【構成】 コイル成形体(10)を形成するコイル用線材(12)の先端を軸方向に引っ張ると、コイル成形体の螺旋のピッチが大きくなるのでコイル成形体が縮径され、既設管(100)内に引き込まれる。引き込んだコイル成形体のコイル用線材を先頭から順次掻き寄せることによって、既設管内にコイル用線材の間隔を詰めて配置することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1および2の技術では、コイル成形体が長尺になると回転力が後ろまで十分伝わらないため、コイル成形体の敷設の効率が低下する。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、コイル成形体敷設方法、ライニング工法および更生管路を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、コイル成形体を効率よく既設管内に敷設できる、コイル成形体敷設方法、ライニング工法および更生管路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、コイル用線材を外径が既設管の内径と同等かやや大きい螺旋状に成形したコイル成形体を既設管内に敷設するコイル成形体敷設方法であって、(a) コイル成形体を形成するコイル用線材の先端を軸方向に引っ張って、コイル成形体を縮径させながら既設管内に、先端が既設管の一方端に達するまで引き込むステップ、および(b) 既設管内に引き込まれたコイル成形体を、先端側から順次掻き寄せてコイル用線材の間隔を詰めながら配置するステップを含む、コイル成形体敷設方法である。
【0008】
第1の発明では、長尺のコイル成形体(10)を用い、ステップ(a)では、そのコイル成形体の先端すなわちコイル成形体を形成しているコイル用線材(12)の先端を単純に(回転させないで)軸方向に引っ張る。そうすると、コイル用線材(12)の螺旋のピッチが大きく(疎らに)なり、コイル成形体(10)が縮径される。したがって、コイル成形体(10)を縮径させながら既設管(100)内に引き込むことができる。そして、ステップ(b)では、たとえば掻き寄せ機(20)を利用して、縮径して既設管内に引き込まれたコイル成形体を、先端側から順次掻き寄せてコイル用線材の間隔を詰めながら配置することで、既設管(100)内にコイル成形体(10)を敷設することができる。
【0009】
第1の発明によれば、コイル成形体に回転力を与えず先端を引っ張るだけなので、コイル成形体をスムーズに既設管内に引き込むことができ、そして少しずつ掻き寄せることで、コイル用線材間の隙間なくコイル成形体を敷設できる。したがって、既設管内にコイル成形体を効率的に敷設することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のコイル成形体敷設方法で既設管内に敷設されたコイル成形体の内部にライニング材をライニングする、更生方法である。
【0011】
第2の発明では、第1の発明に従って既設管(100)内に敷設されたコイル成形体(10)の内部にライニング材(50)をライニングする。
【0012】
第2の発明によれば、既設管を効率的に更生することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明の更生方法で更生された、更生管路である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、コイル成形体に回転力を与えずに引っ張るだけなので、コイル成形体をスムーズに既設管内に引き込むことができ、コイル用線材を先頭側から少しずつ掻き寄せることで、コイル用線材間の隙間を詰めてコイル成形体を敷設できる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例を利用したライニング工法に用いられるコイル成形体を示す概略図である。
【
図2】
図2は実施例のライニング工法においてコイル用線材を掻き寄せるための掻き寄せ機の一例を示す概略図であり、
図2(a)が正面図、
図2(b)が右側面図(前方から見た図)、
図2(c)が左側面図(後方から見た図)を示す。
【
図3】
図3は
図1に示すコイル成形体を既設管内に引き込んでいる状態を示す概略図である。
【
図4】
図4は既設管内に引き込んだコイル成形体のコイル用線材を
図2の掻き寄せ機を用いて掻き寄せる初期状態を示す概略図である。
【
図5】
図5は掻き寄せ機の軸方向アームを伸ばした状態を示す概略図である。
【
図6】
図6は掻き寄せ機の径方向アームを伸ばした状態を示す概略図である。
【
図7】
図7は
図6の状態で掻き寄せ機の軸方向アームを縮めた状態を示す概略図である。
【
図8】
図8は掻き寄せが完了した状態を示す概略図である。
【
図9】
図9は実施例のライニング工法において敷設したコイル成形体の内部にライニング材をライニングした状態を示す概略図である。
【
図10】
図10は実施例のライニング工法に用いられるライニング材を示す概略図であり、
図10(a)はライニング材の平面図を示し、
図10(b)は断面図を示す。
【
図11】
図11は既設管内に引き込んだコイル成形体の掻き寄せ方法の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、この発明の一実施例のライニング工法に用いられるコイル成形体10は、コイル用線材12を螺旋状に巻いたものであり、コイル成形体10の外径は、更生すべき老朽化した既設管100(
図1では図示せず。(
図3))の内径と同じか、それよりやや大きく設定される。具体的には、この実施例では、既設管100の内径450mmに対して、コイル成形体10の外径を460mmとしている。つまり、実施例では、既設管内径に対してコイル成形体外径は、2.2%大きく設定されている。コイル成形体の10の外径が小さすぎても大きすぎても既設管の内面にコイル成形体が密着しないなどの不都合が生じるので、発明者等の実験では、コイル成形体10の外径は既設管100の内径の100‐110%の範囲であることが望ましいことが分かった。
【0018】
なお、この発明のライニング工法を利用して更生すべき既設管としては種々のものが考えられるが、たとえば、上下水道、ガス、通信ケーブル保護または電力ケーブル保護等の用途の既設管路であってよいし、また、これらの材質は鉄筋コンクリート管(ヒューム管)、陶管、鋳鉄管、鋼管ならびに塩ビ管のような合成樹脂管等の材料で構成されるものであってよい。
【0019】
図1に示すコイル成形体10すなわちコイル用線材12は、十分な剛性や弾性を有する材料、たとえばアルミニウム合金、鋼またはステンレス鋼などの金属、合成樹脂、ならびにGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの繊維強化プラスチックを素材として形成され、この実施例では、コイル成形体10の素材としてGFRPが使用される。
【0020】
コイル成形体10は、長さ方向に直交する断面が横長の長方形状のコイル用線材12を巻芯(図示せず)などに螺旋状に巻回することによって円筒状に形成される。ただし、コイル成形体10の成形方法は特に限定されず、繊維強化プラスチック管に螺旋状に切り込みを入れることによってコイル成形体10を形成するようにしてもよいし、専用の金型に樹脂等を流し込んで成形するようにしてもよい。コイル成形体10の呼び径は、上述のように既設管の内径に対応するサイズに設定される。
【0021】
図2を参照して、実施例のライニング工法に用いられる掻き寄せ機20は、側面が変形の8角形に形成されている本体22を含み、この本体20の下面(実際には、変形8角形の2面)と上面に、それぞれ軸方向に1対の、固定脚24が設けられる。それぞれの固定脚24は固定パッド24aとその固定パッド24aを径方向に出没させるエアシリンダ24bを含む。固定パッド24aはたとえばウレタン樹脂のような弾性樹脂で形成されるが、金属で作ってもよい。固定脚24は、本体22すなわち掻き寄せ機20を、敷設済みのコイル成形体10の内部の軸方向の適宜の位置に固定するためのものである。つまり、エアシリンダ24bを付勢するとそれのピストンロッドが径方向に押し出され、そのピスンロッドの先端に固着されている固定パッド24aが径方向に変位する。したがって、固定パッド24aがコイル成形体の内面に強く押し付けられ、その結果反力が生じ、掻き寄せ機20がコイル成形体の内部の軸方向の適宜の位置に固定される。
【0022】
固定脚24が設けられた下側の2面には、軸方向において固定脚24より内側に、それぞれ1対の、車輪26が取り付けられる。この車輪26は掻き寄せ機20を、敷設済みのコイル成形体の内部を通って軸方向に移動させるためのものである。車輪26は金属製でもよいが、ウレタン樹脂のような弾性樹脂で作られている。
【0023】
本体22には、本体内部から後方に突出する比較的長いストロークを有するエアシリンダ28が設けられ、このエアシリンダ28のピストンロッド30は本体22の前方へ突出し、エアシリンダ28を第1ポート(図示せず)から付勢するとこのピストンロッド30が本体22の前方へ押し出され、第2ポート(図示せず)から付勢するとピストンロッド30が後方へ戻される。このように軸方向に変位するエアシリンダ28のピストンロッド30は軸方向に伸縮する軸方向アームとして機能し、それの先端には、取り付け部34によって、掻き寄せヘッド32が取り付けられる。
【0024】
掻き寄せヘッド32は、取り付け部34の上下に取り付けられた、掻き寄せアーム36を含む。それぞれの掻き寄せアーム36は、取り付け部34に固着されたエアシリンダ38とこのエアシリンダ38のピストンロッド40(これは径方向に伸縮する径方向アームである。)の先端に固着された掻き寄せ部42を含む。掻き寄せ部42はたとえば有底の4角筒を含み、その4角筒をピストンロッド40に被せるように配置し、その底部をピストンロッド40の先端に固着している。エアシリンダ38を付勢するとピストンロッド40すなわち掻き寄せ部42が径方向へ押し出され、消勢するとピストンロッド40すなわち掻き寄せ部42が元に戻される。
【0025】
そして、エアシリンダ38を付勢した状態で、掻き寄せ部42をコイル用線材12の後面に当接させ、ピストンロッド30を後退させることによって、コイル用線材を本体22方向へ掻き寄せることができる。
【0026】
なお、掻き寄せ部42の両側には
図2(b)からよくわかるように、車輪44が取り付けられる。この車輪44は、上述の車輪26と同様に、金属製でも樹脂製でもよい。車輪44はエアシリンダ38を付勢して掻き寄せアーム36を径方向外方に伸ばした状態で既設管の内面に接触することによって、その状態で掻き寄せアーム36を安定させるという役目を果たすとともに、ピストンロッド30がその先端の掻き寄せヘッド32の大きな荷重によって撓むのを防止する。また、
図7に示すように、エアシリンダ28のピストンロッド30によって掻き寄せ部42を軸方向に後退させるとき、車輪44により、スムーズな掻き寄せができる。
【0027】
なお、実施例では
図2のような掻き寄せ機20を利用するが、掻き寄せ機の具体的な構成は
図2実施例のものに限られるものではないことを指摘しておく。
【0028】
図3に示すように、たとえばヒューム管のような既設管100は、第1マンホール102と第2マンホール104との間(1区間)の地中に埋設される。そして、第1マンホール102内にローラ106を一時的に設置して、このローラ106を介してロープ108を地上に設置されたウィンチ(図示せず)に結ぶ。ローラ106はたとえば、第1マンホール102の上端開口縁に引っ掛けた部材にローラ106を設けておく、という方法で第1マンホール102内に一時的に設置できる。そして、ロープ108の後端には、たとえば第2マンホール104内において、先導管110が連結され、この先導管110が既設管100内に第2マンホール104から導入される。
【0029】
そして、地上から第2マンホール104内に
図1の長尺のコイル成形体10を投入し、先導管110の後ろに
図1に示すコイル成形体10のコイル用線材12の先端を連結し、その状態でロープ108を第1マンホール102側から引っ張る。応じて、先導管110が第1マンホール102側へ引き込まれ、それに連結されているコイル成形体10のコイル用線材12の先端も第1マンホール102側へ引き込まれる。このとき、先導管110をロープ108で単純に軸方向に引っ張るだけなので、先導管110やコイル成形体10に何らの回転力も与えられない。他方で、コイル成形体10のコイル用線材12の先端を引っ張ることで、
図3に示すように、コイル用線材12の螺旋のピッチが大きく(疎らに)なり、結果的にコイル成形体10が縮径される。したがって、ロープ108を引っ張れば、コイル成形体10を縮径させて既設管100内に引き込むことができる。
【0030】
発明者等の実験では、コイル用線材12の先端をロープ108で引っ張ったとき、コイル成形体10の外径はたとえば450mmから400mm程度に縮径され、コイル成形体10の螺旋のピッチが60‐70cmとなり、既設管100内の段差や屈曲、横ずれなどをスムーズに通過した。ただし、引き込み速度は3m/分程度とした。
【0031】
ついで、引き込んだコイル成形体10の先端側(第1マンホール102の直近)のコイル用線材12を、たとえば第1マンホール102に入った作業者が図示しないフックなどの治具を用いて、掻き寄せる。
【0032】
そして、作業者が掻き寄せたコイル成形体10の部分に
図4に示すように、
図2に示す掻き寄せ機20を第1マンホール102から導入して載せ、エアシリンダ24bを付勢して固定パッド24aをコイル成形体10の内面に押し付けて、掻き寄せ機20の本体22を敷設したコイル成形体10の内部に固定する。
【0033】
その後、
図5に示すように、エアシリンダ28(
図2)を第1ポートから付勢してピストンロッド30を既設管100内の前方(矢印Aの方向。第2マンホール104に向かう方向。)に押し出す。そうすると、ピストンロッド30の先端に取り付けられている掻き寄せヘッド32が、大きいピッチで開いたコイル用線材12の後方(第2マンホール104側)に移動する。
【0034】
その状態で、次に、
図6に示すように、エアシリンダ38を付勢してピストンロッド40を径方向すなわち矢印B方向に伸ばす。そうすると、掻き寄せ部42が既設管100の内面に接触する程度まで径方向に変位する。
【0035】
その状態で今度は、エアシリンダ28を第2ポートから付勢する。すると、ピストンロッド30が退縮する。応じて、掻き寄せヘッド32が矢印C方向すなわち第1マンホール102に向かう方向に移動する。上述のように掻き寄せ部42が既設管100の内面に接触する程度まで伸びているので、掻き寄せヘッド32が矢印C方向に移動するとき、
図6に示すように、掻き寄せ部42がコイル用線材12の後端面に当接した状態のまま、移動することになり、掻き寄せヘッド32の矢印C方向へのさらなる移動に応じて、コイル用線材12が、既に掻き寄せられて既設管100の内面に密着して敷設されているコイル成形体10の端部に当たる。つまり、コイル用線材12が掻き寄せられ、コイル用線材12の間隔(螺旋のピッチ)を詰めながら、既設管100の内面に配置される。
【0036】
そして、コイル用線材12をこのように掻き寄せる都度、第2マンホール104内や地上に残っているコイル成形体10が、その掻き寄せのためのエアシリンダ28の拘引力によって、既設管100内に引き込まれる。
【0037】
その後、掻き寄せアーム36すなわちピストンロッド40を縮めて、
図5に示すように、掻き寄せヘッド32をさらに前方へ移動させ、
図6および
図7の工程を実行する。つまり、
図5‐
図7の工程を繰り返し実行する。
【0038】
ただし、掻き寄せ工程を数回実行した後には、本体22の固定を一旦解除して、掻き寄せ機20を適宜の位置まで前進させて、
図4に示すように、本体22を再び固定する作業が必要となる。
【0039】
そして、第1マンホール102から第2マンホール104まで掻き寄せを繰り返すことによって、
図8に示すように、1区間の既設管100の内面にコイル成形体10を隙間なく敷設する。
【0040】
この実施例によれば、コイル成形体10に回転力を与えずコイル用線材12の先端を引っ張るだけなので、コイル成形体10をスムーズに既設管100内に引き込むことができる。そして、先頭側からコイル用線材12を少しずつ掻き寄せることで、コイル用線材間の隙間を詰めてコイル成形体を敷設できる。したがって、既設管内にコイル成形体を効率的に敷設することができる。
【0041】
既設管を更生するためには、
図9に示すように、既設管内に敷設されたコイル成形体10の内面にさらにライニング材をライニングしなければならない。一例として、
図10に示すライニング材50は、縮径加工により周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管である。ライニング材50は、たとえば合成樹脂(ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニル等)や繊維強化プラスチックなどで形成することができるが、実施例では、ポリエチレンのライニング材50を用いる。
【0042】
ライニング材50は、所定の温度に加熱しかつ加圧されることにより円筒形に復元され、コイル成形体10の内面に密着して更生管路(ライニング管)を形成する。ライニング材50は、復元したときの外径がコイル成形体10の内径と等しいか略等しくなるように設定されている。
【0043】
このライニング材50は、公知の種々の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、所定の径で押出成形された直管に対して、軟化点以上融点以下の範囲における所定の温度(この実施例では、たとえば約100℃程度)に加熱して、押し板やローラ等を用いて略U字状の押し込み部分を形成することによって製造される。したがって、ライニング材50を再び軟化点以上融点以下の温度に加熱し内部から加圧することにより、押し込み部分が外面側へ戻されて、ライニング材50は既設管内のコイル成形体10の内部で所定形状(円筒形等)に復元する。
【0044】
なお、上述の実施例では、
図4に示す初期状態では作業者がコイル用線材を掻き寄せるものとして説明した。しかしながら、掻き寄せ機20を第1マンホール102内に設置して、初期状態の掻き寄せを行うようにしてもよい。
【0045】
さらに、上述の実施例では、掻き寄せ機20の掻き寄せヘッド32は、2つの掻き寄せ部42を180°離れた位置に設けたが、120°離れた位置に3つの掻き寄せ部を設けるようにしてもよく、掻き寄せ部の数はそれより多くてもよい。
【0046】
3つの掻き寄せ部を設ける場合、
図11に示すように、順次、2つの掻き寄せ部を同時に作動させると安定してかつ容易に掻き寄せすることができる。
図11の例では、まず、P1の位置とそれから120°離れたP2の位置で同時に掻き寄せることで、P1の位置のコイル用線材12が既に掻き寄せられて既設管100の内面に密着して敷設されているコイル成形体10の端部に当たる。ついで、P2の位置とP2から120°離れたP3の位置で同時に掻き寄せることで、P2の位置のコイル用線材12が既に掻き寄せられて既設管100の内面に密着して敷設されているコイル成形体10の端部に当たる。P3の位置とP3から120°離れたP4の位置で同時に掻き寄せることで、P3の位置のコイル用線材12が既に掻き寄せられて既設管100の内面に密着して敷設されているコイル成形体10の端部に当たる。以下同様に、120°ずらせて2箇所同時に掻き寄せる。このように120°毎に掻き寄せると、一度に掻き寄せる線材の長さ(周方向)が、180°ずらせた実施例の場合より短くなるので、掻き寄せる力(実施例でいえばエアシリンダ28の力)が小さくなり、また、掻き寄せが確実にできる。
【0047】
さらに、1回の掻き寄せ動作で掻き寄せるコイル用線材の数(コイルのターン数)は、エアシリンダ28の拘引力との兼ね合いで任意に設定できる。
【0048】
さらに、実施例の掻き寄せ機20のような機械を用いず、作業者が手で掻き寄せるようにしてもよい。
【0049】
上述の実施例では、エアシリンダ24b、28、38のように、エア駆動のものを用いた。しかしながら、これらは電気駆動のものでも、油圧駆動のものでもよい。
【0050】
また、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。