(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-19560(P2015-19560A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】モータ制御器
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20060101AFI20141226BHJP
G05B 21/02 20060101ALI20141226BHJP
【FI】
H02P5/00 R
G05B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-20113(P2014-20113)
(22)【出願日】2014年2月5日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0082850
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】グ・ボン・ヨン
【テーマコード(参考)】
5H004
5H501
【Fターム(参考)】
5H004GA05
5H004HA08
5H004HB08
5H004JB03
5H004JB29
5H004KB01
5H004MA01
5H501BB20
5H501DD01
5H501GG03
5H501HB16
5H501JJ06
5H501JJ12
5H501LL06
(57)【要約】
【課題】クロック生成器の誤差にもかかわらずモータの速度を正確に検出し、該モータを精緻に制御することができるモータ制御器を提供する。
【解決手段】モータ制御器1000は、モータ10と、クロック信号を生成するクロック生成器60と、モータ10の回転によって発生されるパルス信号及びクロック信号に基づいてモータ10の回転速度を検出する速度検出部120と、クロック生成器120から発生される誤差を補償してサンプリング周期を決定するサンプリング周期決定部110とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
クロック信号を生成するクロック生成器と、
前記モータの回転によって発生されるパルス信号及び前記クロック信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、
前記クロック生成器から発生される誤差を補償してサンプリング周期を決定するサンプリング周期決定部と
を含むモータ制御器。
【請求項2】
前記速度検出部は、
前記モータに接続され前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、
前記クロック生成器、前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定部に接続され、前記パルス信号の数をカウントした値を前記サンプリング周期に分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と
を含む請求項1に記載のモータ制御器。
【請求項3】
前記速度演算部は、
前記クロック信号が予め決められた数分経過される時間の間、前記パルスカウンタから提供される前記パルス信号の数を累積演算した値を前記サンプリング周期に分けることを特徴とする請求項2に記載のモータ制御器。
【請求項4】
前記サンプリング周期決定部は、
予め決められた基準信号の一周期の間、前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、
前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、
複数の誤差率各々に対応するサンプリング周期を格納するサンプリング周期格納部と、
前記誤差率演算部で演算された誤差率に対応するサンプリング周期を前記サンプリング周期格納部から抽出して出力するサンプリング周期選択部と
を含む請求項3に記載のモータ制御器。
【請求項5】
前記サンプリング周期決定部は、
予め決められた基準信号の一周期の間、前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、
前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、
予め決められた基準サンプリング周期を前記誤差率演算部で演算した誤差率で分けてサンプリング周期を補正するサンプリング周期補正部とを含む請求項3に記載のモータ制御器。
【請求項6】
前記速度検出部は、
前記モータに接続され、前記クロック信号が予め決められた数分経過される時間の間、前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定部に接続され、前記パルスカウンタから供給された前記パルス信号の数をカウントした値を前記サンプリング周期に分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部とを含む請求項1に記載のモータ制御器。
【請求項7】
前記サンプリング周期決定部は、
予め決められた基準信号の一周期の間、前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、
前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、
複数の誤差率各々に対応するサンプリング周期を格納するサンプリング周期格納部と、
前記誤差率演算部で演算された誤差率に対応するサンプリング周期を前記サンプリング周期格納部から抽出して出力するサンプリング周期選択部と
を含む請求項6に記載のモータ制御器。
【請求項8】
前記サンプリング周期決定部は、
予め決められた基準信号の一周期の間、前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、
前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、
予め決められた基準サンプリング周期を前記誤差率演算部で演算した誤差率で分けてサンプリング周期を補正するサンプリング周期補正部と
を含む請求項6に記載のモータ制御器。
【請求項9】
前記モータ回転の基準速度を提供する基準速度生成部と、
前記速度検出部で検出された前記モータの回転速度と前記基準速度との差の値を演算して出力する減算器と、
前記減算器から出力される値によって前記モータの回転速度を制御する速度制御器と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御器。
【請求項10】
前記基準速度生成部にパルス幅変調信号を提供するPWM信号発生部をさらに含み、
前記PWM信号発生部は、前記サンプリング周期決定部に予め決められた基準信号を供給することを特徴とする請求項9に記載のモータ制御器。
【請求項11】
モータと、
クロック信号を生成するクロック生成器と、
前記クロック生成器の誤差を補償してサンプリング周期を決定するサンプリング周期決定部と、
前記モータの回転によって発生されるパルス信号を前記サンプリング周期決定部によって決まったサンプリング周期の間、カウントして前記モータの回転速度を検出する速度検出部と
を含むモータ制御器。
【請求項12】
前記サンプリング周期決定部は、
前記クロック生成器に予め決められた正常状態でのクロック信号周波数を基準に、前記クロック生成器から供給されたクロック信号周波数の誤差率を演算し、該誤差率によって補償された前記サンプリング周期を決定することを特徴とする請求項11に記載のモータ制御器。
【請求項13】
前記サンプリング周期は、予め決められた時間の間、前記クロック生成器が生成するクロック信号のピーク数によって定義されることを特徴とする請求項12に記載のモータ制御器。
【請求項14】
前記速度検出部は、
前記モータに接続され前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、
前記クロック信号のピークが、前記サンプリング周期によるクロック信号のピーク数分経過される間、前記パルスカウンタから提供されるパルス信号の数を累積演算した値を前記予め決められた時間で分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と
を含む請求項13に記載のモータ制御器。
【請求項15】
前記速度検出部は、
前記モータ及び前記クロック生成器に接続され、前記サンプリング周期によるクロック信号のピーク数分前記クロック信号のピークが経過される間、前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定部に接続され、前記パルスカウンタから供給された前記パルス信号の数をカウントした値を前記予め決められた時間で分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と
を含む請求項13に記載のモータ制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの現速度を検出後、要求される基準速度でモータが回転するようにモータの速度を制御する。
【0003】
そのため、モータの速度を精緻に制御するためには、モータの速度を精緻に把握するのが必須である。
【0004】
モータの速度を検出する方式にはさまざまがあるが、そのうち、代表的な方法として、モータの回転によるパルスの数を一定な周期にて演算して速度を検出する方式がある。
【0005】
この方式を使う場合、正確な周期の間のパルスの数を正確にカウントしなければ、モータの速度を精緻に把握することができない。
【0006】
一方、各種集積回路を用いてモータの速度を検出する場合は、別途のクロック生成器(オシレータ:OSC)からクロックを受けて、所定の周期にあたる時間を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2007-0095606号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2009-0084045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、クロック生成器それ自体に誤差が存在する場合、該当クロック生成器が提供したクロックを用いて時間を認識すると、周期に誤差が生じて、モータの速度検出の正確性が低下するという不都合がある。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、クロック生成器の誤差にもかかわらずモータの速度を正確に検出し、該モータを精緻に制御することができるモータ制御器を提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決するために、本発明の一形態によるモータ制御器は、モータと、クロック信号を生成するクロック生成器と、前記モータの回転によって発生されるパルス信号及び前記クロック信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、前記クロック生成器から発生される誤差を補償してサンプリング周期を決定するサンプリング周期決定部と、を含む。
【0011】
前記速度検出部は、前記モータに接続され前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、前記クロック生成器、前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定部に接続され、前記パルス信号の数をカウントした値を前記サンプリング周期に分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と、を含む。
【0012】
また、前記速度演算部は、前記クロック信号が予め決められた数分経過される時間の間、前記パルスカウンタから提供される前記パルス信号の数を累積演算した値を前記サンプリング周期に分ける。
【0013】
また、前記サンプリング周期決定部は、予め決められた基準信号の一周期の間前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、複数の誤差率各々に対応するサンプリング周期を格納するサンプリング周期格納部と、前記誤差率演算部で演算された誤差率に対応するサンプリング周期を前記サンプリング周期格納部から抽出して出力するサンプリング周期選択部と、を含む。
【0014】
また、前記サンプリング周期決定部は、予め決められた基準信号の一周期間前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、予め決められた基準サンプリング周期を前記誤差率演算部で演算した誤差率で分けてサンプリング周期を補正するサンプリング周期補正部と、を含む。
【0015】
前記速度検出部は、前記モータに接続され、前記クロック信号が予め決められた数分経過される時間の間前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定部に接続され、前記パルスカウンタから供給された前記パルス信号数カウント値を前記サンプリング周期に分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と、を含む。
【0016】
前記サンプリング周期決定部は、予め決められた基準信号の一周期間前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、複数の誤差率各々に対応するサンプリング周期を格納するサンプリング周期格納部と、前記誤差率演算部で演算された誤差率に対応するサンプリング周期を前記サンプリング周期格納部から抽出して出力するサンプリング周期選択部と、を含む。
【0017】
また、前記サンプリング周期決定部は、予め決められた基準信号の一周期間前記クロック信号をカウントするクロックカウンタと、前記クロックカウンタでカウントされたクロック数と基準クロック数とを比較して誤差率を演算する誤差率演算部と、予め決められた基準サンプリング周期を前記誤差率演算部で演算した誤差率で分けてサンプリング周期を補正するサンプリング周期補正部と、を含む。
【0018】
また、本発明の一形態によるモータ制御器は、前記モータ回転の基準速度を提供する基準速度生成部と、前記速度検出部で検出された前記モータの回転速度と前記基準速度との差値を演算して出力する減算器と、前記減算器から出力される値によって前記モータの回転速度を制御する速度制御器と、をさらに含む。
【0019】
前記基準速度生成部にパルス幅変調信号を提供するPWM信号発生部とをさらに含み、前記PWM信号発生部は前記サンプリング周期決定部に予め決められた基準信号も提供する。
【0020】
また、上記目的を解決するために、本発明の他の形態によるモータ制御器は、モータと、クロック信号を生成するクロック生成器と、前記クロック生成器の誤差を補償してサンプリング周期を決定するサンプリング周期決定部と、前記モータの回転によって発生されるパルス信号を前記サンプリング周期決定部によって決まったサンプリング周期の間カウントして前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、を含む。
【0021】
前記サンプリング周期決定部は、前記クロック生成器に予め決められた正常状態でのクロック信号周波数を基準に、前記クロック生成器から供給されたクロック信号周波数の誤差率を演算し、該誤差率によって補償された前記サンプリング周期を決定する。
【0022】
また、前記サンプリング周期は予め決められた時間の間前記クロック生成器が生成するクロック信号のピーク数によって定義される。
【0023】
また、前記速度検出部は、前記モータに接続され前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、前記クロック信号のピークが、前記サンプリング周期によるクロック信号のピーク数分経過される間前記パルスカウンタから提供されるパルス信号の数を累積演算した値を前記予め決められた時間で分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と、を含む。
【0024】
また、前記速度検出部は、前記モータ及び前記クロック生成器に接続され、前記サンプリング周期によるクロック信号のピーク数分前記クロック信号のピークが経過される間前記パルス信号の数をカウントするパルスカウンタと、前記パルスカウンタ及び前記サンプリング周期決定補に接続され、前記パルスカウンタから供給された前記パルス信号数カウント値を前記予め決められた時間で分けて前記モータの回転速度を演算する速度演算部と、を含む。
【発明の効果】
【0025】
従って、本発明によれば、クロック生成器の誤差にもかかわらず、正確なモータ速度の測定が可能なので、モータの回転速度を精緻に制御することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態によるモータ制御器を概略的に示す図面である。
【
図2】パルス信号とサンプリング周期との関係を説明するための図面である。
【
図3】クロック信号と基準信号との関係を説明するための図面である。
【
図4】本発明の一実施形態によるモータ制御器のサンプリング周期決定部を概略的に示す図面である。
【
図6】本発明の一実施形態によるモータ制御器を概略的に示す図面である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるモータ制御器を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0028】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000を概略的に示す図面である。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000は、モータ10、クロック生成器60、速度検出部120及びサンプリング周期決定部110を含む。
【0031】
また、モータ制御器1000は速度制御器20、減算器30、基準速度生成部40、PWM信号発生部50及び選択部をさらに含む。
【0032】
モータ10は、電気エネルギーなどを供給されて回転運動を発生するもので、一般的なモータによって具現される。このモータ10に供給される電流または電圧を調節することによってモータ10の速度が制御される。
【0033】
一方、モータ10を精緻に制御するため、まずモータ10の現在回転速度を確認しなければならない必要があり、このため、モータ10の回転によるパルス信号を利用する。
【0034】
モータ10の回転によるパルス信号は、ホールセンサー(Hall sensor)、エンコーダーなどを用いて生成する。モータ10の回転速度は時間当りパルス数で検出する。
【0035】
すなわち、モータ10の回転速度を分当たり回転数(RPMM)で検出したい場合、分当たり回転数は60秒×サンプリング時間間のパルス信号数)/(サンプリング時間×モータ101の回転当たりパルス数)で計算することができる。
【0036】
したがって、この方式によってモータ10の回転速度を計算したい場合、パルス信号の数を所定の時間の間サンプリングし、該サンプリングされたパルス信号の数をサンプリング時間で分ける方式によってモータ10の速度を検出することができる。
【0037】
速度検出部120は演算装置(processor)によって具現される。これらの演算装置は、サンプリング時間をデータ値として受けて速度検出に適用する。しかし、該サンプリング時間が経過される物理的な時間の流れやその始まり及び終りはその自体では認知することができない。そのため、別途のクロック生成器60から提供されるクロック信号のピークをカウントする方式でサンプリング時間の経過を認知するのが一般的である。
【0038】
図2は、パルス信号とサンプリング周期との関係を説明するための図面である。
【0039】
図2から、所定のサンプリング時間間、パルス信号がいくつ発生したかをカウントし、モータ10の回転速度は「カウントされたパルス信号の数/サンプリング時間」に比例することが理解することができる。
【0040】
モータ10の速度を正確に検出するためには、パルス信号を正確にカウントすることも重要であるが、速度演算を担当する演算装置にサンプリング時間を正確に反映する必要がある。一方、モータ10を含む各種器機においては、時間やタイミングを見積るためにクロック生成器60を使うのが一般的である。
【0041】
しかし、クロック生成器60その自体に誤差が存在する場合がある。このような誤差が存在するクロック生成器60が出力したクロック信号を用いてサンプリング時間を決定する場合、該当サンプリング時間を適用して測定されたモータ10の速度も誤差を有することになる。以下では、前述のサンプリング時間をサンプリング周期として表現する。
【0042】
このような問題を解決するために、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000では、サンプリング周期決定部110及び速度検出部120がクロック信号の誤差を補償するようにした。
【0043】
詳しくは、サンプリング周期決定部110は、クロック生成器60が発生したクロック信号の誤差を反映してサンプリング周期を決め、速度検出部120は誤差が補償されたサンプリング周期を用いてモータ10の回転速度を検出することによって、クロック生成器60に誤差が存在する場合にもより正確にモータ10の回転速度を検出することができる。
【0044】
サンプリング周期決定部110は、所定の基準信号を用いてクロック信号の誤差の有無及び誤差率を導出する。
【0045】
図3は、クロック信号と基準信号との関係を説明するための図面である。
【0046】
図3に示すように、基準信号の一周期の間、クロック信号が何度発生したかをカウントすることができる。
【0047】
例えば、クロック生成器60から発生されるクロック信号の周波数が1MHzで、基準信号の周波数が20KHzと仮定すると、基準信号一周期の間50個のクロック信号が発生しなければならない。ところが、基準信号一周期の間発生されたクロック信号が55個というと、該クロック生成器60は正常なクロック生成器60に比べて10%早い速度でクロックを生成することと理解される。これに対して、基準信号一周期の間発生されたクロック信号が45個というと、該クロック生成器60は正常なクロック生成器60に比べて10%遅い速度でクロックを生成することと理解される。
【0048】
このような原理でクロック生成器60の誤差率を導出することになる。
【0049】
図4は、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000のサンプリング周期決定部110を概略的に示す図面である。
【0050】
図4に示すように、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000のサンプリング周期決定部110は、クロックカウンタ111、誤差率演算部112、サンプリング周期格納部114及びサンプリング周期選択部113を含む。
【0051】
まず、クロックカウンタ111は、クロック生成器60から発生されたクロック信号を所定の基準信号一周期の間カウントし、該カウントされたクロック数を誤差率演算部112に提供する。
【0052】
所定の基準信号は、
図1に表示されたPWM信号発生部50から受けるか、別途の外部装置から受ける信号である。また、
図1に示すように、モータ制御器1000に別途の選択器140がさらに具備される場合、PWM信号発生部50及び別途の外部装置から供給された外部基準信号130の中から必要によって適合な信号を選択してもよい。
【0053】
次に、誤差率演算部112は、クロックカウンタ111から供給されたカウントされたクロック数Cnを基準クロック数Crと比較して誤差率Errを演算する。例えば、カウントされたクロック数Cnを基準クロック数Crで分けた値を誤差率Errとして定義する。
【0054】
ここで、基準クロック数は基準信号及び正常な場合のクロック信号を考慮して予め決められた値であって、前述の例のようにクロック信号の周波数が1MHzで、基準信号の周波数が20KHzである場合に、基準クロック数が50になる。
【0055】
次に、サンプリング周期格納部114は、異なって設定された複数のサンプリング周期を格納する役目をする。複数のサンプリング周期は前述の誤差率に対応する。例えば、誤差率1.1に対応する第1のサンプリング周期Tc1、誤差率0.9に対応する第2のサンプリング周期Tc2などとして適用される。誤差率が1の場合、これはクロック信号に誤差がない場合を表すので、正常なサンプリング周期と同じ基準サンプリング周期Tcrに対応する。
【0056】
誤差率を0.1単位で区分して各々対応するサンプリング周期を格納する場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、必要によってより小さい誤差率単位で区分して各々対応するサンプリング周期を格納するか、より大きい誤差率単位で区分して各々対応するサンプリング周期を格納してもよい。
【0057】
このようなサンプリング周期格納部114は、各種メモリーなどの格納装置によって具現されてもよい。
【0058】
最後に、サンプリング周期選択部113は、誤差率演算部112及びサンプリング周期格納部114に接続され、誤差率演算部112から提供された誤差率に対応するサンプリング周期をサンプリング周期格納部114から抽出して速度検出部120に提供する。
【0059】
図5は、
図4の変形例を概略的に示す図面である。
【0060】
図5に示すように、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000のサンプリング周期決定部110’は、クロックカウンタ111、誤差率演算部112及びサンプリング周期補正部113’を含む。
【0061】
詳しくは、この実施形態によるサンプリング周期決定部110は、サンプリング周期を予め格納しなく、誤差率Err及び基準周期Tcrを用いてサンプリング周期を補正する。
【0062】
クロックカウンタ111及び誤差率演算部112は、
図4を参照して前述の実施形態と同様なので、重複する説明は略することにする。
【0063】
サンプリング周期補正部113’は、所定の基準周期を誤差率で分けて得られる値をサンプリング周期として設定する。この基準周期とは、正常な場合のサンプリング周期を意味し、前述のTcrと同じ値である。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000を概略的に示す図面である。
【0065】
図6に示すように、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000の速度検出部120は、速度演算部122及びパルスカウンタ121を含む。
【0066】
まず、パルスカウンタ121はモータ10に接続され、モータ10の回転時に発生されるパルス信号の数をカウントする。
【0067】
次に、速度演算部122は、パルスカウンタ121がカウントしたパルス信号の数を受けてモータ10の回転速度を演算する。
【0068】
詳しくは、速度演算部122は、パルスカウンタ121から提供されるパルス信号の数を所定の時間の間、累積演算する。
【0069】
速度演算部122は、クロック生成器60に接続されクロック信号を受け、該クロック信号を用いて所定の時間を認識する。すなわち、クロック信号が所定の数分経過される時間の間、パルス信号の数を累積演算する。例えば、正常な場合、クロック生成器60が1MHz周波数でクロックを生成することと仮定すると、クロック信号が20回生成される時間の間、パルス信号の数を累積演算する。
【0070】
この場合、クロック生成器60が正常の場合、クロック信号が20回生成される時間は20μsになる。しかし、クロック生成器60に誤差があると、クロック信号が20回生成される時間は20μsより大きいか小さくなる。すなわち、速度演算器122はクロック生成器60が提供するクロック信号の数だけで時間を認識してパルス信号の数を導出するが、このパルス信号の数を時間で分ける過程でクロック生成器60の誤差を無視し、20μsをそのまま代入してモータ10の回転速度を演算すると、回転速度その自体に誤差が発生することになる。
【0071】
したがって、本発明の一実施形態によるモータ制御器1000では、速度演算部122がクロック信号を用いてパルス信号の数を獲得するが、パルス信号を分けるのに使われる時間は前述のサンプリング周期生成部で誤差が補償されて決まるサンプリング周期を適用するようにした。
【0072】
例えば、1MHz規格のクロック生成器60が正常より10%早くクロック信号を生成する誤差を有し、20回のクロック信号を基準にパルス信号の数を累積演算する場合、サンプリング周期決定部110から出力されるサンプリング周期は基準サンプリング周期の20μsではなく、18.1818μsになる。
【0073】
よって、クロック生成器60が10%早くクロック信号を生成する誤差を有する場合にも、速度検出部120は元々のクロック信号数である20回が経過される時間間パルス信号の数を導出するが、サンプリング周期を10%短い時間に補正することによって、クロック生成器60の誤差を補償して正確なモータ10の回転速度を演算するようになる。
【0074】
図7は、本発明の他の実施形態によるモータ制御器2000を概略的に示す図面である。
【0075】
図7に示すように、
図6を参照して前述の実施形態と異なり、この実施形態によるモータ制御器2000の速度検出部220は、パルスカウンタ221がクロック生成器60に接続されクロック信号を受け、速度演算部222はサンプリング周期決定部110で決まったサンプリング周期及びパルスカウンタ221でカウントされたパルス信号の数だけを受ける点で差がある。
【0076】
詳しくは、この実施形態によるパルスカウンタ221は、モータ10の回転によって発生されるパルス信号をカウントするが、クロック信号のピークが予め決められた数分経過される時間間パルス信号の数を累積してカウントする。そして、速度演算部222は、サンプリング周期決定部110から提供されるサンプリング周期でパルスカウンタ221から提供された値を分けてモータ10の回転速度を演算する。
【0077】
その他は、前述と同じであるため、重複する説明は省略することにする。
【0078】
以上においては、クロック信号のピーク個数を基準にパルス信号の数を検出することを前提に、クロック生成器60の誤差を反映して経過時間を補償する場合について説明した。
【0079】
しかし、経過時間を補償することなく、すなわち元々設定された経過時間をそのまま適用しながら、クロック生成器60の誤差を反映してサンプリングに活用するクロック信号のピーク個数を補償してもよい。
【0080】
詳しくは、クロック生成器60の誤差を補償して決まるサンプリング周期(予め決められた時間の間、クロック生成器60が生成するクロック信号のピーク数)によるクロック信号のピーク数が経過される時間の間パルス信号をカウントし、該カウント値を予め決められた時間で分けてモータ10の回転速度を検出する。
【0081】
例えば、前述の仮定において、サンプリング時間を20μsに固定した状態で、20回のクロック信号ではない22回のクロック信号で、10%増加させて該クロック信号が経過される時間の間パルス信号の数を累積演算し、サンプリング時間の20μsで分けると、前述の原理と同様な方式でクロック生成部の誤差を補償してモータ10の回転速度を正確に演算するようになる。
【0082】
本発明の一実施形態によるモータ制御器2000は、基準速度生成部40、減算器30、速度制御器20、PWM信号発生部50及び選択部をさらに含む。
【0083】
速度制御器20はモータ10の回転速度を制御するもので、モータ10に提供される電流または電圧を調節することによって回転速度を制御する。
【0084】
基準速度生成部40は、使用者またはモータ10が含まれる装置の環境によって要求されるモータ10の回転速度である基準速度を生成して出力するもので、速度制御器20がモータ10の速度を制御して到逹しようとする目標値を提供する。
【0085】
詳しくは、速度検出部120がモータ10の現在回転速度を検出すると、基準速度との差を反映して速度制御器20がモータ10を制御するようになる。基準速度生成部40の出力端と速度検出部120の出力端とは減算器30の入力端に接続され、減算器30の出力端は速度制御器20の入力端に接続される。
【0086】
基準速度制御器20にはPWM信号発生部50が接続され、PWM信号発生部50はサンプリング周期決定部110へ基準信号Srをも提供する。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
10 モータ
20 速度制御器
30 減算器
40 基準速度生成部
50 PWM信号発生部
60 クロック生成器
110、110’ サンプリング周期決定部
111 クロックカウンタ
112 誤差率演算部
113 サンプリング周期選択部
113’ サンプリング周期補正部
114 サンプリング周期格納部
120、220 速度検出部
121、221 パルスカウンタ
122、222 速度演算部
130 外部基準信号
140 選択器
1000、2000 モータ制御器