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特開2015-197397シンチレータパネル、放射線検出器、および放射線検出器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-197397(P2015-197397A)
(43)【公開日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】シンチレータパネル、放射線検出器、および放射線検出器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 4/00 20060101AFI20151013BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20151013BHJP
   G01T 1/202 20060101ALI20151013BHJP
【FI】
   G21K4/00 A
   G01T1/20 L
   G01T1/202
   G01T1/20 C
   G01T1/20 E
   G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-76208(P2014-76208)
(22)【出願日】2014年4月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】本間 克久
(72)【発明者】
【氏名】堀内 弘
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 幸司
【テーマコード(参考)】
2G083
2G188
【Fターム(参考)】
2G083AA04
2G083CC01
2G083CC03
2G083CC04
2G083CC05
2G083DD01
2G083EE07
2G188AA03
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC12
2G188CC15
2G188CC17
2G188CC19
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD42
2G188DD44
(57)【要約】
【課題】放射線検出器の画像特性の均一性を確保することができるシンチレータパネル、放射線検出器、および放射線検出器の製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係るシンチレータパネルは、可撓性を有する基体と、前記基体の一方の面側に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、少なくとも前記シンチレータ層を覆う第1の防湿体と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基体と、
前記基体の一方の面側に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
少なくとも前記シンチレータ層を覆う第1の防湿体と、
を備えたシンチレータパネル。
【請求項2】
前記基体は、樹脂材料を含む第1の層と、前記第1の層に積層され、無機材料を含む第2の層と、を有する請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記第1の防湿体は、ポリパラキシリレンを含み、前記基体と、前記シンチレータ層と、を包むように設けられている請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記第1の防湿体の前記シンチレータ層が設けられる側とは反対側に設けられ、透光性を有し、無機材料を含む第2の防湿体をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
前記シンチレータ層は、複数の柱状結晶を有し、
前記複数の柱状結晶同士の間に設けられ、光散乱性の粒子を含むライトガイド部をさらに備えた請求項1〜4のいずれか1つに記載のシンチレータパネル。
【請求項6】
基板と、前記基板の一方の面側に設けられた光電変換素子と、を有するアレイ基板と、
前記光電変換素子の上に設けられた請求項1〜5のいずれか1つに記載のシンチレータパネルと、
を備えた放射線検出器。
【請求項7】
変換するシンチレータ層を形成し、少なくとも前記シンチレータ層を覆う第1の防湿体を形成して、シンチレータパネルを形成する工程と、
基板と、前記基板の一方の面側に設けられた光電変換素子と、を有するアレイ基板に、前記シンチレータパネルを貼り合わせる工程と、
を備え、
前記シンチレータパネルを貼り合わせる工程において、前記シンチレータパネルを撓ませて、前記シンチレータパネルと、前記アレイ基板と、の間に巻き込まれた空気を押し出すようにしながら貼り合わせを行う放射線検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シンチレータパネル、放射線検出器、および放射線検出器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入射したX線を可視光(蛍光)に変換するシンチレータパネルがある。
また、シンチレータパネルが設けられたX射線検出器においては、シンチレータパネルの可視光が出射する側を、アモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオードなどの光電変換素子が設けられたアレイ基板(アクティブマトリックス基板)に貼り合せている。
ここで、シンチレータパネルをアレイ基板に貼り合わせた際に、シンチレータパネルとアレイ基板との間に隙間(空隙)が生じると、X射線検出器の画像特性(例えば、感度や解像度など)の均一性が確保できなくなるおそれがある。
そのため、シンチレータパネルをアレイ基板に貼り合わせることで製造されたX射線検出器であっても、X射線検出器における画像特性の均一性を確保することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−163396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、放射線検出器の画像特性の均一性を確保することができるシンチレータパネル、放射線検出器、および放射線検出器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るシンチレータパネルは、可撓性を有する基体と、前記基体の一方の面側に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、少なくとも前記シンチレータ層を覆う第1の防湿体と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
図2】X線検出器1の模式断面図である。
図3】シンチレータパネル9の模式断面図である。
図4】(a)、(b)は、他の実施形態に係る基板について例示するための模式断面図である。
図5】高温高湿環境下(60℃−90%RH)における解像度特性の変化を例示するためのグラフ図である。
図6】(a)、(b)は、X線検出器1の効果を例示するための写真である。
図7】(a)は、他の実施形態に係るシンチレータパネル19の模式断面図である。(b)は、シンチレータパネル19をアレイ基板2に貼り付けた状態を例示するための模式断面図である。
図8】(a)は、他の実施形態に係るシンチレータパネル29の模式断面図である。(b)は、シンチレータパネル29をアレイ基板2に貼り付けた状態を例示するための模式断面図である。
図9】高温高湿環境下(60℃−90%RH)における解像度特性の変化を例示するためのグラフ図である。
図10】ライトガイド部15を例示するための模式断面図である。
図11】ライトガイド部15の効果を例示するためのグラフ図である。
図12】(a)〜(d)は、シンチレータ層5の形成を例示するための模式工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明の実施形態に係る放射線検出器は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
まず、第1の実施形態に係るX線検出器1について例示をする。
図1は、第1の実施形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
図2は、X線検出器1の模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図2においては、制御ライン2c1、データライン2c2、信号処理部3、画像伝送部4などを省いて描いている。
図3は、シンチレータパネル9の模式断面図である。
放射線検出器であるX線検出器1は、放射線画像であるX線画像を検出するX線平面センサである。X線検出器1は、例えば、一般医療用途などに用いることができる。
【0009】
図1および図2に示すように、X線検出器1には、アレイ基板2、信号処理部3、画像伝送部4、シンチレータパネル9、および接合部10が設けられている。
アレイ基板2は、基板2a、光電変換部2b、制御ライン(又はゲートライン)2c1、データライン(又はシグナルライン)2c2、および保護層2fを有する。
【0010】
基板2aは、板状を呈し、無アルカリガラスなどの透光性材料から形成されている。
光電変換部2bは、基板2aの一方の表面に複数設けられている。
光電変換部2bは、矩形状を呈し、制御ライン2c1とデータライン2c2とで画された領域に設けられている。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。
なお、1つの光電変換部2bは、1つの画素(pixel)に対応する。
【0011】
複数の光電変換部2bのそれぞれには、光電変換素子2b1と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)2b2が設けられている。
また、光電変換素子2b1において変換した信号電荷を蓄積する図示しない蓄積キャパシタを設けることができる。図示しない蓄積キャパシタは、例えば、矩形平板状を呈し、各薄膜トランジスタ2b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子2b1の容量によっては、光電変換素子2b1が図示しない蓄積キャパシタを兼ねることができる。
【0012】
光電変換素子2b1は、例えば、フォトダイオードなどとすることができる。
薄膜トランジスタ2b2は、蛍光が光電変換素子2b1に入射することで生じた電荷の蓄積および放出のスイッチングを行う。薄膜トランジスタ2b2は、アモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(P−Si)などの半導体材料を含むものとすることができる。薄膜トランジスタ2b2は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有している。薄膜トランジスタ2b2のゲート電極は、対応する制御ライン2c1と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のソース電極は、対応するデータライン2c2と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のドレイン電極は、対応する光電変換素子2b1と図示しない蓄積キャパシタとに電気的に接続される。
【0013】
制御ライン2c1は、所定の間隔を開けて互いに平行に複数設けられている。制御ライン2c1は、第1の方向(例えば、行方向)に延びている。
複数の制御ライン2c1は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d1とそれぞれ電気的に接続されている。複数の配線パッド2d1には、フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の一端がそれぞれ電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた図示しない制御回路とそれぞれ電気的に接続されている。
【0014】
データライン2c2は、所定の間隔を開けて互いに平行に複数設けられている。データライン2c2は、第1の方向に直交する第2の方向(例えば、列方向)に延びている。
複数のデータライン2c2は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d2とそれぞれ電気的に接続されている。複数の配線パッド2d2には、フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の一端がそれぞれ電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた図示しない増幅・変換回路とそれぞれ電気的に接続されている。
保護層2fは、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2を覆うように設けられている。
保護層2fは、窒化ケイ素(SiN)やアクリル系樹脂などの絶縁性材料から形成することができる。
【0015】
信号処理部3は、基板2aの光電変換部2bが設けられる側とは反対側に設けられている。
信号処理部3には、図示しない制御回路と、図示しない増幅・変換回路とが設けられている。
図示しない制御回路は、各薄膜トランジスタ2b2の動作、すなわちオン状態およびオフ状態を制御する。例えば、図示しない制御回路は、フレキシブルプリント基板2e1と配線パッド2d1と制御ライン2c1とを介して、制御信号S1を各制御ライン2c1毎に順次印加する。制御ライン2c1に印加された制御信号S1により薄膜トランジスタ2b2がオン状態となり、光電変換部2bからの画像データ信号S2が受信できるようになる。
【0016】
図示しない増幅・変換回路は、例えば、複数の電荷増幅器、並列/直列変換器、およびアナログ−デジタル変換器を有している。
複数の電荷増幅器は、各データライン2c2にそれぞれ電気的に接続されている。
複数の並列/直列変換器は、複数の電荷増幅器にそれぞれ電気的に接続されている。
複数のアナログ−デジタル変換器は、複数の並列/直列変換器にそれぞれ電気的に接続されている。
図示しない複数の電荷増幅器は、データライン2c2と配線パッド2d2とフレキシブルプリント基板2e2とを介して、各光電変換部2bからの画像データ信号S2を順次受信する。
そして、図示しない複数の電荷増幅器は、受信した画像データ信号S2を順次増幅する。
図示しない複数の並列/直列変換器は、増幅された画像データ信号S2を順次直列信号に変換する。
図示しない複数のアナログ−デジタル変換器は、直列信号に変換された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。
【0017】
画像伝送部4は、配線4aを介して、信号処理部3の図示しない増幅・変換回路と電気的に接続されている。なお、画像伝送部4は、信号処理部3と一体化されていてもよい。 画像伝送部4は、図示しない複数のアナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データ信号S2に基づいて、X線画像を構成する。構成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
【0018】
図2および図3に示すように、シンチレータパネル9には、シンチレータ層5、反射層6、防湿体7(第1の防湿体の一例に相当する)、および基体8が設けられている。
シンチレータ層5は、反射層6を介して、基体8の一方の面に設けられている。
シンチレータ層5は、入射したX線を可視光すなわち蛍光に変換する。
シンチレータ層5は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを用いて形成することができる。
シンチレータ層5の厚み寸法は、600μm程度とすることができる。
この場合、真空蒸着法などを用いて、柱状結晶の集合体が形成されるようにすることができる。
柱状結晶(柱(ピラー))の太さ寸法は、最表面で8μm〜12μm程度とすることができる。
【0019】
反射層6は、シンチレータ層5と基体8の間に設けられている。
シンチレータ層5の反射層6が設けられる側にはX線が入射する。
反射層6は、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために設けられている。すなわち、反射層6は、シンチレータ層5において生じた蛍光のうち、光電変換部2bが設けられた側とは反対側に向かう光を反射させて、光電変換部2bに向かうようにする。
反射層6の厚み寸法は、120μm程度とすることができる。
なお、反射層6は、必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0020】
防湿体7は、空気中に含まれる水蒸気により、反射層6の特性やシンチレータ層5の特性が劣化するのを抑制するために設けられている。
防湿体7は、膜状を呈し、シンチレータ層5と反射層6を覆うように設けられている。なお、反射層6が設けられていない場合には、防湿体7は、膜状を呈し、シンチレータ層5を覆うように設けられている。
防湿体7は、透光性を有し、透湿係数の小さい材料から形成することができる。
防湿体7は、例えば、ポリパラキシリレンなどから形成することができる。
【0021】
基体8は、フィルム状を呈し、可撓性を有している。
後述するように、シンチレータパネル9は、アレイ基板2に貼り合わされる。この場合、シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる際に、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に空気が巻き込まれる場合がある。
基体8が、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;carbon-fiber-reinforced plastic)などの剛性の高い材料から形成されている場合には、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に巻き込まれた空気を抜くことが難しく、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に隙間などが生じるおそれがある。シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に隙間などが生じると、X射線検出器1の画像特性(例えば、感度や解像度など)の均一性が確保できなくなるおそれがある。
本実施の形態に係る基体8は可撓性を有しているので、シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる際に、シンチレータパネル9を撓ませて、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に巻き込まれた空気を押し出すようにしながら貼り合わせを行うことができる。
そのため、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に隙間などが生じるのを抑制することができる。その結果、X射線検出器1の画像特性の均一性を確保することができる。
【0022】
ここで、基体8の一方の面側には、反射層6、シンチレータ層5、および防湿体7が形成される。
そのため、基体8の材料は、成膜プロセスにおける温度上昇に耐えられるものとする必要がある。
例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)からなるシンチレータ層5を蒸着する際には、基体8の温度は150℃程度となる。
この場合、基体8の材料の耐熱温度は、150℃以上であることが好ましい。
また、基体8の材料は、反射層6、シンチレータ層5、および防湿体7との密着性が高いものとすることが好ましい。
そのため、可撓性、耐熱性、および密着性などを考慮すると、基体8の材料は、例えば、ポリイミド系の樹脂、軟質エポキシ系の樹脂、シリコーン系の樹脂などとすることができる。
また、基体8の厚み寸法は、可撓性と耐熱性などを考慮して適宜決定することができる。
基体8の厚み寸法は、例えば、0.5mm程度とすることができる。
ただし、基体8の厚み寸法は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0023】
接合部10は、アレイ基板2とシンチレータパネル9との間に設けられている。
接合部10は、透光性を有し、アレイ基板2とシンチレータパネル9とを接合する。
接合部10は、例えば、光学両面テープ(OCAテープ(Optical Clear Adhesive Tape))などとすることができる。
また、接合部10は、例えば、光学接着剤や光学ジェルなどを硬化させることで形成されたものとすることもできる。
この場合、接合部10は、紫外線の照射により硬化するものとすることができる。
【0024】
次に、他の実施形態に係る基体18について例示する。
図4(a)、(b)は、他の実施形態に係る基板について例示するための模式断面図である。
【0025】
基体18は、前述した基体8に対応する。
基体18は、フィルム状を呈し、前述した基体8と同等の可撓性、耐熱性、および密着性などを有している。
【0026】
前述した基体8は、ポリイミド系の樹脂などの樹脂材料から形成されている。樹脂材料の場合は、分子鎖の間を水分子が透過できるため、十分な水蒸気バリア性を確保することが難しい場合がある。
これに対して、無機材料の場合は、原子間の隙間が水分子の大きさに対して小さいため十分な水蒸気バリア性を確保することが容易となる。
【0027】
そのため、基体18は、樹脂材料を含む第1の層18aと、第1の層18aに積層され無機材料を含む第2の層18bとを有している。
第1の層18aは、例えば、前述した基体8と同様に、ポリイミド系の樹脂、軟質エポキシ系の樹脂、シリコーン系の樹脂などから形成することができる。
第2の層18bは、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、アルミニウム、アルミニウム合金などから形成することができる。
【0028】
また、図4(a)に示すように、第1の層18aおよび第2の層18bをそれぞれ1層ずつ設けることもできるし、図4(b)に示すように、第1の層18aおよび第2の層18bをそれぞれ複数層ずつ設けることもできる。
この場合、X線が入射する側に第1の層18aが設けられていてもよいし、X線が入射する側に第2の層18bが設けられていてもよい。
【0029】
図5は、高温高湿環境下(60℃−90%RH)における解像度特性の変化を例示するためのグラフ図である。
A1は、厚み寸法が0.5mmのポリイミド系の樹脂の層のみからなる基体8が設けられたシンチレータパネルの場合である。
A2は、厚み寸法が0.5mmのポリイミド系の樹脂からなる第1の層18aと、厚み寸法が5μmの酸化シリコンからなる第2の層18bとが積層された基体18が設けられたシンチレータパネルの場合である。
A3は、厚み寸法が0.5mmのポリイミド系の樹脂からなる第1の層18aと、厚み寸法が6μmのアルミニウムからなる第2の層18bとが積層された基体18が設けられたシンチレータパネルの場合である。
A4は、厚み寸法が0.2mmのポリイミド系の樹脂からなる第1の層18aと、厚み寸法が2μmの酸化シリコンからなる第2の層18bとが2層ずつ積層された基体18が設けられたシンチレータパネルの場合である。
【0030】
そして、シンチレータ層5と反射層6とによって得られる解像度特性が、高温高湿環境下(60℃−90%RH)における保管時間の経過とともにどのように劣化するかで防湿性能を評価した。
なお、輝度よりも、湿度に対してより敏感な解像度特性により防湿性能を評価することにした。
解像度特性は、解像度チャートを各サンプルの表面側に配し、RQA−5相当のX線を照射して、裏面側から2Lp/mmのCTF(Contrast transfer function)を測定する方法で求めた。
【0031】
図5から分かるように、樹脂材料を含む第1の層18aと、無機材料を含む第2の層18bとが積層された構造を有する基体18とすれば、解像度特性の劣化をさらに低減させることができる。
なお、解像度特性の劣化の抑制は、前述した無機材料特有の水蒸気バリア効果によるものである。
すなわち、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、アルミニウム、アルミニウム合金以外の無機材料を用いるようにしても解像度特性の劣化を抑制することができる。
【0032】
図6(a)、(b)は、X線検出器1の効果を例示するための写真である。
図6(a)は、比較例に係るX線検出器における画像の輝度むらを例示するための写真である。
比較例に係るX線検出器は、炭素繊維強化プラスチックからなる基体が設けられたシンチレータパネルを備えている。
図6(b)は、本実施の形態に係るX線検出器1における画像の輝度むらを例示するための写真である。
なお、X線検出器1は、ポリイミド系の樹脂などからなる可撓性を有した基体8が設けられたシンチレータパネル9を備えている。
【0033】
この場合、画像の取得、信号処理、及び表示条件は同じにしている。
なお、写真において、画像の中央部が明るく周辺部が暗いのは、X線源からの距離と入射角度により生じるものであり、信号処理部3や画像伝送部4などにおいて画像処理を施すことで平準化することができる。
図6(a)から分かるように、比較例に係るX線検出器の場合は、線状あるいは点状の明るい部分が広い範囲において見られる。この様な線状あるいは点状の明るい部分の位置は、シンチレータパネルとアレイ基板との間に生じた隙間の位置に対応している。なお、シンチレータパネルとアレイ基板との間に生じた隙間の位置は、裏面斜光検査を行うことで知ることができる。
【0034】
シンチレータパネルとアレイ基板との間に隙間があると、蛍光が面方向に広がりるので、単なる輝度の違いだけではなく解像度特性の劣化も生じることになる。
また、線状あるいは点状の明るい部分は、任意の位置に生じ、かつ変化する事もあるので、線状あるいは点状の明るい部分が変化する場合には画像処理による平準化を行うことが困難である。そのため、X線検出器における画像特性の均一性を確保することが困難となる。
【0035】
これに対して、図6(b)から分かるように、本実施の形態に係るX線検出器1の場合は、線状あるいは点状の明るい部分がほとんど見られない。
そのため、X線検出器1における画像特性の均一性を確保することができる。
なお、比較例に係るX線検出器のMTFの2Lp/mmの値は、ばらつきが大きく18%〜26%程度となった。
本実施の形態に係るX線検出器1のMTFの2Lp/mmの値は、28%程度であった。
【0036】
また、本発明者らは、信頼性試験を行った。
信頼性試験は、落下試験、振動試験、冷熱試験とした。
落下試験は、X線検出器を1mの高さから落下させ、前述した線状あるいは点状の明るい部分の変化により評価を行った。なお、落下方向は任意の方向とした。
振動試験は、定振幅振動試験、定加速度振動試験、連続振動試験とした。
冷熱試験は、−20℃への冷却と、60℃への加熱を30回行った。
試験対象である比較例に係るX線検出器は、炭素繊維強化プラスチックからなる基体が設けられたシンチレータパネルを備えている。
試験対象であるX線検出器1は、ポリイミド系の樹脂などからなる可撓性を有した基体8が設けられたシンチレータパネル9を備えている。
【0037】
比較例に係るX線検出器においては、落下試験、振動試験、および冷熱試験において線状あるいは点状の明るい部分の増加が見られた。
これに対して、X線検出器1においては、落下試験、振動試験、および冷熱試験において線状あるいは点状の明るい部分に変化が見られなかった。
比較例に係るX線検出器のシンチレータパネルとアレイ基板との間には隙間がある。また、比較例に係るX線検出器は、炭素繊維強化プラスチックからなる基体を備えている。そのため、基体の剛性が高く、衝撃応力や熱応力を緩和することができない。その結果、シンチレータパネルとアレイ基板との間にある隙間が拡大し、線状あるいは点状の明るい部分の増加につながったものと考えられる。
これに対して、X線検出器1のシンチレータパネル9とアレイ基板2との間には隙間がほとんどない。また、X線検出器1は、ポリイミド系の樹脂などからなる可撓性を有した基体8を備えている。そのため、衝撃応力や熱応力を緩和することができる。その結果、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に隙間があったとしても、隙間の拡大を抑制することができるので、線状あるいは点状の明るい部分の増加が生じなかったものと考えられる。
この様に、本実施の形態に係るX線検出器1(シンチレータパネル9)とすれば、信頼性の向上をも図ることができる。
【0038】
図7(a)は、他の実施形態に係るシンチレータパネル19の模式断面図である。
図7(b)は、シンチレータパネル19をアレイ基板2に貼り付けた状態を例示するための模式断面図である。
図7(a)、(b)に示すように、シンチレータパネル19には、シンチレータ層5、反射層6、防湿体17、および基体8が設けられている。
【0039】
前述した防湿体7は、シンチレータ層5と反射層6を覆うように設けられている。
これに対して、防湿体17は、シンチレータ層5、反射層6、および基体8を包むように設けられている。
すなわち、防湿体17は、シンチレータ層5、反射層6、および基体8の露出部分のすべてを覆っている。
防湿体17の材料は、防湿体7の材料と同様とすることができる。
【0040】
前述したように、シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる際には、シンチレータパネル9を撓ませる。
シンチレータパネル9を撓ませた際に、防湿体7と基体8との間にずれが生じると、湿体7と基体8の界面から水蒸気が侵入しやすくなる。
本実施の形態に係る防湿体17は、シンチレータ層5、反射層6、および基体8を包むように設けられているので、防湿体7と基体8との間にずれが生じたとしても、水蒸気の侵入を抑制することができる。
防湿体17は、例えば、CVD((Chemical Vapor Deposition)法による成膜時に、シンチレータ層5および反射層6が形成された基体8を針状の支持体により支えることで形成することができる。
【0041】
図8(a)は、他の実施形態に係るシンチレータパネル29の模式断面図である。
図8(b)は、シンチレータパネル29をアレイ基板2に貼り付けた状態を例示するための模式断面図である。
図8(a)、(b)に示すように、シンチレータパネル29には、シンチレータ層5、反射層6、防湿体17、基体8、および防湿層27(第2の防湿体の一例に相当する)が設けられている。
すなわち、シンチレータパネル29には、防湿層27がさらに設けられている。
【0042】
前述したように、防湿体17は、樹脂であるポリパラキシリレンなどから形成されている。
ポリパラキシリレンは、他の樹脂材料に比べて水蒸気バリア性が高いが、樹脂であることには変わりがないので、一定量の水蒸気が透過することになる。
この場合、高温高湿環境においては、分子運動が活発化して、分子鎖間を水分子が透過しやすくなる。そのため、水蒸気バリア性がさらに低下するおそれがある。
一方、前述したように、無機材料は水蒸気バリア効果が高い。
そのため、防湿体17の表面を覆うように無機材料を含む防湿層27を設けるようにすれば、水蒸気バリア性をさらに高めることができる。
前述したように、シンチレータ層5および反射層6は、水蒸気により画像特性が劣化する。そのため、図8(a)、(b)に示すように、防湿層27は、防湿体17のシンチレータ層5が設けられる側とは反対側に設けられている。
この場合、防湿体17のアレイ基板2側は、シンチレータ層5において生じた蛍光が透過する側となる。
そのため、防湿層27は、透光性を有し、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)などの無機材料を含む。
【0043】
図9は、高温高湿環境下(60℃−90%RH)における解像度特性の変化を例示するためのグラフ図である。
B1は、厚み寸法が20μmのポリパラキシリレンからなる防湿体7が設けられたシンチレータパネルの場合である。
B2は、厚み寸法が20μmのポリパラキシリレンからなる防湿体17が設けられたシンチレータパネルの場合である。
B3は、厚み寸法が20μmのポリパラキシリレンからなる防湿体17と、厚み寸法が5μmの酸化シリコン(SiO)からなる防湿層27が設けられたシンチレータパネルの場合である。
B4は、厚み寸法が20μmのポリパラキシリレンからなる防湿体17と、厚み寸法が5μmの酸化アルミニウム(Al)からなる防湿層27が設けられたシンチレータパネルの場合である。
そして、シンチレータ層5と反射層6とによって得られる解像度特性が、高温高湿環境下(60℃−90%RH)における保管時間の経過とともにどのように劣化するかで防湿性能を評価した。
なお、輝度よりも、湿度に対してより敏感な解像度特性により防湿性能を評価することにした。
解像度特性は、解像度チャートを各サンプルの表面側に配し、RQA−5相当のX線を照射して、裏面側から2Lp/mmのCTF(Contrast transfer function)を測定する方法で求めた。
【0044】
図9中のB1とB2から分かるように、シンチレータ層5、反射層6、および基体8を包むように設けられた防湿体17とすれば、解像度特性の劣化を低減させることができる。
図9中のB2、B3、およびB4から分かるように、防湿体17の表面を覆うように無機材料を含む防湿層27を設けるようにすれば、解像度特性の劣化をさらに低減させることができる。
【0045】
図10は、ライトガイド部15を例示するための模式断面図である。
前述したように、シンチレータ層5は、柱状結晶の集合体を有している。そのため、複数の柱状結晶5a同士の間には、隙間5bがある。
そのため、シンチレータ層5を覆うように防湿体7(17)を形成すると、隙間5bの内部にも防湿体7(17)の材料が侵入する場合がある。
防湿体7(17)の材料の屈折率と、シンチレータ層5の材料の屈折率との差は、空気の屈折率と、シンチレータ層5の材料の屈折率の差よりも小さい。
【0046】
例えば、シンチレータ層5の材料がヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)の場合には、屈折率は1.7程度となる。
防湿体7(17)の材料がポリパラキシリレンの場合には、屈折率は1.5〜1.6程度となる。
すなわち、防湿体7(17)の材料の屈折率と、シンチレータ層5の材料の屈折率との差は、ほとんどない。
【0047】
そのため、隙間5bの内部に防湿体7(17)の材料が侵入すると、柱状結晶自体のライトガイド効果が低くなる。その結果、柱状結晶5aの内部から蛍光が漏れ易くなる。すなわち、解像度特性が劣化するおそれがある。
【0048】
そこで、本実施の形態においては、図10に示すように、複数の柱状結晶5a同士の間(隙間5b)に、ライトガイド部15を設けている。
ライトガイド部15は、例えば、光散乱性の粒子を含むものとすることができる。
光散乱性の粒子を含むライトガイド部15を設けるようにすれば、柱状結晶5aの内部から漏れた蛍光を散乱する事により拡散反射させることができる。
そのため、柱状結晶自体のライトガイド効果を維持することができ、クロストークを最小限に抑えることができる。
【0049】
光散乱性の粒子の粒径は、例えば、シンチレータ層5において生じた蛍光の波長(シンチレータ層5の材料がヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)の場合は約530nm)の1/2程度とすることができる。
光散乱性の粒子の粒径をこの様にすれば、散乱効率を向上させることができるので、ライトガイド効果の向上、ひいては解像度特性の向上を図ることができる。
光散乱性の粒子の材料は、屈折率の高い材料とすることが好ましい。
光散乱性の粒子の材料は、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)などとすることができる。この場合、光散乱性の粒子の材料は、屈折率の大きいルチル型(正方晶)の酸化チタン(TiO)とすることがより好ましい。
ライトガイド部15は、例えば、複数の柱状結晶5a同士の間に光散乱性の粒子を充填し、その後、防湿体7(17)を形成することで複数の柱状結晶5a同士の間に光散乱性の粒子を封止するようにして形成することができる。
【0050】
図11は、ライトガイド部15の効果を例示するためのグラフ図である。
図11から分かるように、ライトガイド部15を設けるようにすれば、MTF(Modulation Transfer Function)の向上、すなわち解像度特性の向上を図ることができる。
また、酸化チタン(TiO)からなる粒子を含むライトガイド部15とすれば、MTFのさらなる向上、すなわち解像度特性のさらなる向上を図ることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るX線検出器1の製造方法について例示をする。
X線検出器1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、基板2a上に光電変換部2b、制御ライン2c1、データライン2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2、および保護層2fなどを順次形成してアレイ基板2を作成する。アレイ基板2は、例えば、半導体製造プロセスを用いて作成することができる。
【0052】
次に、シンチレータパネル9を作成する。
まず、可撓性を有する基体8、18の表面に、反射層6、シンチレータ層5を順次形成する。
反射層6は、例えば、酸化チタン(TiO)などからなる光散乱性粒子を含む樹脂を基体8、18の表面に塗布することで形成することができる。
また、反射層6は、例えば、銀合金やアルミニウムなどの光反射率の高い金属からなる層を基体8、18の表面に成膜することで形成することもできる。
また、反射層6は、例えば、表面が銀合金やアルミニウムなどの光反射率の高い金属からなる板を基体8、18の表面に貼り付けることで形成することもできる。
なお、反射層6は、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0053】
シンチレータ層5は、例えば、真空蒸着法を用いて、反射層6の上にヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)からなる膜を成膜することで形成することができる。
なお、反射層6が設けられていない場合には、シンチレータ層5は、例えば、真空蒸着法を用いて、基体8、18の表面にヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)からなる膜を成膜することで形成することができる。
【0054】
続いて、シンチレータ層5と反射層6を覆うように防湿体7を形成する。
なお、反射層6が設けられていない場合には、シンチレータ層5を覆うように防湿体7を形成する。
防湿体7は、例えば、CVD法を用いて、ポリパラキシリレンからなる膜を成膜することで形成することができる。
以上の様にして、シンチレータパネル9を作成することができる。
【0055】
図12(a)〜(d)は、シンチレータ層5の形成を例示するための模式工程断面図である。
なお、図12(a)〜(d)は、反射層6を設けない場合である。
まず、図12(a)に示すように、テープ202を用いて、基板201に基体8、18を貼り付ける。
テープ202は、例えば、紫外線の照射により粘着力が低下するもの(UVテープ)とすることができる。
基体8、18は可撓性を有しているので、ある程度の剛性を有し、平坦な基板201に保持させるようにする。
続いて、図12(b)に示すように、真空蒸着装置のホルダに基板201を保持させる。
そして、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)からなる膜を基体8、18の上に成膜することで、シンチレータ層5を形成する。
続いて、図12(c)に示すように、基板201を介して、テープ202に紫外線を照射する。
すると、テープ202の粘着力が低下するので、図12(d)に示すように、基板201から基体8、18を剥がすことができる。
以上の様にしてシンチレータ層5を形成することができる。
【0056】
次に、シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる。
まず、シンチレータパネル9またはアレイ基板2の表面に、接合部10を形成する。
この場合、接合部10は、紫外線の照射により硬化するものとすることができる。
続いて、接合部10を介して、シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる。 シンチレータパネル9をアレイ基板2に貼り合わせる際に、シンチレータパネル9を撓ませて、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に巻き込まれた空気を押し出すようにしながら貼り合わせを行う。
この場合、シンチレータパネル9を加圧する加圧ローラを移動させることで、シンチレータパネル9とアレイ基板2との間に巻き込まれた空気を押し出すことができる。
この際、シンチレータ層5やアレイ基板2の表面に多少のうねりや凹凸があっても、基体8、18には可撓性があるので、シンチレータパネル9はうねりや凹凸に倣うようにして貼り合わされる。
接合部10が紫外線の照射により硬化するものの場合には、紫外線を照射する。
【0057】
次に、フレキシブルプリント基板2e1、2e2を介して、アレイ基板2と信号処理部3を電気的に接続する。
また、配線4aを介して、信号処理部3と画像伝送部4を電気的に接続する。
その他、回路部品などを適宜実装する。
【0058】
次に、図示しない筐体の内部にアレイ基板2、信号処理部3、画像伝送部4などを格納する。
そして、必要に応じて、光電変換素子2b1の異常や電気的な接続の異常の有無を確認する電気試験、X線画像試験、高温高湿試験、冷熱サイクル試験などを行う。
以上の様にして、X線検出器1を製造することができる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 X線検出器、2 アレイ基板、2a 基板、2b 光電変換部、3 信号処理部、4 画像伝送部、5 シンチレータ層、5a 柱状結晶、5b 隙間、6 反射層、7 防湿体、8 基体、9 シンチレータパネル、10 接合部、18 基体、18a 第1の層、18b 第2の層、27 防湿層
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図6