特開2015-194013(P2015-194013A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-194013(P2015-194013A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20151009BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
   E02F3/43 F
   E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-72106(P2014-72106)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 厚
(72)【発明者】
【氏名】灘岡 龍一
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真宏
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AC04
2D003BA01
2D003BA03
2D003BA07
2D003BB05
2D003BB10
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】作業具が任意の位置にて自動停止しない場合の対応を迅速に行えるようにする。
【解決手段】自動停止用制御部28は、指令操作具35により目標角停止制御の実行が継続して指令されている間は目標角停止制御を実行し、目標角停止制御の実行中に揺動角検出器18,19の出力に基づいて作業具12,15の揺動角度θa,θbが制御目標角度θoに達したことを検知した場合に、操作具30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先してアクチュエータ16,17を自動停止させ、目標角停止制御の実行中に、揺動角検出器18,19の出力に基づいて作業具12,15の揺動角度θa,θbが制御目標角度θoに達したことを検知するまでの間において、操作具30の人為操作と指令操作具35の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、目標角停止制御を終了してアクチュエータ16,17を直ちに自動停止させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業具を揺動駆動するアクチュエータと、
前記作業具の揺動角度を検出する揺動角検出器と、
操作具の人為操作に基づいて前記アクチュエータの作動を制御する手動用制御部と、
人為操作が継続されている間は前記作業具を制御目標角度にて自動停止させる目標角停止制御の実行を指令する指令操作具と、
前記目標角停止制御の実行が継続して指令されている間は前記目標角停止制御を実行し、前記目標角停止制御の実行中に前記揺動角検出器の出力に基づいて前記作業具の揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知した場合に、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記アクチュエータを自動停止させる自動停止用制御部と、
を備え、
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記揺動角検出器の出力に基づいて前記作業具の揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している作業車。
【請求項2】
前記アクチュエータとして、
走行車体に装備した支持部材に対してブームを左右向きの第1支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するブーム用アクチュエータと、
前記ブームに対してバケットを左右向きの第2支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するバケット用アクチュエータと、
を備え、
前記揺動角検出器として、
前記ブームの上下揺動角度を検出するブーム角検出器と、
前記ブームに対する前記バケットの上下揺動角度を検出するバケット角検出器と、
を備え、
前記手動用制御部は、前記操作具のブーム操作用の人為操作に基づいて前記ブーム用アクチュエータの作動を制御し、又、前記操作具のバケット操作用の人為操作に基づいて前記バケット用アクチュエータの作動を制御し、
前記自動停止用制御部は、
前記ブーム角検出器の出力と前記バケット角検出器の出力とに基づいて前記バケットの対地揺動角度を演算し、
前記目標角停止制御の実行中に、
前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記バケット用アクチュエータを自動停止させ、
前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記バケット用アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記アクチュエータとして、
走行車体に着脱可能に装備した支持部材に対してブームを左右向きの第1支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するブーム用アクチュエータと、
前記ブームに対してバケットを左右向きの第2支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するバケット用アクチュエータと、
を備え、
前記揺動角検出器として、
前記ブームの上下揺動角度を検出するブーム角検出器と、
前記ブームに対する前記バケットの上下揺動角度を検出するバケット角検出器と、
を備え、
前記手動用制御部は、前記操作具のブーム操作用の人為操作に基づいて前記ブーム用アクチュエータの作動を制御し、又、前記操作具のバケット操作用の人為操作に基づいて前記バケット用アクチュエータの作動を制御し、
前記自動停止用制御部は、
前記制御目標角度として、前記支持部材を前記走行車体から離脱させる離脱姿勢に基づいて設定した離脱用のブーム目標角度と離脱用のバケット目標角度とを備え、
前記目標角停止制御の実行中に、
前記ブーム角検出器の出力に基づいて前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記ブーム用アクチュエータを自動停止させ、
前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記ブーム用アクチュエータを直ちに自動停止させ、
前記バケット角検出器の出力に基づいて前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記バケット用アクチュエータを自動停止させ、
前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記バケット用アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している請求項1に記載の作業車。
【請求項4】
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケット角検出器の出力に基づいて前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達していないことを検知している状態において、前記操作具のブーム操作用の人為操作が行われた場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記ブーム用アクチュエータを停止状態に維持するように構成している請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記バケット用アクチュエータの作動速度を低下させるように構成している請求項2に記載の作業車。
【請求項6】
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記バケット用アクチュエータの作動速度を低下させ、前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記ブーム用アクチュエータの作動速度を低下させるように構成している請求項3又は4に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業具を揺動駆動するアクチュエータと、前記作業具の揺動角度を検出する揺動角検出器とを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車においては、作業具(ブーム及びバケット)の任意の位置を記憶させる設定スイッチと、記憶した任意の位置に作業具を自動復帰させる復帰スイッチとを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−152707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の作業車において、例えば、復帰スイッチの操作後に、揺動角検出器の故障などに起因して、作業具が任意の位置にて自動停止しないことを運転者が気付いた場合、この自動復帰を停止させるための操作が必要になるが、このような事態を運転者は予測していないため、自動復帰を停止させるための操作に手間取ることがある。
【0005】
本発明の目的は、作業具が任意の位置にて自動停止しない場合の対応を迅速かつ確実に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、
作業具を揺動駆動するアクチュエータと、
前記作業具の揺動角度を検出する揺動角検出器と、
操作具の人為操作に基づいて前記アクチュエータの作動を制御する手動用制御部と、
人為操作が継続されている間は前記作業具を制御目標角度にて自動停止させる目標角停止制御の実行を指令する指令操作具と、
前記目標角停止制御の実行が継続して指令されている間は前記目標角停止制御を実行し、前記目標角停止制御の実行中に前記揺動角検出器の出力に基づいて前記作業具の揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知した場合に、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記アクチュエータを自動停止させる自動停止用制御部と、
を備え、
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記揺動角検出器の出力に基づいて前記作業具の揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している。
【0007】
この手段によると、指令操作具を人為操作しながら操作具の人為操作を行うことにより、作業具を、その揺動角度が制御目標角度に達するように揺動駆動することができ、作業具の揺動角度が制御目標角度に達するのに伴って作業具を自動停止させることができる。
【0008】
これにより、作業具の揺動角度が制御目標角度から大きく外れている場合であっても、作業具を制御目標角度に対応する任意の揺動姿勢に簡単かつ迅速に復帰させることができる。
【0009】
又、例えば、揺動角検出器の故障などに起因して、作業具が任意の揺動姿勢にて自動停止しないことに運転者が気付いた場合には、操作具の人為操作と指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方を解除することにより、作業具を現在の揺動姿勢にて迅速かつ確実に緊急停止させることができる。
【0010】
従って、作業具を任意の揺動姿勢に簡単かつ迅速に復帰させることができる上に、作業具が任意の揺動姿勢にて自動停止しない場合の対応を迅速かつ確実に行うことができる。
【0011】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記アクチュエータとして、
走行車体に装備した支持部材に対してブームを左右向きの第1支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するブーム用アクチュエータと、
前記ブームに対してバケットを左右向きの第2支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するバケット用アクチュエータと、
を備え、
前記揺動角検出器として、
前記ブームの上下揺動角度を検出するブーム角検出器と、
前記ブームに対する前記バケットの上下揺動角度を検出するバケット角検出器と、
を備え、
前記手動用制御部は、前記操作具のブーム操作用の人為操作に基づいて前記ブーム用アクチュエータの作動を制御し、又、前記操作具のバケット操作用の人為操作に基づいて前記バケット用アクチュエータの作動を制御し、
前記自動停止用制御部は、
前記ブーム角検出器の出力と前記バケット角検出器の出力とに基づいて前記バケットの対地揺動角度を演算し、
前記目標角停止制御の実行中に、
前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記バケット用アクチュエータを自動停止させ、
前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記バケット用アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している。
【0012】
この手段によると、指令操作具を人為操作しながら操作具の人為操作を行うことにより、バケットを、その対地揺動角度が制御目標角度に達するように揺動駆動することができ、バケットの対地揺動角度が制御目標角度に達するのに伴ってバケットを自動停止させることができる。
【0013】
これにより、バケットの対地揺動角度が制御目標角度から大きく外れている場合であっても、バケットを制御目標角度に対応する任意の揺動姿勢に簡単かつ迅速に復帰させることができる。
【0014】
又、例えば、ブーム角検出器又はバケット角検出器揺の故障などに起因して、バケットが任意の揺動姿勢にて自動停止しないことに運転者が気付いた場合には、操作具の人為操作と指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方を解除することにより、バケットを現在の揺動姿勢にて迅速かつ確実に緊急停止させることができる。
【0015】
従って、バケットを任意の揺動姿勢に簡単かつ迅速に復帰させることができる上に、バケットが任意の揺動姿勢にて自動停止しない場合の対応を迅速かつ確実に行うことができる。
【0016】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記アクチュエータとして、
走行車体に着脱可能に装備した支持部材に対してブームを左右向きの第1支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するブーム用アクチュエータと、
前記ブームに対してバケットを左右向きの第2支軸を支点にして上下方向に揺動駆動するバケット用アクチュエータと、
を備え、
前記揺動角検出器として、
前記ブームの上下揺動角度を検出するブーム角検出器と、
前記ブームに対する前記バケットの上下揺動角度を検出するバケット角検出器と、
を備え、
前記手動用制御部は、前記操作具のブーム操作用の人為操作に基づいて前記ブーム用アクチュエータの作動を制御し、又、前記操作具のバケット操作用の人為操作に基づいて前記バケット用アクチュエータの作動を制御し、
前記自動停止用制御部は、
前記制御目標角度として、前記支持部材を前記走行車体から離脱させる離脱姿勢に基づいて設定した離脱用のブーム目標角度と離脱用のバケット目標角度とを備え、
前記目標角停止制御の実行中に、
前記ブーム角検出器の出力に基づいて前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記ブーム用アクチュエータを自動停止させ、
前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記ブーム用アクチュエータを直ちに自動停止させ、
前記バケット角検出器の出力に基づいて前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達したことを検知した場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記バケット用アクチュエータを自動停止させ、
前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達したことを検知するまでの間において、前記操作具の人為操作と前記指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、前記目標角停止制御を終了して前記バケット用アクチュエータを直ちに自動停止させるように構成している。
【0017】
この手段によると、指令操作具を人為操作しながら操作具のブーム操作用の人為操作を行うことにより、ブームを、その揺動角度が離脱用のブーム目標角度に達するように揺動駆動することができ、ブームの揺動角度が離脱用のブーム目標角度に達するのに伴ってブームを自動停止させることができる。
【0018】
又、指令操作具を人為操作しながら操作具のバケット操作用の人為操作を行うことにより、バケットを、その揺動角度が離脱用のバケット目標角度に達するように揺動駆動することができ、バケットの揺動角度が離脱用のバケット目標角度に達するのに伴ってバケットを自動停止させることができる。
【0019】
これにより、ブーム及びバケットを所定の離脱姿勢に簡単かつ迅速に移動させることができる。
【0020】
又、例えば、ブーム角検出器又はバケット角検出器揺の故障などに起因して、ブーム又はバケットが所定の離脱姿勢にて自動停止しないことに運転者が気付いた場合には、操作具の人為操作と指令操作具の人為操作とのいずれか一方又は双方を解除することにより、ブーム又はバケットを現在の揺動姿勢にて迅速かつ確実に緊急停止させることができる。
【0021】
従って、ブーム及びバケットを所定の離脱姿勢に簡単かつ迅速に移動させることができる上に、ブーム又はバケットが所定の離脱姿勢にて自動停止しない場合の対応を迅速かつ確実に行うことができる。
【0022】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケット角検出器の出力に基づいて前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度に達していないことを検知している状態において、前記操作具のブーム操作用の人為操作が行われた場合は、前記手動用制御部の制御作動に優先して前記ブーム用アクチュエータを停止状態に維持するように構成している。
【0023】
この手段によると、バケットの姿勢が所定の離脱姿勢に切り替わっていない限り、ブームの姿勢を所定の離脱姿勢に切り換えることができなくなる。
【0024】
これにより、バケットの姿勢が所定の離脱姿勢に切り替わっていない状態でブームの姿勢を所定の離脱姿勢に切り替えようとした場合に生じる虞のある、例えば、ブームに備えた離脱時用のスタンドがバケットに先行して接地することに起因して損傷する虞を回避することができる。
【0025】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケットの対地揺動角度が前記制御目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記バケット用アクチュエータの作動速度を低下させるように構成している。
【0026】
この手段によると、バケット用アクチュエータが自動停止する前にバケット用アクチュエータの作動速度を低下させることができる。
【0027】
これにより、バケット用アクチュエータを自動停止させたときに発生するショックを軽減することができるとともに、任意の揺動姿勢でのバケットの自動停止を精度良く行うことができる。
【0028】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記自動停止用制御部は、前記目標角停止制御の実行中に、前記バケットの上下揺動角度が前記離脱用のバケット目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記バケット用アクチュエータの作動速度を低下させ、前記ブームの上下揺動角度が前記離脱用のブーム目標角度よりも設定角度手前の減速角度に達したことを検知した場合は、前記ブーム用アクチュエータの作動速度を低下させるように構成している。
【0029】
この手段によると、バケット用アクチュエータ又はブーム用アクチュエータが自動停止する前に、バケット用アクチュエータ又はブーム用アクチュエータの作動速度を低下させることができる。
【0030】
これにより、バケット用アクチュエータ又はブーム用アクチュエータを自動停止させたときに発生するショックを軽減することができるとともに、所定の離脱姿勢でのバケット及びブームの自動停止を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ローダ作業車の左側面図である。
図2】フロントローダの作動状態を示す左側面図である。
図3】フロントローダに関する制御構成を示すブロック図である。
図4】バケット自動停止時の作動速度を示す図である。
図5】フロントローダの離脱状態を示すローダ作業車の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を作業車の一例であるローダ作業車に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、この実施形態にて例示するローダ作業車は、走行車体AとしてのトラクタAに作業装置Bの一例であるフロントローダBを着脱可能に装備して構成している。
【0034】
トラクタAは、車体フレーム1の前部側に原動部2及び左右の前輪3などを備えている。又、車体フレーム1の後部側に搭乗運転部4を形成するキャビン5及び左右の後輪6などを備えている。車体フレーム1の前後中間部には、作業装置Bの一例であるフロントローダBの装着を可能にする左右の支持ブラケット7を装備している。搭乗運転部4には、ステアリングホイール8及び運転座席9などを配備している。
【0035】
図1〜3に示すように、フロントローダBは、対応する支持ブラケット7に着脱可能に装着する支持部材としての左右の固定ブラケット10、対応する固定ブラケット10に左右向きの第1支軸11を介して上下揺動可能に連結した作業具の一例としての左右のブーム12、対応するブーム12の遊端部に左右向きの第2支軸13を介して上下揺動可能に連結した左右の揺動ブラケット14、左右の揺動ブラケット14に着脱可能に連結した作業具の一例としてのバケット15、ブーム用のアクチュエータとして使用する油圧式で複動型の左右のブームシリンダ16、バケット用のアクチュエータとして使用する油圧式で複動型の左右のバケットシリンダ17、左右いずれか一方のブーム12の上下揺動角度θaを検出する揺動角検出器の一例としてのブーム角検出器18、及び、左右のブーム12に対するバケット15の上下揺動角度θbを検出する揺動角検出器の一例としてのバケット角検出器19、などを備えている。
【0036】
左右のブームシリンダ16は、対応するブーム12をトラクタAに対して第1支軸11を支点にして上下方向に揺動駆動する。左右のバケットシリンダ17は、左右の揺動ブラケット14とともにバケット15を各ブーム12に対して第2支軸13を支点にして上下方向に揺動駆動する。ブーム角検出器18及びバケット角検出器19には回転式のポテンショメータを採用している。
【0037】
図3に示すように、トラクタAは、左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17に対するオイルの流れを制御するバルブユニット20、及び、バルブユニット20を介して左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の作動を制御するフロントローダ用の電子制御ユニット(以下、LD−ECUと称する)21を備えている。
【0038】
図示は省略するが、油圧制御ユニット20は、左右のブームシリンダ16に対するオイルの流れを制御するブーム用の電子制御バルブ、及び、左右のバケットシリンダ17に対するオイルの流れを制御するバケット用の電子制御バルブ、などを備えている。
【0039】
図2及び図3に示すように、LD−ECU21は、CPUやEEPROMなどを備えたマイクロコンピュータにより構成している。そして、左右のブーム12及びバケット15の手動動作を可能にする手動用制御部22、及び、手動用制御部22の制御作動に優先した左右のブーム12又はバケット15の制御目標角度θoでの自動停止を可能にする自動停止用制御部28、などを備えている。
【0040】
手動用制御部22は、搭乗運転部4にフロントローダ操作用の操作具として備えた十字揺動式で中立復帰型の操作レバー30の人為操作に基づいて左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の作動を制御する。具体的には、操作レバー30の操作位置を検出するレバー操作検出器31の出力に基づいて左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の作動を制御する手動操作制御を行う。
【0041】
手動操作制御では、レバー操作検出器31の出力に基づいて操作レバー30の操作位置を判別する。そして、操作レバー30の操作位置が上昇位置である場合は、その上昇位置への操作が継続されている間は左右のブーム12が上昇揺動するように左右のブームシリンダ16を伸長作動させる。操作レバー30の操作位置が下降位置である場合は、その下降位置への操作が継続されている間は左右のブーム12が下降揺動するように左右のブームシリンダ16を収縮作動させる。操作レバー30の操作位置が掬い位置である場合は、その掬い位置への操作が継続されている間はバケット15が上昇揺動(掬い揺動)するように左右のバケットシリンダ17を収縮作動させる。操作レバー30の操作位置がダンプ位置である場合は、そのダンプ位置への操作が継続されている間はバケット15が下降揺動(ダンプ揺動)するように左右のバケットシリンダ17を伸長作動させる。操作レバー30の操作位置が中立位置である場合は、中立位置に位置している間は左右のブーム12及びバケット15が上下揺動を停止するように左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の伸縮作動を停止させる。
【0042】
レバー操作検出器31には、操作レバー30の各操作位置への揺動操作を検出する複数のスイッチ、又は、操作レバー30の前後方向への揺動操作を検出する回転式のポテンショメータと左右方向への揺動操作を検出する回転式のポテンショメータ、などを採用することができる。
【0043】
自動停止用制御部28は、ブーム角検出器18の出力とバケット角検出器19の出力とに基づいてバケット15の対地揺動角度θcを演算する演算部28A、ブーム12又はバケット15を所望の揺動姿勢にて自動停止させるための制御目標角度θoを記憶する記憶部28B、及び、ブーム12又はバケット15を制御目標角度θoにて自動停止させる目標角停止制御を実行する停止制御部28C、を備えている。
【0044】
記憶部28Bは、搭乗運転部4に備えた制御目標角度設定用の設定スイッチ32が押圧操作された場合に、そのときに演算部28Aが出力しているバケット15の対地揺動角度θcを、バケット15を任意の揺動姿勢にて自動停止させるための制御目標角度θco(作業具の制御目標角度θoの一例)として記憶する。つまり、操作レバー30を操作して、左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17を作動させて、バケット15を任意の対地揺動角度θcまで操作した後、設定スイッチ32を押圧操作することにより、このときのバケット15の対地揺動角度θcを任意角度停止用の制御目標角度θcoとして記憶部28Bに記憶することができる。尚、図2においては、対地角維持制御用の制御目標角度θcoを、バケット15の底面が水平になる角度に設定した状態を例示している。
【0045】
又、記憶部28Bは、任意角度停止用の制御目標角度θco以外の作業具の制御目標角度θoとして、左右のブーム12に備えた左右のスタンド40を使用してフロントローダBの左右の固定ブラケット10を走行車体Aの左右の支持ブラケット7から離脱させる際のブーム12及びバケット15の離脱姿勢に基づいて設定した離脱用のブーム目標角度θaoと離脱用のバケット目標角度θboとを備えている。
【0046】
停止制御部28Cは、通常、目標角停止制御用の制御目標角度θoとして任意角度停止用の制御目標角度θcoを設定している。又、搭乗運転部4に備えた離脱用の指令スイッチ34が押圧操作された場合は、目標角停止制御用の制御目標角度θoを任意角度停止用の制御目標角度θcoから離脱用のブーム目標角度θao及び離脱用のバケット目標角度θboに設定変更する。そして、操作レバー30の把持部に指令操作具として備えた目標角停止制御用の指令スイッチ35が人為操作された場合に目標角停止制御を実行するように構成している。
【0047】
目標角停止制御用の指令スイッチ35は、モーメンタリ式で、人為操作による押圧が継続されている間は目標角停止制御の実行を指令し、人為操作による押圧が解除されるのに伴って目標角停止制御の実行を指令しないように構成している。
【0048】
図2〜4に示すように、停止制御部28Cは、目標角停止制御用の制御目標角度θoとして任意角度停止用の制御目標角度θcoを設定している場合において、目標角停止制御用の指令スイッチ35により目標角停止制御の実行が継続して指令されている間は、目標角停止制御として、バケット15を任意の揺動姿勢にて自動停止させる任意角度停止用の目標角停止制御を実行する。
【0049】
又、目標角停止制御用の制御目標角度θoとして離脱用のブーム目標角度θao及び離脱用のバケット目標角度θboを設定している場合において、目標角停止制御用の指令スイッチ35により目標角停止制御の実行が継続して指令されている間は、目標角停止制御として、ブーム12及びバケット15をフロントローダ離脱用の揺動姿勢にて自動停止させる離脱用の目標角停止制御を実行する。
【0050】
任意角度停止用の目標角停止制御では、この制御作動の実行中に操作レバー30の人為操作が行われると、レバー操作検出器31の出力に基づいて、その操作位置が、バケット15を任意角度停止用の制御目標角度θcoに向かわせるのに適した操作か否かを判断する。
適した操作でない場合は、搭乗運転部に備えたブザーなどの警報装置(図示せず)を作動させるとともに、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17を停止状態に維持する。
適した操作である場合は、演算部28Aの演算結果を取り込んで、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動などにより左右のバケットシリンダ17が作動している間、バケット15の対地揺動角度θcを監視する。
【0051】
そして、演算部28Aの演算結果に基づいて、バケット15の対地揺動角度θcが任意角度停止用の制御目標角度θcoよりも設定角度(例えば10度)手前の減速角度θcxに達したことを検知した場合は、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して、バケット15が減速角度θcxから設定角度(例えば5度)の減速領域H内に位置する間、左右のバケットシリンダ17に対するオイルの分流比が徐々に低下するようにバケット用の電子制御バルブに対するデューティー比を変更して、左右のバケットシリンダ17の作動速度を目標速度まで徐々に低下させ、減速領域Hの通過後は目標速度に維持する。
【0052】
その後、演算部28Aの演算結果に基づいて、バケット15の対地揺動角度θcが任意角度停止用の制御目標角度θcoに達したことを検知した場合は、左右のバケットシリンダ17を自動停止させて、バケット15の対地揺動角度θcを任意角度停止用の制御目標角度θcoに維持する。
【0053】
一方、バケット15の対地揺動角度θcが任意角度停止用の制御目標角度θcoに達したことを検知するまでの間において、操作レバー30の人為操作と目標角停止制御用の指令スイッチ35の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、任意角度停止用の目標角停止制御を終了して左右のバケットシリンダ17を直ちに自動停止させることにより、バケット15を現在の揺動姿勢にて迅速に自動停止させる。
【0054】
つまり、目標角停止制御用の指令スイッチ35を押圧しながら操作レバー30の人為操作を適正に行うことにより、設定スイッチ32により設定した水平などの任意の揺動姿勢に向けてバケット15を揺動駆動させて、その任意の揺動姿勢にてバケット15を自動停止させることができる。
【0055】
これにより、バケット15を大きく掬い揺動又はダンプ揺動させた場合であっても、バケット15を設定スイッチ32により設定した水平などの任意の揺動姿勢に簡単かつ迅速に復帰させることができる。又、左右のバケットシリンダ17の自動停止前に左右のバケットシリンダ17の作動速度を徐々に低下させることから、左右のバケットシリンダ17を自動停止させるときに発生するショックを軽減することができるとともに、任意の揺動姿勢でのバケット15の自動停止を精度良く行うことができる。
【0056】
又、例えば、ブーム角検出器18又はバケット角検出器19の故障などに起因して、バケット15が任意の揺動姿勢にて自動停止しないことに運転者が気付いた場合には、少なくとも、操作レバー30の人為操作と目標角停止制御用の指令スイッチ35の人為操作とのいずれか一方を解除することにより、バケット15を現在の揺動姿勢にて簡単かつ迅速に緊急停止させることができる。
【0057】
離脱用の目標角停止制御では、この制御作動の実行中に操作レバー30の人為操作が行われると、バケット角検出器19の出力とレバー操作検出器31の出力とに基づいて、その操作レバー30の操作が適切な操作か否かを判断する。
【0058】
そして、バケット15の上下揺動角度θbが離脱用のバケット目標角度θboに達していない状態において、バケット15を離脱用のバケット目標角度θboに向かわせるのに適した操作が行われていないと判断した場合は、前述した警報装置を作動させるとともに、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17を停止状態に維持する。
【0059】
逆に、バケット15を離脱用のバケット目標角度θboに向かわせるのに適した操作が行われていると判断した場合は、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動などにより左右のバケットシリンダ17が作動している間、バケット角検出器19の出力に基づいてバケット15の上下揺動角度θbを監視する。
【0060】
そして、バケット角検出器19の出力に基づいて、バケット15の上下揺動角度θbが離脱用のバケット目標角度θboよりも設定角度(例えば10度)手前の減速角度θbxに達したことを検知した場合は、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して、バケット15が減速角度θbxから設定角度(例えば5度)の減速領域H内に位置する間、左右のバケットシリンダ17に対するオイルの分流比が徐々に低下するようにバケット用の電子制御バルブに対するデューティー比を変更して、左右のバケットシリンダ17の作動速度を目標速度まで徐々に低下させ、減速領域Hの通過後は目標速度に維持する。
【0061】
その後、バケット角検出器19の出力に基づいて、バケット15の上下揺動角度θbが離脱用のバケット目標角度θboに達したことを検知した場合は、左右のバケットシリンダ17を自動停止させて、バケット15の上下揺動角度θbを離脱用のバケット目標角度θboに維持する。
【0062】
一方、バケット15の上下揺動角度θbが離脱用のバケット目標角度θboに達している状態においては、左右のブーム12を離脱用のブーム目標角度θaoに向かわせるのに適した操作が行われていないと判断した場合に、前述した警報装置を作動させるとともに、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17を停止状態に維持する。
【0063】
逆に、左右のブーム12を離脱用のブーム目標角度θaoに向かわせるのに適した操作が行われていると判断した場合は、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動などにより左右のブームシリンダ16が作動している間、ブーム角検出器18の出力に基づいて左右のブーム12の上下揺動角度θaを監視する。
【0064】
そして、ブーム角検出器18の出力に基づいて、左右のブーム12の上下揺動角度θaが離脱用のブーム目標角度θaoよりも設定角度(例えば10度)手前の減速角度θaxに達したことを検知した場合は、操作レバー30の人為操作に基づく手動用制御部22の制御作動に優先して、左右のブーム12が減速角度θaxから設定角度(例えば5度)の減速領域H内に位置する間、左右のブームシリンダ16に対するオイルの分流比が徐々に低下するようにブーム用の電子制御バルブに対するデューティー比を変更して、左右のブームシリンダ16の作動速度を目標速度まで徐々に低下させ、減速領域Hの通過後は目標速度に維持する。
【0065】
その後、ブーム角検出器18の出力に基づいて、左右のブーム12の上下揺動角度θaが離脱用のブーム目標角度θaoに達したことを検知した場合は、左右のブームシリンダ16を自動停止させて、左右のブーム12の上下揺動角度θaを離脱用のブーム目標角度θaoに維持する。
【0066】
一方、バケット15の上下揺動角度θbが離脱用のバケット目標角度θboに達したことを検知するまでの間において、操作レバー30の人為操作と目標角停止制御用の指令スイッチ35の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、離脱用の目標角停止制御を終了して左右のバケットシリンダ17を直ちに自動停止させることにより、バケット15を現在の揺動姿勢にて迅速に自動停止させる。
【0067】
又、左右のブーム12の上下揺動角度θaが離脱用のブーム目標角度θaoに達したことを検知するまでの間において、操作レバー30の人為操作と目標角停止制御用の指令スイッチ35の人為操作とのいずれか一方又は双方が解除された場合は、離脱用の目標角停止制御を終了して左右のブームシリンダ16を直ちに自動停止させることにより、左右のブーム12を現在の揺動姿勢にて迅速に自動停止させる。
【0068】
つまり、目標角停止制御用の指令スイッチ35を押圧しながら操作レバー30の人為操作を適正に行うことにより、所定の離脱姿勢に向けて左右のブーム12及びバケット15を揺動駆動させて、その所定の離脱姿勢にて左右のブーム12及びバケット15を自動停止させることができる。
【0069】
これにより、左右のスタンド40を使用してフロントローダBの左右の固定ブラケット10を走行車体Aの左右の支持ブラケット7から離脱させる場合には、左右のブーム12及びバケット15の姿勢を所定の離脱姿勢に簡単かつ迅速に切り替えることができ、バケット15及び左右のスタンド40を適正に接地させることができる。
【0070】
その結果、バケット15の姿勢が所定の離脱姿勢に切り替わっていない状態で左右のブーム12を下降揺動させた場合に生じる虞のある、バケット15に先行して左右のスタンド40が接地することに起因した左右のスタンド40の損傷を回避することができる。
【0071】
又、左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の自動停止前に左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17の作動速度を徐々に低下させることから、左右のブームシリンダ16及び左右のバケットシリンダ17を自動停止させるときに発生するショックを軽減することができるとともに、所定の離脱姿勢での左右のブーム12及びバケット15の自動停止を精度良く行うことができる。
【0072】
そして、例えば、ブーム角検出器18又はバケット角検出器19の故障などに起因して、左右のブーム12又はバケット15が所定の離脱姿勢にて自動停止しないことに運転者が気付いた場合には、少なくとも、操作レバー30の人為操作と目標角停止制御用の指令スイッチ35の人為操作とのいずれか一方を解除することにより、左右のブーム12又はバケット15を現在の揺動姿勢にて簡単かつ迅速に緊急停止させることができる。
【0073】
〔別実施形態〕
【0074】
〔1〕走行車体Aは、ローダ作業用の専用車、フロントローダ及びモーアを装備するローダ草刈兼用車、及び、フロントローダ及びバックホーを装備するローダ掘削兼用車、などであってもよい。
【0075】
〔2〕ブーム用アクチュエータ16及びバケット用アクチュエータ17として油圧モータなどを採用してもよい。
【0076】
〔3〕操作具30として、ブーム専用の操作具とバケット専用の操作具とを備えるようにしてもよい。又、操作具30として、ブーム12の上昇揺動を指令するスイッチ、ブーム12の下降揺動を指令するスイッチ、バケット15の掬い揺動を指令するスイッチ、及び、バケット15のダンプ揺動を指令するスイッチを備えるようにしてもよい。
【0077】
〔4〕指令操作具35を、操作具30から独立した状態で搭乗運転部4に配備するようにしてもよい。
【0078】
〔5〕ブーム角検出器18として、ブームシリンダ16の伸縮長さをブーム12の上下揺動角度θaとして検出する摺動式のポテンショメータを採用してもよい。又、バケット角検出器19として、バケットシリンダ17の伸縮長さをバケット15の上下揺動角度θbとして検出する摺動式のポテンショメータを採用してもよい。
【0079】
〔6〕減速角度θax,θbx,θcxは種々の変更が可能であり、例えば、各制御目標角度θoよりも5度手前の角度や15度手前の角度などであってもよい。
【0080】
〔7〕自動停止用制御部28は、目標角停止制御の実行中に、揺動角検出器16,17の出力に基づいて作業具12,15の揺動角度θa,θb,θcが制御目標角度θoに達したことを検知するまでの間において、操作具30の人為操作が解除された場合にのみ目標角停止制御を終了してアクチュエータ16,17を直ちに自動停止させるように構成してもよい。
【0081】
〔8〕自動停止用制御部28は、目標角停止制御の実行中に、揺動角検出器16,17の出力に基づいて作業具12,15の揺動角度θa,θb,θcが制御目標角度θoに達したことを検知するまでの間において、指令操作具35の人為操作が解除された場合にのみ目標角停止制御を終了してアクチュエータ16,17を直ちに自動停止させるように構成してもよい。
【0082】
〔9〕自動停止用制御部28は、目標角停止制御の実行中に、揺動角検出器16,17の出力に基づいて作業具12,15の揺動角度θa,θb,θcが制御目標角度θoに達したことを検知するまでの間において、操作具30の人為操作と指令操作具35の人為操作との双方が解除された場合にのみ目標角停止制御を終了してアクチュエータ16,17を直ちに自動停止させるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、ローダ作業車、耕耘作業車、バックホー、及び、乗用田植機、などの作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 支持部材
11 第1支軸
12 ブーム(作業具)
13 第2支軸
15 バケット(作業具)
16 ブーム用アクチュエータ(アクチュエータ)
17 バケット用アクチュエータ(アクチュエータ)
18 ブーム角検出器(揺動角検出器)
19 バケット角検出器(揺動角検出器)
22 手動用制御部
28 自動停止用制御部
30 操作具
35 指令操作具
A 走行車体
θa ブームの上下揺動角度
θao 離脱用のブーム目標角度
θax 減速角度
θb バケットの上下揺動角度
θbo 離脱用のバケット目標角度
θbx 減速角度
θc バケットの対地揺動角度
θco 制御目標角度
θcx 減速角度
θo 制御目標角度
図1
図2
図3
図4
図5