【解決手段】原紙および塗工層を有する塗工白板紙であって、前記塗工白板紙のクランプ圧2000kPaの条件におけるPPSラフネスが0.1〜1.3μmであり、アピアランスアナライザーによって測定されるDAV2値が55以下である、塗工白板紙。
【背景技術】
【0002】
白板紙は通常、白ボールとマニラボールに分類され、マニラボールはさらに高級白板紙と特殊白板紙に分類される。白ボールとマニラボールには、塗工タイプと非塗工タイプがある。白板紙の原紙は、通常2〜9層の多層抄きによって製造され、環境に対する取組みやコストダウンに対する要求が高まっていることから、古紙パルプが多く使用されている。例えば、白ボールでは、表層には、晒パルプまたは脱墨パルプ、あるいは漂白された白色度の高い古紙パルプが、また中層、裏層にはより白色度が低く、安価な脱墨パルプおよび脱墨しない古紙パルプが使用されている。年々古紙パルプの配合比率は上昇し、グレードの低い白板紙では古紙パルプはほぼ100%配合されるほどになっている。こうした状況の中、古紙配合率増加に伴う原紙の問題として、チリ、黒点等の欠陥、および白色ムラの発現の増加がある。チリ等の異物を除去するために、脱墨工程や除塵工程を強化する対策がなされ、脱墨技術や除塵装置の進歩によりチリの問題は大幅に改善されてきているが、まだ完全に除去できるほどまでは至っていない。脱墨処理や除塵処理を強化するほど、歩留が悪化し、経済的に不利になることから、現状では、一定のレベル以上には脱墨、除塵処理は施されない。一方、白板紙は食料品や医薬品、化粧品などの容器として使用されることが多く、特に塗工白板紙においては、視覚化の面から外観性や印刷適性等の向上に対する要求が高まっている。
【0003】
外観性の一つに白色ムラがある。白色ムラとは、微小面積における白色度の標準偏差と定義される。白色度が高くても白色ムラが劣る場合、面感が悪く、また印刷物の特に網点部においてムラがさらに強調されるため、印刷物としての価値が劣る。白色ムラは、原紙の白色度と塗工層の白色度の差が大きい場合、塗工層の塗工ムラが劣ると特に顕著となる。そこで、塗工層と原紙の白色度を近づけて白色ムラを低減させるために、カーテン塗工方式で設けられた顔料塗工層の不透明度を50%以上にし、多層原紙の最表層とその直下層の白色度差を12%より大きくする方法や、塗工顔料に黒染料を配合して、原紙の白色度と塗工層の白色度を6%以内にするなどの方法が提案されている(特許文献1、2)。また、原紙の白色ムラを目立たなくさせる方法として、多層抄における表層、表下層の白色度の差を一定の範囲に規定するという提案がなされている(特許文献3)。
さらに、基紙の凹凸の不均一性に起因する塗工ムラや、塗工層中の内部構造のムラに起因する印刷ムラを抑制するために、平均粒子径4〜30μmの重質炭酸カルシウムを全顔料固形分100重量部中40重量部以上、かつ、アスペクト比が10〜120で平均粒子径3〜20μmの平板無機顔料を全顔料固形分100重量部中40重量部以上含む下塗り塗工層を設け、該下塗り塗工層の上に、顔料が平均粒子径1.5μm以下の粒子のみで構成される上塗塗工層を設ける方法なども提案されている(特許文献4)。
【0004】
塗工方式による白色ムラの改善として、通常使用されるブレード塗工方式の代わりに、ロール転写塗工方式やエアナイフ塗工方式を使用する方法が一般に知られている。一般的に、印刷用顔料塗工シートの顔料塗工層の塗工方式としては、ブレード塗工方式、ロール転写方式、スプレー方式など各種方法が知られている。ブレード塗工方式では、原紙の凹凸によらず塗工後の表面が平坦化されるという特徴により、塗工表面の平滑性は高いが塗工量が不均一になることから白色ムラが生じやすいのに対し、ロール転写塗工方式やエアナイフ塗工方式では、ブレード塗工方式に比べ塗工量が均一であるために白色ムラが目立たないという利点がある
【0005】
この他にも、上述の古紙パルプ多配合の紙を使用しながら、効率よくチリを目立たなくし、白色度や印刷適正を向上させる技術として、表面に塗被する塗工量を多くする、隠蔽性の高い二酸化チタンや構造化カオリン、プラスチックピグメント等の有機顔料を多量に配合する方法が提案されている(特許文献5、6)。
【0006】
また、印刷用塗工紙の白色ムラを評価する技術として、デュポン社製アピアランスアナライザーを用い、塗工紙表面のもやもや感をDAV2値として評価する方法が開示されている(特許文献7)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術には以下のような問題があった。
特許文献1、3に記載されたように、原紙の白色ムラを目立たなくさせるために、多層抄における表層、表下層の白色度の差を規定した場合、白色度差の規定により古紙パルプの配合率を一定以上高くできないという問題が発生する。
特許文献2に記載されたように、原紙の白色度と塗工層の白色度の差を小さくするために、塗工層に黒色色素を添加した場合、白色度が低下するという問題が発生する。
特許文献4に記載の技術では、下塗り塗工層に平均粒子径の大きな顔料を使用することで、塗工紙の平滑性が低下するという問題が発生する。
白色ムラの改善のために、ブレード塗工方式ではなくロール転写塗工方式やエアナイフ塗工方式を用いた場合、ロール転写塗工方式ではオレンジピール等と呼ばれるロール特有の塗工パターンが発生しやすい。また、エアナイフ塗工方式では、原理上塗工液の粘度を低くしなくてはならず、そのために固形分濃度を低くする必要がある。このため、原紙に塗工液の水分が過剰にしみこんでしまい原紙が膨潤し、表面平滑性が悪化する、または、乾燥に必要なエネルギーが増加するという問題がある。
特許文献5、6に記載されたように、効率よくチリを目立たなくし白色度や印刷適性を向上させるために、表面に塗被する塗工量を多くする、隠蔽性の高い二酸化チタンやプラスチックピグメント等の有機顔料を多量に配合した場合、コストアップの要因となるだけでなく、一般的な塗工顔料と物性が大きく異なり塗料物性が大幅に変わってしまう問題が発生する。
また、特許文献7に記載の、低坪量、低塗工量の印刷用塗工紙においては、塗工白板紙と比較して、地合いムラが目立ちやすく、更には、塗工層による原紙被覆性が劣ることから、白色ムラの悪化が顕著である。そのため、DAV2値を100以下とすることが好ましいとされる。しかし、印刷用塗工紙における白色ムラと、塗工白板紙における白色ムラの発生要因はそもそも異なっており、特許文献7の技術を塗工白板紙にそのまま適用したとしても、塗工白板紙における白色ムラの品質としては、満足なものを得ることは困難であった。そのため、従来、白色ムラの評価は、官能性試験によることが多かった。非常に軽微な白色ムラの品質管理を求められる塗工白板紙おいては、評価環境や評価者による評価結果のブレを排除した適切な白色ムラの評価方法を見出し、それを数値化する必要があった。
【0009】
このような状況に鑑み、本発明は、古紙パルプを配合した原紙と顔料塗工層を備える塗工白板紙であって、原紙由来のチリ、色ムラを隠蔽し、かつ、平滑性、白紙面感に優れた塗工白板紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来、白紙面感の評価は官能性試験によることが一般的であり、客観的な評価が困難であった。しかし、発明者は鋭意研究の結果、古紙パルプを配合した原紙と顔料塗工層を備える塗工白板紙において、アピアランスアナライザーによって測定されるDAV2値により、白紙面感を客観的に評価できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]原紙および塗工層を有する塗工白板紙であって、
前記塗工白板紙のクランプ圧2000kPaの条件におけるPPSラフネスが0.1〜1.3μmであり、
アピアランスアナライザーによって測定されるDAV2値が55以下である、
塗工白板紙。
[2]前記塗工白板紙の坪量が200〜800g/m
2である、[1]に記載の塗工白板紙。
[3]前記塗工層がカーテン塗工により設けられた顔料塗工層を含む、[1]または[2]に記載の塗工白板紙。
[4]前記塗工層が、軽質炭酸カルシウムを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工白板紙。
[5]前記塗工層が、デラミネーティッドカオリンを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の塗工白板紙。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、古紙パルプを配合した原紙にカーテン方式で顔料塗工層を設ける塗工白板紙に関し、原紙由来のチリ、色ムラを隠蔽し、かつ、平滑性、白紙面感に優れた塗工白板紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、塗工白板紙に関する。本発明において、塗工白板紙は、原紙の片面、もしくは両面に顔料塗工層を有し、前記原紙には古紙パルプが配合される。
本発明によれば、原紙および1層以上の塗工層を設けた塗工白板紙において、クランプ圧2000kPaの条件におけるPPSラフネスが0.1μm以上1.3μm以下、Dupont社製Appearance Analyzer
TM(以下、アピアランスアナライザーという)で測定された、Dupont Appearance Value
TM(以下DAV2
TMという)が、55以下となるように、塗工白板紙の平滑性、もやもやを調節することが必要である。
【0014】
平滑性が高く、もやもやの少ない塗工白板紙を得る方法としては、原紙の異物を低減し、原紙と塗工層の白色度を近づける方法、均一で隠蔽性の高い塗工層を形成する方法などがある。本発明においては、コストや環境への配慮から古紙パルプを少なくとも含み、白色度が低く、異物も含む原紙を使用するため、隠蔽性の高い塗工層を設ける方法が望ましい。隠蔽性の高い塗工層を設ける方法としては、隠蔽性の高い塗工顔料を使用する、均一な塗工層を設けるなどの方法が挙げられる。本発明においては、カーテン塗工方式を用いて顔料塗工層を設けることが好ましい。原紙の凹凸にそった均一な輪郭塗工層を設けることが可能になり、古紙パルプを含み、異物の多い低白色度な原紙を、効果的に隠蔽し、もやもやを低減することができるからである。さらに、本発明に設けられる顔料塗工層は、安価で隠蔽性、白色度の高い顔料である、軽質炭酸カルシウムを含むことが好ましい。効果的にもやもやを低減することができるからである。さらにまた、顔料塗工層が扁平で粒子形状の均一なデラミネーティッドカオリンを含むと、平滑で隠蔽性の高い顔料塗工層を得ることができるので好ましい。なお、隠蔽性や平滑性は、顔料塗工層の塗工量、層の数、塗工層の密度によっても変動する。
【0015】
(1)原紙
本発明で使用される原紙は古紙パルプが少なくとも配合されていれば、それ以外のパルプ配合は特に制限されず、例えば、晒化学パルプ、未晒化学パルプなどを使用できるが、本発明によれば、原紙由来のチリ、色ムラを隠ぺいすることが可能であることから、古紙パルプを多く含む、または脱墨されていないパルプを多く含有する原紙を用いることはコスト面でも有利であり、また、環境負荷も低くなる。古紙パルプとしては、脱墨してもしなくてもよく、脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用できる。
【0016】
本発明で使用される原紙は、一般に塗工白板紙の原紙に使用されるものを例外なく使用でき、上記各種パルプを混合したものでもよいし、同一のパルプを用いたものでもよい。また、異なるパルプを含有する紙層を1層以上重ねてもよい。例えば、中層に白色度の低いパルプを用いて、表層、裏層にそれより白色度の高いパルプを用いることもできるし、すべての層のパルプを同じにして複数層重ねることもできる。本発明によれば、最表層に中層や裏層に使用するのと同様の白色度の低いパルプを使用しても白色ムラがなく、白色度の高い塗工白板紙を得ることができるので、原紙の最表層とその直下層のパルプの白色度差が10%(ポイント)以内であってもよいが、白色度差は10%超であってもよい。ここでのポイントとは、白色度の差を示しており、例えば、表層のISO白色度が80%で、その直下層のISO白色度が68%のときは、12ポイント低いということになる。
【0017】
原紙には、通常填料が内添され、かかる填料としては特に限定されないが、例えば、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、亜硫酸カルシウム、石膏、ホワイトカーボン、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、製紙スラッジ、脱墨フロスからの再生無機粒子等の無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、プラスチック微小中空粒子などの有機填料、さらには古紙やブローク等に含まれている填料を、単独もしくは適宜2種類以上を組み合わせて使用できる。原紙への上記填料の配合割合(原紙灰分)は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上である。原紙の紙中灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しない。なお、填料の配合割合が多くなると、紙の層間強度が低くなるので、目的とする品質に合わせて適宜調節可能である。
【0018】
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマー、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン、これらを組み合わせたハイブリッド型抄紙機等を用いて行なうことができ、1層もしくは2層以上を抄き合せて原紙としてもよい。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、多層抄原紙の場合、各層の抄紙時のpHは、同一でもよいし、各層で異なってもよい。抄紙速度は、特に限定されない。なお、白板紙における原紙の米坪は通常150〜650g/m
2程度である。
また本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の前に、予め平滑化しておいてもよい。
【0019】
本発明において、原紙を乾燥させる方法は制限されない。例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いられる。
【0020】
また、本発明においては、原紙の平滑性が低くても所望の効果が奏されるため、平滑性の低い原紙を用いてもよいが、カーテン塗工時のパドリングと呼ばれる塗料溜まりが発生しない範囲で、平滑性の高い原紙を使用できる。原紙の平滑性を高めるために、カーテン塗工前にプレカレンダー等の処理を行なってもよい。さらに、原紙の平滑性を改善する手段として、カーテン塗工前に、澱粉を主成分としたクリア塗料または顔料を含んだ塗料を原紙に塗工することができる。このプレ塗工された原紙は、乾燥工程を経ないまま、すなわち原紙上の塗料が濡れた状態で、カーテン塗工に供してもよい。このように、カーテン塗工に供される前のプレ塗工後の原紙の状態は制限されない。
【0021】
(2)カーテン塗工液
本発明においては、1種もしくは2種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させ、当該カーテン膜に原紙を通して原紙上に1層もしくは2層以上のカーテン塗工層を形成する。当該カーテン塗工層は、塗工白板紙の最外層である最外塗工層を含む。当該最外塗工層を上塗り塗工層、当該上塗り塗工層を形成する塗工液を上塗り塗工液ともいう。また、上記最外層に隣接し、より原紙に近い層を下塗り塗工層、当該下塗り塗工層を形成する塗工液を下塗り塗工液ともいう。各塗工層を形成する塗工液は、すべて異なる塗工液でも、同一の塗工液を2層以上に使用してもよい。
【0022】
本発明では、顔料や接着剤などの必要な成分と水とを混合して塗工液を調整する。塗工液の調製においては、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。塗工液に含有される各成分等について以下に説明する。
【0023】
本発明における塗工液には、顔料を使用してもよい。塗工液に含有する顔料は特別なものである必要はないが、従来の公知公用のものとして、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、亜硫酸カルシウム、石膏、ホワイトカーボン、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、製紙スラッジ、脱墨フロスからの再生無機粒子等の無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、プラスチック微小中空粒子などの有機填料などを使用できる。ただし、高い隠蔽性、平滑性を得るためには、顔料塗工層のいずれか一層にデラミネーティッドカオリンを含有することが好ましい。デラミネーティッドカオリンの含有割合は、顔料100重量部中、20〜100重量部含有する事が好ましく、50〜100重量部がさらに好ましい。また、高い白色度を維持しつつ隠蔽性を得るためには顔料塗工層のいずれか一層に軽質炭酸カルシウムを含有することが好ましい。含有される炭酸カルシウムの割合は、顔料100重量部中、20〜100重量部含有する事が好ましく、50〜100重量部がさらに好ましい。また、上塗塗工層には隠蔽性、高い白色度が求められるため、軽質炭酸カルシウムが含有されることが好ましい。
【0024】
本発明における塗工液に含有する接着剤(バインダー)は特に制限されず、塗工紙に従来から用いられている接着剤を使用できる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ナノセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用できる。
【0025】
本発明の各塗工層を形成する塗工液の顔料と接着剤の配合比率は、所望の顔料塗工液が得られる範囲で適宜調整される。通常は、固形分比率で、顔料100重量部に対し、接着剤5〜30重量部含有することが好ましく、さらに好ましくは8〜20重量部である。5重量部より少ないと、塗工層強度が弱くなってしまい、紙粉が発生する、印刷強度が劣るなどの問題が起こりうる。また、30重量部より多いと、多いと塗工層中の白色顔料粒子間の空隙が接着剤で満たされ、塗工層の光散乱性が劣るため、不透明度が劣る、コストが高くなるなどの問題が起こりうる。
【0026】
本発明の各塗工層を形成する塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0027】
塗工液の固形分濃度は、58重量%以上が好ましく、62重量%以上がより好ましい。固形分が58重量%より低いと、塗工液の原紙への過剰な浸透により塗工紙の品質が低下することがある。一方、固形分濃度の上限は特に制限されないが、送液性等を考慮すると、75重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。
【0028】
(3)カーテン塗工
本発明においてカーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、塗工液を原紙に塗布した後、ブレード等により過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げるブレード塗工とは異なり、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工である。そのため、原紙に多少の凹凸が存在しても均一な塗工層を塗設することができ、白色ムラを生じにくいと考えられている。また、カーテン塗工は、ブレードによる掻き落としがなく、カーテン膜として形成された塗工層が原紙に載せられるため、塗工層の空隙が多く、光散乱性や白色度の点で好ましいとされる。また、カーテン塗工はいわゆる前計量方式であるため塗工量の制御も容易である。さらにカーテン塗工は、ブレード塗工等の接触式塗工方式とは異なり、非接触式塗工方式であるので、原紙にかかる負荷が小さく、断紙を抑制できるので、生産性にも優れる。
【0029】
本発明においては、原紙の両面または片面に、カーテン塗工で単層または多層塗工を行なうことが好ましい。前述のとおり、多層塗工においていずれかの層の塗工には、カーテン塗工装置以外の塗工装置の使用も可能であり、例えば、ロット(バー)塗工や、ブレード塗工を行った後にカーテン塗工を行ってもよいし、カーテン塗工を行った後にブレード塗工を行ってもよい。高い平滑性を得るためには、バー塗工を行った後に、ブレード塗工を行うことが好ましい。さらに高い平滑性を得るためには、カーテン塗工を行った後の最外層にブレード塗工を行うことが好ましい。い。また、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行なうウェットオンウェット塗工を実施してもよい。
【0030】
また、本発明においては、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。カーテン塗工装置の形状として公知であるものは、ダイから塗工液を下向きに吐出することにより直接カーテン膜を形成するスロット型カーテン塗工装置と、ダイから塗工液を上向きに吐出し、ダイ上の斜面で塗工液の膜を形成しつつ流動していき、その後ダイを離れて自由落下することによりカーテン膜を形成するスライド型カーテン塗工装置がある。本発明においてはいずれの装置を使用してもよいが、低速での2層塗工であれば、スロット型が好ましい。
【0031】
本発明は特定の塗工液を用いるため、カーテン塗工を低速で塗工する場合に、極めて有効である。特に好ましい態様において、カーテンの塗工速度300m/分以下の場合、好ましくは50〜300m/分の場合、通常の塗工液では安定したカーテン膜を形成させることが難しいが、本発明によれば安定なカーテン膜を形成させることができる。
【0032】
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で2〜50g/m
2が好ましく、5〜50g/m
2がより好ましく、5〜40g/m
2がさらに好ましい。塗工量が5g/m
2未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インクの受理性が著しく低下することがある。一方、一つの層の塗工量が40g/m
2を越えると、塗工時の乾燥性が悪くなるなど操業性が低下したり、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になったりするので好ましくない。塗工層が多層で構成されている場合も、片面あたり40g/m
2以下の塗工量とすることが好適である。
【0033】
本発明の塗工白板紙の坪量は、特に限定されないが、一般的には150〜800g/m
2程度である。
【0034】
また、本発明においては、カーテン塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置等を用いることができる。
【0035】
本発明の塗工白板紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工紙水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。好ましい態様において、製造後のクランプ圧2000kPaの条件におけるPPSラフネスが、1.3μm以下となるように平滑性を調整して仕上げられる。下限は0.1μm以上である。PPSラフネスが0.1μm未満のとき、平滑化処理に伴う塗工層の高密度化が著しく、塗工層の不透明度が低下し、高い原紙のチリ、色むらの隠蔽効果を得ることができなくなる。そのため、塗工層の不透明度の低下を防ぐためにも、好ましくは0.5μm以上である。一方、PPSラフネスが1.3μmより高いと平滑性が低く、十分な白紙面感や印刷面感を得ることができない。
【0036】
本発明においては、剛度およびカール抑制のために、カーテン塗工層を設けていない面にクリアもしくは顔料塗工層を設けてもよい。裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて、従来から公知公用の顔料やバインダー、および、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用できる。
【0037】
前記原紙裏面のクリアもしくは顔料塗工層の塗工量は、特に制限されないが、一般的に片面あたり固形分で0.1〜5g/m
2程度である。
【0038】
また、裏面塗工層の塗工方法や乾燥させる方法は制限されない。例えば、公知のサイズプレス装置、例えば、2ロールタイプ、3ロールタイプ、ゲートロールタイプ、フィルム転写タイプ、カレンダータイプや、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーターなどのコーター(塗工機)を使用して塗布した後に、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の乾燥工程を単独、もしくは併用して用いてもよいし、乾燥工程を経なくてもよい。
【0039】
また、本発明の塗工白板紙は、アピアランスアナライザーによって測定されるDAV2値が55以下であり、好ましくは53以下である。DAV2値が55より高いと紙表面の白色むらが目立ち、白紙面感に劣る。また、DAV2値は、低いほど白色むらが目立たないことから、下限は限定されない。値が低いほど美麗な白紙面感を持つ塗工白板紙を得ることができる。DAV2値がこの値にある塗工白板紙は、官能評価でも白紙面感が良好となり、官能評価の結果と一致する。DAV2値が白紙面感の客観的な評価となりうることは本発明により見出された新しい知見である。
【0040】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。特に断らない限り、本明細書おいて部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含む。
【0041】
(評価方法)
(1)坪量JIS P 8124に準じて測定した。
(2)紙厚:JIS P 8118に準じて測定した。
(3)密度:JIS P 8118に準じて坪量と紙厚から求めた。
(4)白色度:JIS P8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
(5)平滑性:JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」に準拠し、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑性を測定した。
(5)DAV2:デュポン社製アピアランスアナライザーを用い、塗工紙表面のもやもや感を評価した。値が大きいほど塗工紙の表面にもやもや感があり、白紙面感が劣る。
【0042】
(6)白紙面感:以下の基準を用いて、塗工紙表面に見られる濃淡ムラを目視により評価した。
・◎:ムラが全く目立たない
・○:軽度のムラが見られる
・△:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
・×:顕著なムラが認められ、実用に適さない
(7)夾雑物:以下の基準を用いて、塗工紙表面に見られる原紙層由来の夾雑物を目視により評価した。
・◎:夾雑物が全く見られない
・○:夾雑物がやや見られる
・△:夾雑物が認められ、実用上問題となる可能性がある
・×:多数の夾雑物が認められ、実用に適さない
【0043】
[実施例1]
(原紙1)
LBKP100%のパルプを使用して坪量33g/m
2の表層、脱墨古紙パルプ80%、脱墨しない雑誌古紙パルプ20%を配合して坪量36g/m
2の表下層、脱墨しない雑誌古紙パルプ100%のパルプを使用して44g/m
2の中層、中層と同様のパルプを使用して4〜7層目をそれぞれ抄造して抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い米坪294g/m
2の塗工白板紙原紙を得た。本発明では、多層抄きの原紙において、顔料を塗工する側の最表層を表層、塗工面から反対側に向かって2層目を表下層、最裏面を裏層、それ以外を中層という。
【0044】
(塗工液A)
紡錘状軽質炭酸カルシウム(D50=0.5μm、D75/D25=2.5)50部、デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)50部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス16.5部、界面活性剤0.2部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整したところ、固形分濃度は63%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Aを得た。
【0045】
(塗工液B)
重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm)、D75/D25=3.8)85部、酸化チタン15部からなる顔料スラリーを調整した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス11部、界面活性剤0.2部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整したところ、固形分濃度は68%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Bを得た。
【0046】
(塗工)
原紙1に上記塗工液Aを下塗り塗工層としてベントブレード塗工方式にて塗工し、乾燥工程を経ることなく、塗工液Bが最表層になるよう、塗工液AおよびBをスロット型カーテン塗工装置にて同時2層塗工を行い、乾燥した。カーテン塗工層は、塗工液Aの層をプレ塗工層、塗工液Bの層をトップ塗工層とした。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工層が10g/m
2、プレ塗工層が12g/m
2、トップ塗工層が5g/m
2であり、塗工白板紙の坪量は323g/m
2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/minであった。
【0047】
(仕上げ処理)
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/minであった。
【0048】
[実施例2]
(原紙2)
原紙1の表層のパルプ配合をLBKP50%、脱墨古紙パルプ50%とする以外は原紙1と同様に坪量297g/m
2の塗工白板紙原紙を得た。
【0049】
実施例1の原紙1を原紙2とした以外は、実施例1と同様にして坪量323g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0050】
[実施例3]
(原紙3)
原紙1の表層のパルプを脱墨古紙パルプ100%とし、表下層のパルプを脱墨しない雑誌古紙パルプ100%として原紙3を得た以外は、原紙1と同様にして坪量297g/m
2の塗工白板紙原紙を得た。
【0051】
実施例1の原紙1を原紙3とした以外は、実施例1と同様にして坪量327g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0052】
[実施例4]
(原紙4)
脱墨古紙パルプを100%使用して坪量24g/m
2の表層、脱墨古紙パルプ80%、脱墨しない雑誌古紙パルプ20%を配合して坪量25g/m
2の表下層、脱墨しない雑誌古紙パルプ100%のパルプを使用して26g/m
2の中層、中層と同様のパルプを使用して26g/m
2の4層目をそれぞれ抄造して抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い米坪101g/m
2の塗工白板紙原紙を得た。
【0053】
(塗工液C)
紡錘状軽質炭酸カルシウム(D50=0.5μm、D75/D25=2.5)40部、デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)10部、重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)50部とした以外は、塗工液Aと同様に調整し、固形分濃度は62%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Cを得た。
【0054】
実施例1の原紙を原紙4とし、プレ塗工層を塗工液Cとした以外は実施例1と同様にして坪量127.9g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0055】
[実施例5]
実施例4の原紙4の表層、表下層、中層の坪量をそれぞれ33.0g/m
2、35.8g/m
2、33.0g/m
2とし、4〜7層目を中層と同様のパルプを使用してそれぞれ抄きあわせ坪量265g/m
2の塗工白板紙原紙(原紙4−2)を得た以外は、実施例4と同様にして坪量290.4g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0056】
[実施例6]
実施例4の原紙4の表層、表下層、中層の坪量をそれぞれ34.0g/m
2、41.6g/m
2、65.8g/m
2とし、4〜7層目を中層と同様のパルプを使用してそれぞれ抄きあわせ、坪量441g/m
2の塗工白板原紙(原紙4−3)を得た以外は、実施例4と同様にして坪量470g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0057】
[実施例7]
実施例4の原紙4の表層、表下層、中層の坪量をそれぞれ46.3g/m
2、51.0g/m
2、91.4g/m
2とし、4〜7層目を中層と同様のパルプを使用してそれぞれ抄きあわせ、坪量601g/m
2の塗工白板原紙(原紙4−4)を得た以外は、実施例4と同様にして坪量630g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0058】
[実施例8]
(塗工液D)
塗工液Aのデラミネーティッドカオリン50部を重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)50部に置き換えた以外は塗工液Aと同様に調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Dを得た。
【0059】
実施例3の下塗り塗工層、およびプレ塗工層を塗工液Dとした以外は実施例3と同様にして坪量325g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0060】
[実施例9]
(塗工液E)
塗工液Aの軽質炭酸カルシウム50部を重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)50部に置き換えた以外は塗工液Aと同様に調整し、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Eを得た。
【0061】
実施例3の下塗り塗工液、およびプレ塗工層を塗工液Eとした以外は実施例3と同様にして坪量326g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0062】
[実施例10]
(塗工液F)
デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)35部、重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)65部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、尿素リン酸澱粉3部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス12部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整したところ、固形分濃度は65%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Fを得た。
【0063】
(塗工液G)
デラミネーティッドカオリン(平均アスペクト比50)25部、クレー25部、重質炭酸カルシウム(D50=0.7μm、D75/D25=3.8)5部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(D50=0.5μm、D75/D25=2.5)38部、酸化チタン7部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、尿素リン酸澱粉5部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス14.5部を添加した。さらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整したところ、固形分濃度は62%、静的表面張力は30mN/mの塗工液Gを得た。
【0064】
実施例1において、原紙1に、下塗り上記塗工層として、塗工液Fをバー塗工にて塗工し、乾燥工程を経たのちに、上塗塗工層として塗工液Gをベントブレード塗工方式にて塗工した。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工層が8g/m
2、上塗塗工層が12g/m
2であり、塗工白板紙の坪量は321g/m
2であった。塗工層の構成以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
【0065】
[比較例1]
実施例10において、原紙を原紙2とした以外は、実施例10と同様にして坪量319g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0066】
[比較例2]
実施例10において、原紙を原紙3とした以外は、実施例10と同様にして坪量320g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0067】
[比較例3]
実施例3において、ベントブレード塗工方式による下塗り塗工を行わず、カーテンによるトップ塗工層の塗工量を15g/m
2とした以外は、実施例3と同様にして坪量318g/m
2の塗工白板紙を得た。
【0070】
実施例1〜3と実施例10、比較例1、2を比較すると、本発明のブレード+カーテン2層の塗工方式によれば、原紙中の古紙パルプ配合率が増加しても、白紙面感や夾雑物に大きな差は見られないが、バー+ブレードの塗工方式では、脱墨古紙パルプの配合に伴い、DAV2値の悪化や、白紙面感、夾雑物の悪化がみられた。
【0071】
実施例3、8、9を比較すると、ブレードによる下塗り層、カーテンプレ塗工層に、軽質炭酸カルシウムやデレミネーティッドカオリンを含有することで、より良好な白紙面感と、高い夾雑物隠蔽効果が得られた。
【0072】
実施例3と比較例3を比較すると、ブレードによる下塗り塗工層を設けることで、高い平滑性(PPSラフネス値)が得られることが明らかである。