【実施例】
【0020】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0021】
ビフィズス菌の増殖促進効果の評価
ビフィズス菌の増殖促進効果について下記の方法に従い評価した。
(被評価物の調製)
西洋カボチャを裁断し、コミトロールを用いてカボチャ破砕物を調製した。得られたカボチャ破砕物を遠心分離処理(機器名himac CR21G;日立工機(株)社製);8000r.p.m.,室温、10分)を行い、上澄を得た。この上澄を滅菌フィルター(0.45μm)を用いて除菌処理したものを評価に使用する「カボチャ搾汁」とした。
(供試菌株について)
下記のビフィズス菌について評価を行なった。
ビフィドバクテリウム・ロンガム(
Bifidobacterium longum JCM1217:表1および2では「BL」と記載する。)
ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(
Bifidobacterium adolescentis JCM1275:表1では「BA」と記載する。)
ビフィドバクテリウム・インファンティス(
Bifidobacterium infantis JCM1222:表1では「BI」と記載する。)
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(
Bifidobacterium breve JCM1192:表1では「BB」と記載する。)
(接種ビフィズス菌の調製方法について)
変法GAM寒天「ニッスイ」(日水製薬(株)社製)に各菌株を播種し、37℃、24時間、嫌気条件下(アナエロパック使用、三菱瓦斯(株)社製)で培養し、得られたコロニーを1白金耳採取し、各々、変法GAMブイヨン「ニッスイ」(日水製薬(株)社製)に接種し、37℃、24時間、嫌気条件下(アナエロパック使用、三菱瓦斯(株)社製)で培養を行った。培養後の菌液を「ビフィズス菌培養液」とした。
(評価試験方法について)
変法GAMブイヨン「ニッスイ」(日水製薬(株)社製)75質量部に、前記で調製したカボチャ搾汁若しくは除菌した精製水を25質量部加え、均一にした後、前記方法で調製した接種用の「ビフィズス菌培養液」を被醗酵物全量に対して初期の濁度が0.05〜0.1(620nm)の範囲となるよう、1〜5質量%添加し、初期の濁度(T0、C0:620nm)を測定した。測定後、37℃、24時間、嫌気条件下(アナエロパック使用、三菱瓦斯(株)社製)で培養を行い、培養直後の濁度(T24、C24:620nm)を測定した。
増殖促進倍率は下記式に従って算出した。得られた結果を表1に示した
増殖促進倍率=((T24−T0))/(C24−C0)
T0:培養開始時の試験培養液の濁度(620nm)
T24:培養終了直後の試験培養液の濁度(620nm)
T0:培養開始時の対照培養液の濁度(620nm)
C24:培養終了直後の対照培養液の濁度(620nm)
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示したとおり、ビフィドバクテリウム・ロンガム(27.95)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(3.27)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(14.23)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(15.54)において、カボチャ破砕物は優れた増殖促進効果を示すことがわかった。またビフィズス菌の菌種により、その効果の程度が相違し、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベにおいて優れた効果を示し、ビフィドバクテリウム・ロンガムに対して最も優れた効果を示すことがわかった。
【0024】
ビフィズス菌の生菌残存効果の評価
ビフィズス菌の生菌残存効果について下記の方法に従い評価した。
(被評価物の調製)
「カボチャ破砕物」としては、西洋カボチャを裁断し、コミトロールを用いて破砕したものを使用した。「リンゴ破砕物」としては、リンゴピューレ(長野興農(株)社製)を使用した。両破砕物については、90℃、10分間にて加熱処理を行い、常温に戻したものを使用した。対照としては、Difco MRS Broth(ベクトンディッキンソン社製、表では「MRS」と記載する。)および、前記MRS寒天培地にL−システインを0.05質量%添加したもの(表では「MRS+」と記載する。)
(供試菌株について)
ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(
Bifidobacterium longum JCM1217)を用いた。
(接種ビフィズス菌の調製方法について)
上記評価に記載した方法で調製した接種用の「ビフィズス菌培養液」を使用した。
(評価試験方法について)
前記で調製した被評価物及び対照物に、前記方法で調製した接種用の「ビフィズス菌培養液」を被醗酵物全量に対して2質量%添加し、37℃、24時間、嫌気条件下(アナエロパック使用、三菱瓦斯(株)社製)で培養した。培養後、1ml若しくは1g分取し、9mlの生理食塩水を用いて均一になるまで十分に攪拌した。攪拌後、正確に1ml分取し、9mlの生理食塩水を加えて十分に攪拌した。この処理を繰り返し行い、段階希釈した。段階希釈した各々から正確に100μlを分取後、MRS寒天培地(ベクトンディッキンソン社製)に塗抹し、37℃、48時間、嫌気条件下(アナエロパック使用、三菱瓦斯(株)社製)で培養した。段階希釈した各濃度において、コロニーの有無を目視で確認し、コロニーを確認できたもののうち最も希釈倍率が高いもののコロニー数をカウントし、その結果よりビフィズス菌の生菌数とした。結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2に示したとおり、カボチャ破砕物は、1.5*10
9(CFU/g)の結果を示し、通常ビフィズス菌の培養に使用されるMRS培地(4.7*10
8(CFU/g))やMRS培地にシステインを添加した培地(7.1*10
8(CFU/g))に比べ、優れた生菌残存効果を有することが判った。一方、リンゴ破砕物(2.3*10
7(CFU/g))には生菌残存効果を確認できなかった。
【0027】
経口摂取による腸内ビフィズス菌の増殖活性評価
日本チャールス・リバー(株)より、5週齢の雄性マウス C57BL/6NCrlCrj(SPF)を購入し、入荷から実験開始まで7日間馴化・検疫を行い、7日目に群分けした(1群につき10匹のマウスを割り当て、A〜D群の4群に分けた)。どの群のマウスにも、高脂肪食飼料D12492(60 kcal%、Research Diet Inc.)を自由摂取させた。また、これに加えて、B群のマウスにはビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末をC群のマウスにはビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末及びカボチャ粉末を、それぞれ与えた。つまり、以下のように各群に餌を与えた。
A群:高脂肪食飼料
B群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末
C群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末+カボチャ粉末
(カボチャ粉末:日本粉末薬品(株)社製、カボチャ末)
なお、ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末投与量は10mg(5×10
8CFU相当)、野菜粉末の投与量は100mg/30g体重・日とし、これらは経口ゾンデを装着した注射筒(ディスポーザブルシリンジ,テルモ(株))に充填して1回/日の頻度でマウスへ経口投与した。
投与期間は84日間とし、84日目糞便の採取を行い、糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌量の割合を、株式会社 テクノスルガ・ラボ(リアルタイムPCR法)に委託を行い測定した。
高脂肪食誘導肥満マウスを用いた、ビフィズス菌及びカボチャの摂取によるビフィズス菌増殖促進効果の測定結果を表3に示す。具体的には、高脂肪食飼料、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・ブレーベ菌末)、カボチャ粉末を組み合わせて摂取させたマウスの糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌量の割合(n=10の平均値)を示す。
【0028】
【表3】
【0029】
対照群であるA群(高脂肪食群:0.1)に比べて、B群及びC群共にマウスの糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌の割合が顕著に高くなり、かつ、B群(ビフィズス菌末単独投与群:5.0)に比べ、C群(ビフィズス菌・カボチャ併用投与群:6.3)における「マウスの糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌の割合」高くなっていることを確認した。
【0030】
処方例:飲料
カボチャ破砕物30質量部、ブロッコリピューレ20質量部、フレーバーからなる被醗酵物を、ビフィドバクテリウム・ロンガムを用いて、37℃で24時間、嫌気性下で醗酵処理させて得られたビフィズス菌の醗酵物をそのまま飲料組成物とする。