【解決手段】給紙板に積載された用紙束の最上位の用紙を送り出す分離給送手段を有し、軸位置固定の基準ローラ101と、この基準ローラ101と外周面同士が接触しているとともに、その軸位置が変位可能な変位ローラ103との間を、送り出した用紙が通過した時の変位ローラ103の変位量を変位センサ109で測定する。基準ローラと、変位ローラを支持する第1の支持部材117と、分離給送手段を支持する第2の支持部材114とを設け、この第2の支持部材の歪みが、第1の支持部材へ伝達するのを抑制する歪抑制機構を有し、紙送りの負荷による分離給送手段の振動や歪みが基準ローラ、変位ローラに伝わるのを抑制する。
歪抑制機構は、前記第1の支持部材と、前記第2の支持部材とが、互いに取付相手に対して変位可能に取り付けることにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る丁合装置1を示す模式正面図であり、
図2はこの丁合装置1で作成される丁合セットSを示す外観図である。
図2に示すように、この丁合セットSは、複数枚の用紙の束を1枚の折られた用紙の内側に挟んだ形態であり、配達用の新聞に挟まれる新聞広告に好適な形態である。すなわち丁合装置1は、印刷され、新聞販売店に納品された広告を配達用に丁合するのに適したものである。
【0020】
丁合装置1には、
図1に示す左側に10個の給紙機構2a〜2jが、右側に10個の給紙機構2k〜2tが各々上下方向に積み重ねるように並べて配置されている。給紙機構2a〜2jと、給紙機構2k〜2tは同一構造のものが逆向きに取り付けられているため、
図1では向きが逆になっている。左側の給紙機構2a〜2jの下方には、折り給紙機構2uが配置されている。給紙機構2a〜2j、折り給紙機構2uは互いに同一構造であり、給紙機構2k〜2tは向きが左右逆であるだけで、それ以外は給紙機構2a〜2jと同一である。以下これらをまとめて給紙機構2という。
【0021】
給紙機構2a〜2tの一部または全部に各々積載された用紙束の最上位の1枚が、分離給送機構4によって用紙束から分離して、横搬送路6へ送り出される。丁合装置1の中央には上下方向に縦搬送路7が設けられ、各々の給紙機構2から延びてきた横搬送路6はすべて縦搬送路7に合流するようになっている。各々の給紙機構2は、送り出した用紙が縦搬送路7で合流したときに、互いの先端が揃うようなタイミングで用紙を送り出す。各々の給紙機構2から1枚ずつ送り出されてきた用紙は、縦搬送路7を上方から下方に向かって移動しながら互いに重ねられていく。
【0022】
折り給紙機構2uに積載された用紙束の最上位の1枚は、分離給送機構4によって用紙束から分離して折り搬送路8を図示右方へ搬送され、折りストッパ9に先端が当接する。折り搬送路8の上方には縦搬送路7の下端が面しており、折りストッパ9に当接した用紙は縦搬送路7の下端をふさぐように停止する。その後、折りナイフ10が駆動して、折りストッパ9に当接して停止している用紙を折りローラ11に巻き込んで二つ折りするとともに、その二つ折りの内側に、縦搬送路7を下降してきた用紙束が入って丁合セットSが作成される。丁合セットSはさらに、排紙搬送路12を経由して排紙口13から装置外へ排出され、スタッカ14に蓄積される。
【0023】
図3は本発明に係る用紙搬送装置を採用した給紙機構2を給紙方向下流側から見た図である。
図4は
図3におけるA−A線において給紙機構2を切断したときの断面図である。各々理解を容易にするため、
図3については、搬送上ローラ113は図示省略し、搬送下ローラ112は一点鎖線でその位置のみ示し、重送検知機構100よりも給紙方向上流側にある部材は、原則として図示省略した。
【0024】
給紙機構2は板状の給紙板21を有する。給紙板21上には用紙Pの束が、上位の用紙ほど前方になるように斜めに捌いた状態で積載される。この用紙Pの束の給紙方向下流側の端付近に分離給送機構4が設けられている。
【0025】
分離給送機構4は、最上位の用紙P1を送り出す給紙ローラ22、給紙ローラ22に下方から圧接するサバキ板23、給紙ローラ22の給紙方向上流側に設けられた補助給紙ローラ24を含む。給紙ローラ22と補助給紙ローラ24を支持する各々の軸は共にブラケット25により支持されている。給紙ローラ22の同軸上には歯付プーリ26、補助給紙ローラの24の同軸上には歯付プーリ27が設けられ、両プーリに歯付ベルト28が掛けられている。給紙ローラ22には給紙モータM1から駆動伝達機構(図示省略)により駆動力が間欠的に付与可能になっており、その駆動は歯付ベルト28を介して補助給紙ローラ24に伝達可能になっている。この構成により、補助給紙ローラ24によって最上位の用紙P1が給紙ローラ22とサバキ板23との間に送り込まれるとともに、給紙ローラ22によってさらに下流側(
図4に示す右側)に向かって送り出されながら、給紙ローラ22、サバキ板23、用紙P1の各摩擦力の相違を利用して次位以降の用紙の送り出しを阻止することによって、1枚の用紙P1だけが給紙ローラ22とサバキ板23の間を抜けて送り出されることになる。
【0026】
給紙モータM1は回転量を検出可能なDCブラシレスモータであって、検出した回転量に応じたパルス信号を出力するので、このパルス信号をモータ駆動信号へフィードバックすることによって、回転量を制御することが可能になっている。
【0027】
サバキ板23はウレタンゴムで形成された板状の部材である。サバキ板23の下方には、サバキ板23の給紙ローラ22に対する圧接力(以下、サバキ圧という)を調整するサバキ圧調整機構310が設けられている。サバキ圧調整機構310は、その上面にサバキ板23が設けられたサバキベース311が、回動軸312を中心に回動可能に設けられ、その下面に半球体313を固定して設ける。半球体313の下側に球面が傾斜板314上の傾斜面に接触する。傾斜板314の傾斜面は図示手前側から奥側へ傾斜して形成されており、図示しない駆動機構により手動または自動で、傾斜板が奥側と手前側との間をスライド移動することにより、サバキベース311を上下動させ、サバキ板23と給紙ローラ22の圧接力を調整する。
【0028】
サバキ板23の上流側には、用紙有無検知センサD1が設けられている。この用紙有無検知センサD1は反射型光学センサであり、この給紙機構2に用紙が積載されているか否かを検知する。この用紙有無検知センサD1とサバキ圧調整機構310とが、収容部材29に収容されている。この収容部材29は板を曲げて形成した箱状の部材であり、その上面は、サバキ板23と用紙有無検知センサD1の部分を除いてガイド板30で覆われ、このガイド板30が分離給送される用紙P1の下側をガイドするようになっている。収容部材29は、装置の両サイドに立設された板であるフレーム31,32にその両端が固定されており(
図4参照)、ガイド板30はそのフレーム31,32の内側の幅いっぱいに形成され、幅の広い用紙P1をもガイドすることが可能になっている。
【0029】
給紙ローラ22の下流側には給紙センサD2が配置されている。この給紙センサD2は用紙搬送路を挟んで発光素子と受光素子が対向して設けられた透過型センサであって、給紙ローラ22で送り出された用紙によって光軸が遮られることによって、用紙の通過を検知する。
【0030】
分離給送機構4の下流側に隣接して、重送検知機構100が設けられている。この重送検知機構100は、基準ローラ101と、これを支持する基準ローラ軸102と、基準ローラ101に上方から外周面同士が接触するように設けられた変位ローラ103とを有する。
図4に示すように、基準ローラ101、変位ローラ103は、フレーム31,32の間の中央部に1個ずつ配置されている。
【0031】
変位ローラ103は変位ローラ軸104に支持され、変位ローラ軸104は変位レバー105の一端側に固定されている。変位レバー105の他端側は支点軸106に回動可能に支持されている。変位レバー105の上方には、幅方向に細長く形成された上部支持部材117が固定して設けられており、変位レバー105の支点軸106による支持部の上方と上部支持部材117との間に、引きバネ108が掛けられているので、変位レバー105は支点軸106を中心に
図4に示す反時計方向に回動する力が常時加わっている。すなわち、その力は、変位ローラ103が基準ローラ101に圧接する力となる。
【0032】
変位レバー105の一端付近に、曲げて立ち上げた略水平な検知面105aが形成されており、この検知面105aの上方には、変位センサ109が設けられている。変位センサ109はセンサ支持部材118に、センサ支持部材118は上部支持部材117に固定されている。変位センサ109は下方に回動レバー部109aが設けられており、この回動レバー109aが検知レバー105aに当接している。用紙が基準ローラ101と変位ローラ103との間を通った時、通った用紙の厚み分だけ変位ローラ103が上昇するとともに、検知面105aも上昇する。すると回動レバー109aを回動させ、その角変位を検出することにより、検知面105aの上昇量を測定する。用紙が通過していない間は、引きバネ108の力によって変位ローラ103は基準ローラ101に圧接している。
【0033】
基準ローラ軸102は、コの字型に曲げられた板金で形成された基準ローラブラケット110の、コの字の内側にその両端が固定され、基準ローラブラケット110に対して回転できないようになっている。この基準ローラ軸102に対して、基準ローラ101が回転自在に支持されている。基準ローラ軸102が回転不能に固定されているから、基準ローラ軸102の振れが基準ローラ101に影響することはない。
【0034】
さらに、基準ローラ101は安価ながら回転時の振れが少ないボールベアリングで構成されている。従って基準ローラ101そのものの振れも抑制されるので、その外周面の振れが変位ローラ103の変位に影響することがないから、変位ローラ103の変位は用紙の厚みの影響のみを受けるようになっている。従って安定した検知が可能になる。
【0035】
基準ローラ101の下方には、基準ローラ101と外周面同士が接触するように、転動ローラ111が設けられている。さらにこの転動ローラ111の用紙搬送方向下流側に、転動ローラ111と外周面同士が接触するように、搬送下ローラ112が設けられている。さらに搬送下ローラ112の上方には、外周面同士が接触するように搬送上ローラ113が設けられている(以後、まとめて搬送ローラ対112,113とも表記する)。
【0036】
この搬送ローラ対112、113のいずれか一方若しくは両方に、搬送モータM2(
図1参照)から駆動伝達手段(図示せず)を介して回転駆動力が付与されている。搬送モータM2は丁合装置1の底部に配置され、タイミングベルト等の伝達手段(図示せず)によって、丁合装置1の有するすべての給紙機構2の搬送ローラ対112,113と、縦搬送路7、排紙搬送路12における搬送ローラ類に駆動を伝達する共通駆動源である。搬送モータM2の回転軸には回転量検出手段が設けられている。この回転量検出手段300は
図8に示すように、外縁付近に多数の開口(外縁から切り込んだ切り欠きでも良い)を等間隔に環状に配置した円板302を、回転軸301とともに回転するように設け、さらにこの開口部を検出可能な光センサ303を設けたもので、軸301及び円板302が回転すると、その回転量に比例した回数だけ光センサの光軸をふさぐことを利用して、そのパルス数により回転量を検出している。したがって回転量検出手段300により得られたパルスは、搬送モータM2の回転量に比例し、搬送ローラ対112,113と、縦搬送路7、排紙搬送路12における搬送ローラ類の回転量にも比例する。以下このパルスをメインパルスと呼ぶ。
【0037】
基準ローラ101と変位ローラ103の間を抜けてきた用紙P1の先端はこの搬送ローラ対112,113の間に突入し、さらに下流側へ送り出される。こうして、給紙ローラ22の回転によって送り出され、重送検知機構100を通過した用紙P1を搬送ローラ対112、113によってさらに搬送する。したがって給紙ローラ22、搬送ローラ対112、113が用紙搬送手段として機能する。さらに、搬送ローラ対112、113のニップ部付近に、用紙の到来を検知する用紙到来検知センサD3が設けられている。このD3は、両ローラに挟まれて前進する用紙の到来を検知する反射型光学センサである。
【0038】
また、搬送下ローラ112の駆動力は、外周面同士の接触により、転動ローラ111を介して基準ローラ101に伝達される。基準ローラ101が駆動することによって、重送検知装置そのものが用紙を搬送する力を持つので、用紙P1を安定して搬送させながら重送を検知することができる。さらにローラの外周面同士の摩擦力によって駆動を伝達しているから構成部品の少ない簡単な機構で、搬送下ローラ112と基準ローラ101の線速度を一致させることができるとともに、基準ローラ軸102を回転させることなく基準ローラ101を回転させることができるから、変位の測定結果から基準ローラ軸102の振れの影響を排除することができる。転動ローラ111は、駆動伝達を確実にするように、ゴム等の弾性材で設け、搬送下ローラ112、基準ローラ101に各々圧接するように設けるのがよい。
【0039】
また重送検知機構100は、給紙ローラ22と、搬送ローラ対112、113の間に設けられており、変位レバー105は、長手方向が用紙搬送方向と直交するように配置されている。従って変位ローラが上方へ変位したときは、その変位の軌跡が描く円弧の径方向が、用紙搬送方向と直交していることになる。この構成により、重送検知機構100設置スペースの用紙搬送方向長さを小さく抑えることができるため、前後にローラ等が配置された複雑な部分にも効率良く配置できる。また、用紙搬送路を長くすることなく、変位レバー105の回動径(変位ローラ103の変位の軌跡を描く円弧の径)を長めに形成することができる。従って変位ローラ103が上昇した時の外周面の傾斜を、変位測定結果に影響しない程度に抑えることができるので、安定した検知を行うことができる。
【0040】
コの字型に形成された基準ローラブラケット110は、そのコの字の背面側が、下部支持部材114に固定されている。下部支持部材は幅方向に長く形成された角柱形状の部材であり、その両端に上方向に向かって側面支持部材115,116が各々設けられ、上部支持部材117と連結されている。上部支持部材117は幅方向に長く形成された角柱形状の部材である。側面支持部材115.116には、各々幅方向にクランク上に屈曲した屈曲部115a、116aを有する。この上部支持部材117、下部支持部材114、側面支持部材115,116によって、幅方向に長い長方形形状の支持枠体(第1の支持部材)が形成され、その内側を用紙が通過するようになっている。この支持枠体は、下部支持部材114、上部支持部材117の角柱形状と、側面支持部材115,116の屈曲部115a、116aによって変形しにくい剛性が確保される。側面支持部材116にはブラケット107が固定され、変位レバー105の回動支点である支点軸106がこのブラケット107に支持されている。したがって、重送検知機構100を構成する部材がすべてこの支持枠体に支持されている。
【0041】
下部支持部材114は、
図3における左端付近に丸孔114aが、右端付近に水平方向に長い長穴114bが設けられている。
図5は
図4における丸孔114a部の拡大図である。丸孔114aには、収容部材29に固定されたフランジ付の柱119が挿通されている。この構成により、装置の動作等の影響で収容部材29に歪みが発生し、2本の柱119間の距離に変化が生じても、長穴114bがその変化分を吸収する。したがって、収容部材29や、収容部材29を固定支持しているフレーム31,32に、装置の動作等による歪み発生しても、その歪みが支持枠体に影響することがなく、したがって重送検知機構100にも影響しない。また、収容部材29と下部支持部材114との間には、防振部材122が介在している。防振部材122はシリコンゴムなどの弾性材で形成される。この構成により、装置全体の振動が収容部材29を通じて支持枠体に伝わることが抑制され、従って重送検知機構100に伝わることも抑制される。長穴114b部についても、孔形状が幅方向に異なるだけで、その中心を通る断面は
図5と同様である。防振部材122は、本実施形態では丸孔114aと長穴114bの周辺にのみ設けられているが、下部支持部材114の全幅にわたって設けられていてもよい。上部支持部材117には左右2個のアングル材120の一端が固定される。上部支持部材117よりも用紙搬送方向上流側に、左右フレーム31,32に両端を固定したステー121が設けられ、このステー121にアングル材120の他端の曲げ部を引っかけている。この構成によって支持枠体が用紙搬送方向下流側へ倒れるのを防ぐ。この引掛け部にも防振部材123が介在している。防振部材123もシリコンゴムなどの弾性材で形成される。フレーム31,32には給紙ローラ22を支持する軸と、収容部材29と、ステー121が固定され、これらの部材が分離給送機構4を支持する第2の支持部材を形成する。
【0042】
図6は本発明の用紙搬送装置を備える丁合装置の制御系を示すブロック図である。制御部200は、丁合装置の各機構を制御するもので、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。操作パネル201はユーザが丁合装置の操作を行うための表示や入出力を行うパネルであって、例えばタッチパネルディスプレイ等で構成される。
【0043】
搬送モータM2はすべての給紙機構2の搬送ローラ対112,113、縦搬送路7、排紙搬送路12における搬送ローラ類を回転駆動するための共通駆動源である。また、光センサ303が制御部200に接続され、回転量検出手段300からメインパルスを制御部200に送り込めるようになっている。
【0044】
給紙モータM1は給紙ローラ22を駆動する回転量検出可能なDCブラシレスモータであって、検出された回転量を制御部200に送ることによってフィードバック制御が可能になっており、この給紙モータM1を駆動制御する給紙制御部202とともに、各給紙機構2ごとに設けられている。各給紙機構2の給紙制御部202は制御部200に接続され、制御部200から常時メインパルスが送り込まれるとともに、制御部200から給紙トリガ信号を受ける。給紙制御部202は給紙トリガ信号を受けてからのメインパルス数を計数し、所定数に達すると、給紙モータM1に回転開始信号を送る。給紙トリガ信号を受けてから、各給紙機構2が上方から順々に動作開始することによって、各給紙機構2から送られてきた用紙が縦搬送路7で重なった時に先端が揃うように、所定数が各給紙機構2毎に定められている。
【0045】
さらに制御部200には、変位センサ109及び用紙有無検知センサD1、給紙センサD2、用紙到来検知センサD3にも接続され、各々の検知結果を入力可能になっている。各々のセンサも給紙機構2毎に設けられている。
図6における一点鎖線は、給紙機構2ひとつ分を模式的にあらわしたものである。この一点鎖線に囲まれた部分が、給紙機構2の数分だけ制御部200に接続しているが、
図6においては給紙機構2ひとつ分のみを図示し、それ以外は省略した。
【0046】
図7は本発明の用紙搬送装置を備える丁合装置の動作を示すフローチャートである。以下、
図6及び
図7を参照し、本発明の用紙搬送装置を備える丁合装置の動作について説明する。
【0047】
まずユーザは操作パネル201において、丁合装置で作成したい束の数Cxを入力する(S01)。例えば300部の束を作成したい場合、ここで300と入力し、制御部200は束作成部数C=300として記憶する。
【0048】
次にユーザが操作パネル200でスタートスイッチを操作(タッチ又は押下)すると(S02)、束カウント数Cを0として(S03)、搬送モータM2の駆動を開始(S04)し、搬送ローラ対112,113及び、縦搬送路7、排紙搬送路12における搬送ローラ類が回転開始する。さらに搬送下ローラ112から、摩擦接触によって転動ローラ111を介して基準ローラ101が回転する。さらに用紙の搬送が始まっていない状態では変位ローラ103が基準ローラ101と接触しているから、変位ローラ103も回転する。
【0049】
搬送モータM2回転開始後の所定のタイミングで制御部200から各給紙機構2に対して給紙トリガ信号が発信され、発信以降、メインパルスの計数を開始する(S05)。各給紙機構2においては、給紙トリガ信号受信後所定パルス経過すると(S06)、給紙モータM1が駆動開始され(S06)、給紙ローラ22と補助給紙ローラ24とが回転開始し、最上位の用紙P1のみが分離されて給紙ローラ22とサバキ板23の間を抜ける。
【0050】
用紙P1の先端が給紙センサD2で検知されると、(S08)、給紙モータM1が停止し(S09)、給紙モータM1の駆動再開タイミングが計算される(S10)。具体的には、給紙モータM1の停止信号発信後、実際に給紙モータM1が停止するまでに、給紙モータM1が回転した回転量(すなわち慣性力により用紙P1の先端が給紙センサD2の光軸をこえて前進した分に相当する回転量・以下超過回転量という)を測定する。そして、用紙の先端が給紙センサD2から出発して縦搬送路7に合流するまでに要する時間の理論値から、超過回転量に相当する時間を差し引いた時間だけ給紙モータM1が回転停止してから搬送再開するように、給紙モータM1の再開タイミングが計算される。そしてその再開タイミングになると給紙モータM1の駆動が再開され(S11)、用紙の前進が再開する。
【0051】
ステップS07における給紙ローラM1の駆動開始タイミングは、縦搬送路7での合流時に各給紙機構2から送られてきた用紙同士の先端が揃うように決められているが、実際には送り出し前の用紙P1の位置のバラつきや、用紙が給紙ローラ22とサバキ板23とで挟まれて送り出されるときに生じる給紙ローラ22と用紙P1とのすべりによるバラつき等により、そのまま送り出してしまうと先端がしっかり揃わなくなってしまうため、これを防ぐため、用紙がある程度前進した位置でいったん給紙モータM1を停止させ、その停止時の用紙P1の先端の位置に応じたタイミングで再スタートさせることにより、先端のずれを防いでいる。
【0052】
再スタートすると用紙P1は変位ローラ103と基準ローラ101との間、搬送ローラ対112,113の順に挟まれて前進し、先端が用紙到来検知センサD3により検知される(S12)。次に給紙モータM1が停止するが、用紙P1は既に搬送モータM2により回転駆動されている搬送ローラ対112,113に挟まれているため、そのまま前進を続ける。給紙ローラ22、補助給紙ローラ24は支持軸との間にワンウェイクラッチが入っているため、給紙モータM1が停止していても、送り出される用紙P1につられて空回りする。
【0053】
用紙到来検知センサD3により用紙の先端が検知されてから、所定時間(本実施形態では30msec)経過後、数値nをゼロにリセット(S14)し、さらにnを1だけ増加させ(S15)、変位センサ109のデータVnを採取(S16)する。次に用紙到来検知センサD3により用紙P1の後端が検知されたか否かを判断(S17)し、検知されていなければS15に戻る。S14において用紙P1の先端が用紙到来検知センサD3に検知された直後は、用紙P1の先端が基準ローラ101と変位ローラ103の間に突入したばかりであるから、その衝撃で変位ローラ103が跳ねる等して位置が安定しないため、所定時間経過してからVnの計測を開始するようになっている。そして用紙到来検知センサD3により用紙の後端が検知されるまでは、データVnの採取を繰り返すということである。Vnの採取は、一定時間(本実施形態では1msec)ごとに行う。用紙到来検知センサD3により用紙の後端が検知されればS18−1に進み、採取したデータVnのうち、先頭の15個(V1〜V15)、2番目の15個(V16〜V30)、3番目の15個(V31〜V45)の各々において、最も高い数値と次に高い数値、最も低い数値と次に低い数値を削除し、残った11個のデータの平均値VL1.VL2,VL3をそれぞれ計算する(S18−1)。
【0054】
次に、各平均平均値VL1.VL2,VL3の各々を基準値Vsと比較し、VL1とVL2とがいずれもVsを上回っているか、あるいはV2とV3とがいずれもVsを上回っているか、いずれかである場合はS19に進み、否である場合はS20に進む(S18−2)。基準値Vsは、用紙が本来1枚のみ(2つ折りの場合は2つ折りされた用紙が1枚、4つ折りの場合は4つ折りされた用紙が1枚)通過した場合に取得されるVnの値に、所定の余裕値を加えた値であり、重送か否かを判定するための基準となる閾値である。今回通過した変位ローラ101の変位がVsを上回った場合に、重送と判断できる。本実施形態においては、先頭から15回の測定ごとに測定領域を分けて、その各々の平均についてVsと比較し、2領域が連続してVsを上回った場合に重送と判断することとして、検知精度を高めている。S18−2において重送と判断された場合は(S18−2のY)、操作パネル201に重送エラーが発生した旨を表示して(S19)、搬送モータM2を停止させて装置を停止させる(S23)。なお用紙P1の長さが短い場合は、最終するVnの数が45個に達しないうちに、用紙P1の後端が用紙到来検知センサD3に達することがある。その場合は、VL1とVL2のみを求め、両者連続してVsを上回っているか否かを判断する。同様に、Vnの数が30個に達しない場合は、VL1のみで判断する。また、用紙P1の長さが比較的長い場合に、V46以降のデータを使用して同様にVL4,VL5・・・を求めていき、同様に連続してVsを上回っている箇所が存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0055】
S18−2において重送と判断されなかった場合は(S18−2のN)、束カウント数Cを1増加させ(S30)る。こうして、束カウント数Cは実際に作成した束の数を計数した数値となる。この束カウント数が、作成したい部数に達していれば、すなわちCがCxに達していれば(S21のY)、所望の部数の作成が完了したのであるから、装置を停止させる(S23)。CがCxに達していなければ(S21のN)、さらに、センサD1によりいずれかの給紙機構2において用紙が無くなっていることが検知されるか、あるいはユーザがストップスイッチを操作した場合(S22のY)は、やはり装置が停止する(S23)。いずれの給紙機構2にも用紙が残存していて、ストップスイッチも操作されなければ(S22のN)、S05に戻って次の束の丁合を開始する。
【0056】
こうして一連の丁合をCx回繰り返し、例えばCx=300と設定されていれば、300部の束を丁合して丁合装置は停止するとともに、変位センサ109で重送が検知されると、その旨を表示して丁合装置1は停止する。
【0057】
給紙センサD2による用紙P1の一時停止を、重送検知機構100よりも上流側に配置し、用紙P1の先端が重送検知機構100通過後に変位データ採取を行うことによって、用紙P1をいったん停止、再スタートさせることにより合流後の先端揃いを良好に保ちながら、変位ローラ109の採取中には、停止や再起動の衝撃等の影響で正確な測定が妨げられることがない。
【0058】
続いて第2の実施形態について説明する。
図9は本発明の第2の実施形態を示す図で、
図3のA−A線に相当するラインで切断した断面図で示したものである。第1の実施形態と形状、機能が共通する部材については、第1の実施形態と同じ番号を付与して、詳細な説明は省略する。
【0059】
第2の実施形態においては、第1実施形態の転動ローラ111が無く、代わりに搬送下ローラ112と同軸に設けられたタイミングプーリ412と、基準ローラ101と同軸に設けられたタイミングプーリ401と、このタイミングプーリ401,412間に掛けられたタイミングベルト411が設けられている。搬送下ローラ112とタイミングプーリ412とは、同じ支持軸から搬送モータM2の回転駆動力が付与され、従ってタイミングベルト411が周回してタイミングプーリ401を駆動する。
【0060】
基準ローラ軸102が回転しないようにブラケット110に固定されていることも第1実施形態と同様である。すなわち、基準ローラ101もタイミングプーリ401も、回転しない基準ローラ軸101の周りを回転するように設けられ、基準ローラ101とタイミングプーリ401とは側面同士が接着あるいはねじ止めされることにより、タイミングプーリ401の駆動力が基準ローラ101に伝達されるようになっている。
【0061】
従って、第1の実施形態と同様に、基準ローラ軸102が回転しないため、変位センサ109の検知結果が基準ローラ軸102の振れに影響されることがない。基準ローラ101のみ精度よく製作すれば、回転部品の振れの、検知結果への影響を最小限に抑制できる。
【0062】
なお、タイミングプーリ401が用紙のP1の搬送に影響しないように、基準ローラ101よりも小径に形成するのが望ましい。
【0063】
また第2の実施形態においても、装置を安くするためには基準ローラ101にボールベアリングを使用することが望ましい。この場合、ベアリングそのものは加工できないため、タイミングプーリ401とベアリングとの間に、ベアリングの外輪部に圧接して摩擦力で駆動を伝達する部材を介在させて駆動を伝達するとよい。
【0064】
続いて第3の実施形態について説明する。
図10は本発明の第3の実施形態に係る丁合装置501を示す模式正面図である。第1の実施形態と共通する部材については、第1の実施形態と同じ番号を付与して、詳細な説明は省略する。
【0065】
第3の実施形態に係る丁合装置501は、第1の実施形態に係る丁合装置1における給紙機構2(2a〜2u)に代えて、給紙機構502(502a〜502u)を有する。給紙機構502は、丁合装置501本体から1段ごとに着脱可能となっている点が、給紙機構2との相違である。
図10では、給紙機構502tを丁合装置501本体から取り外した状態を示している。本体側には給紙機構収容部502taが形成されており、適宜のガイドと固定手段により、給紙機構502tを挿入、固定できるようになっている。また、本体に装着されている給紙機構502の固定を解除し、取り外すことも可能である。給紙機構502は、給紙板21、分離給送機構4、重送検知機構500(詳細構成は後述)の各部材が、各給紙機構502ごとに個別に設けられたフレーム531,532直接または間接に支持されており、フレーム531,532ごと本体に対し着脱可能である。
【0066】
図11はこの給紙機構502を示す上面図、
図12は
図11の下方から見た背面図、
図13は
図11におけるB−B断面図、
図14は、給紙機構502を本体に装着した時の搬送ローラ対112,113との位置関係を示す図である。また、
図11には、本体に装着したときの搬送上ローラ113とその支持軸の位置を、
図12には、搬送下ローラ114の位置を、各々一点鎖線で示す。さらに重送検知機構500の理解を容易にするため、
図12においては重送検知機構500よりも給紙方向上流側にある部材は省略し、
図13においても奥側のフレーム531の図示は省略した。各図とも、第1の実施形態と同じ番号が付与しているものは、一部説明を省略するが、第1の実施形態とその形状、構成、機能が共通するものである。
【0067】
図11に示すように、左右のフレーム531,532の間に給紙ローラ22を支持する軸が支持され、フレーム531側にモータM1が設けられている。また、給紙板21、収容部材29、ステー121は、各々の両端がフレーム531,532に固定支持されている。フレーム531,532の外側は各々カバー533,534で覆われ、このカバー533,534ごと丁合装置501に挿入して装着できるようになっている。カバー533の下方にはコネクタ535が設けられ、丁合装置501本体に装着した時に、本体側のコネクタと接続され、モータM1への電源の供給及び、制御のための通信線が接続される。
【0068】
図12に示すように、フレーム531,532の幅方向ほぼ中央に、第1実施形態における重送検知機構100に代えて、重送検知機構500が設けられている。この重送検知機構500について、以下説明する。
【0069】
重送検知機構500は、基準ローラ101を支持する基準ローラ軸102が、基準ローラブラケット510に支持されている。基準ローラブラケット510は下部支持部材114に支持されたコの字型の部材で、コの字の内側に基準ローラ軸102の両端が、回転不能に固定されている。基準ローラ101はこの基準ローラ軸102に対し回転自在に支持されている。
【0070】
変位ローラ103を支持する変位ローラ軸104の一端は、変位レバー505の一端に固定されている。変位レバー505は、支点軸506を中心に揺動自在である。支点軸506は、上部支持部材117の下面に固定されたブラケット507に水平に立設されている。ブラケット507の用紙搬送方向下流側の端に形成されたバネ掛け部507aと、変位レバー505の他端との間にバネ508が掛けられている。このバネ508により、変位レバー505が
図13における反時計方向に回動する方向に付勢され、したがって変位ローラ103が基準ローラ101に対して圧接するように付勢されている。
【0071】
変位レバー505の一端の上方に検知面505aが形成されており、この検知面505aに変位センサ109の回動レバー部109aの回動端が当接している。用紙が基準ローラ101と変位ローラ103との間を通った時、通った用紙の厚み分だけ変位ローラ103が上昇するとともに、検知面505aも上昇する。すると回動レバー109aを回動させ、その角変位を検出することにより、検知面505aの上昇量を測定する。用紙が通過していない間は、バネ508の力によって変位ローラ103は基準ローラ101に圧接している。
【0072】
第1の実施形態における回動レバー105の長手方向が用紙搬送方向に対して直交しているのに対し、この第3の実施形態における回動レバー505は、長手方向が用紙搬送方向に対して平行であるから、幅方向の設置スペースを小さく構成できるというメリットがある。
【0073】
ブラケット510のコの字の一方の面の外側に軸513の一端が固定され、この軸513の他端には、転動ローラブラケット514の一端が軸513を中心に揺動自在に支持されている。転動ローラブラケット514の他端に転動ローラ軸515の一端が固定され、転動ローラ軸515の他端に転動ローラ111が回転自在に支持されている。ブラケット510のコノ字の一方の面側の下端部にバネ掛け部510aが立ちあげられている。また、転動ローラブラケット514の一端部にバネ掛け部514aが立ちあげられている。バネ掛け部510aと514aとの間にバネ516が掛けられている。このバネ516の付勢力により、転動ローラブラケット514は軸513を中心に
図13に示す時計方向に付勢されており、転動ローラ軸515がブラケット510のストッパ部510bに当接した状態になっている。
【0074】
丁合装置501本体に装着するときは、
図13における左側を先頭として装置内に挿入する。挿入時に転動ローラ111は搬送下ローラ112に当接する。なおも挿入を継続すると、転動ローラブラケット514が
図13に示す反時計方向に回動し、転動ローラ軸515はストッパ部510bから離間する。装着が完了すると
図14に示すように、転動ローラ111はバネ516の付勢力により、搬送下ローラ112に圧接するように構成され、その圧接方向は、給紙機構502を丁合装置501本体に装着する時の、給紙機構502の移動方向と同じ方向である。そして転動ローラ111は給紙機構502の、装着時の移動方向の先頭側に露出して位置している。この構成により、給紙機構502を本体に装着するだけで、転動ローラ111を搬送下ローラ112への圧接を構成することができる。また、搬送下ローラ112の位置に機械的誤差があっても、転動ローラ111を支持する転動ローラブラケット514が回動変位で誤差を吸収することができる。
【0075】
本発明の第3の実施形態によれば、給紙機構502が着脱可能に設けられているので、紙詰まりを起こした際等、本体から取り外して容易に処理することができる。また、重送検知機構500が設けられた給紙機構502を、丁合装置501が複数有する給紙機構のうちの一部のみとし、給紙機構同士を入れ替えて、任意の位置の給紙機構を重送検知可能とすることができる。
【0076】
なお、第3の実施形態のように、ユニット化して丁合装置本体に着脱可能な給紙機構において、第1の実施形態のように変位レバーの長手方向が用紙搬送方向と直交するように構成してもよい。
【0077】
続いて本発明の第4の実施形態を説明する。第1の実施形態と共通する部材については、第1の実施形態と同じ番号を付与して、詳細な説明は省略する。
図15は本発明の第4の実施形態に係る丁合装置の制御ブロック図である。第4の実施形態では、第1の実施形態における操作パネル201に代えて、操作パネル203を有する。操作パネル203は、処理速度設定欄210を含む。
【0078】
図16は処理速度設定欄210を示す図である。この処理速度設定欄210はタッチパネルの一部等に表示される。処理速度設定欄210は、処理速度表示欄224と、処理速度選択ボタン226と、を含む。処理速度表示欄224には、丁合処理の処理速度が1〜10の10段階で表示される。丁合装置は、処理速度が「1」のときに最低速で丁合処理を実行し、「10」のときに最高速で丁合処理を実行する。具体的には、丁合装置は、搬送モータM2の速度を遅くすることにより処理速度を遅くし、速くすることによって処理速度を速くする。搬送モータM2の速度が変化すると、すべての給紙機構2の搬送ローラ対112,113と、縦搬送路7、排紙搬送路12における搬送ローラ類の速度が変化する。すなわち横搬送路6、縦搬送路7、排紙搬送路12における用紙の搬送速度が変化する。ユーザは、処理速度選択ボタン226をタッチすることにより、丁合処理の処理速度を変更する。
【0079】
各給紙機構2の給紙モータM1が回転開始するタイミングは、縦搬送路7で合流した時に互いの用紙の先端が揃うように時間差がつけられているが、そのタイミングは各給紙機構2ごとに、給紙トリガ信号発信からの所定数のメインパルス受信後と決められている。このメインパルスは搬送モータM2の出力軸に設けられた回転量検出手段300から取得しているので、搬送モータM2の速度が速くなるほど、単位時間当たりのメインパルス数が増加し、遅くなるほど減少する。したがって、横搬送路6、縦搬送路7の速度が変化しても、変化後の速度に応じて、縦搬送路7で合流した時に互いの用紙の先端が揃うタイミングで、各給紙機構2から用紙が送り出されることになる。
【0080】
また、給紙トリガ発信から、次の給紙トリガを発信するまでの間隔も、メインパルス数で決められているため、搬送モータM2の速度を速くすると、各給紙機構2が用紙を送り出す間隔が短くなり、遅くすると長くなる。したがって、搬送モータM2が速いほど単位時間あたりに作成できる丁合セットSの数が変化する。
【0081】
給紙モータM1の回転速度は、給紙ローラ22の周速度Vaと搬送ローラ対112,113の周速度Vbが、Va≦Vbとなるように、処理速度設定欄210の設定に応じて設定される。
【0082】
給紙ローラ22の周速度よりも搬送ローラ対112,113の周速度の方が遅い(Va>Vb)と、搬送ローラ対112,113に用紙P1の先端が到達して以降は、給紙ローラ22と搬送ローラ対112,113との間でたわみが発生し、重送検知機構100による重送検知ができなくなってしまう。
【0083】
本実施形態ではVa≦Vbとなるようにされているため、用紙P1はたわみが発生することなく、安定した重送検知が可能になる。処理速度が設定可能である点と、その設定によりVa、Vbが制御される点以外は、第1の実施形態と同一である。
【0084】
図17はユーザが設定した処理速度の数値と、Va、Vbとの関係を示す図である。Vbは処理速度の数値に比例して、数値が大きくなるほどVbも大きく(速く)なる。一方で、Vaは処理速度3〜10の範囲では、処理速度の設定に対して変化せず、一定値(以下Vcという)である。給紙ローラ22の周速度を速くしすぎると、給紙時の停止、駆動再開時の加減速のバラつきや、給紙ローラ22と用紙Pとのスリップによるバラつきが大きくなり、合流後の用紙先端が揃いにくくなるため、VaはVcを超えないようにされているためである。処理速度1,2では、VbがVcを下回るため、Va=Vbとなるように、VaはVcよりも速度を落とすように制御される。また、これに限られず、処理速度1、2の場合にVaをVbよりも若干遅くなるように設定してもよい。
【0085】
この制御により、用紙にたわみが発生することなく安定した重送検知が可能な給紙装置が得られるとともに、合流後の先端の揃いが良好な丁合装置を得ることができる。