【解決手段】回転子コア310は、積層された電磁鋼板により構成され、本体部310aと、本体部310aの軸方向一方側および軸方向他方側に設けられている第1のバランス調整部310bおよび第2のバランス調整部310cを有している。第1のバランス調整部310bの長さM1は、第2のバランス調整部310cの長さM2より長い。本体部310aと第1のバランス調整部310bに設けられている永久磁石341の長さL1は、本体部310aと第2のバランス調整部310cに設けられている永久磁石342の長さL2に等しい。永久磁石341の軸方向一方側の端部は、バランス調整部310bを構成する電磁鋼板の一部に形成されているブリッジ部313cにより、軸方向一方側への移動が規制されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている、バランスウェイトを回転子コアに取り付ける方法では、バランスウェイトを回転子コアに取り付ける作業が必要であり、また、バランスウェイトの寸法精度を高めるのが難しい。
また、特許文献1に開示されている、回転子コアの一部を切り取る方法では、バランスウェイトを回転子コアに取り付ける作業を省略することができるとともに、回転子コアを精度よく切り取ることができるが、回転子コアを切り取る位置や形状に制限があり、また、永久磁石の長さを長くすることができない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、回転体のアンバランスを精度よく修正することができるとともに、永久磁石の長さを長くすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のように構成される。なお、以下の説明において、「等しい」および「同じ」という記載は、「略等しい」態様および「略同じ」態様を含むものとして用いている。
一つの発明は、永久磁石電動機に関する。
本発明の永久磁石電動機は、固定子と回転子を備えている。固定子は、固定子コアと固定子巻線を有している。回転子は、磁性を有する板状部材、典型的には、電磁鋼板を軸方向に積層して形成された回転子コアと、回転子コアに形成された磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、回転子コアの軸方向両側に配置された端板を有している。
回転子コアは、筒状に形成された第1の部分と、第1の部分の軸方向一方側および軸方向他方側に設けられ、軸方向に沿って延在する第2の部分および第3の部分を有している。典型的には、第2の部分および第3の部分は、軸方向に直角な断面で見て、第1の部分の外周形状と異なる外周形状を有している。また、典型的には、第2の部分と第3の部分は、同じ外周形状を有している。
回転子コアを形成する板状部材は、回転子コアの第1、第2および第3の部分を形成する第1、第2および第3の板状部材を有している。典型的には、第2の板状部材と第3の板状部材は、少なくとも一部が、軸方向に直角な断面で見て、同じ外周形状を有している。
磁石挿入孔は、回転子コアの第1および第2の部分に形成された第1の磁石挿入孔と、回転子コアの第1および第3の部分に形成された第2の磁石挿入孔を有している。典型的には、第1の磁石挿入孔と第2の磁石挿入孔は、軸方向に直角な断面で見て、同じ外周形状を有している。
永久磁石は、第1の磁石挿入孔に挿入された第1の永久磁石と、第2の磁石挿入孔に挿入された第2の永久磁石を有している。典型的には、第1の永久磁石と第2の永久磁石は、同じ材料により形成され、また、軸方向に直角な断面で見て、同じ外周形状を有している。
そして、本発明では、第1の永久磁石の軸方向に沿った長さと第2の永久磁石の軸方向に沿った長さが等しくなるように設定されている。
また、回転子コアの第2の部分と第3の部分は、軸方向に沿った長さが異なっているとともに、第2の部分による遠心力と第3の部分による遠心力が、反対の方向に作用するように構成されている。回転子コアの第2の部分と第3の部分は、回転子コアを含む回転体のアンバランスを修正するバランス修正部として作用する。
本発明では、回転子コアを、筒状の第1の部分と、第1の部分の軸方向両側に設けられ、バランス修正部として作用する第2の部分および第3の部分により構成しているため、回転体のアンバランスを精度よく修正することができる。また、バランス修正部として作用する第2の部分および第3の部分の形状を、容易に設定することができる。さらに、永久磁石の軸方向に沿った長さを、回転子コアの本体部の軸方向に沿った長さより長くすることができるため、永久磁石電動機の出力を高めることができる。
【0006】
一つの発明の異なる形態では、回転子コアの第1の部分の軸方向に沿った長さと第2の部分の軸方向に沿った長さを加算した加算値が、第1の永久磁石の軸方向に沿った長さより長く設定され、第1の部分の軸方向に沿った長さと第3の部分の軸方向に沿った長さを加算した加算値が、第2の永久磁石の軸方向に沿った長さと等しく設定されている。
本形態では、回転子コアの第1の部分の軸方向に沿った長さと第3の部分の軸方向に沿った長さを加算した加算値が、第2の永久磁石の軸方向に沿った長さと等しく設定されている。これにより、回転子コアを有効に利用しながら、永久磁石の長さを長く設定して永久磁石電動機の出力を高めることができる。
【0007】
一つの発明の他の異なる形態では、回転子コアは、第2の部分に形成されている第1の磁石挿入孔の軸方向の所定箇所に、第1の磁石挿入孔の、軸方向と交差する方向の断面積を減少させる位置決め部が設けられている。位置決め部としては、例えば、第1の磁石挿入孔を形成する壁部から突出する突起や、第1の磁石挿入孔を横切るブリッジ部を用いることができる。
第1の永久磁石の軸方向に沿った長さは、第1の磁石挿入孔の軸方向に沿った長さより短く設定されている。本形態では、回転子コアの第2の部分に形成されている第1の磁石挿入孔の軸方向に沿った所定箇所に設けられている位置決め部によって、第1の磁石挿入孔に挿入されている第1の永久磁石の軸方向一方側への移動を規制することができる。
【0008】
一つの発明の他の異なる形態では、位置決め部は、回転子コアの第2の部分を形成する第2の板状部材のうちの、第1の磁石挿入孔の軸方向に沿った所定箇所に配置される少なくとも1つに形成された、第1の磁石挿入孔を横切るブリッジにより構成されている。
本形態では、板状部材に形成されたブリッジによって位置決め部を構成しているため、位置決め部を、板状部材を形成する際に容易に形成することができる。
【0009】
一つの発明の他の異なる形態では、第1の永久磁石は、位置決め部と回転子コアの第1の部分の軸方向他方側に配置された端板によって軸方向に沿った移動が規制され、第2の永久磁石は、回転子コアの第1の部分の軸方向一方側に配置された端板と、第3の部分の軸方向他方側に配置された端板によって軸方向に沿った移動が規制されている。
本形態では、回転子コアを有効に利用しながら、第1の永久磁石および第2の永久磁石の軸方向に沿った移動を規制することができる。これにより、第1の永久磁石および第2の永久磁石を固定することができ、電磁振動による騒音の発生を抑制することができる。
【0010】
一つの発明の他の異なる形態では、回転子コアの第1の部分の軸方向に沿った長さが、固定子コアの軸方向に沿った長さと等しく設定されている。典型的には、回転子コアは、回転子コアの第1の部分の軸方向両側の端面の軸方向に沿った位置が固定子コアの軸方向両側の端面の軸方向に沿った位置と等しくなるように配置される。
本形態では、固定子コアおよび回転子コアを有効に利用することができる。また、固定子の内周面(スロットの開口部を含む)と回転子コアの外周面がほぼ同じ面積となる上に、軸方向の長さが等しいため、3次元方向に流れる磁束が少なくなって電磁鋼板に流れる渦電流を低減でき、永久磁石電動機の効率を高めることができる。
【0011】
異なる発明は、圧縮機に関する。
圧縮機は、圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機を有している。そして、本発明では、圧縮機構部を駆動する電動機として、前述した永久磁石電動機のいずれかを用いている。
本発明は、前述した永久磁石電動機と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の永久磁石電動機および圧縮機では、回転体のアンバランスを精度よく修正することができるとともに、永久磁石の長さを長くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
なお、本明細書では、固定子200に対して回転子300が回転可能に支持されている状態において、回転子300の回転軸400に沿った方向が、本発明の「軸方向」に対応する。また、固定子200に対して回転子300が回転可能に支持されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転子300の回転中心Oを通る線の方向が、本発明の「径方向」に対応し、回転中心Oを中心とする円弧に沿った方向が、本発明の「周方向に沿った方向」に対応する。
【0015】
先ず、本発明の永久磁石電動機を駆動電動機として用いた圧縮機の一実施の形態を
図1に示す。
図1は、本実施の形態の圧縮機10の、軸方向に沿った断面図である。なお、本形態の圧縮機10では、永久磁石電動機100として、埋込磁石型永久磁石電動機が用いられている。
本実施の形態の圧縮機10は、ハウジング20、圧縮機構部30、アキュムレータ40、永久磁石電動機100等により構成されている。ハウジング20は、鉄(Fe)やアルミニウム(Al)等により形成される。ハウジング20は、密閉されており、圧縮機構部30と永久磁石電動機100を収容している。ハウジング20には、吸入管41と吐出管21が設けられている。ハウジング20の内周面の形状は、円形形状や多角形形状等に形成される。
【0016】
アキュムレータ40は、冷媒(冷却媒体)と潤滑油を分離する。本実施の形態では、冷媒として二酸化炭素(CO
2)が用いられている。勿論、冷媒は、二酸化炭素に限定されない。アキュムレータ40で分離された冷媒は、吸入管41を介して圧縮機構部30に戻される。また、アキュムレータ40で分離された潤滑油は、潤滑油溜め33に戻される。
圧縮機構部30は、シリンダ31と、回転軸400により駆動される偏心ロータ32を有している。偏心ロータ32は、偏心部を有している。これにより、偏心ロータ32は、質量が回転対称でない、すなわち、アンバランスである。圧縮機構部30は、偏心ロータ32が回転することによって、吸入管41から吸入された冷媒をシリンダ31内で圧縮する。
圧縮機構部30で圧縮された冷媒は、永久磁石電動機100に形成された冷媒通路を通り、吐出管21から吐出される。冷媒通路としては、例えば、固定子200の固定子コア210に形成された孔、固定子コア210の外周面とハウジング20の内周面との間に形成された溝、回転子300の回転子コア310に形成された孔、固定子コア210の内周面(ティース212のティース先端面)と回転子コア310の外周面310Aとの間の間隙(ギャップ)等が用いられる。
また、回転軸400の回転によって、潤滑油溜め33に貯留されている潤滑油が圧縮機構部30の摺動部に供給される。各摺動部を潤滑した潤滑油は、潤滑油留め33に戻される。
図1に示されている圧縮機10では、冷媒と潤滑油が混在した媒体が吐出管21から吐出される。
【0017】
本実施の形態の永久磁石電動機100の構成を、
図2、
図3を参照して説明する。
図2は、永久磁石電動機100の軸方向に沿った断面図であり、
図3は、
図2のIII−III線断面図である。
永久磁石電動機100は、固定子200と回転子300を有している。
固定子200は、固定子コア210と固定子巻線220を有している。
固定子コア210は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成されている。固定子コア210は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って延びている固定子ヨーク211、固定子ヨーク211から径方向に沿って回転中心O側に延びているティース212、周方向に隣接するティース212によって形成されるスロット213を有している。ティース212は、先端側に、周方向に沿って延びているティース先端部を有し、ティース先端部の回転子300側には、ティース先端面が形成されている。
固定子巻線220は、ティース212に、分布巻方式や集中巻方式等で巻き付けられている。
【0018】
次に、回転子300の構成を、
図4〜
図6を参照して説明する。
図4は、回転子300の斜視図であり、
図5は、
図4の矢印V方向から見た図であり、
図6は、
図4のVI−VI線断面図である。
回転子300は、回転子コア310を有している。回転子コア310は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成されている。積層された複数の電磁鋼板は、軸方向両側の端面に配置された第1の端板371および第2の端板372と共に、第1のカシメピン361および第2のカシメピン362によって一体化されている。
【0019】
回転子コア310は、外周面310Aと、回転軸400が挿入される回転軸挿入孔を形成する内周面310Bを有している。
また、回転子コア310は、筒状の本体部310aと、本体部310aの軸方向一方側(
図6では、紙面の下側)に設けられている第1のバランス修正部310bおよび本体部310aの軸方向他方側(
図6では、紙面の上側)に設けられている第2のバランス修正部310cを有している。本実施の形態では、軸方向に直角な断面で見て、本体部310aは、ドーナツ形状を有し、第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cは円弧形状を有している。すなわち、軸方向に直角な断面で見て、第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cの外周形状は、本体部310aの外周形状と異なっている。本実施の形態では、軸方向に直角な断面で見て、第1のバランス修正部310bの外周形状と第2のバランス修正部310cの外周形状は、同じ形状であり、回転中心Oを通る線に対して線対称である。
図6に示されているように、第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cは、回転子コア310および圧縮機構部30の偏心ロータ32を含む回転体のアンバランスを修正する機能を有している。第1のバランス修正部310bの軸方向に沿った長さM1は、第2のバランス修正部310cの軸方向に沿った長さM2より長く設定されている(M1>M2)。また、第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cの形状および配置位置は、第1のバランス修正部310bにより発生する遠心力と第2のバランス修正部310cにより発生する遠心力が反対の方向に作用するように設定される。
本体部310aが、本発明の「回転子コアの第1の部分」に対応し、第1のバランス修正部310bが、本発明の「回転子コアの軸方向一方側に設けられた第2の部分」に対応し、第2のバランス修正部310cが、本発明の「回転子コアの軸方向他方側に設けられた第3の部分」に対応する。
【0020】
回転子コア310は、軸方向に直角な断面で見て、主磁極部と補助軸部が周方向に沿って交互に配置されている。各主磁極部には磁石挿入孔が形成され、各磁石挿入孔には永久磁石が挿入されている。本実施の形態では、軸方向に直角な断面で見て、磁石挿入孔および永久磁石は、主磁極部のd軸に直交する方向に直線状に延びている。永久磁石は、N極の主磁極部とS極の主磁極部が周方向に沿って交互に配置されるように着磁される。
なお、「d軸」は、主磁極部の周方向中心と回転中心Oを結ぶ線である。また、「q軸」は、補助磁極部の周方向中心と回転中心Oを結ぶ線である。
【0021】
図6に示されているように、本実施の形態では、回転子コア310の本体部310aと第1のバランス修正部310bに、軸方向に沿って貫通している第1の磁石挿入孔331が形成され、本体部310aと第2のバランス修正部310cに、軸方向に沿って貫通している第2の磁石挿入孔332が形成されている。また、第1の磁石挿入孔331に第1の永久磁石341が挿入され、第2の磁石挿入孔332に第2の永久磁石342が挿入されている。
本実施の形態では、第1の永久磁石341および第2の永久磁石342は、希土類磁石により形成されている。また、第1の永久磁石341の軸方向に沿った長さL1は、第2の永久磁石342の軸方向に沿った長さL2と等しい(L2=L1)。また、第1の永久磁石341および第2の永久磁石342は、軸方向に直角な断面で見て、同じ外周形状を有している。すなわち、第1の永久磁石341と第2の永久磁石は342として、同じ材料で形成され、同じ形状を有する永久磁石が用いられている。
【0022】
なお、
図3に示されているように、第1の磁石挿入孔331を形成する壁面には、第1の磁石挿入孔331の周方向両端部と、第1の磁石挿入孔331に挿入される第1の永久磁石341の周方向両端部との間に空隙を形成するために、突起331aが形成されている。第1の永久磁石341は、突起331aによって、周方向に沿った移動が規制される。
同様に、第2の磁石挿入孔332を形成する壁面には、第2の磁石挿入孔332の周方向両端部と、第2の磁石挿入孔332に挿入される第2の永久磁石342の周方向両端部との間に空隙を形成するために、突起332aが形成されている。第2の永久磁石342は、突起332aによって、周方向に沿った移動が規制される。
【0023】
回転子コア310の本体部310aの軸方向他方側の端面Bと、第1のバランス修正部310bの軸方向一方側の端面Cには、第1の端板371が配置されている。
図5に示されているように、第1の端板371は、軸方向に直角な断面で見て、外周面371A、内周面371B、接続面371Cおよび371Dにより形成される円弧状を有している。外周面371Aは、回転子コア310(第1のバランス修正部310b)の外周面310Aに沿って延びており、内周面371Bは、第1のバランス修正部310bの内周面に沿って延びている。端板371の外周面371Aは、回転子コア310の外周面310Aより飛び出ないように配置されている。
回転子コア310の本体部310aおよび第1のバランス修正部310bを形成する電磁鋼板は、軸方向両側の端面に第1の端板371が配置された状態で、第1のカシメピン挿入孔351に挿入された第1のカシメピン361によって一体化される。
また、回転子コア310の本体部310aの軸方向一方側の端面Aと、第2のバランス修正部310cの軸方向他方側の端面Dには、第2の端板372が配置されている。
図5に示されているように、第2の端板372は、軸方向に直角な断面で見て、外周面372A、内周面372B、接続面372Cおよび372Dにより形成される円弧状を有している。外周面372Aは、回転子コア310(第2のバランス修正部310c)の外周面310Aに沿って延びており、内周面372Bは、第2のバランス修正部310cの内周面に沿って延びている。端板372の外周面372Aは、回転子コア310の外周面310Aより飛び出ないように配置されている。
回転子コア310の本体部310aおよび第2のバランス修正部310cを形成する電磁鋼板は、軸方向両側の端面に第2の端板372が配置された状態で、第2のカシメピン挿入孔352に挿入された第2のカシメピン362によって一体化される。
本実施の形態では、第1の端板371および第2の端板372として、軸方向に直角な断面で見た外周形状が同じ部材が用いられ、回転中心Oを通る線に対して線対称となるように配置されている。
【0024】
また、
図6に示されているように、本実施の形態では、回転子コア310の本体部310aの軸方向に沿った長さLと第1のバランス調整部310bの軸方向に沿った長さM1を加算した加算値[L+M1]は、本体部310aの軸方向に沿った長さLと第2のバランス修正部310cの軸方向に沿った長さM2を加算した加算値[L+M2]より大きい([L+M1]>[L+M2])。
また、回転子コア310の本体部310aの軸方向に沿った長さLと第2のバランス修正部310cの軸方向に沿った長さM2を加算した加算値[L+M2]は、第2の永久磁石342の軸方向に沿った長さL2と等しい([L+M2]=L2)。
これにより、第2の永久磁石342は、回転子コア310の軸方向一方側の端面Aに配置されている第2の端板342と、第2のバランス調整部310cの軸方向他方側の端面Dに配置されている第2の端板372によって、軸方向に沿った両側への移動が規制されている。
一方、第1の永久磁石341の軸方向に沿った長さL1は、本体部310aの軸方向に沿った長さLと第1のバランス修正部310aの軸方向に沿った長さM1を加算した加算値[L+M1]より短い(L1<[L+M1])。
このため、第1の永久磁石341は、第1のバランス修正部310bの軸方向一方側の端面Cに配置された第1の端板371と、本体部310aの軸方向他方側の端面Bに配置された第1の端板371の間で軸方向に沿って移動可能である。
そこで、第1の永久磁石341の軸方向に沿った移動を規制する必要がある。
【0025】
本実施の形態では、第1の永久磁石341の軸方向に沿った移動を規制するために、第1の磁石挿入孔331の軸方向と交差する方向の断面積を減少させる位置決め部を設けている。本実施の形態の位置決め部を、
図7〜
図10を参照して説明する。なお、
図7〜
図10は、それぞれ
図6のVII−VII線断面図、VIII−VIII線断面図、IX−IX線断面図、X−X線断面図である。
【0026】
図7は、回転子コア310の本体部310aを形成する電磁鋼板311を示している。
電磁鋼板311は、回転子コア310の外周面310Aを形成する外周面311Aと、回転子コア310の内周面310Bを形成する内周面311Bを有している。また、電磁鋼板311は、第1の磁石挿入孔331を形成する第1の孔311a、第2の磁石挿入孔332を形成する第2の孔311b、第1のカシメピン挿入孔351を形成する第3の孔311c、第2のカシメピン挿入孔352を形成する第4の孔311dを有している。
【0027】
図8〜
図10は、回転子コア310の第1のバランス修正部310bを形成する電磁鋼板312〜314を示している。
電磁鋼板312は、第1の永久磁石341が、軸方向他方側の端部が第1の端板371に当接するように(軸方向他方側への移動が規制されるように)第1の磁石挿入孔331に挿入されている状態において、第1の永久磁石341の軸方向一方側の端部より軸方向他方側に配置される。
電磁鋼板312は、回転子コア310(第1のバランス修正部310b)の外周面310Aを形成する外周面312Aと、第1のバランス修正部310bの内周面を形成する内周面312Bを有している。また、電磁鋼板312は、第1の磁石挿入孔331を形成する第1の孔312a、第1のカシメピン挿入孔351を形成する第2の孔312bを有している。
【0028】
電磁鋼板313は、第1の永久磁石341が、軸方向他方側の端部が第1の端板371に当接するように第1の磁石挿入孔331に挿入されている状態において、第1の永久磁石341の軸方向一方側の端部が位置する箇所に配置される。電磁鋼板の厚さと第1の永久磁石341の軸方向に沿った長さとの関係によっては、電磁鋼板313が、軸方向一方側の端部が位置する箇所より軸方向一方側に寄った箇所に配置される場合もある。
電磁鋼板313は、回転子コア310(第1のバランス修正部310b)の外周面310Aを形成する外周面313Aと、第1のバランス修正部310bの内周面を形成する内周面313Bを有している。また、電磁鋼板313は、第1の磁石挿入孔331を形成する第1の孔313aおよび第2の孔313b、第1のカシメピン挿入孔351を形成する第3の孔313dを有している。さらに、電磁鋼板313は、第1の磁石挿入孔331を横切るブリッジ313cを有している。第1の磁石挿入孔331に挿入された第1の永久磁石341の軸方向一方側の端部は、第2の電磁鋼板313に形成されたブリッジ313cによって軸方向一方側への移動が規制される。
【0029】
電磁鋼板314は、第1の永久磁石341が、軸方向他方側の端部が第1の端板341に当接するように第1の磁石挿入孔331に挿入されている状態において、第1の永久磁石341の軸方向一方側の端部より軸方向一方側に配置される。
電磁鋼板314は、回転子コア310(第1のバランス修正部310b)の外周面310Aを形成する外周面314Aと、第1のバランス修正部310bの内周面を形成する内周面314Bを有している。また、電磁鋼板314は、第1の磁石挿入孔331を形成する第1の孔314a、第1のカシメピン挿入孔351を形成する第2の孔314bを有している。
【0030】
なお、本実施の形態では、回転子コア310の第2のバランス修正部310cを形成する電磁鋼板として、
図8に示されている電磁鋼板312が用いられている。
【0031】
電磁鋼板311が、本発明の「回転子コアの第1の部分を形成する第1の板状部材」に対応する。
電磁鋼板312、313および314が、本発明の「回転子コアの第2の部分を形成する第2の板状部材」に対応する。
電磁鋼板312が、本発明の「回転子コアの第3の部分を形成する第3の板状部材」に対応する。
【0032】
また、本実施の形態では、
図2に示されているように、回転子コア310の本体部310aの軸方向に沿った長さLは、固定子コア210の軸方向に沿った長さと等しい。
そして、回転子コア310は、回転子コア310の軸方向一方側の端面Aおよび軸方向他方側の端面Bの軸方向に沿った位置と、固定子コア210の軸方向一方側の端面Eおよび軸方向他方側の端面Fの軸方向に沿った位置が同じとなるように配置されている。
【0033】
前述したように、永久磁石電動機100には、圧縮機後部で圧縮された冷媒を通す冷媒通路が設けられている。永久磁石電動機100の回転子300の回転子コア310に設けられる冷媒通路の例を
図11〜
図14を参照して説明する。なお、
図11〜
図14は、
図5に示されている回転子コア310に冷媒通路を形成した例を示している。
図11では、回転子コア310のq軸上で、第1のバランス修正部310bの内周面(第1の端板371の内周面371B)に沿った箇所と、q軸上で、第2のバランス修正部310cの内周面(第2の端板372の内周面372B)に沿った箇所に冷媒通路381が形成されている。
図12では、回転子コア310のq軸上で、第1のバランス修正部310bの内周面(第1の端板371の内周面371B)より外周側に寄った箇所、q軸上で、第2のバランス修正部310cの内周面(第2の端板372の内周面372B)より外周側に寄った箇所に冷媒通路382が形成されている。
図13では、回転子コア310のd軸に対して周方向両側で、第1のバランス修正部310bの内周面(第1の端板371の内周面371B)に沿った箇所、d軸に対して周方向両側で、第2のバランス修正部310cの内周面(第2の端板372の内周面372B)に沿った箇所に冷媒通路383が形成されている。
図14では、回転子コア310のd軸に対して周方向両側で、第1のバランス修正部310bの内周面(第1の端板371の内周面371B)より外周側に寄った箇所、d軸に対して周方向両側で、第2のバランス修正部310cの内周面(第2の端板372の内周面372B)より外周側に寄った箇所に冷媒通路384が形成されている。
冷媒通路は、回転子コア310のこれ以外の箇所や、固定子コア210の種々の箇所に形成することができる。
【0034】
本実施の形態では、回転子(回転子コア)を形成する電磁鋼板により、回転体のアンバランスを修正するバランス修正部を構成しているため、従来のようにバランスウェイトを回転子に取り付ける作業が不要となり、また、寸法精度を高めることができる。また、バランス修正部の形状を容易に設定することができるため、バランス修正部により発生する遠心力を容易に設定することができる。また、永久磁石の軸方向に沿った長さを本体部の軸方向に沿った長さより長くすることができるため、永久磁石電動機の出力を高めることができる。また、位置決め部により、第1の永久磁石の軸方向一方側への移動を規定することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、回転子コア310の本体部310aの軸方向両側に軸方向に沿って延びる第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cが設けられている。このように、第1のバランス修正部310bおよび第2のバランス修正部310cが軸方向に延びていると、回転時等に固定子巻線220が第1のバランス修正部310bあるいは第2のバランス修正部310cに接触するおそれがある。
したがって、固定子巻線220と第1のバランス修正部310bあるいは第2のバランス修正部310cに接触するのを防止する対策を講じるのが好ましい。
固定子巻線220と第1のバランス修正部310bあるいは第2のバランス修正部310cが接触するのを防止する対策を講じた、異なる実施の形態の永久磁石電動機で用いられている回転子の断面図が
図15に示されている。
図15に示されているように、第1のバランス修正部310bおよび第1のバランス修正部310bの端面Cに配置される端板371の外周側に、本体部310aの外周面310Aから径方向中心側に窪んでいる切欠部310Cを設けられている。切欠部310Cは、本体部310aの端面Aの位置まで切り欠くことができる。
また、第2のバランス修正部310cおよび第2のバランス修正部310cの端面Dに配置される端板372の外周側に、本体部310aの外周面310Aから径方向中心側に窪んでいる切欠部310Dが設けられている。切欠部310Dは、本体部310aの端面Bの位置まで切り欠くことができる。
切欠部310Cおよび310Dは、少なくとも一方が設けられていればよい。
回転子コア310の本体部310aの軸方向に沿った長さLが固定子コア210の軸方向に沿った長さと等しい場合には、切欠部310Cおよび310Dを本体部310aの端面AおよびBの位置まで切り欠いても、永久磁石電動機の出力は影響しない。
なお、
図15は、
図5に示した回転子コアに切欠部310Cおよび310Dを設けたものであるが、他の構成の回転子コアの第1のバランス修正部および第2のバランス修正部の少なくとも一方の外周側に、固定子巻線と第1のバランス修正部および第2のバランス修正部の接触を防止するための切欠部を設けることもできる。
【0036】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、追加、削除が可能である。
実施の形態では、電磁鋼板を積層して回転子コアおよび固定子コアを形成したが、回転子コアおよび固定子コアを形成する板状部材としては、磁性を有していればよく、電磁鋼板に限定されない。
磁石挿入孔や永久磁石の、軸方向に直角な断面で見た外周形状は、実施の形態の形状に限定されず、種々の形状に設定することができる。
希土類磁石により形成される永久磁石を用いたが、永久磁石としては、フェライト磁石等の他の種々の材料により形成される永久磁石を用いることができる。
第1のバランス修正部および第2のバランス修正部の、軸方向に直角な断面で見た外周形状は、種々の形状に設定することができる。また、第1のバランス修正部および第2のバランス修正部の軸方向に沿った長さは、種々の長さに設定することができる。
永久磁石の軸方向に沿った移動を規制する位置決め部としては、種々の構成の位置決め部を用いることができる。
回転子コアの軸方向に沿った長さと固定子コアの軸方向に沿った長さは、種々の長さに設定することができる。また、回転子コアと固定子コアの配置関係は、種々変更可能である。
本発明の永久磁石電動機は、圧縮機以外の種々の機器の駆動電動機として用いることができる。
実施の形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。