【課題】一回の投射で広範囲の障害物を処理することができ、下方向だけでなく左右方向に位置する障害物をも処理することができ、周辺だけでなく離れた位置にあるバリケード鉄条網や有刺鉄線をも切断することができる複合爆索とこれを用いた障害物処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】飛行可能な飛翔体3と、可撓性のある中空円筒形状の外周壁5aを有する予め定められた長さの外筒ホース5と、外筒ホース5の中空A内に格納され前端部7aが飛翔体3に連結され後端部7bが地上に固定された可撓性のある予め定められた長さの爆索7と、を備え、外筒ホース5は、外周壁5aの中に複数の硬球5hを有し、硬球5hは、爆索7の爆発で発生する爆風により爆索7の周囲に飛散する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように中心の爆風の威力が強く、距離に応じて急激に威力が減少するという固体爆薬の性質から、従来の障害物処理装置は、爆索の爆発による爆風の影響範囲が比較的狭く、地雷の啓開範囲が狭かった。
【0008】
また従来の障害物処理装置は、爆索に接触している場合か爆索に極めて接近している場合でしか、鉄条網や有刺鉄線を切断できなかった。そのため従来の障害物処理装置を使用して地雷原を処理できる処理範囲を広くするためには、飛翔の軌跡が異なるロケット弾を複数回投射する必要があった。そのため、投射時間が余分にかかったり、風向きの影響を受けて障害物処理装置のロケット弾の軌跡がずれたりするおそれがあった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、一回の投射で広範囲の障害物を処理することができ、下方向だけでなく左右方向に位置する障害物をも処理することができ、周辺だけでなく離れた位置にあるバリケード鉄条網や有刺鉄線をも切断することができる複合爆索とこれを用いた障害物処理装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、飛行可能な飛翔体と、
可撓性のある中空円筒形状の外周壁を有する予め定められた長さの外筒ホースと、
前記外筒ホースの中空内に格納され前端部が飛翔体に連結され後端部が地上に固定された可撓性のある予め定められた長さの爆索と、を備え、
前記外筒ホースは、前記外周壁の中に複数の硬球を有し、
前記硬球は、前記爆索の爆発で発生する爆風により前記爆索の周囲に飛散する、ことを特徴とする複合爆索が提供される。
【0011】
また外筒ホースは、その外面を構成する中空円筒形状の外周筒と、前記中空の内面を構成する中空円筒形状の内周筒と、を前記外周壁として有する二重ホースであり、
複数の前記硬球は、前記外周筒と前記内周筒との間の隙間である円筒状隙間に収容されている。
【0012】
また外筒ホースは、前記外周壁が中空円筒形状のゴム板であるゴムホースであり、
複数の前記硬球は、前記外周壁の壁内に埋め込まれている。
【0013】
また前記外筒ホースは、前記爆索の前記前端部から前記後端部までの長さより前後方向の長さが短い前記外周壁を有する短外筒を複数有し、
複数の前記短外筒は、その中空内に爆索を通し前後方向に数珠状に連なる。
【0014】
また前記外筒ホースは、前記爆索の前記前端部から前記後端部まで延びる1本のホースである。
【0015】
また前記外筒ホースは、前記爆索の前記前端部から前記後端部まで延びる1本のホースであり、
前記円筒状隙間は、前後方向に複数に分割されている。
【0016】
また複数の前記硬球は、該硬球の集合体の周方向の存在範囲が270度以下になるように前記外周壁に設けられており、
前記短外筒は、前記飛翔体の飛翔時に前記硬球の集合体の存在部位が重力で常に下部に存在するように前記爆索を中心として回転可能に構成されている。
【0017】
また複数の前記硬球は、該硬球の集合体の周方向の存在範囲が270度以下になるように前記円筒状隙間に収容されており、
前記飛翔体の飛翔時には前記硬球が重力で常に前記円筒状隙間の下部に存在するように構成されている。
【0018】
また前記硬球は、直径が2mmより大きく3cmより小さいセラミックス粒子である。
【0019】
また本発明によれば、上述の前記複合爆索と、
前記飛翔体を投射する投射装置と、
前記爆索を起爆する起爆装置と、を備える、ことを特徴とする複合爆索を用いた障害物処理装置が提供される。
【0020】
さらに本発明によれば、上述の前記複合爆索を用いた障害物処理方法であって、
前記飛翔体を投射することにより前記爆索を展張させ、
その後、前記爆索を起爆させることにより該爆索の爆発で発生する爆風により前記硬球を前記爆索の周囲に飛散させる、ことを特徴とする複合爆索を用いた障害物処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明の複合爆索とこれを用いた障害物処理装置及び方法によれば、多数の硬球を内蔵する柔軟な外筒ホースが爆索を被うので、爆索の爆風効果に加え、飛散する硬球の運動エネルギ効果によっても障害物の処理が可能となる。硬球の運動エネルギは、爆索の爆風効果とは異なり、距離に応じて急激に威力が減少することはない。そのため硬球は、爆索から離れた位置まで到達する。それにより本発明の複合爆索は、爆索の周辺の広範囲にわたり、障害物を処理することができる。またバリケード鉄条網のような有刺鉄線の障害物が爆索から離れた場所に位置するときでも、飛散する硬球の運動エネルギによりそれを切断することができる。
【0022】
また本発明の複合爆索とこれを用いた障害物処理装置及び方法では、爆索の左右方向にも硬球が配置されるため、硬球が爆索の左右方向にも飛散する。そのため爆索の左右方向に位置する障害物も破壊することができる。
【0023】
また従来の障害物処理装置の爆索に本発明の外筒ホースを被せるだけで容易に本発明の複合爆索を製造することができる。そのため本発明の複合爆索は、製造コストを抑えることができる。また既にある障害物処理装置の爆索を、より広範囲の障害物を処理できる複合爆索に簡単に作り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の複合爆索1の利用説明図である。
図2は、本発明の第1実施形態の複合爆索1の説明図である。
図2(A)は、第1実施形態の複合爆索1における
図1(A)のC−C矢視図であり、
図2(B)は、第1実施形態の複合爆索1における
図1(B)のD−D矢視図である。また
図2(C)は、第1実施形態の複合爆索1の円筒状隙間5fが縫合により区切られていた場合の
図1(A)のEの拡大図である。
図2(D)は、第1実施形態の複合爆索1の円筒状隙間5fが結束具5jにより区切られていた場合の
図1(A)のEの拡大図である。
【0027】
本発明の複合爆索1は、飛翔体3、外筒ホース5、爆索7を備え、例えば不要な鉄条網の処理や地雷処理(以下、障害物処理)のために使用される。以下、障害物処理が必要な土地を、未処理地Bと呼ぶ。
また本発明の複合爆索1を用いた障害物処理装置4は、本発明の複合爆索1と、飛翔体3を投射する投射装置2と、爆索7を起爆する起爆装置8と、を備える。
【0028】
飛翔体3は、飛行可能な飛翔体である。飛翔体3はロケット弾が好ましいが、ロケット弾を推進手段として使用するその他の飛翔体でもよい。
飛翔体3の後端部には、爆索7が連結されている。飛翔体3が投射装置2によって未処理地Bへ投射されることにより、飛翔体3の後端部に連結された爆索7が、未処理地B上に展張される。
【0029】
なお、本発明の飛翔体3は、従来の障害物処理装置で使用されたロケット弾より屈伸距離が長いロケット弾であることが好ましい。それにより外筒ホース5の分、飛翔体3が牽引する索が従来の障害物処理装置より重くても、従来の障害物処理装置と同等の屈伸距離を得ることができる。
【0030】
爆索7は、外筒ホース5の中空A内に格納され、その前端部7aが飛翔体3に連結され、後端部7bが地上に固定された可撓性のある予め定められた長さの爆索である。
【0031】
爆索7は、その両端(すなわち前端部7aと後端部7b)に栓7cが連結されている。爆索7は、前方側の栓7cに爆索7の前端部7aが連結し、後方に向かって延び、その後端部7bが後方側の栓7cに連結することが好ましい。
【0032】
前方側の栓7cは、飛翔体3の後端部に、ロープやワイヤー、ワイヤーロープ等の索により、連結される。また後方側の栓7cは、ロープやワイヤー、ワイヤーロープ等の索により、投射装置2やその付近の地面等の地上に連結される。それにより、爆索7は、前後の索と栓7cを介して、前端部7aが飛翔体3に連結され、後端部7bが地上に連結される。
【0033】
栓7cは、金属製もしくは樹脂製であることが好ましい。栓7cが金属製である場合、例えばアルミや鉄で構成されていることが好ましい。しかし、栓7cの素材は、この他の金属、もしくは樹脂、等であってもよい。
【0034】
また爆索7には、爆索7を起爆する起爆装置8が設けられている。
起爆装置8は、爆索7の前端部7aから後端部7bにかけて、いずれの位置に設置してもよい。第1実施形態では、外筒ホース5より後方に設置したが、前方に取り付け、飛翔体3と共に飛翔させてもよい。また、飛翔体3内部に設置してもよい。起爆は遠隔操作で行ってもよく、起爆装置8に繋がる導火線を発火させることにより行ってもよい。
【0035】
本発明の外筒ホース5は、可撓性のある中空円筒形状の外周壁5aを有する予め定められた長さのホースであり、外周壁5aの中に複数の硬球5hを有する。また本発明の外筒ホース5はその内径(すなわち中空Aの直径)が爆索7より大きく、その中空Aには爆索7が収められている。
【0036】
また第1実施形態の外筒ホース5は
図2に示すように、その外面5bを構成する中空円筒形状の外周筒5dと、中空Aの内面5cを構成する中空円筒形状の内周筒5eと、を外周壁5aとして有する二重ホースである。そして第1実施形態の複数の硬球5hは、外周筒5dと内周筒5eとの間の隙間である円筒状隙間5fに収容されている。
また円筒状隙間5fは、中空円筒形状の隙間である。
【0037】
第1実施形態の外筒ホース5の外周壁5aは、傷が付きにくく強靭な硬い布であり、例えばテトロンスリーブであることが好ましい。もしくは第1実施形態の外周壁5aは、可撓性がある薄いゴム板や、樹脂板であってもよい。
例えば外周壁5aが布である場合、第1実施形態の外筒ホース5は筒状に縫われた二重の布であり、その外側の布(外周筒5d)と内側の布(内周筒5e)との間(円筒状隙間5f)に硬球5hを含む。外周壁5aが薄いゴム板や樹脂板である場合も同様である。
【0038】
第1実施形態の外筒ホース5は、
図1に示すように、爆索7の前端部7aから後端部7bまで延び外筒ホース5の前端部から後端部まで一体の円筒状隙間5fを有する1本のホースである。
【0039】
もしくは第1実施形態の外筒ホース5は、
図2(C)や
図2(D)に示すように、爆索7の前端部7aから後端部7bまで延びる1本のホースであり、円筒状隙間5fが前後方向に複数に分割されているものであってもよい。
【0040】
図2(C)の外筒ホース5は、その外周筒5dと内周筒5eが縫合されることにより、円筒状隙間5fが前後方向に複数に分割されている。
【0041】
図2(D)の外筒ホース5は、その外周筒5dの上から結束具5jで外周筒5d及び内周筒5eと、爆索7とを締め付けることにより、円筒状隙間5fが前後方向に複数に分割されている。
【0042】
このように
図2(C)と
図2(D)に示す第1実施形態の複合爆索1は、外筒ホース5の円筒状隙間5fを前後方向に分割することにより飛翔体3の加速度や外筒ホース5の傾きで前後方向の一方に硬球5hが寄ることを防ぐことができる。
【0043】
外筒ホース5の前端部と後端部は、爆索7の両端の栓7cに固定されてもよい。例えば、栓7cと接触する外筒ホース5の内面5cに接着剤を塗布し、外筒ホース5の外周筒5dの上から結束具5jで締め付けることにより、外筒ホース5と栓7cとを固着させることが好ましい。この場合、本発明の結束具5jは、パンチバンドであることが好ましい。しかし、外筒ホース5を栓7cに固着できるものであれば、その他のものでもよい。
また固着の方法は、圧着でも、接着でもよく、その他の方法でもよい。
【0044】
また外筒ホース5の両端を栓7cに密着させることが好ましい。これにより爆索7の爆発時に外筒ホース5の中空Aの内圧をより高めることができるので、硬球5hに与える運動エネルギをより大きくすることができる。
しかしこれに限らず外筒ホース5の中空Aは外部と連通していてもよい。
【0045】
硬球5hは、外周壁5aの中に収められた複数の硬い球である。硬球5hは、直径が2mmより大きく3cmより小さい球であることが好ましい。しかし、硬球5hの直径は、それよりも大きくても小さくてもよい。
【0046】
また硬球5hは、アルミナやジルコニア等のセラミックス粒子であることが好ましい。しかし硬球5hは、鉄球や石粒であってもよい。
【0047】
なお、本発明の複合爆索1は、従来の障害物処理装置の爆索を本発明の爆索7として使用し、その爆索7に多数の硬球5hを内蔵する柔軟な外筒ホース5を被せることで、本発明の複合爆索1を製造してもよい。
【0048】
次に本発明の複合爆索1を用いた障害物処理方法について説明する。
本発明の障害物処理方法は、まず
図1(A)に示すように飛翔体3を投射し、それにより、前端部7aが飛翔体3に連結された爆索7を
図1(B)に示すように未処理地Bに展張させる。爆索7の後端部7bは地上に固定されていることから、爆索7は、落下した飛翔体3と後端部7bが固定された地上との間で展張する。
【0049】
その後、爆索7を起爆させることにより、爆索7の爆発で発生する爆風により、硬球5hを爆索7の周囲に飛散させる。
障害物処理を本発明の障害物処理方法で行うことにより、爆索7の爆風効果に加え、飛散する硬球5hの運動エネルギ効果によっても障害物の処理が可能となる。
【0050】
次に、本発明の複合爆索1の効果について説明する。
図3は、本発明の複合爆索1の爆発に伴う損傷範囲の概念図である。
【0051】
図3で、横軸は本発明の爆索7の爆発点からの距離を示し、縦軸は障害物の損傷確率を示す。また
図3のPは、爆索7の熱効果が表れる範囲を示す。Qは、爆索7の爆風効果が表れる範囲を示し、Rは、爆索7の破片効果が表れる範囲を示す。
【0052】
図3に示すように、爆索7の処理効果は、爆発点から遠ざかるにしたがい、熱効果P、爆風効果Q、破片効果Rの順に消失する。言い換えると、破片効果Rは、熱効果Pの10倍以上、爆風効果Qの3倍以上の距離まで到達する。
したがって、本発明の複合爆索1は、従来の障害物処理装置に使用していた爆索より、広範囲を障害物処理することができる。
【0053】
図4は、本発明の複合爆索1の爆発過程を示す
図1(B)のD−D矢視図である。
図4(A)は、爆発前の矢視図、
図4(B)は、爆索7の爆発後に外筒ホース5が膨張したときの矢視図、
図4(C)は、硬球5hが飛散を開始したときの矢視図、
図4(D)は、硬球5hが飛散した範囲が、拡大したときの矢視図である。
【0054】
本発明の複合爆索1は、上述の構成により、爆索7の爆発で発生する爆風により、硬球5hが爆索7の周囲に飛散する。具体的には、爆索7が爆発すると、爆索7の爆風により、外筒ホース5が膨張する(
図4(B))。そして膨張により外筒ホース5が弾けると、外筒ホース5の中の硬球5hが周囲に飛散する(
図4(C),
図4(D))。それにより
図3に示したように、硬球5hは爆索7から離れた位置まで届く。
【0055】
そのため本発明の複合爆索1は、爆索7の爆発により運動エネルギを得た硬球5hが爆索7から離れた位置まで飛散するので、爆索のみを展張する従来の障害物処理装置よりも広範囲の未処理地Bの障害物処理をすることができる。
【0056】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態の複合爆索1の説明図である。
図5(A)は、第2実施形態の複合爆索1の利用説明図、
図5(B)は、第2実施形態の外筒ホース5の斜視図、
図5(C)は、
図5(A)のG−G矢視図である。
なお、
図5(A)のH−H矢視図は
図2(B)と同様であるため、省略する。
【0057】
第2実施形態の外筒ホース5は、爆索7の前端部7aから後端部7bまでの長さより前後方向の長さが短い外周壁5aを有する短外筒5gを複数有する。そして複数の短外筒5gは、その中空A内に爆索7を通し前後方向に数珠状に連なる。
【0058】
第2実施形態の硬球5hは、円筒状隙間5fに隙間なく詰め込まれていることが好ましい。また短外筒5gは、互いに連結されていても、連結されていなくてもよい。第2実施形態の外筒ホース5は、爆索7より短い長さの複数の短外筒5gが数珠状に連なっているため、互いに隣接する短外筒5gの間で爆索7を曲げることができる。そのため短外筒5g自体に可撓性がなくても、複合爆索1の全体としては、可撓性を有することができる。
【0059】
また第2実施形態の短外筒5gの前端部と後端部は、爆索7に固定されていても、されていなくてもよい。また短外筒5gの中空Aは、外部に連通していても、連通していなくてもよい。それによっても、短外筒5g自体に可撓性がなくても互いに隣接する短外筒5gの間で爆索7を曲げることができ、複合爆索1全体の可撓性を維持することができる。
【0060】
第2実施形態の複合爆索1はこの構成により、製造コストを抑え、簡単に製造することができる。すなわち、予め複数の短外筒5gを製造し、その中空Aに爆索7を通すだけで、第2実施形態の複合爆索1を簡単に製造することができる。
【0061】
なお、その他の第2実施形態の複合爆索1の構成、複合爆索1を用いた障害物処理装置4の構成、もしくは障害物処理方法は、第1実施形態のそれらと同様である。
【0062】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の複合爆索1の説明図である。
図6(A)は、第3実施形態の複合爆索1の部分斜視図、
図6(B)は、第3実施形態の複合爆索1における
図1(A)のC−C矢視図、
図6(C)は、第3実施形態の複合爆索1における
図1(B)のD−D矢視図である。
なお説明のため、
図6(A)では、爆索7の描写を省略している。
【0063】
図7は、本発明の第3実施形態の複合爆索1の利用説明図である。
図7(A)は、第3実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が爆索7の前端部7aから後端部7bまで延びる1本のゴムホースもしくは樹脂のホースであるときの利用説明図である。
図7(B)は、第3実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が爆索7の前端部7aから後端部7bまでの長さより短い外周壁5aを有する複数の短外筒5gを有するときの利用説明図である。
【0064】
第3実施形態の外周壁5aは、可撓性のある実質状の(すなわち実の詰まった)ゴムや柔らかい樹脂であることが好ましいが、可撓性があればその他の素材でもよい。第3実施形態の硬球5hは、外周壁5aの中に実質の中に埋め込まれている。第3実施形態の外周壁5a中の硬球5hの密度は、一定であることが好ましい。
【0065】
第3実施形態の外筒ホース5は
図7(A)に示すように、爆索7の前端部7aから後端部7bまで延びる1本のホースであってもよい。もしくは、第3実施形態の外筒ホース5は、
図7(B)に示すように前後方向に複数に分割されていてもよい。
【0066】
また、第3実施形態の外周壁5aの外面5bには、複数の切れ込みが入れられていることが好ましい。切れ込みの形状は、格子状が好ましい。外面5bに複数の切れ込みを設けることにより、爆索7が爆発して外筒ホース5が膨張した際に外周壁5aを破れやすく、かつ硬球5hを飛散させやすく、外筒ホース5を形成することができる。
【0067】
なお、その他の第3実施形態の複合爆索1の構成、複合爆索1を用いた障害物処理装置4の構成、もしくは障害物処理方法は、第1実施形態または第2実施形態のそれらと同様である。
【0068】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が二重ホースであるときの外筒ホース5の説明図である。
図8(A)は外筒ホース5の斜視図であり、
図8(B)は、第4実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が
図8(A)の外筒ホース5であるときの
図1のD−D矢視図である。
【0069】
図9は、本発明の第4実施形態の複合爆索1の外筒ホース5がゴムホースもしくは樹脂のホースであるときの短外筒5gの説明図である。
図9(A)は第4実施形態の短外筒5gの斜視図であり、
図9(B)は、第4実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が
図9(A)の外筒ホース5であるときの
図1のD−D矢視図である。
【0070】
第4実施形態の外筒ホース5は、爆索7の前端部7aから後端部7bまでの長さより前後方向の長さが短い外周壁5aを有する短外筒5gを複数有する。そして複数の短外筒5gは、その中空A内に爆索7を通し前後方向に数珠状に連なる。第4実施形態の短外筒5gは、爆索7を中心として自由に回転でき、爆索7に固定されていない。
【0071】
具体的に第4実施形態の外筒ホース5は、その外周壁5aが、
図8に示すような第1実施形態または第2実施形態の外周壁5aと同様の二重の布、または二重のゴムホースもしくは樹脂のホースである。
【0072】
または、第4実施形態の外筒ホース5は、
図9に示すように、その外周壁5aが中空円筒形状の実質状のゴム板であるゴムホース、もしくは中空円筒形状の樹脂の板である樹脂のホースであり、複数の硬球5hがその外周壁5aの壁内に埋め込まれているものである。
【0073】
また第4実施形態の複合爆索1は、その円筒状隙間5f内(
図8)もしくは外周壁5aの実質内(
図9)に一定の隙間を有して、硬球5hが収められている。
【0074】
第4実施形態の複数の硬球5hは、硬球5hの集合体の周方向の存在範囲Tが270度以下になるように外周壁5aの壁内に設けられている。第4実施形態の短外筒5gは、飛翔体3の飛翔時に硬球5hの集合体の存在部位が重力で常に下部に存在するように、爆索7を中心として回転可能に構成されている。
例えば第4実施形態の外周壁5aがゴムホースや樹脂のホースである場合、硬球5hは、外周壁5aを構成するゴムや樹脂より比重が大きい。そして硬球5hは、ホースの下方270度の外周壁5aの実質に埋め込まれている。
【0075】
この構成により第4実施形態の複合爆索1は、短外筒5gが爆索7を中心として回転可能である。そのため硬球5hを常に爆索7の下方向と左右方向に配置することができる。また第4実施形態の複合爆索1は、爆索7の上方向の硬球5hを省くことができるため、外筒ホース5を軽くすることができる。
【0076】
すなわち一般に、障害物処理で起爆するときには、爆索7の下方と左右方向には地雷や鉄条網等の障害物が存在するが、上方には何もない。第4実施形態の複合爆索1は、硬球5hが下方と左右方向に常に位置し、爆索7の上方には硬球5hが配置されないため、上方に飛散する分の硬球5hを搭載して飛翔体3を飛翔させる必要がない。そのため第1実施形態もしくは第2実施形態の複合爆索1よりも屈伸距離を延ばすことができ、効率よく硬球5hを使うことができる。
なお、その他の第4実施形態の複合爆索1の構成、複合爆索1を用いた障害物処理装置4の構成、もしくは障害物処理方法は、第1実施形態から第3実施形態のそれらと同様である。
【0077】
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態の複合爆索1の説明図である。
図10(A)は、第5実施形態の複合爆索1における
図1(B)のD−D矢視図、
図10(B)は、第5実施形態の複合爆索1の外筒ホース5が爆索7の前端部7aから後端部7bまでの長さより短い外周壁5aを有するときの外筒ホース5の斜視図である。
【0078】
第5実施形態の外筒ホース5は、その外面5bを構成する中空円筒形状の外周筒5dと、中空Aの内面5cを構成する中空円筒形状の内周筒5eとを、第1実施形態もしくは第2実施形態と同様の外周壁5aとして有する二重ホースである。そして第5実施形態の複数の硬球5hも、円筒状隙間5fに収容されている。
【0079】
第5実施形態の外筒ホース5は、爆索7の前端部7aから後端部7bまで延びる1本のホースであり、円筒状隙間5fが前後方向に複数に分割されている。もしくは第5実施形態の外筒ホース5は、爆索7の前端部7aから後端部7bまでの長さより前後方向の長さが短い外周壁5aを有する短外筒5gを複数有し、複数の短外筒5gが、その中空A内に爆索7を通し前後方向に数珠状に連なるものである。
【0080】
第5実施形態の複数の硬球5hは、硬球5hの集合体の周方向の存在範囲Tが270度以下になるように円筒状隙間5fに収容されており、飛翔体3の飛翔時には硬球5hが重力で常に円筒状隙間5fの下部に存在するように構成されている。具体的には、第5実施形態の複合爆索1は、硬球5hが円筒状隙間5f内を転がることで、円筒状隙間5fの下部に存在するように構成されている。第5実施形態の外周壁5aは、爆索7に固定されていても、されていなくてもよい。
【0081】
第5実施形態の外周壁5aは、第1実施形態や第2実施形態と同様に、布や可撓性がある薄いゴム板、もしくは樹脂板であってもよい。
【0082】
また第5実施形態の外周壁5aは、第5実施形態の外筒ホース5は、
図10(B)に示すように短外筒5gであってもよい。
【0083】
もしくは第5実施形態の外筒ホース5は、第1実施形態と同様に、爆索7の前端部7aから後端部7bまで延びる1本のホースであってもよい。その場合は、第1実施形態と同様に円筒状隙間5fが縫合や結束具5jにより前後方向に複数に区切られている。
【0084】
なお、その他の第5実施形態の複合爆索1の構成、複合爆索1を用いた障害物処理装置4の構成、もしくは障害物処理方法は、第1実施形態または第2実施形態のそれらと同様である。
【0085】
上述した本発明の複合爆索1とこれを用いた障害物処理装置4及び方法によれば、多数の硬球5hを内蔵する柔軟な外筒ホース5が爆索7を被うので、爆索7の爆風効果に加え、飛散する硬球5hの運動エネルギ効果によっても障害物の処理が可能となる。硬球5hの運動エネルギは、爆索7の爆風効果とは異なり、距離に応じて急激に威力が減少することはない。そのため硬球5hは、爆索7から離れた位置まで到達する。それにより本発明の複合爆索1は、爆索7の周辺の広範囲にわたり、障害物を処理することができる。またバリケード鉄条網のような有刺鉄線の障害物が爆索7から離れた場所に位置するときでも、飛散する硬球5hの運動エネルギによりそれを切断することができる。
【0086】
また本発明の複合爆索1とこれを用いた障害物処理装置4及び方法では、爆索7の左右方向にも硬球5hが配置されるため、硬球5hが爆索7の左右方向にも飛散する。そのため爆索7の左右方向に位置する障害物も破壊することができる。
【0087】
また従来の障害物処理装置の爆索7に本発明の外筒ホース5を被せるだけで容易に本発明の複合爆索1を製造することができる。そのため本発明の複合爆索1は、製造コストを抑えることができる。また既にある障害物処理装置の爆索7を、より広範囲の障害物を処理できる複合爆索1に簡単に作り替えることができる。
【0088】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。