【解決手段】ドライバ回路4と、当該ドライバ回路4を制御する制御信号CSを出力する増幅回路3とは、複数の極を有するフィードバックループを構成する。半導体回路1は、当該フィードバックループでの位相補償用の容量素子CCを備える。増幅回路3は、一方の電流端子から制御信号が出力され、他方の電流端子が電源電位に接続されたトランジスタを含む出力ブランチと、当該出力ブランチと並列接続された、カスコード回路を含むブランチとを有している。カスコード回路に含まれる2つのトランジスタがそれぞれ有する、互いに接続された2つの電流端子と、ドライバ回路4との間に、ミラー効果を受ける容量素子CCが接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態に係る半導体回路の概要>
図1は実施の形態に係る半導体回路1の構成を示す図である。本実施の形態に係る半導体回路1は、例えば半導体集積回路であって、一つのパッケージ内に収められる。半導体回路1は、例えば、LVDS(low-voltage differential signaling)、mini−LVDS、VML(voltage-mode logic)等で用いられる出力バッファ回路である。
【0018】
図1に示されるように、半導体回路1は、バイアス回路2と、増幅回路3と、ドライバ回路4とを備えている。バイアス回路2は、増幅回路3で必要な各種バイアス電位を生成して出力する。増幅回路3は、ドライバ回路4を制御する制御信号CSを出力する。ドライバ回路4は、増幅回路3にとっての制御対象回路であって、負荷を駆動する。増幅回路3の入力段には、ドライバ回路4からのフィードバック信号FSが入力される。増幅回路3は、制御信号CSをドライバ回路4に与えることによって、ドライバ回路4の出力を制御する。
【0019】
本実施の形態に係る半導体回路1では、増幅回路3及びドライバ回路4が、複数の極を有するフィードバックループを構成している。半導体回路1には、当該フィードバックループでの位相補償用の容量素子CCが設けられている。容量素子CCは、MOS(metal oxide semiconductor)トランジスタ等で構成された半導体容量素子である。容量素子CCの一端及び他端は、増幅回路3及びドライバ回路4にそれぞれ接続されている。以後、位相補償用の容量素子を「位相補償容量素子」と呼ぶ。
【0020】
以下に、本実施の形態に係る半導体回路1を詳細に説明するが、その前に、当該半導体回路1と比較される比較対象回路について説明する。
【0021】
<第1比較対象回路>
図2は第1比較対象回路110の構成を示す図である。
図2に示されるように、第1比較対象回路110は、増幅回路であるオペアンプ300と、負荷を駆動するドライバ回路400と、位相補償容量素子CC1とを備えている。後述するように、第1比較対象回路110では、オペアンプ300及びドライバ回路400が、複数の極を有するフィードバックループを構成している。位相補償容量素子CC1は、当該フィードバックループでの位相補償用の容量素子である。位相補償容量素子CC1は、MOS(metal oxide semiconductor)トランジスタ等で構成された半導体容量素子である。
【0022】
第1比較対象回路110には、第1電源電位VDDと、それよりも小さい第2電源電位VSSとが与えられる。第1比較対象回路110は、第1電源電位VDD及び第2電源電位VSSを電源として動作する。第1電源電位VDDは例えば正の電位であって、第2電源電位VSSは例えば接地電位(0V)である。以後、第1電源電位VDDを「プラス電源電位VDD」と呼び、第2電源電位VSSを「接地電位VSS」と呼ぶ。
【0023】
オペアンプ300は、プラス電源電位VDD及び接地電位VSSを電源として動作する。オペアンプ300のマイナス側入力端子INNには参照電位Vrefが入力される。オペアンプ300のプラス側入力端子INPには、ドライバ回路400からのフィードバック電位Vfbが入力される。そして、オペアンプ300の出力端子OUTから出力される制御電位Vcntはドライバ回路400に入力される。
【0024】
ドライバ回路400は、プラス電源電位VDD及び接地電位VSSを電源として動作する。ドライバ回路400は、高電位側の電流源CSUと、低電位側の電流源CSLと、高電位側のスイッチ素子SWHL,SWHRと、低電位側のスイッチ素子SWLL,SWLRと、抵抗RTL,RTRとを備えている。スイッチ素子SWHL,SWHR,SWLL,SWLRのそれぞれは、例えばMOSトランジスタで構成される。
【0025】
高電位側の電流源CSUの入力端子CSUiはプラス電源電位VDDに接続され、電流源CSUの出力端子CSUoは、スイッチ素子SWHL,SWHRの一端に接続されている。電流源CSUが流す電流Issは、オペアンプ300からの制御電位Vcntによって制御される。電流源CSUの制御端子CSUcには制御電位Vcntが入力される。制御電位Vcntが小さくなると電流Issは大きくなり、制御電位Vcntが大きくなると電流Issは小さくなる。
【0026】
スイッチ素子SWHLの他端は、抵抗RTLの一端及びスイッチ素子SWLLの一端に接続されている。スイッチ素子SWHRの他端は、抵抗RTRの一端及びスイッチ素子SWLRの一端に接続されている。抵抗RTLの他端と抵抗RTRの他端とは、互いに接続され、さらにオペアンプ300のプラス側入力端子INPに接続されている。したがって、抵抗RTLと抵抗RTRの間のノードの電位がフィードバック電位Vfbとしてオペアンプ300のプラス側入力端子INPに入力される。
【0027】
低電位側の電流源CSLの入力端子CSLiは、スイッチ素子SWLL,SWLRの他端に接続されている。電流源CSLの出力端子CSLoは接地電位VSSに接続されている。電流源CSLには電流Issが流れる。
【0028】
ドライバ回路400の出力は差動出力となっている。ドライバ回路400の一方の出力端子Txpは、互いに接続されている、スイッチ素子SWHLの他端、抵抗RTLの一端及びスイッチ素子SWLLの一端に接続されている。ドライバ回路400の他方の出力端子Txmは、互いに接続されている、スイッチ素子SWHRの他端、スイッチ素子SWLRの一端及び抵抗RTRの一端に接続されている。そして、2つの出力端子Txp,Txm間には終端抵抗Rtermが接続される。出力端子Txp,Txmは差動出力端子を構成している。
【0029】
終端抵抗Rtermの抵抗値rRtermと、抵抗RTLの抵抗値rRTLと、抵抗RTRの抵抗値rRTRとの関係は以下の式(1)〜(3)のようになっている。
【0030】
rRterm≪rRTL ・・・(1)
rRterm≪rRTR ・・・(2)
rRTL=rRTR ・・・(3)
抵抗値rRtermは例えば100Ωであって、抵抗値rRTL,rRTRは例えば数kΩ〜数十kΩである。
【0031】
以上のような構成のドライバ回路400では、外部の制御回路(図示せず)によって、スイッチ素子SWHL,SWLRが対となって制御され、スイッチ素子SWHR,SWLLが対となって制御される。具体的には、
図2に示されるように、スイッチ素子SWHL,SWLRがともにオン状態に設定されるときには、スイッチ素子SWHR,SWLLがともにオフ状態に設定される。また、スイッチ素子SWHR,SWLLがともにオン状態に設定されるときには、スイッチ素子SWHL,SWLRがともにオフ状態に設定される。
【0032】
図2に示されるように、スイッチ素子SWHL,SWLRがオン状態に設定され、かつスイッチ素子SWHR,SWLLがオフ状態に設定された状態では、電流源CSUが流す電流Issは、スイッチ素子SWHL、出力端子Txp、終端抵抗Rterm、出力端子Txm、スイッチ素子SWLRを順に通って、電流源CSLに流れる。これにより、出力端子Txpの電位が出力端子Txmの電位よりも高くなり、出力端子Txp,Txm間に差動信号(差動電圧)が生じる。よって、出力端子Txp,Txmから差動信号が出力される。
【0033】
一方で、スイッチ素子SWHR,SWLLがオン状態に設定され、かつスイッチ素子SWHL,SWLRがオフ状態に設定された状態では、電流源CSUが流す電流Issは、スイッチ素子SWHR、出力端子Txm、終端抵抗Rterm、出力端子Txp、スイッチ素子SWLLを順に通って、電流源CSLに流れる。これにより、出力端子Txmの電位が出力端子Txpの電位よりも高くなり、出力端子Txp,Txm間に差動信号が生じる。
【0034】
なお、抵抗RTL,RTRの抵抗値rRTL,rRTRは、終端抵抗Rtermの抵抗値rRtermよりも十分に大きく設定されていることから、抵抗RTL,RTRにはほとんど電流が流れない。
【0035】
以後、出力端子Txp,Txmの電位のうち、大きい方の電位を「出力電位VOH」と呼び、小さい方の電位を「出力電位VOL」と呼ぶ。
図2の例では、出力端子Txpの電位が出力端子Txmの電位よりも大きくなっていることから、出力端子Txpから出力電位VOHが出力され、出力端子Txmから出力電位VOLが出力される。
【0036】
ドライバ回路400から出力される差動信号(以後、「出力差動信号」と呼ぶ)の振幅VODは、以下の式(4)で表される。
【0037】
VOD=VOH−VOL ・・・(4)
また、出力差動信号の中心電位(コモンモード電位)VOCは以下の式(5)で表される。
【0038】
VOC=(VOH+VOL)/2 ・・・(5)
出力差動信号の振幅VODは、終端抵抗Rtermに電流Issが流れることによって当該終端抵抗Rtermの両端に発生する電圧であることから、以下の式(6)で表すことができる。
【0039】
|VOD|=Iss×rRterm ・・・(6)
抵抗RTLの抵抗値rRTLと抵抗RTRの抵抗値rRTRは同じであることから、抵抗RTLと抵抗RTRの間のノードの電位、つまりフィードバック電位Vfbはコモンモード電位VOCと一致する。したがって、オペアンプ300のプラス側入力端子INPにはコモンモード電位VOCが入力される。
【0040】
オペアンプ300は、コモンモード電位VOC(フィードバック電位Vfb)と参照電位Vrefとを比較する。オペアンプ300は、コモンモード電位VOCが参照電位Vrefよりも小さければ制御電位Vcntを小さくし、コモンモード電位VOCが参照電位Vrefよりも大きければ制御電位Vcntを大きくする。これにより、コモンモード電位VOCが参照電位Vrefよりも小さければ電流Issが大きくなって、出力差動信号の振幅VOD及びコモンモード電位VOCが大きくなる。また、コモンモード電位VOCが参照電位Vrefよりも大きければ電流Issが小さくなって、出力差動信号の振幅VOD及びコモンモード電位VOCが小さくなる。
【0041】
このように、オペアンプ300は、コモンモード電位VOCが参照電位Vrefと一致するようにドライバ回路400の電流源CSUを制御する。これにより、ドライバ回路400の負荷等によって、出力差動信号のコモンモード電位VOCが変化することを抑制することができる。
【0042】
位相補償容量素子CC1の一端は、電流源CSUの出力端子CSUoと、スイッチ素子SWHL,SWHRの一端とに接続されている。位相補償容量素子CC1の他端は、オペアンプ300の出力端子OUTと電流源CSUの制御端子CSUcに接続されている。
【0043】
位相補償容量素子CC1は、例えばNMOSトランジスタで構成される。また、電流源CSUは、例えばPMOSトランジスタで構成され、電流源CSLは、例えばNMOSトランジスタで構成される。
【0044】
図3は、電流源CSU,CSLをそれぞれPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタで構成し、位相補償容量素子CC1をNMOSトランジスタで構成した場合の第1比較対象回路110の構成を示すブロック図である。
図3の例では、電流源CSUは、1段のPMOSトランジスタで構成されているが、カスコード接続された複数段のPMOSトランジスタで構成しても良い。また、
図3の例では、電流源CSLは、1段のNMOSトランジスタで構成されているが、カスコード接続された複数段のNMOSトランジスタで構成しても良い。
【0045】
図3に示されるドライバ回路400では、電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUのソース、ドレイン及びゲートが、それぞれ、電流源CSUの入力端子CSUi、出力端子CSUo及び制御端子CSUcとなっている。また、電流源CSLを構成するNMOSトランジスタMNCSLのドレイン及びソースが、それぞれ、電流源CSLの入力端子CSLi及び出力端子CSLoとなっている。MOSトランジスタのソース及びドレインのそれぞれは「電流端子」と呼ばれ、MOSトランジスタのゲートは「制御端子」とも呼ばれる。
【0046】
位相補償容量素子CC1を構成するNMOSトランジスタMNCCのソース及びドレインは、互いに接続され、かつ電流源CSUの出力端子CSUo(PMOSトランジスタMPCSUのドレイン)及びスイッチ素子SWHL,SWHRの一端に接続されている。NMOSトランジスタMNCCのゲートは、オペアンプ300の出力端子OUTと電流源CSUの制御端子CSUc(PMOSトランジスタMPCSUのゲート)に接続されている。
【0047】
電流源CSLがNMOSトランジスタMNCSLで構成される場合には、NMOSトランジスタMNCSLを含むカレントミラー回路410が設けられる。カレントミラー回路410は、NMOSトランジスタMNCSL以外にも、参照電流源CSREFと、NMOSトランジスタMNREFとを備えている。参照電流源CSREFの入力端子は電源電位VDDに接続されている。参照電流源CSREFの出力端子は、NMOSトランジスタMNREFのドレイン及びゲートと、NMOSトランジスタMNCSLのゲートとに接続されている。そして、NMOSトランジスタMNREFのソースは接地電位VSSに接続されている。
【0048】
このような構成のカレントミラー回路410では、NMOSトランジスタMNREFのドレインとソース間に参照電流源CSRFEFから参照電流Irefを流すと、参照電流Irefに応じた電位がNMOSトランジスタMNREFのゲートに発生する。当該電位は、参照電位VrefCとしてNMOSトランジスタMNCSLのゲートに入力されて、NMOSトランジスタMNCSLのドレインとソース間に電流Issが流れる。参照電流Irefと電流Issとの関係は、ミラー比Nを用いて以下の式(7)で表される。
【0049】
Iss=Iref×N ・・・(7)
上述の式(6)に示されるように、振幅VODは、電流Issに応じて変化することから、参照電流源CSREFに流れる参照電流Irefを変化させることによって振幅VODを調整することができる。
【0050】
上述の説明から理解できるように、第1比較対象回路110では、オペアンプ300及びドライバ回路400によって、フィードバックループが構成されている。オペアンプ300は増幅回路であることから、その周波数特性(周波数応答特性)には1つ以上の極が存在する。また、フィードバックループでは、オペアンプ300からの制御電位Vcntで制御される電流源CSUは1段の増幅回路と見ることができることから、電流源CSUの周波数特性には1つの極が存在する。よって、オペアンプ300及びドライバ回路400(詳細にはドライバ回路400の一部)は、2つ以上の極を有するフィードバックループを構成する。言い換えれば、オペアンプ300及びドライバ回路400は、複数段の増幅回路を有するフィードバックループを構成する。位相補償容量素子CC1は、当該フィードバックループでの位相補償用の容量素子である。位相補償容量素子CC1によって、フィードバックループでのオペアンプ300側の極が低周波側に移動する。
【0051】
位相補償容量素子CC1は、増幅回路としての電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUのゲートとドレインの間に接続されていることから、位相補償容量素子CC1は、増幅回路の入力端子と出力端子との間に接続されていると見ることができる。したがって、位相補償容量素子CC1はミラー効果を受ける。よって、オペアンプ300の出力端子OUTとプラス電源電位VDDとの間には、位相補償容量素子CC1の容量値cCC1に対してPMOSトランジスタMPCSUのゲインA1を掛け合わして得られる容量値(cCC1×A1)を有する容量素子が接続されていると見ることができる。これにより、小さい容量値の位相補償容量素子CC1を用いて適切に位相補償を行うことができる。
【0052】
ここで、位相補償容量素子CC1は、MOSトランジスタ等の半導体容量素子で構成するのではなく、配線層を構成するメタル積層構造で構成することができる。位相補償容量素子CC1をメタル積層構造で構成した場合には、位相補償容量素子CC1を半導体容量素子で構成した場合と比較して面積効率が悪い。したがって、前者の場合には、後者の場合よりも位相補償容量素子CC1のレイアウト面積が例えば数倍程度大きくなる。
【0053】
一方で、
図3のように、位相補償容量素子CC1をMOSトランジスタMNCCで構成した場合には、安定した容量値cCC1を得るためには、位相補償容量素子CC1の両端に、MOSトランジスタMNCCのしきい値電圧よりも大きい電圧を与える必要がある。また、位相補償容量素子CC1をバラクタで構成した場合には、MOSトランジスタで構成した場合よりも、容量値cCC1の電圧依存性は低いものの、十分な容量値cCC1を得るためには、位相補償容量素子CC1の両端にはしきい値よりも大きい電圧を与える必要がある。
【0054】
このように、位相補償容量素子CC1をMOSトランジスタ等の半導体容量素子で構成した場合には、安定かつ十分な容量値cCC1を得るためには、位相補償容量素子CC1の両端にはしきい値Vthccよりも大きな電圧を与える必要がある。つまり、適切な容量値cCC1を得るためには、位相補償容量素子CC1の両端の電圧をVpnccとすると以下の式(8)を満たす必要がある。
【0055】
Vpncc>Vthcc ・・・(8)
位相補償容量素子CC1をMOSトランジスタで構成した場合には、しきい値Vthccは、当該MOSトランジスタのしきい値電圧(反転層が生じるゲートとソース間の電圧)となる。
【0056】
図4はドライバ回路400内の各電位の関係を示す図である。
図4での縦軸は電位を示している。
図4に示されるVdsCSUは、電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUのドレインとソース間の電圧である。VHは、PMOSトランジスタMPCSUのドレイン(電流源CSUの出力端子CSUo)の電位である。VdsCSLは、電流源CSLを構成するNMOSトランジスタMNCSLのドレインとソース間の電圧である。VLは、NMOSトランジスタMNCSLのドレイン(電流源CSLの入力端子CSLi)の電位である。rSWPはスイッチSWHL,SWHRのオン状態での抵抗値(オン抵抗値)であって、rSWNは、スイッチSWLL,SWLRのオン状態での抵抗値である。
【0057】
第1比較対象回路110では、オペアンプ300を含むフィードバックループ(フィードバック回路)が正しく機能している場合には、Vfb=Vrefとなることから、以下の式(9)が成立する。
【0058】
Vfb=(VOH+VOL)/2=VOC=Vref ・・・(9)
また以下の式(10)が成立する。
【0059】
VH=Iss×(rSWP+rRterm//(rRTL+rRTR)+rSWN)
+VL ・・・(10)
式(10)中の「rRterm//(rRTL+rRTR)」は、出力端子Txpと出力端子Txmの間の、終端抵抗Rterm及び抵抗RTL,RTRから成る合成抵抗の抵抗値を示している。
【0060】
また、第1比較対象回路110では、以下の式(11),(12)が成立する。
【0061】
rSWP≪rRterm ・・・(11)
rSWN≪rRterm ・・・(12)
式(11),(12)と上述の式(1),(2)より、以下の式(13),(14)が成立する。
【0062】
VH=VOH=VOC+rRterm/2×Iss ・・・(13)
VL=VOL=VOC−rRterm/2×Iss ・・・(14)
ここで、飽和領域で動作するMOSトランジスタについては以下の式(15),(16)が成立する。
【0063】
Ids=K×W/L×(Vgs−Vth)
2=K×W/L×Vov
2 ・・・(15)
Vov=Vgs−Vth ・・・(16)
Idsは、MOSトランジスタでのドレインとソース間の電流であって、Vgsは、MOSトランジスタでのゲートとソース間の電圧であって、Vthは、MOSトランジスタのしきい値電圧である。またKは、MOSトランジスタのプロセスに依存する定数である。定数K、しきい値Vth、電圧Vgs及び後述の電圧Vdsは、NMOSトランジスタでは正の値をとり、PMOSトランジスタでは負の値をとる。
【0064】
式(15)が成立するためには、つまり、MOSトランジスタが飽和領域で動作するためには以下の式(17),(18)の両方が成立する必要がある。
【0065】
|Vgs|>|Vth| ・・・(17)
|Vgs−Vth|>|Vds| ・・・(18)
なお、式(17),(18)は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタの両方について言えることである。Vdsは、MOSトランジスタでのドレインとソース間の電圧である。
【0066】
電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUを電流源として機能させるためには、PMOSトランジスタMPCSUは飽和領域で動作させる必要がある。PMOSトランジスタMPCSUが飽和領域で動作するためには、式(18)により、以下の式(19)が成立する必要がある。
【0067】
(VgsCSU−VthCSU)>VdsCSU ・・・(19)
式(19)のVgsCSUは、PMOSトランジスタMPCSUでのゲートとソース間の電圧を示している。またVthCSUは、PMOSトランジスタMPCSUのしきい値電圧を示している。電圧VgsCSU、電圧VdsCSU及びしきい値電圧VthCSUのそれぞれは負の値をとる。
【0068】
電圧VdsCSU及び電圧VgsCSUは、以下の式(20),(21)で表される。
【0069】
VdsCSU=VH−VDD ・・・(20)
VgsCSU=Vcnt−VDD ・・・(21)
式(20),(21)と上述の式(19)から、PMOSトランジスタMPCSUが飽和領域で動作するための条件式の一つとして以下の式(22)が得られる。
【0070】
Vcnt>VthCSU+VH ・・・(22)
また、式(21)と上述の式(17)から、PMOSトランジスタMPCSUが飽和領域で動作するための条件式の一つとして以下の式(23)が得られる。
【0071】
Vcnt<VthCSU+VDD ・・・(23)
PMOSトランジスタMPCSUが飽和領域で動作するためには、式(22),(23)の両方が成立する必要がある。
【0072】
またPMOSトランジスタMPCSUについて、式(15)及び式(21)から以下の式(24)が得られる。
【0073】
VgsCSU=Vcnt−VDD
=−(−Iss/K×L/W)
1/2+VthCSU ・・・(24)
飽和領域で動作するPMOSトランジスタMPCSUについては式(24)が成立することから、式(24)より、第1比較対象回路110では、制御電位Vcntが小さくなると電流Issが大きくなり、制御電位Vcntが大きくなると電流Issが小さくなる。
【0074】
ここで、ドライバ回路400から出力される出力差動信号の振幅VODを大きくするために、カレントミラー回路410の参照電流源CSREFに流す参照電流Irefを大きくして電流Issを大きくすると、上述の式(13)より電位VHが大きくなる。また、式(24)より、電流Issが大きくなると制御電位Vcntは小さくなる。したがって、出力差動信号の振幅VODを大きくしようとすると、式(22)が成立しにくくなる。
【0075】
このように、PMOSトランジスタMPCSUを飽和領域で動作させるためには、出力差動信号の振幅VODをあまり大きくすることができない。つまり、電流Issの影響を受ける電位VH及び制御電位Vcntの関係で定まる電流源CSUの動作点に起因して、振幅VODの大きさが制限される。
【0076】
一方で、位相補償容量素子CC1を適切に動作させるためには、上述の式(8)、つまりVpncc>Vthccが成立する必要がある。位相補償容量素子CC1の両端の電圧Vpnccは、式(13)及び式(21)を用いて以下の式(25)で表される。
【0077】
Vpncc=Vcnt−VH
=VDD+VgsCSU−(Iss×rRterm/2+VOC)
・・・(25)
また式(8)は式(25)を使用して以下の式(26)のように変形できる。
【0078】
Vcnt−VH>Vthcc ・・・(26)
式(25)より、プラス電源電位VDDが小さい場合(回路の低電圧動作)、コモンモード電位VOCが大きい場合、電流Issが大きい(振幅VODが大きい)場合、終端抵抗の抵抗値rRtermが大きい場合には、Vpncc>Vthccは成立しにくくなる。また、スイッチ素子SWHL,SWHRのオン抵抗値rSWPが大きい場合には電位VHは大きくなることから、スイッチ素子SWHL,SWHRのオン抵抗値rSWPが大きい場合にもVpncc>Vthccは成立しにくくなる。
【0079】
ドライバ回路400から出力される出力差動信号の振幅VODを大きくするために電流Issを大きくすると、式(13)より電位VHが大きくなる。また、電流Issが大きくなると、式(24)より制御電位Vcntは小さくなる。したがって、出力差動信号の振幅VODを大きくしようとすると、式(26)は成立しにくくなる。つまり、位相補償容量素子CC1を適切に動作させるためには、出力差動信号の振幅VODをあまり大きくすることができない。言い換えれば、電流Issの影響を受ける電位VH及び制御電位Vcntの関係で定まる位相補償容量素子CC1の動作点に起因して、振幅VODが制限される。
【0080】
このように、第1比較対象回路110では、式(22)によって、電流源CSUの動作点に起因して振幅VODの大きさが制限されるとともに、式(26)によって、位相補償容量素子CC1の動作点に起因して振幅VODの大きさが制限される。したがって、振幅VODを決定する際には、電流源CSUの動作点と位相補償容量素子CC1の動作点の両方を考慮する必要がある。
【0081】
出力差動信号の振幅VODを大きくする場合において、式(26)よりも式(22)の方が成立しやすいときには、振幅VODは位相補償容量素子CC1の動作点に起因して制限される。言い換えれば、電流Issを大きくする場合において、式(26)よりも式(22)の方が成立しやすいとき、電流Issは位相補償容量素子CC1の動作点に起因して制限される。よって、この場合には、位相補償容量素子CC1が存在しない場合と比較して、振幅VOD(電流Iss)を大きくすることが難しくなる。
【0082】
<第2比較対象回路>
電流Issが位相補償容量素子CC1の動作点による制限を受けにくくするためには、
図5に示される第2比較対象回路120が考えられる。
図5に示されるように、第2比較対象回路120では、位相補償容量素子CC1は、プラス電源電位VDDとオペアンプ300の出力端子OUTとの間に接続されている。つまり、位相補償容量素子CC1は、電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUのソースとゲートの間に接続されている。
【0083】
第2比較対象回路120では、電圧Vpnccは以下の式(27)で表される。
【0084】
Vpncc=VDD−Vcnt ・・・(27)
式(27)より、第2比較対象回路120での電圧Vpnccは、第1比較対象回路110での電圧Vpnccとは異なり、電流Issに応じて変化する電位VHの影響を受けない。したがって、電流Issを大きくしたとしても、電圧Vpnccが変化しにくくなる。よって、電流Issは位相補償容量素子CC1の動作点に起因する制限を受けにくくなる。
【0085】
しかしながら、第2比較対象回路120では、位相補償容量素子CC1は、ミラー効果を受けることができないことから、位相補償容量素子CC1についての単位面積あたりの容量値が小さくなる。つまり、第2比較対象回路120では、位相補償容量素子CC1の面積効率が悪いといった問題がある。
【0086】
<第3比較対象回路>
図6は第3比較対象回路130の構成を示す図である。
図6に示されるように、第3比較対象回路130では、位相補償容量素子CC1の代わりに位相補償容量素子CCp,CCmが設けられている。位相補償容量素子CCpは、ドライバ回路400の出力端子Txpと接地電位VSSとの間に接続されている。位相補償容量素子CCmは、ドライバ回路400の出力端子Txmと接地電位VSSとの間に接続されている。
【0087】
このような第3比較対象回路130では、フィードバックループでのドライバ回路400側の極が低周波数側に移動し、位相補償が行われる。
【0088】
しかしながら、位相補償容量素子CCp,CCmは、ミラー効果を受けることができないため、位相補償容量素子CCp,CCmについての単位面積あたりの容量値は小さい。
【0089】
また、位相補償容量素子CCp,CCmは、出力端子Txp,Txmにそれぞれ接続されていることから、出力差動信号のスルーレート特性が劣化する。
【0090】
さらに、出力差動信号が、ドライバ回路400の外部に存在する、出力端子Txp,Txmに接続された寄生容量等の容量の影響を受けないためには、位相補償容量素子CCp,CCmの容量値を大きくする必要がある。そのため、位相補償容量素子CCp,CCmのレイアウト面積が大きくなる。
【0091】
<第4比較対象回路>
図7は第4比較対象回路140の構成を示す図である。第4比較対象回路140では、位相補償容量素子CC1の一端が、オペアンプ300の出力端子OUTではなく、オペアンプ300が有するカスコード回路に接続されている。
図8は、オペアンプ300の構成を示す図である。
図8には、オペアンプ300にバイアス電位を出力するバイアス回路200も示されている。なお、バイアス回路200はオペアンプ300内に設けても良い。
【0092】
図8に示されるように、オペアンプ300は、7つのNMOSトランジスタMNINP,MNINN,MNTC,MNUL,MNUR,MNLL,MNLRと、4つのPMOSトランジスタMPUL,MPUR,MPLL,MPLRと備えている。
図8に示されるオペアンプ300は、フォールデッドカスコード型オペアンプと呼ばれる。
【0093】
NMOSトランジスタMNINP,MNINNのゲートは、プラス側入力端子INP及びマイナス側入力端子INNにそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMNINP,MNINNのソースは、NMOSトランジスタMNTCのドレインと接続されている。NMOSトランジスタMNTCのソースは接地電位VSSと接続されている。
【0094】
PMOSトランジスタMPULとPMOSトランジスタMPLLとはカスコード接続され、PMOSトランジスタMPURとPMOSトランジスタMPLRとはカスコード接続されている。PMOSトランジスタMPUL,MPURのソースはプラス電源電位VDDに接続されている。PMOSトランジスタMPUL,MPURのゲートは互いに接続されている。PMOSトランジスタMPUL,MPURのドレインは、それぞれPMOSトランジスタMPLL,MPLRのソースと接続されている。PMOSトランジスタMPLL,MPLRのゲートは互いに接続されている。PMOSトランジスタMPULのドレインとPMOSトランジスタMPLLのソースは、入力段のNMOSトランジスタMNINPのドレインと接続されている。PMOSトランジスタMPURのドレインとPMOSトランジスタMPLRのソースは、入力段のNMOSトランジスタMNINNのドレインと接続されている。
【0095】
NMOSトランジスタMNULとNMOSトランジスタMNLLとはカスコード接続され、NMOSトランジスタMNURとNMOSトランジスタMNLRとはカスコード接続されている。NMOSトランジスタMNUL,MNURのドレインは、それぞれPMOSトランジスタMPLL,MPLRのドレインと接続されている。NMOSトランジスタMNUL,MNURのソースは、それぞれNMOSトランジスタMNLL,MNLRのドレインと接続されている。NMOSトランジスタMNLL,MNLRのソースは接地電位VSSに接続されている。NMOSトランジスタMNUL,MNURのゲートは互いに接続されている。NMOSトランジスタMNLL,MNLRのゲートは互いに接続されている。NMOSトランジスタMNLL,MNLRのゲートは、NMOSトランジスタMNUL及びPMOSトランジスタMPLLのドレインと接続されている。
【0096】
オペアンプ300は、バイアス回路200から出力されるバイアス電位VrefPU,VrefPL,VrefNU,VrefTCがそれぞれ入力される複数のバイアス入力端子RIN1〜RIN4を有している。バイアス入力端子RIN1に入力されるバイアス電位VrefPUは、PMOSトランジスタMPUL,MPURのゲートに入力される。バイアス入力端子RIN2に入力されるバイアス電位VrefPLは、PMOSトランジスタMPLL,MPLRのゲートに入力される。バイアス入力端子RIN3に入力されるバイアス電位VrefNUは、NMOSトランジスタMNUL,MNURのゲートに入力される。そして、バイアス入力端子RIN4に入力されるバイアス電位VrefTCは、NMOSトランジスタMNTCのゲートに入力される。
【0097】
PMOSトランジスタMPLR及びNMOSトランジスタMNURのドレインは出力端子OUTに接続されている。PMOSトランジスタMPLR及びNMOSトランジスタMNURのドレインの電位が制御電位Vcntとして出力端子OUTからドライバ回路400に出力される。
【0098】
オペアンプ300は、NMOSトランジスタMNURのソース及びNMOSトランジスタMNLRのドレインに接続されたフィードバック端子FPを備えている。フィードバック端子FPには、位相補償容量素子CC1の一端が接続されている。これにより、位相補償容量素子CC1の一端は、NMOSトランジスタMNUR,MNLRで構成されたカスコード回路に接続されている。つまり、位相補償容量素子CC1の一端は、NMOSトランジスタMNURのソース及びNMOSトランジスタMNLRのドレインの両方に接続されている。位相補償容量素子CC1の他端は、電流源CSUの出力端子CSUoに接続されている。
【0099】
第4比較対象回路140では、フィードバック端子FPの電位よりも電位VHの方が高くなる。したがって、
図3に示されるように、位相補償容量素子CC1をNMOSトランジスタMNCCで構成する場合には、NMOSトランジスタMNCCのゲートが電流源CSUの出力端子CSUoに接続され、NMOSトランジスタMNCCのソース及びドレインがフィードバック端子FPに接続される。
【0100】
図9はバイアス回路200の構成を示す図である。
図9に示されるように、バイアス回路200は、PMOSトランジスタMP1,MP2と、NMOSトランジスタMN1,MN2と、電流源CS1〜CS4とを備えている。PMOSトランジスタMP1,MP2のソースはプラス電源電位VDDに接続されている。PMOSトランジスタMP1,MP2のドレインは、それぞれ電流源CS1,CS2の入力端子と接続されている。PMOSトランジスタMP1のゲート及びドレインは互いに接続され、PMOSトランジスタMP2のゲート及びドレインは互いに接続されている。電流源CS1,CS2の出力端子は接地電位VSSに接続されている。
【0101】
NMOSトランジスタMN1,MN2のソースは接地電位VSSに接続されている。NMOSトランジスタMN1,MN2のドレインは、それぞれ電流源CS3,CS4の出力端子と接続されている。NMOSトランジスタMN1のゲート及びドレインは互いに接続され、NMOSトランジスタMN2のゲート及びドレインは互いに接続されている。電流源CS3,CS4の入力端子はプラス電源電位VDDに接続されている。
【0102】
バイアス回路200は、オペアンプ300のバイアス入力端子RIN1〜RIN4にそれぞれ接続されたバイアス出力端子ROUT1〜ROU4を備えている。バイアス出力端子ROUT1は、PMOSトランジスタMP1のゲート及びドレインに接続されている。バイアス回路200のPMOSトランジスタMP1及び電流源CS1と、オペアンプ300のPMOSトランジスタMPUL,MPURとでカレントミラー回路を構成している。PMOSトランジスタMP1のゲート及びドレインの電位がバイアス電位VrefPUとしてバイアス出力端子ROUT1から出力される。
【0103】
バイアス出力端子ROUT2は、PMOSトランジスタMP2のゲート及びドレインに接続されている。バイアス回路200のPMOSトランジスタMP2及び電流源CS2と、オペアンプ300のPMOSトランジスタMPLL,MPLRとでカレントミラー回路を構成している。PMOSトランジスタMP2のゲート及びドレインの電位がバイアス電位VrefPLとしてバイアス出力端子ROUT2から出力される。
【0104】
バイアス出力端子ROUT3は、NMOSトランジスタMN2のゲート及びドレインに接続されている。バイアス回路200のNMOSトランジスタMN2及び電流源CS4と、オペアンプ300のNMOSトランジスタMNUL,MNURとでカレントミラー回路を構成している。NMOSトランジスタMN2のゲート及びドレインの電位がバイアス電位VrefNUとしてバイアス出力端子ROUT3から出力される。
【0105】
バイアス出力端子ROUT4は、NMOSトランジスタMN1のゲート及びドレインに接続されている。バイアス回路200のNMOSトランジスタMN1及び電流源CS3と、オペアンプ300のNMOSトランジスタMNTCとでカレントミラー回路を構成している。NMOSトランジスタMN1のゲート及びドレインの電位がバイアス電位VrefTCとしてバイアス出力端子ROUT4から出力される。
【0106】
以上のような構成を有する第4比較対象回路140では、オペアンプ300の最終段のブランチに存在するNMOSトランジスタMNLRのドレインとソース間の電圧をVdsN1とすると、位相補償容量素子CC1の両端の電圧Vpnccは以下の式(28)で表される。
【0107】
Vpncc=VH−VdsN1 ・・・(28)
したがって、上述の式(8)は以下の式(29)のように変形できる
VH−VdsN1>Vthcc ・・・(29)
式(29)に示されるように、第4比較対象回路140での位相補償容量素子CC1の動作点は、上述の第1比較対象回路110とは異なり(式(26)参照)、電流Issに応じて変化する制御電位Vcntの影響を受けない。さらに、NMOSトランジスタMNLRのドレインとソース間の電圧VdsN1は、電流Issの影響を受けない。したがって、電流Issを大きくしたとき、式(29)は式(26)よりも成立しやすい。よって、電流Issは位相補償容量素子CC1の動作点に起因する制限を受けにくくなる。
【0108】
また、一般的な設計手法であれば、電位VHは、しきい値Vthccと電圧VdsN1とを足し合わせた値よりも簡単に大きくすることができることから、式(29)を簡単に満たすことができる。
【0109】
さらに、第4比較対象回路140では、位相補償容量素子CC1はミラー効果を受けることができる。したがって、位相補償容量素子CC1の実効的な容量値が増大し、位相補償容量素子CC1の面積効率が良好となる。以下にこの点について説明する。
【0110】
まず
図10に示されるソース接地増幅回路150を使用してミラー効果の概念を説明する。
図10に示されるソース接地増幅回路150では、NMOSトランジスタMN10のソースが接地電位VSSに接続されている。また、NMOSトランジスタNM10のゲートとドレインの間には容量素子CC10が接続されている。そして、NMOSトランジスタMN10のドレインは出力抵抗R10を介してプラス電源電位VDDに接続されている。
【0111】
ここで、容量素子を含む増幅回路については、それを小信号等価回路で考えた場合に、容量素子の一端での電位変化に対して、容量素子の他端での電位が逆方向にゲイン倍変化する場合に、容量素子はミラー効果を受けることができる。
【0112】
ソース接地増幅回路150での入力電位v1と出力電位v2との関係は以下の式(30)で表される。
【0113】
v2=−1×v1×gm×r10=−v1×A10 ・・・(30)
gmはNMOSトランジスタMN10のトランスコンダクタンスを示し、r10は出力抵抗R10の抵抗値を示し、A10はソース接地増幅回路150のゲインの大きさを示している。
【0114】
容量素子CC10の両端にかかる電圧vpnは以下の式(31)で表される。
【0115】
vpn=v2−v1=−(A10+1)×v1 ・・・(31)
A10≫1の場合、式(31)より、容量素子CC10の両端にかかる電圧vpnは、入力電位v1のゲインA10倍される。その結果、ソース接地増幅回路150の入力端子(NMOSトランジスタMN10のゲート)には、容量素子CC10の容量値のA10倍の容量値を有する容量素子が接続されたように見える。つまり、容量素子CC10はミラー効果を受ける。
【0116】
次に第4比較対象回路140での位相補償容量素子CC1が受けるミラー効果について説明する。
図11は、第4比較対象回路140の一部の回路についての小信号等価回路を示す図である。
【0117】
図11に示されるように、小信号等価回路においては、オペアンプ300のNMOSトランジスタMNLRは電流源CS20と見なすことができ、オペアンプ300のPMOSトランジスタMPUR,MPLRは等価抵抗R20と見なすことができる。また、小信号等価回路においては、オペアンプ300のNMOSトランジスタMNURのゲートは接地していると見なすことができる。そして、小信号等価回路においては、ドライバ回路400での、電流源CSUの出力端子CSUoから電流源CSLの出力端子CSLoまでの回路は等価抵抗R21と見なすことができる。
【0118】
NMOSトランジスタMNURのゲートは接地していると見なせることから、位相補償容量素子CC1を流れる小信号電流iccは、そのすべてがNMOSトランジスタMNURを流れる。その結果、等価抵抗R20の等価抵抗値r20より、以下の式(32)で示される小信号電位vcntがNMOSトランジスタMNURのドレインに発生する。
【0119】
vcnt=icc×r20 ・・・(32)
電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUは、小信号電位vcntをそのトランスコンダクタンスgmCSU倍して得られる小信号電流i20を流す。小信号電流i20は以下の式(33)で表される。
【0120】
i20=−vcnt×gmCSU ・・・(33)
等価抵抗R21の抵抗値をr21とすると、電流源CSUの出力端子CSUoには、以下の式(34)で示される小信号電位vhが発生する。
【0121】
vh=i20×r21
=−vcnt×gmCSU×r21
=−icc×r20×A20 ・・・(34)
式(34)中のA20は、ドライバ回路400のゲインの大きさを示しており、以下の式(35)で示される。
【0122】
A20=gmCSU×r21 ・・・(35)
ここで、ゲート接地されているNMOSトランジスタMNURのソースの小信号電位v20は、以下の式(36)のように、NMOSトランジスタMNURのトランスコンダクタンスgmMNURの逆数と小信号電流iccとの積で表すことができる。
【0123】
v20=1/gmMNUR×icc ・・・(36)
したがって、小信号電位vhは以下の式(37)で表すことができる。
【0124】
vh=−v20×gmMNUR×r20×A20 ・・・(37)
よって、位相補償容量素子CC1の両端にかかる電圧vpn20は、以下の式(38)で表される。
【0125】
vpn20=vh−v20
=−(1+A20×r20×gmMNUR)×v20 ・・・(38)
式(38)より、r20×gmMNUR=1のときに、位相補償容量素子CC1は、
図10での容量素子CC10が受けるミラー効果と同様のミラー効果を受けることができる。つまり、r20×gmMNUR≧1となるようにNMOSトランジスタMNURの特性を調整することによって、電流源CSUの制御端子CSUcに、位相補償容量素子CC1の容量値のA20倍の容量値を有する容量素子が接続されていると見なすことができる。
【0126】
このように第4比較対象回路140では、電流Iss(振幅VOD)が位相補償容量素子CC1の動作点に起因する制限を受けにくくなるとともに、位相補償容量素子CC1はミラー効果を受けることができる。
【0127】
しかしながら、出力端子OUTと接地電位VSSの間には、NMOSトランジスタMNUR,MNLRから成るカスコード回路が存在することから、制御電位Vcntの下限値の設定を、電流源CSUの動作点で決まる下限値まで小さくすることができないことがある。
【0128】
NMOSトランジスタMNLRが飽和領域で動作するために必要なドレインとソース間の電圧の大きさをVdsN1_satとし、NMOSトランジスタMNURが飽和領域で動作するために必要なドレインとソース間の電圧の大きさをVdsN2_satとすると、制御電位Vcntは、以下の式(39)に示されるように、VdsN1_satとVdsN2_satとを足し合わせた値よりも大きくなる。
【0129】
Vcnt>VdsN1_sat+VdsN2_sat ・・・(39)
ここで、電流源CSUの動作点を決定する上述の式(22)は以下の式(40)に変形できる。
【0130】
Vcnt>VH−|VthCSU| ・・・(40)
式(39),(40)より、以下の式(41)が成立する場合には、制御電位Vcntの下限値の設定は、カスコード回路の存在に起因して制限され、電流源CSUの動作点から決まる下限値まで小さくすることができない。
【0131】
VdsN1_sat+VdsN2_sat>VH−|VthCSU| ・・・(41)
したがって、第4比較対象回路140では、電流Issを大きくすることが困難となり、その結果、出力差動信号の振幅VODを大きくすることが困難となる。
【0132】
このように、第4比較対象回路140では、オペアンプ300の出力段がカスコード回路を含んでいることから、オペアンプ300の出力範囲を広げることが困難となる。
【0133】
そこで、本実施の形態では、オペアンプ等の増幅回路の出力範囲を容易に広げることができ、かつ位相補償容量素子の面積効率を向上させることが可能な半導体回路を提供する。
【0134】
<実施の形態に係る半導体回路の詳細説明>
図12は本実施の形態に係る半導体回路1が備えるドライバ回路4及び増幅回路3の構成を示す図である。本実施の形態に係る増幅回路3は、例えばオペアンプである。以後、増幅回路3を「オペアンプ3」と呼ぶことがある。
【0135】
本実施の形態に係るドライバ回路4は、上述のドライバ回路400と同じ構成を有している。また本実施の形態に係るバイアス回路2(
図1参照)は、上述のバイアス回路200と同じ構成を有している。以下では、本実施の形態に係る半導体回路1について、上述の第4比較対象回路140との相違点を中心に説明する。
【0136】
位相補償容量素子CCの一端は、電流源CSUの出力端子CSUoに接続されている。また位相補償容量素子CCの他端は、オペアンプ3が有するフィードバック端子FPに接続されている。ドライバ回路4からオペアンプ3にフィードバックされるフィードバック電位FBが
図1でのフィードバック信号FSであり、オペアンプ3から出力される制御電位Vcntが
図1での制御信号CSである。
【0137】
図13は、
図3と同様に、位相補償容量素子CCをNMOSトランジスタMNCCで構成し、電流源CSUをPMOSトランジスタMPCSUで構成し、電流源CSLをNMOSトランジスタMNCSLで構成した場合のドライバ回路4及び増幅回路3の構成を示す図である。
【0138】
図13に示されるように、位相補償容量素子CCを構成するNMOSトランジスタMNCCのゲートは電流源CSUの出力端子CSUoに接続されている。そして、NMOSトランジスタMNCCのドレイン及びソースは、互いに接続されており、かつオペアンプ3のフィードバック端子FPに接続されている。
【0139】
図14は本実施の形態に係るオペアンプ3の構成を示す図である。本実施の形態に係るオペアンプ3は、
図8に示されるオペアンプ300において、PMOSトランジスタMPLL2,MPLR2及びNMOSトランジスタMNLL2,MNLR2を追加したものである。以下では、オペアンプ3について、オペアンプ300との相違点を中心に説明する。
【0140】
PMOSトランジスタMPLL2,MPLR2のソースは、入力段のNMOSトランジスタMNINP,MNINNのドレインとそれぞれ接続されている。PMOSトランジスタMPLL2,MPLR2のゲートは、互いに接続され、かつPMOSトランジスタMPLL,MPLRのゲートと接続されている。PMOSトランジスタMPLL2,MPLR2のドレインは、NMOSトランジスタMNLL2,MNLR2のドレインとそれぞれ接続されている。NMOSトランジスタMNLL2,MNLR2のソースは接地電位VSSと接続されている。NMOSトランジスタMNLL2,MNLR2のゲートは、互いに接続され、かつNMOSトランジスタMNLL,MNLRのゲートと接続されている。
【0141】
本実施の形態に係るオペアンプ3では、上述のオペアンプ300とは異なり、出力端子OUTは、PMOSトランジスタMPLR2及びNMOSトランジスタMNLR2のドレインに接続されている。したがって、PMOSトランジスタMPLR2及びNMOSトランジスタMNLR2のドレインの電位が制御電位Vcntとして出力端子OUTから出力される。
【0142】
また本実施の形態に係るオペアンプ3では、オペアンプ300と同様に、フィードバック端子FPが、NMOSトランジスタMNURのソース及びNMOSトランジスタMNLRのドレインに接続されている。したがって、位相補償容量素子CCの一端は、NMOSトランジスタMNURのソース及びNMOSトランジスタMNLRのドレインに接続されている。
【0143】
以上の説明から理解できるように、本実施の形態に係るオペアンプ3では、制御電位Vcntを出力する出力ブランチBROに対して、フィードバック端子FPが接続された位相補償用ブランチBRCが並列接続されている。位相補償用ブランチBRCには、NMOSトランジスタMNUR,MNLRから成るカスコード回路が含まれている。
【0144】
本実施の形態に係る半導体回路1では、第4比較対象回路140と同様に、位相補償容量素子CCの一端が、出力端子OUTではなく、NMOSトランジスタMNURのソース及びNMOSトランジスタMNLRのドレインに接続されている。したがって、第4比較対象回路140と同様に、電流Iss(振幅VOD)が位相補償容量素子CCの動作点に起因する制限を受けにくくなる。
【0145】
また、半導体回路1では、第4比較対象回路140と同様に、位相補償容量素子CCはミラー効果を受けることができる。
図15は、半導体回路1の一部の回路についての小信号等価回路を示す図である。
【0146】
図15に示されるように、小信号等価回路においては、オペアンプ3の位相補償用ブランチBRCのNMOSトランジスタMNLRは電流源CS30と見なすことができ、位相補償用ブランチBRCのNMOSトランジスタMNURのゲートは接地していると見なすことができる。また、小信号等価回路においては、オペアンプ3のPMOSトランジスタMPURは電流源CS31と見なすことができる。そして、小信号等価回路においては、オペアンプ3の出力ブランチBROのNMOSトランジスタMNLR2は電流源CS32と見なすことができる。
【0147】
図15に示される回路では、
図11に示される回路と同様に、位相補償容量素子CCを流れる小信号電流iccは、NMOSトランジスタMNUR、PMOSトランジスタMPLR及びPMOSトランジスタMPLR2を通じて、電流源CSUを構成するPMOSトランジスタMPCSUのゲートに流れ込む。したがって、位相補償容量素子CCはミラー効果を受けることができる。なお、PMOSトランジスタMPLRに流れる小信号電流iccは、チャネル長変調でのソース及びドレイン間の抵抗roを流れると考えることができる。
【0148】
また本実施の形態では、オペアンプ3の出力ブランチBROには、カスコード回路が設けられていないことから、オペアンプ3の出力範囲を容易に広げることができる。
【0149】
図16は半導体回路1における、位相補償容量素子CC付近の回路での電位及び電圧を示す図である。電圧VdsP1_satは、PMOSトランジスタMPURが飽和領域で動作するめに必要なドレインとソース間の電圧の大きさを示し、電圧VdsP2_satは、PMOSトランジスタMPLRが飽和領域で動作するために必要なドレインとソース間の電圧の大きさを示している。また、電圧VdsP3_satは、PMOSトランジスタMPLR2が飽和領域で動作するために必要なドレインとソース間の電圧の大きさを示し、電圧VdsN3_satは、NMOSトランジスタMNLR2が飽和領域で動作するために必要なドレインとソース間の電圧の大きさを示している。
【0150】
図17はオペアンプ3の動作点によって定まる、制御電位Vcntの下限値MINOPA及び上限値MAXOPAと、電流源CSUの動作点によって定まる、制御電位Vcntの下限値MINCSU及び上限値MAXCSUとの関係を示す図である。
【0151】
オペアンプ3では、出力端子OUTとプラス電源電位VDDとの間には、PMOSトランジスタMPUR,MPLR2が存在することから、
図17に示されるように、上限値MAXOPAは(VDD−VdsP1_sat−VdsP3_sat)となる。また、出力端子OUTと接地電位VSSとの間にはNMOSトランジスタMNLR2が存在することから、
図17に示されるように、下限値MINOPAはVdsN3_satとなる。
【0152】
一方で、電流源CSUについては、
図17に示されるように、上述の式(23)から上限値MAXCSUは(VDD−|VthCSU|)となる。また式(22)から下限値MINCSUは(VH−|VthCSU|)となる。
【0153】
このように、本実施の形態に係る半導体回路1では、オペアンプ3の動作点によって定まる、制御電位Vcntの下限値MINOPAはVdsN3_satとなり、電流源CSUの動作点によって定まる、制御電位Vcntの下限値MINCSUは(VH−|VthCSU|)となる。したがって、以下の式(42)が成立する場合には、制御電位Vcntの下限値の設定を、電流源CSUの動作点で決まる下限値MINCSUまで小さくすることができる(Vcnt>VH−|VthCSU|であるため、厳密には、制御電位Vcntの下限値を下限値MINCSU近くまで小さくすることができる)。
【0154】
VH−|VthCSU|≧VdsN3_sat ・・・(42)
ここで、上述の第4比較対象回路140のオペアンプ300では、出力端子OUTと接地電位VSSとの間に2つのNMOSトランジスタMNUL,MNLRが存在することから、
図17に示されるように、オペアンプ300の動作点によって定まる、制御電位Vcntの下限値MINOPA’は(VdsN1_sat+VdsN2_sat)となる。VdsN1_satとVdsN3_satを同じと考えると、本実施の形態に係る半導体回路1での下限値MINOPAは、第4比較対象回路140での下限値MINOPA’よりもVdsN2_satだけ小さくなる。つまり、下限値MINOPAは、下限値MINOPA’よりも、MOSトランジスタが飽和領域で動作するために必要なソース及びドレイン間の電圧の大きさの分だけ小さくなる。したがって、本実施の形態に係る半導体回路1では、第4比較対象回路140よりも、下限値MINOPAを下限値MINCSU以下に設定しやすくなる。つまり、式(42)が成立し易くなる。
【0155】
例えば、VDD=1.8V±10%、VOC=0.9V、|VthCSU|=0.8V、VdsN1_sat=VdsN2_sat=VdsN3_sat=0.2V、|VOD|=0.4Vとする。プラス電源電位VDDが下限値の1.62Vであるとすると、上限値MAXOPA,MAXCSU及び下限値MINOPA,MINOPA’,MINCSUは以下のようになる。なお、電位VHは、VH=VOC+|VOD|/2を用いて求める。
【0156】
MAXCSU=1.62−0.8=0.82V
MAXOPA=1.62−0.2−0.2=1.22V
MINCSU=0.9+0.4/2−0.8=0.3V
MINOPA=0.2V
MINOPA’=0.2+0.2=0.4V
上述の数値例では、
図17のように、MINOPA’>MINCSU>MINOPAとなっている。この数値例では、第4比較対象回路140での制御電位Vcntの下限値の設定値については、オペアンプ3の動作点に起因した制限があるものの、本実施の形態では、当該制限が無くなり、制御電位Vcntの下限値の設定値を、電流源CSUの動作点で決まる下限値MINCSUまで小さくすることができる。
【0157】
以上のように、本実施の形態では、オペアンプ3の出力ブランチBROに、一方の電流端子から制御電位Vcntが出力され、他方の電流端子が接地電位VSSに接続されたNMOSトランジスタMNLR2が設けられていることから、オペアンプ3の出力範囲、つまり制御電位Vcntの範囲を容易に広げることが可能である。したがって、電流Issを簡単に大きくすることが可能となる。よって、出力差動信号の振幅VODを簡単に大きくすることができる。
【0158】
また、位相補償用ブランチBRCのカスコード回路に含まれるNMOSトランジスタMNUR,MNLRがそれぞれ有する、互いに接続された2つの電流端子と、ドライバ回路4との間には、ミラー効果を受ける位相補償容量素子CCが接続されている。したがって、位相補償容量素子CCの面積効率が向上するとともに、振幅VODを大きくすることができる。
【0159】
また、位相補償容量素子CCはドライバ回路4の出力端子Txp,Txmに接続されていないことから、位相補償容量素子CCがドライバ回路4の出力特性に影響を与えることを抑制することができる。
【0160】
なお、上記の例では、オペアンプ3は高電位側の電流源CSUを制御していたが、
図18に示されるように低電位側の電流源CSLを制御しても良い。
【0161】
また上記の例では、ドライバ回路4に電流源CSU,CSLを設けていたが、それらの代わり電圧源を設けても良い。この場合には、オペアンプ3は制御電位Vcntにより電圧源の出力電位を制御することになる。
【0162】
また上記の例では、ドライバ回路4からオペアンプ3にフィードバックするフィードバック電位Vfbをコモンモード電位VOCとしていたが、ドライバ回路4内で発生する他の電位であっても良い。例えば、フィードバック電位Vfbを電位VHとしても良いし、電位VOHとしても良いし、電位VLとしても良いし、電位VOLとしても良い。
【0163】
また上記の例では、オペアンプ3の位相補償用ブランチBRC内のカスコード回路は、2段のMOSトランジスタで構成されていたが、3段以上のMOSトランジスタで構成されても良い。
【0164】
またオペアンプ3には、出力ブランチBROと対を成す、PMOSトランジスタMPLL2及びNMOSトランジスタMNLL2を含むブランチが設けられていたが、当該ブランチを設けなくても良い。またオペアンプ3は、差動入力ではなくシングルエンド入力であっても良い。
【0165】
以上のように、半導体回路1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。