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  • 特開2015193949-塗工白板紙 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-193949(P2015-193949A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】塗工白板紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 23/48 20060101AFI20151009BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20151009BHJP
   D21H 19/82 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
   D21H23/48
   D21H27/00 E
   D21H19/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-72289(P2014-72289)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】外岡 遼
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和哉
(72)【発明者】
【氏名】畠山 清
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AC09
4L055AG11
4L055AG12
4L055AG19
4L055AG27
4L055AG63
4L055AG64
4L055AG72
4L055AG76
4L055AG89
4L055AG97
4L055AH29
4L055AJ04
4L055BD18
4L055BE02
4L055BE09
4L055CH10
4L055EA11
4L055EA14
4L055EA32
4L055FA12
4L055GA04
(57)【要約】
【課題】原紙由来のチリ、白色ムラを隠蔽し、かつ白紙面感に優れた塗工白板紙を提供する。
【解決手段】多層抄き原紙の少なくとも片面に塗工層を有する塗工白板紙であって、前記塗工層がカーテン塗工により設けられた顔料塗工層を1層以上含み、前記原紙が、塗工層に隣接する表層、当該表層の塗工面とは反対側に隣接する表下層、およびそれ以外の他層からなり、当該塗工白板紙を、前記塗工層、表層、および表下層からなる分割層1と、前記他層からなる分割層2に分割したとき、当該分割層1の両面のISO白色度の差が2.0ポイント以上である、塗工白板紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層抄き原紙の少なくとも片面に塗工層を有する塗工白板紙であって、
前記塗工層がカーテン塗工により設けられた顔料塗工層を1層以上含み、
前記原紙が、塗工層に隣接する表層、当該表層の塗工面とは反対側に隣接する表下層、およびそれ以外の他層からなり、
当該塗工白板紙を、前記塗工層、表層、および表下層からなる分割層1と、前記他層からなる分割層2に分割したとき、当該分割層1の両面のISO白色度の差が2.0ポイント以上である、
塗工白板紙。
【請求項2】
前記表層が古紙パルプを含有する、請求項1に記載の塗工白板紙。
【請求項3】
前記古紙パルプの配合割合が、原紙の全パルプ量100重量部に対して50重量部以上である、請求項1または2に記載の塗工白板紙。
【請求項4】
前記カーテン塗工により設けられた顔料塗工層が軽質炭酸カルシウムを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の塗工白板紙。
【請求項5】
前記塗工層が、カーテン塗工により設けられた2層以上の顔料塗工層、またはカーテン塗工およびこれ以外の塗工方法により設けられた2層以上の顔料塗工層を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の塗工白板紙。
【請求項6】
前記表下層が化学パルプを含有しない、請求項1〜5のいずれかに記載の塗工白板紙。
【請求項7】
前記カーテン塗工により設けられた顔料塗工層の合計の塗工量が片面あたり15g/m以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の塗工白板紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙パルプを配合した原紙とカーテン塗工により設けた顔料塗工層を備える塗工白板紙に関する。
【背景技術】
【0002】
白板紙は通常、白ボールとマニラボールに分類され、マニラボールはさらに高級白板紙と特殊白板紙に分類される。白ボールとマニラボールには、塗工タイプと非塗工タイプがある。白板紙の原紙は、通常2〜9層の多層抄きによって製造され、環境に対する取組みやコストダウンに対する要求が高まっていることから、古紙パルプが多く使用されている。例えば、白ボールでは、表層には、晒パルプまたは脱墨パルプ、あるいは漂白された白色度の高い古紙パルプが、また中層、裏層にはより白色度が低く、安価な脱墨パルプおよび脱墨しない古紙パルプが使用されている。年々古紙パルプの配合比率は上昇し、グレードの低い白板紙では古紙パルプはほぼ100%配合されるほどになっている。こうした状況の中、古紙配合率増加に伴う原紙の問題として、チリ、黒点等の欠陥、および白色ムラの発現の増加がある。チリ等の異物を除去するために、脱墨工程や除塵工程を強化する対策がなされ、脱墨技術や除塵装置の進歩によりチリの問題は大幅に改善されてきているが、まだ完全に除去できるほどまでは至っていない。脱墨処理や除塵処理を強化するほど、歩留が悪化し、経済的に不利になることから、現状では、一定のレベル以上には脱墨、除塵処理は施されない。一方、白板紙は食料品や医薬品、化粧品などの容器として使用されることが多く、特に塗工白板紙においては、視覚化の面から外観性や印刷適性等の向上に対する要求が高まっている。
【0003】
外観性の一つに白色ムラがある。白色ムラとは、微小面積における白色度の標準偏差と定義される。白色度が高くても白色ムラが劣る場合、面感が悪く、また印刷物の特に網点部においてムラがさらに強調されるため、印刷物としての価値が劣る。白色ムラは、原紙の白色度と塗工層の白色度の差が大きい場合、塗工層の塗工ムラが劣ると特に顕著となる。そこで、塗工層と原紙の白色度を近づけて白色ムラを低減させるために、カーテン塗工方式で設けられた顔料塗工層の不透明度を50%以上にし、多層原紙の最表層とその直下層の白色度差を12%より大きくする方法や、塗工顔料に黒染料を配合して、原紙の白色度と塗工層の白色度を6%以内にするなどの方法が提案されている(特許文献1、2)。また、原紙の白色ムラを目立たなくさせる方法として、多層抄における表層、表下層の白色度の差を一定の範囲に規定するという提案がなされている(特許文献3)。
【0004】
塗工方式による白色ムラの改善として、通常使用されるブレード塗工方式の代わりに、ロール転写塗工方式やエアナイフ塗工方式を使用することが一般に知られている。ブレード塗工方式は、原紙の凹凸によらず塗工後の表面が平坦化されるという特徴があるので塗工表面の平滑性は高いが塗工量が不均一になり白色ムラが生じやすい。これに対し、ロール転写塗工方式やエアナイフ塗工方式では、ブレード塗工方式に比べ塗工量が均一であるために白色ムラが目立たないという利点がある。
【0005】
この他にも、上述の古紙パルプ多配合の紙を使用しながら、効率よくチリを目立たなくし、白色度や印刷適正を向上させる技術として、表面に塗被する塗工量を多くする、隠蔽性の高い二酸化チタンや構造化カオリン、プラスチックピグメント等の有機顔料を多量に配合する方法が提案されている(特許文献4、5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−41131号公報
【特許文献2】特開平1−97295号公報
【特許文献3】特開2005−298998号公報
【特許文献4】特開平6−166991号公報
【特許文献5】特開2003−306892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術には以下のような問題があった。
特許文献1、3に開示された技術は、原紙の白色ムラを目立たなくさせるために、多層抄における表層、表下層の白色度の差を規定してはいるが、塗工面と原紙との白色度差による白色ムラを解決するには至っていない。
特許文献2に開示された技術では、塗工面と原紙との白色度差による白色ムラを解消することができるが、原紙と塗工層の白色度の差を小さくするために、塗工層に黒色色素を添加した場合、全体的な白色度が低下するという問題が発生する。
白色ムラの改善のために、ブレード塗工方式ではなくロール塗工方式を採用した場合、オレンジピール等と呼ばれるロール特有の塗工パターンが発生しやすい。また、エアナイフ塗工方式では、原理上塗工液の粘度を低くしなければならず、そのために固形分濃度を低くすると、原紙に塗工液の水分が過剰に染みこむことにより、原紙の膨潤が発生し、表面平滑性が悪化する。また乾燥に必要なエネルギーも上昇する。
特許文献4、5に開示されているとおり、効率よくチリを目立たなくし白色度や印刷適性を向上させるために、表面に塗被する塗工量を多くする、隠蔽性の高い二酸化チタンやプラスチックピグメント等の有機顔料を多量に配合する場合、コストアップの要因となるだけでなく、一般的な塗工顔料と物性が大きく異なり塗料物性が大幅に変わってしまう問題が発生する。
【0008】
このような状況に鑑み、本発明は、古紙パルプを配合した原紙と顔料塗工層を備える塗工白板紙であって、原紙由来のチリ、白色ムラを隠蔽し、かつ白紙面感に優れた塗工白板紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は鋭意研究の結果、チリが多く、白色ムラの目立つ白板紙原紙に対して、輪郭塗工を特徴とするカーテン塗工により特定の顔料を含む顔料塗工層を設けることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち前記課題は、以下の本発明により解決される。
[1]多層抄き原紙の少なくとも片面に塗工層を有する塗工白板紙であって、
前記塗工層がカーテン塗工により設けられた顔料塗工層を1層以上含み、
前記原紙が、塗工層に隣接する表層、当該表層の塗工面とは反対側に隣接する表下層、およびそれ以外の他層からなり、
当該塗工白板紙を、前記塗工層、表層、および表下層からなる分割層1と、前記他層からなる分割層2に分割したとき、当該分割層1の両面のISO白色度の差が2.0ポイント以上である、
塗工白板紙。
[2]前記表層が古紙パルプを含有する、[1]に記載の塗工白板紙。
[3]前記古紙パルプの配合割合が、原紙の全パルプ量100重量部に対して50重量部以上である、[1]または[2]に記載の塗工白板紙。
[4]前記カーテン塗工により設けられた顔料塗工層が軽質炭酸カルシウムを含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工白板紙。
[5]前記塗工層が、カーテン塗工により設けられた2層以上の顔料塗工層、またはカーテン塗工およびこれ以外の塗工方法により設けられた2層以上の顔料塗工層を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の塗工白板紙。
[6]前記表下層が化学パルプを含有しない、[1]〜[5]のいずれかに記載の塗工白板紙。
[7]前記カーテン塗工により設けられた顔料塗工層の合計の塗工量が片面あたり15g/m以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の塗工白板紙。
【発明の効果】
【0011】
本発明より、原紙由来のチリ、白色ムラを隠蔽し、かつ、白紙面感に優れた塗工白板紙を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の塗工白板紙の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」は両端の値すなわちXとYを含む。
本発明において塗工白板紙は、多層抄き原紙の少なくとも片面に顔料塗工層を有する。前記原紙の少なくとも一層に古紙パルプが配合されることが好ましい。
【0014】
(1)原紙
本発明で使用される原紙は古紙パルプが少なくとも配合されていることが好ましい。古紙パルプ以外のパルプは特に制限されず、クラフトパルプ、亜硫酸パルプなどの化学パルプ;サーモメカニカルパルプ、加圧砕木パルプなどの機械パルプ;ケミカルサーモメカニカルパルプなどの半化学パルプが使用できる。本発明によれば、原紙由来のチリなど、白色ムラを隠蔽することが可能であることから、古紙パルプを多く含有する原紙を用いることができる。そのため、コスト面でも有利であり、環境負荷も低くなる。古紙パルプとしては、上質紙、中質紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙、段ボール古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨古紙パルプまたは脱墨しない古紙パルプを使用できる。古紙パルプの配合量は、全パルプ中50重量%以上、好ましくは80重量%以上とできる。
【0015】
本発明で使用される原紙は多層抄き原紙であり、一般に塗工白板紙の原紙に使用されるものを例外なく使用できる。原紙は上記各種パルプを混合したものでもよいし、同一パルプを用いたものでもよい。本発明では、多層抄きの原紙において、顔料を塗工する側の最表層を表層、塗工面から反対側に向かって2層目を表下層、それ以外を他層という。他層のうち、最裏面を裏層、それ以外を中層ともいう。また、中層を構成する層を、カーテン塗工方式を用いて塗工する面から数えて3層目、4層目ということもある。例えば、3層抄き以上の原紙の場合、中層に白色度の低いパルプを用いて、表層、裏層にそれより白色度が高いパルプを用いることもできるし、すべての層のパルプを同じものとして複数層重ねることもできる。ただし、本発明によれば、表層、表下層に、中層や裏層に使用するのと同様に白色度の低いパルプを使用しても白色ムラがなく、白色度の高い塗工白板紙を得ることができるので、本発明の効果がより顕著に得られる。また、環境への配慮、コストの点からも、表層は古紙パルプを30重量%以上含有することが好ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。また、前記の理由により、表下層には、クラフトパルプ、亜硫酸パルプなどの化学パルプを含有せずに、古紙パルプを100重量%使用することが好ましく、古紙パルプのうち20重量%以上を脱墨しない古紙パルプとすることがさらに好ましい。従来、表下層には白色度の高い化学パルプが通常使用されていたが、本発明においては、表下層が化学パルプを含まなくても白色度の高い塗工白板紙を得ることができる。中層は、古紙パルプを100重量%使用することが好ましく、そのうち80重量%以上を脱墨しない古紙パルプとしてもよい。
【0016】
原紙には通常填料が内添される。かかる填料としては特に限定されないが、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、亜硫酸カルシウム、石膏、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、製紙スラッジ、脱墨フロスからの再生無機粒子等の無機填料、尿素―ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、プラスチック微小中空粒子などの有機填料、さらには古紙やブロークに含まれている填料を、単独もしくは適宜2種類以上組み合わせて使用できる。原紙への上記填料の配合割合(原紙灰分)は、10重量%以上であることが好ましい。
【0017】
また、目的とする品質に合わせて原紙層で凝集助剤、紙力増強剤、色味付け染・顔料、サイズ剤を使用できる。また、抄紙時の操業性を向上させるために、歩留り向上剤、濾水向上剤、消泡剤を適宜用いることができる。
【0018】
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマー、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン、これらを組み合わせたハイブリッド型抄紙機等を用いて行うことができ、2層以上を抄き合わせて原紙としてもよい。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。なお、白板紙における原紙の米坪は通常150〜700g/m程度である。また、本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の間に、予め平滑化しておいてもよい。
【0019】
本発明において、原紙を乾燥させる方法は制限されない。例えば、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独、もしくは併用して用いられる。
【0020】
また、本発明においては、原紙の平滑性が低くても所望の効果が得られるため、平滑性の低い原紙を用いてもよいが、カーテン塗工時のパドリングと呼ばれる塗料溜まりが発生しない範囲で、平滑性の高い原紙を使用できる。原紙の平滑性を高めるために、カーテン塗工前にプレカレンダー等の処理を行ってもよい。さらに、原紙の平滑性を改善する手段として、カーテン塗工前に澱粉を主成分としたクリア塗料または顔料を含んだ塗料を原紙に塗工することができる。前記の塗工された原紙は、乾燥工程を経ないまま、すなわち原紙上の塗料が塗れた状態で、カーテン塗工に供してもよい。このように、カーテン塗工に供される前の原紙の状態は制限されない。
【0021】
(2)カーテン塗工液
本発明においては、1種もしくは2種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させ、当該カーテン膜に原紙を通して原紙上に1層もしくは2層以上のカーテン塗工による顔料塗工層を形成する。原紙の隠蔽性を高めるためにも、本発明の顔料塗工層は2種以上の塗工液からなることが好ましい。また前記の理由により、顔料塗工層を2層以上形成することが好ましい。例えば、ブレード塗工を行った後にカーテン塗工を行って顔料塗工層を形成してもよいし、カーテン塗工により顔料塗工層を2層以上形成してもよい。この際、同一の塗工液で顔料塗工層を2層以上設けてもよいし、異なる塗工液で各顔料塗工層を設けてもよい。当該カーテン塗工層は、塗工白板紙の最外層である最外塗工層を含む。顔料塗工層が2層以上の場合、当該最外塗工層を上塗り塗工層、当該上塗り塗工層を形成する塗工液を上塗り塗工液ともいう。また、原紙に隣接する塗工層を下塗り塗工層、当該下塗り塗工層を形成する塗工液を下塗り塗工液ともいう。
【0022】
カーテン塗工層が2層の場合、上塗り塗工層のうち、当該カーテン塗工方式によって設けられた最外塗工層を、トップ塗工層、当該トップ塗工層を形成する塗工液をトップ塗工液ともいう。また、上塗り塗工層のうち、トップ塗工層に隣接し、より原紙に近い層をプレ塗工層、当該プレ塗工層を形成する塗工液をプレ塗工液ともいう。さらに、上塗り塗工層および原紙に隣接し、カーテン塗工方式外の塗工方式で設けられた塗工層を下塗り塗工層、当該下塗り塗工層を形成する塗工液を下塗り塗工液ともいう。各塗工層を形成する塗工液は、すべて異なる塗工液でも、同一の塗工液を2層以上に使用してもよい。
【0023】
本発明では、顔料や接着剤などの必要な成分と水とを混合して塗工液を調整する。塗工液の調製においては、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。塗工液に含有される各成分等については以下に説明する。
【0024】
塗工液に用いる顔料は特別なものである必要はないが、従来の公知公用のものとして、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、亜硫酸カルシウム、石膏、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、製紙スラッジ、脱墨フロスからの再生無機粒子等の無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、プラスチック微小中空粒子などの有機填料などを使用できる。ただし、高い隠蔽性、平滑性を得るために、顔料塗工層のいずれか一層にデラミネーティッドカオリンを含有してもよい。デラミネーティッドカオリンの含有割合は、顔料100重量部中、20重量部以上とすることが好ましく、さらに好ましくは、50重量部以上である。また、隠蔽性向上のためには、顔料塗工層のいずれか一層に軽質炭酸カルシウムを含有することが好ましい。含有される軽質炭酸カルシウムの割合は、顔料100重量部中、20重量部以上含有することが好ましく、さらに好ましくは50重量部以上である。特に、下塗り塗工層には、高い隠蔽性、高い平滑性が求められるため、デラミネーティッドカオリンを含有することが好ましい。また、上塗り塗工層には高い隠蔽性、高い白色度が求められるため、軽質炭酸カルシウムが含有されることが好ましい。
【0025】
接着剤は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用できる。接着剤の例には、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤が含まれる。接着剤は、1種類以上を適宜選択して使用できる。
【0026】
本発明における各塗工層を形成する塗工液の顔料と接着剤の配合比率は、所望の顔料塗工液が得られる範囲で適宜調整される。通常、固形分比率で、顔料100重量部に対し、接着剤5〜30重量部の範囲で含有することが好ましく、さらに好ましくは8〜20重量部である。5重量部より少ないと、塗工層強度が弱くなってしまい、紙粉が発生する、印刷強度が劣ることがある。また、30重量部より多いと、塗工層中の顔料粒子間の空隙が接着剤で満たされ、塗工層の光散乱性が劣るため、不透明度が劣る、コストが高くなることがある。
【0027】
本発明の各塗工層を形成する塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0028】
塗工液の固形分濃度は、58重量%以上が好ましく、62重量%以上がより好ましい。固形分が58重量%より低いと、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が低下することがある。一方、固形分濃度の上限は特に制限されないが、送液性等を考慮すると、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
【0029】
(3)カーテン塗工
カーテン塗工とは、1種もしくは2種以上の塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、原紙に多少の凹凸が存在しても均一な塗工層を塗設することができ、白色ムラが生じにくいと考えられている。また、ブレードにより塗工液を掻き落とすブレード塗工などの接触型塗工方式と比較して、非接触型塗工方式であるカーテン塗工で形成される塗工層は、空隙が多く、光散乱性や白色度の点で好ましいとされる。さらに、カーテン塗工は非接触型塗工方式であり、原紙にかかる負荷が小さく、断紙を抑制できるので、生産性にも優れている。
【0030】
本発明においては、原紙の少なくとも片面に、カーテン塗工で単層ないし多層塗工を行う。前述のとおり、多層塗工においていずれかの層の塗工には、カーテン塗工装置以外の塗工装置の使用も可能であり、例えば、ロット(バー)塗工や、ブレード塗工を行った後にカーテン塗工を行ったりしてもよいし、カーテン塗工を行った後にブレード塗工を行ってもよい。高い平滑性を得るためには、バー塗工を行った後に、ブレード塗工を行うことが好ましい。さらに高い平滑性を得るためには、カーテン塗工を行った後の最外層にブレード塗工を行うことが好ましい。また、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行うウェットオンウェット塗工を行ってもよい。
【0031】
本発明における各塗工液の塗工量の合計は、片面あたり固形分で2〜50g/mが好ましく、5〜50g/mがより好ましい。塗工量が5g/m未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。原紙の隠蔽性向上のためにも、15g/m以上がさらに好ましい。一方、塗工量が50g/mより多くなると、隠蔽性向上には好ましいが、塗工時の乾燥性の悪化による操業性の低下、後加工工程において罫線部での割れが発生するなどの問題が起こりやすくなるため好ましくない。塗工層が多層で構成されている場合も、片面あたり50g/m以下の塗工量とすることが好適である。また、原紙の隠蔽性を高め、もやもや感の少ない塗工白板紙を得るためには、輪郭塗工であるカーテン塗工によって形成される顔料塗工層の合計の塗工量が、片面あたり固形分で15g/m以上であることが好ましい。
【0032】
本発明の塗工白板紙の坪量は、特に限定されないが、一般的には150〜800g/m程度である。
【0033】
また、本発明においては、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置等を用いることができる。
【0034】
本発明においては原紙の一方の面にカーテン塗工により顔料塗工層を設ければよいが、他方の面(便宜上「裏面」ともいう)にクリア塗工層もしくは顔料塗工層を設けてもよい。他方の面に塗工層を設けることで、剛度を向上させる、またはカールを抑制することができる。裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて、従来から公知公用の顔料やバインダー、および、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0035】
前記原紙裏面のクリアもしくは顔料塗工層の塗工量は、特に制限されないが、一般的に片面あたり固形分で0.1〜5g/mである。
【0036】
また、裏面塗工層の塗工方法や乾燥させる方法は制限されない。例えば、公知のサイズプレス装置、例えば、2ロールタイプ、3ロールタイプ、ゲートロールタイプ、フィルム転写タイプ、カレンダータイプや、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーターなどのコーター(塗工機)を使用して塗布した後に、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の乾燥工程を単独、もしくは併用して用いてもよいし、乾燥工程を経なくてもよい。
【0037】
本発明の塗工白板紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工紙水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度なるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
【0038】
塗工速度は特に制限されないが、一般的には100〜800m/分程度である。塗工速度が過度に高速になると、クレーターが生じる傾向にある。
【0039】
本発明においては、塗工白板紙を、顔料塗工層を含む塗工層、原紙の表層、および表下層からなる分割層1と、それ以外の分割層2に分割し、分割層1の塗工面側から測定したISO白色度(UV−in)と、表下層側から測定したISO白色度(UV−in)の差が、2.0ポイント以上である。当該差は好ましくは、5.0ポイント以上である。ここでのポイントとは、白色度の差を示しており、例えば、一方の面のISO白色度が80%で、他方の面のISO白色度が78%のときは、その差は2ポイントである。前述のとおり、本発明の塗工白板紙は、両面にカーテン塗工による顔料塗工層を有していてよい。このとき、表面を基準とした分割層1Aと、裏面を基準とした分割層1Bの二つが存在する。このような場合においては、分割層1Aまたは分割層1Bのいずれか一方、あるいは双方が前記白色度の差を有していればよい。
【0040】
分割層1の塗工面側から測定した白色度は塗工面の白色度であり、表下層側から測定した白色度は、原紙の白色度である。本発明は、前述のとおり、古紙パルプを多く含有する原紙を使用した際に発生する、原紙由来のチリ、白色ムラを隠蔽し、かつ、白紙面感に優れた塗工白板紙に関する。原紙由来のチリや白色ムラなどの微小な色差の隠蔽が不十分であると、顔料塗工面に原紙由来の色の濃淡が発生し、その結果、顔料塗工面の面間悪化や、白色度の低下を招く。しかし、原紙が均一に被覆され、欠陥などの隠蔽が十分であれば、原紙に古紙パルプを多く含有し、チリ、白色ムラが多く、低白色度な原紙を使用したとしても、顔料塗工面の白色度低下を抑制できる。
【0041】
本発明では、輪郭塗工であるカーテン塗工方式を用い、上記白色度差を2.0ポイント以上とすることで、原紙の古紙配合率の増加と、原紙由来のチリ、白色ムラを隠蔽し、高白色度な塗工紙を得ることを両立することが可能になり、白紙面感に優れた塗工白板紙を得ることができる。従来技術では、塗工白板紙を、顔料塗工層を含む塗工層、原紙の表層、および表下層からなる分割層1とそれ以外の分割層2に分割するという思想さえなかった。また、仮に従来技術において分割層1を得て白色度差を測定したとしても、従来は、塗工層と原紙層の白色度差を近づけることが常識であったため、その差は2.0ポイント未満であった。しかし本発明では当該差を2.0ポイント以上とすることで、所期の効果を得ることを達成した。この理由は限定されないが、原紙被覆性の高いカーテン塗工において、塗工顔料として比散乱係数の高い軽質炭酸カルシウムを使用することで、原紙被覆性を更に高めることができるので、古紙配合率が高く白色度の低い原紙を使用しても、塗工面の白色度の低下を抑制できるためであると推察できる。また、前記顔料塗工層を、2層以上設けることで、更に高い隠蔽効果が得られると推察できる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。特に断らない限り、本明細書おいて部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含む。
【0043】
(評価方法)
(1)坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
(2)紙厚:JIS P 8118に準じて測定した。
(3)密度:JIS P 8118に準じて坪量と紙厚から求めた。
(4)平滑性:JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」に準拠し、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑性を測定した。
(5)DAV2:デュポン社製アピアランスアナライザーを用い、塗工紙表面のもやもや感を評価した。値が大きいほど塗工紙の表面にもやもや感があり、白紙面感が劣る。
【0044】
(6)白紙面感:以下の基準を用いて、塗工紙表面に見られる濃淡ムラを目視により評価した。
4:ムラが全く目立たない
3:軽度のムラが見られる
2:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
1:顕著なムラが認められ、実用に適さない
(7)夾雑物:以下の基準を用いて、塗工紙表面に見られる原紙層由来の夾雑物を目視により評価した。
4:夾雑物が全く見られない
3:夾雑物がやや見られる
2:夾雑物が認められ、実用上問題となる可能性がある
1:多数の夾雑物が認められ、実用に適さない
【0045】
(8)白色度の測定
塗工白板紙から分割層1を得て、JIS P 8150に準拠した方法より、紫外線を含む測定における白色度を測定した。測定試料は以下に従い準備した。
A5サイズの塗工白板紙を準備し、65℃の温水に約3時間浸漬した。サンプルが乾かないうちに塗工層、表層、および表下層からなる分割層1と、それ以外の原紙層からなる分割層2に分割した。この際、分割層1の表下層側に、分割層2の接していた側の原紙パルプがなるべく付着しないように注意した。分割層1は乾燥収縮を防ぐため、A4サイズの金属板を重石とし、23℃50%にて24時間乾燥した。測定では、A5サイズのサンプルを均等に3つ折りにしたものを使用した。
【0046】
[実施例1]
(原紙1)
脱墨古紙パルプを100%使用して坪量33g/mの表層、脱墨しない古紙パルプを100%使用して坪量36g/mの表下層、脱墨しない古紙パルプを100%使用して、4〜7層目をそれぞれ抄造して抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い米坪294g/mの塗工白板紙原紙を得た。
【0047】
(塗工液A)
紡錘状軽質炭酸カルシウム(D50=0.5μm、D75/D25=2.5)50部、デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)50部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス16.5部、界面活性剤0.2部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Aを得た。
【0048】
(塗工液B)
重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)85部、酸化チタン15部からなる顔料スラリーを調整した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス11部、界面活性剤0.2部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度は63%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Bを得た。
【0049】
(塗工)
原紙1に上記塗工液Aを下塗り塗工層としてベントブレード塗工方式にて塗工し、乾燥工程を経ることなく、塗工液Bが最表層になるよう、塗工液AおよびBをカーテン塗工装置にて同時2層塗工を行い、乾燥した。カーテン塗工層は、塗工液Aの層をプレ塗工層、塗工液Bの層をトップ塗工層とした。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工層が10g/m、プレ塗工層が12g/m、トップ塗工層が5g/mであり、塗工白板紙の坪量は324g/mであった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
【0050】
(仕上げ処理)
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。また、得られた塗工白板紙の塗工面の裏面に、PVA2%、PAM1%からなる塗工液のクリア塗工を行った。クリア塗工の塗工量は1g/mであった。
【0051】
[実施例2]
(原紙2)
原紙1の表下層のパルプを脱墨古紙パルプ100%とした以外は原紙1と同様に塗工白板紙原紙を得た。
【0052】
実施例1の原紙を原紙2とした以外は、実施例1と同様にして坪量322g/mの塗工白板紙を得た。
【0053】
[実施例3]
(原紙3)
原紙1の表層のパルプをLBKP40%、脱墨古紙パルプ60%とし、表下層のパルプを脱墨古紙パルプ100%とした以外は、原紙1と同様に塗工白板紙原紙を得た。
【0054】
実施例1の原紙を原紙3とした以外は、実施例1と同様にして坪量324g/mの塗工白板紙を得た。
【0055】
[実施例4]
(原紙4)
原紙1の表層をLBKP100%とし、表下層を脱墨古紙パルプ100%とした以外は、原紙1と同様に塗工白板紙原紙を得た。
【0056】
実施例1の原紙を原紙4とした以外は、実施例1と同様にして坪量323g/mの塗工白板紙を得た。
【0057】
[実施例5]
(塗工液C)
塗工液Bの顔料を重質炭酸カルシウム100重量部とした以外は、塗工液Bと同様にして、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Cを得た。
【0058】
実施例1において、プレおよびトップのカーテン塗工層を塗工液Cとした以外は、実施例1と同様にして坪量318g/mの塗工白板紙を得た。
【0059】
[実施例6]
実施例1において、塗工液Aによるベントブレード塗工方式での下塗り塗工層を設けず、カーテン塗工方式によるトップ塗工層の塗工量を15g/mとした以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0060】
[実施例7]
(原紙5)
原紙1の表層のパルプをLBKP40%、脱墨古紙パルプ60%とし、表下層のパルプをLBKP40%および非脱墨古紙パルプ60%とした以外は、原紙1と同様に塗工白板紙原紙を得た。
【0061】
実施例1において、原紙を原紙5とし、ブレードによる下塗り塗工層を設けず、塗工液Aをカーテン塗工方式にて単層塗工し、乾燥工程を経ることで、本例における塗工白板紙を得た。塗工量は、乾燥後の重量で7g/mであり、塗工白板紙の坪量は300g/mであった。塗工層の構成以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0062】
[比較例1]
(塗工液D)
デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)35部、重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)65部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、尿素リン酸澱粉3部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス12部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Dを得た。
【0063】
(塗工液E)
デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)25部、クレー25部、重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)5部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(D50=0.5μm、D75/D25=2.5)38部、酸化チタン7部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、尿素リン酸澱粉5部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス14.5部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Eを得た。
【0064】
実施例1において、下塗り上記塗工層として、塗工液Dをバー塗工方式にて塗工し、乾燥工程を経た後に、上塗塗工層として塗工液Eをベントブレード塗工方式にて塗工した。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工層が8g/m、上塗塗工層が12g/mであり、塗工白板紙の坪量は320g/mであった。塗工層の構成以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0065】
[比較例2]
(塗工液F)
クレー100部からなる顔料スラリーに対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス12部、界面活性剤0.2部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整したところ、固形分濃度は63%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Fを得た。
【0066】
実施例7において、原紙を原紙2とし、塗工液を塗工液Fとし、塗工量を乾燥後の重量で5g/m、塗工白板紙の坪量を310g/mとした以外は、実施例7と同様にして塗工白板紙を得た。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
実施例から明らかなとおり、本発明の塗工白板紙は、夾雑物が認識されにくく、かつ白紙面感に優れている。
【符号の説明】
【0070】
10 塗工層
20 表層
22 表下層
24 他層
図1