特開2015-194043(P2015-194043A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-194043機械式駐車場設備の携帯型認証装置及び機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-194043(P2015-194043A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】機械式駐車場設備の携帯型認証装置及び機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20151009BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20151009BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20151009BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20151009BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20151009BHJP
【FI】
   E04H6/18 601A
   H04Q9/00 331A
   H04Q9/00 301B
   E05B49/00 J
   E04H6/42 F
   B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-73047(P2014-73047)
(22)【出願日】2014年3月31日
【新規性喪失の例外の表示】申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】野田 整一
(72)【発明者】
【氏名】原 和也
【テーマコード(参考)】
2E250
5K048
【Fターム(参考)】
2E250AA11
2E250BB08
2E250CC26
2E250DD06
2E250FF36
5K048AA04
5K048AA15
5K048BA52
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048FB15
5K048FC01
5K048HA01
5K048HA04
5K048HA11
5K048HA24
(57)【要約】
【課題】機械式駐車場設備の利用における安全性と共に操作性が高められる、ことを目的とする。
【解決手段】リモコン送信機50は、本体の中央近辺に配置され、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦である認証釦52、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦である起動釦53及び扉開釦54と、第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う送信ランプ55と、が備えられる。そして、リモコン制御部によって、第1釦及び第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように送信ランプ55が制御される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵された電池から電力を供給され、リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する機械式駐車場設備の携帯型認証装置であって、
本体の中央近辺に配置され、前記リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦と、
前記リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦と、
前記第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、前記第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う表示手段と、
前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、
を備える機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項2】
前記表示手段は、本体の端部に配置され、
前記制御手段は、前記第1釦が操作された場合に、前記表示手段に第1表示パターンを前記表示時間で表示させるように制御する請求項1記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1釦が操作された後であって前記表示時間内に前記第2釦が操作された場合、前記表示手段に前記第1表示パターンとは異なる第2表示パターンを表示させる請求項2記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じて、前記表示手段の表示パターン及び表示時間を制御すると共に送信する前記リモコン信号の種類を制御する請求項1から請求項3の何れか1項記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1釦が操作された場合、前記リモコン信号として利用者を特定する認証信号を送信する制御を行い、前記第1釦が操作されて前記表示時間内に前記第2釦が操作された場合にのみ、前記第2釦に応じた前記リモコン信号と共に前記認証信号を送信する制御を行う請求項4記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1釦が操作され、かつ前記電池の残量が所定値以下の場合に、前記表示手段に第3表示パターンを表示させるように制御する請求項1から請求項4の何れか1項記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項7】
前記機械式駐車場設備で用いる機械式の鍵が本体の端部に付属している請求項1から請求項6の何れか1項記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項8】
前記第1釦、前記第2釦、及び前記表示手段は、直線状に配置される請求項1から請求項7の何れか1項記載の機械式駐車場設備の携帯型認証装置。
【請求項9】
本体の中央近辺に配置され、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦と、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦と、前記第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、前記第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う表示手段と、を備え、内蔵された電池から電力を供給され、前記リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法であって、
前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように前記表示手段を制御する機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場設備の携帯型認証装置及び機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車場設備には、利用者が所持する携帯型認証装置(リモートコントローラ、以下「リモコン」という。)によって遠隔操作が可能とされているものがある。リモコンを用いた操作とは、例えば、入庫予約、出庫予約、及び入出庫扉の開等である。
【0003】
特許文献1には、「スタート」入力部、「扉閉」入力部、及び「非常停止」入力部という3つの釦を有するリモコンが開示されている。
特許文献2には、非常釦、安全確認釦、スタート釦、ドア閉釦、及び3個の予備釦が設けられたリモコンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−328577号公報
【特許文献2】特開2009−91799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているリモコンでは、入力部である釦が3つであるため、利用者にとって釦の選択が簡便であるが、釦の形状がすべて同じで名板もないため、利用者は釦の種類を認識しにくい。また、このリモコンでは、釦に対する一回の操作によって機械式駐車設備の運転操作を行うので機械式駐車場設備に対する誤操作が生じる可能性がある。
一方、特許文献2に開示されているリモコンでは、釦に名板はあるものの釦の形状が同じであり、釦の区別を触覚によって認識しにくい。また、このリモコンでは、安全確認釦を操作してからドア閉釦等を操作する必要があるが、利用頻度の高い釦と予備釦の形状及び大きさが同一であり、これらの釦の区別を認識し難い。この結果、機械式駐車場設備に対する誤操作が生じる可能性がある。
そして、車内では釦を視認するための適度な照度が得難く、特許文献1,2に開示されているリモコンでは、特に夜間等は車内の照明を点灯しないと、利用者は釦を確認し難い。このように、特許文献1,2に開示されているリモコンでは、十分な照明がないと操作性がよくない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、機械式駐車場設備の利用における安全性を高める共に操作性の高い、機械式駐車場設備の携帯型認証装置及び機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車場設備の携帯型認証装置及び機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0008】
本発明の第一態様に係る機械式駐車場設備の携帯型認証装置は、内蔵された電池から電力を供給され、リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する機械式駐車場設備の携帯型認証装置であって、本体の中央近辺に配置され、前記リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦と、前記リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦と、前記第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、前記第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う表示手段と、前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、を備える。
【0009】
本構成に係る機械式駐車場設備の携帯型認証装置は、内蔵された電池から電力を供給され、リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する。
【0010】
リモコン信号を送信するために、本体の中央近辺に配置された第1釦と一つ以上の第2釦が利用者によって操作される。また、第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に表示手段が配置され、表示手段は、第1釦又は第2釦が操作された場合に所定の表示を行う。第1釦は、例えば、利用者を特定するリモコン信号(認証信号)を送信する場合に操作される。第2釦は、例えば、機械式駐車場設備を動作させるリモコン信号を送信する場合に操作される。また、表示手段は、例えばLEDであり、表示とはLEDの点灯である。
そして、第1釦及び第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように、制御手段によって表示手段が制御される。
【0011】
本構成によれば、第1釦の位置が明確であるため、釦の操作間違いが抑制される。さらに、第1釦及び第2釦に対する操作の順番に応じた表示を表示手段が行うため、利用者は表示手段の表示を確認しながら釦の操作が可能となるので、これによっても誤操作が抑制されて機械式駐車場設備の利用における安全性と共に操作性が高められる。
【0012】
上記第一態様では、前記表示手段が、本体の端部に配置され、前記制御手段が、前記第1釦が操作された場合に、前記表示手段に第1表示パターンを前記表示時間で表示させるように制御することが好ましい。
【0013】
本構成によれば、利用者が第1釦を操作することで本体の端部に配置された表示手段が第1表示パターンを表示するので、利用者は暗い車内でも携帯型認証装置の向きを把握できる。
【0014】
上記第一態様では、前記制御手段が、前記第1釦が操作された後であって前記表示時間内に前記第2釦が操作された場合、前記表示手段に前記第1表示パターンとは異なる第2表示パターンを表示させることが好ましい。
【0015】
本構成によれば、第1釦を操作した後に第2釦を操作したことを、利用者が確認できる。
【0016】
上記第一態様では、前記制御手段が、前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じて、前記表示手段の表示パターン及び表示時間を制御すると共に送信する前記リモコン信号の種類を制御することが好ましい。
【0017】
本構成によれば、例えば、第1釦が操作される前に第2釦を操作しても第2釦に応じたリモコン信号を送信しないという様な処理が可能であるので、より誤操作が抑制されて機械式駐車場設備の利用における安全性と共に操作性が高められる。
【0018】
上記第一態様では、前記制御手段が、前記第1釦が操作された場合、前記リモコン信号として利用者を特定する認証信号を送信する制御を行い、前記第1釦が操作されて前記表示時間内に前記第2釦が操作された場合にのみ、前記第2釦に応じた前記リモコン信号と共に前記認証信号を送信する制御を行うことが好ましい。
【0019】
本構成によれば、釦が操作される毎に認証信号が機械式駐車場設備に送信されて認証処理が行われるので、他の利用者が携帯型認証装置を同時に使用したとしても、機械式駐車場設備の誤動作が防止され、機械式駐車場設備の利用における安全性がより高められる。
【0020】
上記第一態様では、前記制御手段が、前記第1釦が操作され、かつ前記電池の残量が所定値以下の場合に、前記表示手段に第3表示パターンを表示させるように制御することが好ましい。
【0021】
本構成によれば、利用者は電池残量が少ないことを早目に認識することができる。
【0022】
上記第一態様では、前記機械式駐車場設備で用いる機械式の鍵が本体の端部に付属していることが好ましい。
【0023】
本構成によれば、鍵を触覚により認識することで、利用者は暗い車内でも携帯型認証装置の向きを把握できる。
【0024】
上記第一態様では、前記第1釦、前記第2釦、及び前記表示手段が、直線状に配置されることが好ましい。
【0025】
本構成によれば、表示手段が点灯することで、利用者は暗い車内でも釦の配置を簡易に把握できる。
【0026】
本発明の第二態様に係る機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法は、本体の中央近辺に配置され、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦と、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦と、前記第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、前記第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う表示手段と、を備え、内蔵された電池から電力を供給され、前記リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する機械式駐車場設備の携帯型認証装置の制御方法であって、前記第1釦及び前記第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように前記表示手段を制御する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、機械式駐車場設備の利用における安全性を高める共に操作性が高い、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る立体駐車装置の縦断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る乗入階、入出庫口、操作盤、主制御部等を示す斜視透視図である。
図3】本発明の実施形態に係る操作盤及び蓋の正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る蓋を開いた操作盤の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る入出庫口、操作盤、主制御部、リモコン信号受信部(アンテナ)等を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るリモコン送信機の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るリモコン送信機から機械式キーが取り出された状態を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る立体駐車装置の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施形態に係る釦操作処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る立駐処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係るリモコン送信機の状態遷移図である。
図12】本発明の実施形態に係る立体駐車装置の状態遷移図である。
図13】本発明の実施形態に係るリモコン送信機の他の例を示す斜視図である。
図14】本発明の実施形態に係るリモコン送信機の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、機械式駐車場設備の一例を示すエレベータ式の立体駐車装置1の縦断面図である。なお、本発明に係る機械式駐車場設備は、以下に述べるエレベータ式の立体駐車装置1に限らず、複数の駐車スペースに搬送機で駐車車両を入出庫させる機械式駐車場設備であれば、他の様々な形式のものにも幅広く適用することができる。
【0030】
図1に示すように、立体駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されており、その外側上部に雨よけの庇5が設けられている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
【0031】
駐車塔3の地上階は図2にも示す乗入階7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗入階7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
【0032】
駐車塔3の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状の搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔3の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる4組のワイヤロープ15に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0033】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両2を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0034】
リフト14と車両格納棚17の床面には、両者14,17の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0035】
車両2の入庫時は、まず空のパレット18が収容されている車両格納棚17から、リフト14によって空のパレット18が乗入階7に降ろされ、このパレット18に車両2が乗り上げて、そのままパレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、リフト14で昇降通路13を上昇し、車両格納棚17に収容される。
【0036】
また、出庫時は、出庫する車両2が収容されている車両格納棚17の高さまでリフト14が上昇し、パレット18ごと出庫車両がリフト14に引き取られ、そのままパレット18はリフト14によって乗入階7に降ろされ、出庫車両が入出庫口4から出庫する。
【0037】
図2は、乗入階7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、図1図2、及び図5に示すように、入出庫口4に向かって右側、且つ庇5の下に操作盤22(入出庫予約盤)が設けられている。
【0038】
操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部であり、庇5の下に設置されることによって風雨から保護されている。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
【0039】
乗入階7の内部には、中央部にパレット18が設置されるスペースがあり、入出庫口4の正面の壁には車両2の位置をドライバーが確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の指示を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。また、乗入階7の両側面の壁には、車両2の大きさや前後位置を検知するための人感・車両センサ26,27や、非常停止釦28等が設けられている。停車位置指示灯25は、人感・車両センサ26,27により検知される車両位置のデータに基づいて、車両2のドライバーに車両位置の指示を行う。
【0040】
さらに、図1図2及び図5に示すように、乗入階7の内部等に、この立体駐車装置1の全体の制御を行う主制御部(CPU)30が設置されている。主制御部30は、後述する制御装置60の主要部であり、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。主制御部30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。
【0041】
図3に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えており、筐体33の内部には、図4に示すように、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35(表示部35aと入力部35bとを備える)と、認証用のトランスポンダリーダー36(無電源認証信号受信部:利用者にはICタッチパネルと説明されている)と、非常停止釦37等とが配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、部外者の悪戯や風雨等から保護することができる。
【0042】
また、蓋34には、引き開けるための取手を兼ねると共に、蓋34を施錠するための施錠部38が設けられている。施錠部38は、蓋34が閉められると同時に施錠されるオートロック形式であるが、主制御部30からの解錠信号を受けると、図示しないソレノイド等の駆動機構によって解錠されるように構成されている。さらに、施錠部38は、蓋34の開閉状態を主制御部30に出力することができる。
【0043】
施錠部38は、そのキーシリンダ38aに、後述するリモコン送信機50に内蔵された専用の機械式キー56を差し込んで捻ることにより、手動で解錠及び施錠することができるが、リモコン送信機50を用いれば、主制御部30から解錠司令を出力させて自動解錠させることができる。さらに、蓋34には、施錠部38の解錠時に緑色に点灯し、施錠時に赤色に点灯する施錠灯39と、非常停止釦40と、ディスプレイ画面41と、リモコン操作専用の3色(緑、黄、赤)を有する三色灯42と、リモコン信号検知部43(赤外線リモコン信号の受信部)と、確認釦44と、扉開釦45等が設置されている。また、例えば筐体33の下面にLF送信アンテナ46が設けられている。
【0044】
また、図2及び図5に示すように、操作盤22にはRF受信アンテナ48(リモコン信号受信部)が設けられている。このRF受信アンテナ48は、例えば庇5の下部に設置されており、利用者が所持しているリモコン送信機50から発信される各種のリモコン信号SA,SB,SCを受信し、操作盤22に設けられた後述の操作盤制御部65に伝送するアンテナである。一方、LF送信アンテナ46はリモコン送信機50に対してLF信号SDを送信する。
【0045】
一方、図5に示すように、この立体駐車装置1を利用する利用者には、当該利用者自身の固有の認証情報(以下「認証ID」という。)を記憶されたリモコン送信機50が貸与され、利用者が機械式駐車場1を利用する時に携帯することが求められる。このリモコン送信機50は、例えばタグやキーホルダー状に形成され、車両2のキーと一緒に持ち歩いたり、鞄やバック等に入れたりして持ち運ぶものである。リモコン送信機50は、電池70(釦型電池等)を内蔵されており(図8参照)、この電池70から電力を供給されて、後述するように利用者認証や操作盤22の遠隔操作等を行う各種のリモコン信号SA,SB,SCを送信することができる。
【0046】
図6及び図7は、内蔵された電池70から電力を供給され、リモコン信号を機械式駐車場設備へ送信する機械式駐車場設備の携帯型認証装置であるリモコン送信機50の斜視図である。
図6及び図7に示すように、リモコン送信機50には、その本体ケース51の片面に、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される認証釦52、起動釦53(呼出釦)、及び扉開釦54が設けられる。なお、釦の操作とは、本実施形態では釦を押圧(押下げ)することをいう。また、認証釦52は、第1釦ともいい、起動釦53及び扉開釦54は第2釦ともいう。
【0047】
第1釦である認証釦52は、利用者を特定するリモコン信号(認証ID)を送信する場合に操作される。
第2釦である起動釦53及び扉開釦54は、立体駐車装置1を動作させるリモコン信号(機械操作信号)を送信する場合に操作される。具体的には、起動釦53は、パレット18を呼び出す場合に操作され、扉開釦54は、入出庫扉4aを開ける場合に操作される。
認証釦52は、本体ケース51の中央近辺に配置され、認証釦52を挟んで起動釦53と扉開釦54とが配置される。認証釦52が本体ケース51の中央近辺に配置されることで、認証釦52位置が明確であるため、釦の操作間違いが抑制される。
【0048】
また、上記片面には、送信ランプ55が設けられる。送信ランプ55は、認証釦52が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、認証釦52、起動釦53、又は扉開釦54が操作された場合に所定の表示を行う表示手段である。送信ランプ55は、例えばLEDであり、上記表示とはLEDの点灯である。
本実施形態に係る送信ランプ55は、一例として、本体ケース51における各種釦が配置されている面と同一面の端部に配置される。そして、認証釦52、起動釦53、扉開釦54、及び送信ランプ55は、直線状に配置される。これにより、送信ランプ55と各種釦との位置関係が明確であるため、送信ランプ55が点灯することで、利用者は暗い車内でも釦の配置を簡易に把握できる。
【0049】
リモコン送信機50には、操作盤22の蓋34の施錠を解錠可能な機械式キー56が、本体ケース51の端部に付属している。本実施形態に係る機械式キー56は、送信ランプ55が配置されている本体ケース51側とは逆側の本体ケース51の端部に付属される。これにより、機械式キー56を触覚により認識することで、利用者は暗い車内でもリモコン送信機50の向きを把握できる。
また、機械式キー56は、例えば本体ケース51の内部に抜き差し可能に内蔵され、図示しないロック釦を押すことによって本体ケース51から抜き取ることができる。この機械式キー56を操作盤22のキーシリンダ38aに差し込んで捻ることにより、施錠部38の施錠を手動で解錠し、操作盤22の蓋34を開けることができる。
【0050】
操作盤22のRF受信アンテナ48がリモコン送信機50から送信されるリモコン信号SA,SB,SCを受信できる距離(検知範囲)は、例えば3m程度に設定されている。これにより、遠くに居る他の利用者のリモコン信号SA,SB,SCを無用に受信してしまうことが防止されると共に、入出庫する利用者が車両2に乗車したままでもリモコン信号SA,SB,SCを送信できるようになっている。なお、RF受信アンテナ48を庇5の下部に設けることによって風雨や落雷等から保護することができる。
【0051】
図8は、この立体駐車装置1の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
この制御装置60は、乗入階7の内部に設置された主要部である主制御部30と、操作盤22と、利用者が携帯するリモコン送信機50とを備えて構成されている。
【0052】
まず、主制御部30には、データベース61、機械制御部62、施錠制御部63等が含まれている。データベース61には、立体駐車装置1内の在車状況、各契約車両に対応するパレット形状、EV(電動車両)の充電の必要の有無、利用者登録情報等の各データが記憶されている。機械制御部62は、旋回駆動部11、リフト14、入出庫扉4a等の制御を行う。施錠制御部63は、操作盤22の蓋34の施錠状態、開閉状態を把握すると共に、蓋34の施錠部38を解錠させる解錠信号を発信する。
【0053】
一方、操作盤22には、操作盤制御部65が内蔵され(図5も参照)、この操作盤制御部65に、操作画面35を構成する表示部35a及び入力部35bと、前述の非常停止釦37,40、施錠部38、キーシリンダ38a、RF受信アンテナ48(リモコン信号受信部)、LF送信アンテナ46、トランスポンダリーダー36(無電源認証信号受信部)等が接続されている。操作盤22のトランスポンダリーダー36は電磁波EMWを発信している。
【0054】
他方、リモコン送信機50には、リモコン制御部68が内蔵され、このリモコン制御部68に、前述の認証釦52、起動釦53、扉開釦54、送信ランプ55等が接続されている。また、リモコン送信機50には電源となる電池70が交換可能に内蔵され、リモコン制御部68に電力を供給している。さらに、リモコン制御部68には、電池残量センサ71、RF送信アンテナ72、LF受信アンテナ73、トランスポンダ74(無電源認証信号送信部)等が接続されている。
【0055】
本実施形態に係るリモコン制御部68は、認証釦52、起動釦53、及び扉開釦54に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように送信ランプ55を制御する。
これにより、認証釦52、起動釦53、及び扉開釦54に対する操作の順番に応じた表示を送信ランプ55が行うため、利用者は送信ランプ55の表示を確認しながら釦の操作が可能となる。従って、より誤操作が抑制されて立体駐車装置1の利用における安全性と共に操作性が高められる。
【0056】
また、リモコン制御部68は、認証釦52が操作された場合に、送信ランプ55に第1表示パターンを所定の表示時間で表示させるように制御する。第1表示パターンは、例えば送信ランプ55を赤色に点灯させることであり、表示時間は例えば2秒である。
これによれば、利用者が認証釦52を操作することで本体ケース51の端部に配置された送信ランプ55が第1表示パターンを表示するので、利用者は暗い車内でもリモコン送信機50の向きを把握できる。
【0057】
また、リモコン制御部68は、認証釦52が操作された後であって上記表示時間内に起動釦53又は扉開釦54が操作された場合、送信ランプ55に第1表示パターンとは異なる第2表示パターンを表示させる。第2表示パターンは、例えば送信ランプ55を緑色に点灯させることである。
これによれば、認証釦52を操作した後に起動釦53又は扉開釦54を操作したことを、利用者が確認できる。
【0058】
リモコン送信機50のRF送信アンテナ72は、操作盤22のRF受信アンテナ48に各種のリモコン信号SA,SB,SCを送信するアンテナである。ここで、SAは認証ID、SBは機械操作信号、SCは電池残量警告信号である。
【0059】
また、LF受信アンテナ73は、操作盤22のLF送信アンテナ46から送信されるLF信号SDを受信するアンテナである。このLF信号SDは、リモコン送信機50に対して認証(ID)を問い合わせる司令信号である。
【0060】
リモコン送信機50のトランスポンダ74は、利用者の認証IDを記憶しており、電池70の電力を使用することなく、操作盤22のトランスポンダリーダー36から発信される電磁波EMWを受信することにより自ら励磁電力を発生させて起動し、利用者の認証IDを無電源認証信号SEに変換して操作盤22に送信するように構成されている。
【0061】
また、電池残量センサ71は、電池70の残量(以下「電池残量」という。)を監視する、所謂AD変換機であり、電池70の電圧のアナログ値を検出してデジタル値に変換し、その結果をリモコン制御部68に随時入力するようになっている。
【0062】
操作盤22のトランスポンダリーダー36は、電磁波EMWを発信しながら、リモコン送信機50が所定の距離以内に接近した時に、リモコン送信機50のトランスポンダ74から送信される無電源認証信号SEを受信するようになっている。
【0063】
そして、操作盤22は、RF受信アンテナ48によるリモコン信号SA(認証ID)の受信、またはトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信の少なくとも一方が行われることによって利用者認証を行うことができる。
【0064】
以上のように構成された制御装置60によれば、リモコン送信機50の電池残量が充分にある時は、利用者は操作盤22から離れた位置からリモコン送信機50を使って遠隔操作し、利用者認証及び機械操作を行うことができる。
【0065】
この時には、リモコン送信機50のRF送信アンテナ72から認証IDが送信され、この認証IDを操作盤22のRF受信アンテナ48が受信することによって利用者認証が行われる。このID認証が成功した後に、リモコン送信機50のRF送信アンテナ72から機械操作信号を送信することにより、パレット18の呼び出しや入出庫扉4aの閉扉といった機械操作を行うことができる。
【0066】
また、リモコン送信機50の電池70が切れた時は、RF送信アンテナ72が機能しなくなり、操作盤22から離れた位置からの遠隔操作ができなくなる。この場合でも、リモコン送信機50から機械式キー56を取り出し、この機械式キー56を操作盤22の蓋34のキーシリンダ38aに挿し込んで捻ることにより、施錠部38の施錠を解錠し、蓋34を開けて利用者認証及び操作盤22の操作を行うことができる。
【0067】
この時には、リモコン送信機50を操作盤22のトランスポンダリーダー36にタッチすることにより、リモコン送信機50のトランスポンダ74がトランスポンダリーダー36に対して所定の距離以内に接近することになるため、トランスポンダ74がトランスポンダリーダー36から発信される電磁波EMWを受信して自ら励磁電力を発生させて起動し、利用者の認証IDを無電源認証信号SEに変換してトランスポンダリーダー36に送信する。操作盤22は、この無電源認証信号SEを受信して利用者認証を行う。また、操作盤22の操作画面35がタッチパネルとして起動し、利用者が手動で入出庫操作や入出庫扉4aの閉扉等の操作を行うことができる。
【0068】
このように、リモコン送信機50の電池70が切れた時でも、暗証番号を入力することなく簡単に利用者認証を行い、操作盤22を手動で操作することができる。しかも、操作盤22を遠隔操作している最中にリモコン送信機50の電池70が切れたとしても、上記のようにリモコン送信機50を操作盤22のトランスポンダリーダー36に近付ける(タッチする)ことによって利用者認証を行い、引き続き操作盤22の操作を続行することができる。このため、入出庫扉4aを閉められなくなるといった不具合を解消することができる。
【0069】
ところで、図5に示すように、リモコン送信機50は、電池残量が所定値(例えば本来通常3Vの電圧がある電池なら2.5V程度)を下回った時に、リモコン信号の送信時に電池残量警告信号SCを同時に送信する。
【0070】
このように、リモコン送信50の電池残量が少なくなったことが利用者に警告されるため、利用者は、電池残量が少ないことを早目に認識することができ、早期に電池交換を行ってリモコン送信機50の動作不良を未然に防止することができる。
【0071】
また、リモコン制御部68は、認証釦52が操作され、かつ電池残量が所定値以下の場合に、送信ランプ55に第3表示パターンを表示させるように制御する。第3表示パターンは、例えば送信ランプ55を緑色に点滅させることである。
これにより、リモコン送信機50によっても、利用者は電池残量が少ないことを早目に認識することができる。
【0072】
また、操作盤22(操作盤制御部65)は、リモコン送信機50から電池残量警告信号SCを受信した時に、主制御部30のデータベース61に、当該利用者の個人データとして、電池残量が少ないことをデータとして記憶する。そして、それ以降に行われる当該利用者の認証操作を、リモコン送信機50のトランスポンダ74を使用して行うように当該利用者にガイダンスする。
【0073】
このように、リモコン送信機50の電池残量が少なくなった時に、当該利用者にリモコン送信機50のトランスポンダ74を使用して利用者認証を行うようにガイダンスが行われるため、利用者は、リモコン送信機50を何度も無駄に操作することなく、速やかにリモコン送信機50をトランスポンダリーダー36にタッチして利用者認証を行い、操作盤22を手動操作して機械操作を続行することができる。
【0074】
その後、当該利用者がリモコン送信機50の電池70を交換し、再度来場してリモコン送信機50を操作した時は、電池70の電圧が復活しているために、電池残量警告信号SCが送信されなくなる。このため、操作盤22(操作盤制御部65)は、データベース61に記憶されていた電池残量少のデータを消去(リセット)する。
【0075】
ところで、操作盤22には開閉可能、且つ施錠可能な蓋34が設けられているため、この蓋34によって操作盤22を部外者の悪戯や風雨等から保護して保安性を高めることができる。リモコン送信機50により操作盤22を遠隔操作する場合は蓋34を開ける必要はないが、リモコン送信機50の電池70が切れた時には、リモコン送信機50に付属する機械式キー56を使って蓋34の施錠を解錠し、蓋34を開けて操作盤22を手動操作する必要がある。
【0076】
このように、リモコン送信機50に機械式キー56を付属させることにより、操作盤22の保安性を確保しながら、リモコン送信機50が電池切れした時でも利用者が操作盤22を手動操作できるようにし、立体駐車装置1の利便性を高めることができる。
【0077】
図9は、リモコン制御部68によって実行される釦操作処理の流れを示すフローチャートである。また、図10は、釦操作処理に応じて操作盤制御部65によって実行される立駐処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
まず、ステップ100では、認証釦52、起動釦53、及び扉開釦54のうち、何れかの釦が操作されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ102へ移行する。
【0079】
ステップ102では、第1釦である認証釦52が操作されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ104へ移行し、否定判定の場合はステップ100へ戻る。すなわち、認証釦52が操作される前に起動釦53又は扉開釦54が操作されても、何ら処理は行われない。
【0080】
ステップ104では、電池残量を確認する。
【0081】
次のステップ106では、操作盤22へ各種リモコン信号を送信する。ステップ106で送信するリモコン信号は、認証ID、釦情報、釦有効情報、及び電池情報である。
釦情報は、操作された釦の種類を示すリモコン信号である。ステップ106では、認証釦52が操作された場合であるので、釦情報は認証釦52を示す。釦有効情報は、釦の操作が有効であることを示すリモコン信号である。電池情報は、電池残量を示すリモコン信号であり、電池残量が所定値以下の場合には、電池残量警告信号SCである。
【0082】
次のステップ108では、送信ランプ55の表示を制御する。電池残量が所定値を超える場合、送信ランプ55は赤色に点灯するように制御される。一方、電池残量が所定値以下の場合、送信ランプ55は赤色で点滅するように制御される。
【0083】
次のステップ110では、認証釦52、起動釦53、及び扉開釦54のうち、何れかの釦が操作されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ118へ移行し、否定判定の場合はステップ112へ移行する。
【0084】
ステップ112では、所定時間経過したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ114へ移行し、否定判定の場合はステップ110へ戻る。なお、所定時間は一例として2秒である。
【0085】
ステップ114では、利用者による釦の操作によらず自動的に、操作盤22へ各種リモコン信号を送信する。ステップ114で送信するリモコン信号は、認証ID、釦情報、釦無効情報、及び電池情報である。
ステップ114では、釦情報は認証釦52を示し、釦無効情報はこの認証釦52の操作を無効とすることを示す。
【0086】
次のステップ116では、送信ランプ55を消灯するように制御し、ステップ100へ戻る。すなわち、送信ランプ55による赤色の表示時間は2秒である。
【0087】
ステップ110で肯定判定となった場合に移行するステップ118では、第1釦である認証釦52が操作されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ104へ戻り、否定判定の場合はステップ120へ移行する。
【0088】
ステップ120では、起動釦53が操作されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ122へ移行し、否定判定の場合はステップ126へ移行する。
【0089】
ステップ122では、操作盤22へ各種リモコン信号を送信する。ステップ122で送信するリモコン信号は、認証ID、起動釦53を示す釦情報、釦有効情報、及び電池情報である。
【0090】
次のステップ124では、送信ランプ55を緑色に点灯するように制御し、ステップ100へ戻る。送信ランプ55による緑色の表示時間は一例として0.5秒である。
【0091】
ステップ120で否定判定となった場合は、第2釦である扉開釦54が操作された場合であり、この場合に移行するステップ126では、認証ID、扉開釦54を示す釦情報、釦有効情報、及び電池情報を示すリモコン信号を操作盤22へ送信する。
【0092】
次のステップ128では、送信ランプ55を緑色に点灯するように制御し、ステップ100へ戻る。送信ランプ55による緑色の表示時間は一例として0.5秒である。
【0093】
表1及び表2は、釦の操作と送信ランプ55の点灯状態との関係を示した表である。表1は、電池残量が十分な場合であり、表2は、電池残量が所定値以下であり電池残量が少ない場合である。
また、図11は、リモコン送信機50の表1,2に対応する状態遷移図である。
【表1】
【表2】
【0094】
図9、表1,2、及び図11に示される釦操作処理のように、認証釦52、起動釦53、及び扉開釦54に対する操作の順番に応じて、送信ランプ55の表示パターン及び表示時間が制御されると共に操作盤22へ送信されるリモコン信号の種類が制御される。
これにより、認証釦52が操作される前に起動釦53又は扉開釦54を操作しても、起動釦53又は扉開釦54に応じたリモコン信号を送信しない処理が行われるので、より誤操作が抑制されて立体駐車装置1の利用における安全性と共に操作性が高められる。
【0095】
次に、釦操作処理に応じた立駐処理について図10を用いて説明する。
【0096】
まず、ステップ200では、操作盤22が釦操作処理のステップ106で送信された各種リモコン信号を受信すると、受信した認証IDに基づいて利用者の認証処理を行う。
認証処理は、リモコン送信機50からの認証IDが主制御部30のデータベース61に記憶されている利用者登録情報と一致していれば、認証成功とされる。
【0097】
次のステップ202では、認証成功の有無と立体駐車装置1の状態との確認を行う。
【0098】
ここで、立体駐車装置1の状態との確認について説明する。
図12は、立体駐車装置1の状態遷移図である。立体駐車装置1の状態遷移は、図12に示される矢印(→)を示している。例えば、状態遷移が「1→2」では、立体駐車装置1外に居た利用者が入庫予約をする場合である。一方、図12に示される矢印以外の状態遷移は起きない。なお、立体駐車装置1の状態は、リモコン送信機50や操作盤22に対する操作、立体駐車装置1の機械動作によって遷移する。
【0099】
なお、図12における車両状態とは、利用者の車両2が入庫されていない状態(空車)、入庫予約済みの車両2がある状態(入庫予約車両)、及び車両2が入庫されている状態(在棚車両)の何れかである。
予約状態は、利用者の入庫予約又は出庫予約の有無であり、パレット状態は、パレット18が乗入階7へ呼び出し中の状態、乗入階7に到着した状態、及びこの何れでも無い状態である。
扉状態は、入出庫扉4aが開状態又は閉状態である。
【0100】
そして、ステップ200では、立体駐車装置1の状態が図12における状態1,4,6,9の何れかであるか否かを確認する。状態1,4,6,9以外の状態では、利用者は、リモコン送信機50を用いて立体駐車装置1の起動や扉開の操作を行えないためである。なお、状態1は、利用者が操作盤22の前に位置し、入庫予約ができる状態である。状態4は、車両2を入庫させるために入出庫扉4aの開待ちの状態である。状態6は、利用者が操作盤22の前に位置し、出庫予約ができる状態である。状態9は、車両2を出庫させるために入出庫扉4aの開待ちの状態である。
【0101】
ステップ202では、認証が成功、かつ立体駐車装置1の状態が状態1,4,6,9の何れかであるか否かを確認し、肯定判定の場合はステップ204へ移行し、否定判定の場合はステップ208へ移行する。
【0102】
ステップ204では、三色灯23を緑色から黄色へ変化させる。これにより、利用者は認証に成功し、立体駐車装置1を操作できることを確認できる。なお、操作盤22の蓋34に設けられた三色灯42も同様に変化させてもよい。
【0103】
次のステップ206では、認証に成功した認証IDと共に、送信された各種リモコン信号をデータベース61に記憶する。
【0104】
ステップ208では、三色灯23を緑色から赤点滅へ変化させる。これにより、利用者は認証に失敗し、立体駐車装置1を操作できないことを確認できる。
【0105】
また、操作盤22が釦操作処理のステップ126で送信された各種リモコン信号を受信すると、ステップ210では、受信したリモコン信号に含まれる認証IDに基づいて利用者の認証処理を行う。なお、ステップ126は、扉開釦54が操作された場合の処理である。
ステップ210による認証処理は、ステップ206で記憶した認証IDとステップ126で送信された認証IDとが一致していれば、認証成功とする。すなわち、ステップ210による認証処理は、新たに送信されたリモコン信号が第1釦である認証釦52を前回操作した利用者のものであるか否かを判定するものである。すなわち、今回の釦の操作が前回の利用者と同一であるか否かが判定される。
【0106】
次のステップ212では、認証が成功、かつ立体駐車装置1の状態が状態4,9の何れかであるか否かを確認し、肯定判定の場合はステップ214へ移行する。一方、否定判定の場合は三色灯23を含め立体駐車装置1に変化はない(ステップ218)。
【0107】
ステップ214では、三色灯23を黄色から赤色へ変化させる。これにより、利用者は、入出庫扉4aが開かれることを確認できる。
【0108】
次のステップ216では、入出庫扉4aを開く扉開処理を行う。
【0109】
また、操作盤22が釦操作処理のステップ122で送信された各種リモコン信号を受信すると、ステップ220では、受信したリモコン信号に含まれる認証IDに基づいて利用者の認証処理を行う。なお、ステップ122は、起動釦53が操作された場合の処理である。
ステップ220による認証処理は、ステップ206で記憶した認証IDとステップ122で送信された認証IDとが一致していれば、認証成功とする。すなわち、ステップ220による認証処理は、ステップ210と同様に、新たに送信されたリモコン信号が第1釦である認証釦52を前回操作した利用者のものであるか否かを判定するものである。
【0110】
ステップ222では、認証が成功、かつ立体駐車装置1の状態が状態1,6の何れかであるか否かを確認し、肯定判定の場合はステップ224へ移行する。一方、否定判定の場合は三色灯23を含め立体駐車装置1に変化はない(ステップ228)。
【0111】
次のステップ224では、三色灯23を黄色から赤色へ変化させる。これにより、利用者は、立体駐車装置1が起動し、パレット18が乗入階7へ呼び出されることを確認できる。
【0112】
次のステップ226では、車両格納棚17から乗入階7へパレット18を呼び出す起動処理を行う。なお、入庫予約のために起動釦53が操作された場合は、空パレットが呼び出される。出庫予約のために起動釦53が操作された場合は、利用者の車両2が載置されたパレット(在棚車両)が呼び出される。
【0113】
また、操作盤22が釦操作処理のステップ114で送信された各種リモコン信号を受信すると、ステップ230では、受信した認証IDに基づいて利用者の認証処理を行う。なお、ステップ114は、認証釦52が操作されても所定時間以内に第2釦である扉開釦54又は起動釦53が操作されない場合の処理である。
ステップ230による認証処理は、ステップ206で記憶した認証IDとステップ114で送信された認証IDとが一致していれば、認証成功とする。すなわち、ステップ230による認証処理では、新たに送信されたリモコン信号が第1釦である認証釦52を操作した利用者のものであるか否かを判定するものである。
【0114】
ステップ232では、認証が成功したか否かを確認し、肯定判定の場合はステップ234へ移行する。一方、否定判定の場合は三色灯23を含め立体駐車装置1に変化はない(ステップ238)。
【0115】
ステップ234では、三色灯23を黄色から緑色へ変化させる。これにより、利用者は、認証釦52による操作が無効となったことを確認できる。また、これに伴い、記憶された認証IDがデータベース61から削除される。
【0116】
上記釦操作処理及び立駐処理で説明したように、認証釦52が操作された場合、リモコン信号として利用者を特定する認証IDを送信する制御が行われる。そして、認証釦52が操作されて所定の表示時間(2秒)内に起動釦53又は扉開釦54が操作された場合にのみ、起動釦53又は扉開釦54に応じたリモコン信号と共に認証IDを送信する制御が行われる。そして、操作盤制御部65による上記立駐処理において認証IDが送信されてくる毎に認証処理が行われる。
これにより、釦が操作される毎に認証IDが操作盤22に送信されて認証処理が行われるので、他の利用者がリモコン送信機50を同時に使用したとしても、立体駐車装置1の誤動作が防止され、立体駐車装置1の利用における安全性がより高められる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態に係るリモコン送信機50は、本体ケース51の中央近辺に配置され、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される第1釦である認証釦52、リモコン信号を送信するために、利用者によって操作される一つ以上の第2釦である起動釦53及び扉開釦54と、第1釦が操作された場合に利用者に視認可能な位置に配置され、第1釦又は前記第2釦が操作された場合に所定の表示を行う送信ランプ55と、が備えられる。そして、リモコン制御部68によって、第1釦及び第2釦に対する操作の順番に応じた表示パターンを所定の表示時間で表示するように送信ランプ55が制御される。
【0118】
このようなリモコン送信機50によって、誤操作が抑制されて立体駐車装置1の利用における安全性と共に操作性が高められる。
【0119】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0120】
例えば、上記実施形態では、第2釦が2つ配置されるリモコン送信機50の形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、第2釦が一つ又は3つ以上配置されるリモコン送信機50とする形態としてもよい。
例えば、図13に示されるリモコン送信機50の例は、第2釦90が一つの例である。図14に示されるリモコン送信機50の例は、第2釦90が3つの例である。
【0121】
また、上記実施形態では、第1釦又は第2釦が操作された場合に所定の表示を行う表示手段を、LEDを備える送信ランプ55とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、表示手段を例えば液晶パネルとする形態としてもよい。表示手段を液晶パネルとする場合、表示パターンとして文字、数字、又は絵図等が表示されてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、立体駐車装置1は操作盤22のみを備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、立体駐車装置1は操作盤22の他に、入庫予約を行う遠隔地(例えばマンションの駐車場入り口)から行うための入庫予約盤や、出庫予約を行う遠隔地(例えばマンションのロビー)から行うための出庫予約盤を備える形態としてもよい。
【0123】
また、上記実施形態で説明した釦操作処理及び立駐処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0124】
釦操作処理ではステップ118において認証釦52が操作され肯定判定となった場合はステップ104へ戻る形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、送信ランプ55の赤色点灯を更に所定時間(例えば2秒)延長する形態としてもよい。この形態の場合、延長された時間内に第2釦が操作されると、その操作に応じた処理が実行される。
【符号の説明】
【0125】
1 立体駐車装置
50 リモコン送信機
52 認証釦
53 起動釦
54 扉開釦
55 送信ランプ
56 機械式キー
68 リモコン制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14