【実施例】
【0031】
〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
以下のようにして本発明の接触燃焼式ガスセンサXを作製した。
接触燃焼式ガスセンサXにおけるキャップ部40を、円柱状(直径11.3mm、高さ6mm)に形成し、検出素子収容部41aに検出素子10を、補償素子収容部42aに補償素子20をそれぞれ収容した。検出素子側空間部S1および補償素子側空間部S2の容積は、それぞれ6.5mm
3とした。検出素子側開口部41bの孔径は、0.5mm、1mmとしたものをそれぞれ作製した。補償素子側開口部42bの孔径についても、0.5mm、1mmとしたものをそれぞれ作製した。
【0032】
検出素子10は、白金をコイル加工したものに、内層としてアルミナにパラジウムを10wt%担持し、外層としてアルミナに白金・パラジウムを10wt%担持したガス感応部10aを被覆した。当該ガス感応部10aは、直径が0.2mm程度(内層の粒子径0.17mm)の略球形となるように形成した。外層は、1150℃で焼成し、内層は1300℃で焼成した。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1で作製した接触燃焼式ガスセンサXを使用して、連続駆動および間欠駆動においてメタンガス(25%LEL)に対する検出素子10のガス感度に変動が生じるかを調べた。検出素子側空間部S1の容積を6.5mm
3とし、検出素子側開口部41bの孔径を1mmとしたものを使用した(本発明例1)。印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を15秒までの複数の秒数を設定した。
比較例として、検出素子および補償素子を別異のキャップに収容し、検出素子側空間部の容積を127mm
3とし、孔径を1mmとした接触燃焼式ガスセンサを使用した。結果を
図3に示した。
【0034】
この結果、比較例のセンサは、連続駆動および間欠駆動においてガス感度に変化が生じることが確認できたが、本発明例1のセンサは、連続駆動および間欠駆動においてガス感度に変化は認められなかった。従って、本発明例1のセンサのように、検出素子側空間部S1の容積を小さくすることで、ガス感度が安定化するものと認められた。
【0035】
〔実施例3〕
実施例2で使用したセンサを使用して、干渉ガスに対する耐久性を調べた。干渉ガスはヘキサメチルジシロキサン(HMDS)1ppmを使用し、HMDSに0〜60分間暴露させた後に、メタンガス(25%LEL)に対する検出素子10のガス感度に変動が生じるかを調べた。劣化率は、HMDS暴露からの経過時間0分の検出素子10の劣化率を0%として算出した。印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を14秒とした。結果を
図4に示した。
【0036】
この結果、比較例のセンサは、HMDSに60分間暴露した後の劣化率は20%以上であったのに対して、本発明例1のセンサは、HMDSに60分間暴露した後の劣化率は10%程度であった。従って、本発明例1のセンサのように、検出素子側空間部S1の容積を小さくすることで、耐久性が向上するものと認められた。
【0037】
〔実施例4〕
実施例1で作製した接触燃焼式ガスセンサXにおいて、検出素子側開口部41bの孔径を0.5mmとし、検出素子側空間部S1の容積を2.9mm
3、4.2mm
3、6.5mm
3、10.5mm
3、14.6mm
3としたセンサをそれぞれ作製した(本発明例2〜6)。比較例として、検出素子および補償素子を別異のキャップに収容し、検出素子側空間部の容積を127mm
3とし、孔径を0.5mmとした接触燃焼式ガスセンサを使用した。
【0038】
これら本発明例2〜6のセンサおよび比較例のセンサにおいて、メタンガス濃度/%LELとガス感度ΔV/mVの関係について調べた。印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を14秒とした。結果を
図5に示した。
【0039】
この結果、本発明例2〜6については同様の結果が得られたが、比較例については本発明例2〜6とは異なる傾向となる結果が得られた。即ち、本発明例2〜6については、メタンガス濃度によるガス感度の変動が、比較例に比べて小さいものと認められた。また、本発明例2〜6については同様の結果が得られているため、これらの検出素子側空間部S1の容積範囲で出力が安定していると考えられた。
【0040】
また、本発明例3,5,6において、干渉ガス(ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)10ppm)に対する耐久性を調べた。HMDSに0〜3時間暴露させた後に、メタンガス(25%LEL)に対する検出素子10のガス感度に変動が生じるかを調べた。劣化率は、HMDS暴露からの経過時間0分の検出素子10の劣化率を0%として算出した。印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を14秒とした。結果を
図6に示した。
【0041】
この結果、本発明例3,5,6のセンサは、HMDSに3時間暴露した後の劣化率は何れも20%未満であった。従って、出力が安定する容積を有する本発明例のセンサにおいては、干渉ガスに対する耐久性が同等であるものと認められた。
【0042】
〔実施例5〕
キャップ部40において、検知素子側開口部41b(補償素子側開口部42b)の長さを種々変更したものを作製し、メタンガス濃度/%LELとガス感度ΔV/mVの関係について調べた。検知素子側開口部41bの長さは、キャップ部40の頂部40bの上面から検出素子収容部41aまでの寸法である。
【0043】
キャップ部40は円柱状(直径11.3mm、高さ6mm)に形成し、検知素子側開口部41bおよび補償素子側開口部42bの孔径を0.5mmとし、検出素子側空間部S1の容積を4.2mm
3とし、さらにガス感応部10aの直径を0.3mm程度となるようにそれぞれ設定した。検知素子側開口部41bの長さは、0.5mm、1.0mm、2.0mm、5.0mmとした(本発明例7〜10)。
印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を14秒とした。結果を
図7に示した。
【0044】
この結果、本発明例7〜10において、ガス濃度が上昇するに従い、ガス感度も良好に上昇するものと認められた。本発明例7,8(0.5〜1.0mm)であれば特に良好なガス感度を有することが判明した。
【0045】
また、本発明例7〜10において、実施例4の手法に準じて干渉ガス(ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)10ppm)に対する耐久性を調べた。結果を
図8に示した。
【0046】
この結果、本発明例7〜10のセンサは、HMDSに3時間暴露した後の劣化率は何れも40%未満であった。本発明例9,10(2.0〜5.0mm)であれば特に良好な耐久性を有することが判明した。
【0047】
このように感度特性および暴露試験の結果、検知素子側開口部41bの長さは、0.5〜5.0mmであればセンサ性能に影響を与えるものではないと認められた。また両試験結果から、検知素子側開口部41bの長さが1.0〜2.0mmの範囲であれば、感度特性および耐久性のバランスがよく、特に優れていると認められた。尚、本実施例においてガス感応部10aの直径を0.2mmとした場合であっても、同様の結果が得られた(データは示さない)。
【0048】
〔実施例6〕
キャップ部40において、検知素子側開口部41b(補償素子側開口部42b)の開口径を種々変更したものを作製し、メタンガス濃度/%LELとガス感度ΔV/mVの関係について調べた。
【0049】
キャップ部40は円柱状(直径11.3mm、高さ6mm)に形成し、検知素子側開口部41bおよび補償素子側開口部42bの長さを1.0mmとし、検出素子側空間部S1の容積を4.2mm
3とし、さらにガス感応部10aの直径を0.3mm程度となるようにそれぞれ設定した。検知素子側開口部41bの開口径は、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mmとした(本発明例11〜16)。
印加電圧を1.5Vとし、間欠駆動はオン時間を1秒とし、オフ時間を14秒とした。結果を
図9に示した。
【0050】
この結果、本発明例11〜16において、ガス濃度が上昇するに従い、ガス感度も良好に上昇するものと認められた。また、開口径が大きくなるに従い、ガス感度が大きくなることが判明した。
【0051】
また、本発明例11〜16において、実施例4の手法に準じて干渉ガス(ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)10ppm)に対する耐久性を調べた。結果を
図10に示した。
【0052】
この結果、本発明例11〜16のセンサは、HMDSに3時間暴露した後の劣化率は何れも70%未満であった。また、開口径が大きくなるに従い、劣化率が大きくなることが判明した。
【0053】
このように感度特性および暴露試験の結果、検知素子側開口部41bの開口径は、0.5〜1.0mmであればセンサ性能に影響を与えるものではないと認められた。従って、開口径が0.5〜1.0mmの範囲となるように、被検知ガスに適した範囲を選択するとよい。即ち、開口径は0.5〜1.0mmの範囲で被検知ガスによって適宜変更するように運用することが可能である。例えばメタン用のセンサの場合には開口径を0.5〜0.7mmとし、イソブタン用のセンサの場合には1.0mmとすることが可能である。
【0054】
尚、本実施例においてガス感応部10aの直径を0.2mmとした場合であっても、同様の結果が得られた(データは示さない)。