(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-194032(P2015-194032A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】発電機能を具えた免震装置
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20151009BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
E04H9/02 331Z
F16F15/023 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-72843(P2014-72843)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB08
2E139AC08
2E139CA26
2E139CB01
2E139CC02
3J048AA01
3J048AC04
3J048AD05
3J048BE02
3J048BE03
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】 地震の震動を吸収するための免震装置として、また、発電用装置として、更に必要な場合は非常用生活用水供給装置としての利用を図ることが出来るようにした新規の装置の提供を図る。
【解決手段】 免震を要する構築物Aの下面に該当する地面に、貯水槽形成用空間Bを掘削すると共に、当該空間B内には、フレキシブルな材料で形成した流動媒体収容用袋体2を収装すると共に、当該袋体2で前記構築物Aを受け止め、当該袋体2の流動媒体流出側に発電機5を連結するように構成した発電機能を具えた免震装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震を要する構築物(A)の下面に該当する地面に、貯水槽形成用空間(B)を掘削すると共に、当該空間(B)内には、フレキシブルな材料で形成した流動媒体収容用袋体(2)を収装すると共に、当該袋体(2)で前記構築物(A)を受け止め、当該袋体(2)の流動媒体流出側に発電機(5)を連結するように構成した発電機能を具えた免震装置。
【請求項2】
流動媒体を水とした請求項1に記載の発電機能を具えた免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として防災用施設を実施対象とする免震装置に関し、地震の震動を吸収する流通媒体を具え、当該流通媒体を発電用流体として利用することにより、非常用電気発電の実行を可能化し、更には、流通媒体を水とすることにより、非常用飲料水供給機能を付加することが出来るようにした「発電機能を具えた免震装置」と言う新しい技術分野の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、免震用媒体として水を用い、これの浮力を直接利用した免震装置、或いはこれを利用したダンパーを用いた免震装置が存在する。 そして、災害時に備えて所要のタンクに水を貯えておく技術が存在する。 更には、発電用流体として水を用いた発電技術も存在する。
【0003】
然し乍、上記した技術は各自無関係にして夫々独立した技術として存在するものである。 すなわち、これら三者の技術を総合的に捉え、一つの独立した防災用装置とての実施を図るような技術は不存在である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、免震用装置として、発電用装置として、更には生活用水としての非常用貯水用装置として、夫々独立した装置として構築提供した場合、設置費用、設置場所、更には管理運営に要する保守運営費用が著しいものとされる。 従って、実際においてこのような三者の施設を各独立して設置するケースはなく、また、これらを纏めて一つの技術とするような発想は、従来、皆無であったと断じ得るものである。
【0005】
本発明は上記のような実情に反し、地震の震動を吸収免震装置として、発電装置として、更には、非常用生活用水供給装置として、共通の流通媒体を用いることにより、従来全く想起されなかった新規の装置の提供を図ったことを特徴とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は請求項1に記載のように、免震を要する構築物Aの下面に該当する地面に、貯水槽形成用空間Bを掘削すると共に、当該空間B内には、フレキシブルな材料で形成した流動媒体収容用袋体2を収装すると共に、当該袋体2で前記構築物Aを受け止め、当該袋体2の流動媒体流出側に発電機5を連結するように構成した発電機能を具えた免震装置に係る。
【0007】
本発明は請求項2に記載のように、流動媒体を水とした請求項1に記載の発電機能を具えた免震装置を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は請求項1に記載のような構成の採用に基づき、すなわち、免震を要する構築物Aの下面に該当する地面に、貯水槽形成用空間Bを掘削すると共に、当該空間B内には、フレキシブルな材料で形成した流動媒体収容用袋体2を収装したから、当該袋体2のクッション的作用に基づき、構築物Aに対する地震の横揺れ及び縦揺れよる震動の吸収が図られ、従って、構築物Aに対する良好なる免震作用を奏する事となる。
【0009】
更に、流動媒体収容用袋体2構築物Aを受け止め、当該袋体2の流動媒体流出側に発電機5を連結するように構成したから、構築物Aの重量で圧力の加算が成された流動媒体による強力なる吹付力に基づき、発電機5の効果的な発電目的が実行されることとなる。
従って、通常時は勿論、非常時における緊急発電を行うことが出来る。 この場合、流動媒体としては水または空気が挙げられる。 なお、当該発電及び前記免震作動に基づき流通媒体が減少した場合は、適宜供給して元状に戻しておく。これは、空気の場合は単なるポンプ供給で事足りる。
【0010】
本発明は請求項2に記載のように、流動媒体を水とすることにより、上記発電に供した水を非常用水として供給することにより、災害時のも水供給装置として機能させることが出来る。 従って、本発明のより一層の多様性が図られ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の要部である免震用貯水槽の一つの実施例を表した説明用断面図である。
【
図3】本発明の要部である免震用貯水槽の他の実施例を表した説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が対象とする免震を要する構築物Aとしては、
図1に示すような地震対策施設用建物、例えば避難用建物、非常物資貯蔵用建物のような建造物は勿論、これ以外には、防災用公園、防災用広場のような広場的特定地域も対象とするものである。
【0013】
図1に於いて、Aは上述した免震を要する構築物であって、その下面に該当する地面には、所要の深さを具えた空間Bが掘削してある。 1は構築物Aの下面に形成した土台用基盤であって、構築物A全体を支えるためのものである。
【0014】
2は上記した空間B内に収装した流動媒体収容用袋体であって、フレキシブルな材料、例えばゴム材、合成樹脂シート材、これらの貼り合わせた積層材で形成したものである。 そして、流動媒体の充填に伴い所定形状に膨出すると共に、その充媒体の流動性に基づき、地震が発生した際に、その震動を吸収して上面で支えている構築Aに対する免震作用、すなわち、横揺れ(通常地震)と縦揺れ(直下型地震)に対する免震作用が奏されるように構成してある。 換言すると、構築物Aの重量は当該袋体2に加わるように構成してある。
【0015】
上記した袋体2に対する流動媒体の流入及び流出は流入パイプ3、流出パイプ4を介して行われるように構成してある。 すなわち、当該流入及び流出はそれぞれ独立した経路から行われるように構成することが重要であり、一つのパイプで流入及び流出を兼ねたものとすることは、本発明にあっては不適切とする
【0016】
5は流体の流動に基づきタービンを回転させて発電が成されるようにした公知の発電機であって、上記した流出パイプ4に連結されており、当該パイプ4を介して圧送されてくる流動媒体に基づきその発電が成されるように構成してある。 なお、流動媒体に対する発電機5に対する噴出圧力は、その上面で受け止められている構築物Aの重量的圧力が付与されているため、極めて高圧力を具えたものとされる。
【0017】
6は発電操作後の流体の一時貯蔵を行うための流体貯蔵タンク、7は同タンク6に連結し流体を取り出すための排出パイプであって、地表上に流体を導くようにしたものである。
【0018】
なお、
図1においては省略してあるが、流入パイプ3及び流出パイプ4、並びに排出パイプ7には、流体に対する適宜開閉用バルブを設けるものとする。 更に、同図に於いて発電機5を地中に埋設する様に描いてあるが、これは、貯蔵タンク6内の流体等の圧力が加わることを分かり易く示したためである。 実際には当該圧力の主体は構築物Aの圧力(重さ)であり、従って、発電機5は地上に設けても、実際上何ら齟齬を生じることはない。
【0019】
図2及び
図3は上記した流動媒体収容用袋体2の実施例を表したものである。 すなわち、当該袋体2は、
図1に示すような形態以外、
図2または
図3に示すように蛇行状、或いは渦巻き状に内部に連続通路状の区画Mを、平面的(一段状)或いは立体的(多段状)に形成することにより、全体的強度を高めるように構成することが好ましい。
【0020】
ところで、本発明に使用する流動媒体は、空気または水を用いるものとする。 すなわち、空気の場合は大気中から自然に導くことが出来、免震及び発電のための流動媒体としては極めて安価なものとされる。 然し乍、流動媒体収容用袋体2のより一層の有効活用を図る場合は、流動媒体として水を用いることにより、非常時の貯水槽としての利用が図られ、本発明の使用目的の拡大化が図られる。
【0021】
本発明は、構築物Aとして、個人用建物を含めて全ての構築物を対象として実施するものである。
本発明は、構築物Aとして、例えば避難用建物、非常物資貯蔵用建物のような建物として実施するす場合がある。
本発明は、構築物として、防災用公園、防災用広場のような広場的特定地域を構築物として実施する場合がある。
本発明は、流動媒体として空気を用いて実施する場合がある。
本発明は、流動媒体として水を用いて実施する場合がある。
本発明は、流動媒体収容用袋体2の内部を、連続通路状に区画して実施する場合がある。
【符号の説明】
【0022】
A 免震を要する構築物
B 空間
1 土台用基盤
2 流動媒体収容用袋体
3 流入パイプ
4 流出パイプ
5 発電機
6 流体貯蔵タンク
7 排出パイプ
M 連続通路状の区画