【解決手段】飛行場の特定一部に待機する航空機2や関連車両など車輪24を有する対象物を下から受け止める手段18と、この受け止める手段を高く持ち上げて保持する手段とを有する津波対策装置であって、航空機などの対象物に対してその正規姿勢を正規位置において保つための姿勢保持手段25を備えていることを特徴とする。
飛行場の特定一部に待機する航空機や関連車両など車輪を有する対象物を下から受け止める手段と、この受け止める手段を高く持ち上げて保持する手段とを有する津波対策装置であって、航空機などの対象物に対してその正規姿勢を正規位置において保つための姿勢保持手段を備えていることを特徴とする津波対策装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1ないし
図5は本発明の一実施形態を示す。
図1、
図2における右側は
図3のように津波が押し波Xとして襲来してくる前側、左側は引き波Yが襲来してくる後側であり、
図2および
図3の紙面に直交する方向は左右(巾)方向とする。1は格納庫を含む飛行場の基盤の一部を示し、ヘリコプター(航空機)2などが飛行を終えて帰還・待機するスペースとなっている。
【0010】
この基盤1には1個所あるいは複数個所にピット3が形成されている。このピット3のひとつを
図1乃至
図3に示しているもので、ピット3は、対応する一対の辺を前後に対応させた矩形の底面と4つの周面とを有し凹部として形成され、その上面の開口縁には密封部材4を備えた段差部5を有する。
【0011】
7はリフター(持ち上げ保持する手段と受け止める手段およびそのガイド手段などの組み合わせ一式)で、ガイド手段として、上面を開放状とした溝形鋼でなる固定フレーム8の一対をピット3内の底面左右位置に固定して備える。この固定フレーム8の各後側には、上方へ抜け止めした状態で進退可能とする下部ガイドレール9が設けられている。
【0012】
10は下部リンクで、下部交差軸12を介してX字状とされたものを1組としそれらの2組が左右(
図3の手前と奥側)に離れて2組配備されている。下部リンク10の前側一端は固定フレーム8の定位置に回転自在に軸止めされ、下部リンク10の後側は下ローラー13を備えて前記下部ガイドレール9に添って進退し得るようになっている。下部交差軸12や他の連結点は、前記左右間に伸びた軸で連結するように構成してもよい。また、下ローラー13は
図3の移動後の状態でロック可能にして津波襲来時の安定化を図るようにすることができる。
【0013】
15は上部リンクで、上部交差軸16により結合したX字状リンクでなり、これも左右(
図3の手前と奥側)に離れて2組配備されてそれぞれの下端が下部リンク10の上端に連結されてなる。18は昇降フレーム(航空機を下から受け止める手段)で、受皿を逆様にした形をして一方の上部リンク15の上端が移動しないように連結されるとともに、他方の上部リンク15の上端は上部ガイドレール19内で上ローラー20が進退自在に連結されている。
【0014】
22は駆動シリンダ(駆動手段)で油圧式であるがボールナット・ネジ軸方式でもよい。これらの駆動には非常用電源が使用される。ピット3内の底部には、密封部材4により雨水などの浸入がないようにしてあるが、仮に浸水した場合のために排水ポンプを備える(このポンプ設備については他の実施形態でも装備することができる)。
尚、前記固定フレーム8・下部リンク10・上部リンク15・駆動シリンダ22などは航空機を持ち上げ保持する手段を構成する。
【0015】
前記昇降フレーム18には、
図1に示すように、待機する航空機2の4つの車輪24の正規位置に対応すべく姿勢保持手段25が配備されている。姿勢保持手段25は、
図4に拡大して示すように、昇降フレーム18に開けた矩形の開口に前後一対をなして配備され前後のヒンジ26により水平状態と
図5のような観音開き式に下がり傾斜した状態とに開閉自在とされた車輪受け板27,27を備え、この車輪受け板27は、平時は
図4のように電動モーター式シリンダでなる開閉駆動部28の一対で押上げられて閉止状態とされることでその上に車輪24が乗り掛かった状態に保持されるようにされる一方、津波襲来(あるいは緊急地震)の警報に応じて開閉駆動部28が
図5のように縮小方向に作動することで開いて昇降フレーム18の底フレーム上に当たって停止して車輪24をレベルダウンさせるようにし、これにより、
図3の上昇態勢時に津波Xが襲来して漂流物などがリフター7に衝突などしても、車輪24が三角形に窪んだ空間内に落とし込まれて前後左右への盲動を阻止できるようになっている結果、航空機2を正規位置に正規姿勢を保つようにして転倒や落下などの災害をなくすことができるようになる。
【0016】
図6に示すように、車輪受け板27は1枚ものとしてもよい。
また、車輪24は落とし込むのでなく、
図7に示すように、エアー抜きをしてバウンド性を無くすようにすることで航空機2に津波襲来時の安定性を付与するようにしてもよい。
さらに、上昇したリフター7には、
図3のX,Yのように押し波や引き波が作用して船舶やコンテナ、家屋などの漂流物やその他種々ガレキなどが衝突してきてそのショックで航空機2が倒壊や滑落などするおそれもあるが、それらが直接作用して災害とならないように、津波襲来前に立ち上がることで襲来してくるものを予備的に食い止めて主に汚濁流のみを流し通すように制御する予備捕捉装置30を前後対向式に設置しておいてもよい。
【0017】
この予備捕捉装置30は、
図8に示すように、左右一対の管杭31と、その中に差し込み固定されたサイドシリンダ32と、基盤1内における管杭31間に装架された角筒状下固定梁33、およびサイドシリンダ32の上端間に掛け渡された上昇降梁34とを備えるとともに、下固定梁33と上昇降梁34との間に、
図8から
図9の柵状伸展状態になり得るワイヤロープ・リンクチェーンなどの捕捉材35…を配備してなる。この捕捉材35は、
図9のような粗網状のものにしたり、ワイヤロープなどの捕捉材35に粗網状の捕捉材35を組み合わせてガレキをより小さいものまで捕捉し得るようにしてもよい。
【0018】
図10ないし
図14は他の実施形態を示す。この実施形態は、上記と同じ目的をもつもので、格納庫を含む飛行場一部である基盤40には、適所(航空機41の車輪42…に対応した3個所)に管杭43が埋設固定され、その内部を通じて垂直上向きにロッドが伸びる油圧式駆動シリンダ(駆動手段)44が装備されている。管杭43相互は地中連結梁45で連結されるとともに、基盤40の駆動シリンダ44周りに対応する地表部分には、固定受座46が固定されている。
【0019】
一方、駆動シリンダ44の上端には、下降時に固定受座46内に嵌まり込むような円錐型をしたフレーム受座48が取り付けられるとともにその各受座48上を介して中空型フレーム本体49…が取り付けられている。前記駆動シリンダ44などは持ち上げ保持する手段を構成する一方、前記複数のフレーム本体49は
図10のように連結梁50…で一体に繋がれて1つの昇降フレーム(航空機を下から受け止める手段)51を構成している。前記駆動シリンダ44や昇降フレーム51はリフター52を構成する。尚、昇降フレーム51は、前記したように1つの受皿型のフレームで形成してもよい。
【0020】
こうしたリフター52は、津波襲来の警報があった時点で駆動シリンダ44…が同期的に上昇運動することにより昇降フレーム51が津波想定高さを超えて高く上昇され油圧ロックされることで容易に下降しない状態を得るようになっているが、この際、昇降フレーム51の各フレーム本体49には、
図13に示すように、姿勢保持手段54を装備しておいて車輪42を前後から挟持するようにすることで地震から津波襲来までの間における外部負荷により航空機41が盲動したり傾倒したりしないようにしてある。
【0021】
この姿勢保持手段54は、各車輪42の前後に開けた一対の開口にヒンジ55を介して同期的に起倒自在な車輪挟み板56,56を配備しておき、地震の警報があったときあるいはその後の津波襲来警報のあったときに同期して起倒駆動部57,57を始動させることにより
図14のように前後の車輪挟み板56,56が起立して車輪42を挟持するようにしてある。車輪挟み板56はクランクcを備えていて起倒駆動部57のロッドに連結されている。
尚、車輪挟み板56は、
図14のようにスリップ防止面地aや多孔bを備えて車輪42の保持力を高めるようにする。さらにスリップ防止用のゴム板を貼り付けておいてもよい。
【0022】
また、
図15に示すように、ピット60を形成して駆動シリンダ61により昇降可能な昇降フレーム62を備えてリフター63を構成したものにおいて、昇降フレーム62とピット60の四辺を上下に繋ぐようにするワイヤロープ・リンクチェーンなどの予備捕捉装置64を設けて構成すれば津波Xが襲来してきたときにリフター63を漂流物から護り姿勢保持手段65により保持された航空機66をより一層確実に安定保持することができるようになる。
この予備捕捉装置64は、
図16および
図17に示すように網状のものでよい。
【0023】
図18および
図19は他の実施形態を示す。この実施形態は、戦闘機などの航空機70を待機収納する格納庫71内にピット72を形成してX字形リンク73と駆動シリンダ74および昇降フレーム75を昇降駆動可能に備えたリフター76や前記のように垂直駆動可能な駆動シリンダで昇降フレーム75を昇降可能にしたリフターとして設置して、そのリフター76により航空機70を上昇避難させ得るように構成したものにおいて、特に格納庫71内における航空機70の幅方向に対応して対向する面にそれぞれ一対をなす昇降ガイドレール78…を垂直向きに固定し、これら昇降ガイドレール78に沿って電動モーターと連動軸により同調的に昇降するローラー79…を配備するとともに、これらのローラー79を4点の支えとして平面的に伸びる粗網などのネットである捕捉手段80をリフター76,76上の両航空機70,70を含む広い範囲に亘る上方域に伸びるようにして張設した。
【0024】
リフター76は平時は
図18の仮想線のようにピット72内に低く縮小した状態で待機しているが、緊急地震警報あるいはその後の津波襲来警報に基づき始動して高く拡大し昇降フレーム75を介して航空機70を津波想定高さを超えて持ち上げるようにする。リフター76が完全に上昇してあと、昇降ガイドレール78に沿ってローラー79…を下げることにより捕捉手段80であるネットを航空機70の上から掛け渡し多少引っ張り加減にすることで航空機70はリフター76側へ引き付けられた保持状態になることからあとで津波による衝撃負荷が作用したとしても盲動したり傾倒したりするおそれがなくなる。
【0025】
事後、捕捉手段80を上げるかリフター76を下げるか、または双方を離反運動させることで航空機70を無事に復帰させることができる。81は補助階段で、リフター76に付属させる場合と自走式とする場合とがある。この補助階段81を使って飛行場内の関係者の多くが避難することができる。従って、この補助階段81を使ってリフター76上に避難した人はそのリフター76上で制御操作できるように同リフター76上に制御盤を装備しておくこともできる。携帯リモコンにより昇降操作可能にもすることができる。この補助階段81は他の実施形態においても適用できる。尚、前記リンク型リフター76は、
図11に示すような油圧あるいは電動シリンダ式によるリフターに代えて構成してもよい。
【0026】
図20は他の実施形態を示す。同実施形態は、ピット72内にリンク73と駆動シリンダおよび昇降フレーム75によるリフター76を折り畳み待機させて緊急時に航空機70を上昇駆動させるようにしたものにおいて、昇降フレーム75には、圧エアー供給源84を装備するとともに同供給源84からの圧エアーを受けて昇降フレーム75側から航空機70の両翼方向へと拡張し支持するエアーバッグ85…をフレーム内格納式に配備しておけば航空機70の上昇中および上昇後における津波負荷などに対する安定性が確保されるものとなる。尚、前記リンク型リフター76は、
図11に示すような油圧あるいは電動シリンダ式によるリフターに代えて構成してもよい。前記圧エアー供給源84はアキュムレータ式あるいは反応ガス膨張式にしてもよい。
【0027】
図21は他の実施形態を示す。例えば、
図1ないし
図3に示す実施形態では、リフター7は縮小した形でピット3内に待機し緊急時には上向きに拡大して昇降フレーム18を持ち上げて航空機2を避難させるようになっている。しかし、このリフター7はリンク式で上昇後のリンク10がその下部をピット3内に残したままとししかもそのピット3は開放状のままとされているため、そのピット3内にガレキや泥流などが流れ込み津波後にはそれらが固まってリフター7の動きを止めるような事態を招く。リフター7の動きが止まるとその上の航空機2を利用できなくなるし、利用するまでにはピット3内のガレキ処理が不可欠となる。
【0028】
図21の実施形態では、そうしたピット内へのガレキなど流れ込みを阻止してできるだけ早期にリフターを下降させて航空機を利用できるようにしたものである。
格納庫内を含む飛行場の一部である基盤88にピット89を形成してそれぞれ独立駆動される下部リフター90と上部リフター100との2段構えにして1つのリフターを構成したものである。
下部リフター90は、下部交差軸91を介してX字形をなす下部リンク92の左右2組と、左右一対の下部ガイドレール93と、下部昇降フレーム(ガイドレール付き)94、および下部駆動シリンダ95とでなる。ピット89の上部内周には、突フランジ96が設けられるとともに、そのフランジ96には、上部シール材97と下部シール材98が設けられている。下部昇降フレーム94は、
図21のように平時は縮小してピット89内に待機しているが、緊急地震警報あるいはその後の津波襲来警報を受けて下部駆動シリンダ95が始動することにより上向きに拡大して上昇されたあと下部シール材98に水密状に密着するようになっている。
【0029】
上部リフター100は、下部リフター90の下部昇降フレーム94上に拡縮自在に取付られているもので、同上部リフター100は、上部交差軸101を介してX字形をなす上部リンク102の左右2組と、左右一対の上部ガイドレール93と、上部昇降フレーム(ガイドレール付き)104、および上部駆動シリンダ105とでなる。上部昇降フレーム104は、
図21のように平時は縮小して上部昇降フレーム104がピット89の段差部内に納まって上部シール材97上に水密状に密着して待機するようになっているが、緊急地震警報あるいはその後の津波襲来警報を受けると上部駆動シリンダ105が始動することにより上向きに拡大して航空機107を持ち上げるようになっている。
【0030】
上部駆動シリンダ105と下部駆動シリンダ95とは、同時に始動するようにしたり上部あるいは下部駆動シリンダ105、95のいずれかが先に始動するように設定することができる。尚、避難装置の前後には予備捕捉装置30,30が
図8、
図9のような態様で設置されることで船舶やコンテナ、家屋などの大型漂流物や小型漂流物それに細かいガレキ類を捕捉して津波対策装置の主要部分に衝撃を与えないように構成することができる。また、上部リフター100の前後には縦向き複数本のワイヤロープや粗網などのネットとされる二次捕捉装置108を設けたり、上部リンク102の左右間に張り渡されるようにネットなどの補助捕捉装置109を設けることができる。前記予備捕捉装置30・二次捕捉装置108・補助捕捉装置109は、そのうちの一つあるいは適宜組み合わせにより構成することができる。
【0031】
津波がXのように襲来してきたとき、下部リフター90の下部昇降フレーム94は下部シール材98を介してピット89の上部を密閉状態に保持している。一方で津波流Xに伴う漂流物やガレキは予備捕捉装置30によりまず受け留められて津波対策装置の方には津波流や泥流のみが流れるように制御され、従って、津波襲来後の下部昇降フレーム94上には主に泥分が堆積した状態となる。一方、ピット89内は前記密閉化により下がり得る状態にあるので、これら上部の堆積物を除去するだけで下部リフター90および上部リフター100を縮小(下降)させることができ、これにより、早期に航空機107を基盤88上に復帰させることができる。尚、上部昇降フレーム104には例えば、起倒式の姿勢保持手段54を設けて航空機107の安定化を図るようにする。その他の姿勢保持手段でもよい。
【0032】
図23ないし
図26は津波避難装置についての一提案例を示す。
図1ないし
図3に示すような実施形態では、ピット3に昇降フレーム18を設けるとともに津波襲来警報時にはヘリコプター2を載せた状態の昇降フレーム18をリフター7により持ち上げて津波からヘリコプター2を避難させるようにしてあるが、このようにピット3を備えその内部のリフター7により持ち上げる方式であると持ち上げた状態のリフター7に船舶や家屋などの漂流物が激突して損壊させたりヘリコプター2を転落させたりするおそれがあり、さらに泥流を伴う津波流がピット3内に流れ込んで溜まったりリフター7回りにもガレキなどが堆積してしまって津波後にそれらを復旧させるのに実に多くの手間と時間が掛るおそれがある。
【0033】
それに対して、
図23ないし
図26に示す提案例は、リフターの損壊がなくしかもヘリなどの転落のおそれもなく、さらにガレキなどの除去・復旧が比較的簡易な作業で早急に行えるようにしたものである。
この提案例は、同じく飛行場を対象にするものでそこに待機するヘリコプターや戦闘機、旅客機などの航空機あるいはジープや重機、消防車などの専属車輌機を避難対象物200としてそれらを津波X(押し波),Y(引き波)から護るようにしたものである。ここで、
図23、
図24の左右、および
図25の上下方向が幅方向であり、
図25および
図26の左右方向を長手方向とする。
201は格納庫を含む飛行場の基盤の一部を示し、その上層部分が基盤201同様にRC製の表層部202とされるとともに、その適所には、縦横20m四角をなす正方形あるいは矩形をし下向きに四角錐状に広がる面をもった開口203が1個所あるいは複数個所に形成されている。この開口203は、一体RC製でなくても例えば、中空路盤を基礎上に敷設することにより形成されるものにしてもよい。
【0033】
こうした開口203付きの基盤201の内部には避難用ピット205が形成されている。この避難用ピット205は、幅Wが24m前後で長手長さLが50m前後の一方向に長い矩形平面形状をしているとともに深さHは15m前後とされており、ここでは長手方向の一方である後部空間をb、他方である前部空間をaとする。避難用ピット205のb空間あるいはa空間の底部には水溜ピット206が形成されてその中に溜まるであろう汚水は排水ポンプ207によりピット205外にセンサー検知に応じていつでも排除可能になっている。一方、表層部202は、空間aの上方に対応する個所に前記開口203を形成するようにしてあとの部分は全体的に閉止するように形成してある。この開口203の内周には密封部材209が装着されている。この密封部材209は後述する相手側である主昇降フレーム側に設けてもよいし、部材209と主昇降フレーム側の双方に設けることもできる。
【0034】
ピット205の上方から2〜3m下がった上部両側壁位置には、レール長手方向をピット長手方向に向けた溝形鋼製ガイドレール211がピット幅方向に対向状をなすようにして固定配備されているとともに、これらガイドレール211の対向する間には、平面正方形で一定の厚みのある中空盤型をした移動台車212が進退ローラー213をレール内に案内させることによりb空間側とa空間側との間を進退自在とされている。その進退は、減速機付きモーターである駆動装置214により進退ローラー213を正逆回転駆動させることによりなされるようになっている。
【0035】
前記移動台車212の上には、平面が正方形で一定の厚みのある中空盤型で外形四角錐状をした副昇降フレーム(副蓋体)216が搭載されていてa空間側への進出により前記開口203の下方に対応するようにされるとともに、副昇降フレーム216は、副シリンダ(副リフター)217の上昇駆動と複数の副ガイド218の案内により開口203内に密封部材209を介して密閉作動するようになっている。副昇降フレーム216は、副シリンダ217の下降駆動により移動台車212上に戻されるとともに、駆動装置214により移動台車212をb空間側へ移動させることにより同副昇降フレーム216はb空間側へ戻されるようになっている。
【0036】
一方、220は主昇降フレームで、副昇降フレーム216と同様に正方形の平面形状をして一定の厚みのある中空盤型をしたもので、平時は主シリンダ(主リフター)221による持ち上げロック機能と主ガイド222により安定化機能により密封部材209を介して開口203内に適合することで避難対象物200を下から安定に受け止めながら開口203を通じて雨水や泥流などの異物が浸入しないようにしてある。
【0037】
図23は平時(待機中)の状態を示し、主昇降フレーム220は主シリンダ221の上昇ロックにより開口203内に密閉ロックされており、その上に避難対象物200が待機していつでも津波警報が出されてもよい状態とされている。
図23の副昇降フレーム216は
図25および
図26に示すようにピット205の奥のb空間内に待機した状態とされている。
【0038】
そこで津波警報が出されると
図24ないし
図26に示すように避難対象物200を載せたままの状態の主昇降フレーム220を主シリンダ221の下降駆動により下降させピット205内の低い高さに避難対象物200を避難させることができる。
【0039】
しかし、そのままでは津波流や漂流物がピット205内になだれ込んで避難対象物200が浸漬して被害が及ぶことになるため、ここで駆動装置214を起動して移動台車212をa空間側へ移動させて副昇降フレーム216を開口203下方へ持ち込んだあと、副シリンダ217を上昇駆動させることで副昇降フレーム216を開口203に密閉状とさせることで前記なだれ込みを阻止することができるようにする。
【0040】
これにより避難対象物200は津波が襲来しても傾倒や転落などを含めて全く被害を受けることがなくなる。また、津波襲来後にあって副昇降フレーム216上を含む地上にガレキが多量に堆積しても上方に伸びたリフターやガイドなどの障害物が全くないので、これらガレキを取り除くことが早期にかつ簡単に行え、その結果、ガレキを除去して副昇降フレーム216を下降させて開けてのち移動台車212を移動させることで元のb空間側へ戻し、さらに主シリンダ221を上昇駆動させて主昇降フレーム220を開口203まで戻すことにより早期に避難対象物200である航空機を使用可能な状態に復帰させることができる。
【0041】
図27は、他の提案例を示し、移動台車212を進退させる駆動装置224を流体シリンダとしたものである。電動シリンダであってもよい。
【0042】
図28は、他の提案例を示し、移動台車212を進退させる駆動装置226を流体シリンダあるいは電動シリンダ227および伸縮式駆動アーム228により構成したものである。
【0043】
図29は、他の提案例を示す平面模式図であって、この例では、移動台車212を進退させる駆動装置230は、流体あるいは電動シリンダであるシリンダ231と先端が移動台車212側に連結されて水平面内でb空間側とa空間側との間で伸縮する伸縮リンク機構232とで構成されている。
尚、
図23から
図29に示す提案例においては、
図1から
図7に示す姿勢保持手段、
図10から
図17に示す姿勢保持手段、あるいは
図20に示す姿勢保持手段のうちから適宜のものを適用することができる。