【課題】クランプ装置において、駆動部の出力が得られなくなった場合でも、ワークのクランプ状態を容易に解除できると共に、様々な形状のワークに対応させクランプ可能とする。
【解決手段】クランプ装置10では、ボディ12の側方に突出するように支持体20が設けられると共に、前記支持体20に臨むようにクランプアーム16が回動自在に設けられている。この支持体20は、水平方向に延在する支持部34が前記ボディ12の連結孔22に対して着脱自在に設けられ、一方、クランプアーム16の端部には、一組のアーム部100a、100b同士を連結する連結体102が着脱自在に設けられている。また、ボディ12には、クランプアーム16がクランプ状態でロックされた際に解除するクランプ解除機構28が設けられており、前記ボディ12に収納された駆動力伝達機構18のジョイント80を駆動部14側へと押圧可能に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなクランプ装置では、例えば、何らかの原因で駆動部からの出力が停止してしまい、クランプアームによってワークをクランプしたままの状態でロックしてしまうことがある。その結果、クランプされているワークを取り外せないが、前記ワークのクランプ状態を解除して該ワークを取り外したいという要請がある。
【0006】
また、形状の異なるワークをクランプする場合には、例えば、クランプアームの長さの異なる別のクランプ装置を準備する必要があり、その設備投資が増加してしまう。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、駆動部の出力が得られなくなった場合でも、ワークのクランプ状態を容易に解除できると共に、様々な形状のワークに対応させクランプ可能なクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、クランプアームを回動させることでワークを把持するクランプ装置であって、
ボディと、
圧力流体の供給作用下に軸方向に沿って変位するピストンを有した駆動部と、
ボディの内部に設けられ、駆動部に連結されたジョイントを有し、駆動部の軸方向に沿った直線変位を回動変位へと変換することで駆動部の駆動力をクランプアームへと伝達する駆動力伝達機構と、
ボディに対して着脱自在に設けられ、クランプアームとの間でワークを把持する支持体と、
ワークのクランプ時においてクランプアームによるクランプ状態を解除可能なクランプ解除機構と、
を備え、
クランプアームは、ボディに対して回動自在に支持される一組のアーム部と、アーム部の端部同士を連結する連結体とを有し、連結体がアーム部に対して着脱自在に設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、クランプアームの回動作用下にワークを把持可能なクランプ装置において、ボディの内部に駆動部の駆動力をクランプアームへと伝達する駆動力伝達機構が設けられ、ボディにはクランプアームとの間にワークを把持する支持体が着脱自在に設けられる。また、クランプ解除機構によって、クランプ時におけるワークのクランプ状態を解除可能としている。
【0010】
従って、ボディに対して支持体を着脱自在に設け、クランプアームに対して連結体を着脱自在に設けることにより、ワークの形状や大きさに合わせて支持体及び連結体を適宜交換することで、単一のクランプ装置で様々な大きさのワークに対応させクランプすることが可能となるため、ワークに応じてそれぞれ別のクランプ装置を準備する場合と比較し、その設備投資を抑制することができる。
【0011】
また、ボディには、クランプアームによるワークのクランプ状態において、何らかの原因で駆動部による駆動力が停止された場合でも、図示しない作業者がクランプ解除機構を操作することで、手動で強制的にクランプ状態を解除することが可能となるため、ワークのクランプ状態を解除して該ワークを取り出すことが可能となる。
【0012】
さらに、クランプ解除機構は、ジョイント側に向かって移動自在に設けられ、ジョイントを軸方向に沿って押圧可能な解除部材を有しているとよい。
【0013】
さらにまた、解除部材を、ボディに対して螺合させ回転させることでジョイントに対して接近・離間自在に設けるとよい。
【0014】
またさらに、支持体及びクランプアームには、ワークを把持する一組の把持体が設けられ、把持体を支持体及びクランプアームに対して着脱自在に設けるとよい。
【0015】
また、把持体を、ワーク側に向かって進退自在に螺合させるとよい。
【0016】
またさらに、駆動部を、ピストンが断面楕円状又は断面長円状に形成され、ピストンの収納されるシリンダボディが断面長方形状に形成された流体圧シリンダとするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
すなわち、クランプアームの回動作用下にワークを把持可能なクランプ装置において、ボディの内部に駆動部の駆動力をクランプアームへと伝達する駆動力伝達機構が設けられ、ボディにはクランプアームとの間にワークを把持する支持体が着脱自在に設けられる。また、クランプ解除機構によって、クランプ時におけるワークのクランプ状態を解除可能としている。そのため、ワークの形状や大きさに合わせて支持体及び連結体を適宜交換することで、単一のクランプ装置で様々な大きさのワークに対応させクランプすることが可能となる。その結果、ワークに応じてそれぞれ別のクランプ装置を準備する場合と比較して設備投資の抑制を図ることができ、しかも、駆動部による駆動力が停止された場合でも、クランプ解除機構を操作することで手動で強制的にクランプ状態を解除してワークを容易に取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るクランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るクランプ装置を示す。
【0021】
このクランプ装置10は、
図1〜
図3に示されるように、中空状のボディ12と、該ボディ12の端部に設けられた駆動部14と、前記ボディ12に対して回動自在に設けられるクランプアーム16と、前記駆動部14の軸方向(矢印A、B方向)に沿った駆動力をクランプアーム16へと伝達する駆動力伝達機構18とを含む。
【0022】
ボディ12は、例えば、所定幅寸法で断面略長方形状に形成され、その一端部が開口し、その開口部を閉塞するように駆動部14が連結されると共に、該開口部と略直交した一側面には支持体20の連結される連結孔22が開口している。そして、ボディ12の内部に形成された収納室24には後述する駆動力伝達機構18が収納される。このボディ12には、連結孔22の開口方向と略直交する側面に一組のボルト孔26が形成されている。
【0023】
また、ボディ12の他側面には、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、クランプアーム16によるクランプ状態を強制解除するためのクランプ解除機構28が設けられている。このクランプ解除機構28は、
図4A及び
図4Bに示されるように、例えば、ボディ12の他側面に対して螺合された解除用ねじ(解除部材)30からなり、前記解除用ねじ30はボディ12の長手方向と略直交するように水平方向(矢印C方向)に沿って設けられ、その先端部がボディ12の内部に挿入されている。
【0024】
そして、ボディ12の外側に配置された操作部32を把持して回転させることで、解除用ねじ30が軸方向(矢印C方向)に沿って進退動作し、後述する駆動力伝達機構18のジョイント80へと先端部を接触させることで駆動部14側(矢印A方向)に向かって押圧する。
【0025】
さらに、ボディ12の一側面側には、断面略T字状の支持体20が着脱自在に設けられている。この支持体20は、ボディ12の一側面に対して側方に突出するように設けられ、ボディ12に対して水平方向(矢印C方向)に突出した支持部34と、前記支持部34に対して略直交して下方(矢印A方向)へと延在した取付部36とを有する。
【0026】
この支持部34は、例えば、所定長さで一直線状に形成され、その一端部に形成された第1調整ピン用ねじ孔38(
図2参照)を介して第1調整ピン(把持体)40が螺合され、該第1調整ピン用ねじ孔38は、支持部34の長手方向と直交する方向に進退自在に設けられる。そして、略半球状に形成された第1調整ピン40の頭部42が上方(矢印B方向)に突出するように設けられている。そして、第1調整ピン40は回転させることで鉛直方向(矢印A、B方向)に移動可能に設けられる。
【0027】
一方、支持部34の他端部には、側方に向かって開口した一組の第1固定用ねじ孔44が形成されている(
図3参照)。すなわち、第1固定用ねじ孔44は、第1調整ピン用ねじ孔38と略直交するように形成される。そして、支持部34は、その他端部がボディ12の側方に開口した連結孔22へと挿入された後、ボディ12のボルト孔26を通じて第1固定用ねじ孔44に固定用ねじ46が挿入され螺合されることで支持体20が前記ボディ12に対して固定される。
【0028】
取付部36は、例えば、支持部34の長手方向(矢印C方向)に沿った略中央部に形成され、該支持部34に対して所定長さだけ下方(矢印A方向)へと突出するように形成されると共に、その端部には前記支持部34と略平行に貫通した取付用ねじ孔48が形成される。この取付用ねじ孔48は、クランプ装置10を製造ライン等で使用する際、他の部材に固定するために設けられている。
【0029】
一方、ボディ12の一側面及び他側面と直交した両側面には、クランプアーム16のアーム部100a、100bが収納される窪み部50がそれぞれ形成され、該窪み部50は前記両側面に対して前記アーム部100a、100bの厚さ分だけ内側に窪んで形成されている。そのため、クランプアーム16のアーム部100a、100bが、ボディ12の両側面から外側に突出することがなく収納される。
【0030】
駆動部14は、例えば、
図2に示されるように、筒状のシリンダチューブ52と、該シリンダチューブ52の内部に変位自在に設けられるピストン54と、該ピストン54に連結されるピストンロッド56と、前記ピストンロッド56を変位自在に支持するロッドカバー58とを有する。
【0031】
シリンダチューブ52は、その中央部に軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したシリンダ室60を有し、前記シリンダチューブ52の一端部がボディ12の端面に当接するように設けられる。そして、シリンダチューブ52の軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した一対の貫通孔(図示せず)に挿通された締結ボルト62が前記ボディ12に対して螺合されることで駆動部14が前記ボディ12に対して連結される。
【0032】
また、シリンダチューブ52の他端部には、シリンダ室60の内部にキャップ64が装着されることで閉塞されている。
【0033】
一方、シリンダチューブ52の側面には、一端部側(矢印B方向)に設けられた第1ポート66と、該第1ポート66に対して所定間隔離間して他端部側(矢印A方向)に設けられた第2ポート68とが形成され、前記第1及び第2ポート66、68を通じてシリンダ室60と外部とが連通する。この第1及び第2ポート66、68は、図示しない配管を介して圧力流体供給源に接続される。そして、図示しない圧力流体供給源から第1ポート66又は第2ポート68に対して選択的に圧力流体が供給され、シリンダ室60へと導入される。
【0034】
ピストン54は、例えば、円盤状に形成され、その外周面には環状溝を介してピストンパッキン70が装着される。そして、ピストンパッキン70がシリンダ室60の内壁面に当接することで、ピストン54とシリンダチューブ52との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0035】
ピストンロッド56は、その一端部がピストン54の中心に形成されたピストン孔に挿通された状態で加締められ一体的に連結される。また、ピストンロッド56の他端部には、環状に窪んだ首部72と、該首部72に対して拡径して先端に形成された拡径部とを有した連結部76が形成され、前記首部72及び拡径部が、後述する駆動力伝達機構18のジョイント80に対して係合されることで一体的に連結される。なお、首部72及び拡径部は、それぞれ異なる直径を有した断面円形状に形成される。
【0036】
ロッドカバー58は、ボディ12に臨むシリンダ室60の開口部に設けられ、該開口部を閉塞すると共に、その中央部に挿通されたピストンロッド56を軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に支持する。なお、ロッドカバー58の内周面には、環状溝を介してロッドパッキン78が装着され、該ロッドパッキン78がピストンロッド56の外周面に摺接することで、シリンダ室60から外部へと圧力流体が漏出することが防止される。
【0037】
駆動力伝達機構18は、
図2及び
図5に示されるように、ボディ12の収納室24に設けられ、ピストンロッド56の他端部に連結されるジョイント80と、前記ジョイント80の上部に回転自在に設けられる一対のローラ82と、前記ローラ82と共に前記ジョイント80に軸支されるリンクアーム84と、前記リンクアーム84とクランプアーム16とを接続するレバーアーム86とを含む。
【0038】
ジョイント80は、断面略長方形状に形成され、その下端部にはピストンロッド56の連結部76が連結される連結凹部88が形成される。この連結凹部88は、ジョイント80の端面側(矢印A方向)及び一側面側に開口するように形成され、該端面側に形成された小径部及び大径部とからなる。
【0039】
そして、ジョイント80の連結凹部88にピストンロッド56の他端部が連結される際、その小径部にピストンロッド56の首部72が係合され、大径部に前記ピストンロッド56の拡径部74が係合される。
【0040】
一方、ジョイント80の上部には、
図2に示されるように、クランプアーム16に臨む側面に、上端部に向かって徐々に先狭状となる傾斜部90が形成され、前記傾斜部90には、クランプアーム16がアンクランプ状態(
図5参照)からクランプ状態(
図2参照)へと回動する際に、レバーアーム86に軸支されたサブローラ92が当接する。
【0041】
また、ジョイント80の上部には、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、前記傾斜部90とは反対側となる側面の角部に所定角度で傾斜した面取部94が形成され、前記面取部94は、前記ジョイント80が最も上昇したクランプアーム16のクランプ時において、クランプ解除機構28の解除用ねじ30に臨む位置に形成される。この面取部94も傾斜部90と同様に上方に向かって徐々に先狭状となるように形成される。そして、
図4Bに示されるように、解除用ねじ30がジョイント80側に向かって移動することで、その先端が面取部94に接触し、前記ジョイント80を下方(矢印A方向)へと押圧する。
【0042】
ローラ82は、ボディ12の軸方向に沿って形成されたローラ溝95に挿入されることで、ジョイント80が移動する際に鉛直方向(矢印A、B方向)に沿って案内され、且つ、回転変位が規制される。
【0043】
また、ローラ82は、ジョイント80の上部に形成されたリンク溝96を介してジョイント80の軸方向に対して直交方向(矢印C方向)に所定距離だけ移動自在に設けられており、該ローラ82と共にジョイント80に軸支されたリンクアーム84の一端部がジョイント80の軸方向に対して直交方向(矢印C方向)に移動自在に設けられている。
【0044】
リンクアーム84は、ジョイント80の上部とレバーアーム86との間に接続され、該リンクアーム84は、前記ジョイント80に対してローラ82と共に軸支されると共に、レバーアーム86に対してリンクピンを介して互いに回動自在に軸支される。そして、リンクアーム84は、ピストンロッド56の直線運動をジョイント80を介してクランプアーム16の回動運動へと変換する。
【0045】
レバーアーム86は、リンクアーム84とクランプアーム16の一端部とを接続し、その途中にはサブローラ92が回転自在に軸支されている。そして、レバーアーム86には、クランプアーム16との接続部位に形成された断面矩形状の支持ピン98(
図1参照)を介して該クランプアーム16が接続され、レバーアーム86の回動作用下にサブローラ92がジョイント80の傾斜部90に当接して回転する。
【0046】
クランプアーム16は、
図1〜
図3に示されるように、例えば、断面U字状でボディ12の外部に設けられ、前記ボディ12の両側面から突出した支持ピン98に連結される一組のアーム部100a、100bと、前記アーム部100a、100bの他端部同士を連結する連結体102とを有する。
【0047】
このアーム部100a、100bは、一端部に断面矩形状の支持ピン98が挿入される支持孔104が形成され、他端部には厚さ方向に貫通した挿通孔106が形成されると共に、前記挿通孔106に対して所定距離だけ離間した段部108が形成される。段部108は、クランプアーム16のクランプ時において、支持体20側(矢印A方向)となる側面に形成され、アーム部100a、100bの延在方向に沿って形成され、且つ、幅方向に切り欠かれた断面略長方形状に形成される。
【0048】
そして、一方のアーム部100aと他方のアーム部100bとがボディ12を挟んで所定間隔離間して設けられ、互いに連結体102によって連結されることで断面U字状となる。
【0049】
連結体102は、例えば、断面略長方形状のブロック体からなり、一方のアーム部100aと他方のアーム部100bとの間に設けられている。この連結体102は、本体部110と、該本体部110に対して幅方向にそれぞれ突出した一対の鍔部112とを有し、前記本体部110には幅方向と直交する方向に沿って第2調整ピン用ねじ孔114が形成されると共に、アーム部100a、100bに臨む両側面にはそれぞれ第2固定用ねじ孔116が形成されている。
【0050】
そして、本体部110は、一方のアーム部100aと他方のアーム部100bとの間に配置され、本体部110の両側面がそれぞれ当接すると共に鍔部112がそれぞれ段部108へ挿入された状態で、前記アーム部100a、100bの挿通孔106に挿通された固定用ねじ118が第2固定用ねじ孔116へとそれぞれ螺合される。これにより、一組のアーム部100a、100bの間に連結体102が一体的に連結される。
【0051】
換言すれば、固定用ねじ118を緩めることでアーム部100a、100bに対して連結体102を自在に脱着することができる。
【0052】
また、本体部110の第2調整ピン用ねじ孔114には第2調整ピン120(把持体)が螺合され、該第2調整ピン120は、その頭部122が略半球状に形成され、前記他端部に対して突出し、且つ、回転させることで前記他端部に対する突出高さを変更可能に螺合されている。そして、第2調整ピン120は、
図2に示されるワークWのクランプ時において支持体20に設けられた第1調整ピン40と対峙するように設けられ、前記クランプアーム16が所定角度だけ回動したクランプ状態において、第1調整ピン40と第2調整ピン120との間にワークWがクランプされ挟持される。
【0053】
なお、上述した説明では、第1及び第2調整ピン40、120が、その頭部42、122が略半球状に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、
図6に示されるクランプ装置130のように、第1及び第2調整ピン132、134の頭部136a、136bを、軸線と直交する平面状とすることで、前記第1調整ピン132と前記第2調整ピン134との間でワークWをクランプする際、前記ワークWに対して前記第1及び第2調整ピン132、134を面接触させクランプすることができる。そのため、ワークWをより一層確実且つ安定的にクランプすることが可能となる。また、ワークに対応して先端が断面V字状に窪んだアタッチメントを用いるようにしてもよい。
【0054】
すなわち、ワークWの形状に応じてクランプアーム16をその都度変更することなく、前記形状に応じた第1調整ピン132及び第2調整ピン134へと交換することで、前記ワークWの形状に関わらず容易にクランプすることができる。
【0055】
また、上述したクランプ解除機構28では、回転作用下に軸方向に沿って進退自在な解除用ねじ30を備える場合について説明したが、
図7Aに示されるクランプ解除機構150のように、前記ボディ12に対して水平方向(矢印C方向)に移動自在に設けられた解除用ピン(解除部材)152と、前記解除用ピン152を前記水平方向に付勢するスプリング154とから構成するようにしてもよい。
【0056】
このクランプ解除機構150を構成する解除用ピン152は、解除用ねじ30と同様に、ボディ12の他側面に対して移動自在に設けられ、その先端部にはジョイント80の面取部94を押圧する押圧部156が形成され、前記ボディ12の内部に挿入されている。押圧部156は、例えば、その端部が略半球状に形成されている。
【0057】
一方、解除用ピン152の他端部には、半径外方向に拡径したフランジ部158が形成され、該フランジ部158は前記ボディ12の外部に配置され、前記フランジ部158と前記ボディ12との間にスプリング154が設けられる。スプリング154は、例えば、螺旋状に形成されたコイルスプリングからなり、フランジ部158をボディ12から離間する方向へと付勢している。
【0058】
そして、図示しない作業者が、解除用ピン152の他端部をスプリング154の弾発力に抗してボディ12側へと押圧することで、
図7Bに示されるように、前記解除用ピン152の押圧部156がジョイント80側へと移動し、前記ジョイント80の面取部94に接触して押圧することで駆動部14側(矢印A方向)に向かって押圧する。
【0059】
また、解除用ピン152に対する押圧を解除すると、スプリング154の弾発力によって前記解除用ピン152がジョイント80から離間する方向へと再び移動して
図7Aに示される状態へと復帰する。
【0060】
このように、
図7A及び
図7Bに示されるクランプ解除機構150では、解除用ピン152に対する押圧力を解除することで容易に初期位置へと復帰させることが可能となるため、ワークWのクランプ状態を解除した後に作業者が初期位置へと復帰させる必要がなく、該クランプ解除状態が誤って維持されてしまうことが回避される。
【0061】
さらに、クランプ解除機構28、150は、上述したようにボディ12の他側面に設けられる場合に限定されるものではなく、例えば、
図8A及び
図8Bに示されるクランプ装置160のように、前記ボディ12の上部に内部まで貫通した孔部162と、前記孔部162を閉塞可能な開閉蓋164とを有したクランプ解除機構166としてもよい。
【0062】
このクランプ解除機構166では、ジョイント80の上面に臨むようにボディ12に孔部162が貫通して形成され、前記孔部162を通じて図示しない作業者が治具等で前記ジョイント80を下方(矢印A方向)へと押圧することが可能である。
【0063】
また、開閉蓋164は、例えば、略矩形状に形成され、その角部がボディ12の上面に対して蓋固定用ボルト168で支持されることで、前記蓋固定用ボルト168を支点として回転自在に設けられている。そして、クランプ解除機構166を使用しない場合には、開閉蓋164によって孔部162を閉塞することで塵埃やスパッタ等が該孔部162を通じてボディ12の内部へと進入することが防止され、一方、前記開閉蓋164を移動させ前記孔部162を開放することで(
図8B中、二点鎖線形状)、該孔部162を通じてクランプ状態の解除を行うことができる。
【0064】
本発明の実施の形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、
図5に示すアンクランプ状態を初期位置として説明する。この初期位置においては、第1ポート66に圧力流体が供給され、ピストン54が下降することで駆動力伝達機構18を介してクランプアーム16が、支持体20に対して略直交するように離間した状態にある。また、ボディ12の支持体20には、薄板状のワークWが予め載置されている状態にある。
【0065】
先ず、
図5に示されるクランプ装置10の初期位置において、図示しない切換装置の切換作用下に圧力流体供給源から第1ポート66へ供給されていた圧力流体を第2ポート68へと供給し、前記第1ポート66は大気開放状態とする。これにより、第2ポート68からシリンダ室60へと導入された圧力流体によってピストン54がボディ12側(矢印B方向)に向かって押し上げられ、ピストンロッド56が一体的に変位する。
【0066】
そして、ピストンロッド56の変位に伴って、ジョイント80がローラ溝95に対するローラ82のガイド作用下に上方(矢印B方向)へと移動し、それに伴って、リンクアーム84が前記ジョイント80に軸支された部位を支点として時計回りに回動し始める。このリンクアーム84の回動と共にレバーアーム86が回動し、該レバーアーム86の回動によってクランプアーム16が支持ピン98を支点として時計回りに所定角度だけ回動する。
【0067】
これにより、
図2に示されるように、クランプアーム16の第2調整ピン120がワークWへと当接し、該ワークWがボディ12に設けられた第1調整ピン40と前記第2調整ピン120との間に挟持されたクランプ状態となる。
【0068】
この際、クランプアーム16の回動に伴って、リンクアーム60を介してローラ82がローラ溝95に沿ってクランプアーム16に接近する方向へと移動すると共に、サブローラ92がジョイント80の傾斜部90に当接することで前記クランプアーム16が押圧され、該クランプアーム16の回動がロックされたロック状態となる。その結果、クランプアーム16によるワークWのクランプ状態が維持される。
【0069】
一方、
図2に示されるワークWのクランプ状態を解除する場合には、図示しない切換装置の切換作用下に第2ポート68へ供給されていた圧力流体を第1ポート66へ供給すると共に、前記第2ポート68を大気開放状態とする。この第1ポート66へ供給された圧力流体がシリンダ室60へと導入されることで、ピストン54がボディ12から離間する方向(矢印A方向)、すなわち、下方へと押圧され、前記ピストン54と共にピストンロッド56が一体的に下降する。
【0070】
そして、ピストンロッド56の変位に伴って、ジョイント80がローラ溝95に対するローラ82のガイド作用下に下方へと移動し、それに伴って、リンクアーム84が前記ジョイント80に軸支された部位を支点として反時計回りに回動する。それに伴って、クランプアーム16がレバーアーム86を介して支持ピン98を支点として反時計回りに所定角度だけ回動する。これにより、クランプアーム16が支持体20から離間してワークWのクランプ状態が解除される。
【0071】
次に、
図2に示されるようなワークWのクランプ状態において、駆動部14に対する圧力流体の供給が停止し、前記ワークWがクランプ状態のままとなってしまった場合には、図示しない作業者が、
図4Aに示されるクランプ解除機構28における解除用ねじ30の操作部32を把持し、所定方向に回転させることで、
図4Bに示されるように前記解除用ねじ30の先端がジョイント80側に向かって移動し、前記ジョイント80の面取部94へと接触することで前記ジョイント80を駆動部14側(矢印A方向)に向かって下方へと押圧する。
【0072】
すなわち、クランプ解除機構28は、解除用ねじ30の水平方向への移動力を、該水平方向に対して傾斜した面取部94との接触作用下に鉛直下方向への押圧力へと変換させジョイント80を下方へと押圧している。
【0073】
これにより、ジョイント80の下降に伴って、リンクアーム84が前記ジョイント80に軸支された部位を支点として反時計回りに回動し、レバーアーム86を介してクランプアーム16が支持ピン98を支点として反時計回りに所定角度だけ回動する。これにより、クランプアーム16が支持体20から離間する方向へと開口してワークWのクランプ状態が解除される。
【0074】
その結果、ジョイント80の傾斜部90によるサブローラ92への押圧力が緩和され、クランプアーム16を図示しない作業者が手動で回動可能な状態となり、ワークWを取り出すことが可能となる。
【0075】
すなわち、駆動部14における駆動力が停止し、ワークWのクランプ状態のままロックしてしまった場合でも、クランプ解除機構28を操作することで、ジョイント80を押し下げてサブローラ92に対する押圧力を解除できるため、該サブローラ92を介したクランプアーム16の回動ロック状態を確実且つ容易に解除することが可能となる。
【0076】
次に、クランプするワークWの形状の変更に応じて、クランプ装置10における支持体20及びクランプアーム16を交換する場合について説明する。なお、ここでは、上述したクランプ装置10でクランプするワークWより大きなワークをクランプする場合について説明する。
【0077】
先ず、図示しない作業者が、
図3に示されるように、クランプアーム16の他端部に対して一組の固定用ねじ118を螺回させて取り外し、連結状態の解除された連結体102をアーム部100a、100bから取り外す。
【0078】
そして、ボディ12に締結された一組の固定用ねじ46を螺回させボルト孔26から取り外した後、支持体20を連結孔22から外側へと引き出して取り外す。これにより、クランプ装置10に対して支持体20及び連結体102が取り外された状態となる。なお、上述した説明では、連結体102を取り外した後に、支持体20を取り外す場合について説明したが、取り外す順番は特に限定されるものではなく、前記支持体20から先に取り外すようにしてもよい。
【0079】
次に、上述したクランプ装置10へと取り付ける新たな支持体170及びクランプアーム172について
図9及び
図10を参照しながら簡単に説明する。この支持体170は、上述した支持体20と比較して長尺な支持部174を有しており、該支持部174は取付部36に対して一端部側(矢印C1方向)が長くなるように形成されている。なお、支持体170の他端部側及び取付部36は、上述した支持体20と略同一形状で形成される。そして、支持部174の一端部には第1調整ピン用ねじ孔を介して第1調整ピン40が螺合されている。
【0080】
連結体176は、その本体部110及び鍔部112が上述した連結体102と略同一形状で形成され、前記本体部110に対して所定長さだけ突出した突出部178を有している。この突出部178は、本体部110に対して一直線状に延在し、その先端部には第2調整ピン用ねじ孔を介して第2調整ピン(図示せず)が螺合されている。
【0081】
このような新たな支持体170及び連結体176をクランプ装置10へ組み付ける場合には、
図9に示されるように、先ず、連結体176の本体部110をアーム部100a、100bの間へと挿入し、その鍔部112を段部108へと係合させた状態で、一組のボルトをアーム部100a、100bの挿通孔106へと挿通させた後、本体部110の第2固定用ねじ孔116へと螺合させる。
【0082】
これにより、アーム部100a、100bの一端部に新たな連結体176の本体部110が連結される。
【0083】
次に、支持体170の他端部をボディ12の連結孔22へと挿入し、ボルト孔26に固定用ねじ46を挿通させ第1固定用ねじ孔44へと螺合させ締め付けることで、支持体170は、その一端部側がボディ12の外側に突出した状態で固定される(
図10参照)。
【0084】
これにより、
図10に示されるように、クランプ装置10において、水平方向に長尺な支持体170及び連結体176へと交換され、クランプアーム172の回動作用下にボディ12から離間した位置に配置された第1及び第2調整ピン40、120によって大きなワークを把持することができる。
【0085】
すなわち、単一のクランプ装置10において、支持体20及び連結体102を交換することで、容易に形状の異なるワークWに対応させクランプすることが可能となるため、前記ワークWの形状に応じてそれぞれ別のクランプ装置を準備する場合と比較し、設備投資を抑制してコストの削減を図ることができる。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、クランプ装置10において、ボディ12に対して支持体20を着脱自在に設けると共に、クランプアーム16に対して連結体102を着脱自在に設けることにより、ワークWの形状や大きさに合わせて前記支持体20及び連結体102を適宜交換することで、単一のクランプ装置10で様々な大きさのワークWに対応させクランプすることが可能となる。その結果、ワークWに応じてそれぞれ別のクランプ装置を準備する場合と比較し、その設備投資を抑制することができる。
【0087】
また、ボディ12には、クランプアーム16によるワークWのクランプ状態において、何らかの原因で駆動部14による駆動力が停止された場合でも、図示しない作業者がクランプ解除機構28を操作することで、手動で強制的にクランプ状態を解除することが可能となるため、ワークWのクランプ状態を解除して該ワークWを取り出すことができる。
【0088】
さらに、
図11に示されるクランプ装置180のように、断面楕円状のピストン182を有した駆動部184を採用することで、前記ピストン182の受圧面積を増加させることができ、しかも、クランプ装置180の鉛直方向(矢印A、B方向)に沿った長手寸法を増加させることがないため、前記クランプ装置180の長手寸法を増加させることなく前記駆動部184による出力を高めることが可能となる。
【0089】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。