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特開2015-192095LED発光装置及びLED発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-192095(P2015-192095A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】LED発光装置及びLED発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20151006BHJP
【FI】
   H01L33/00 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-69660(P2014-69660)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100080931
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100134625
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 加寿子
(74)【代理人】
【識別番号】100085280
【弁理士】
【氏名又は名称】高宗 寛暁
(72)【発明者】
【氏名】飯野 高史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA82
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD13
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD43
5F142CD44
5F142CD47
5F142CF23
5F142CG03
5F142DA12
5F142FA03
5F142FA42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型でマザーボードへの実装性が良く、加工工数やコストの面で有利なLED発光装置、及びその製造方法及びLED発光装置を提供する。
【解決手段】支持基板2上に実装されたフリップチップ構造のLED素子3と、LED素子3を被覆した透光性部材5を有するLED発光装置10において、支持基板2には下面側より、LED素子3の素子電極3aに対応する位置に貫通孔2bが形成されており、貫通孔2b内に配設された導電部材6と、LED素子3の素子電極3aとが直接接続している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に実装されたフリップチップ構造のLED素子と、前記LED素子を被覆した透光性部材を有するLED発光装置において、前記支持基板には下面側より、前記LED素子の素子電極に対応する位置に貫通孔が形成されており、前記貫通孔内に配設された導電部材と、前記LED素子の素子電極とが直接接続していることを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記貫通孔内に配設された導電部材は、銅下地メッキ層であることを特徴とする請求項1記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記支持基板は絶縁性基板であり、前記LED素子の素子電極は、前記支持基板の上面の絶縁層上に配設されており、前記素子電極は前記貫通孔内に配設された導電部材と直接接続していることを特徴とする請求項1または2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記支持基板は導電性材質の導電性基板であり、前記貫通孔の内面及び前記支持基板の下面に絶縁層が形成され、前記貫通孔の内面及び前記支持基板の下面に形成された絶縁層上に導電部材が配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のLED発光装置。
【請求項5】
支持基板の上面にフリップチップ構造のLED素子の素子電極を接着するLED素子接着工程と、前記支持基板の上面に接着されたLED素子を含む前記支持基板の上面を透光性部材で被覆する封止工程と、前記支持基板の下面側より、前記LED素子の素子電極に対応する位置に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記支持基板に形成した貫通孔に導電部材を配設して、前記LED素子の素子電極を前記支持基板の下面側に導通させる電極形成工程を有することを特徴とするLED発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記電極形成工程において、前記支持基板の下面に外部電極を同時に形成することを特徴とする請求項5記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記支持基板は導電性材質による導電性基板であり、前記貫通孔形成工程と前記電極形成工程との間に、前記導電性基板の貫通孔の内面及び下面に絶縁層を形成する絶縁層形成工程をさらに有する請求項5または6に記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層形成工程は、前記導電性基板の貫通孔の内面及び下面に絶縁部材を充填する絶縁部材充填工程と、前記貫通孔内の絶縁部材における前記LED素子の素子電極に対応する位置に、絶縁貫通孔を形成する絶縁貫通孔形成工程とを有することを特徴とする請求項7記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁部材が絶縁性樹脂であることを特徴とする請求項8記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記透光性部材が蛍光樹脂であることを特徴とする請求項5〜9の何れか1項に記載のLED発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記貫通孔内に配設された導電部材は、銅下地メッキ層であることを特徴とする請求項5〜10の何れか1項に記載のLED発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構成部材を単純化し、製造を容易化したLED発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED素子は半導体素子であるため、長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く、鮮やかな発光色を有することから、カラー表示装置のバックライトやフラッシュ装置や照明等に広く利用されるようになってきた。
【0003】
特に近年、LED素子を支持基板に実装した後、支持基板上のLED素子を透光部材で封止することによって、小型でマザーボードへの実装性を良くしたLED発光装置が提案されている。(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)
【0004】
以下従来の支持基板付のLED発光装置に付いて説明する。なお、各従来技術の説明においては、発明の趣旨を逸脱しない範囲で図面を簡素化し、また部品名称の一部についても本願発明にそろえている。
図13は特許文献1における従来のLED発光装置の断面図である。図13においてLED発光装置100は、樹脂等の絶縁基板102の上面側に接続電極102aが、また絶縁基板102の下面側には外部電極102bが設けられ、上面側の接続電極102aと下面側の外部電極102bとはスルーホール電極102cによって接続されている。そして上面側に設けられた接続電極102aにはLED103がワイヤー104によって実装され、このLED素子103を透明樹脂等の透光性部材105でモールドしている。また106は発光効率を高めるための反射部材である。
【0005】
図14は特許文献2における従来のLED発光装置の断面図である。図14においてLED発光装置200は、絶縁基板202の上面側に接続電極202aが、また絶縁基板202の下面側には外部電極202bが設けられ、上面側の接続電極202aと下面側の外部電極202bとはスルーホール電極202cによって接続されている。そして上面側に設けられた接続電極202aにはLED素子203が素子電極(突起電極)203aによってフリップチップ実装され、このLED203を透光性部材205で封止している。
【0006】
さらに特許文献3には、小型で製造コストを低減した、集合方式におけるLED発光装置の製造方法が記載されている。図15図16は特許文献3に記載されたLED発光装置の製造方法を示す工程図であり、図15は前工程の工程(a)〜(c)を示し、図16は後工程の工程(d)〜(f)を示している。なお、集合方式なので大判の集合支持基板を用いて多数のLED発光装置を同時に製造しているが、図面の記載を解り易くするために、2個のLED発光装置を同時に製造する事例について説明する。
【0007】
まず図15により前工程を説明する。図15において工程(a)は部材集結工程であり、上面側にLED発光装置300の2個分の接続電極302aを形成した大判支持基板302Lと、2個のLED素子303を形成した大判のサファイヤ基板303Lが用意されている。上記工程において大判支持基板302Lに設けられた各接続電極302aは、2個のLED素子303の各素子電極303aの位置に対応しており、また形状は素子電極303aと同じか、または少し大型に形成されている。
【0008】
工程(b)はLED素子接着工程であり、大判支持基板302Lと大判のサファイヤ基板303Lとを重ね合わせて各LED素子303の各素子電極303aと大判支持基板302Lの各接続電極302aを位置合わせして接着する。なお、接着方法としては、半田接着や共晶接合により行う。工程(c)は貫通孔形成工程であり、大判支持基板302Lの下面側より、各接続電極302aに対応する位置にスルーホールとなる貫通孔302dを形成する。この貫通孔302dの形成はレーザー加工やエッチング加工によって行う。
【0009】
次に図16により後工程を説明する。図16において工程(d)は電極形成工程であり、大判支持基板302Lに設けた貫通孔302dに導電部材306を配設してスルーホール電極306cと外部電極306bを形成する。これにより大判支持基板302Lの上面に設けられた接続電極302aがスルーホール電極306cによって外部電極306bに接続されることにより、LED素子303の素子電極303aと外部電極306bとが接続されて電極引出状態となる。
【0010】
工程(e)はサファイヤ基板剥離工程であり、大判のサファイヤ基板303Lをレーザーリフトオフにより剥離する。工程(f)は切断分離工程であり、工程(e)に点線で示すLED素子303間の切断線Sにおいてダイシングすることにより、個々のLED発光装置300を完成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−23183号公報
【特許文献2】特開2007−103978号公報
【特許文献3】特開2010−103186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載されたLED発光装置では、支持基板として両面にパタ−ン電極を有し、この両面電極基板をスルーホール電極で接続しているため、支持基板の製造がウエハープロセスでの加工となるため、工数が複雑でコストが掛るという問題がある。
【0013】
また、特許文献3に基板されたLED発光装置は、支持基板として片面にパタ−ン電極を有する片面パターン配線基板を使用しているため、特許文献1や特許文献2に記載されたLED発光装置に比べると、支持基板として両面電極基板に変えて片面電極基板を使用しているだけ、加工工数やコストの面で有利だが、やはり、支持基板の上面にLED素子の素子電極を接続するための微細なパターンウエハープロセスでの加工を行うので、工数が複雑でコストが掛かるという問題がのこる。
【0014】
さらに特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたLED発光装置では、支持基板を片面または両面電極を有するパターン配線基板(銅張り基板等)を用いているため、基板材料として絶縁基板の使用が条件となる。すなわち放熱性の良い金属基板を使用する場合にはウエハープロセスにおいて、基板の表面及びスルーホール内面を絶縁処理することが必要となり、ますます加工工数やコストの面で不利となる。
【0015】
そこで本発明の目的は、上記問題点を解決しようとするものであり、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用して支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着し、支持基板とLED素子との実装工程において支持基板への貫通孔加工とスルーホール電極の外部電極の形成を行うことによって、LED素子の素子電極と支持基板の下面の外部電極とを接続する電極引出を行うことにより、小型でマザーボードへの実装性が良く、加工工数やコストの面で有利なLED発光装置、及びその製造方法及びLED発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明におけるLED発光装置の構成は、支持基板上に実装されたフリップチップ構造のLED素子と、前記LED素子を被覆した透光性部材を有するLED発光装置において、前記支持基板には下面側より、前記LED素子の接続電極に対応する位置に貫通孔が形成されており、前記貫通孔内に配設された導電部材と、前記LED素子の素子電極とが直接接続していることを特徴とする。
【0017】
上記構成によると、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用し、この支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着剤により仮接着した状態において、支持基板への貫通孔の加工と貫通孔への導電部材を配設することによって、導電部材をLED素子の素子電極に直接接続して、支持基板の裏面に引出すことができるため、支持基板に対する素子電極接続用のパターン配線や、スルーホール電極の形成を必要としないシンプル構成のLED発光装置を提供できる。
【0018】
前記貫通孔内に配設された導電部材は、銅下地メッキ層であるとよい。
【0019】
前記支持基板は絶縁性基板であり、前記LED素子の素子電極は、前記支持基板の上面の絶縁層上に配設されており、前記貫通孔内に配設された導電部材と直接接続しているとよい。
【0020】
前記支持基板は導電性材質の導電性基板であり、前記貫通孔の内面及び前記支持基板の下面に絶縁層が形成され、前記通孔の内面及び前記支持基板の下面に形成された絶縁層上に導電部材が配設されているとよい。
【0021】
上記構成によれば、支持基板として熱伝導性の良い金属基板を使用し、予め金属基板に絶縁処理やパターン配線加工を行わずに、実装プロセスにおいて金属基板の絶縁処理や引出電極形成を行うことによって、放熱性が良く、小型で加工工数やコストの面で有利なLED発光装置を提供できる。
【0022】
上記目的を達成するため本発明におけるLED発光装置の製造方法は、支持基板の上面にフリップチップ構造のLED素子の素子電極を接着するLED素子接着工程と、前記支持基板の上面に接着されたLED素子を含む前記支持基板の上面を透光性部材で被覆する封止工程と、前記支持基板の下面側より、前記LED素子の素子電極に対応する位置に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記支持基板に形成した貫通孔に導電部材を配設して、前記LED素子の素子電極を前記支持基板の下面側に導通させる電極形成工程を有することを特徴とする。
【0023】
上記製造方法によれば、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用し、この支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着剤により仮接着した状態において支持基板の上面を透光性部材で封止して、支持基板とLED素子との固定力を保ち、その後の貫通孔の加工や引出電極の形成を容易にしている。
【0024】
前記電極形成工程において、前記支持基板の下面に外部電極を同時に形成すること良い。
【0025】
前記支持基板は導電性材質による導電性基板であり、前記貫通孔形成工程と前記電極形成工程との間に、前記導電性基板の貫通孔の内面及び下面に絶縁層を形成する絶縁層形成工程をさらに有すると良い。
【0026】
上記製造方法によれば、支持基板として熱伝導性の良い金属基板を使用し、予め金属基板に絶縁処理やパターン配線加工を行わずに、実装プロセスにおいて金属基板の絶縁処理や引出電極形成を行うことによって、放熱性が良く、小型で加工工数やコストの面で有利なLED発光装置を提供できる。
【0027】
前記絶縁層形成工程は、前記導電性基板の貫通孔の内面及び下面に絶縁部材を充填する絶縁部材充填工程と、前記貫通孔内の絶縁部材における前記LED素子の素子電極に対応する位置に、絶縁貫通孔を形成する絶縁貫通孔形成工程とを有すると良い。
【0028】
上記製造方法によれば、導電性基板の貫通孔の内面に絶縁層としての絶縁貫通孔を容易に形成することができる。
【0029】
前記透光性部材が蛍光樹脂であると良い。
【発明の効果】
【0030】
上記の如く本発明のLED発光装置は、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用し、この支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着剤により仮接着した状態において、支持基板への貫通孔の加工と貫通孔への導電部材を配設することによって、導電部材をLED素子の素子電極に直接接続して、支持基板の裏面に引出すことができるため、支持基板に対する素子電極接続用のパターン配線や、スルーホール電極の形成を必要としないシンプル構成のLED発光装置を提供できる。
【0031】
上記の如く本発明の製造方法によれば、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用し、この支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着剤により仮接着した状態において支持基板の上面を透光性部材で封止して、支持基板とLED素子との固定力を保ち、その後の貫通孔の加工や引出電極の形成を容易にしている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図2図1に示すLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図3】本発明の第2実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図4図3に示すLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図5図3に示すLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図6】本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図7】本発明の第4実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図8】本発明の第4実施形態におけるLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図9】本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図10】本発明の第4実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図11】本発明の第5実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図12】本発明の第6実施形態におけるLED発光装置の断面図である。
図13】従来のLED発光装置の断面図である。
図14】従来のLED発光装置の断面図である。
図15】従来のLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
図16】従来のLED発光装置の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面により、本発明の実施形態を説明する。図1図2は本発明の第1実施形態におけるLED発光装置を示し、図1は本発明の第1実施形態におけるLED発光装置10の断面図、図2図1に示すLED発光装置10の製造方法を示す工程図である。
【0034】
(第1実施形態のLED発光装置構成)
図1に示すLED発光装置10の断面図において、支持基板2は樹脂基板やセラミック基板等の絶縁基板であり、支持基板2の上面側に実装されたLED素子3は透光性樹脂や蛍光樹脂等の透光性部材5によって封止されており、LED素子3の素子電極3aは支持基板2の貫通孔2dに配設された導電部材6によって形成された、スルーホール電極6cと外部電極6bとによって支持基板2の下面に引き出されている。上記のごとく本発明におけるLED発光装置10は支持基板2として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用しながら、LED素子3の素子電極3aと支持基板2の貫通孔2dに配設された導電部材6とが直接接続されることによって、LED素子3の素子電極3aが支持基板2の下面側の外部電極6bに安定して接続されている。
【0035】
(第1実施形態のLED発光装置の製造方法)
次に図2によりLED発光装置10の製造方法を説明する。図2はLED発光装置10の各製造工程を示す工程図である。工程(a)はLED素子接着工程であり、絶縁基板である支持基板2の絶縁面にLED素子3の素子電極3aを接着剤7によって接着する。このLED素子接着工程は、支持基板2とLED素子3の素子電極3aとの位置決め固定を行うための仮固定を目的としている。工程(b)は封止工程であり、支持基板2の上面にLED素子3を透光性部材5によって封止し、支持基板2にLED素子3を強固に保持する工程である。
【0036】
工程(c)は貫通孔形成工程であり、支持基板2の下面側よりLED素子3の素子電極3aに対応する位置に貫通孔2dを形成する。この貫通孔2dの形成は通常のレーザー加工やエッチング加工によって行い、支持基板2の所定の場所にLED素子3の素子電極3aより少し大きい形状の貫通孔2dを形成するとともに、素子電極3aの底面を支持基板2の上面に接着していた接着剤7を除去している。さらに素子電極3aの底面周辺に被覆されている透光性部材5の一部も除去して凹部5aを形成すると後述する電気的接続が良くなる。また、この貫通孔形成工程が、支持基板2とLED素子3とが透光性部材5の封止によって強固に保持された状態で行われる。
【0037】
工程(d)は電極形成工程であり、支持基板2の貫通孔2d内に導電部材6を配設することによりスルーホール電極6cと外部電極6bを形成し、LED素子3の素子電極3aと外部電極6bとを電気的に導通させて電極引出をおこなう。なお、この導電部材6の配設は銅下地メッキを施し、必要に応じて銅下地メッキ層の上にニッケルや金、銀等のメッキを行うメッキ法や、導電ペーストの印刷充填による印刷法等により行うことができる。そして支持基板2の貫通孔2dの加工においてLED素子3の素子電極3aの底面に付着した接着剤7が除去されており、さらに素子電極3aの底面周囲に透光性部材5の一部を除去した凹部5aが形成されることによって、素子電極3aに対する導電部材6の密着性が良くなることで、安定した電極引出が行われる。
【0038】
また、透光性部材5による封止によって支持基板2とLED素子3が強固に保持された状態で貫通孔2dの加工が行われることにより、貫通孔2dの加工応力からLED素子3が保護されてダメージを受けることがない。上記工程により図1に示すLED発光装置10が完成する。
【0039】
(第2実施形態のLED発光装置構成)
次に図3図4図5により本発明の第2実施形態のLED発光装置を説明する。図3図4図5は本発明の第2実施形態におけるLED発光装置を示し、図3は本発明の第2実施形態におけるLED発光装置20の断面図、図4図5図3に示すLED発光装置20の製造方法を示す工程図である。図3図4図5に示す第2実施形態におけるLED発光装置20の構成及び製造方法は図1図2に示す第1実施形態におけるLED発光装置10と基本的に同じであり、同一または共通する要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
図3に示すLED発光装置20の構成がLED発光装置10と異なるところは、LED発光装置10が支持基板2として絶縁材料よりなる絶縁基板を用いていたのに対し、LED発光装置20では支持基板12として導電性材料である金属基板を用いていることである。このため金属基板である支持基板12と他の電極との短絡を防止するために、支持基板12に設けた貫通孔12dの内面と支持基板12の下面に絶縁層8を形成している。そしてこの絶縁層8で絶縁された貫通孔12d内に導電部材6を配設してスルーホール電極6cと外部電極6bを形成し、LED素子3の素子電極3aを外部電極6bに引き出している。上記構成におけるLED発光装置20は金属基板である支持基板12を通してLED素子3の発熱を下方に放熱させることができるため、発光効率の良いLED発光装置となる。
【0041】
(第2実施形態のLED発光装置の製造方法)
次に図4図5によりLED発光装置20の製造方法を説明する。図4図5はLED発光装置20の各製造工程を示す工程図であり、図4は前工程、図5は後工程を示す。図4における工程(a)のLED素子接着工程、工程(b)の封止工程、工程(c)の貫通孔形成工程までは図2に示すLED発光装置10の各製造工程と同じであり、重複する説明を省略する。
【0042】
図5に示す工程(d)と工程(e)は絶縁層形成工程であり、本実施形態においては、工程(d)が貫通孔12dと支持基板12の下面に絶縁物として絶縁性樹脂8を配設する樹脂充填工程であり、工程(e)が貫通孔12dに充填された絶縁性樹脂8の下面よりLED素子3の素子電極3aに対応する位置に絶縁貫通孔としての樹脂貫通孔8dを形成する樹脂貫通孔形成工程である。この樹脂貫通孔8dの形成は通常のレーザー加工やエッチング加工によって行い、支持基板12における貫通孔12dの内周に絶縁層8eを形成し、かつLED素子3の素子電極3aの底面の接着剤を削り取って素子電極3aの底面を露出させる。
【0043】
工程(f)は電極形成工程であり、支持基板12の貫通孔12dの内周に絶縁層8e形成した樹脂貫通孔8d内に導電部材6を配設することによりスルーホール電極6cと外部電極6bを形成し、LED素子3の素子電極3aと外部電極6bとを電気的に導通させて電極引出をおこなう。
【0044】
上記各工程により、図3に示すLED発光装置20が完成する。すなわちLED発光装置20は、支持基板12として金属基板を用いているが、支持基板12とLED素子3の実装工程のなかで、支持基板12と各電極とを絶縁する絶縁層を形成することで、配線電極を有さない金属性の支持基板を用いて小型で放熱性が良く、製造コストの易いLED発光装置を実現できる。また、支持基板12の貫通孔12dの内周及び支持基板12の下面への絶縁層の形成は,本実施形態のような支持基板12における貫通孔12dに対する絶縁樹脂の充填と、樹脂貫通孔加工による方法以外にも、絶縁性樹脂の塗布と乾燥による方法や、メッキ処理によって絶縁層を形成する方法等があり、何れの方法でも良い。
【0045】
(第3実施形態のLED発光装置の製造方法)
次に図6により本発明の第3実施形態におけるLED発光装置の製造方法を説明する。図6図1に示す第1実施形態におけるLED発光装置10の集合基板方式での製造方法を示すものである。工程(a)はLED素子配設工程であり支持基板として、絶縁性の大判絶縁基板2Lの上面に複数のLED素子3を位置決めした状態で配設し、各LED素子3の素子電極3aを接着剤(図示は省略)によって大判絶縁基板2Lの上面に仮固定する。工程(b)は封止工程であり、大判絶縁基板2Lの上面に配設された複数のLED素子3の全体を透光性樹脂5で封止する。工程(c)は貫通孔形成工程であり、大判絶縁基板2Lにおける各LED素子3の素子電極3aに対応する位置に、複数の貫通孔2dを形成する。この貫通孔2dの形成においては素子電極3aの底面を大判絶縁基板2Lの上面に接着していた接着剤を除去している。さらに素子電極3aの底面周辺に被覆されている透光性部材5の一部も除去して凹部5aを形成している。
【0046】
工程(d)は電極形成工程であり、大判絶縁基板2Lの貫通孔2d内に導電部材6を配設することによりスルーホール電極6cと外部電極6bを形成し、LED素子3の素子電極3aと外部電極6bとを電気的に導通させて電極引出をおこなう。なお、この導電部材6の配設は大判のマスクを用いてメッキ法や導電ペーストの印刷による充填にて同時に行うことができる。そして支持基板2の貫通孔2dの加工においてLED素子3の素子電極3aの底面に形成された接着剤が除去されており、さらに素子電極3aの底面周囲に透光性部材5の一部を除去した凹部5aが形成されることによって、素子電極3aに対する導電部材6の密着性が良くなることで、安定した電極引出が行われる。
【0047】
工程(e)は切断分離工程であり、工程(d)の電極形成工程図に点線で示す切断線Sの位置でダイシングすることによって複数のLED発光装置10を量産するころができる。なお、図6に示す実施形態では図面の記載上、2個のLED発光装置の製造方法を示したが、実際の製造方法においては形状の大きい大判絶縁基板2Lを使用して1回に数十〜数百個のLED発光装置を量産するものである。
【0048】
(第4実施形態のLED発光装置の製造方法)
次に図7図8により本発明の第4実施形態におけるLED発光装置の製造方法を説明する。図7図8図3に示す第2実施形態におけるLED発光装置20の集合基板方式での製造方法を示すものである。工程(a)はLED素子配設工程であり支持基板として、導電性の大判金属基板12Lの上面に複数のLED素子3を位置決めした状態で配設し、各LED素子3の素子電極3aを接着剤によって大判金属基板12Lの上面に仮固定する。工程(b)は封止工程であり、大判金属基板12Lの上面に配設された複数のLED素子3の全体を透光性樹脂5で封止する。
【0049】
工程(c)は貫通孔形成工程であり、大判金属基板12Lにおける各LED素子3の素子電極3aに対応する位置に、複数の貫通孔12dを形成する。この貫通孔12dの形成においては素子電極3aの底面を大判金属基板12Lの上面に接着していた接着剤を除去している。工程(d)と工程(e)は絶縁層形成工程であり、本実施形態においては、工程(d)が貫通孔12dの内部と大判金属基板12Lの下面に絶縁物として絶縁性樹脂8を配設する樹脂充填工程であり、工程(e)が貫通孔12dに充填された絶縁性樹脂8の下面よりLED素子3の素子電極3aに対応する位置に樹脂貫通孔8dを形成する樹脂貫通孔形成工程である。この樹脂貫通孔8dの形成は通常のレーザー加工やエッチング加工によって行い、支持基板12の内周に絶縁層8eを形成し、かつLED素子3の素子電極3aの底面を露出させる。
【0050】
工程(f)は電極形成工程であり、大判金属基板12Lの各貫通孔12dの内周に絶縁層8e形成した樹脂貫通孔8d内に導電部材6を配設することによりスルーホール電極6cと外部電極6bを形成し、LED素子3の素子電極3aと外部電極6bとを電気的に導通させて電極引出をおこなう。
【0051】
工程(g)は切断分離工程であり、工程(f)の電極形成工程図に点線で示す切断線Sの位置でダイシングすることによって複数のLED発光装置20を量産することができる。なお、図6に示す実施形態では図面の記載上、2個のLED発光装置の製造方法を示したが、実際の製造方法においては形状の大きい大判絶縁基板2Lを使用して1回に数十〜数百個のLED発光装置を量産するものである。
【0052】
(第3実施形態のLED発光装置構成)
次に図9により本発明の第3実施形態のLED発光装置構成を説明する。図9は本発明の第3実施形態のLED発光装置30構成を示す断面図である。基本的構成は図1に示す第1実施形態におけるLED発光装置10と同じであり、同一または共通する要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
第3実施形態におけるLED発光装置30が第1実施形態におけるLED発光装置10と異なるところは、導電部材の形成方法として支持基板2の貫通孔2aに形成するスルーホール電極6cと、支持基板2の下面に形成する外部電極6bとを金属の無電解メッキ層6aで形成したことであり、本実施形態においては銅のメッキ層を形成している。なお、LED発光装置30の製造方法については基本的に、図2に示すLED発光装置10の製造方法と同じであり、重複する説明は省略する。すなわち異なるところは工程(d)の電極形成工程における導電部材の配設方法のみである。
【0054】
(第4実施形態のLED発光装置構成)
次に図10により本発明の第4実施形態のLED発光装置構成を説明する。図10は本発明の第4実施形態のLED発光装置40構成を示す断面図である。基本的構成は図3に示す第2実施形態におけるLED発光装置20と同じであり、同一または共通する要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0055】
第4実施形態におけるLED発光装置40が第2実施形態におけるLED発光装置20と異なるところは、導電部材の形成方法として支持基板2の樹脂貫通孔8dに形成するスルーホール電極6cと、支持基板2の下面に形成する外部電極6bとを金属メッキ層で形成したことである。本実施形態においては金属メッキ層として銅下地メッキ層6aを形成しているが、必要に応じて銅下地メッキ層6aの上にニッケルや金、銀等の積層メッキを行うとさらに良い。なお、LED発光装置40の製造方法については基本的に、図4図5に示すLED発光装置20の製造方法と同じであり、重複する説明は省略する。すなわち異なるところは工程(f)の電極形成工程における導電部材の配設方法のみである。
【0056】
(第5実施形態のLED発光装置構成)
次に図11により本発明の第5実施形態のLED発光装置構成を説明する。図11は本発明の第5実施形態のLED発光装置50構成を示す断面図である。基本的構成は図1に示す第1実施形態におけるLED発光装置10と同じであり、同一または共通する要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
第5実施形態におけるLED発光装置50が第1実施形態におけるLED発光装置10と異なるところは、LED発光装置10では支持基板2として配線電極を有さない絶縁基板を採用していたのに対し、LED発光装置50では支持基板2として下面側に配線電極2aを有するパターン配線基板を用いたことである。すなわち支持基板2として下面の配線電極2aを外部電極6bの形状にパターン配線化しておき、工程(d)の電極形成工程において導電部材6を配線電極2aに積層して形成している。
【0058】
上記構成によると外部電極6bが配線電極2aと導電部材6との積層構造となるため、外部電極6bの強度が増してLED発光装置50の外部装置への取り付けの信頼性がよくなる。また、LED発光装置50では支持基板2として特許文献3と同様の片面パターン配線基を使用しているが、パターン化処理が支持基板の裏面に設けられた、あまり精度を必要としない外部電極の簡単なパターン処理なので、特許文献3における、上面側の高い精度を必要とするLED素子の実装パターン化処理のような製造プロセスを必要とせず、製造コスト的にも不利になることがない。
【0059】
(第6実施形態のLED発光装置構成)
次に図12により本発明の第6実施形態のLED発光装置構成を説明する。図12は本発明の第6実施形態のLED発光装置60構成を示す断面図である。基本的構成は図11に示す第5実施形態におけるLED発光装置50と同じであり、同一または共通する要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0060】
第6実施形態におけるLED発光装置60が第5実施形態におけるLED発光装置50と異なるところは、導電部材の形成方法として支持基板2の貫通孔2dに形成するスルーホール電極6cと、支持基板2の下面の配線電極2a上に形成する外部電極6bとを金属の無電解メッキ層6aで形成したことである。
【0061】
上記の如く本発明におけるLED発光装置は、支持基板として基板上面にパタ−ン電極を有さない基板を使用し、この支持基板の上面に直接LED素子の素子電極を接着剤により仮接着した状態において、支持基板への貫通孔の加工と貫通孔への導電部材を配設することによって、導電部材をLED素子の素子電極に直接接続して、支持基板の裏面に引出すことができるため、支持基板に対する素子電極接続用のパターン配線や、スルーホール電極の形成を必要としないシンプル構成のLED発光装置を提供できる。
【0062】
上記の如く、本発明におけるLED発光装置の製造方法は上面に配線パターンを有さない支持基板に直接LED素子の素子電極を仮接着し、この状態において支持基板上のLED素子を透光部材で封止することによって、支持基板とLED素子との固定力を確保して状態で、貫通孔加工や電極引き出し加工を行うようにしている。この結果、支持基板として上面パターンを有さない絶縁基板や放熱性の良い金属基板を用いて支持基板付きのLED発光装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0063】
2、12、102、202 支持基板
2a 配線電極
2d、12d、302d 貫通孔
3、103,203 LED素子
3a、203a、303a 素子電極
5、105,205 透光性部材(透光性樹脂)
5a 凹部
6、306 導電部材
6a 銅下地メッキ層
6c、102c、202c、306c スルーホ−ル電極
6b、102b、202b、306b 外部電極
7 接着剤
8 絶縁性樹脂
8d 樹脂貫通孔
8e 絶縁層
10,20、100,200,300 LED発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図16