29/02 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   H01F29/04 502L
   H01F29/04 502B
   H01F29/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-68635(P2014-68635)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】辻本 剛平
(57)【要約】
【課題】負荷時タップ切換装置の動作を停止させることなく、切換開閉器を構成する真空バルブの異常の有無を高い精度で検出する方法を提案する。
【解決手段】切換開閉器を構成する第1の真空バルブ及び第2の真空バルブを所定のシーケンスでオンオフ動作させるカム機構201の駆動軸4にオルダム継手701と絶縁軸702を介してロータリエンコーダREを取り付けて、該エンコーダの出力から三相の各真空バルブがオン動作した際の動作角速度を検出し、三相の第1の真空バルブがオフ動作した際の回転速度と三相の第2の真空バルブがオフ動作した際の回転速度との間に設定値以上の差があるときに、三相の第1及び第2の真空バルブのうち、オフ動作をした際の回転速度が速かった方の真空バルブの何れかに異常があることを検出する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ切換時にタップ選択器を通して流れる負荷電流を開閉する三相の第1の真空バルブとタップ切換時に流れる循環電流を制限する限流抵抗器の投入及び切り離しを行う三相の第2の真空バルブとを有する切換開閉器と、前記タップ選択器が奇数タップを選択している状態から偶数タップを選択する状態に切換える際に一方向に回転駆動され、前記タップ選択器が偶数タップを選択している状態から奇数タップを選択する状態に切換える際に他方向に回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸とともに回転させられる駆動カムと、前記三相の第1及び第2の真空バルブのそれぞれに対して設けられて前記駆動カムのカム面に当接させられたカムフォロアとを備えて、前記駆動軸が各方向に回転駆動される過程で、各カムフォロアの変位を対応する真空バルブの操作軸に伝達することにより前記三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブに予め定められたシーケンスで開閉動作を行わせる負荷時タップ切換装置の前記真空バルブの異常の有無を検出する方法であって、
前記駆動軸の回転角度を検出するロータリエンコーダを前記駆動軸に取り付けて、前記駆動軸が一方向または他方向に回転する際に前記エンコーダにより検出される前記駆動軸の回転角度と前記駆動軸が一方向または他方向に回転する際の経過時間とから、三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して両パラメータを比較し、
前記第1のパラメータと第2のパラメータとを比較した結果から、前記三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が遅かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出すること、
を特徴とする負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【請求項2】
前記第1のパラメータは、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の前記駆動軸の回転角度を、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた前記駆動軸の角速度であり、
前記第2のパラメータは、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の前記駆動軸の回転角度を、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた駆動軸の角速度である請求項1に記載の負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【請求項3】
前記第1のパラメータは、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間であり、前記第2のパラメータは、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間である請求項1に記載の負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【請求項4】
タップ切換時にタップ選択器を通して流れる負荷電流を開閉する三相の第1の真空バルブと、タップ切換時に流れる循環電流を制限する限流抵抗器の投入及び切り離しを行う三相の第2の真空バルブとを有する切換開閉器と、前記タップ選択器が奇数タップを選択している状態から偶数タップを選択する状態に切換える際に一方向に回転駆動され、前記タップ選択器が偶数タップを選択している状態から奇数タップを選択する状態に切換える際に他方向に回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸とともに回転させられる駆動カムと、前記三相の第1及び第2の真空バルブのそれぞれに対して設けられて前記駆動カムのカム面に当接させられたカムフォロアとを備えて、前記駆動軸が各方向に回転駆動される過程で、各カムフォロアの変位を対応する真空バルブの操作軸に伝達することにより前記三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブに予め定められたシーケンスで開閉動作を行わせる負荷時タップ切換装置の前記真空バルブの異常の有無を検出する方法であって、
前記駆動軸の回転角度を検出するロータリエンコーダを前記駆動軸に取り付けて、前記駆動軸が一方向または他方向に回転する際に前記エンコーダにより検出される前記駆動軸の回転角度と前記駆動軸が一方向または他方向に回転する際の経過時間とから、三相の第1の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して両パラメータを比較し、
前記第1のパラメータと第2のパラメータとを比較した結果から、前記三相の第1の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と三相の第2の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が速かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出すること、
を特徴とする負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【請求項5】
前記第1のパラメータは、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の前記駆動軸の回転角度を、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた前記駆動軸の角速度であり、前記第2のパラメータは、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の前記駆動軸の回転角度を、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた前記駆動軸の角速度である請求項4に記載の負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【請求項6】
前記第1のパラメータは、前記駆動軸が前記第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間であり、前記第2のパラメータは、前記駆動軸が前記第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間である請求項4に記載の負荷時タップ切換装置の切換開閉器用真空バルブの異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷時タップ切換装置の切換開閉器に設ける真空バルブの異常の有無を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、負荷時タップ切換装置は、タップ切換の過程で、タップ巻線の隣接タップの一方から他方へ負荷電流を切り換えるために切換開閉器を備えている。図5はこの種の負荷時タップ切換装置の1相分の構成を示したものである。同図において、Wmは変圧器の主巻線、Wtは主巻線に直列に接続されたタップ巻線、T1はタップ巻線Wtに設けられた奇数タップt1,t3,t5,…を選択する奇数タップ選択器、T2はタップ巻線Wtに設けられた偶数タップt2,t4,t6,…を選択する偶数タップ選択器である。
【0003】
また図5において、V1はタップ切換時にタップ選択器T1,T2を通して流れる負荷電流を開閉する第1の真空バルブで、真空バルブV1の一端は変圧器の中性点Nに接続され、他端は切換スイッチSWを介して奇数タップ選択器T1及び偶数タップ選択器T2に選択的に接続される。Rはタップ切換時に流れる循環電流を制限する限流抵抗器、V2は限流抵抗器Rの投入及び切り離しを行う第2の真空バルブで、第2の真空バルブV2の一端は中性点Nに接続され、他端は限流抵抗器Rを通して奇数タップ選択器T1に接続されている。このタップ切換装置においては、第1及び第2の真空バルブV1及V2と切換スイッチSWとにより、切換開閉器が構成されている。
【0004】
図5に示した負荷時タップ切換装置において、奇数タップが選択されているときには、切換スイッチSWの可動接点が奇数タップ選択器T1に接続された固定接点S1側に切り換えられて(切換スイッチSWが奇数タップ選択器T1側に切り換えられて)、図示のように真空バルブV1及びV2が閉状態にされる。また偶数タップが選択されているときには、切換スイッチSWの可動接点が偶数タップ選択器T2に接続された固定接点S2側に切り換えられて(切換スイッチSWが偶数タップ選択器T2側に切り換えられて)、真空バルブV1が閉状態にされ、真空バルブV2が開状態にされる。
【0005】
タップを奇数タップから偶数タップに切り換える場合、例えば切換スイッチSWがタップ選択器T1側に切り換えられ、真空バルブV1及びV2が閉状態にされてタップt1が選択されている状態で、タップをt1からt2に切り換える場合には、先ず真空バルブV1を開状態にして負荷電流を限流抵抗器Rに移す。この状態で、切換スイッチSWをタップ選択器T2側に無アークで切り換えた後、真空バルブV1を閉状態にし、更に真空バルブV2を開状態にしてタップ切換を終了する。切換スイッチSWをタップ選択器T2側に切り換えて真空バルブV1を閉状態にした際には、タップt1,t2間を通して循環電流が流れるが、この短絡電流は限流抵抗器Rにより制限される。
【0006】
またタップを偶数タップから奇数タップに切り換える場合、例えば切換スイッチSWをタップ選択器T2側に切り換えた状態で真空バルブV1及びV2をそれぞれ閉状態及び開状態にしてタップt2を選択している状態で、タップをt2からt3に切り換える場合には、先ずタップ選択器T1によりタップt3 を選択した後、真空バルブV2を閉状態にして限流抵抗器Rをタップ選択器T1を通してタップt3に接続し、真空バルブV1を開状態にして負荷電流を限流抵抗器Rに移す。次いで切換スイッチSWをタップ選択器T1側に無アークで切り換えた後、真空バルブV1を閉状態にしてタップ切換を終了する。
【0007】
上記のように、負荷時タップ切換装置においては、タップ選択器T1,T2の動作と関連させて切換開閉器を構成する真空バルブV1,V2及び切換スイッチSWを所定のシーケンスで動作させることによりタップ切換を行う。
【0008】
図5に示された負荷時タップ切換装置がタップを奇数タップから偶数タップに切り換える際の真空バルブV1,V2及び切換スイッチSWの動作のシーケンスを図6に示し、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際の真空バルブV1,V2及び切換スイッチSWの動作のシーケンスを図7に示した。
【0009】
図6及び図7において、下段に示した回路構成図(A)ないし(F)は、真空バルブV1,V2及び切換スイッチSWの状態を動作の順に示した回路構成図であり、これらの回路構成図においては、負荷電流が流れている回路が太線で示されている。また図6及び図7において、真空バルブV1,V2及び切換スイッチSWの動作を順に示した回路構成図の上方に示された4つの棒グラフは、真空バルブV1及びV2と切換スイッチSWの動作のシーケンスを時間の経過に対して示している。これらのグラフのうち、左端にV1及びV2の表示がされた2つのグラフはそれぞれ真空バルブV1及びV2の動作のシーケンスを示しており、これらのグラフにおいて、斜線が施された期間の間、真空バルブV1及びV2がオン状態にされる。
【0010】
また図6及び図7において、左端にS1及びS2の表示がされた棒グラフは、切換スイッチSWの動作のシーケンスを示したもので、左端にS1の表示がされたグラフにおいて斜線が施された期間の間、切換スイッチSWの可動接点が固定接点S1側に切り換えられ、左端にS2の表示がされたグラフにおいて斜線が施された期間の間、切換スイッチSWの可動接点が固定接点S2側に切り換えられることを示している。図6及び図7の動作シーケンスの詳細な説明は省略する。
【0011】
この種の負荷時タップ切換装置においては、第1及び第2の真空バルブV1及びV2を動作させるために真空バルブ操作機構が設けられる。この操作機構は、特許文献1にも示されているように、モータにより蓄勢される蓄勢バネを備えた回転駆動装置と、回転駆動装置により駆動されて一方向及び他方向に回転させられる駆動軸と、この駆動軸により駆動されるカム機構とにより構成される。カム機構は、駆動軸に取り付けられた駆動カムと、第1及び第2の真空バルブに対してそれぞれ設けられて駆動カムのカム面に当接された第1及び第2のカムフォロアと、駆動カムの回転に伴って生じる第1及び第2のカムフォロアの変位をそれぞれ第1及び第2の真空バルブの可動電極棒に伝達する変位伝達機構とを備えていて、駆動カムの回転に伴って生じる第1及び第2のカムフォロアの変位をそれぞれ第1及び第2の真空バルブの可動電極棒に伝達することにより、第1及び第2の真空バルブをオンオフ操作する。第1及び第2の真空バルブとともに切換開閉器を構成する切換スイッチSWは、駆動軸により操作されて、該駆動軸の回転角度位置が所定の位置に達したときに切換動作を行う。
【0012】
この種の駆動機構部においては、タップを奇数タップから偶数タップに切り換える際に駆動軸が一方向に所定の回転角度(例えばほぼ90°)回転させられ、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際に駆動軸が他方向に所定の回転角度(例えばほぼ90°)回転させられる。駆動軸が一方向に所定の角度回転する間に、タップを奇数タップから偶数タップに切り換える際の真空バルブV1及びV2のオンオフ動作と切換スイッチSWの切換動作とが所定のシーケンスで行われ、駆動軸が他方向に所定の角度回転する間に、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際の真空バルブV1及びV2のオンオフ動作と切換スイッチSWの切換動作とが所定のシーケンスで行われる。
【0013】
真空バルブの電流遮断性能を維持するためには、真空容器内の真空度を所定の範囲に保つことが必要である。ところが、真空容器の真空度は、真空バルブの劣化に伴って低下していくのを避けられない。真空容器の真空度の低下が許容限度を超えると、満足な電流遮断性能を得ることができなくなるため、真空バルブは、その劣化がある程度進んだ段階で、交換することが必要である。
【0014】
真空バルブの劣化が経年劣化である場合には、交換時期を予測できるため、真空バルブを交換する時期の管理は容易に行うことができるが、真空バルブの劣化は経年劣化に限られるものではなく、何らかの原因により特定の真空バルブの劣化が急速に進んで、負荷電流の遮断を正常に行うことができなくなることがある。従って、切換開閉器のスイッチ手段として真空バルブを用いた負荷時タップ切換装置のメンテナンスを適確に行うためには、真空バルブに異常が生じていないか否かのチェックを随時行うことが必要である。
【0015】
真空バルブの異常の有無を見る方法として、各真空バルブの検査を定期的に行うことが考えられるが、各真空バルブの検査を行うためには、負荷時タップ切換装置の運転を停止させて、その本体をケースから取り出して分解する必要があるだけでなく、停電を回避するための措置を講じる必要があるため甚だ面倒である。そこで、特許文献2に示されているように、真空バルブを駆動するカム機構の駆動軸に取り付けた回転センサの出力から真空バルブがオン動作またはオフ動作を行う際の動作速度を検出して、その検出値を基準値と比較することにより真空バルブの異常の有無を検査する方法が提案されている。
【0016】
真空バルブにおいては、真空容器の内外の圧力差により、可動電極を固定電極側に付勢する力が常時働いており、この力が真空バルブの動作速度に影響を与える。真空バルブがオン動作を行う際には、真空容器の内外の圧力差により可動電極に働く力が可動電極の固定電極側への変位を助ける働きをするため、真空バルブの劣化が進んでその真空容器内の真空度が低下すると(真空容器の内外の圧力差が小さくなると)、真空バルブがオン動作を行う際の動作速度が遅くなる。これに対し、真空バルブがオフ動作を行う際には、真空容器の内外の圧力差により可動電極に働く力が、固定電極から離れる側への可動電極の変位を妨げる働きをするため、真空容器内の真空度が低下して真空容器の内外の圧力差が小さくなると、真空バルブがオフ動作を行う際の動作速度が速くなる。従って、特許文献2に示されたように、真空バルブがオン動作またはオフ動作を行う際の動作速度を検出して、その検出値を基準値と比較するようにすれば、真空バルブの異常の有無を検出することが可能である。
【0017】
また特許文献3に示されているように、負荷時タップ切換装置の内部回路に直流電流を流して、タップ切換動作を行わせた際の直流電流の波形を観測することにより、真空バルブの異常の有無を判定することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−319975号公報
【特許文献2】特開2008−91393号公報
【特許文献3】特開2000−208340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特許文献2に示されているように、真空バルブを操作するカム機構の駆動軸の回転角度から真空バルブの動作速度を検出して、その検出値を基準値と比較することにより真空バルブの異常の有無を検出するようにすれば、負荷時タップ切換装置の運転を停止させることなく,真空バルブの異常の有無を検出することができる。しかしながら、特許文献2に示された方法では、検出した真空バルブの動作速度と比較する基準値の設定の仕方により検出精度にばらつきが生じるため、異常の検出の信頼性を高めることが困難である。
【0020】
また特許文献3に示されたように、負荷時タップ切換装置の内部回路に直流電流を流して、タップ切換動作を行わせた際の直流電流の波形を観測する方法によった場合には、真空バルブの検査を行う際に負荷時タップ切換装置の本体をケースから取り出す必要はないが、負荷時タップ切換装置の内部回路に直流電流を流す際には、その運転を停止させる必要があるため、停電を回避するための措置を講じることが必要になり、好ましくない。
【0021】
本発明の目的は、負荷時タップ切換装置の切換開閉器を構成する真空バルブの異常の有無の検出を、負荷時タップ切換装置の運転を停止させることなく、かつ検出したパラメータと設定の的確性が問われる基準値との比較を行うことなく、高い精度で行うことができるようにした負荷時タップ切換装置の切換開閉器構成用真空バルブの異常検出方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、タップ切換時にタップ選択器を通して流れる負荷電流を開閉する三相の第1の真空バルブと、タップ切換時に流れる循環電流を制限する限流抵抗器の投入及び切り離しを行う三相の第2の真空バルブとを有する切換開閉器と、タップ選択器が奇数タップを選択している状態から偶数タップを選択する状態に切換える際に一方向に回転駆動され、前記タップ選択器が偶数タップを選択している状態から奇数タップを選択する状態に切換える際に他方向に回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸とともに回転させられる駆動カムと、前記三相の第1及び第2の真空バルブのそれぞれに対して設けられて前記駆動カムのカム面に当接させられたカムフォロアとを備えて、前記駆動軸が各方向に回転駆動される過程で、各カムフォロアの変位を対応する真空バルブの操作軸に伝達することにより前記三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブに予め定められたシーケンスで開閉動作を行わせる負荷時タップ切換装置の真空バルブの異常の有無を検出する方法に係るものである。
【0023】
本発明の一態様においては、駆動軸の回転角度を検出するロータリエンコーダを該駆動軸に取り付けて、駆動軸が一方向または他方向に回転する際にロータリエンコーダにより検出される駆動軸の回転角度と駆動軸が一方向または他方向に回転する際の経過時間とから、三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して両パラメータを比較し、第1のパラメータと第2のパラメータとを比較した結果から、三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が遅かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出する。
【0024】
三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブに異常がなく、第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの劣化が経年劣化のみである場合には、三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)と、三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)との間には殆ど差が生じることがなく、差が生じたとしても僅かである。これに対し、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの何れか一方に、劣化が進んで真空度が異常に低下した真空バルブが含まれている場合には、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの内、異常な真空バルブが含まれている方がオン動作を行う際の駆動軸の回転速度が遅くなり、三相の第1の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)と、三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)との間に顕著な差が生じる。
【0025】
従って、上記のように、第1の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度と第2の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オン動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が遅かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出するようにすると、真空バルブに異常が生じているか否かの判定を正確に行うことができる。
【0026】
上記第1のパラメータは、駆動軸が第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸の既知の回転角度を、駆動軸が第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた駆動軸の角速度とすることができ、上記第2のパラメータは、駆動軸が第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸の既知の回転角度を、駆動軸が第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた駆動軸の角速度とすることができる。
【0027】
また上記第1のパラメータは、駆動軸が第1の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間とすることがで、第2のパラメータは、駆動軸が第2の真空バルブのオン動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間とすることができる。
【0028】
本発明の他の態様では、駆動軸の回転角度を検出するロータリエンコーダを駆動軸に取り付けて、駆動軸が一方向または他方向に回転する際にエンコーダにより検出される駆動軸の回転角度と駆動軸が一方向または他方向に回転する際の経過時間とから、三相の第1の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して両パラメータを比較し、第1のパラメータと第2のパラメータとを比較した結果から、第1の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と第2の真空バルブがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が速かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出する。
【0029】
三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブに異常がなく、第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの劣化が経年劣化のみである場合には、三相の第1の真空バルブがオフ動作を開始してからそのオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)と、三相の第2の真空バルブがオフ動作を開始してからそのオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)との間には殆ど差が生じることがなく、差が生じたとしても僅かである。これに対し、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの何れか一方に劣化が進んだ異常な真空バルブが含まれている場合には、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの内、異常な真空バルブが含まれている方がオフ動作を行う際の駆動軸の回転速度が速くなり、三相の第1の真空バルブがオフ動作を開始してからそのオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)と、三相の第2の真空バルブがオン動作を開始してからそのオン動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度(平均回転速度)との間に顕著な差が生じる。
【0030】
従って、上記のように、第1の真空バルブがオフ動作を開始してからそのオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度と第2の真空バルブがオフ動作を開始してからそのオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度が速かった方の三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出することにより、真空バルブに異常が生じているか否かの判定を正確に行うことができる。
【0031】
上記第1のパラメータは、駆動軸が第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸の回転角度を、駆動軸が第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた駆動軸の角速度(回転速度)とすることができ、第2のパラメータは、駆動軸が第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸の回転角度を駆動軸が第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間で除することにより求めた駆動軸の角速度(回転速度)とすることができる。
【0032】
また上記第1のパラメータは、駆動軸が第1の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間とすることができ、第2のパラメータは、駆動軸が第2の真空バルブのオフ動作を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1及び第2の真空バルブを駆動する駆動軸に取り付けたロータリエンコーダの出力と経過時間とから三相の第1の真空バルブがオン動作(またはオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブがオン動作(またはオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して、これらのパラメータを比較することにより、第1の真空バルブがオン動作(またはオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と第2の真空バルブがオン動作(またはオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オン動作(またはオフ動作)を開始してからそのオン動作(またはオフ動作)を終了するまでの間の駆動軸の回転速度が遅かった方の(または速かった方の)三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出するようにしたので、第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのそれぞれの動作速度を設定の的確性が問われる基準値と比較する過程を行うことなく、真空バルブに異常が生じているか否かの判定を正確に行うことができる。
【0034】
また第1のパラメータの検出及び第2のパラメータの検出は、負荷時タップ切換装置の運転を停止させることなく、随時行うことができるため、負荷時タップ切換装置を分解したり、負荷時タップ切換装置の運転を停止させたりすることなく、真空バルブの異常の有無を常時モニタすることができ、負荷時タップ切換装置の運転中に一部の真空バルブの異常が突然生じた場合にも対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態において、負荷時タップ切換装置の切換開閉器の駆動軸にロータリエンコーダを取り付けた状態を示した縦断面図である。
図2】(A)ないし(D)はそれぞれ、切換開閉器の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブを駆動するカム機構の動作シーケンスの第1ないし第4の過程における動作状態を動作順に示した動作説明図である。
図3】(A)ないし(D)はそれぞれ、切換開閉器の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブを駆動するカム機構の動作シーケンスの第5ないし第8の過程における動作状態を動作順に示した動作説明図である。
図4】A)ないし(D)はそれぞれ、切換開閉器の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブを駆動するカム機構の動作シーケンスの第9ないし第12の過程における動作状態を動作順に示した動作説明図である。
図5】本発明が対象とする負荷時タップ切換開閉器の一相分の電気的構成の一例を示した回路図である。
図6図5に示した負荷時タップ切換開閉器において、タップを奇数タップから偶数タップに切り換える際の動作を示した動作説明図である。
図7図5に示した負荷時タップ切換開閉器において、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際の動作を示した動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、負荷時タップ切換装置の要部を示したもので、同図において、1は切換開閉器室のケース、2は、ケース1内に配置されて該ケースに対して固定されたフレーム200に、切換開閉器を構成する第1及び第2の真空バルブと、切換スイッチと、第1及び第2の真空バルブを駆動するカム機構201とを支持して構成した切換開閉装置、4はフレーム200に回転自在に支持されて、切換開閉装置のカム機構と切換スイッチとを駆動する駆動軸である。また5は、ケース1内の下部に配置されて、バネを駆動源として駆動軸4を一方向及び他方向に一定角度回転駆動する回転駆動装置、6は、回転駆動装置5のバネを蓄勢するために、図示しないモータが発生する動力を回転駆動装置5の入力軸501に伝達する動力伝達機構である。
【0037】
図示の動力伝達機構6は、図示しないモータの回転を減速する減速機600と、減速機600の出力軸にユニバーサルジョイント601を介して一端が接続された絶縁軸602と、絶縁軸602の他端にユニバーサルジョイント603を介して接続された回転軸604に取り付けられた歯車605と、回転駆動装置5の入力軸501に取り付けられて歯車605に噛み合わされた歯車606とを備えている。ケース1内にはまた、切換開閉装置2の上方に位置させて限流抵抗器Rが収容されている。
【0038】
切換開閉装置2は、図5に示されたように、タップ切換時にタップ選択器を通して流れる負荷電流を開閉する三相の第1の真空バルブV1と、タップ切換時に流れる循環電流を制限する限流抵抗器Rの投入及び切り離しを行う三相の第2の真空バルブV2と、第1の真空バルブV1を奇数タップ選択器T1に接続した状態と偶数タップ選択器T2に接続した状態とを切り換える三相の切換スイッチSWとを備えている。図1においては、切換開閉装置2に設けられる真空バルブ及び切換スイッチのうち、U相の第1の真空バルブV1uと、U相の切換スイッチSW のみが図示されている。実際には、駆動軸4の回りにU,V,W三相の第1の真空バルブV1uないしV1wが120°間隔で配置され、これらの真空バルブの側方に、三相の第2の真空バルブV2uないしV2wが120°間隔で配置されている。また駆動軸4の回りにU,V,W三相の切換スイッチSWが配置されている。
【0039】
各真空バルブは、内部が真空状態に保持される真空容器210と、真空容器210内に収容された固定電極及び可動電極(図示せず。)と、真空容器210にスライド自在に支持されて先端が可動電極に接続された可動電極棒211と、真空容器210内の真空度を保つために真空容器210と可動電極棒211との間に設けられたベローズ212と、可動電極と固定電極との接圧を得るために可動電極棒211を付勢する加圧バネ213とを備えていて、可動電極棒211に操作力が与えられていないときに可動電極が固定電極に接触した状態(オン状態)を保持し、加圧バネ213の付勢力に抗して可動電極棒211を真空容器210から引き出す方向に操作した際に可動電極が固定電極から離れてオフ状態になる。
【0040】
真空バルブを駆動するカム機構201は、三相の第1及び第2の真空バルブに対して共通に設けられて駆動軸4に取り付けられた駆動カム20と、三相の第1の真空バルブV1u〜V1wにそれぞれ対応して設けられて、切換開閉装置のフレーム200に中間部(角部)がピンを介して支持された回動自在なL形の駆動レバー202u〜202w(図1には202v及び202wを図示せず。)と、これらの駆動レバーの一端に回転自在に支持されたカムフォロア21u〜21w(図1には21v及び21wを図示せず。)とを備えている。L形の駆動レバー202u〜202wの他端は、第1の真空バルブV1u〜V1w(図1にはV1v及びV1wを図示せず。) の可動電極棒211にピボット結合されている。図1には図示してないが、カム機構201にはまた、三相の第2の真空バルブV2u〜V2wにそれぞれ対応して設けられて、フレーム200に対して回動自在に支持されたL形の駆動レバーと、これらの駆動レバーの一端に回転自在に支持されたカムフォロアとが設けられて、これらの駆動レバーの他端が第2の真空バルブの可動電極棒にピボット結合されている。
【0041】
駆動カム20の外周には、120°間隔で配置された3つの凸部とこれらの凸部の間をつなぐように設けられた円筒面からなるカム面が形成され、このカム面に各カムフォロアが当接されている。駆動カム20が回転駆動される過程でそのカム面の凸部が各真空バルブに対して設けられたカムフォロアを押してL形駆動レバーを回動させることにより、各真空バルブをオフ状態にする。
【0042】
上記駆動カム20を駆動する駆動軸4は、タップを奇数タップから偶数タップに切り換える際に回転駆動装置5に設けられたバネにより、設定された第1の位置から第2の位置に向けて一気に回動させられ、この間に三相の第1及び第2の真空バルブが所定のシーケンスでオンオフさせられる。駆動軸4はまた、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際に回転駆動装置5に設けられたバネにより、設定された第2の位置から第1の位置に向けて一気に回動させられて、この間に三相の第1及び第2の真空バルブが所定のシーケンスでオンオフさせられる。
【0043】
図示しないモータから動力伝達装置6を通して与えられる動力により回転駆動装置5のバネが蓄勢されるまでの間、駆動軸4を回転開始位置(第1の位置又は第2の位置)に拘束して、駆動軸4の回転を阻止するために、ストッパ機構3が設けられている。図示のストッパ機構3は、駆動カム20に固定された補助カム31と、フレーム200に対して回動自在に支持されたL形レバー32と、L形レバー32の一端に取り付けられて補助カム31のカム面に当接された補助カムフォロア33と、補助カムフォロア33を補助カム31のカム面に押し付ける側にL形レバー32を付勢するバネ34とを備えている。補助カム31は、カム面を側面に有する板状の部材からなっていて、そのカム面を駆動カム20のカム面と同じ側に向けた状態で、駆動カム20の上に固定されている。補助カム31のカム面には、駆動軸4が第1の位置にあるときに補助カムフォロア33に係合して駆動軸4の第2の位置側への回動を妨げる山形の突起からなる第1のストッパ部と、駆動軸4が第2の位置にあるときに補助カムフォロア33に係合して駆動軸4の第1の位置側への回動を妨げる山形の突起からなる第2のストッパ部とが設けられている。
【0044】
各相の切換スイッチSWは、駆動軸4に固定された可動接触子210と、駆動軸4の回転方向に間隔をあけた状態でフレーム200に支持されて、可動接触子210が選択的に接触する奇数タップ側固定接点S1及び偶数タップ側固定接点S2(図1には奇数タップ側固定接点S1のみが図示されている。)とにより構成されている。図示してないが、三相分の切換スイッチSWが駆動軸4の回りに120°間隔で配置されている。
【0045】
本実施形態では、駆動軸4の上端にオルダム継手701を介して絶縁軸702の下端が結合され、絶縁軸702の上端は、ケース1の上端の開口部を閉じるカバー板100に取り付けられた軸受け703により回転自在に支持されている。軸家703を通して上方に導出された絶縁軸702の上端にアブソリュート型のロータリエンコーダREの回転軸が結合されている。カバー板100には、ロータリエンコーダREを覆うカバー705が取り付けられている。
【0046】
切換開閉装置の動作についての理解を容易にするため、カム機構201と、第1及び第2の真空バルブV1u〜V1w及びV2u〜V2wと、ストッパ機構3とからなる操作機構部の要部の構成及び動作を、図2ないし図4の動作説明図を用いて説明しておく。
【0047】
図2ないし図4において、駆動カム20は、板面を駆動軸4と直交させた板状の部材からなっていて、その軸芯部に設けられた孔に駆動軸4を嵌合させてキー止めした状態で駆動軸4に固定されている。駆動カム20の外周には、120°間隔で配置された3つの凸部20uないし20wと、これらの凸部20u,20v及び20w相互間をつなぐように設けられた円筒面とからなるカム面20aが形成されている。
【0048】
駆動カム20の周囲にはU相ないしW相の第1の真空バルブV1u〜V13が120°間隔で並べて配置され、これら第1の真空バルブの側方に、U相ないしW相の第2の真空バルブV2uないしV2wが同じく120°間隔で並べて配置されている。
【0049】
図2ないし図4において、21u〜21wはそれぞれ三相の第1の真空バルブV1u〜V1wに対して設けられて駆動カム20の周囲に120°間隔で並べて配置されたカムフォロアであり、22u〜22wは、三相の第2の真空バルブV2u〜V2wに対して設けられて、120°間隔で並べてカムフォロア21u〜21wの側方に配置されたカムフォロアである。これらのカムフォロアは、対応する真空バルブの可動電極棒を固定電極側に付勢する加圧バネにより駆動カム20のカム面20aに押し当てられている。カムフォロア21u〜21w及び22u〜22wは、駆動カム20の凸部20uないし20wに乗り上げていく過程で、駆動軸4から離れる側に変位させられ、駆動カム20の凸部20uないし20wから降りていく過程で駆動軸に近づく側に変位させられる。
【0050】
カムフォロア21u〜21w及び22u〜22wは、L形レバーにより構成された変位伝達機構を介して対応する真空バルブV1u〜V1w及びV2u〜V2wの可動電極棒211(図1参照)に連結されていて、カムフォロア21u〜21w及び22u〜22wがそれぞれ駆動カム20の凸部20uないし20wに乗り上げて駆動軸4から離れる側に変位していく過程で対応する真空バルブをオン状態からオフ状態にする動作(オフ動作)が行われ、カムフォロア21u〜21w及び22u〜22wがそれぞれ駆動カム20の凸部20uないし20wから降りていく過程で対応する真空バルブをオフ状態からオン状態にする動作(オン動作)が行われる。
【0051】
駆動軸4を駆動する回転駆動装置5に設けられた蓄勢機構の蓄勢が完了するまでの間駆動軸を停止させておくストッパ機構を構成するため、前述のように、駆動カム20の上に補助カム31が固定されている。補助カム31は、ほぼ円筒面状を呈するカム面31aを側面に有する板状の部材からなっていて、そのカム面31aを駆動カム20のカム面20aと同じ側に向けた状態で駆動カム20の上に重ねて配置されて、ボルト32により駆動カム20に固定されている。補助カム31のカム面31aは、駆動軸4がタップを奇数タップから偶数タップに切り換える際の初期位置から一方向(時計方向)に一定角度回転したときに、図2(B)に示したように、補助カムフォロア33に係合して駆動軸4の一方向への回転を妨げる第1のストッパ部31a1と、駆動軸4がタップを偶数タップから奇数タップに切り換える際の初期位置から他方向(反時計方向)に一定角度回転したときに、補助カムフォロア33に係合して、駆動軸4の他方向への回転を妨げる第2のストッパ部31a2とを有している。ストッパ部31a1及び31a2は山形の突起からなっていて、蓄勢バネから駆動軸4及び駆動カム20を通して与えられる力により補助カムフォロア33がこれらのストッパ部を乗り越えるまでの間、駆動軸4を拘束してその回転を阻止する。
【0052】
タップを奇数タップから偶数タップに切り換える際には、駆動軸4を図2(A)に示した初期位置(θ=0)から時計方向に回転させる。図2(A)に示した状態では、第1の真空バルブV1u〜V1w及び第2の真空バルブV2u〜V23にそれぞれ対応するカムフォロアが駆動カムの凸部から離れているため、これらの真空バルブが共にオン状態にある。また切換スイッチSWの可動接点は固定接点S1側(奇数タップ側)に切り換えられている。切換スイッチSWの可動接点は固定接点S1側に切り換えられている状態をS1がオンの状態と呼ぶことにする。
【0053】
駆動軸4が初期位置から時計方向に一定角度回転して図2(B)に示す状態(θ=θ1)になると、補助カムフォロア33が補助カム31のストッパ部31a1に当たり、駆動軸4の回転が阻止される。駆動軸の回転が阻止されている間にモータにより蓄勢機構の蓄勢が行われる。蓄勢機構の蓄勢が完了すると、補助カムフォロア33がストッパ部31a1から離れて駆動軸が時計方向に一気に回転させられる。この回転の過程で、駆動軸4が図2(C)に示した位置(θ=θ2)まで回転すると、駆動カム20の凸部20u〜20wがカムフォロア21u〜21wを変位させて、第1の真空バルブV1u〜V1w のオフ動作を開始させ、駆動軸4が図2(D)に示した位置(θ=θ3)まで回転すると、第1の真空バルブV1u〜V1w のオフ動作を完了させる。このとき第2の真空バルブV2u〜V2wはオン状態のままであり、切換スイッチSWは固定接点S1側に切り換えられたまま(S1オンの状態のまま)である。
【0054】
駆動軸4が更に回転して図3(A)に示した位置(θ=θ4)に達すると、切換スイッチSWの可動接点が固定接点S1から離れて、切換スイッチSWがオフ状態(可動接点が固定接点S1及びS2の何れにも接触しない状態)になる。このとき第1の真空バルブV1u〜V1wはオフ状態のままであり、第2の真空バルブV2u〜V2wはオン状態のままである。
【0055】
駆動軸4が更に回転して図3(B)に示した位置(θ=θ5)に達すると、切換スイッチSWの可動接点が固定接点S2に接触した状態になる。このとき第1の真空バルブV1u〜V1wはオフ状態のままであり、第2の真空バルブV2u〜V2wはオン状態のままである。
【0056】
駆動軸4が更に回転して図3(C)の位置(θ=θ6)に達すると、駆動カム20の凸部20u〜20wがカムフォロア21u〜20wとの接触を開始するため、第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作が開始される。このとき第2の真空バルブV2u〜V2wはオン状態のままであり、切換スイッチSWは、固定接点S2側(偶数タップ側)に切り換えられたまま(S2オン状態のまま)である。
【0057】
駆動軸4が更に回転して図3(D)の位置(θ=θ7)に達すると、第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作が完了する。このとき第2の真空バルブV2u〜V2wはオン状態のままであり、切換スイッチSWは、固定接点S2側に切り換えられたままである。
【0058】
駆動軸4が更に回転して図4(A)の位置(θ=θ8)に達すると、駆動カム20の凸部20u〜20wがカムフォロア22u〜22wとの接触を開始するため、第2の真空バルブV2u〜V2wのオフ動作が開始される。このとき第1の真空バルブV1u〜V1wはオン状態のままであり、切換スイッチSWは、固定接点S2側(偶数タップ側)に切り換えられたまま(S2オンの状態のまま)である。
【0059】
駆動軸4が更に回転して図4(B)の位置(θ=θ9)に達すると、第2の真空バルブV2u〜V2wのオフ動作が完了する。このとき第1の真空バルブV1u〜V1wはオン状態のままであり、切換スイッチSWは、固定接点S2側(偶数タップ側)に切り換えられたままである。
【0060】
駆動軸4が更に回転して図4(C)の位置(θ=θ10)に達すると、補助カムフォロア33が補助カムの第2のストッパ部31a2に当たる。補助カムフォロア33が補助カムの第2のストッパ部31a2を乗り越え、駆動カム20が更に回転して図4(D)の最終位置(θ=θ11)に達すると、奇数タップから偶数タップへの切換動作が終了する。
【0061】
タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際には、図4(D)に示す状態から駆動軸を反時計方向に回転させて上記と逆の動作を行わせる。駆動軸を反時計方向に回転させた際には、駆動軸の回転角度位置がθ=θ10の位置(図4Cの位置)に達したときに補助カムフォロア33がストッパ部31a2に当たり、蓄勢バネが蓄勢される。次いで駆動軸4が反時計方向に一気に回転する過程のθ=θ9の位置(図4Bの位置)で第2の真空バルブV2u〜V2wのオン動作が開始され、θ=θ8の位置(図4Aの位置)で第2の真空バルブV2u〜V2wのオン動作が完了する。またθ=θ7の位置(図3Dの位置)で第1の真空バルV1u〜V1wのオフ動作が開始され、θ=θ6の位置(図3Cの位置)で第1の真空バルV1u〜V1wのオフ動作が完了する。またθ=θ3の位置(図2Dの位置)で第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作が開始され、θ=θ2の位置(図2Cの位置)で第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作が終了する。
【0062】
本発明に係る異常検出方法は、上記のような構成を有するカム機構により操作される切換開閉器を備えた負荷時タップ切換装置において、切換開閉器を構成する第1の真空バルブV1u〜V1w及び第2の真空バルブV2u〜V2wの中に、直ちに交換又は修理を要する異常(経年劣化とは異なる異常な劣化)が生じているものがあるか否かを、負荷時タップ切換装置の運転を停止させることなく検出する方法である。
【0063】
負荷時タップ切換装置の切換開閉器を構成する真空バルブは、内部が真空に保たれた真空容器(バルブ)内に固定電極と可動電極とからなる主回路開閉部を収容した構造を有するため、真空バルブの可動電極と固定電極との間には、真空容器の内外の圧力差により、可動電極を固定電極側に付勢する向きの力が常時作用している。この力は、真空バルブのオフ動作を行わせる際に、可動電極の開極位置に向けた変位を妨げるように働き、真空バルブのオン動作を行わせる際には、可動電極の閉極位置に向けての変位を助けるように働く。真空容器内の真空度が低下していくと、真空容器の内外の圧力差により、可動電極を固定電極側に付勢する力が弱くなって行く。一般に真空バルブを操作する操作機構が発生する操作力は一定であるため、真空バルブの劣化が進んで、真空容器の内外の圧力差により可動電極を固定電極側に付勢する力が弱くなって行くと、その動作速度が変化する。即ち、真空バルブの劣化が進んで、真空容器の真空度が低下すると、真空バルブがオン動作を行う際の動作速度が遅くなり、真空バルブがオフ動作を行う速度が速くなる。
【0064】
本発明の検出方法においては、駆動軸4の回転角度を検出するアブソリュート型のロータリエンコーダREを駆動軸4に絶縁軸702を介して取り付けて、駆動軸4が一方向または他方向に回転する際にロータリエンコーダREにより検出される駆動軸の回転角度と駆動軸が一方向または他方向に回転する際の経過時間とから、三相の第1の真空バルブV1u〜V1wがオン動作(又はオフ動作)を開始してからそのオン動作(又はオフ動作)を終了するまでの間の駆動軸4の回転速度の情報を含む第1のパラメータと、三相の第2の真空バルブV2u〜V2wがオン動作(又はオフ動作)を開始してからそのオン動作(又はオフ動作)を終了するまでの間の駆動軸の回転速度の情報を含む第2のパラメータとを検出して両パラメータを比較する。次いで、上記第1のパラメータと第2のパラメータとを比較した結果から、三相の第1の真空バルブV1u〜V1wがオン動作(又はオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度と三相の第2の真空バルブV2u〜V2wがオン動作(又はオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸の回転速度との間にしきい値以上の差があると判定されたときに、三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブのうち、オン動作(又はオフ動作)を開始してから終了するまでの間の駆動軸4の回転速度が遅かった方の(又は速かった方の)三相の真空バルブの何れかに異常があることを検出する。
【0065】
上記第1のパラメータとしては、駆動軸4が第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸の回転角度(既知の角度)αを、駆動軸4が第1の真空バルブのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間Δtで除することにより求めた駆動軸4の平均角速度(α/Δt)を用いてもよく、駆動軸4が第1の真空バルブV1u〜V1wのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置までの一定の角度αの区間を回転するのに要した時間Δtを用いてもよい。
【0066】
同様に、上記第2のパラメータとしては、駆動軸4が第2の真空バルブV2u〜V2wのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置まで回転する間の駆動軸4の回転角度(既知の角度)α′を、駆動軸4が第2の真空バルブV2u〜V2wのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間Δt′で除することにより求めた駆動軸4の平均角速度(α′/Δt′)を用いてもよく、駆動軸4が第2の真空バルブV2u〜V2wのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置までの一定の角度α′の区間を回転するのに要した時間Δt′を用いてもよい。
【0067】
例えば、駆動軸4が一方向に回転する過程で、三相の第1の真空バルブV1u〜V1wがθ=θ2の位置でオフ動作を開始してからθ=θ3の位置でオフ動作を完了するまでの間の駆動軸の平均角速度と、三相の第2の真空バルブV2u〜V2wがθ=θ8の位置でオフ動作を開始してからθ=θ9の位置でオフ動作を終了するまでの間の駆動軸の平均角速度との間にしきい値以上の差があって、第1の真空バルブV1u〜V1wがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の平均角速度(α/Δt)が、第2の真空バルブV2u〜V2wがオフ動作を開始してから終了するまでの間の駆動軸の平均角速度(α′/Δt′)よりも速いときには、第1の真空バルブV1u〜V1wの内の何れかに経年劣化とは異なる異常が生じていると判定する。第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの劣化が経年劣化である場合には、平均回転速度α/Δtと、α′/Δt′との間にしきい値以上の差が生じないため、真空バルブに異常があるとの判定は行われない。
【0068】
また上記の例において、第1のパラメータ及び第2のパラメータとして三相の第1の真空バルブ及び第2の真空バルブがオフ動作を行うのに要した時間を用いる場合には、駆動軸4が一方向に回転する過程で、駆動軸がθ=θ2の位置からθ=θ3の位置まで回転するのに要した時間Δtと、駆動軸がθ=θ8の位置からθ=θ9の位置まで回転するのに要した時間Δt′との間にしきい値以上の差があって、ΔtがΔt′よりも短いときに、第1の真空バルブV1u〜V1wの内の何れかに経年劣化とは異なる異常が生じていると判定する。
【0069】
なお、本実施形態では、駆動軸が一方向(上記の例では時計方向)に回転する過程で、θ=θ6からθ=θ7の区間で第1の真空バルブV1u〜V1wがオン動作を行うが、第2の真空バルブV2u〜V2wはオン動作を行わないので、両真空スイッチがオン動作を行う際の駆動軸の平均角速度を比較して異常の有無の検出を行う場合には、駆動軸が一方向に回転する過程のθ=θ6からθ=θ7の区間で第1の真空バルブV1u〜V1wがオン動作を行う際の駆動軸の平均角速度と、駆動軸が他方向(反時計方向)に回転する過程のθ=θ9からθ=θ8の区間で第2の真空バルブV2u〜V2wがオン動作を行う際の駆動軸の平均角速度とを比較する。
【0070】
本発明の検出方法を実施するに当たり、駆動軸4の各瞬時における回転角度位置は、アブソリュート形のロータリエンコーダREの出力から検出することができる。即ち、ロータリエンコーダREの出力から、各瞬時に駆動軸4の回転角度位置θが0〜θ11の何れの位置にあるのかを検出することができる。
【0071】
また駆動軸4が、真空バルブのオン動作(又はオフ動作)を開始させる位置から終了させる位置まで回転するのに要した時間Δt(又はΔt′)は、駆動軸の回転を開始する際にタイマを起動しておいて、ロータリエンコーダにより駆動軸4が真空バルブのオン動作(又はオフ動作)を開始する位置に達したことが検出された時に読み込んだタイマの計測値tx1と、ロータリエンコーダにより駆動軸4が真空バルブのオン動作を完了させる位置に達したことが検出された時に読み込んだタイマの計測値tx2との差tx2−tx1を演算することにより求めることができる。
【0072】
例えば、駆動軸4の一方向への回転を開始する際にタイマを起動しておいて、駆動軸の回転角度位置θがθ6の位置(図3Cの位置)に達したことがロータリエンコーダにより検出された時にタイマの計測値tx1を読み込み、更に駆動軸の回転角度位置θがθ7の位置(図3Dの位置)に達したときにタイマの計測値tx2を読み込んで、tx2−tx1の演算を行うことにより、第1の真空開閉器V1u〜V1wがオン動作を開始してから終了するまでに要した時間Δtを求めることができ、第1の真空開閉器V1u〜V1wがオン動作を行う間の駆動軸の回転角度(既知の角度)αをΔtで除することにより、第1の真空開閉器V1u〜V1wがオン動作を行った際の回転速度を求めることができる。
【0073】
上記しきい値は、真空バルブの品質のバラツキにより生じる第1の真空バルブ及び第2の真空バルブの動作速度の差や、比較する駆動軸の回転速度の差が、駆動軸が同方向に回転した際に第1の真空開閉器及び第2の真空開閉器がオン動作(又はオフ動作)を行った際の駆動軸の回転速度の差であるのか、駆動軸が異なる方向に回転した際に第1の真空開閉器及び第2の真空開閉器がオン動作(又はオフ動作)を行った際の駆動軸の回転速度の差であるのか等を勘案して設定すればよいので、その設定は容易である。例えば、正常な新しい真空バルブを用いて切換開閉器を組立てた直後の状態で、第1の真空バルブのオン動作(又はオフ動作)が行われる際の駆動軸の回転速度及び第2の真空バルブのオン動作(又はオフ動作)が行われる際の駆動軸の回転速度を検出する試験を行って、この試験の結果得られた駆動軸の回転速度の差を僅かに超える値にしきい値を設定するようにすればよい。
【符号の説明】
【0074】
2 切換開閉装置
201 カム機構
20 駆動カム
20u〜20w 駆動カムの凸部
21u〜21w カムフォロア
22u〜22w カムフォロア
3 ストッパ機構
31 補助カム
32 L形レバー
33 補助カムフォロア
4 駆動軸
701 オルダム継手
702 絶縁軸
RE ロータリエンコーダ
R 限流抵抗器
Wm 主巻線
Wt タップ巻線
t1〜t11 タップ
T1 奇数タップ選択器
T2 偶数タップ選択器
V1u〜V1w 第1の真空バルブ
V2u〜V2w 第2の真空バルブ
SW 切換スイッチ
S1 切換スイッチの奇数タップ側固定接点
S2 切換スイッチの偶数タップ形固定接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7