特開2015-194369(P2015-194369A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-194369(P2015-194369A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】光ファイバセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20151009BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20151009BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
   G01B11/16 G
   G01D5/353 C
   G02B6/02 A
   G02B6/10 C
   G02B6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-71855(P2014-71855)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏和
【テーマコード(参考)】
2F065
2F103
2H150
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065DD04
2F065FF41
2F065FF48
2F065LL02
2F103BA07
2F103BA37
2F103CA04
2F103CA07
2F103EC09
2F103GA14
2H150AC33
2H150AG02
2H150AG18
2H150AG51
2H150AH01
2H150AH38
2H150BB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定対象物に取付けられた場合、測定対象物からの変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達される光ファイバセンサを提供する。
【解決手段】光ファイバセンサ2は、コア2aと、コア2aの周囲を覆うように設けられたクラッド2bと、クラッド2bの周囲を覆うように設けられた保護層2cとを備えるとともに、ファイバブラッググレーティングを有した光ファイバセンサ2であって、外周面に、外周面を覆うように設けられる周囲材料との間の滑り抑制するための節1を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、コアの周囲を覆うように設けられたクラッドと、クラッドの周囲を覆うように設けられた保護層とを備えるとともに、ファイバブラッググレーティングを有した光ファイバセンサであって、
外周面に、当該外周面を覆うように設けられる周囲材料との間の滑り抑制するための節を備えたことを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
節は、保護層の一部が除去された部分にクラッドと一体化するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
クラッドがガラスにより形成され、節が、クラッドのガラスと一体化したガラスにより形成されたことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
節が、測定対象部に取付けられる光ファイバセンサの検知部分の両端に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に取付けられて、測定対象物の温度、歪み、振動等を計測する光ファイバセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:以下FBGと略す)を利用して、温度、歪み、振動等を計測する光ファイバセンサが知られている。即ち、光ファイバセンサは、コアと、コアの周囲を覆うように設けられたクラッドと、クラッドの周囲を覆うように設けられた樹脂コーティング等による保護層とを備えた光ファイバに、入力する光の進行方向に沿ってグレーティング(回折格子)が書き込まれて作製され、光ファイバに書き込まれたグレーティングのピッチが歪みや温度によって変化すると、その変化に応じてグレーティングから光のピーク波長(ブラッグ波長)が変化すること、あるいはグレーティングを透過する光のスペクトルが変化(ディップ光の中心波長が変化)することを利用したセンサである。
当該光ファイバセンサを測定対象物に取付ける場合、光ファイバセンサを例えば接着剤又は溶接を用いて測定対象物に取付けるようにしていた。
例えば、測定対象物に図外の型枠を設置して型枠の成型空間内に光ファイバセンサを配置し、光ファイバセンサの周囲を覆うように成型空間内に接着剤等の合成樹脂を充填して固化させることで、図7(a):図7(b)に示すように、光ファイバセンサ20の周囲を覆うように合成樹脂製の取付部21を形成し、当該取付部21を測定対象物に接着等で取付けることにより、光ファイバセンサ20を測定対象物に取付けるようにしていた。
また、図8に示すように、測定対象物30が金属の場合は、光ファイバセンサ20を溶接31によって測定対象物30に接着するようにしていた(例えば特許文献1;2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−296110号公報
【特許文献2】特開2012−211868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバセンサの周囲を覆う合成樹脂と光ファイバセンサの保護層の周面との接着性や、光ファイバセンサの周囲を覆う溶接母剤と光ファイバセンサの保護層の周面との接着性が十分に確保されず、光ファイバセンサの周囲を覆う接着剤や溶接母剤と光ファイバセンサの保護層の周面とに滑りが発生し、測定対象物からの変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達されないという問題があった。
本発明は、測定対象物に取付けられた場合、測定対象物からの変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達される光ファイバセンサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光ファイバセンサは、コアと、コアの周囲を覆うように設けられたクラッドと、クラッドの周囲を覆うように設けられた保護層とを備えるとともに、ファイバブラッググレーティングを有した光ファイバセンサであって、外周面に、当該外周面を覆うように設けられる周囲材料との間の滑り抑制するための節を備えたので、測定対象物に取付けられた場合、周囲材料と光ファイバセンサの外周面との間の滑りが抑制され、測定対象物からの変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達される。
また、節は、保護層の一部が除去された部分にクラッドと一体化するように設けられたので、節とクラッドとの滑りを抑制でき、測定対象部の変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達されるようになる。
また、クラッドがガラスにより形成され、節が、クラッドのガラスと一体化したガラスにより形成されたので、節とクラッドとの滑りが発生しなくなり、測定対象部の変位情報が光ファイバセンサに正確に伝達されるようになる。
また、節が、測定対象部に取付けられる光ファイバセンサの検知部分の両端に設けられたので、測定対象物に取付けられた場合、測定対象部と光ファイバセンサとが同じ変位で伸縮するようになるので、光ファイバセンサによる正確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(a)は光ファイバセンサを示す図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図(尚、(b):(c)では、断面ハッチングを省略して図示した)。
図2】光ファイバセンサの製作手順を示す図。
図3】光ファイバセンサの製作方法の一例を示す図。
図4】光ファイバセンサに取付部を形成するための型枠を示す斜視図。
図5】取付部付きの光ファイバセンサの形成する方法の一例を示す図。
図6】取付部付きの光ファイバセンサを示す斜視図。
図7】従来例を示す図。
図8】従来例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、実施形態による光ファイバセンサ2は、コア2aと、コア2aの周囲を覆うように設けられたクラッド2bと、クラッド2bの周囲を覆うように設けられた樹脂コーティング等による保護層2cとを備え、保護層2cの一部が除去された部分に充填された充填材による節1を外周面に備えた構成である。
【0008】
即ち、光ファイバセンサ2は、保護層2cの外周面よりも外方に盛り上がるように形成された節1、即ち、当該光ファイバセンサ2の外周面を覆うように設けられることになる合成樹脂や溶接母剤等の周囲材料と当該光ファイバセンサ2の外周面との間の滑り(光ファイバセンサの周方向及び軸方向の滑り)を抑制するための節1を備えた構成である。
【0009】
光ファイバセンサ2は、上述したFBGを備え、FBGを利用して、温度、歪み、振動等を計測するセンサである。
コア2a及びクラッド2bは、光に対して透過率の異なるガラスまたはプラスチックで形成され、コア2aの屈折率とクラッド2bの屈折率とが異なることにより、全反射や屈折により光を中心部のコア2aに伝播させる構造になっている。
【0010】
光ファイバセンサ2は、図2に示すように、節1を備えた光ファイバセンサ2の元になる光ファイバセンサ2A(図2(a)参照)の保護層2cの一部を剥離させた剥離部3を備えた光ファイバセンサ2Bを製作(図2(b)参照)した後、この光ファイバセンサ2Bの剥離部3の周囲を取り囲むように節1が形成された構成(図2(c)参照)である。
【0011】
剥離部3は、例えば、レーザや高周波加熱源などを用いて光ファイバセンサ2A(図2(a)参照)の保護層2cの一部を剥離することにより形成される。
コア2a及びクラッド2bがガラスにより形成されている場合、節1は、クラッド2bのガラスと一体化するように例えば低融点ガラスペーストを用いて形成すれば、節1がクラッド2bに強固に一体化されて形成されるので、節1とクラッド2bとの滑りが発生しなくなる。
節1は、測定対象部に取付けられる光ファイバセンサ2による測定間隔に対応する所定間隔を隔てた2点にそれぞれ設けられている。即ち、節1は、測定対象部に取付けられる光ファイバセンサ2の検知部分の両端に設けられている。
【0012】
従って、光ファイバセンサ2は、測定対象部に取付けられる光ファイバセンサ2の検知部分の両端にそれぞれ節1を備え、光ファイバセンサ2の検知部分が測定対象部に取付けられた場合、光ファイバセンサ2の外周面を覆うように設けられることになる合成樹脂や溶接母剤等の周囲材料と当該光ファイバセンサ2の外周面との間の滑りが抑制されるとともに、節1とクラッド2bとの滑りも発生しない。よって、測定対象部の変位情報が光ファイバセンサ2に正確に伝達され、測定対象部と光ファイバセンサ2とが同じ変位で伸縮するようになるので、光ファイバセンサ2による正確な測定が可能となる。
尚、光ファイバセンサ2は、光ファイバセンサ2Bの剥離部3の周囲を覆う節1を備えているので、クラッド2bの表面に傷やマイクロクラックが発生することを防止できる。
【0013】
上述した節1を備えた光ファイバセンサ2の形成方法の一例を説明する。
まず、例えば図3(a)に示すように、金属面4上に、光ファイバセンサ2の保護層2cの直径に対応した断面半円形の溝5、及び、この溝5の延長方向に沿った測定間隔に対応する所定間隔を隔てた溝5の2地点にそれぞれ節1を形成するための凹部(ディンプル)6を形成した節形成装置を用意する。
そして、上述したように、節1を備えた光ファイバセンサ2の元になる光ファイバセンサ2Aの測定間隔に対応する所定間隔を隔てた2点において、保護層2cを剥離させた剥離部3を備えた光ファイバセンサ2Bを製作する。
そして、この光ファイバセンサ2Bの剥離部3が凹部6に配置されるように光ファイバセンサ2Bを溝5に設置する(3(b)参照)。
そして、凹部6に例えば低融点ガラスを充填して固化させることで、光ファイバセンサ2Bの剥離部3の回りに低融点ガラスによる節1が形成された光ファイバセンサ2が完成する(図3(c)参照)。
尚、低融点ガラスは、融解ののち自己の張力により球状態となり、節1を形成する。節1を形成したガラス球は、クラッド2bの周囲と融体してクラッド2bと一体化するが、クラッド2bとコア2a間の物理的位置関係は保持されるので、コア2a内の全反射が補償される。
【0014】
節1を有した光ファイバセンサ2は、接着剤などで測定対象部に直接設置(接着)してもよい。
また、測定対象部が金属である場合は、節1を有した光ファイバセンサ2を溶接余盛で測定対象部に設置(結合)してもよい。
節1を有した光ファイバセンサ2を、合成樹脂や溶接母剤等の周囲材料で測定対象部に設置した場合、節1が周囲材料と光ファイバセンサ2の外周面との間の滑り(光ファイバセンサの周方向及び軸方向の滑り)を抑制するため、測定対象部の変位情報が光ファイバセンサ2に正確に伝達され、測定対象部と光ファイバセンサ2とが同じ変位で伸縮するようになるので、光ファイバセンサ2による正確な測定が可能となる。
【0015】
また、測定対象物への光ファイバセンサ2の取付作業を容易にするための取付部を光ファイバセンサ2の周囲に形成する場合には、図4乃至図6に示すように、光ファイバセンサ2の周囲に取付部11を形成するための成型装置10を用いて取付部11付き光ファイバセンサ2を形成すればよい。例えば、図4に示すような上下の成型型10A;10Bを用いて成型型10A;10Bを組み合せて形成される成型空間内に節1を有した光ファイバセンサ2を設置し、図外の注入口を介して、図5(a)に示すように、成型空間内に合成樹脂等の周囲材料11Aを充填し、周囲材料11Aが固化した後に、成型型10A;10Bを脱型することにより、図5(b);図6に示すような、節1を有した光ファイバセンサ2の周囲に取付部11が形成された取付部11付き光ファイバセンサ2を形成できる。
【0016】
また、図3(a)に示したような、板面に、光ファイバセンサ2の保護層2cの直径に対応した断面半円形の溝5、及び、この溝5の延長方向に沿った測定間隔に対応する所定間隔を隔てた溝5の2地点にそれぞれ節1を形成するための凹部(ディンプル)6が形成された金属プレートを用意し、この金属プレート上に、図3(b);(c)に示したように、節1を有した光ファイバセンサ2を形成し、この金属プレート上に形成された節1を有した光ファイバセンサ2と当該金属プレートとを溶接で接続することで、取付部としての金属プレート付き光ファイバセンサ2を形成できる。
【0017】
上述した取付部11付き光ファイバセンサ2、取付部としての金属プレート付き光ファイバセンサ2によれば、取付部を備えたことにより、光ファイバセンサ2のハンドリング(取り扱い性)が向上し、測定対象物への光ファイバセンサ2の取付作業が容易になるとともに、光ファイバセンサ2の取付部11を形成する合成樹脂や金属プレートへの溶接母剤等の周囲材料と光ファイバセンサ2の外周面との間の滑りが節1により抑制されるので、測定対象部の変位情報が光ファイバセンサ2に正確に伝達され、測定対象部と光ファイバセンサ2とが同じ変位で伸縮するようになるので、光ファイバセンサ2による正確な測定が可能となる。
【0018】
尚、節を形成する材料としては、上述したようなクラッドのガラスと一体化する低融点ガラスを用いることが好ましいが、クラッドと一体化しやすい材料であれば節を形成する材料は特に限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 節、2 光ファイバセンサ、2a コア、2b クラッド、2c 保護。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8