【解決手段】板状のワークWを吸着した状態でテーブルTB上に搬送するローダ装置100であって、テーブルTB上でワークWを移動させる駆動部38と、テーブルTB上の所定位置P1に対するワークWのずれに応じて駆動部38を駆動し、所定位置P1から離れた調整位置P2でワークWを所定位置P1に応じた姿勢に調整した後に所定位置P1に向けてワークWを移動させて所定位置P1に位置決めする制御部40と、を備える。
前記制御部は、前記テーブル上または前記ローダ装置に設けられたセンサからの出力により、前記所定位置に対する前記ワークのずれを判断する請求項1記載のローダ装置。
前記センサは、前記テーブル上の前記所定位置において、前記ワークの4辺のうちの1つである第1辺に当接する第1センサと、前記第1辺に交差する第2辺に当接する複数の第2センサと、を含む請求項2または請求項3記載のローダ装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記し、Z方向に平行な軸周りの方向はθZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1(a)及び(b)は、第1実施形態に係るローダ装置100の一例を示す図である。
図1(a)及び(b)に示すように、ローダ装置100は、板状に形成されたワークWを搬送する。ローダ装置100は、複数積層されたワークWのうち最上層のワークWの上面を吸着した状態で、所定のテーブルTBにワークWを1枚ずつ搬送する。なお、テーブルTBとしては、例えば後述のパンチプレス機などの加工装置のテーブルなどが挙げられる。
【0017】
ローダ装置100は、本体部10と、移動部20と、ワーク保持部30と、制御部40を有している。本体部10は、移動部20を介してレールRaに吊り下げられている。移動部20は、ガイドローラー21と、不図示のローラー駆動部とを有している。ガイドローラー21は、レールRaに沿って回転可能である。レールRaは、X方向に沿って設けられている。ローラー駆動部は、例えば本体部10に設けられており、ガイドローラー21を駆動する。本体部10は、移動部20によってレールRaに沿ってX方向に移動可能に設けられる。
【0018】
ワーク保持部30は、本体部10の−Z側に配置されており、ワークWを保持する。ワーク保持部30は、昇降フレーム31と、開閉フレーム32とを有している。
昇降フレーム31は、複数のシリンダ31aを介して本体部10に接続されている。昇降フレーム31は、シリンダ31aによってZ方向に昇降可能に設けられている。昇降フレーム31は、例えば矩形状に形成されている。
【0019】
開閉フレーム32は、第1フレーム32A及び第2フレーム32Bを有している。第1フレーム32A及び第2フレーム32Bは、接続部(例、図中一点鎖線で示す)を介して昇降フレーム31に接続されている。第1フレーム32A及び第2フレーム32Bは、例えばシリンダなどの不図示の駆動源により、X方向に移動可能に設けられている。
【0020】
昇降フレーム31、第1フレーム32A及び第2フレーム32Bの−Z側の面(下面)には、それぞれ複数の吸着ヘッド33が設けられている。各吸着ヘッド33は、パッド支持部33aと、吸着パッド33bとを有している。各パッド支持部33aは、昇降フレーム31の下面に固定されている。各吸着パッド33bは、パッド支持部33aの−Z側の端部に固定されている。吸着パッド33bには、不図示の吸引機構が接続されている。吸着パッド33bをワークWの表面に当接させた状態で該吸引機構を作動させることにより、吸着パッド33bがワークWを吸着する構成となっている。
【0021】
また、第1フレーム32Aには、連結部材32cを介して第1駆動部34が設けられている。昇降フレーム31には、連結部材31cを介して第2駆動部35が設けられている。第1駆動部34及び第2駆動部35は、ワークWを所定位置P1に位置決めする際に用いられる。なお、第1駆動部34及び第2駆動部35は、ワークWを駆動する駆動部38を構成している。
【0022】
第1駆動部34及び第2駆動部35は、吸着パッド36と、パッド駆動部37とをそれぞれ備えている。第1駆動部34及び第2駆動部35は、同一の構成を有している。吸着パッド36は、不図示の吸引機構を有しており、該吸引機構を用いることでワークWに対して吸着可能である。
【0023】
パッド駆動部37は、吸着パッド36を移動させる。
図2(a)及び(b)は、第1駆動部34及び第2駆動部35の一例を示す図である。
図2(a)及び(b)に示すように、パッド駆動部37は、支持機構51と、スライド機構52と、昇降機構53とを有している。パッド駆動部37は、第1駆動部34及び第2駆動部35は、吸着パッド36の移動方向が互いに平行となるように、各吸着パッド36を移動させる。
【0024】
支持機構51は、吸着パッド36を支持する。支持機構51は、昇降ロッド51aと、支持部材51bと、弾性部材51cとを有している。昇降ロッド51aは、吸着パッド36の+Z側の端面に固定されている。昇降ロッド51aは、支持部材51bに対してZ方向に昇降可能に設けられている。弾性部材51cは、吸着パッド36と支持部材51bとの間に弾性力を付与する。
【0025】
スライド機構52は、吸着パッド36をXY平面に平行な方向(水平方向:後述の第1方向D1及び第2方向D2)にスライドさせる。スライド機構52は、連結部材52aと、スライドシリンダ52bとを有している。連結部材52aは、支持部材51bに固定されている。スライドシリンダ52bは、連結部材52bをXY平面に平行な方向に移動させる。具体的には、スライドシリンダ52bは、
図2(b)に示すようにテーブルTBを−Z方向に見たときに、X方向に平行な直線を反時計回りに例えば45°程度回転させた方向(第1方向D1及び第2方向D2)に連結部材52bを移動させる。なお、第1方向D1と第2方向D2とは反対の方向である。また、X方向に対する第1方向D1及び第2方向D2の傾き角度については、45°に限定するものではない。連結部材52aが第1方向D1及び第2方向D2に移動することにより、支持部材51bが第1方向D1及び第2方向D2に移動する。この支持部材51bの移動により、該支持部材51bに支持された昇降ロッド51aが連動し、パッド36が第1方向D1及び第2方向D2に移動する。
【0026】
昇降機構53は、昇降部材53aと、昇降シリンダ53bと、軸受53cとを有している。昇降部材53aは、例えば柱状(円柱状など)に形成され、スライドシリンダ52bに接続されている。昇降シリンダ53bは、昇降部材53aをZ方向に移動させる。昇降部材53aがZ方向に移動することにより、昇降部材53aに接続されたスライドシリンダ52bひいてはスライド機構52がZ方向に移動する。このスライド機構52の移動により、スライド機構52に接続された支持機構51が連動し、吸着パッド36がZ方向に移動する。
【0027】
軸受53cは、昇降部材53aとスライドシリンダ52bとの接続部分に設けられている。軸受53cは、昇降部材53aをθZ方向に回転可能に支持する。この構成により、スライドシリンダ52bは、昇降部材53aの中心軸AXを中心として、θZ方向に回転可能となっている。スライドシリンダ52bがθZ方向に回転することにより、シリンダ機構52、支持機構51及び吸着パッド36が一体でθZ方向に回転移動する。なお、スライドシリンダ52bには、例えば不図示の弾性部材が連結されている。この弾性部材は、スライドシリンダ52bがθZ方向に回転した場合に、初期位置に復帰させるために用いられる。
【0028】
また、
図1(a)及び(b)に示すように、テーブルTBには、エンドロケータ61と、ワークホルダ62、63、64とが設けられている。
エンドロケータ61は、ワークWの4辺のうち1辺(例、辺Wa)を保持する。エンドロケータ61は、ワークWのX方向についての位置決めを行う。
【0029】
エンドロケータ61には、第1センサ61aが設けられている。第1センサ61aは、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接したか否かを検出する。第1センサ61aは、例えばワークWの辺Waに当接する位置に配置されている。この場合、辺Waの当接の有無をより直接的に検出できるため、検出精度が高められる。第1センサ61aとしては、例えば感圧式のセンサなどが用いられるが、これに限定するものではなく、他の種類のセンサを用いてもよい。また、エンドロケータ61と辺Waとの位置関係を撮像し、撮像結果に基づいて当接の有無を判断してもよい。
【0030】
ワークホルダ62〜64は、ワークWの4辺のうち辺Waと交差する辺Wbに沿った部分を保持する。ワークホルダ62〜64は、X方向に沿って複数(例、3個)設けられている。各ワークホルダ62〜64は、互いに間隔を空けて配置されている。
【0031】
ワークホルダ62〜64には、それぞれ第2センサ62a、63a、64aが設けられている。第2センサ62a〜62cは、ワークWの辺Wbがワークホルダ62〜64(又は第2センサ62a〜64a)に当接したか否かを検出する。第2センサ62a〜64aは、例えばワークWの辺Wbに当接する位置に配置されている。この場合、辺Wbの当接の有無をより直接的に検出できるため、検出精度が高められる。第2センサ62a〜64aとしては、第1センサ61aと同様に、例えば感圧式のセンサなどが用いられるが、これに限定するものではなく、他の種類のセンサを用いてもよい。また、各ワークホルダ62〜64と辺Wbとの位置関係を撮像し、撮像結果に基づいて当接の有無を判断してもよい。
【0032】
制御部40は、例えば、移動部20の動作やワーク保持部30の動作など、ローダ装置100の各部の動作を統括的に制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit )などの演算装置と、メモリなどの記憶装置とを有している。制御部40は、記憶装置に記憶されている所定のプログラムに従って演算装置が処理を実行することにより各種の動作を行う。
【0033】
また、制御部40は、第1センサ61aの検出結果に基づいて、ワークWの辺Waとエンドロケータ61(又は第1センサ61a)とが当接したか否かを判断する。また、制御部40は、複数の第2センサ62a〜64aの検出結果に基づいて、ワークWの辺Wbと各ワークホルダ62〜64(又は第2センサ62a〜64a)とが当接したか否かを判断する。また、制御部40は、ワークWの位置決め動作の際、これらの判断結果に応じて、例えば第1駆動部34や第2駆動部35等、ワーク保持部30の各部の動作を制御する。
【0034】
次に、上記のローダ装置100の動作を説明する。
まず、ローダ装置100は、所定位置に載置されたワークWを保持する。このとき、吸着パッド33bを用いてワークWを吸着させる。ワークWを吸着保持した後、レールRaに沿ってローダ装置100を移動させ、所定のテーブルTB上の位置までワークWを搬送する。ワークWをテーブルTB上に搬送した後、昇降フレーム31を−Z方向に移動させ、ワークWをテーブルTBに載置する。その後、吸着パッド33bによる吸着を解除する。
【0035】
ワークWの搬入が完了した後、ワークWの位置決めを行う。
図3は、ローダ装置100によるワークWの位置決め動作の流れを示すフローチャートである。以下の説明において、第1駆動部34に属する吸着パッド36及びパッド駆動部37は、それぞれ吸着パッド36A及びパッド駆動部37Aと表記する。また、第2駆動部35に属する吸着パッド36及びパッド駆動部37は、それぞれ吸着パッド36B及びパッド駆動部37Bと表記する。
【0036】
図3に示すように、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36A及び36Bを−Z方向に移動させ、該吸着パッド36A及び36BをワークWの上面に当接させる(ステップS01)。吸着パッド36A及び36BがワークWに当接した後、制御部40は、不図示の吸引機構を用いて吸着パッド36A及び36BをワークWに吸着させる(ステップS02)。
【0037】
次に、制御部40は、第1駆動部34及び第2吸着ヘッドの各スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第1方向D1に移動させ、ワークWを第1方向D1に移動させる(ステップS03)。このワークWの移動により、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接すると、第1センサ61aによって該当接が検出され、検出結果が制御部40に送信される(ステップS04)。また、ワークWの辺Wbがワークホルダ62に当接すると、第2センサ62a〜64aによって該当接が検出され、検出結果が制御部40に送信される(ステップS04)。
【0038】
制御部40は、第1センサ61aの検出結果に基づいて、ワークWの辺Waとエンドロケータ61との当接の有無を判断する。また、制御部40は、各第2センサ62a〜64aの検出結果に基づいて、ワークWの辺Wbと各ワークホルダ62〜64との当接の有無を判断する。
【0039】
ワークWをテーブルTB上に搬送する際に、ワークWがX方向に対して傾いて配置される場合がある。この場合に、例えばワークWの位置決めを行うと、ワークWの辺Wa及び辺Wbが、エンドロケータ61及びワークホルダ62〜64に対して傾いた状態で当接される。そのため、エンドロケータ61及びワークホルダ62〜64の一部に対して、ワークの辺Wa又はWbが当接しない場合がある。このようなワークの傾きは、ワークWを第1方向D1及び第2方向D2に移動させるだけでは、修正できず、ワークWの位置決めが困難となる。
【0040】
そこで、本実施形態において、制御部40は、判断結果に応じてワークWの姿勢を推定し、推定したワークWの姿勢に応じて第1駆動部34及び第2駆動部35の動作を制御する。この制御により、所定位置から離れた位置でワークWの姿勢を所定位置に応じた姿勢に調整する。その後、制御部40は、所定位置に向けてワークを移動させて所定位置に位置決めする。以下、制御部40による具体的な動作を説明する。なお、以下の説明において、−Z方向に見たときの時計回りの方向を+θZ方向と表記し、反時計回りの方向を−θZ方向と表記する。
【0041】
図4は、ローダ装置100の動作の一例を示す図である。
例えば、第1センサ61aにおいて当接が検出される場合であって、第2センサ62a及び63aでは当接が検出されず、第2センサ64aにおいてのみ当接が検出される場合(ステップS05のNO)には、
図4(a)に示すように、ワークWがX軸に対して+θZ方向に傾いていると予測できる。具体的には、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接しており、ワークWの辺Wbのうち+X側端部がワークホルダ62から離れ、X方向の中央部がワークホルダ62から離れ、−X側端部がワークホルダ64に当接した状態となる。
【0042】
この場合、制御部40は、ワークWの+θZ方向への傾きを修正した後、再度位置決めを行う。具体的には、制御部40は、まず2つの吸着パッド36A及び36Bのうち、吸着パッド36Aによる吸着のみを解除し、吸着パッド36Bによる吸着は維持する(ステップS06)。そして、第1駆動部34の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36Aを+Z方向に移動させて吸着パッド36AをワークWから離す(ステップS07)。その後、制御部40は、スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第2方向D2に移動させる(ステップS08)。この動作により、
図4(b)に示すように、吸着パッド36Bのみを用いてワークWを移動させることで、ワークWが所定位置P1から離れた調整位置P2に引き戻される。このとき、ワークWは−θZ方向に回転する。この結果、ワークWの+θZ方向の傾きが修正される。
【0043】
その後、制御部40は、第1駆動部34の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36AをワークW上に当接させ(ステップS01)、吸引機構によって吸着パッド36AをワークWに吸着させる(ステップS02)。この動作により、吸着パッド36A及び36BがワークWに吸着された状態となる。
【0044】
そして、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第1方向D1に移動させ(ステップS03)、再度ワークWを第1方向D1に移動させる。これにより、
図4(c)に示すように、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接されると共に、ワークWの辺Wbがワークホルダ62〜64のそれぞれに当接される。この場合、第1センサ61a、第2センサ62a〜64aのそれぞれにおいて、ワークWとの当接が検出される(ステップS04)。制御部40は、第1センサ61a及び第2センサ62a〜64aの検出結果により、ワークWが所定位置に位置決めされたと判断し(ステップS05のYES)、位置決め動作が完了する。
【0045】
以上のように、第1実施形態によれば、テーブルTB上の所定位置P1に対するワークWのずれに応じて第1駆動部34及び第2駆動部35(駆動部38)を駆動し、所定位置P1から離れた調整位置P2でワークを所定位置P1に応じた姿勢に調整した後に所定位置P1に向けてワークWを移動させて所定位置P1に位置決めするため、ワークWの回転方向の姿勢を調整することができる。これにより、ワークWが傾いて配置された場合であっても、ワークWを所定位置P1に精度よく位置決めすることができる。
【0046】
<変形例>
次に、変形例を説明する。上記第1実施形態では、ワークWの位置決め動作において、ワークWがワークWがX軸に対して+θZ方向に傾いている場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。なお、以下では、一旦ワークWに対して第1方向D1へスライドさせた後の動作が異なるため、当該相違点を中心に説明する。
【0047】
図5は、変形例に係るローダ装置100の動作の一例を示す図である。
例えば、第1センサ61aにおいて当接が検出される場合であって、第2センサ63a及び64aでは当接が検出されず、第2センサ62aにおいてのみ当接が検出される場合には、
図5(a)に示すように、ワークWがX軸に対して−θZ方向に傾いていると予測できる。具体的には、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接しており、ワークWの辺Wbのうち+X側端部がワークホルダ62に当接し、X方向の中央部がワークホルダ62から離れ、−X側端部がワークホルダ64から離れた状態となる。
【0048】
この場合、制御部40は、ワークWの−θZ方向への傾きを修正した後、再度位置決めを行う。具体的には、制御部40は、まず2つの吸着パッド36A及び36Bのうち、吸着パッド36Bによる吸着のみを解除し、吸着パッド36Aによる吸着は維持する。そして、第2駆動部35の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36Bを+Z方向に移動させて吸着パッド36BをワークWから離す。その後、制御部40は、スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第2方向D2に移動させる。この動作により、
図5(b)に示すように、吸着パッド36Aのみを用いてワークWを移動させることで、ワークWが所定位置P1から離れた調整位置P2に引き戻される。このとき、ワークWは+θZ方向に回転する。この結果、ワークWの−θZ方向の傾きが修正される。
【0049】
その後、制御部40は、第2駆動部35の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36BをワークW上に当接させ、吸引機構によって吸着パッド36BをワークWに吸着させる。この動作により、吸着パッド36A及び36BがワークWに吸着された状態となる。
【0050】
そして、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第1方向D1に移動させ、再度ワークWを第1方向D1に移動させる。これにより、
図5(c)に示すように、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接されると共に、ワークWの辺Wbがワークホルダ62〜64のそれぞれに当接される。この場合、第1センサ61a、第2センサ62a〜64aのそれぞれにおいて、ワークWとの当接が検出される。制御部40は、第1センサ61a及び第2センサ62a〜64aの検出結果により、ワークWが所定位置に位置決めされたと判断し、位置決め動作が完了する。
【0051】
図6は、他の変形例に係るローダ装置100の動作の一例を示す図である。
例えば、第1センサ61aにおいて当接が検出される場合であって、第2センサ62a及び64aでは当接が検出されず、第2センサ63aにおいてのみ当接が検出される場合には、
図6(a)に示すように、ワークWの両端が+Y側に向けて湾曲していると予測できる。具体的には、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接しており、ワークWの辺Wbのうち+X側端部がワークホルダ62から離れ、X方向の中央部がワークホルダ62に当接し、−X側端部がワークホルダ64から離れた状態となる。
【0052】
この場合、制御部40は、ワークWの辺Wbをワークホルダ62及び63に当接させると共に、ワークホルダ64から離れるように、ワークWの姿勢を調整する。具体的には、制御部40は、まず2つの吸着パッド36A及び36Bの吸着を解除し、開閉フレーム32A及び32Bを閉じた状態とする。これにより、第1駆動部34と第2駆動部35との間隔が狭くなり、第2駆動部35(吸着パッド36B)がワークホルダ63よりも+X側に移動する。
【0053】
次に、制御部40は、2つの吸着パッド36A及び36Bのうち、吸着パッド36Aによる吸着のみを解除したままとする。また、第2駆動部35の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36Bを−Z方向に移動させて吸着パッド36BをワークWに当接させ、吸着パッド36Bをワークに吸着させる。
【0054】
その後、制御部40は、スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第2方向D2に移動させる。この動作により、
図7(a)に示すように、吸着パッド36Bのみを用いてワークWを移動させることで、ワークWが所定位置P1から離れた調整位置P2に引き戻される。このとき、ワークWは−θZ方向に回転する。この結果、ワークWの湾曲した辺Wbが、ワークホルダ62、63に応じた位置に配置される。
【0055】
その後、制御部40は、第1駆動部34の昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36AをワークW上に当接させ、吸引機構によって吸着パッド36AをワークWに吸着させる。この動作により、吸着パッド36A及び36BがワークWに吸着された状態となる。
【0056】
そして、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第1方向D1に移動させ、再度ワークWを第1方向D1に移動させる。これにより、
図7(b)に示すように、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接されると共に、ワークWの辺Wbがワークホルダ62、63に当接される。この場合、第1センサ61a、第2センサ62a、63aのそれぞれにおいて、ワークWとの当接が検出される。制御部40は、第1センサ61a及び第2センサ62a、63aの検出結果により、ワークWが所定位置に位置決めされたと判断し、位置決め動作が完了する。
【0057】
図8は、他の変形例に係るローダ装置100の動作の一例を示す図である。
例えば、第1センサ61aにおいて当接が検出される場合であって、第2センサ62a及び64aでは当接が検出され、第2センサ63aにおいて当接が検出されない場合には、
図8に示すように、ワークWの両端が−Y側に向けて湾曲していると予測できる。具体的には、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接しており、ワークWの辺Wbのうち+X側端部がワークホルダ62に当接し、X方向の中央部がワークホルダ62から離れ、−X側端部がワークホルダ64に当接した状態となる。この場合、制御部40は、ワークWが所定位置に位置決めされたと判断し、位置決め動作が完了する。
【0058】
図9は、他の変形例にローダ装置100の動作の一例を示す図である。
例えば、第1センサ61aにおいて当接が検出されない場合であって、第2センサ63a〜64aでは当接が検出される場合には、
図9(a)に示すように、ワークWがX軸に対して傾いていないと判断できる。具体的には、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接しておらず、ワークWの辺Wbのうち+X側端部がワークホルダ62に当接し、X方向の中央部がワークホルダ63に当接し、−X側端部がワークホルダ64に当接した状態となる。
【0059】
この場合、制御部40は、ワークWの姿勢を調整することなく、再度位置決めを行う。具体的には、制御部40は、まず2つの吸着パッド36A及び36Bの両方の吸着を解除する。そして、第1駆動部34及び第2駆動部35の各昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36A及び36Bを+Z方向に移動させて吸着パッド36A及び36BをワークWから離す。その後、制御部40は、スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第2方向D2に移動させる。この動作により、
図9(b)に示すように、ワークWを移動させることなく、吸着パッド36A及び36Bが移動する。
【0060】
その後、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各昇降シリンダ53bを用いて吸着パッド36A及び36BをワークW上に当接させ、吸引機構によって吸着パッド36A及び36BをワークWに吸着させる。この動作により、吸着パッド36A及び36BがワークWに吸着された状態となる。
【0061】
そして、制御部40は、第1駆動部34及び第2駆動部35の各スライドシリンダ52bを用いて吸着パッド36A及び36Bを第1方向D1に移動させ、再度ワークWを第1方向D1に移動させる。これにより、
図9(c)に示すように、ワークWの辺Waがエンドロケータ61に当接されると共に、ワークWの辺Wbがワークホルダ62〜64のそれぞれに当接される。なお、第1駆動部34及び第2駆動部35の各スライドシリンダ52bは、昇降部材53aの中心軸AXを中心としてθZ方向に回転する。この場合、第1センサ61a、第2センサ62a〜64aのそれぞれにおいて、ワークWとの当接が検出される。制御部40は、第1センサ61a及び第2センサ62a〜64aの検出結果により、ワークWが所定位置に位置決めされたと判断し、位置決め動作が完了する。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図10は、第2実施形態に係る板材加工システム200の一例を示す図である。
図10に示すように、板材加工システム200は、加工装置210と、ワーク積載部220と、ローダ装置230とを備えている。
【0063】
加工装置210は、例えばパンチプレス機などが用いられる。加工装置210は、テーブルTBと、加工部211と、ワーク送り部212とを有している。テーブルTB上には、例えば第1実施形態に記載のエンドロケータ61やワークホルダ62〜64が設けられている。また、第1実施形態と同様、エンドロケータ61には第1センサ61aが設けられており、ワークホルダ62〜64には第2センサ62a〜64aが設けられている。加工部211は、テーブルTBに載置された板状のワークWを加工する。ワーク送り部212は、ワークWをテーブルTB上でX方向及びY方向に移動させる。加工装置210は、例えばワークWから複数枚の製品を切り抜く加工を行うことが可能である。
【0064】
ワーク積載部230は、複数のワークWが積載されて配置される。ローダ装置230は、ワーク積載部230に積載されたワークWを加工装置210のテーブル上に搬送する。ローダ装置230としては、例えば第1実施形態に記載のローダ装置100が用いられている。
【0065】
次に、板材加工システム200の動作の一例を説明する。
まず、ローダ装置230は、ワーク積載部230から最上部のワークWを吸着して保持し、レールRaに沿って加工装置210上に移動する。そして、ローダ装置230は、−Z方向にワークWを移動させてワークWをテーブルTB上に配置する。次に、ローダ装置230は、テーブルTB上でワークWの位置決めを行う。この位置決め動作は、第1実施形態に記載の手順によって行う。このため、精度よくワークWが位置決めされる。
【0066】
位置決め動作を行った後、ワークホルダによってワークWを保持し、加工装置210によってワークWの加工を行う。その後、加工により得られた製品は、所定の排出部(不図示)から排出される。また、加工後のスケルトンについては、例えば不図示のグリッパ等を用いて排出する。
【0067】
以上のように、第2実施形態によれば、ローダ装置230として、第1実施形態に記載のローダ装置100が用いられるため、精度よくワークWを位置決めすることができる。これにより、ワークWの加工精度に優れた板材加工システム200が得られる。
【0068】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記第2実施形態では、パンチプレス機などの加工装置210に第1実施形態のローダ装置100を適用させた例を説明したが、これに限定するものではなく、他の加工装置に対して用いてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ワークホルダ及び第2センサが3つずつ設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、2つ又は4つ以上のワークホルダ及び第2センサが配置されてもよい。