【解決手段】既設管2の内周面に設置される内面材固定部材4に対して内面材3を嵌着するために該内面材3を押圧する内面材押圧装置1Aであって、内面材3に面接触される押圧パッド31と、押圧パッド31を内面材3に押し付けるための推力を発生する伸縮シリンダ32と、既設管2の内周面に対し反力をとる反力支持体33とを備え、既設管2の内周面に対し反力支持体33で反力をとりながら伸縮シリンダ32からの推力を押圧パッド31に伝達して内面材3を押圧するものとする。
管の内周面に設置される内面材固定部材に対して内面材を嵌着するために該内面材を押圧する内面材押圧装置であって、内面材に面接触される押圧パッドと、押圧パッドを内面材に押し付けるための推力を発生する伸縮シリンダと、管の内周面に対し反力をとる反力支持体とを備え、管の内周面に対し反力支持体で反力をとりながら伸縮シリンダからの推力を押圧パッドに伝達して内面材を押圧するようにしたことを特徴とする内面材押圧装置。
支持棒における管軸中心線が通る部位を回転中心として該支持棒を管周方向に回転可能に支持する架台と、内面材における管周方向に存する複数の押圧ポイントのそれぞれに対して押圧パッドを位置決めする位置決め機構とを備え、支持棒の回転操作と位置決め機構による位置決め操作により、各押圧ポイントを押圧パッドで順次に押圧可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内面材押圧装置。
管の内周面に沿って設置される内面材固定部材に対して内面材を嵌着するために該内面材における管周方向に存する複数の押圧ポイントを押圧する内面材押圧装置であって、内面材における複数の押圧ポイントのそれぞれに対応して面接触される複数の押圧パッドと、複数の押圧パッドを対応する複数の押圧ポイントに押し付けるための推力を発生する複数の伸縮シリンダと、管の内周面に対し反力をとる反力支持体とを備え、管の内周面に対し反力支持体で反力をとりながら各伸縮シリンダからの推力を各押圧パッドに伝達して内面材における各押圧ポイントを押圧するようにしたことを特徴とする内面材押圧装置。
複数の伸縮シリンダを管径方向の一側と他側とに分散して配設し、各伸縮シリンダの推力作用線が管軸中心線上で交わるようにそれら伸縮シリンダを配置したことを特徴とする請求項4に記載の内面材押圧装置。
管径方向に沿って反力支持体と直列的に配置される伸縮シリンダと押圧パッドとを管径方向に延設される延長棒で連結し、該延長棒の長さを調整可能としたことを特徴とする請求項5に記載の内面材押圧装置。
反力支持体は、内面材固定部材を避けて管の内周面に押付可能な管押付部材を備え、この管押付部材を介して管の内周面に直接的に反力をとるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の内面材押圧装置。
管押付部材を、内面材固定部材に対して既に嵌着された内面材に面接触で押付可能な内面材押付部材と交換可能とし、反力支持体は、内面材押付部材及び内面材を介して管の内周面に間接的に反力をとるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の内面材押圧装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、内面材を傷付けたり、変形させたりすることなく内面材を押圧することができる内面材押圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1発明の内面材押圧装置は、管の内周面に設置される内面材固定部材に対して内面材を嵌着するために該内面材を押圧する内面材押圧装置であって、内面材に面接触される押圧パッドと、押圧パッドを内面材に押し付けるための推力を発生する伸縮シリンダと、管の内周面に対し反力をとる反力支持体とを備え、管の内周面に対し反力支持体で反力をとりながら伸縮シリンダからの推力を押圧パッドに伝達して内面材を押圧するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、反力支持体は、管径方向に延設される支持棒を備え、該支持棒の長さを調整可能とすることができる(第2発明)。
【0011】
また、支持棒における管軸中心線が通る部位を回転中心として該支持棒を管周方向に回転可能に支持する架台と、内面材における管周方向に存する複数の押圧ポイントのそれぞれに対して押圧パッドを位置決めする位置決め機構とを備え、支持棒の回転操作と位置決め機構による位置決め操作により、各押圧ポイントを押圧パッドで順次に押圧可能とすることができる(第3発明)。
【0012】
また、上記目的を達成するため、第4発明の内面材押圧装置は、管の内周面に沿って設置される内面材固定部材に対して内面材を嵌着するために該内面材における管周方向に存する複数の押圧ポイントを押圧する内面材押圧装置であって、内面材における複数の押圧ポイントのそれぞれに対応して面接触される複数の押圧パッドと、複数の押圧パッドを対応する複数の押圧ポイントに押し付けるための推力を発生する複数の伸縮シリンダと、管の内周面に対し反力をとる反力支持体とを備え、管の内周面に対し反力支持体で反力をとりながら各伸縮シリンダからの推力を各押圧パッドに伝達して内面材における各押圧ポイントを押圧するようにしたことを特徴とする。
【0013】
この場合において、複数の伸縮シリンダを管径方向の一側と他側とに分散して配設し、各伸縮シリンダの推力作用線が管軸中心線上で交わるようにそれら伸縮シリンダを配置することができる(第5発明)。
【0014】
また、管径方向に沿って反力支持体と直列的に配置される伸縮シリンダと押圧パッドとを管径方向に延設される延長棒で連結し、該延長棒の長さを調整可能とすることができる(第6発明)。
【0015】
また、反力支持体は、内面材固定部材を避けて管の内周面に押付可能な管押付部材を備え、この管押付部材を介して管の内周面に直接的に反力をとるようにすることができる(第7発明)。
【0016】
また、管押付部材を、内面材固定部材に対して既に嵌着された内面材に面接触で押付可能な内面材押付部材と交換可能とし、反力支持体は、内面材押付部材及び内面材を介して管の内周面に間接的に反力をとるようにすることができる(第8発明)。
【0017】
押圧パッドに、内面材固定部材の位置を検出する検出センサを配設するようにすることができる(第9発明)。
【発明の効果】
【0018】
第1発明の内面材押圧装置によれば、内面材に面接触される押圧パッドによって内面材が押圧されるので、内面材固定部材への嵌着に必要とされる押圧力を、内面材の傷付きや変形が生じない所定の面圧以下となるように内面材に作用させることができ、内面材を傷付けたり、変形させたりすることなく内面材を押圧することができる。
【0019】
第2発明の構成を採用することにより、すなわち、反力支持体は、管径方向に延設される支持棒を備え、該支持棒の長さを調整可能とすることにより、内面材の嵌着作業が進んで管の施工径が小さくなったとしても、このような施工径の変化に迅速に適応することができる。
【0020】
第3発明の構成を採用することにより、すなわち、支持棒における管軸中心線が通る部位を回転中心として該支持棒を管周方向に回転可能に支持する架台と、内面材における管周方向に存する複数の押圧ポイントのそれぞれに対して押圧パッドを位置決めする位置決め機構とを備え、支持棒の回転操作と位置決め機構による位置決め操作により、各押圧ポイントを押圧パッドで順次に押圧可能とすることにより、内面材の押圧のための推力発生手段として単一の伸縮シリンダのみで複数の押圧ポイントを正確に押圧することができる。したがって、装置の軽量化を図ることができるとともに、例えば、流水下の視界の悪い所にある内面材に対しても正確に複数の押圧ポイントを押圧することができる。
【0021】
第4発明の内面材押圧装置によれば、複数の押圧ポイントのそれぞれに対応して面接触される複数の押圧パッドによって内面材の複数の押圧ポイントが押圧されるので、第1発明と同様に、内面材固定部材への嵌着に必要とされる押圧力を、内面材の傷付きや変形が生じない所定の面圧以下となるように内面材に作用させることができ、内面材を傷付けたり、変形させたりすることなく内面材を押圧することができる。
さらに、内面材の複数の押圧ポイントを複数の押圧パッドで一気に押圧することができるので、内面材の嵌着作業の効率を格段に向上させることができる。
【0022】
第5発明の構成を採用することにより、すなわち、複数の伸縮シリンダを管径方向の一側と他側とに分散して配設し、各伸縮シリンダの推力作用線が管軸中心線上で交わるようにそれら伸縮シリンダを配置することにより、装置の重量バランスと力学的バランスの両方を良くすることができ、装置のハンドリングが容易になるとともに、装置に偏荷重が作用するのを未然に防ぐことができ、装置を長期に亘って安定的に使用することができる。
【0023】
第6発明の構成を採用することにより、すなわち、管径方向に沿って反力支持体と直列的に配置される伸縮シリンダと押圧パッドとを管径方向に延設される延長棒で連結し、該延長棒の長さを調整可能とすることにより、内面材の嵌着作業が進んで管の施工径が小さくなったとしても、このような施工径の変化に迅速に適応することができる。
【0024】
第7発明の構成を採用することにより、すなわち、反力支持体は、内面材固定部材を避けて管の内周面に押付可能な管押付部材を備え、この管押付部材を介して管の内周面に直接的に反力をとるようにすることにより、管の内周面において内面材固定部材が設置された箇所に反力をとる際にその内面材固定部材を回避して管の内周面に直接的に反力をとることができる。
【0025】
第8発明の構成を採用することにより、すなわち、管押付部材を、内面材固定部材に対して既に嵌着された内面材に面接触で押付可能な内面材押付部材と交換可能とし、反力支持体は、内面材押付部材及び内面材を介して管の内周面に間接的に反力をとるようにすることにより、内面材を傷付けることなく管の内周面に間接的に反力をとることができる。
【0026】
第9発明の構成を採用することにより、すなわち、押圧パッドに、内面材固定部材の位置を検出する検出センサを配設するようにすることにより、押圧パッドによって押圧された内面材と内面材固定部材の位置関係を検出することができ、これにより、内面材の内面材固定部材への嵌着状態を確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の内面材押圧装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0029】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る内面材押圧装置を示す図で、既設管に設置状態の正面図(a)及び同側面図(b)がそれぞれ示されている。
また、
図2には、
図1(a)のA部拡大図が示されている。
【0030】
<内面材押圧装置の概略説明>
図1(a)及び(b)に示される内面材押圧装置1Aは、既設管2の補修・補強のために既設管2の内周面側に内面材3を内張りする際に用いられる装置であり、既設管2の内周面に設置される内面材固定部材4に対して内面材3を嵌着するために該内面材3を押圧する機能を有している。
なお、内面材固定部材4は、管軸方向に所定間隔を有して複数設置されており、内面材3は、管軸方向に隣り合う内面材固定部材4に架け渡されるようにして張り付けられる。
【0031】
<内面材の説明>
内面材3は、管軸方向に沿って延びる、例えば、合成樹脂製の帯板状部材よりなり、既設管2の内周面と対向する一側の板面3aを有するとともに、この一側の板面3aの反対側に、内張り後に既設管2の新たな内周面を構成する他側の板面3bを有している。
【0032】
図2に示されるように、内面材3の一側の板面3aには、管周方向に所定間隔を有して第1係止爪11、第2係止爪12及び第3係止爪13がそれぞれ形成されている。
内面材3の管周方向の両端部には、上向きに開口した開口部内に係止爪を形成してなる嵌着部14がそれぞれ形成されている。
管周方向に互いに隣接する内面材3は、管周方向に互いに突き合わされた状態のそれぞれの嵌着部14における係止爪に係合可能な係止爪を有する内面材連接材15がそれら嵌着部14に抜け止め状態に嵌着することによって接続されている。
【0033】
<内面材固定部材の説明>
内面材固定部材4は、既設管2の内周面に沿う形状の剛性リング17に、例えば、合成樹脂製の多数の連結部材18がその剛性リング17に沿って組み付けられて構成されている。
【0034】
剛性リング17は、湾曲形成した複数の鉄筋、好ましくは、異形鉄筋等からなる棒状部材のほか、形鋼等の鋼材を用いて既設管2の周方向に環状に組み立てられてなり、既設管2の内周面に対してほぼ均一な間隔を有して配設されるように、図示されない所要のアンカー等の任意の定着部材を介して既設管2の内周面に取り付けられている。
【0035】
連結部材18は、両端部に形成される嵌入部19と、既設管2の内周面と対向する側の面において管周方向に所定間隔を有して形成される複数(本例では5個)のリブ状の剛性直材部20と、既設管2の中心側へ向けた面において管周方向に所定間隔を有して形成される第1内面材嵌着部21、第2内面材嵌着部22及び第3内面材嵌着部23とを有している。
嵌入部19には、内面材3の端部に設けられた嵌着部14が嵌め込まれる。
内面材嵌着部21,22,23には、内面材3が抜け止め状態に嵌着されるように、既設管2の中心側へ向けて開口した開口部内に、内面材3に設けられた係止爪11,12,13と係合可能な係止爪21a,22a,23aが形成されている。
図3に示されるように、剛性直材部20には、管軸方向の一方側に開口するように切り欠かれて剛性リング17を嵌入可能な剛性リング嵌着部24が形成されている。
なお、
図3において剛性リング17は、2つ描かれているが、2本の剛性リング17が使われる場合のほか、複数の部材を接続して剛性リング17を構成する場合における接続部で2本の線材を重ね合わせている場合が該当する。
【0036】
<押圧ポイントの説明>
図2に示されるように、内面材3には管周方向に所定間隔を有して存する3つの押圧ポイントP1,P2,P3があり、内面材3の他側の板面3bにおける第1係止爪11に対応する部位が第1押圧ポイントP1、同板面3bにおける第2係止爪12に対応する部位が第2押圧ポイントP2、同板面3bにおける第3係止爪13に対応する部位が第3押圧ポイントP3であり、各押圧ポイントP1,P2,P3を押圧することにより、各係止爪11,12,13を各内面材嵌着部21,22,23に嵌着することができる。
【0037】
<内面材押圧装置の詳細説明>
次に、内面材押圧装置の詳細構造について、
図1〜
図6を参照しつつ説明する。
【0038】
図1(a)及び(b)に示されるように、内面材押圧装置1Aは、内面材3に面接触可能な平坦面31a(
図2参照。内面材3の表面に沿うように円柱状の曲面とすることもできる。)を有する平板状部材よりなる押圧パッド31と、押圧パッド31を内面材3に押し付けるための推力を発生する伸縮シリンダ32と、既設管2の内周面に対し反力をとる反力支持体33とを備え、押圧パッド31が既設管2内部における径方向の一側に配設され、反力支持体33が既設管2内部における径方向の他側に配設され、これら押圧パッド31と反力支持体33との間に伸縮シリンダ32が配設されて構成されている。
伸縮シリンダ32には、取り扱いが容易なエアシリンダを好適に用いることができ、押圧パッド31を内面材3に押し付けるための必要な推力及びストローク(伸長量)を得ることができるように、シリンダ径が30〜100mm程度、好ましくは、40〜80mm程度、使用圧力(コンプレッサの圧力)が0.3〜1MPa程度、好ましくは、0.5〜0.8MPa程度、ストロークが50〜500mm程度、好ましくは、100〜400mm程度のものを好適に用いることができる。
上記の伸縮シリンダ32により490〜1960Nの力が得られ、この範囲の力であれば、内面材3の係止爪11,12,13を連結部材18の対応する内面材嵌着部21,22,23に嵌着することができ、過剰な力がかかることもなく、内面材3の変形を起こすこともない。
なお、伸縮シリンダ32としては、上記エアシリンダのほか、例えば、電動シリンダ、油圧シリンダ等を用いることができる。
また、押圧パッド31は、各押圧ポイントP1,P2,P3を押圧することにより、各係止爪11,12,13を各内面材嵌着部21,22,23に嵌着することができるように、
図2及び
図3に示す内面材嵌着部21,22,23の既設管2の中心側へ向けて開口した開口部の寸法(例えば、管周方向及び管軸方向の寸法:約20mmと約60mm)に対して、大きい矩形状のもの、好ましくは、管周方向及び管軸方向にそれぞれ10〜200mm程度、より好ましくは、20〜100mm程度大きい矩形状のものを用いるようにすることが好ましい。
ここで、大きく形成する寸法が、10mm未満であると、位置合わせに時間を要することで作業性が低下することとなり、一方、200mmを超えると、押圧力が分散して必要な押圧力が得にくくなる。
【0039】
図2に示されるように、押圧パッド31と伸縮シリンダ32のロッド部32aとは、継手34を介して接続されている。
継手34は、管軸方向に対して直角をなす軸線(
図2に示される状態では水平軸線)を有するピン35を備えてなり、押圧パッド31は、そのピン35を中心に管軸方向に傾動可能とされている。
これにより、内面材押圧装置1Aの位置決めの際に、管軸方向における押圧パッド31と反力支持体33との相対位置に若干のずれが生じたとしても、押圧パッド31を内面材3に確実に面接触させることができる。
【0040】
図1(a)及び(b)に示されるように、反力支持体33は、伸縮シリンダ32の本体部32bに一端側が連結されて管径方向に延設される支持棒36を備え、この支持棒36の他端側に管押付部材37を連結して構成されている。
【0041】
<支持棒の説明>
支持棒36は、その本体部分を構成する支持棒本体38と、この支持棒本体38の外周側に嵌められるスリーブ39とを備えてなり、その長さが調整可能とされている。
すなわち、支持棒本体38に対するスリーブ39の軸方向の移動で支持棒36全体の長さを可変とし、支持棒本体38とスリーブ39との重なり合いの程度の異なる複数の位置のそれぞれにおいて支持棒本体38とスリーブ39の両者にピン差し込み用開口を設けるなどして固定ピン40を差し込み可能とし、該固定ピン40の差し込み可能な複数の位置の中から選択される任意の位置で固定ピン40を差し込むことにより、その選択した位置で支持棒36の長さが固定されるようになっている。
【0042】
<管押付部材の説明>
図4に示されるように、管押付部材37は、スリーブ39の端部内に嵌め込み可能な支柱部材41を備え、この支柱部材41上にベース部材42を一体的に設置し、ベース部材42のピン支持部42aと既設管2の内周面との間に配される脚部材43を管軸方向に平行な軸線を有する連結ピン44で連結して構成されている。
【0043】
脚部材43は、連結ピン44を中心に管周方向に傾動可能とされており、内面材押圧装置1Aの位置決めの際に、管周方向における押圧パッド31と管押付部材37との相対位置に若干のずれが生じたとしても、既設管2の内周面に脚部材43を確実に押し付けることができる。
なお、脚部材43の傾動を所定範囲に規制するために、ベース部材42のピン支持部42aを挟むように一対のストッパ45A,45Bを脚部材43に配設して、脚部材43が管周方向の一方側(
図4において左側)に所定角度傾動すると、他方側のストッパ45Aがピン支持部42aに当接して脚部材43の動きが止められ、脚部材43が管周方向の他方側(同図において右側)に所定角度傾動すると、一方側のストッパ45Bがピン支持部42aに当接して脚部材43の動きが止められるようになっている。
【0044】
管押付部材37においては、スリーブ39に対し支柱部材41を嵌め込んだ所定の位置で両者にピン差し込み用開口を設けるなどして固定ピン46が差し込み可能とされており、固定ピン46の差し込み操作によってスリーブ39に対し管押付部材37を装着状態で固定することができる一方、固定ピン46の抜取操作によってスリーブ39に対し管押付部材37を取り外し可能な状態とすることができる。
【0045】
図5に示されるように、脚部材43は、管軸方向に所定間隔を有して配される一対の脚片部43aと、脚片部43aの先端部から管軸方向外向きに張り出すように形成されるフット部43bとを備え、これら脚片部43a及びフット部43bが内面材固定部材4を避けるように跨って既設管2の内周面に押付可能な二股形状に形成され、既設管2の内周面において内面材固定部材4が設置された箇所に反力をとる際にその内面材固定部材4を回避して既設管2の内周面に直接的に反力を確実にとることができるようになっている。
より具体的には、脚部材43は、内面材固定部材4と干渉しないように、
図5に示す内面材固定部材4の寸法(例えば、管径方向及び管軸方向の寸法:約60mm)に対して、管径方向及び管軸方向に、それぞれ10〜200mm程度、好ましくは、10〜100mm大きく形成するようにすることが好ましい。
ここで、大きく形成する寸法が、10mm未満であると、作業性が低下することとなり、一方、200mmを超えると、脚部材43の強度が低下することへの対処が必要となる。
【0046】
<内面材押付部材の説明>
内面材押圧装置1Aにおいては、スリーブ39に装着された管押付部材37を、
図6に示されるような内面材押付部材47と交換可能とされている。
この内面材押付部材47は、管押付部材37における脚部材43に代えて押付ブロック部材48を採用した構成のもので、管押付部材37と共通する部材には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、管押付部材37と異なる点、すなわち押付ブロック部材48の構成を中心に説明することとする。
押付ブロック部材48は、内面材3に面接触可能な平坦面48a(内面材3の表面に沿うように円柱状の曲面とすることもできる。)を有し、内面材3への押付の際に、内面材3の他側の板面3bにできる限り広く均一に面圧が分散作用するようにするため、管軸方向から見て管径方向外側に向かい末広がりの台形状(
図6に示される状態では逆台形状)で、かつ、平坦面48aは、押圧パッド31の平坦面31aと同じか、それより大きな接触面積、具体的には、押圧パッド31の平坦面31aの1〜16倍程度、好ましくは、2〜10倍程度の接触面積を有するように形成している。
【0047】
ここで、
図4に示されるようにスリーブ39に装着された状態の管押付部材37を、
図6に示される内面材押付部材47と交換する作業は、次のようにして行われる。
まず、スリーブ39に管押付部材37が装着・固定されている
図4に示されるような状態から、固定ピン46の抜取操作により、スリーブ39に対し管押付部材37を取り外し可能な状態とする。
次いで、スリーブ39から管押付部材37を引き離すようにして取り外す。
次いで、内面材押付部材47を用意し、この内面材押付部材47における支柱部材41を
図6に示されるようにスリーブ39の端部内に嵌め込み、所定の嵌め込み位置で両者に固定ピン46を差し込み固定する。
なお、スリーブ39に装着された内面材押付部材47を管押付部材37と交換する作業は、上記管押付部材37から内面材押付部材47への交換作業手順と同様である。
【0048】
以上に述べたように構成される内面材押圧装置1Aを用いた内面材嵌着作業について、主に
図1及び
図7を用いて以下に説明する。
なお、以下に述べる内面材嵌着作業は、内面材固定部材4に対し管周方向に合計15枚の内面材3を順次嵌着して張り付けることで筒状体50を組み立てる例である。
また、内面材固定部材4に内面材3を嵌着するにあたっては、各内面材嵌着部21,22,23に対し各係止爪11,12,13が対応するように連結部材18に対し内面材3の位置合わせをする。
【0049】
図1(a)及び(b)に示されるように、まず、既設管2内の最低位置にある連結部材18に対して内面材3を位置合わせしておき、この内面材3上の径方向に沿って内面材押圧装置1Aを配し、その内面材3の、例えば、第2押圧ポイントP2(
図2参照)上に押圧パッド31を押し当てた状態で支持棒36の長さ調整により、管押付部材37における脚部材43が内面材固定部材4を避けて跨るように既設管2の内周面に接触又はほぼ接触状態とし、内面材3に対する内面材押圧装置1Aの位置が定まったら、伸縮シリンダ32を伸長作動させる。
これにより、既設管2の内周面に対し反力支持体33で反力をとりながら伸縮シリンダ32からの推力を押圧パッド31に伝達して内面材3の第2押圧ポイントP2を押圧することにより、第2係止爪12を第2内面材嵌着部22に嵌着することができる。
次いで、一旦、伸縮シリンダ32を収縮させて押圧パッド31の第2押圧ポイントP2への押圧力を開放し、隣の、例えば、第1押圧ポイントP1(
図2参照)へ押圧対象を変更して、第2押圧ポイントP2に対する押圧動作と同様の押圧動作を実施して、第1係止爪11を第1内面材嵌着部21に嵌着する。
そして、第3押圧ポイントP3(
図2参照)に対しても第1押圧ポイントP1に対する押圧動作と同様の押圧動作を実施して、第3係止爪13を第3内面材嵌着部23に嵌着する。
こうして、1枚目の内面材3のすべての係止爪11,12,13を連結部材18の対応するすべての内面材嵌着部21,22,23に嵌着することができ、1枚目の内面材3の嵌着作業が完了する。
【0050】
次いで、
図7(a)に示されるように、図において1枚目の内面材3(説明の都合上、図中に符号「3A」を併記する。)を基準に、2枚目から8枚目までの内面材3を、管周方向の一方と他方とにほぼ均等に振り分けるように、1枚目の内面材3に対して実施した押圧動作と同様の押圧動作を実施することにより、2枚目から8枚目までの内面材3の嵌着作業が完了する。
そして、上記の内面材3の嵌合作業の後、管周方向に隣接する内面材3の互いの突き合わせ位置にある嵌着部14に内面材連接材15(
図2参照)を嵌着して、隣接する内面材3同士を内面材連接材15を介して順次接合するようにされる。
なお、上記説明は、内面材3を1枚目から8枚目までの嵌着作業の後、内面材連接材15の接合を行う事例であるが、内面材の嵌着作業完了前でいくつかの内面材の嵌着の後に嵌着のできた内面材3に対して適宜内面材連接材15を接合することもできる。
【0051】
次いで、
図7(b)に示されるように、9枚目の内面材3(説明の都合上、図中に符号「3B」を併記する。)の嵌着作業からは、反力支持体33の管径方向外側先方に、既に張り付けられた内面材3が存在するので、既設管2の内周面に対して直接的に反力をとることができない。
そこで、管押付部材37を内面材押付部材47と交換し、内面材押付部材47における押付ブロック部材48を、既に張り付けられた内面材3に押し付けて、該内面材3を介して既設管2の内周面に間接的に反力をとる。
なお、内面材の9枚目からの嵌着作業では既設管2の施工径が小さくなるため、このような施工径の変化に適応するように、支持棒36の長さを適宜に短くするなどの調節を行う。
そして、9枚目から15枚目までの内面材3を、2枚目から8枚目までの内面材3に対して実施した押圧動作と同様の押圧動作を実施することにより、9枚目から15枚目までの内面材3の嵌着作業が完了する。
こうして、15枚の内面材3で筒状体50を形成し、該筒状体50と既設管2との間に硬化性充填材を充填して既設管2の補修・補強を施す。
【0052】
<作用効果の説明>
第1の実施形態の内面材押圧装置1Aによれば、内面材3に面接触される押圧パッド31によって内面材3が押圧されるので、内面材固定部材4への嵌着に必要とされる押圧力を、内面材3の傷付きや変形が生じない所定の面圧以下となるように内面材3に作用させることができ、内面材3を傷付けたり、変形させたりすることなく内面材3を押圧することができる。
また、支持棒36の長さが調整可能とされるので、内面材3の嵌着作業が進んで既設管2の施工径が小さくなったとしても、このような施工径の変化に迅速に適応することができる。
また、管押付部材37が内面材固定部材4を避けて既設管2の内周面に押付可能とされるので、既設管2の内周面において内面材固定部材4が設置された箇所でも既設管2の内周面に直接的に反力をとることができる。
また、管押付部材37が内面材押付部材47と交換可能とされ、内面材押付部材47が内面材3に面接触可能とされるので、内面材3を傷付けることなく既設管2の内周面に間接的に反力をとることができる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
図8には、本発明の第2の実施形態に係る内面材押圧装置を示す図で、既設管に設置状態の正面図(a)及び同側面図(b)がそれぞれ示されている。
また、
図9には、
図8(a)のE部拡大図が、
図10には、
図8(a)のF部拡大図がそれぞれ示されている。
なお、第2の実施形態の内面材押圧装置1Bにおいて、第1の実施形態の内面材押圧装置1Aと同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては第2の実施形態の内面材押圧装置1Bに特有の部分を中心に説明することとする(後述する第3の実施形態についても同様)。
【0054】
図8(a)及び(b)に示されるように、第2の実施形態の内面材押圧装置1Bは、第1の実施形態の内面材押圧装置1Aと基本構成が同一である装置本体51に、架台52や位置決め機構53等を付加してなるものである。
また、伸縮シリンダ32のロッド部32aと継手34との間には、延長棒54が介設されている。
これにより、第2の実施形態の内面材押圧装置1Bにおける伸縮シリンダ32の高さ位置は、第1の実施形態の内面材押圧装置1Aにおける伸縮シリンダ32の高さ位置よりも延長棒54による延長分だけ高くされている。
【0055】
<架台の説明>
架台52は、支持棒36における管軸中心線Osが通る部位を回転中心として該支持棒36を管周方向に回転可能に支持するものであり、管軸方向に所定間隔を有して伸縮シリンダ32を挟むように配される一対の位置合わせ板55の所要箇所を連結バー56で連結してなる架台本体52aを備えている。
架台本体52aの上部には、管軸方向に所定間隔を有して配される一対の逆Vの字状の軸支持ブラケット52bが配設され、各軸支持ブラケット52bの頂部には軸挿通孔が形成され、一対の軸支持ブラケット52bにおける互いの軸挿通孔が、管軸中心線Osと同軸をなすように、各軸支持ブラケット52bが各位置合わせ板55に固定されている。
【0056】
一対の軸支持ブラケット52bにおける軸挿通孔には、図示されない軸受等を介して回転操作軸57が管軸中心線Os回りに回転可能に装着されている。
回転操作軸57は、一対の軸支持ブラケット52bにおける一方の軸挿通孔に差し込まれる第1シャフト57aと、一対の軸支持ブラケット52bにおける他方の軸挿通孔に差し込まれる第2シャフト57bと、支持棒本体38の外周側に嵌められる円筒状の中心ガイド57cとを備え、第1シャフト57aと第2シャフト57bとを中心ガイド57cを介して接合してなるものである。
回転操作軸57における第2シャフト57bには、その第2シャフト57bと直交するように操作ハンドル58が差し込まれており、操作ハンドル58の操作で回転操作軸57を回転させることにより、支持棒36における管軸中心線Osが通る部位を回転中心として装置本体51を管周方向に回転させることができる。
【0057】
図9に示されるように、架台本体52aの下部には、内面材3における嵌着部14と係合して内面材押圧装置1Bを内面材上で円周方向での所定位置にガイドする内面材ガイド車輪59が取り付けられている。
また、架台本体52aには、位置合わせ板55の下半部分の所要領域を四角形状に切り抜いた形状とすることでアクセス用開口60が形成され、このアクセス用開口60を通して押圧パッド31の周辺部に容易にアクセスすることができるようになっている。
【0058】
<位置決め機構の説明>
図10に示されるように、位置決め機構53は、位置合わせ板55の上半部分に形成されるガイドスリット68と、伸縮シリンダ32の本体部32bに装着されてガイドスリット68に係合するガイドバー69とを備えて構成されている。
ガイドスリット68は、横方向に延びるように穿設される横スリット70を備え、この横スリット70の一端部、中間部及び他端部からそれぞれ第1縦スリット71、第2縦スリット72及び第3縦スリット73を上向きに延びるように穿設して、山の字状に形成してなるものである。
ここで、第2縦スリット72は、装置本体51の中心線L2に沿うように線状に開口されている。
第1縦スリット71は、管軸中心線Os上にある管軸中心点を中心に装置本体51の中心線L2を管周方向の一方側に所定角度θだけずらした中心線L1に沿うように線状に開口されている。
第3縦スリット73は、管軸中心点を中心に装置本体51の中心線L2を管周方向の他方側に所定角度θだけずらした中心線L3に沿うように線状に開口されている。
このように中心線L2に対して中心線L1、L3が管軸中心点を中心にして所定角度θだけずらした構成であると中心線L1、L2、L3が管軸中心点で交差し、換言すれば、前記中心線L1、L2、L3は半径方向に伸びる軸となるため、L1、L2、L3の軸がそれぞれの押圧ポイントP1、P2、P3の位置における内面材3の一側の板面と垂直に交差し、効率良く押圧することができる。なお、上記のL1、L2、L3の軸は、多少のずれがあってもよい。
横スリット70の中間部には、第2縦スリット72の反対側に向けて山形に切り欠いたようなノッチ70aが形成され、このノッチ70aにガイドバー69の一部を落ち込ませるようにして引っ掛けることにより、架台52に対して装置本体51を基準位置に容易に位置決めすることができる。
【0059】
位置決め機構53においては、装置本体51の基準位置で、ガイドバー69を第2縦スリット72に沿って移動させることにより、押圧パッド31を第2押圧ポイントP2へと位置決めすることができる。
また、操作ハンドル58の操作で装置本体51を基準位置から管周方向の一方側に管軸中心線Os回りに所定角度θだけ回転させ、かつガイドバー69を第1縦スリット71に沿って移動させることにより、押圧パッド31を第1押圧ポイントP1へと位置決めすることができる。
また、操作ハンドル58の操作で装置本体51を基準位置から管周方向の他方側に管軸中心線Os回りに所定角度θだけ回転させ、かつガイドバー69を第3縦スリット73に沿って移動させることにより、押圧パッド31を第3押圧ポイントP3へと位置決めすることができる。
【0060】
<作用効果の説明>
第2の実施形態の内面材押圧装置1Bによれば、第1の実施形態の内面材押圧装置1Aと同様の作用効果を得ることができるのは勿論のこと、内面材ガイド車輪59によって内面材上における内面材押圧装置1Bの円周方向での位置が規定されるので、装置本体51の回転操作と位置決め機構53による装置本体51の位置決め操作によって、内面材の所定位置である複数の押圧ポイントP1,P2,P3を押圧パッド31で順次に押圧可能とされるので、内面材3の押圧のための推力発生手段として単一の伸縮シリンダ32のみで複数の押圧ポイントP1,P2,P3を正確に押圧することができる。したがって、装置の軽量化を図ることができるとともに、例えば、流水下の視界の悪い所にある内面材3に対しても複数の押圧ポイントP1,P2,P3を正確に押圧することができる。
【0061】
〔第3の実施形態〕
図11には、本発明の第3の実施形態に係る内面材押圧装置の既設管に設置状態の正面図が、
図12には、
図11のG部拡大図が、それぞれ示されている。
【0062】
図11及び
図12に示されるように、第3の実施形態の内面材押圧装置1Cは、内面材3における複数の押圧ポイントP1,P2,P3のそれぞれに対応して面接触される複数の押圧パッド81A,81B,81Cと、複数の押圧パッド81A,81B,81Cを対応する複数の押圧ポイントP1,P2,P3に押し付けるための推力を発生する複数の伸縮シリンダ82A,82B,82Cと、既設管2の内周面に対し反力をとる反力支持体83とを備え、既設管2の内周面に対し反力支持体83で反力をとりながら各伸縮シリンダ82A,82B,82Cからの推力を各押圧パッド81A,81B,81Cに伝達して内面材3における各押圧ポイントP1,P2,P3を押圧するように構成されている。
【0063】
ここで、複数の押圧ポイントP1,P2,P3、すなわち第1押圧ポイントP1、第2押圧ポイントP2及び第3押圧ポイントP3に対し、複数の押圧パッド81A,81B,81C、すなわち第1押圧パッド81A、第2押圧パッド81B及び第3押圧パッド81Cがそれぞれ対応する。
また、第1押圧パッド81Aを第1押圧ポイントP1に押し付けるための推力を発生するのが第1伸縮シリンダ82Aであり、第2押圧パッド81Bを第2押圧ポイントP2に押し付けるための推力を発生するのが第2伸縮シリンダ82Bであり、第3押圧パッド81Cを第3押圧ポイントP3に押し付けるための推力を発生するのが第3伸縮シリンダ82Cである。
【0064】
第1伸縮シリンダ82A及び第3伸縮シリンダ82Cは共に既設管2の内部にける管径方向の一側に配設される一方、第2伸縮シリンダ82Bは既設管2の内部にける管径方向の他側で管径方向に沿って反力支持体83と直列的に配設され、各伸縮シリンダ82A,82B,82Cの推力作用線LA,LB,LCが管軸中心線上で交わるようにそれら伸縮シリンダ82A,82B,82Cが配置されている。
このように推力作用線LA,LB,LCが管軸中心線上で交わると、前記管軸中心線上LA,LB,LCは半径方向に伸びる軸となるため、LA,LB,LCの軸がそれぞれの押圧ポイントP1、P2、P3の位置における内面材3の一側の板面と垂直に交差し、効率良く押圧することができる。なお、上記のLA,LB,LCの軸は、多少のずれがあってもよい。
【0065】
第2伸縮シリンダ82Bの本体部82bと第2押圧パッド81Bとは、延長棒84によって連結されている。
延長棒84は、第2押圧パッド81Bに連結されて管径方向に延設される第1延長棒85と、第2伸縮シリンダ82Bの本体部82bに連結されて管径方向に延設される第2延長棒86と、これら延長棒85,86を連結するスリーブ87とを備えてなり、その長さが調整可能とされている。
すなわち、スリーブ87に対する第1延長棒85又は第2延長棒86の軸方向の移動で延長棒84の長さを可変とし、スリーブ87と各延長棒85,86との重なり合いの程度の異なる複数の位置のそれぞれにおいて各延長棒85,86とスリーブ87の両者にピン差し込み用開口を設けるなどして固定ピン88を差し込み可能とし、該固定ピン88の差し込み可能な複数の位置の中から選択される任意の位置で固定ピン88を差し込むことにより、その選択した位置で延長棒84の長さが固定されるようになっている。
【0066】
第1伸縮シリンダ82A及び第3伸縮シリンダ82Cは、位置合わせ板89を介して前述した所定の配置でスリーブ87に固定されている。
【0067】
反力支持体83は、第2伸縮シリンダ82Bのロッド部82aに一端側が連結されて管径方向に延設される円筒状の支持棒90を備え、この支持棒90の他端側に管押付部材37を連結して構成されている。
【0068】
図12に示されるように、第2押圧パッド81Bには、内面材3における嵌着部14と係合して内面材3をガイドする内面材ガイド部材91A,91Bが付設されている。
【0069】
<作用効果の説明>
第3の実施形態の内面材押圧装置1Cによれば、複数の押圧ポイントP1,P2,P3のそれぞれに対応して面接触される複数の押圧パッド81A,81B,81Cによって内面材3の複数の押圧ポイントP1,P2,P3が押圧されるので、上記の各実施形態の内面材押圧装置1A,1Bと同様に、内面材固定部材4への嵌着に必要とされる押圧力を、内面材3の傷付きや変形が生じない所定の面圧以下となるように内面材3に作用させることができ、内面材3を傷付けたり、変形させたりすることなく内面材3を押圧することができる。
また、内面材ガイド部材91A,91Bにより内面材3と内面材押圧装置1Cの円周方向の位置が規定されるので、例えば、流水下の視界の悪い所にある内面材3に対しても複数の押圧ポイントP1,P2,P3を円周方向において正確に押圧することができる。
なお、ガイド部材は管軸方向にスライド可能にガイドするものであれば、第2実施例の車輪タイプや第3実施例の突起タイプ又は嵌着部14の係止爪などの先端が膨出した突条の根本を2つの部材で挟んでスライド可能に保持するタイプのものであってもよい。また、ガイド部は溝の形状に適宜対応させることもでき、例えば嵌着部14に対応する形状としては、係止爪の両側に挿入可能な突起や車輪も使用することができる。
さらに、内面材3の複数の押圧ポイントP1,P2,P3を複数の押圧パッド81A,81B,81Cで一気に押圧することができるので、内面材3の嵌着作業の効率を格段に向上させることができる。
【0070】
<内面材の内面材固定部材への嵌着状態を確認するための検出手段の説明>
ところで、上記第1〜第3の実施形態において、押圧パッド31,81A〜81Cに、内面材固定部材4の位置を検出する検出センサ(図示省略)を配設する(押圧パッド31,81A〜81Cの内面材3に対する当接面側に検出センサを配設するか、検出センサ自体で押圧パッド31,81A〜81Cを構成する。)ようにすることができる。
より具体的には、検出センサには、内面材固定部材4を構成する鉄筋からなる剛性リング17の位置を検出することができる電磁誘導方式のセンサを好適に用いることができる。
これにより、押圧パッド31,81A〜81Cによって押圧された内面材3と内面材固定部材4の位置関係を検出することができ、内面材3の内面材固定部材4への嵌着状態を確認することができる。
この場合、内面材3の内面材固定部材4への嵌着状態の確認は、センサと鉄筋からなる剛性リング17との距離を検出し、この距離によって内面材3が剛性リング17に対して所定位置まで押圧できたかを、センサの出力を表示する表示機(図示省略)の表示を確認することにより行うことができ、さらに必要に応じて、表示機の表示と併せて、内面材3が伸縮シリンダ32,82A〜82Cを介して所定位置まで押された(センサと鉄筋からなる剛性リング17との距離が所定距離未満になった)ことを作業者に音等で知らせるようにしたり、伸縮シリンダ32,82A〜82Cの作動を自動制御するようにすることもできる。
【0071】
以上、本発明の内面材押圧装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
例えば、本実施例では剛性リングに環状のものを使用したが、このほか、螺旋状のものも使用できる。