【実施例】
【0046】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0047】
<実施例1>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0048】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、228gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、53gの水酸化ナトリウム、105cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、35gの硝酸銀、53cm
3の25%アンモニア水、175cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0049】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径20μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子にオゾン発生器(型式オゾンスーパーエース、日本オゾン発生器株式会社製)によりガス濃度2vol%のオゾンガスにより30分間吹き込みオゾン処理を行った。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子41gを添加し30℃の温度で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して35質量部であった。
【0050】
<実施例2>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0051】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、228gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、53gの水酸化ナトリウム、105cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、35gの硝酸銀、53cm
3の25%アンモニア水、175cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0052】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径15μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子にプラズマ発生器(型式YHS−G型、魁半導体株式会社製)の反応室に装填し反応室内の真空度を20Paとした。次いで、反応室内に酸素ガスを毎分15cm
3の一定量で送り込み、20Wの電力を印加し30分間プラズマを発生させた。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子41gを添加し35℃の温度で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して35質量部であった。
【0053】
<実施例3>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0054】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、293gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、68gの水酸化ナトリウム、135cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、45gの硝酸銀、68cm
3の25%アンモニア水、225cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0055】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径10μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子にオゾン発生器(型式オゾンスーパーエース、日本オゾン発生器株式会社製)によりガス濃度2vol%でオゾンガスを30分間吹き込みオゾン処理を行った。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子を35g添加し30℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して45質量部であった。
【0056】
<実施例4>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0057】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、10.7gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、2.5gの水酸化ナトリウム、5cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、1.7gの硝酸銀、2cm
3の25%アンモニア水、10cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0058】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径35μmのアクリル樹脂(架橋PMMAビーズ)からなる球状樹脂粒子にプラズマ発生器(ガラスベルジャー型)の反応室に装填し反応室内の真空度を20Paとした。次いで、反応室内に酸素ガスを毎分15cm
3の一定量で送り込み、10Wの電力を印加し30分間プラズマを発生させた。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子50gを添加し27℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して2質量部であった。
【0059】
<実施例5>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0060】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、312gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、72gの水酸化ナトリウム、144cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、47gの硝酸銀、60cm
3の25%アンモニア水、240cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0061】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径5μmのアクリル樹脂(架橋PMMA樹脂)からなる球状樹脂粒子に熱風乾燥機(型式DX400、ヤマト化学株式会社製)に装填し80℃の大気雰囲気で2時間保持した。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子20gを添加し30℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して60質量部であった。
【0062】
<実施例6>
錫吸着処理用として、塩化第一錫20g、35%塩酸20cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を25℃に保存した。
【0063】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、416gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、96gの水酸化ナトリウム、192cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、63gの硝酸銀、80cm
3の25%アンモニア水、320cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0064】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径1μmのアクリル樹脂(架橋PMMA樹脂)からなる球状樹脂粒子にプラズマ発生器(ガラスベルジャー型)の反応室に装填し反応室内の真空度を10Paとした。次いで、反応室内に酸素ガスを毎分15cm
3の一定量で送り込み、20Wの電力を印加し30分間プラズマを発生させた。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子10gを添加し40℃で2時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して80質量部であった。
【0065】
<実施例7>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0066】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、416gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、108gの水酸化ナトリウム、216cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、71gの硝酸銀、902cm
3の25%アンモニア水、360cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0067】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径10μmのスチレン樹脂(球状加工ポリスチレン樹脂)からなる球状樹脂粒子にオゾン発生器(型式オゾンスーパーエース、日本オゾン発生器株式会社製)によりガス濃度2vol%でオゾンガスを30分間吹き込みオゾン処理を行った。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子55g添加し35℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して45質量部であった。
【0068】
<実施例8>
錫吸着処理用として、塩化第一錫20g、35%塩酸20cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を45℃に保存した。
【0069】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、325gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、75gの水酸化ナトリウム、150cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、50gの硝酸銀、75cm
3の25%アンモニア水、250cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0070】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径10μmのフェノール樹脂(球状フェノール樹脂)からなる球状樹脂粒子にプラズマ発生器(型式YHS−G型、魁半導体株式会社製)の反応室に装填し反応室内の真空度を20Paとした。次いで、反応室内に酸素ガスを毎分15cm
3の一定量で送り込み、20Wの電力を印加し30分間プラズマを発生させた。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子を32g添加し27℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して50質量部であった。
【0071】
<実施例9>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0072】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、728gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、168gの水酸化ナトリウム、336cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、110gの硝酸銀、1402cm
3の25%アンモニア水、560cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0073】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径3μmのフェノール樹脂(球状フェノール樹脂)からなる球状樹脂粒子に熱風乾燥機(型式DX400、ヤマト化学株式会社製)に装填し200℃の大気雰囲気で2時間保持した。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子を30g添加し35℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して70質量部であった。
【0074】
<実施例10>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0075】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、178gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、41gの水酸化ナトリウム、82cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、27gの硝酸銀、41cm
3の25%アンモニア水、137cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0076】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理として粒子径20μmのアクリル樹脂(架橋PMMA樹脂)からなる球状樹脂粒子に熱風乾燥機(型式DX400、ヤマト化学株式会社製)に装填し80℃の大気雰囲気で2時間保持した。冷却後、錫吸着処理用の上記水溶液に粗面化処理後の球状樹脂粒子40gを添加し30℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して28質量部であった。
【0077】
<比較例1>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0078】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、288gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、53gの水酸化ナトリウム、105cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、35gの硝酸銀、53cm
3の25%アンモニア水、175cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0079】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理を行わず、粒子径20μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子を錫吸着処理用の上記水溶液に球状樹脂粒子41gを添加し30℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して35質量部であった。
【0080】
<比較例2>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0081】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、288gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、53gの水酸化ナトリウム、105cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、35gの硝酸銀、53cm
3の25%アンモニア水、175cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0082】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理を行わず、粒子径15μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子を錫吸着処理用の上記水溶液に球状樹脂粒子41gを添加し1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して45質量部であった。
【0083】
<比較例3>
錫吸着処理用として、塩化第一錫15g、35%塩酸15cm
3を容量1dm
3のメスフラスコを用いて水で1dm
3に稀釈(メスアップ)した水溶液を27℃に保存した。
【0084】
無電解めっき処理用として、2dm
3の水に、293gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)、68gの水酸化ナトリウム、135cm
3のホルマリンを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、45gの硝酸銀、68cm
3の25%アンモニア水、225cm
3の水を混合し硝酸銀を含む水溶液を作製した。
【0085】
球状樹脂粒子の表面の粗面化処理を行わず、粒子径10μmのアクリル樹脂(PMMA架橋ビーズ)からなる球状樹脂粒子を錫吸着処理用の上記水溶液に球状樹脂粒子35gを添加し30℃で1時間撹拌した。その後、球状樹脂粒子を濾別して水洗した。次いで、錯化剤及び還元剤を含む上記水溶液中に、錫吸着処理を行った球状樹脂粒子を浸漬させ水溶液を撹拌しながら硝酸銀を含む上記水溶液を滴下し球状樹脂粒子に銀を被覆して銀被覆球状樹脂粒子を得た。この銀の被覆量は銀被覆球状樹脂粒子100質量部に対して45質量部であった。
【0086】
<比較試験及び結果、評価>
〔被覆した銀の粒子径の測定〕
実施例1〜10、比較例1〜3の銀被覆球状樹脂粒子の断面の写真を透過型電子顕微鏡(型式JEM−2−1−F、日本電子株式会社製)により撮影し、球状樹脂粒子の表面に形成された銀被覆層の球状樹脂粒子の樹脂側と外側の銀の粒子径を目視により観察、測定した。
図2に実施例1、
図3に比較例1の銀被覆球状樹脂粒子の断面の写真を示す。
図2の左下が樹脂(球状樹脂粒子)で、右上が銀被覆層である。
図2(a)、(b)より、実施例1では、樹脂の粗面化された表面全体に10〜50nmの銀の粒子が入り込んでいる様子が観察された。また、
図2(a)より、樹脂側から150nm近辺まで、10〜50nmの銀の粒子、150〜300nm近辺では50〜100nmの銀の粒子、100nm以上では、100〜400nmの銀の粒子がそれぞれ観察され、
図2(a)に示す以外に外側では最大1000nmの銀の粒子が観測された。
図3(a)、(b)より、比較例1では、樹脂の表面には10nm程度の銀の粒子が少し入り込んでいる様子が観察された。また、
図2(b)より、樹脂の表面には50nm前後の銀の粒子が散見されその上方に400nm前後の銀の粒子がそれぞれ観察され、
図2(b)に示す以外に外側では最大1000nmの銀の粒子が観測された。表1に実施例1〜10及び比較例1〜3の樹脂側と外側の銀の平均粒子径の測定結果(粒子20個の平均値)を示す。銀の平均粒子径は実施例1〜10では樹脂側が10〜50nm、外側が100〜1000nm、比較例1〜3では樹脂側が200〜300nm、外側が800〜1000nmであった。
【0087】
〔圧粉体積抵抗値の測定〕
銀被覆球状樹脂粒子2.5gを直径25mmの型に入れて加圧時の粉体体積抵抗率を抵抗率計(型式MCP−T610、三菱化学株式会社製)を用いて測定した。実施例3では3.5×10
-4Ω・cm、比較例3では7.5×10
-3Ω・cmであった。
【0088】
〔密着性の測定〕
作製した銀被覆球状樹脂粒子をエポキシ樹脂、アミン系硬化剤とともに容器に入れ、遊星混合機(型名AR100、株式会社シンキー製)によって30分間混合した。その後、3本ロールで練り込みを行った。練られたペーストを走査型電子顕微鏡(型式SU−1500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察し、銀被覆球状樹脂粒子に銀のめっき膜が密着しているかを目視確認した。銀めっき膜が銀被覆球状樹脂粒子の表面を90%以上被覆している場合を「良好」とし、90%未満被覆している場合を「不良」とした。実施例1〜10では、すべて90%以上被覆しており、良好であった。一方、比較例1〜3では、80%以下の被覆であり、不良であった。上記ペーストをPET(Polyethylene Terephthalate)フィルム上にアプリケータを使用して成膜し、80℃で1時間乾燥し、膜厚100μmの膜を得た。得られた体積抵抗率は、実施例1〜10のペーストによる膜では5.0×10
-4Ω・cmであったのに対して、比較例1〜3のペーストによる膜では1.8×10
-2Ω・cmであった。これらの体積抵抗率の結果と実施例1〜10では、めっき膜が剥がれていないことから、比較例1〜3と比べて導電性が向上していることが分かった。
【0089】
【表1】