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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-196527(P2015-196527A)
(43)【公開日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20151013BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20151013BHJP
【FI】
   B65D83/08 B
   A47K7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-75232(P2014-75232)
(22)【出願日】2014年4月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】間篠 智恵子
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開閉ラベルを開く際に、容易に切込み線を越えて開くことができ、開いた開閉ラベルが戻って閉じるのを防止できる包装体を提供する。
【解決手段】包装体10Aは、ティッシュ11を収容する包装袋20を有しており、包装袋20に設けられている開口部22からティッシュ11を取り出す。開口部22は、開閉ラベル30Aにより繰り返し開閉可能に覆われている。開閉ラベル30Aは、断面視において、表面樹脂層35、裏面樹脂層37及び感圧接着剤層381がこの順に積層されるとともに、平面視において、長手方向の一端側に設けた摘み部32と、本体部31と、長手方向の他端側に包装袋20に固定される基底部33を有する。そして、裏面樹脂層37を貫通する第1切込み線34を設けるとともに、感圧接着剤層に第1切込み線34を挟んで間隙382を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する包装袋と、
前記開口部を開閉可能に覆う開閉ラベルと、を備える包装体であって、
前記開閉ラベルは、断面視において、少なくとも表面樹脂層、裏面樹脂層及び感圧接着剤層がこの順に積層された構造を有し、
平面視において、長手方向の一端側に設けた摘み部と、本体部と、長手方向の他端側に前記包装袋に固定される基底部と、が形成され、
前記裏面樹脂層がそれを貫通する第1切込み線を有し、
前記感圧接着剤層が前記第1切込み線を挟んで、間隙を有することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記本体部において前記間隙の前記開口部側の端部から前記開口部の前記間隙側の端部までの距離が5mm以上15mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記間隙は、前記第1切込み線の略中心位置に配置され、3mm以上10mm未満の幅を有することを特徴とする請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記間隙の前記基底部側の端部から前記開閉ラベルの端部までの距離を、5mm以上20mm未満としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
さらに、前記裏面樹脂層は、前記本体部と前記摘み部の境界に、それを貫通する第2切込み線を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記開閉ラベルは、前記表面樹脂層と前記裏面樹脂層の間に、少なくとも1層の中間樹脂層をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項7】
前記表面樹脂層が15μm以上30μm以下の厚さのポリプロピレン樹脂から形成されることを特徴とする請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記中間樹脂層と前記裏面樹脂層は、合計で80μm以上300μm以下の厚さであることを特徴とする請求項6または7に記載の包装体。
【請求項9】
前記中間樹脂層は、少なくとも1層が厚さ40μm以上のポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等を収容するとともに開口部から取り出すことができ、取り出した後に再封することができる包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアルコール等の洗浄液や化粧水を繊維素材に含浸させたウェットティッシュ等を収容するとともに、ウェットティッシュ等を取り出した後に再封し、乾燥を防止しながら何度も消費する包装体が知られている(例えば、特許文献1参照)。図8に示すように、特許文献1に記載の包装体100は、気密性及び液密性を有する柔軟なシートから形成され、内部にウェットティッシュが封入される封入袋101を有する。封入袋101は、ウェットティッシュを取出すための取出し口102及びこの取出し口102を覆う開閉ラベル103を有する。取出し口102は、封入袋101に形成された切離し用切込み106に沿って切り離すことにより形成される。
【0003】
ウェットティッシュは、一度に消費しないで少しずつ繰返し封入袋から取出されて使用可能であり、開閉ラベル103は、何度でも再封可能なものとなっている。開閉ラベル103は、封入袋101とは別体に形成され、取出し口102を覆うように、感圧接着剤により封入袋101に貼着されている。開閉ラベル103は、両端にそれぞれ例えば半円状の摘み部104が設けられている。また、開閉ラベル103における摘み部104の内側には、開閉ラベル103の全幅にわたって切込み105が設けられている。
【0004】
従って、開閉ラベル103の一端側の摘み部104を摘まんで、開閉ラベル103を他端側の切込み105まで開くことにより、取出し口102が露出するので、ウェットティッシュを取り出すことができる。また、ウェットティッシュを取り出した後は、開閉ラベル103で取出し口102を覆うように再封することにより、ウェットティッシュの乾燥を防止して保存することができる。これを繰り返すことにより、何度でもウェットティッシュを取り出して使用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3182114号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような従来の包装体100においては、一旦開閉ラベル103を開いた後に再封する際、開閉ラベル103や包装体100にしわが寄って密封出来にくくなる為、ある程度の厚みや剛性を有する開閉ラベル103が好ましい。しかしながら、剛性の高い開閉ラベル103を用いた場合には、開いた時の反発力が強く、より開閉ラベル103が戻りやすい傾向がある。このため、前述したように開閉ラベル103の付け根付近に切込み線105を設けることが行われているが、この方法では、開閉ラベル103を切込み線105まで開かなければ効果が無いという問題があった。
また、開閉ラベル103の裏面には感圧接着剤が塗布されているが、この感圧接着剤が切込み線105を越えて凝集し、切込み線105の効果が得られない場合があるという問題もあった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、開閉ラベルを開く際に、容易に切込み線を越えて開くことができ、開いた開閉ラベルが戻って閉じるのを防止できる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装体は、開口部を有する包装袋と、前記開口部を開閉可能に覆う開閉ラベルと、を備える包装体であって、前記開閉ラベルは、断面視において、少なくとも表面樹脂層、裏面樹脂層及び感圧接着剤層がこの順に積層された構造を有し、平面視において、長手方向の一端側に設けた摘み部と、本体部と、長手方向の他端側に前記包装袋に固定される基底部と、が形成され、前記裏面樹脂層がそれを貫通する第1切込み線を有し、前記感圧接着剤層が前記第1切込み線を挟んで、間隙を有するものである。
【0009】
また、本発明の包装体では、前記本体部において前記間隙の前記開口部側の端部から前記開口部の前記間隙側の端部までの距離が5mm以上15mm未満であるものである。
【0010】
また、本発明の包装体では、前記間隙は、前記第1切込み線の略中心位置に配置され、3mm以上10mm未満の幅を有するものである。
【0011】
また、本発明の包装体は、前記間隙の前記基底部側の端部から前記開閉ラベルの端部までの距離を、5mm以上20mm未満としたものである。
【0012】
また、本発明の包装体では、前記裏面樹脂層は、前記本体部と前記摘み部の境界に、それを貫通する第2切込み線を有するものである。
【0013】
また、本発明の包装体では、前記開閉ラベルは、前記表面樹脂層と前記裏面樹脂層の間に、少なくとも1層の中間樹脂層をさらに備えるものである。
【0014】
また、本発明の包装体では、前記表面樹脂層が15μm以上30μm以下の厚さのポリプロピレン樹脂から形成されるものである。
【0015】
また、本発明の包装体では、前記中間樹脂層と前記裏面樹脂層は、合計で80μm以上300μm以下の厚さであるものである。
【0016】
さらに、本発明の包装体では、前記中間樹脂層は、少なくとも1層が厚さ40μm以上のポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、裏面樹脂層を貫通する第1切込み線を設けるとともに、感圧接着剤層に第1切込み線を挟んで間隙を設けた。このため、開閉ラベルを第1切込み線まで容易に開けることができるとともに、開閉ラベルが戻って閉まるのを防止できるという効果を有する包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る第1実施形態の包装体の斜視図である。
図2】(A)は本発明に係る第1実施形態の包装体の平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図である。
図3】(A)は本発明に係る第1実施形態の包装体において補強ラベルを内面に設けた場合の平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図である。
図4】(A)は第1実施形態の包装体の開閉ラベルの平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図である。
図5】(A)は本発明に係る第2実施形態の包装体の開閉ラベルの平面図であり、(B)は(A)中B−B位置の断面図である。
図6】開閉ラベルに外枠を一体的に設けた変形例を示す平面図である。
図7】(A)は開閉ラベルにストッパーを設けた場合の平面図であり、(B)は開閉ラベルに外枠部分を設け外枠部分にストッパーを設けた場合の平面図である。
図8】従来の包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の包装体について、図面を用いて説明する。図1及び図2に示すように、本発明に係る第1実施形態の包装体10Aは、ウェットティッシュ11等を収納する包装袋20を有する。包装袋20は、液密性及び気密性等を有するシートから扁平な筒状に形成されており、長手方向両端において密に接合(接合部21)されている。なお、包装袋20の側面には、マチ部202が設けられており、包装袋20の厚さの変化に対応可能となっている。
【0020】
包装袋20の上面201には、収容されているウェットティッシュ11を取り出すための開口部22が設けられている。開口部22は、初めから包装袋20の上面201を切欠いて設けることができるが、上面201に容易に切り取ることができる切り込み221を設けておいても良い。切り込み221を設けた場合には、後述する開閉ラベル30Aを最初に開けた際に切り離されて、開口部22が形成される。
【0021】
開口部22の形状は特に限定するものではない。ここでは、幅の狭い長円形状の開口部22を設けている。なお、包装袋20の上面201、開口部22の周囲を補強するための補強ラベル23を設けることもできる。補強ラベル23には、包装袋20の上面201の開口部22に対応した開口部231が設けられている。補強ラベル23は、60μm以上150μm以下の厚さを有するPET(Polyethylene terephthalate)樹脂で形成するのが望ましい。これにより、開閉ラベル30Aを開閉する際に、包装袋20の上面201における開口部22の周囲に、しわが発生するのを防止できる。なお、補強ラベル23を包装袋20の下面(内面)203に設けることもできる(図3(A)及び図3(B)参照)。
【0022】
包装袋20の上面201には、開口部22を覆う略矩形状あるいは略楕円形状の開閉ラベル30Aが、開閉可能に設けられている。図2(A)及び図4(A)に示すように、開閉ラベル30Aは、平面視において、開口部22を覆う本体部31と、長手方向の一端側に設けた摘み部32と、長手方向の他端側に設けられ開閉時に開閉ラベル30Aを支持する基底部33とを有する。
【0023】
図4(B)に示すように、開閉ラベル30Aは、断面視において、表面樹脂層35及び裏面樹脂層37を積層して形成されている。表面樹脂層35と裏面樹脂層37との間には、少なくとも1層(ここでは1層の場合を例示する。)の中間樹脂層36が設けられている。また、各層の間には、接着剤層38が設けられており、裏面樹脂層37の内面には包装袋20の上面201に対して繰り返し接着可能な感圧接着剤層381が設けられている。
【0024】
開閉ラベル30Aにおける本体部31と基底部33との境界付近には、第1切込み線34が設けられている。第1切込み線34は、少なくとも裏面樹脂層37を貫通する。ここでは、第1切込み線34は、表面樹脂層35以外を貫通して設けられている。なお、裏面樹脂層37における摘み部32の内面には、感圧接着剤層381は塗布されていない。このため、摘み部32は包装袋20の上面201に接着されていないので、容易に持ち上げることができる。
【0025】
表面樹脂層35は、厚さ15μm以上30μm以下のポリプロピレン樹脂で形成することが望ましい。さらに、厚さ20μmであることが一層望ましい。厚さが15μmより薄いと、繰り返し開閉時に接続部分である第1切込み線34に対応する位置において破断が発生しやすくなる。また、厚さが30μmより厚いと、表面樹脂層35の反発力が大きくなり、開時に摘み部32を離したときに開閉ラベル30Aが反発力により戻ってしまうおそれがある。
【0026】
中間樹脂層36と裏面樹脂層37の合計厚さは、80μm以上300μm以下であることが望ましい。さらに、150μm以上250μm以下であることが一層望ましい。合計厚さが80μmより薄いと、開閉ラベル30A全体の剛性が低くなり、よれ易く開閉しにくい。一方、300μm以上の厚さでは、必要以上の厚さとなり材料の無駄を生じる。中間樹脂層36のうちの少なくとも1層が、厚さ40μmのPET樹脂で形成されるのが望ましい。さらに、80μm以上150μm以下の場合には、一層好適な剛性を確保することができる。中間樹脂層36は裏面樹脂層37より剛性が高いことが望ましい。中間樹脂層36より裏面樹脂層37の剛性が高い場合には、層間でデラミネーション(層間剥離)が起きやすくなるためである。
【0027】
感圧接着剤層381には、第1切込み線34を挟んで、感圧接着剤が塗布されていない間隙382が設けられている。図4(A)に示すように、本体部31において、間隙382の開口部側の端部383から開口部22の間隙側の端部222までの距離L1は、5mm以上15mm未満に設定されている。また、間隙382は、第1切込み線34の略中心位置に配置され、その幅L2は3mm以上10mm未満に設定されている。さらに、間隙382の基底部側の端部384から開閉ラベル30Aの端部301までの距離L3は、5mm以上20mm未満に設定されている。
【0028】
以上、説明した本発明の包装体10Aの作用効果について説明する。包装体10Aは、ティッシュ等を収容する包装袋20を有しており、包装袋20に設けられている開口部22からティッシュ等を取り出す。開口部22は、開閉ラベル30Aにより繰り返し開閉可能に覆われている。開閉ラベル30Aは、断面視において、少なくとも表面樹脂層35、裏面樹脂層37及び感圧接着剤層381がこの順に積層された構造を有するとともに、平面視において、長手方向の一端側に設けた摘み部32と、本体部31と、長手方向の他端側に包装袋20に固定される基底部33を有する。そして、裏面樹脂層37を貫通する第1切込み線34を設けるとともに、感圧接着剤層381に第1切込み線34を挟んで間隙382を設けた。
【0029】
従って、開閉ラベル30Aの一端側の摘み部32を摘まんで開閉ラベル30Aの本体部31を剥がすことにより、開閉ラベル30Aは第1切込み線34及び間隙382において容易に折り曲がって開く。これにより、開口部22が露出するので、ウェットティッシュ11を取り出すことができる。また、開閉ラベル30Aを開いたときに、開閉ラベル30Aの自重により、第1切込み線34及び間隙382において折り曲がるので、開状態を維持することができる。このため、開閉ラベル30Aを第1切込み線34まで容易に開けることができるとともに、開閉ラベル30Aが戻って閉まるのを防止できる。
【0030】
本発明の包装体10Aでは、本体部31において感圧接着剤層381の間隙382の開口部側の端部383から開口部22の間隙側の端部222までの距離L1を5mm以上15mm未満とした。この距離L1を5mm以上とすることにより、開口部22と間隙382との間の導通を防止して、液密性を確保することができる。
【0031】
また、本発明の包装体10Aでは、感圧接着剤層381の間隙382は、第1切込み線34の略中心位置に配置され、その幅L2を3mm以上10mm未満とした。間隙382の幅L2が3mm以上あれば、開閉ラベル30Aは第1切込み線34において容易に開閉することができるとともに、開閉ラベル30Aの剛性により戻って閉じるのを防止できる。また、間隙382の幅L2は、10mm以上は不必要であり、材料の無駄が生じる。
【0032】
また、本発明の包装体10Aは、間隙382の基底部側の端部384から開閉ラベル30Aの端部301までの距離L3を、5mm以上20mm未満とした。5mm以上あれば、開閉ラベル30Aを開けた際に、開閉ラベル30A全体が剥がれてしまうのを防止することができる。また、20mmあれば、開閉ラベル30Aを十分保持でき、それ以上は必要ない。
【0033】
また、本発明の包装体10Aでは、開閉ラベル30Aは、表面樹脂層35と裏面樹脂層37の間に、少なくとも1層の中間樹脂層36を設けたので、開閉ラベル30Aの剛性を増すことができる。
【0034】
また、本発明の包装体10Aでは、表面樹脂層35を、15μm以上30μm以下の厚さのポリプロピレン樹脂から形成した。表面樹脂層35が30μmよりも厚いと、根元部分の反発力が大きくなり、摘み部32から手を放したときに開閉ラベル30Aが閉まりやすくなるので、ウェットティッシュ11を取り出しにくくなる。さらに、15μmよりも薄いと、根元部分の反発力が小さく、繰り返し開閉時に破断し易くなるためである。
【0035】
また、本発明の包装体10Aでは、中間樹脂層36と裏面樹脂層37の合計厚さが、80μm以上300μm以下となるようにした。これにより、開閉ラベル30A全体の剛性を十分に確保でき、開閉時によれるのを防止できる。また、厚すぎによる材料の無駄を防止できる。
【0036】
さらに、本発明の包装体10Aでは、中間樹脂層36は、少なくとも1層が厚さ40μm以上のポリエチレンテレフタレート樹脂から形成される。これにより、開閉ラベル30Aは、好適な剛性を確保することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の包装体について説明する。なお、前述した第1実施形態に係る包装体10Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。図5に示すように、第2実施形態の包装体10Bでは、開閉ラベル30Bの裏面樹脂層37における本体部31と摘み部32の境界に、裏面樹脂層37を貫通する第2切込み線39を設けた。なお、第2切込み線39は、中間樹脂層36及び表面樹脂層35を貫通していない。従って、表面樹脂層35には、第2切込み線39が設けられていないので、連続するとともに、一定の剛性を保持している。
【0038】
以上、説明した本発明の包装体10Bの作用効果について説明する。本発明の包装体10Bでは、裏面樹脂層37における本体部31と摘み部32の境界に、裏面樹脂層37を貫通する第2切込み線39を設けた。これにより、摘み部32が第2切込み線39で折れ曲がりやすいので、開閉ラベル30Bを開ける際に摘み部32を摘まみやすくなる。なお、第2切込み線39が中間樹脂層36まで貫通してしまうと、開閉ラベル30Bを開くときに、表面樹脂層35と中間樹脂層36との間で、破断やデラミネーションを起こしやすくなるので、中間樹脂層36を貫通していない。
【0039】
本発明の包装体は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、図6に示すように、開閉ラベル30A、30Bを開いたときに、包装体10A、10Bに残存する外枠部分40を開閉ラベル30A、30Bに一体的に設けることも可能である。すなわち、外枠部分40は、開閉ラベル30A、30Bの本体部31及び摘み部32を切り抜いた残りの部分であり、基底部33は外枠部分40でもある。これにより、開閉ラベル30A、30Bの開閉時に、包装袋20の上面201にしわが生じにくくなり、開閉ラベル30A、30Bをスムーズに開閉できる。
【0040】
また、裏面樹脂層37は、第1切込み線34及び間隙382において容易に折曲げることができるので、開閉ラベル30A、30Bを容易に開けることができる。
【0041】
また、図7に示すように、第1切込み線34付近に、湾曲したストッパーを形成することもできる。図7(A)は前述した開閉ラベル30A、30Bにおいてストッパー41Aを設けた場合であり、第1切込み線34に連続して本体部31に湾曲した切り込み42Aを設けた。図7(B)は外枠部分40を設けた場合(図6参照)においてストッパー41Bを設けた場合であり、第1切込み線34に連続して外枠部分40に湾曲した切り込み42Bを設けた。これにより、開閉ラベル30A、30Bを勢いよく開けたときでも、確実に第1切込み線34に沿って折り返すことができる。
【0042】
(実施例)
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0043】
表1には、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2における具体的な数値及び評価を示した。
【0044】
(液密性の評価)
液密性の評価は、以下の評価基準に基づき行った。
◎:40℃の恒温槽に4週間保管した場合に、取出し口周辺にラベルの浮や導通が一切見られなかった。
○:40℃の恒温槽に4週間保管した場合に、取出し口周辺に若干のラベルの浮が見られるが、導通は一切見られなかった。
×:40℃の恒温槽に4週間保管した場合に、取出し口周辺からの導通が見られた。
【0045】
(開閉ラベルの戻りにくさ、切込み線機能の確実性の評価)
開閉ラベルの戻りにくさ、切込み線機能の確実性の評価は、以下の評価基準に基づき行った。
◎:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、全ての場合において、開閉ラベルが勝手に戻らなかった。
○:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、95%以上100%未満の割合で、開閉ラベルが勝手に戻らなかった。
×:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、5%を超える割合で、開閉ラベルが反発により勝手に戻ってしまった。
【0046】
(ストッパー性能)
ストッパー性能の評価は、以下の評価基準に基づき行った。
◎:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、全ての場合において、開閉ラベルが全て剥がれなかった。
○:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、99%以上100%未満の割合で、開閉ラベルが全て剥がれなかった。
×:男女各20名により、開閉ラベルを開く動作をそれぞれ10回行ったとき、1%を超える割合で、開閉ラベルが全て剥がれてしまった。
【0047】
(生産性)
生産性の評価は、以下の評価基準に基づき行った。
◎:常用運転速度の開閉ラベル貼り付け工程において、開閉ラベルのゆがみや貼り付け位置の不安定さの観点で、従来の開閉ラベルと同程度の生産性が確保されていた。
○:常用運転速度の開閉ラベル貼り付け工程において、開閉ラベルのゆがみや貼り付け位置の不安定さの観点で、従来の開閉ラベルと比較して若干生産性に劣るが、商業上許容範囲内であった。
×:常用運転速度の開閉ラベル貼り付け工程において、開閉ラベルのゆがみや貼り付け位置の不安定さの観点で、従来の開閉ラベルと比較して明らかに不良発生率が高く生産性が劣っていた。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例1では、表面樹脂層35に厚さ20μmのポリプロピレン樹脂、中間樹脂層36に厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート樹脂、裏面樹脂層37に厚さ80μmのポリプロピレン樹脂を使用し、裏面樹脂層37には第1切込み線34を形成し、L1=7mm、L2=5mm、L3=7mmとなるように開閉ラベル30Aを作製して包装体10Aを得た。表1に示すとおり、実施例1は、液密性は良好、開閉ラベル30Aの戻りにくさは極めて良好であり、ストッパー性能は良好、生産性も良好となった。
【0050】
実施例2では、実施例1と同じ材料を用い、L1=12mm、L2=8mm、L3=18mmとなるように開閉ラベル30Aを作製して包装体10Aを得た。表1に示すとおり、実施例2は、液密性、開閉ラベル30Aの戻りにくさ、ストッパー性能、生産性の全てにおいて極めて良好となった。
【0051】
一方、比較例1では、実施例1と同じ材料を用い、L1=4mm、L2=5mm、L3=4mmとし、L1及びL3は規定値の範囲外となるように開閉ラベル30Aを作製して包装体10Aを得た。表1に示すとおり、比較例1は、開閉ラベル30Aの戻りにくさ及び生産性は極めて良好であるが、ストッパー性能及び液密性において問題が生じた。
【0052】
また、比較例2では、実施例1と同じ材料を用い、L1=10mm、L2=2mm、L3=15mmとし、L2は規定値の範囲外となるように開閉ラベル30Aを作製して包装体10Aを得た。表1に示すとおり、比較例2は、液密性、開閉ラベル30Aの戻りにくさ及びストッパー性能は問題ないが、生産性において問題が生じた。
【0053】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【符号の説明】
【0054】
10A、10B 包装体
20 包装袋
22 開口部
222 間隙側の端部
30A、30B 開閉ラベル
31 本体部
32 摘み部
33 基底部
34 第1切込み線
35 表面樹脂層
36 中間樹脂層
37 裏面樹脂層
381 感圧接着剤層
382 間隙
383 開口部側の端部
39 第2切込み線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8