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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-192097(P2015-192097A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】電子部品搭載用パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20151006BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   H01L23/02 C
   H01L23/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-69749(P2014-69749)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】児玉 晃忠
(57)【要約】
【課題】余剰なロウ材が枠部の側壁に流れることを抑制すること。
【解決手段】電子部品搭載用パッケージ1は、ベース部2と、ベース部2の主面2a上に、電子部品11を囲んで設けられる誘電体からなる枠部3と、枠部3の上面3aに設けられる枠状の金属層4と、金属層4上に設けられ、枠部3に囲まれた領域を塞ぐ誘電体からなる蓋部5と、蓋部5において、枠部3に対向して設けられた枠状の金属層8と、を備える。金属層4と金属層8とは、ロウ材9を介して互いに接合している。金属層8の面積は、金属層4の面積よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部の主面上に、電子部品を囲んで設けられる誘電体からなる枠部と、
前記枠部の上面に設けられる枠状の第1金属層と、
前記第1金属層上に設けられ、前記枠部に囲まれた領域を塞ぐ誘電体からなる蓋部と、
前記蓋部において、前記枠部に対向して設けられた枠状の第2金属層と、
を備え、
前記第1金属層と前記第2金属層とは、ロウ材を介して互いに接合しており、
前記第2金属層の面積は、前記第1金属層の面積よりも大きい、電子部品搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記電子部品と電気的に接続し、前記枠部の側壁を貫通して設けられた配線を更に備え、
前記配線と重なり合う領域における前記第2金属層の幅は、当該領域における前記第1金属層の幅以下である請求項1に記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記第2金属層は、前記第1金属層に対向する枠状領域と、前記枠状領域の少なくとも一つの隅部から前記枠状領域の内側に延在する延在領域と、を有する、請求項1又は2に記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項4】
前記ベース部の厚さ方向から見て、前記延在領域は、前記電子部品と重ならない、請求項3に記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項5】
前記延在領域は、前記少なくとも一つの隅部の内側の角を中心とした扇形状を有する、請求項3又は4に記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項6】
前記第2金属層は、前記蓋部の側面の少なくとも一部に延在して設けられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品搭載用パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品搭載用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等の電子部品に気密封止するために、電子部品を収容するパッケージ(電子部品搭載用パッケージ)が用いられる。この電子部品搭載用パッケージでは、電子部品を収容する枠部と、枠部によって囲まれた領域を塞ぐ蓋部とが、金属を含むロウ材を介して接合される。枠部と蓋部とを接合するためのロウ材が多すぎる場合、余剰なロウ材は枠部の側壁を伝って流れる。このロウ材が局所的に流れると、短絡が発生するおそれがある。
【0003】
例えば特許文献1には、余剰なロウ材が局所的に流れることを抑制するために、枠部の上面だけでなく、枠部の側壁における内側又は外側の少なくとも一方の面上に金属層を設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−131706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、枠部の側壁における外側に余剰なロウ材が流れ、この余剰なロウ材が局所的に流れる場合、あるいは流れる分量が大きい場合、パッケージの外形規定から逸脱する(外観不良と認定される)おそれがある。
【0006】
本発明は、余剰なロウ材がパッケージの外側に流れることを抑制できる電子部品搭載用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品搭載用パッケージは、ベース部と、ベース部の主面上に、電子部品を囲んで設けられる誘電体からなる枠部と、枠部の上面に設けられる枠状の第1金属層と、第1金属層上に設けられ、枠部に囲まれた領域を塞ぐ誘電体からなる蓋部と、蓋部において、枠部に対向して設けられた枠状の第2金属層と、を備え、第1金属層と第2金属層とは、ロウ材を介して互いに接合しており、第2金属層の面積は、第1金属層の面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、余剰なロウ材がパッケージの外側に流れることを抑制できる電子部品搭載用パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。
図2図2は、蓋部が取り除かれた電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。
図3図3の(a)は、蓋部の底面図を示す。図3の(b)は、図3の(a)のIIIb−IIIb線矢視部分断面図を示す。
図4図4は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの断面模式図を示す。
図5図5は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの分解斜視図を示す。
図6図6の(a)は、比較例に係る電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。図6の(b)は、図6の(a)のVIb−VIb線矢視部分断面図を示す。
図7図7は、第2の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。
図8図8は、第2の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの一部を透過した平面図を示す。
図9図9は、図8のIX−IX線矢視部分断面図を示す。
図10図10の(a),(b)は、第2の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。
図11図11の(a),(b)は、第3の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。
図12図12は、図11の(a)において領域31Aを示した図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの一部を透過した平面図を示す。
図14図14の(a)は、第4の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。図14の(b),(c)は、第4の実施形態に係る蓋部の側面図を示す。
図15図15の(a)〜(c)は、第4の実施形態に係る蓋部の製造方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。本願発明の一実施形態は、ベース部と、ベース部の主面上に、電子部品を囲んで設けられる誘電体からなる枠部と、枠部の上面に設けられる枠状の第1金属層と、第1金属層上に設けられ、枠部に囲まれた領域を塞ぐ誘電体からなる蓋部と、蓋部において、枠部に対向して設けられた枠状の第2金属層とを備え、第1金属層と第2金属層とは、ロウ材を介して互いに接合しており、第2金属層の面積は、第1金属層の面積よりも大きい、電子部品搭載用パッケージである。
【0011】
この電子部品搭載用パッケージによれば、第2金属層の面積は、第1金属層の面積よりも大きい。これにより、ロウ材を介して枠部と蓋部とを接合する際に、当該接合に寄与しない余剰なロウ材は、蓋部に設けられる第2金属層上を伝って流れる。したがって、余剰なロウ材が枠部の側壁(パッケージの外側)に流れることが抑制される。また、第2金属層は、枠部に対向して、蓋部の周縁を包囲した枠状のパターンを有している。すなわち、蓋部には第2金属層が設けられない誘電体材料だけの領域を備えている。このため、第2金属層が反射板として作用して電子部品の高周波特性を劣化させることを抑制できる。なお、枠部あるいは蓋部を構成する材料は、セラミックスが典型的である。
【0012】
また、電子部品搭載用パッケージは、電子部品と電気的に接続し、枠部の側壁を貫通して設けられた配線を更に備え、配線と重なり合う領域における第2金属層の幅は、当該領域における第1金属層の幅以下であってもよい。この場合、蓋部を接合する前後で、配線に対向する金属層(第1金属層あるいは第2金属層)の面積は変化しない。すなわち、蓋部の金属層によってロウ材を収容することができることに加えて、蓋部の接合に伴う配線の特性インピーダンスの変動が抑制される。これにより、外部接続用配線を介した第2金属層による電子部品の電気特性への影響が抑制される。
【0013】
また、第2金属層は、第1金属層に対向する枠状領域と、枠状領域の少なくとも一つの隅部から枠状領域の内側に延在する延在領域と、を有してもよい。この場合、余剰なロウ材が第2金属層上の延在領域上を伝って流れる。したがって、余剰なロウ材が枠部の側壁に流れることが一層抑制される。
【0014】
また、ベース部の厚さ方向から見て、延在領域は、電子部品と重なり合わなくてもよい。この場合、延在領域による電子部品の電気特性への影響が抑制される。
【0015】
また、延在領域は、少なくとも一つの隅部の内側の角を中心とした扇形状を有してもよい。この場合、余剰なロウ材が延在領域上を均一に流れやすくなる。
【0016】
また、第2金属層は、蓋部の側面の少なくとも一部に延在して設けられてもよい。この場合、余剰なロウ材が、蓋部の主面上に設けられた第2金属層上だけでなく、蓋部の側面に設けられた第2金属層上を伝って流れる。したがって、余剰なロウ材が枠部の側壁に流れることが一層抑制される。
【0017】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、各実施形態において重複する説明は省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。図2は、蓋部が取り除かれた電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。図3の(a)は、蓋部の底面図を示す。図3の(b)は、図3の(a)のIIIb−IIIb線矢視部分断面図を示す。図4は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの断面模式図を示す。図5は、第1の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの分解斜視図を示す。
【0019】
図1図5に示されるように、電子部品搭載用パッケージ1は、ベース部2、枠部3、金属層(第1金属層)4、蓋部(リッド)5、及び外部接続用配線6,7を備えている。金属製のベース部2、枠部3、金属層4、及び蓋部5によって囲まれる領域に、電子部品11が収容されている。つまり、電子部品搭載用パッケージ1によって、電子部品11が収容されている。電子部品11は、例えば半導体チップ、コンデンサ、増幅素子等から構成される部品である。電子部品11は、例えば窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタ(GaN HEMT)を備えており、電子部品11の出力は例えば100W〜200Wである。
【0020】
図1,2,5に示されるように、ベース部2は、略直方体形状を有している金属製の部材であり、接地されている部材である。ベース部2に用いられる金属は、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又はチタン(Ti)等の単体であってもよい。また、ベース部2は、種々の金属を含む合金製であってもよい。以下では、ベース部2の主面2aにおける短手方向を方向D1とし、ベース部2の主面2aにおける長手方向を方向D2とし、ベース部2の厚さ方向を方向(厚さ方向)D3として説明する。また、ベース部2には、方向D2において互いに対向する切り欠き部2b,2cが形成されていてもよい。
【0021】
図1,2,5に示されるように、枠部3は、ベース部2の主面2a上に、電子部品11を囲むように設けられている。枠部3は、主面2aを構成する各辺に沿って設けられる側壁3bから構成されている。枠部3は、例えばアルミナ(Al)の焼結体(以下、単にセラミックスとする)等の誘電体から構成されている。つまり、枠部3は、セラミックス製である。方向D3から見た枠部3の一辺は、例えば5mmである。枠部3の方向D3における長さは、例えば0.9mm〜1.0mmである。枠部3の幅w1(図4参照)は、例えば0.4mm〜0.6mmである。本実施形態では、幅w1は例えば0.5mmである。枠部3の幅とは、枠部3の側壁3bの厚さであってもよい。
【0022】
図4に示されるように、金属層4は、枠部3の上面3aに設けられている。つまり、金属層4は、方向D3から見て枠状になっている。金属層4の幅は、枠部3の幅w1と同一であるが、枠部3の幅w1よりも小さくてもよい。金属層4は、例えば金(Au)から形成されている。金属層4は、例えば金メッキによって枠部3の上面3aに形成される。
【0023】
図1に示されるように、蓋部5は、枠部3に囲まれた空間を塞ぐように金属層4上に設けられる、略直方体形状の蓋である。蓋部5は、枠部3と同一の誘電体(セラミックス)製である。方向D3から見て、蓋部5の面積は、枠部3の面積と枠部3によって囲まれた空間の面積とを合計した面積と等しくなっているが、異なっていてもよい。また、図3の(a),(b)に示されるように、蓋部5の主面5a上には、枠状(四角枠状)の金属層(第2金属層)8が設けられている。金属層8は、例えば金メッキによって、蓋部5の主面5a上に形成されている。方向D3から見た金属層8における外側の側面8aと、蓋部5の各側面5bとは、互いに揃っている。つまり、金属層8は、蓋部5の周縁を包囲した枠状のパターンを有している。
【0024】
図4に示されるように、蓋部5が金属層4上に設けられている場合、蓋部5の主面5aはベース部2の主面2aと対向している。金属層8の幅w2は、枠部3の幅w1よりも大きくなっており、例えば0.6mm〜0.8mmである。金属層8の幅w2は、枠部3の幅w1よりも例えば120%〜160%大きくなっている。本実施形態では、幅w2は例えば0.8mmである。金属層8の面積は、枠部3の上面3aの面積(又は金属層4の面積)よりも大きくなっている。金属層8の面積は、金属層4の面積よりも例えば150%〜210%大きくなっている。金属層8と金属層4とは、互いに合金製(例えばAuSn)のロウ材9を介して接合されている。これにより、蓋部5が枠部3に囲まれた空間を塞ぐように枠部3に接合している。枠部3と蓋部5との接合に寄与しない余剰なロウ材9aは、蓋部5に設けられる金属層8上を伝って流れた後、金属層8上にて固まっている。ロウ材9は、例えば図5に示されるように、金属層4上に塗布されることによって、金属層8と金属層4との接合に用いられる。金属層4と、金属層8と、ロウ材9とは、電気的に浮遊している。
【0025】
図2に示されるように、外部接続用配線6は、方向D1において互いに対向している枠部3の一対の側壁3b1,3b2の内、側壁3b1の一部を貫通するように設けられている。同様に、外部接続用配線7は、枠部3の側壁3b2の一部を貫通するように設けられている。外部接続用配線6,7は、それぞれ電子部品11と電気的に接続されている端子(又は配線)である。外部接続用配線6,7は、電子部品11と直接接続されていてもよいし、他の配線等を介して電気的に接続されていてもよい。外部接続用配線6,7は、例えば金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又はチタン(Ti)等の金属又はそれらの合金等から形成されている。第1の実施形態では、外部接続用配線6を入力端子とし、外部接続用配線7を出力端子とする。
【0026】
以上に説明した、第1の実施形態の電子部品搭載用パッケージ1によって得られる効果について説明する。図6の(a)は、比較例に係る電子部品搭載用パッケージの斜視図を示す。図6の(b)は、図6の(a)のVIb−VIb線矢視部分断面図を示す。図6の(a),(b)に示されるように、電子部品搭載用パッケージ101において、蓋部5の主面5aに設けられた金属層108の幅w3は、枠部3の幅w1と略同一の大きさである。すなわち、金属層108の面積は、金属層4の面積と略同一である。この場合、枠部3と蓋部5との接合に寄与しない余剰なロウ材9aが、重力に沿って枠部3の側壁3bを伝って流れることにより、ロウ材9が枠部3の側壁3bに付着してしまう。この場合、電子部品搭載用パッケージ101が外観不良と評価され、不良品となるおそれがある。また、この余剰なロウ材9aが外部接続用配線6,7又はベース部2に接触し、短絡が発生するおそれがある。ロウ材9がX線を通さない材料を含んでいる場合、X線を用いた電子部品搭載用パッケージ101の内部検査を良好に行えないおそれもある。
【0027】
上記比較例に対して第1の実施形態では、図2図4に示されるように、金属層8の面積は、金属層4の面積よりも大きくなっている。この場合、枠部3と蓋部5との接合に寄与しない余剰なロウ材9aは、方向D3から見て枠部3と重なっていない金属層8上を伝って流れる。この現象は、セラミックス製の枠部3のロウ材9に対するぬれ性と、金属層8のロウ材9に対するぬれ性との違いによって発生する。つまり、ロウ材9に対する金属層8のぬれ性は、ロウ材9に対する枠部3のぬれ性よりもよいため、余剰なロウ材9aは重力に沿って枠部3の側壁3bを伝って流れるよりもむしろ金属層8上を伝って流れる。したがって、第1の実施形態における電子部品搭載用パッケージ1では、枠部3と蓋部5との接合に寄与しない余剰なロウ材9aが枠部3の側壁3bに流れることが抑制される。
【0028】
また、金属層8は、枠部3に対向して、蓋部5の周縁を包囲した枠状のパターンを有しており、蓋部5には金属層8が設けられない誘電体材料だけの領域を備えている。このため、金属層8が反射板として作用して電子部品11の高周波特性を劣化させることを抑制できる。
【0029】
また、蓋部5の主面5a上の金属層8は枠状であり、金属層8の幅w2は、金属層4の幅w1よりも大きくてもよい。この場合、余剰なロウ材9aが金属層8上を均一に伝って流れやすくなる。したがって、余剰なロウ材9aが枠部3の側壁3bに流れることが一層抑制される。
【0030】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。図7に示されるように、蓋部5の主面5aには、枠状(四角枠状)の金属層(第2金属層)8Aが設けられている。金属層8Aにおいて、方向D1に沿って互いに対向する一対の領域8A1,8A2の幅w4は、枠部3の幅w1と略同一若しくは枠部3の幅w1以下であり、例えば0.5mmである。金属層8Aにおいて、方向D2に沿って互いに対向する一対の領域8A3,8A4の幅w5は、枠部3の幅w1よりも大きくなっており、例えば0.8mmである。したがって、領域8A3,8A4の幅w5は、領域8A1,8A2の幅w4(及び枠部3の幅w1)よりも、例えば260%〜270%大きくなっている。すなわち、金属層8Aの面積は、金属層4の面積よりも例えば130%〜135%大きくなっている。
【0031】
図8は、第2の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの一部を透過した平面図を示す。図8に示されるように、方向D3から見て、金属層8Aは枠部3の上面3aを覆っているが、電子部品11を覆っていない。方向D3から見て、金属層8Aの領域8A1は外部接続用配線6と重なっており、領域8A2は外部接続用配線7と重なっている。方向D3から見て、蓋部5の主面5a上の金属層8Aにおいて、外部接続用配線6と重なり合う領域8A1の幅w4は、枠部3の幅w1以下である。同様に、方向D3から見て、金属層8Aにおける外部接続用配線7と重なり合う領域8A2の幅w4は、枠部3の幅w1以下である。また、方向D3から見て、蓋部5の主面5a上の金属層8Aにおいて、外部接続用配線6,7と重ならない領域8A3,8A4の幅w5は、枠部3の幅w1よりも大きい。
【0032】
図9は、図8のIX−IX線矢視部分断面図を示す。図9に示されるように、外部接続用配線6は、配線21と、リード端子(又はリード配線)22とを有する。配線21は、誘電体からなるフィードスルー部(例えば、絶縁性のセラミックス基板)23上に設けられており、枠部3の側壁3b1を貫通するように設けられている。配線21は、金属層4と接地電位に接続される金属製のベース部2との間に位置することにより、高周波伝送路を構成している。リード端子22は、枠部3の側壁3bの外側にて配線21に接続されている。上述のように、方向D3から見て、蓋部5の主面5a上の金属層8Aにおいて、外部接続用配線6と重なり合う領域8A1の幅w4は、枠部3の幅w1以下である。つまり、方向D3から見て、金属層8Aは、側壁3bを介する箇所以外では外部接続用配線6と重なっていない。
【0033】
以上説明したように、蓋部5の主面5a上に設けられている金属層8Aの面積は、枠部3の上面3a上に設けられている金属層4の面積よりも大きくなっている。したがって、第2の実施形態においても第1実施形態と同等の効果を奏する。さらに、方向D3から見て、金属層8Aにおいて、外部接続用配線6,7と重なり合う領域8A1,8A2の幅w4は、枠部3の幅w1以下である。これにより、蓋部5を接合する前後で、配線21に対向する接地電位の導体(金属層4、金属層8A)の面積は変化しない。すなわち、蓋部5の金属層8Aによってロウ材を収容することができることに加えて、蓋部5の接合に伴う配線21の特性インピーダンスの変動が抑制される。したがって、外部接続用配線6又は外部接続用配線7を介した金属層8Aによる電子部品11の電気特性への影響(例えば信号の入出力の変動、又は信号利得の変動等)が抑制される。
【0034】
(第3の実施形態)
図10の(a),(b)は、第2の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。図11の(a),(b)は、第3の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。図10の(a),(b)において、仮想線で示される領域31,31Aは、方向D3から見て電子部品11と蓋部5とが互いに重なる領域を示している。図10の(b)に示される場合(すなわち、電子部品11のサイズが大きい場合)、方向D3から見て蓋部5の主面5a上に設けられた金属層8Aの一部は、領域31Aと重なることがある。このように金属層8Aと領域31Aとが方向D3から見て互いに重なっている場合、電子部品11の電気特性に影響するおそれがある。
【0035】
電子部品のサイズが大きい場合であっても、電子部品の電気特性に影響が発生することを抑制するために、例えば図11の(a)に示される金属層8Bの形状にすることが挙げられる。金属層8Bは、枠状領域32と、延在領域33とを有する。枠状領域32は、枠部3の上面3aに設けられている四角枠状の金属層4に対向している。枠状領域32の幅w6は、枠部3の幅w1と略同一である。延在領域33の各々は、枠状領域32の隅部32aから枠状領域32の内側に延在している略矩形状の領域である。つまり、延在領域33は、枠状領域32の隅部32aから連続して設けられている領域である。これにより、金属層8Bの面積は、枠状領域32の幅w6が枠部3の幅w1と同一の場合であっても、金属層4の面積よりも大きくなる。金属層8Bの面積は、金属層4の面積よりも例えば120%〜130%大きくなっている。
【0036】
図11の(b)に示される金属層8Cの形状にすることによって、電子部品11Aの電気特性に影響が発生することを抑制してもよい。金属層8Cは、枠状領域32と、延在領域34とを有する。延在領域34の各々は、枠状領域32の隅部32aから枠状領域32の内側に延在している扇形状の領域である。具体的には、延在領域34の各々は、枠状領域32の隅部32aの内側の角32a1を中心とした扇形状を有している。これにより、金属層8Cの面積は、枠状領域32の幅w6が枠部3の幅w1と同一の場合であっても、金属層4の面積よりも大きくなる。金属層8Cの面積は、金属層4の面積よりも例えば130%〜140%大きくなっている。
【0037】
図12は、図11の(a)において領域31Aを示した図である。図12に示されるように、方向D3から見て金属層8Bと領域31A(電子部品11A)とは、互いに重なっていない。つまり、方向D3から見て領域31Aは、枠状領域32及び延在領域33の両方と重なっていない。
【0038】
図13は、第3の実施形態に係る電子部品搭載用パッケージの一部を透過した平面図を示す。図13に示されるように方向D3から見て金属層8Bは枠部3の上面3aを覆うと共に、電子部品11Aを覆っていない。つまり、方向D3から見て領域31Aは、枠状領域32及び延在領域33の両方と重なっていない。また、方向D3から見て、延在領域33は、外部接続用配線6,7と重なっていない。つまり、方向D3から見て、外部接続用配線6,7のそれぞれは、金属層8Bの枠状領域32と重なっているが、延在領域33とは重なっていない。また、方向D3から見て延在領域33は、枠部3に囲まれる空間内における外部接続用配線6,7の幅方向の両側に設けられている。
【0039】
方向D3から見て、電子部品11Aは、外部接続用配線6,7を介して外部回路等に接続される。枠部3に囲まれる空間内における外部接続用配線6,7の幅方向の両側は、構造上電子部品11A等が配置されない領域になる。この領域に重なるように蓋部5の主面5aに延在領域33を設けることによって、延在領域33による電子部品11Aの電気特性への影響を防ぐことができる。そして、延在領域33に余剰なロウ材を流すことにより、余剰なロウ材が枠部3の側壁3bを伝って流れることを抑制できる。
【0040】
以上説明したように、蓋部5の主面5a上に設けられている金属層8Bの面積は、枠部3の上面3a上に設けられている金属層4の面積よりも大きくなっている。具体的には、金属層8Bは、延在領域33を有するため、金属層8Bの面積は、金属層4の面積よりも大きくなっている。したがって、第3の実施形態においても第1実施形態と同等の効果を奏する。また、延在領域33は、方向D3から見てサイズの大きい電子部品11Aと重なっていない。これにより、延在領域33による電子部品11Aの電気特性への影響が抑制される。また、金属層8Bの代わりに蓋部5の主面5a上に金属層8Cを設けた場合であっても、金属層8Bと同等の効果が奏される。
【0041】
また、方向D3から見て、延在領域33は電子部品11Aと電気的に接続される外部接続用配線6,7と重なっていない。これにより、外部接続用配線6又は外部接続用配線7を介した金属層8Bによる電子部品11,11Aの電気特性への影響(例えば信号の入出力の変動、又は信号利得の変動等)が抑制される。
【0042】
また、方向D3から見て、延在領域34は少なくとも一つの隅部32aの内側の角32a1を中心とした扇形状を有していてもよい。この場合、余剰なロウ材9aが延在領域34上を均一に流れやすくなる。
【0043】
(第4の実施形態)
図14の(a)は、第4の実施形態に係る蓋部の底面図を示す。図14の(b),(c)は、第4の実施形態に係る蓋部の側面図を示す。図14の(a)〜(c)に示されるように、蓋部5Aは、略直方体形状の主部41及び突出部42を有する。蓋部5Aの厚さ方向から見た主部41における主面5Aaの各頂点5Aa1の周辺には、主部41と一体になっている突出部42が設けられている。また、主面5Aa上及び突出部42の主面42a上には、金属層8Dが設けられている。蓋部5Aの厚さ方向から見た金属層8Dは、枠状領域43と余剰領域44とを有する。枠状領域43の幅w7は、例えば0.5mm〜0.8mmである。つまり、枠状領域43の幅w7は、枠部3の幅w1と同一でもよいし、大きくてもよい。余剰領域44は、突出部42の主面42a上に設けられている領域であり、枠状領域43から連続して設けられている領域である。また、蓋部5Aの側面5Ab,5Acの一部には略矩形状の金属層45が設けられている。金属層45は、金属層8Dの枠状領域43と連続して設けられている。つまり、金属層45は金属層8Dの一部であり、蓋部5の側面5Ab,5Acの少なくとも一部に延在して設けられている。よって、金属層8Dの面積は、枠状領域43の幅w7が枠部3の幅w1と同一の場合であっても、金属層4の面積よりも大きくなる。金属層8Dの面積は、金属層4の面積よりも例えば1.1%〜1.2%大きくなっている。なお、蓋部5Aにおける突出部42は、例えば切断加工又は研磨加工等によって除去されてもよい。
【0044】
図15の(a)〜(c)は、第4の実施形態に係る蓋部の製造方法の一例を示す。まず第1ステップとして、図15の(a)に示されるように、絶縁性の基板51上にパターニングされた金属層52を形成する。例えばフォトリソグラフィーなどによって、基板51が露出した略矩形状の領域51a,51bが形成されるように格子状にパターニングされた金属層52を形成する。方向D3から見て、領域51aの各辺に隣り合って領域51bが位置するように、金属層52を形成する。方向D3から見て、領域51aの面積は領域51bの面積よりも大きい。
【0045】
次に第2ステップとして、図15の(b)に示されるように、領域51bを除去することによって、基板51に空間(ビア)Sを形成する。領域51bは、例えば切削加工又はドライエッチングによって除去される。基板51に空間Sが形成されることによって、領域51a及び金属層52の一部を有する複数の蓋部5Aが、基板51の一部及び金属層52の他の一部から構成される接続部53によって互いに接続されている状態になる。続いて、基板51に空間Sを形成したことによって露出した蓋部5Aの各側面に金属層を形成する。例えばレジストマスクを介した金メッキにより、金属層52から連続して延在するように当該金属層を設ける。この金属層は、図14(b),(c)に示される金属層45に相当するものである。
【0046】
次に第3ステップとして、図15の(c)に示されるように、接続部53を切断することによって複数の蓋部5Aを個別に分割する。例えばダイシングソー等を用いて、方向D1及び方向D2に沿って延在する一点鎖線Lに沿って接続部53を切断する。方向D3から見た一点鎖線Lは、空間Sを通過し、領域51aを通過しない線である。これにより、図14の(a)〜(c)に示される、主部41及び突出部42を有し、蓋部5Aの主面5Aa及び側面5Ab,5Acに金属層45が設けられた蓋部5Aを複数形成する。なお、蓋部5Aにおける突出部42は、例えば切断加工又は研磨加工等によって除去されてもよい。
【0047】
以上説明したように、蓋部5Aの表面上に設けられている金属層8Dの面積は、枠部3の上面3a上に設けられている金属層4の面積よりも大きくなっている。具体的には、金属層8Dは、金属層45を有するため、金属層8Dの面積は、金属層4の面積よりも大きくなっている。したがって、余剰なロウ材9が、蓋部5Aの主面5Aa上に設けられた枠状領域43上だけでなく、蓋部5Aの側面5Ab,5Acに設けられた金属層45上を伝って流れる。したがって、余剰なロウ材9が枠部3の側壁3bに流れることが抑制される。
【0048】
本発明による電子部品搭載用パッケージは、上述した第1〜第4の実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記第1〜第4の実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態に記載された金属層8を、第4の実施形態に記載された金属層8Dに変更してもよい。また、例えば、第4の実施形態に記載された金属層8Dの枠状領域43を、第3の実施形態に記載された金属層8bに変更してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,101…電子部品搭載用パッケージ、2…ベース部、2a…主面、3…枠部、3a…上面、3b,3b1,3b2…側壁、4…金属層(第1金属層)、5,5A…蓋部、5a、5Aa…主面、6,7…外部接続用配線、8,8A〜8D,108…金属層(第2金属層)、8A1〜8A4…領域、9,9a…ロウ材、11,11A…電子部品、21…配線、22…リード端子、32,43…枠状領域、32a…隅部、32a1…角、33,34…延在領域、45…金属層、51…基板、52…金属層、53…接続部、D1…方向(短手方向)、D2…方向(長手方向)、D3…方向(厚さ方向)、S…空間(ビア)、w1〜w7…幅。
図1
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