特開2015-194129(P2015-194129A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-194129(P2015-194129A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】消音器
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20151009BHJP
【FI】
   F01N1/02 N
   F01N1/02 G
   F01N1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-72443(P2014-72443)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 暁司
(72)【発明者】
【氏名】夏目 勉
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004CA01
3G004CA06
3G004DA09
3G004DA14
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で熱応力を効果的に吸収可能な消音器を提供すること。
【解決手段】消音器(サブマフラ)1は、内燃機関の排気流路41の一部を形成し、内外を連通する複数の連通孔29が設けられた内側管状部材2と、内側管状部材2の外側を覆う外側管状部材3とを備えている。内側管状部材2は、他の部分よりも径を拡大させた径大部23を有している。径大部23は、一端から他端側に向かって徐々に径が拡大する第1拡径部231と、他端から一端側に向かって徐々に径が拡大する第2拡径部232とを有している。第1拡径部231及び第2拡径部232は、内側管状部材2の中心軸200を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成されている。径大部23の軸方向長さをLとした場合に、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さの合計が0.7L以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気流路の一部を形成し、内外を連通する複数の連通孔が設けられた内側管状部材と、
該内側管状部材の外側を覆う外側管状部材とを備え、
前記内側管状部材は、他の部分よりも径を拡大させた径大部を有し、
該径大部は、一端から他端側に向かって徐々に径が拡大する第1拡径部と、他端から一端側に向かって徐々に径が拡大する第2拡径部とを有し、
前記第1拡径部及び前記第2拡径部は、前記内側管状部材の中心軸を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成され、
前記径大部の軸方向長さをLとした場合に、前記第1拡径部及び前記第2拡径部の軸方向長さの合計が0.7L以上であることを特徴とする消音器。
【請求項2】
前記第1拡径部及び前記第2拡径部は、前記内側管状部材の中心軸を含む断面において、共に同じ曲率半径の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の消音器。
【請求項3】
前記径大部は、前記第1拡径部及び前記第2拡径部のみで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の消音器。
【請求項4】
前記径大部は、前記第1拡径部と前記第2拡径部との間に、径が一定のストレート部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気音を抑制するための消音器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気音を抑制するための消音器が知られている。消音器としては、例えば、車両等の内燃機関の排気流路の一部を形成し、内外を連通する複数の連通孔が設けられた内側管状部材と、その内側管状部材の外側を覆う外側管状部材とを備えた二重管構造を有するものがある。
【0003】
このような消音器は、内側管状部材内部の排気流路に高温の排ガスが流通するため、内側管状部材と外側管状部材との熱による軸方向伸び量の差によって熱応力が発生し、内側管状部材(例えば連通孔)等に損傷等の不具合が生じるおそれがある。そのため、熱応力対策として、内側管状部材と外側管状部材との間に、スライドメッシュ等の熱応力吸収材を介在させた消音器がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3202833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の消音器では、熱応力対策のために内側管状部材と外側管状部材との間にスライドメッシュ等の熱応力吸収材を介在させることから、部品点数の増加、それに伴うコスト増加といった問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収可能な消音器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内燃機関の排気流路の一部を形成し、内外を連通する複数の連通孔が設けられた内側管状部材と、該内側管状部材の外側を覆う外側管状部材とを備え、前記内側管状部材は、他の部分よりも径を拡大させた径大部を有し、該径大部は、一端から他端側に向かって徐々に径が拡大する第1拡径部と、他端から一端側に向かって徐々に径が拡大する第2拡径部とを有し、前記第1拡径部及び前記第2拡径部は、前記内側管状部材の中心軸を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成され、前記径大部の軸方向長さをLとした場合に、前記第1拡径部及び前記第2拡径部の軸方向長さの合計が0.7L以上であることを特徴とする消音器にある。
【0008】
本発明の消音器において、内側管状部材には、径大部が設けられている。径大部は、一端から他端側に拡径する第1拡径部と、他端から一端側に向かって拡径する第2拡径部とを有している。第1拡径部及び第2拡径部は、内側管状部材の中心軸を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成されている。
【0009】
そのため、内側管状部材内部の排気流路に高温の排ガスが流通し、内側管状部材と外側管状部材との熱による軸方向伸び量の差によって熱応力が発生する場合に、内側管状部材における湾曲形状の第1拡径部及び第2拡径部が径方向にたわむことで、この熱応力を効果的に吸収・緩和することができる。また、径大部の軸方向長さLに対して、第1拡径部及び第2拡径部の軸方向長さの合計が0.7L以上であるため、第1拡径部及び第2拡径部によって熱応力を吸収・緩和する効果を十分に得られる。
【0010】
また、従来のように、スライドメッシュ等の熱応力吸収材を設ける必要がないため、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収することができる。そして、部品点数の削減、それに伴うコスト低減といった効果も得られる。以上により、本発明によれば、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収可能な消音器を提供することができる。
【0011】
前記消音器において、前記第1拡径部及び前記第2拡径部は、前記内側管状部材の中心軸を含む断面において、共に同じ曲率半径の円弧状に形成されていてもよい。この場合には、内側管状部材における湾曲形状の第1拡径部及び第2拡径部によって熱応力を吸収・緩和する効果をさらに高めることができる。
【0012】
また、前記径大部は、前記第1拡径部及び前記第2拡径部のみで形成されていてもよい。この場合には、内側管状部材における湾曲形状の第1拡径部及び第2拡径部によって熱応力を吸収・緩和する効果をより一層高めることができる。
【0013】
また、前記径大部は、前記第1拡径部と前記第2拡径部との間に、径が一定のストレート部を有していてもよい。この場合には、内側管状部材における湾曲形状の第1拡径部及び第2拡径部によって熱応力を吸収・緩和する効果を十分に得ながら、消音器(特に内側管状部材)の製造が容易となる。すなわち、ストレート部を有することにより、例えば、ストレート部と第1拡径部及び第2拡径部との溶接作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】排気システムの構成を示す説明図である。
図2】消音器(サブマフラ)の構造を示す断面図である。
図3】消音器(サブマフラ)の構造の別例を示す断面図である。
図4】実施例1の消音器の構造を示す説明図である。
図5】比較例1の消音器の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1図2に示すように、本実施形態の消音器(サブマフラ)1は、内燃機関(エンジン)の排気流路41の一部を形成し、内外を連通する複数の連通孔29が設けられた内側管状部材2と、内側管状部材2の外側を覆う外側管状部材3とを備えている。内側管状部材2は、他の部分よりも径を拡大させた径大部23を有している。
【0016】
径大部23は、一端から他端側に向かって徐々に径が拡大する第1拡径部231と、他端から一端側に向かって徐々に径が拡大する第2拡径部232とを有している。第1拡径部231及び第2拡径部232は、内側管状部材2の中心軸200を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成されている。径大部23の軸方向長さをLとした場合に、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さの合計が0.7L以上である。以下、これを詳説する。
【0017】
図1に示すように、排気システム8は、自動車の内燃機関(エンジン)から排出された排気(排ガス)の流路となる排気流路41(図2)を形成する。排気システム8は、実長の長い排気流路41を形成する管状の流路部材81と、流路部材81に沿って直列に配置されたサブマフラ1及びメインマフラ82とを備えている。なお、排気システム8の排気方向は、矢印Fで示す方向である。
【0018】
図2に示すように、サブマフラ1は、内側管状部材2と外側管状部材3とにより構成された2重管構造を有している。内側管状部材2は、円管状に形成されており、径方向断面が円形状である。外側管状部材3は、内側管状部材2と同様に、円管状に形成されており、径方向断面が円形状である。内側管状部材2及び外側管状部材3は、ステンレス鋼からなる。なお、図2は、内側管状部材2の中心軸200を含む断面を示す図である。内側管状部材2と外側管状部材3とは、同軸上に配置されている。
【0019】
同図に示すように、外側管状部材3は、上流側から順に、上流側端部31、上流側拡径部32、中間部33、下流側拡径部34、下流側端部35を有している。このうち、上流側端部31、中間部33、下流側端部35は、径が一定のストレート部分である。中間部33の径は、上流側端部31及び下流側端部35の径よりも大きくなっている。
【0020】
上流側拡径部32は、上流側(上流側端部31)から下流側(中間部33)に向かって径が徐々に拡大する傾斜部分である。下流側拡径部34は、下流側(下流側端部35)から上流側(中間部33)に向かって径が徐々に拡大する傾斜部分である。
【0021】
外側管状部材3は、内側管状部材2の外側を覆うように配置されている。外側管状部材3は、上流側拡径部32、中間部33、下流側拡径部34において、内側管状部材2との間に外側空間42を形成している。
【0022】
同図に示すように、内側管状部材2は、排気流路41の一部を形成している。内側管状部材2は、上流側から順に、第1端部21(上流側の端部)、径大部23、第2端部22(下流側の端部)を有している。このうち、第1端部21及び第2端部22は、径が一定のストレート部分である。第1端部21及び第2端部22の外径は、45.6mmである。径大部23は、他の部分(第1端部21及び第2端部22)よりも径を拡大させた部分である。
【0023】
第1端部21は、サブマフラ1の上流側に配置された流路部材81に対して、外側管状部材3の上流側端部31と共に、例えば溶接等により接合されている。第2端部22は、サブマフラ1の下流側に配置された流路部材81に対して、外側管状部材3の下流側端部35と共に、例えば溶接等により接合されている。
【0024】
径大部23は、第1拡径部231と第2拡径部232とを有している。本実施形態では、径大部23は、第1拡径部231及び第2拡径部232のみで形成されている。第1拡径部231は、上流端(第1端部21)から下流側(中間位置A)に向かって径が徐々に拡大する部分である。第2拡径部232は、下流端(第2端部22)から上流側(中間位置A)に向かって径が徐々に拡大する部分である。なお、中間位置Aとは、径大部23の軸方向中間位置である。
【0025】
第1拡径部231及び第2拡径部232は、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成されている。本実施形態では、第1拡径部231及び第2拡径部232は、共に同じ曲率半径の円弧状に形成されている。すなわち、径大部23は、その全体が曲率半径一定の円弧状を形成するように湾曲している。径大部23は、中間位置Aにおいて最も径が大きくなる。なお、第1拡径部231及び第2拡径部232の曲率半径は、400mmである。また、径大部23の中間位置Aの外径は、60mmである。
【0026】
径大部23の軸方向長さをLとした場合に、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さの合計は、0.7L以上である。本実施形態では、径大部23が第1拡径部231及び第2拡径部232のみで形成されているため、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さの合計は、径大部23の軸方向長さと同じLである。なお、径大部23の軸方向長さLは、160mmである。また、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さは共に0.5L(80mm)である。
【0027】
また、内側管状部材2には、径方向に貫通してなる複数の連通孔29が形成されている。連通孔29は、内側管状部材2の内外を連通するように形成されている。すなわち、連通孔29は、内側管状部材2内の空間である排気流路41と、内側管状部材2と外側管状部材3との間の外側空間42との間を連通するように形成されている。サブマフラ1は、内側管状部材2の排気流路41を流通する排気(排ガス)を、複数の連通孔29を介して外側空間42に導くことにより、排気音を抑制する。また、サブマフラ1の内側管状部材2及び外側管状部材3は、各部を例えば溶接等により接合して形成されている。
【0028】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の消音器(サブマフラ)1において、内側管状部材2には、径大部23が設けられている。径大部23は、一端(上流端)から他端側(下流側)に拡径する第1拡径部231と、他端(下流端)から一端側(上流側)に向かって拡径する第2拡径部232とを有している。第1拡径部231及び第2拡径部232は、内側管状部材2の中心軸200を含む断面において、それぞれ曲率半径一定の円弧状に形成されている。
【0029】
そのため、内側管状部材2内部の排気流路41に高温の排ガスが流通し、内側管状部材2と外側管状部材3との熱による軸方向伸び量の差によって熱応力が発生する場合に、内側管状部材2における湾曲形状の第1拡径部231及び第2拡径部232が径方向にたわむことで、この熱応力を効果的に吸収・緩和することができる。また、径大部23の軸方向長さLに対して、第1拡径部231及び第2拡径部232の軸方向長さの合計が0.7L以上であるため、第1拡径部231及び第2拡径部232によって熱応力を吸収・緩和する効果を十分に得られる。
【0030】
また、従来のように、スライドメッシュ等の熱応力吸収材を設ける必要がないため、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収することができる。そして、部品点数の削減、それに伴うコスト低減といった効果も得られる。
【0031】
また、本実施形態において、第1拡径部231及び第2拡径部232は、内側管状部材2の中心軸200を含む断面において、共に同じ曲率半径の円弧状に形成されている。そのため、内側管状部材2における湾曲形状の第1拡径部231及び第2拡径部232によって熱応力を吸収・緩和する効果をさらに高めることができる。
【0032】
また、径大部23は、第1拡径部231及び第2拡径部232のみで形成されている。そのため、内側管状部材2における湾曲形状の第1拡径部231及び第2拡径部232によって熱応力を吸収・緩和する効果をより一層高めることができる。
【0033】
このように、本実施形態によれば、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収可能な消音器1を提供することができる。すなわち、消音器1は、内側管状部材2の構造(湾曲形状の第1拡径部231及び第2拡径部232)によって、熱応力を効果的に吸収することができるものとなる。
【0034】
(実施形態2)
本実施形態は、図3に示すように、消音器(サブマフラ)1の径大部23の構成を変更したものである。
【0035】
同図に示すように、径大部23は、上流側から順に、第1拡径部231、ストレート部233、第2拡径部232を有している。すなわち、径大部23は、第1拡径部231と第2拡径部232との間に、径が一定のストレート部233を有している。ストレート部233の外径は、60mmである。
【0036】
第1拡径部231は、上流端(第1端部21)から下流側(ストレート部233)に向かって径が徐々に拡大する部分であり、曲率半径一定の円弧状に形成されている。第2拡径部232は、下流端(第2端部22)から上流側(ストレート部233)に向かって径が徐々に拡大する部分であり、曲率半径一定の円弧状に形成されている。第1拡径部231及び第2拡径部232は、共に同じ曲率半径の円弧状に形成され、その曲率半径は、50mmである。
【0037】
径大部23の軸方向長さをLとした場合に、第1拡径部231の軸方向長さM1及び第2拡径部232の軸方向長さM2の合計は、0.7L以上である。本実施形態では、第1拡径部231の軸方向長さM1及び第2拡径部232の軸方向長さM2の合計は、0.7Lである。なお、第1拡径部231の軸方向長さM1及び第2拡径部232の軸方向長さM2は共に0.35L(56mm)であり、ストレート部233の軸方向長さM3は0.3L(48mm)である。その他の基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0038】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の消音器(サブマフラ)1において、径大部23は、第1拡径部231と第2拡径部232との間に、径が一定のストレート部233を有している。そのため、内側管状部材2における湾曲形状の第1拡径部231及び第2拡径部232によって熱応力を吸収・緩和する効果を十分に得ながら、消音器1(特に内側管状部材2)の製造が容易となる。すなわち、ストレート部233を有することにより、例えば、ストレート部233と第1拡径部231及び第2拡径部232との溶接作業が容易となる。その他の基本的な作用効果は、実施形態1と同様である。
【0039】
(実験例)
本実験例は、実施例及び比較例の消音器に対して熱サイクル試験を実施し、熱サイクル寿命を評価したものである。なお、消音器に対する熱サイクル試験は、シミュレーションにより実施した。
【0040】
図4に示すように、本発明の実施例である消音器1は、連通孔29が内側管状部材2の中央部の軸方向長さ15mmの範囲内に4列形成されている。また、第1端部21及び第2端部22の外径は45.6mm、径大部23の中央部の外径(最大外径)は60mmである。また、内側管状部材2の軸方向長さは200mm、径大部23の軸方向長さは160mmである。また、内側管状部材2及び外側管状部材3は、ステンレス鋼(SUS409LT−E)からなる。その他の基本的な構成は、前述の実施形態1と同様である。
【0041】
図5に示すように、比較例である消音器9は、内側管状部材2全体を径が一定のストレート部分としている。また、内側管状部材2の外径は45.6mmである。また、内側管状部材2の軸方向長さは200mmである。また、内側管状部材2及び外側管状部材3は、ステンレス鋼(SUS409LT−E)からなる。その他の基本的な構成は、前述の実施形態1と同様である。
【0042】
熱サイクル試験は、実施例及び比較例の消音器に対して、加熱及び冷却を1サイクルとして、これを繰り返し実施した。本例では、外側管状部材の中央部分を440℃、内側管状部材を800℃に加熱した後、消音器全体(内側管状部材及び外側管状部材)を100℃に冷却した。そして、繰り返し発生する応力の蓄積が所定の基準値を超えた場合に熱サイクル寿命とした。なお、基準値は、任意に設定することができる。
【0043】
実施例及び比較例の消音器に対して熱サイクル試験を実施したところ、実施例の消音器の熱サイクル寿命は135サイクルであった。一方、比較例の消音器の熱サイクル寿命は70サイクルであった。すなわち、実施例の消音器の熱サイクル寿命は、比較例の消音器の約2倍であった。
【0044】
以上の結果から、本発明の消音器は、内側管状部材における湾曲形状の第1拡径部及び第2拡径部によって熱応力を吸収・緩和する効果を十分に得られることが確認できた。すなわち、簡易な構造で熱応力を効果的に吸収可能であることが確認できた。
【0045】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前述の実施形態等に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0046】
(1)前述の実施形態では、内側管状部材の径大部における第1拡径部及び前記第2拡径部が共に同じ曲率半径の円弧状に形成されているが、例えば、第1拡径部及び前記第2拡径部が互いに異なる曲率半径の円弧状に形成されていてもよい。
【0047】
(2)前述の実施形態では、内側管状部材の径大部における第1拡径部及び前記第2拡径部の軸方向長さが共に同じであるが、例えば、第1拡径部及び前記第2拡径部の軸方向長さが互いに異なっていてもよい。
【0048】
(3)前述の実施形態では、内側管状部材と外側管状部材との間に空間(外側空間)が形成されているが、例えば、この空間内に排気音を吸収するための従来公知の吸音材等を配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…消音器
2…内側管状部材
200…中心軸(内側管状部材の中心軸)
23…径大部
231…第1拡径部
232…第2拡径部
29…連通孔
3…外側管状部材
41…排気流路
図1
図2
図3
図4
図5